森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.02.28
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今日は森田療法と森田理論学習の違いについて述べてみたい。

私たちは普段何気なく森田療法という言葉を使っている。
しかし厳密に言うと森田療法は、日常生活が滞っている神経症の人に対して行う医療行為を意味する。
医療行為は主に精神科医によって行われる。医療行為は医師免許を持った人以外はできない。
以前水谷先生が亡くなられた後、長谷川先生が生活の発見会を引き継がれた時、生活の発見会活動は森田理論の学習運動であると明言された。生活の発見会は医療行為は行わないのが鉄則である。
だから学習活動の中に治療者としての医師はいない。
また現代の神経症は森田先生のころのような純粋森田療法適応者は少ない。
うつを抱えたり、躁うつ病、統合失調症、発達障害、引きこもりの人も多い。
生活の発見会は神経症で悩んできた者同士が助け合い、体験を共有化して神経症を乗り越えようとする学習活動である。

このことは生活の発見誌の1月号で、北西先生も言われている。
「治る治らない」は症状であり、そこは医療従事者の領域です。自助グループである発見会は、 「成長モデル」を担うべきだと思います。私も基本的にはその通りだと思います。

森田療法は言うまでもなく神経症治療の1つである。
神経症治療ということを考えてみると、まず薬物療法がある。
その他、心理療法としては、まず認知行動療法がある。その他、精神分析、カウンセリング、論理療法、交流分析、家族療法、内観療法、ピア・カウンセリング、サイコドラマ、意味療法、ヘルスカウンセリングを始めとして 30種類ぐらいある。その中の1つとして森田療法があるということである。
昔森田先生が森田療法を開発された頃と比べると、その手法は格段に増えている。
相対的に治療としての森田療法の役割は減少しているのである。
その役割が全くなくなっている訳ではない。
ただ森田療法は神経症治療の万能薬とは言えなくなっているのである。

次に森田理論学習よって、神経質性格の持ち主で、不安にとらわれやすかったり、生きづらさを抱えて適用不安に陥いりやすい人が、その打開策を見つけることができる。
これは薬物療法や他の心理療法にない大きな特徴である。
神経症に陥っている人が、森田理論を学習することによって神経症を克服することは事実ではある。
その数はそんなに多くはないし、むしろ専門医に任せたり、あるいは他の精神療法との関連で取り組む方が効率的であるかもしれない。
だから神経症治療としての森田理論学習に過度の期待を寄せるのは考えものであると思う。
神経症の蟻地獄から地上に這い出ることは幅広い選択肢の中から選ばれたら良いと思う。
その中で森田理論を選ばれるのであれば、いくらでも協力はできると思う。

でも私が声を大にして強調したいのは、神経症の蟻地獄からはい出したとしても、社会に適応していくことは依然として茨の道なのである。
そこで大いに役に立ってくれるのは、森田理論の中の人間観なのである。
特に、欲望と不安の関係、生の欲望の発揮、欲望の暴走の制御、自然に服従し境遇に従順に生きる生き方などを理解して、森田的な生活に変化して来れば、すごく実りある味わい深い人生を送ることができる。

森田先生がもし仮に現代の時代に生きておられたなら、医師として森田療法をさらに発展させられているだろう。
それとともに、時代が抱えた社会問題、人間軽視の経済活動、環境の破壊、人間関係のあり方などについて積極的に自論を展開されているだろうと思われる。
むしろそちらのほうに軸足を移しておられるかもしれない。
したがって、厳密に言えば森田療法と森田理論学習は、よく似ているが水と油のような関係にある。
他に適当な言葉がないので森田療法という言葉を、私たちは普段何気なく使っているが、頭の中ではきちんと整理しておく必要があると思う。





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Last updated  2017.02.28 06:30:06
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