森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.07.18
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なんでも鑑定団に出るような高額な壺を落して割ったとする。
しまった。取り返しのつかないことをしてしまった。どうしょう。
森田でいう初一念である。
ここから出発すれば、「おしいことをした。残念だ」という気持ちになる。
それは持ち主と同じ気持ちを共有するということになる。
共に残念がり、悔しがることになる。お互いにベクトルがあっているので問題がこじれない。

実際には、自分のやってしまったミスを認めて、すぐに報告する。
その時叱られるかもしれない。なじられるかもしれない。素直に謝るだけである。
でも責任回避をしようと画策した場合に比べて雲泥の差になるであろう。
そして壊れた壺を拾い集めて、掃除をする。
その後事後処理をどうするかについて関係者と相談する。

こういうミスや失敗は次によい結果をもたらす。
雨降って地固まるようなよい結果になる。
この先このような高額商品を扱う時は慎重になる。
そして壊れないようにさまざまな工夫をするようになる。
二度と同じ過ちはしないようになる。

ところがよくありがちな別の対応をとる人がいる。
まずは森田先生の言われているようにすぐに言い訳をする人である。
人に責任転嫁したり、そもそもこのようなものの存在を否定するのである。
このタイプの人は意識や注意が自己保身に向かう。
高額な壺のことは自分の意識の外に放り出してしまう。
自分が叱責されたり、非難されたりすることをなんとか回避しようと思うのである。
人が見ていなければこわれた壺を隠してしまう。
いかにも盗まれたかのように装ってしまう。
あるいは接着剤で巧妙にカモフラージュしてしまう。
しかしその事実が明るみに出た時のことを考えると生きた心地がしなくなる。

神経症で苦しんでいる人はこんな状態である。
もしもお金で許してもらえるなら、同等の商品を買ってきて弁償して済まそうとする。
いくら高額であっても、自分の人格を否定されるよりはそちらの方がよいと思ってしまう。
こういうタイプの人は森田理論学習で「純な心」の体得を身につけたほうがよい。

次のタイプの人は罪悪感に苦しむ人である。
自分の犯したミスの大きさに恐れおののいて固まってしまい身動きできなくなってしまう。
時には失禁してしまう。ついには「死んでお詫びをするしかない」と考えてしまう。
小さなミスをすぐに自分の一生を左右するような重大なミスに膨れ上がらせてしまう。

こういう人は、交差点で車の接触事故を起こすと、全部自分に非があるように感じてすぐに謝ってしまう。
常識では交差点の事故では100%自分に過失責任が発生することはない。
事後の保険会社同士の和解交渉に問題を生じさせてしまう。
この手の人は不幸な出来事をいい悪い、正しい間違いと二分法的に決めつけてしまう人である。
実際にはその中間という場合が多いいにもかかわらず、両極端に振れてしまう。
ルールや規則、法律に縛られて融通性に欠けて臨機応変な対応ができなくなっている人である。
こういう人はすべての出来事は相互関連性の中で起きていることであり、100%自分の責任ではないと分析して自分を許してあげることも必要です。
そのために「責任円グラフ」を書いてみてみることをお勧めする。
円を描き、出来事に対する責任の所在を客観的に分析してみる方法である。
自分の責任、自分以外の人の責任(配偶者、父、母、祖父母、兄弟姉妹、友達、上司、同僚等)、あるいは自分の身の回りの責任、世の中の責任、自然の責任などなどに分けてみることです。
自分の責任の部分だけ責任をとればよいのである。
これは認知療法の中で取り入れられている事です。





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Last updated  2024.04.07 10:12:17
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