森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.08
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生活の発見誌の1月号の「お悩み相談」に、イヤな出来事があるとすぐに逃げてしまう。
どうしたら踏みとどまることができるのかという記事があった。

これは私の人生そのものであったので、一言投稿させていただきたい。
私は今まで嫌なことから逃げてばかりの人生でした。
人から能なしヤロウのダメ人間と烙印を押されているような気がしていました。
自分なんか生きていてもいいことなんかは何もない。
過去の無様な姿が夢に現れて、後悔でうなされることもありました。
すぐに逃げてしまう自分が嫌で嫌で仕方がなかったのです。
何も成し遂げられないまま、失意の人生で終わってしまうのか。
自己嫌悪、自己否定の塊だったのです。
嫌なことから逃げずに立ち向かっていかなければ、ダメ人間だと信じて疑いませんでした。
そういう理想を掲げれば掲げるほど、現実とのギャップで自分がみじめに思えてきます。

最近歳をとってきたせいか、少し客観的に考えることができるようになりました。
不安や危険を感じて、一目散に逃げたからこそ、今こうして生きている面もあるのではないか。
うまく逃げ回った自分を批判しないで、評価してあげてもいいのではないか。
逃げ回るとマイナス面も多いが、プラス面もあるのではないか。

たとえば、猛烈な台風がやってくるとの情報が入れば、ベランダのものを家の中に入れる。
窓ガラスが壊れて飛び散らないように飛散フィルムを貼る。
浸水して来たらマンションの4階以上に非難する。
危険を察知して、実際に手を打ち、逃げ道を確保しておくことは大切なことなのではないか。

アフリカのサバンナでも危険を感じて先に逃げている動物の方が生き延びている確率が高い。
力の劣る動物が、逃げることを忘れて、力の強い動物と闘えばすぐに死んでしまう。
野球選手でもプロから誘われたにもかかわらず、実業団のチームを選択する人もいる。
プロに入っても4~5年でクビなる人が多いのだ。
自由契約になってしまえばたちまち生活難に陥る。
それに引き換え、実業団の選手は定年まで勤められる可能性があるし、生涯年収で見るとどちらがよいとは簡単には言えない。

会社でも先頭に立って活躍しているうちはよいが、一旦評価が下がった人はみじめだった。
課長や部長でも成果が上がらなければ、リストラ、出向、退職勧奨、窓際族となっていった。
そんな道を敬遠して平社員に近い人が、定年まで勤めあげて、満額の退職金をもらっていた。
精神的にはつらい経験が少なく、仕事以外の活動も楽しむことができた。
まじめに仕事に取り組んでいたと思えないような人が、家族の生活を守るという責任を果たしていた。
つまり、消極的でやる気のなさそうな、どちらかというと逃げていた人生だからこそ、仕事に在りつき、大病にならず、精神的にも比較的安定していた面もある。

逃げてしまうという悩みを持っている人は、人生は如何なるときにも逃げてはいけないという「かくあるべし」で苦しんでいるのではなかろうか。
たしかに逃げてばかりだと、味気ない人生になってしまうという面もある。
でも逃げたからこそ命がつながっている面もある。
両面があるのに、後悔でいたたたまれないという人は、一方的にダメ人間と決めつけて、自己嫌悪している。一人相撲をとって苦しんでいるのだ。その姿はそばで見ていると滑稽だ。

私は、自分は「イヤなことがあるとすぐに逃げるという特徴を持った人間だ」と認めてしまうことが大事だと思う。それが良いとか悪いとかの価値評価を下していることが問題なのではなかろうか。
そんな自分に、逃げ回って社会の荒波をかいぐぐり、よくぞここまで生き残ったものだ。
あんたはえらいと褒めてやってもいいのではないか。





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Last updated  2020.02.08 07:23:48
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