森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.08.01
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シンクロナイズド・スイミング監督の井村雅代さん曰く。

私、高校生にこう言うんです。(手で三角形を作りながら)今、三角でしょ。
「これ、私がマルって言ったら、「マル」って覚えなさい」って。
「三角ですって主張するんじゃないの。他人の言った言葉にはまれって言うんです。
「一度、人の言葉に100%騙されてその気持ちになりなさい」
「これを私がマルだって教えたら「これがマルだ」と覚えなさい。
「これがペケや」って教えたら、「マルやのに」って思わないで「これはペケだ」って覚えなさい」って。
そんな時がなかったら、あかんねん。自分のことばかり言うんじゃないの」

シンクロナイズド・スイミングでは、選手が水上にあげた足の角度が自分の思っている角度と違っていることがよくあります。
選手が30度だと思っていても、実際には15度だったということはよくあります。
その時に自己主張を繰り返していては、決してうまくはならない。
メダルには程遠くなるばかりだ。
自分を捨てて、監督やコーチに従うという姿勢が上達のコツです。

これは森田理論学習にもそっくりそのまま言えることです。
森田先生は森田理論に対していくら疑いを持っていてもかまわない。
私の言うことに盲従しているよりは、かえって反発心を持っているぐらいの方がよい。
でもそれを態度に表してのらりくらりしているようでは全く進歩することはない。
疑いながらも森田先生の指導を信頼して、その通り真剣に取り組んでみる。
この姿勢が大切なのである。

森田先生は神経症を治すために一生懸命になっておられる。実績も残しておられる。
悪い方向に誘導されることはない。
こういう場合は、いったん自己主張を抑えて、森田先生にすがってみる。
約40日の入院中は指導通りに真剣に取り組んでみる。

「守離破」という言葉がある。
剣の道でも最初は師範の技を自分のものにするために、自己主張は抑えて取り組む。
師匠の言われるままを素直に受け入れて、模倣して真似て技術を身につけていく。
この期間は長くて苦しい時期である。そのうち師匠と同じくらいの技術を身につける。
この段階で初めて独立して師匠から離れる。
そしてその先は自分の編み出した技術を加味して師匠を乗り越えて新しい境地を切り開いていく。
これが守離破の「破」にあたる。
最初から「離」や「破」を求めるのは全く持って順序が違う。
最初は素直な気持ちで「守」に専念することが大切である。

こう言う流れに乗るためには、最初はどうしても自分を捨てて、素直に教えを請うということが必要なのである。
「そうは言われましても、その考え方、指導方法は違うと思います」とコーチや師匠に自己主張を繰り返していては、師匠も教える気がしなくなる。

この手の言動は集談会でも時々お目にかかる。
それではあなたの勝手にしてくださいと、匙を投げられてしまう。
それではお互いに不幸になってしまう。
得るものはなくなり、集談会に見切りをつけて去って行ってしまう。
残るのは悶々とした、今までと変わらないつらい生活に逆戻りである。

森田理論学習も苦々しく思うことがあっても、その不快感を抱えたまま、素直になれる人が神経症を克服し、「森田の達人」への道へと近づいていく。





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Last updated  2024.05.31 20:17:00
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