森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.01.07
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今日は精神拮抗作用について考えてみよう。

たとえば、時間がたてば腹がへり、御馳走を見れば食べたくなります。
これが欲望です。欲望は、その時々のことに真剣に取り組んでいれば、おのずと自然に発生します。
基本的には日常茶飯事を手を抜かないようにすることでいくらでも欲望は生まれてきます。
欲望が次々に出てくると、行動への意欲が高まってきます。
いったん行動すると、弾みがついてドンドン活動的になってきます。
欲望の存在は、人間が生きるということを考えてみた場合、とても重要なことです。
欲望のない人は、哀れです。本来の人間の生き方とは言えません。

ところが、その欲望の追及が果てしがないということになると、困ったことになります。
食べることでいえば、飽食三昧、あるいはグルメと言われるような状態になります。
体重が増えて体形が崩れてきます。歩くのもしんどくなります。
生活習慣病検診を受けると、肝機能、胃腸の障害、血液の異常、代謝の異常などが見つかるようになります。糖尿病やガンなどの病気にかかりやすくなります。
これは、好きなものを腹いっぱい食べたいという欲望が暴走した結果です。

普通の人間は、欲望の暴走に対して、自然に制御機能が働くようになっています。
この二つがあざなえる縄のごとくけん制し合って適正な行動につながっているのです。
食べることでいえば、食べ過ぎると太るので嫌だな。
この前の健康診断で、高脂血症が指摘されたので、食べ過ぎには注意しようという気持ちになるのです。
アルコールについても、こころゆくまで飲みたいけれども、二日酔いになって次の日に苦しんだことが思いだされて、自重するようになる。
本能的な欲望に対しても、こんなことをすると家族に迷惑がかかる。
あるいは社会から追放されるかもしれないと思うと思い留まることができます。

制御機能は、不安、恐怖、違和感、不快感などです。
神経症の人はこれらを目の前の敵にして取り除こうとしているわけです。
あるいは逃避することを考えているのです。
制御機能は人間に元々備わった生きていく上でなくてはならないものです。
欲望を追求するうえにおいては、なくてはならない役割を持っていると認識を新たにする必要があります。自動車はアクセルペタルを踏み込まないと前には進みません。
でもそこにブレーキというものがないと、スピードをコントロールできないので事故につながります。
欲望を優先しつつも、きちんと制御機能を活用していくということが欠かせません。

欲望の特徴としては次のようなことが問題になります。
欲望は一旦弾みがついてしまうと、その制御機能は十分にその機能を発揮してくれなくなります。
車でいえばブレーキが壊れた状態です。
欲望が欲望を膨らませて、歯止めがつかなくなってしまうのです。
そういう人はたくさんいます。双極性障害の躁状態の症状とよく似ています。
国と国との問題も、国益を求めての欲望の暴走にはよほど注意する必要があると思います。
欲望が暴走してしまうと、後で制御することは不可能と心得ることです。
自他ともに不幸になりますし、これが人類の滅亡にも発展してしまいます。
過去栄えた4大文明も欲望の暴走の結果、すべて滅亡してしまいました。
この歴史に学んで、今後に活かすことが大切なのではないでしょうか。





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Last updated  2020.01.07 06:20:06
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