森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.09.03
XML
私の症状は対人恐怖症でした。
人の思惑が気になって、仕事が手につかなくなったり、ミスや失敗を人目に付かないように隠していました。いつも逃げまくっていたのです。森田理論学習のおかげで、そういう事はなくなりました。
嫌だと思いながらも、仕事から逃げるようなことはしないし、ミスや失敗も正直に告白できるようになりました。
人の思惑が気になるという自分の性格は変える事はできませんでしたが、そのためにやるべき事から逃げることはほとんどなくなりました。
これをもって私は対人恐怖症は克服できたのではないかと思っております。他の人にもそう宣言しています。しかし、振り返ってみると、ここまで来るのに20年の歳月を要しました。

どうしてそんなに時間がかかったのか。
それは森田理論の学習の方法が、手当たり次第でつまみ食いのようなものであったと反省をしております。森田の特殊用語についての理解は深まりましたが、心の中はいつも重苦しかったのです。
よく遊園地などに、巨大迷路というのがありますが、その迷路の中に入り込んで、右往左往していつまでも出口を見つけられないようなものでした。
もしここで、巨大迷路を空の上から写真撮影して、迷路の構造内容がわかる設計図のようなものがあったら、比較的楽に迷路から抜け出すことができたのではないと思いつきました。
そのように思いついてから、森田理論全体の内容を一目で見渡すことができる鳥瞰図を作ることに挑戦することにしました。そして何年もの試行錯誤の末に作り上げることができたのです。
これは今や私の貴重な宝物となりました。森田理論学習の折にはいつも傍らにおいて、それと照らし合わせながら学習しております。私はこれを、「森田理論全体像」と名付けております。

私が考えるには、森田理論は大きな4つの柱から成り立っているように思います。
・生の欲望の発揮
・不安、恐怖、不快感、違和感などの感情との関わり方、欲望と不安の関係
・理想主義や完璧主義などに固執する考え方・生き方の誤り、いわゆる「かくあるべし」的思考
・事実本位・物事本位の生活態度の養成

この4本の柱を図式化したものが「森田理論全体像」の内容です。
内容は過去の投稿をご覧ください。
この4本の柱は相互にとても強い関連性を持っています。
従って「森田理論全体像」の学習にあたっては、それぞれの項目についてより深耕していくと同時に、相互の関連性についても、力を入れて学習していくことが重要になります。

さて、森田理論の学習にあたっては、基礎的な学習はもちろん大切です。
神経症の成り立ち、神経質の性格特徴、感情の法則、行動の原則、治るとはどういうことかなどについては、「森田理論全体像」を学習する前にあらかじめよく学習しておく必要があります。
「森田理論全体像」の学習は、基礎的学習の次のステップの「応用編」という位置づけです。

基礎的な学習を終えた後、早速この「森田理論全体像」の学習に取り掛かることが肝心だと思います。
そして、「森田理論全体像」の学習が終わった後は、森田特殊用語の学習で補強するとよいでしょう。
それは、骨組みができた家に壁を塗るようなものです。より理解が深まります。
先にも言いましたように、「森田理論全体像」は、このブログでも何回も取り上げています。
多少修正は加えていますが、その基本的な考え方は全く同じです。

「森田理論全体像」を理解していると、どういうメリットがあるのか。
・神経症が治るという過程がよくわかります。ちなみに神経症が治る過程は2種類あります。一つだけで満足することなく、2つに手を付けることで、神経症とは縁が切れます。それどころか、これから先の確固たる人生観を確立することができます。
・自分が今学習している場所がよくわかります。森田理論には難しい言葉がよく出てきます。
純な心、精神交互作用、無所住心、事実唯真、精神拮抗作用、不即不離、唯我独尊、努力即幸福、物の性を尽くすなどです。これらの学習をする時、森田理論全体のどの部分に当たるのかをあらかじめ分かって学習するので、学習効果が飛躍的に高まります。
・これから先の自分の努力目標を明確に意識することができるようになります。

この学習を私の参加している集談会で何度か行ってきました。反省点があります。
今現在症状の真っ只中にあり、苦しんでいる人にとっては理解が難しいようです。
それよりは手っ取り早く自分の症状を治したいという気持ちが強いのです。
もっとも効果があるのは、何年も森田理論学習を続けてきたにもかかわらず、もうひとつすっきりしない。何か問題が起きると、すぐにとらわれて落ち込んでしまう。
断片的な森田特殊用語は理解しており、人に説明できるが、森田を生活の中に活かしきれていない人。
そんな人にこの「森田理論全体像」の学習は、とても大きな効果をもたらしています。

これはちょうど、東京ディズニーランドに行く時に、施設のご案内を持っているようなものです。
あらかじめ自分の行きたいアトラクションが分かっているので、すぐに直行することができます。
基礎的な学習を終了された後は、このブログで紹介している「森田理論全体像」を理解していただきたいと思います。私は20年かけて、やっと、森田理論をものにしましたが、皆さんにはそんな無駄なことはしてほしくないのです。少なくとも3年という期間でものにしていただきたいと思っております。
生涯にわたって役立つ森田理論を、中途半端な学習で済ませていることは実にもったいないと思います。神経質性格の方は、確実に自分のものにしてもらいたいのです。
そのためには、学習の中に、「森田理論全体像」を組み入れることが必須であると考えています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.09.03 08:24:17
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

X youhei00002 フォローしてください@ Re:愛着障害について(03/12) X youhei00002 フォローしてください
森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…

© Rakuten Group, Inc.

Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: