森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.11
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樹木希林さんがでていたCMに、「お正月を写そう」というのがありました。
当初のセリフは、「美しい人はより美しく、美しくない人も美しく写ります」だったそうだ。
樹木希林さんは、「それはおかしくないですか。どうして美しくない人が美しく写のですか」と聞いたそうです。「写真を修正でもするのですか」と。
そして「そうでない人はそれなりに写ります」に変更を申し入れたそうです。
「それなりに」という言葉は、相手を思いやる気持ちのはいった言葉だそうです。
最初は担当者が渋ったそうですが、最終的には樹木希林さんの意見が採用されたそうです。
それが思いもかけない有名なCMになったとのことです。

樹木希林さんは、ドラマや映画でも、台本のセリフに違和感をもつと、セリフの修正の提案を積極的にしていたそうです。監督の演技指導についても、自分の意見を述べていたそうです。
他の俳優さんは、監督の言うことに、「はい、分かりました」と素直だったそうです。

娘の也哉子さんによると、友達を家に連れてくると、母は平気で友達を叱る人だったそうだ。
だから、友達を連れてきたりすると、友達が叱られるのではないかとヒヤヒヤしていました。
もう、それは容赦ないですから。

こういうところは森田先生とそっくりですね。
樹木希林さんはその弊害をよく分かっておられたのだと思います。
自分の考えや主張を素直に口に出すという信条は、時として対手と摩擦を引き起こす。
ところかまわず自分の言いたいことを言う変なおばさん。
人間関係がぎくしゃくしてくる。だから対策を立てておく必要がある。

それが森田理論でいうところの、「不即不離」だと感じるのです。
一旦自分の思ったことを口にするけれども、その後は深追いをしないでさっと引く。
相手がその後どういう結論を出そうが、それに対して自分は関知しない。
いつまでもひっつきすぎてはまずい。だから引っ付いてはすぐに距離をおく。
「私はこうしたほうがよいと思うけど、あとは自分で考えなさいよ」と突き放す。

夫の内田裕也さんとは、45年間ずっと別居をしていた。
一つ屋根の下で暮らしたのは3ヵ月ぐらいだったという。
この夫婦は一緒にいると何かにつけて対立する。
内田さんも自己主張が強い人で、しかも自由奔放に生きている人だった。
そういう夫婦が一つ屋根の下で暮らしていくことは大変なことですよ。
いつも言い合いをする。殴り合いの喧嘩ですよ。
それも前歯が折れるような喧嘩です。
普通はこういう対立的な人間関係になるとすぐに離婚してしまうでしょう。
実際に内田さんが勝手に離婚届を出したことがあった。
樹木希林さんもやれやれとほっとされるかと思いきや、離婚訴訟に持ち込んだ。
そして離婚を破棄させてしまった。

人間が二人いれば、意見の相違は必ず生じます。
それが人間の人間たるゆえんだと思います。
それがなくなれば支配と服従の人間関係になってしまう。
その人間が何とか折り合いをつけて生きていこうとすれば、「不即不離」を身につけておけばよい。
合わせる場面では、二人で協調歩調をとる。
刺激を与えあう。大いに助け合う。二人で大いに楽しむ。

いがみ合うときは、その人とは距離を置く。遠巻きに眺めておく。
でも全く無関心では困る。自由放任でもまずい。
アンテナを張って情報収集だけは怠らないようにする。
これが森田理論が教えてくれている究極の人間関係なのだ。
樹木希林さんは、ベタベタ、ピッタリの人間関係は、自由が束縛されて窮屈じゃありませんか。
それを目指している人は何か魂胆があるのですよ。
「そういうやり方ではうまくいきませんよ」と教えてくれているような気がします。





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Last updated  2020.02.11 20:36:12
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