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春の江戸絵画まつりに通いだして、もう何年になるだろうか。満開の桜を楽しみながら、こうして平日にのんびりと来れるようになったことに喜びと一抹の寂しさを感じます。今回は仏教をキーワードにした展覧会。今年も素晴らしい内容で大満足でした。まずは京都二尊院の「二十五菩薩来迎図」。楽器を打ち鳴らしながらやってくる菩薩たち。截金(きりかね)で描かれた文様の美しさ。平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩の絵画版のように感じました。一方。金沢の照円寺蔵の「地獄極楽図」の色彩感溢れた地獄に落ちた亡者の悲惨な様子が生々しく見応えがありました。白隠や仙厓の禅画はなじみ深く、いつ見ても楽しみです。そして今回いちばん見たかったのは、曽我蕭白の「雪山童子図」です。画面を覆う鬼の青と童子の赤い衣との鮮やかな対比の妙。奇怪な表情。奇想の画家蕭白の面目躍如といった作品です。「群仙図屏風」と並んでお気に入りの一枚です。長沢蘆雪のワンちゃんも楽しくていい気分になりました。(4/11)
2024年04月30日
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広報をめぐって大きな批判があったため、あえて遊郭は二度とこの世に出現してはならない制度であるとキャプションで強調しています。そんな負の側面と江戸文化を担ったという2つの側面を考えながら眺めていたら、展示されているそれぞれの作品のすばらしさに見とれてしまうことに少々、罪悪感を感じてしまう展覧会でもありました。喜多川歌麿や鳥文斎栄之などの浮世絵版画も美品ばかりだったが何といっても、歌麿の肉筆画の大作「吉原の花」は素晴らしいの一言。これを見れただけでも来た甲斐がありました。登場人物はすべて女性ばかり、豪華絢爛です。まさにこの世の春です。バーチャルで吉原の地形的な全貌も知ることができた。今の吉原はなかなか歩きづらいところですが、お歯黒どぶなど確認しながら歩いてみたいです。今回の展覧会で初めて知りましが、吉原の桜は常にあるのではなく春の季節だけ、急ごしらえで植えられたものだということでした。どこから運んできたのでしょう。まさに見せかけの栄華の世界、江戸時代のテーマパークだったのでしょうか。(4/5)
2024年04月29日
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この美術館は、世界中の美しいデザインの椅子が多数コレクションされていて、さらに実際に座れることができる素敵なところです。そんな椅子にこだわりを持つ美術館が、デザインの視点からではなく、現代アートの視点からの様々な切り口で、椅子をモチーフとして表現した作品の展覧会でした。マルセル・デュシャンのレディメイドの作品として有名な自転車の車輪が載った椅子からはじまって、まさに椅子をめぐる様々なドラマを見るような非常に興味深かい展覧会でした。椅子って何のためにあるのか?と問われれば、ふつうは仕事をしたり、食事をしたりする際に使い、また楽をしたり、身体を休めるためにあると考えるのでしょう。ところが、実際にはそうでない場合が多々あります。権力の象徴としての王座、バリケード封鎖に利用される椅子、そして拷問に使う椅子や究極は死刑執行のための電気椅子もあります。アンディ・ウォーホルのカラフルな椅子のシルクスクリーンの裏には、実は死のにおいが漂っているのです。そんなことに気が付くとても恐ろしくなります。日本の現代作家では名和晃平のピクセルシリーズがありました。今回はお得意の動物のはく製を利用したものではなく、椅子やテーブルの周りを球体で覆っています。そして、その間から覗くのはタロットカードです。はく製の作品を見た際に感じる生と死の有り様ではなく、占いという観念のようなものを封じ込めたなぁと感じました。宮永愛子のナフタリンで作った椅子もありました。形あるものはいつかはなくなるが、痕跡だけは永遠に残る・・・このようにどの作品も椅子という家具を通して、作家の持つ問題意識を表現して、いろいろな課題を私たちに投げかけてきます。そんなことをつらつら考えながら、現代アートを楽しめる展覧会でした。常設展でも多くの椅子の展示があり、倉俣史郎のバラをアクリル板に閉じ込めたミス・ブランチもありました。こちらは世界で一番美しい椅子だと思います。どんな座り心地なんでしょう。(4/6)
