森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.02.14
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樹木希林さんは、道路にごみが落ちていたらすぐに拾う。
ヒッチハイクをしている人がいたらすぐに乗せる。
困っている人がいたら、自分がどんなに急いでいても、「どうしたの」と聞く。
何かに出くわしたときに、よく考えもしないで、とっさに自分のできることをやってしまう。
娘の也哉子さんからしてみると心配で仕方がない。
それがすごく嫌だった。だって怖いでしょ。
ヒッチハイクでも、見ず知らずのおじさんを平気で乗せちゃうんですよ。

近所で兄弟が大げんかをしていると、窓から覗いていた母はすぐに現場に行く。
そして、樹木希林さんは、殴っているお兄ちゃんを後ろから抱きしめて、「そうだね。分かるよ。あんたの気持ちはよく分かるよ。つらかったんだね」などと言う。
普通、けんかの仲裁は、「何やってるんですか」とか、「やめなさい」とかいうじゃないですか。
でも、樹木希林さんは、殴っているほうを抱きしめた。
見ず知らずのおばさんが突然現れて、「あなたの怒りは私の中にもある」と言われたら、けんかなんかできなくなってしまう。現に2人とも、きょとんとしてけんかを止めてしまいました。

也哉子さんは、母が亡くなって、おせっかいな存在がいなくなってしまうと、母がしていたことは人間が生きていく中で、大切にしなければいけないことだったのかもしれないと思うようになりました。
(この世を生き切り醍醐味 樹木希林 朝日新書 参照)

そういうところは森田先生とそっくりだった。
形外先生言行録の小熊虎之助氏のエピソードを紹介しよう。
私の妻は、私の宅に先生が土産に持ってこられた桃の皮をむくに、ナイフを使っているのを認められて、早速先生のお叱りを受けた。水蜜桃は指先でむくべきものである。
先生は他家へお客に来ておられても、叱るのに遠慮がなかった。
先生の言行には、いつも遠慮のない子供らしさがあった。
子どものような無邪気さがあった。子どものようにごまかしがなかった。
だから私の妻は、先生に叱られてもかえって笑っていた。
これは先生の人徳の一つであろう。

樹木希林さんも森田先生も、ともすると反発を買うような言動の連続であった。
しかし、事実は反対である。多くの人を引き付けてやまないのである。
これは人柄という面もあるだろう。
私が感じるのは、「かくあるべし」押し付けているのではなく、人情から出発されているからである。
たとえば、賭博をやっていた父親を子供が警察に訴えたという話しが紹介されている。
その子は、「悪事を憎む」という教えを忠実に守っている素晴らしい子供かと思いきや、森田先生はいくら父親が問題行動をしていても、子供は親をかばうのが当たり前である。
その子は低能か意思薄弱児だといわれている。
人情から出発しなればならないといわれているのだ。
この2つは紙一重のところがあり、まかり間違えば総スカンを食らう。
その人になりきり、何とかしたい、役に立ちたいという執念のようなものが必要なのだと思う。
相手は圧倒的な包容力に度肝を抜かして、たちまちファンになってしまうのだろう。
価値評価や自己顕示欲があるとすぐに正体がばれてしまうのである。





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Last updated  2020.02.14 06:20:08
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