森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2014.10.13
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カテゴリ: 森田番外編
山田洋次監督の作品に「遥かなる山の呼び声」という作品があります。
北海道の農村のある夫婦の物語です。

その中にこんなシーンがあります。
子供をつれてささやかな田舎の祭りに出かけた夫婦。
その時お父さんが子供に「おい武志!」といって、ひょいと肩車に載せるんです。
ちなみに父親役は高倉健です。
武志は「わー、高い高い」なんて喜んでいるの。
それを見上げて母親役の倍賞千恵子さんが、「武志、いいね!」って微笑むんです。

山田監督はそのクローズアップ。そのカットをとりながら、ああ、今この彼女は幸せなんだなと思ったんです。
カメラの横で。
人間にとっての幸せというのはそういうことか。
つまり、幸せだという瞬間がときどきふと訪れる。
絵にかいたような、一日中、一年中幸せだってゆうことはあり得ない。
だいたいそんなに楽しいことなんてない。だけどね、ときたま訪れる。
それは一瞬、胸が膨らんで、思わず心から「いいね!」って言いたくなる。
「ああ、今俺は生きているぞという充実感をもつ。それは短い瞬間じゃないんかな。」
幸せについてはそんなことを考えている。

このお父さんは実はおたずねもので、刑事につかまって去っていくという結末が来るんだ。
だけども、今はそんなことも忘れて息子の喜ぶ姿をうれしがっている。
もしかして人間の幸せとは、そういう瞬間がいくつあるかっていうことなんじゃないかと思うんですね。

生きていると楽しいことばかりではない。
苦しいことが多い中で、たまにささやかな幸せがやってくる。
苦しみが大きくて強ければ強いほど、小さな幸せはとてつもなくありがたく感じる。
神経質者は感受性が強いので、小さい幸せでも大きな喜びを感じることができるのではないかと思う。
(山田洋次を観る 吉村英夫 リベルタ出版)





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Last updated  2014.10.13 11:47:18
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