2024年04月18日
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3月の読書メーター読んだ本の数:12読んだページ数:3983ナイス数:260死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)の感想ダムに沈んだ隠れキリシタンの村。伝奇ホラーかと思ったら、実は○○○〇者のお話。どんでん返しもこれでは、ちょっとがっかり。一癖も二癖もある登場人物たちの今後はどうなるのか?もやもや感が残る終わり方。読了日:03月02日 著者:宇佐美まこと東京レトロ建築さんぽ 増補改訂版の感想この表紙、もう何度も出かけている庭園美術館だと気づかなかったのは建築ファンとは言えないなとガッカリ。特に室内の写真の美しさ。このように写真を撮ればいいのかと見本にして頑張ってみます。2022年9月時点の情報ですが、すでに現存していない建物もあって残念です。読了日:03月05日 著者:倉方俊輔チョコレートコスモス (角川文庫 お 48-3)の感想後半、グングンと引き込まれた。その世界にかかわっている人しか分からないゾーンに入ってしまう体験。主人公が武道の達人ってところがミソかなと思った。読了日:03月08日 著者:恩田 陸近畿地方のある場所についての感想なるほど、読むと呪われるのですね。それにしてもネットのページはとても小さな字で読みずらかったです。読了日:03月11日 著者:背筋シュルレアリスム絵画と日本 イメージの受容と創造 (NHKブックス)の感想板橋区立美術館で開かれている「シュルレアリスムと日本展」を見たばかりなのでその復習にと読んだ本。古賀春江、福沢一郎らシュルレアリスム初期の画家たちがいかに日本でシュルレアリスム絵画に取り組んだかを紹介。とにかく彼らの絵に描かれている(コラージュされている)題材の元の素材を当時の世界中の雑誌や書籍などから探してくるのは並大抵の苦労ではないと研究者の努力に感服した。読了日:03月15日 著者:速水 豊黒祠の島 (新潮文庫)の感想因習にとらわれた離島の中での残虐な殺人事件。これだけの事件が起きているのに表ざたにならないなんて?登場人物が多すぎて混乱。二転三転する犯人像。何とか最後までたどり着きました。読了日:03月20日 著者:小野 不由美朝日のようにさわやかに (新潮文庫)の感想冒頭の「水晶の夜、翡翠の朝」が面白かった。全寮制の学校での事件。理瀬シリーズって何だか忘れているので、もう一度読み直そう。「冷凍みかん」も絶品。星新一のSFのような作品。そのほか???の作品もあったが楽しめた。W.Mの「朝日のようにさわやかに」を聞いてみたい。読了日:03月24日 著者:恩田 陸世界奇想美術館 異端・怪作・贋作でめぐる裏の美術史の感想大型本で印刷も美しく眺めているだけで楽しい。読んでいるうちに奇想と普通の違いは何か?という疑問をふつふつと感じた。写実ではないものはすべて奇想?読了日:03月24日 著者:エドワード・ブルック=ヒッチング苦役列車 (新潮文庫)の感想先般の能登半島地震でお墓が倒れたとのニュースを聞き、ずっと積読本だったものをやっと手に取った。強烈な優越感と劣等感が入り混じった性格。こうやって他者の目で眺めているのはとても面白いが、身近に関わる人だったら嫌だなぁ。読了日:03月27日 著者:西村 賢太失はれる物語 (角川文庫)の感想表題作「失はれる物語」は辛く切ない愛の話。この結末で良かったのかどうか考えてしまった。「Calling You」はよくあるタイプのSF的ミステリだがこの手の話は好み。「手を握る泥棒の物語」はコメディタイプのミステリで楽しく読めた。「マリアの指」の結末も悲しかった。読了日:03月31日 著者:乙 一東京いちどは訪れたいお寺の名建築の感想名建築というのでそれぞれの寺院の建築の解説本かと思ったら、単なるガイドブックのような感じだった。はじめて知るお寺もあったので、出かけてみたくはなった。読了日:03月31日 著者:風のマジム (講談社文庫)の感想女性起業家のサクセスストーリー。まさに風を感じるようなスピード感のある語り口で少々出来過ぎの感もあるが、素直に感激した。思わず通販でコルコル頼んでしまった。楽しみ!読了日:03月31日 著者:原田 マハ読書メーター
2024年04月04日
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