森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.11.27
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精神科医の市川光洋医師は、森田療法を始めるにあたって、あらかじめ患者と相談して入院期間を決めると言われている。
そうすると、患者さんは、 「 2ヶ月経ったら退院できる。それまでに治すぞ」と強い意志を持って治療に望むことができる。
1回1回が真剣勝負になるそうだ。これは治療するほうも真剣になる。
例えば「10回でやりましょう」と言っちゃった手前、なんとか治さなくてはいけない。そういう覚悟ができる。
入院期間を決めて、一生懸命に治療に専念する事はそれなりに成果がある。
(生活の発見誌 2017年11月号 54ページより引用)

これはプロ野球の世界でもあり得ることだ。
高校生が入団したときは、体も細いし、技術も未熟だ。
そういう人が、1軍で活躍している選手を見ると、体つきも違うし、スピードや技術も雲泥の差がある。
自分は果たしてプロ野球の世界に入って間違いなかったのだろうかと戸惑うことがあるという。

プロの選手は入団した時が新たな出発点である。
そこから基礎体力をつけ、俊敏性や技術を身につけて、レベルアップを図っていかないといけない。
高校野球で甲子園で活躍した時がピークだったと言う選手はプロの世界ではすぐに淘汰されてしまう。
普通のレベルの選手が競争を勝ち抜いて2軍から1軍に上がる。
そして、 1軍でもレギュラーの座を獲得することは容易なことではない。
広島カープで今は引退をしているが、レギュラーを張っていた人の講演を聞いた。
その人は、高校ではピッチャーをしていたが、プロに入ってからは野手の道を選んだ。
入団した当初は、レベルの差があまりにも大きく、プロの世界で飯を食っていくことは不可能だと思ったそうだ。その人は3年で1軍に上がれなかったらもうプロの世界から去ろうと決めていたという。
そしてくる日もくる日も、持久走やバッティング、守備練習に励んだという。
そうこうしているうちに筋力がついて、プロの体つきになっていったという。
その人が言うには2軍も1軍もそんなに極端な力の差はないという。しかし、全くないことはない。
その間にあるちょっとした僅差がその後の野球人生の明暗をくっきりと分けるという。
1軍の選手と2軍の選手ではまるっきり年俸が違う。2軍選手はサラリーマンより低いことがある。
また、 1軍の選手でもレギュラーと控えの選手では、年俸をはじめとして、何かにつけて雲泥の差がある。バッティング練習もレギュラークラスが最優先である。
その地位にたどり着くには、猛練習を積み重ねて、技術面では一皮向けて1ランク上のレベルに這い上がる必要がある。
そして運も味方につけて、何回か与えられたチャンスに、ある程度の成果でもって答えを出さなければならない。1ランク上のレベルに上がっているからといっても、必ずしも成果が出るとは限らない。
しかし、 1ランク上のレベルに上がっていない人は、絶対に首脳陣に目を引くような成果は出せないという。努力してレベルアップしていない選手に神様は応援してくれない。
そうなるために、最初の3年間は疲れて寝る以外は、野球のことしか考えてもいなかった。
実際に寝食を忘れるぐらいに野球に打ち込んでいた。
酒を飲んだり、車を乗り回して遊んだり、旅行したり、女の子とデートしたいとは思ったことがあるが、そんな時間もなかったという。
目の前の当面のライバル選手を追い越すことだけを考えていたという。
一心不乱に頑張って、結果を出して、首脳陣に認められたからこそレギュラーになれた。
一旦レギラーになると、少々成績が落ちる期間があっても(スランプ)すぐに2軍に落とされることはなかったという。
1軍でそれなりの成果を出し続けていると、大きな怪我をしない限り、その後の生活は安泰だったという。レギュラーを取るには、ある期間死にもの狂いになって殻を突き抜けることが欠かせない。

この人の講話を聴いての私の感想である。
森田理論学習もある程度の期間を決めての集中学習が有効であると思う。
その間は気持ちの上では寝食を忘れるくらいに本気で取り組んでもらいたいものだ。
そうしたステップアップする期間を作った方が、自分のものになると思う。
その期間を、私は約3年と思っている。3年が長いという人がいるかもしれないが、今までがんじがらめに自分を縛っているものから解放されるとしたら、まだ短い方である。

1年目は森田の基礎的学習である。
神経症の成り立ち、神経質性格の特徴、感情の法則、行動の法則、認識の誤りなどの学習である。
一通り終わったら、自分の場合に当てはめて見て「まとめ」を行うことが大切である。
そして集談会の場で体験発表を行い、先輩や参加者からアドバイスをもらう。
この作業を繰り返して2回以上行うことが大切である。

2年目に入ると、森田理論全体の枠組みを学習することから始める。森田理論全体像の学習である。
これは私が作り上げたものをそのまま学習すればよい。
このブログで何回も繰り返しているように、森田理論には 4本の大きな柱がある。
その柱の1つ1つを深耕しながら学習していく。
そしてもう一つ大事なことは、その4つの柱の相互の関連性を学習することである。
そして森田のキーワードを聞いたとき、森田全体像のどこらあたりに当たるのかピンとくるようになるとよいと思う。神経症が治るという3段階もすぐに分かるようになる。

3年目に入ると、今まで学んだ森田理論学習をもとにして、実生活での応用面を探っていく。
これも奥の深い話ですが、とりあえず「生の欲望の発揮」から取り組むとよいと思う。

これらは、本を読んで1人で取り組んでいくことは至難である。
プロ野球で言えば、コーチにあたる人が集談会にはたくさんいる。
その人たちの助けを借りながら取り組んでいくことが重要である。
そして何より大事なことは、この3年間は寝食を忘れるくらいに取り組んでみることである。
この期間一心不乱に森田理論学習に取り組んでいけば、その後神経症で生活が滞るというような事はなくなると思うのである。さらに、苦悩や葛藤がかなり軽減できるので、とても生きやすくなるのである。
何度も言うようだが、短期集中型の学習が有効だと思う。集談会に参加していればいつかは森田的な生き方が身につくだろうと思っていては、当てが外れることが多いと思う。
実際私は対人恐怖症と縁が切れたのは20年経過した頃だった。
こんなしんどい思いは皆さんにはしてほしくないのである。





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Last updated  2017.11.27 06:30:06
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