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2006/02/10

百器徒然袋－雨（京極夏彦）－その１－

テーマ：京極堂シリーズ大好き！(44)

カテゴリ：京極夏彦

順序は逆になるが，昨年の「百器徒然袋－風」（日記は →こちらから）に続いて，

京極夏彦の「百器徒然袋－雨」

を読んだ。

榎木津のありさま（神様であるということ(笑)）や，この本が探偵小説であるということは，「風」で書いたので改めて書かない。

時についても，「風」では日付に曜日まで入れて細かくみていったが，今回はそれぞれの設定が結構おおざっぱで，同じ年（昭和28年）の７月から秋にかけての話である。

この年，「箱根山の連続僧侶殺人事件」を皮切りに，「勝浦の連続目潰し魔事件」「連続絞殺魔事件」「伊豆の新興宗教騒動」「白樺湖畔の連続新婦殺人事件」が起こり，その後「山颪」の事件となる。
「鳴釜」と「瓶長」がどこに入るかは今後の課題となるが鳴釜の前に華仙姑は引退，瓶長の前に榎木戸が旅先での事件を解決している。

各話を換骨奪胎すると

鳴釜…「高級官僚である父親の威を借りて女性を輪姦した男の結婚式の粉砕」
瓶長…「青山の屋敷を騙し取ろうとする骨董商のたくらみと家を売りたがらない孫娘の秘密」
山颪…「小悪党による寺の乗っ取り」

となるが，楽しいのはやはり榎木津のむちゃくちゃぶり。

それと，彼からは富田林君，四万十川君，赤城山君……とよばれて名前を覚えてもらえず，それだけならまだしも，京極堂からは河川敷砂利彦，待古庵の今川雅澄からは「壷田亀三郎」（ってこれはこの短編のモチーフそのものではないか！！），伊佐間からは「下金（おろしがね）」（これもモチーフだ）と名づけられてしまう語り手の巻き込まれぶりだ（上記「モチーフ」についてはその２で書く予定です）。

そうか，この人の名前は，最後の最後にしか出てこないんだ。

「風」では，タイトルの一部がしりとりになっていることを紹介したが，今回気づいたのは各話の最初にある鳥山石燕の文なのだが，それぞれ，「夢のうちにおもひぬ」「夢のうちにおもひぬ」「夢心におもひぬ」となっている（気になって，「雨」を調べたら，「夢の中におもひぬ」「夢の中におもひぬ」「夢心におもひぬ」となっていた）。

どの事件も，まだ「一般人」の語り手にとっては，終わって振り返れば「夢」のように思えたのではないだろうか。

その２（日記は， →こちらから）に続きます。

時代･場所，登場人物をフリーページの京極夏彦メモ（百器徒然袋）に簡単にまとめてありますので，ごらんください。

ところで，京極堂シリーズ大好き！というテーマがありますので，よろしければご利用ください。

次の日記も読ませていただきました。
アゲハのひとりごと（ageha0509さん）ボチボチ日記（時雨５４さん）
五番目の季節（maylingさん）深夜の読書日記（緋沙子０２さん）
ほんの山（もとやん☆さん） kiwiって普段はこんなん？ｗ（迷子のkiwiさん）
２００６年の本棚（真沼さん）もりっぺ★のほほ～ん（☆もりっぺ☆さん）
のぽねこミステリ館（のぽねこさん）この世に不思議なし！リターン！（＋akaさん）
「本のことども」ｂｙ聖月さん cascadeのたわごと（cascade0920さん）
Latitude pressさんカラスの我楽多さん
book*log.さん
未来の予定～ラビ的（みっつ君さん）

京極夏彦の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（京極夏彦）からごらんください。

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