森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.10.31
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​​​1964年、東京オリンピックで大松博文監督が率いる日本女子バレーチームが世界一になりました。
彼の代名詞は「俺についてこい」です。
ついてこれない人は、「もういい」仕方ないと見放されました。
指導は監督やコーチの意向を前面に出したスパルタ教育です。いわゆる「しごき」です。
我慢、忍耐、根性が求められ、言われた通りにしないと、鉄拳制裁もありました。
このやり方は、日本では、野球やサッカーなどの競技の監督やコーチの指導方針として、長らく受け継がれてきた経緯があります。

当時の日本は、近代国家の仲間入りを果たし、高度成長の入り口で国中が大きな期待にあふれていました。
企業がより大きな成果を求め、すべての社員を叱咤激励したのと同じように、世界一を目指し、その夢の実現と力でチームを引っ張っていったに違いありません。
「根性」や「忍耐」が美徳とされた時代です。
こうした上位下達の教育や指導方法は、時代の要請でもあったのです。
そうすれば、国民全体の生活水準が向上して、豊かな生活を享受できるという暗黙の了解がありました。
実際にその通りになったのです。

しかしその後時代は動きました。
すべての人が中流意識を持つようになりました。
生活物資が家に入りきれないぐらいにあふれ、飽食三昧の生活に変わっていきました。
こうなると、現状に胡坐をかいて、誰も好き好んで苦労を背負うことはしなくなったのです。
指導者が上でいくら叱咤激励してもついてこなくなったのです。
指導者が先頭に立って、「おれについてこい」と言っても、しばらくして後を振り返ってみると誰もついてこないという状況が生まれたのです。
なにしろ、無気力、無関心、さぼりたい、楽したいという気持ちが強いのでどうにもなりません。
つまり現在大松氏のような指導は死語になっているのです。

今は高橋尚子さんや有森裕子さんを育てた小出義雄さんの指導が脚光を浴びるようになりました。
小出氏は選手に夢を持つことの大切さ、走ることの楽しさを教えることで、苦しい練習に耐えうる精神を養っています。
小出氏は「どうしたらそんなに強くなれるのかと聞かれるけれども、別に特別なことをしているわけやないんです。少なくとも怒ったり、怒鳴ったりすることは一度もありません」と答えている。
これは小出氏の心の中に次のような信念があるのだと思います。

「人は誰でも潜在能力を備えた存在であり、できる存在である」

「人は誰でも問題や課題を解決し、夢や希望を実現したいと思っている」

​​ ​人間の存在、現状、問題や課題をそのままに認めて、生の欲望を見つけ出して、刺激を与え続ける。
そして意欲ややる気、情熱にあふれた人間に生まれ変わらせる。
私は集談会の中でそういう役割を果たすことができたら、素晴らしいなと考えています。
あの人にはオーラがある。あの人のコーチを受けたい。
そういう援助ができるようになると集談会はどんどん変わっていくだろうと思います。
(コーチングの技術 菅原裕子 講談社現代新書 参照 一部引用)





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Last updated  2019.10.31 07:50:37
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