森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2013.07.24
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数年前にこんな事件があった。
某テレビの監査役68歳が傷害の疑いで逮捕されたのである。
この監査役は、打ち合わせのため繁華街で酒を飲みタクシーに乗って帰った。その途中バイパスで、危険防止のため、タクシーの運転手に後部座席のシートベルトの着用を求められた。

注意されてかっとなった容疑者は、タクシーから降車後、運転手の右腕をつかみ引っ張るなどして、擦り傷を負わせた。その後車のドアなども蹴ったという。運転手が警察に通報したため、この事件は、全国放送の報道ステーションになどに取り上げられるまでにエスカレートした。
社会的ステータスの高い人だったので、大きな事件として報道されましたが、私たちにとっても、腹がたったときよくありがちなことで、他人事ではないように思います。

これを題材にして、「純な心」「感じ」から出発する事はどういうことかを考えてみたい。
運転手の言い方が悪かったのか、監査役の人が腹が立ったというのは、自然現象としてごく当たり前のことである。これは森田でいう初一念である。腹が立てば「うむ、どうしてやろうか」仕返しの方法を考えればよいのだ。

次にこの人に第二念の感情が湧いてきた。多分この人はステータスの高い人で、プライドの高い人だから、「俺を誰だと思っているんだ。バカにするのもいいかげんにしろ」などという気持ちになったのだろうと推察する。それも自然な感情だから問題にはならない。

問題はこの先にある。森田では初一念、直観、最初に沸き起こった感情から対応しなさいと言っています。
二念、三念の感情は、他者否定、自己否定、言い訳、責任転嫁などの「かくあるべし」を含んでおり、そこから出発するとその後に問題を発生させ、収拾がつかなくなる、といっています。
私は分かりやすく、二念、三念は無視することにしている。ここが肝心なのだ。これを無視せずに失敗する人が後を絶たない。残念だ。もっとも「純な心」が明快に説明されていなかったので仕方ないのかと思う。
監査役の、その後の行動をみれば一目瞭然、二念、三念で対応して失敗したのです。テレビ局の監査役にまで上り詰めたような人だから、素晴らしい面も持ち合わせていただろう。ちょっとしたボタンの掛け違いが起きたのだと思う。

もし初一念から出発したとなるとどうなっていただろう。腹立たしさがどんどん膨らみ、不快な気持ちでやりきれなくなったことだろう。それはどうすることもできない。殴りかかる寸前まで感情が高まっていくことが多いが、そのままに受け入れていくほかない。その怒りの感情は、感情の法則が示す通り一山登って必ず下る。

問題はその間どうするか。私ならなんとか仕返しをしてやろうと工夫する。会社に訴えてやろう。そのためにはタクシー会社名、運転手の氏名、降りてから車のナンバーを確認することを考える。そしてメモしておく。興奮治まらぬまま家に帰る。
でも酔っぱらってのことだから一晩は置いてみる。朝になる。まだ腹が立っているようなら、それはこちらに訴えるだけの理由がある。会社に電話してもよいと思う。
でもこのての事件は、自分の方でほとんどかたがついている問題である。

「純な心」「感じ」から出発するというのはこのことなのである。難しいことではないと思う。
これは森田では、皿を落として割った話、うさぎが犬にかみ殺された話がよく例に出されるが、私はそれ以外の例を持ち出して何回も説明したいと思う。





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