森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.11.14
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森田先生は催眠術の研究を盛んに行っていた時期があった。
神経症の特殊療法(のちの森田療法)の確立が、1919年といわれているから、その少し前のことである。
他の精神科医は眉唾物として排斥していたが、森田先生は果たしてそうなのか、実際に真偽の程を自分の体験で確かめようとされていたのである。

事実催眠術には一定の効果もあったようだ。
明治38年には、途中尿意を催すことを恐れて、少しも外出することのできなかった強迫観念の一患者を、その催眠術で2、3ヶ月もかかって全治させ、これを中外医事新報に報告したこともある。

また、疼痛、つまり頭痛、歯痛、神経痛、ロイマチス、肩の凝り、分娩時の陣痛などには、睡眠術はとても効果があるという。
その他、「五感感覚の障碍」として、「ヒステリー性の聾とか唖とか失声症」とか、其他異常感覚や、感覚麻痺や、若し催眠術にかかりやすいものならば、催眠術は極めて気軽に、之を治すことのできるものであるとしている。
この他、「内臓感覚及び内臓機能の障碍」「運動機能」などへの適用例をあげている。
ただし、赤面恐怖の患者には全く効果がなく、逃げ回っていたようなこともあった。

こうして長年研究をしたにもかかわらず、最終的には、神経質の治療法としては、催眠術の必要を認めなくなったと言っている。効果がないことに気づかれたのです。
最終的には、神経症の治療に、「徒に催眠術の効を誇張して余り軽便に考えてはならない」といわれている。以後神経症に対して催眠術を応用することはなくなった。

ここで注目するところは、森田先生が自分の目で真偽のほどを確かめようとされたことである。
催眠術は眉唾物だと最初から決めつけるのではなく、一度は自ら確かめようとされていた。
自分が様々に試行錯誤する中で、すべてを簡単に切り捨てるのではなく、催眠術にも一定の効果は認めていた。これは実際に確かめようと実験をしないと到達できないことである。
普通は先入観、決めつけで全く真偽のほどを確かめようともせずに、切り捨ててしまう人が多い中で、事実に向き合う姿勢は驚嘆に値する。

我々も人のうわさ話で、その人の性格や人格を決めつけてしまうことが多々ある。
実際に話をしてみると、先入観とは大きくかけ離れていたということに驚くことがある。
噂話はあくまでも噂話である。
事実の裏づけをきちんととらないで、これから先の行動を決断することは間違いが多くなる。
森田理論は事実をできるだけ正確に観察して、事実に基づいて思考、行動する理論である。
そのことを森田先生は身を持って教えてくださっているように感じる。
我々は森田先生の生活態度に学んで、事実本位の生活態度を身に着けたいものだ。





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Last updated  2019.11.14 06:20:05
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