森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.03.03
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​​「怒らない技術2」(嶋津良智 フォレスト出版)という本の中に次のように書かれています。

人間は放っておくとすぐに人のあら探しをします。
他人の短所にばかり目が向きます。
「あの人はこの欠点を直すべき」ということにはいくらでも気がつきますが、「ここがすばらしい」ということは、なかなか見えてこないものです。

痛いところをついていると思います。
私自身を振り返ってみるとその傾向が強い。
これが身についてしまっているのです。
それで何度人間関係で問題を起こしてきたことか。
反省してもしきれません。

今日はこの問題について、深耕してみたいと思います。
こうなる理由は2つあると思います。
まず、人間には生存欲求、自己保存欲求があります。
自分を護り、できるだけ延命を図りたいという欲求です。
危険は回避したい。健康で長生きしたい。十分な食料を確保したい。などです。
このような欲望は誰にもあります。なければ簡単に命を落とします。
しかしこの欲求は抑制力を働かせて節度を守らないと、すぐに暴走してしまいます。
他人を押しのけて、この欲望を満足させようとすると、争いが起こります。
今の世の中は欲と欲のぶつかり合いで、国同士は脅しや戦争にまで突き進んでいます。
人間は放っておくと、自己中心的になります。利他よりも利己主義に陥ってしまいます。
そうなりますと、自己保身にばかりに意識や注意が向いて、他人の存在を思いやり、長所に気づくことはなくなってしまいます。するとぎすぎすした社会になってしまいます。
人間はもともと、排他的で頑固な自己中心性を身につけた生き物であることを自覚して、制御する知恵を身につける必要があると思います。

2番目の理由として、人間は成長するにつれて、親や家族、学校、社会から様々なことを学びます。
そしてそれぞれの人が、それぞれのものの見方、考え方を身につけていきます。
人それぞれ独自の物差しを持つようになるのです。
観念的な価値観、主義、主張、生活信条、信念、行動パターンと言ったものです。
森田では分かりやすく「かくあるべし」と言っています。
よい言葉でいえば、アイデンティティの確立などと言います。
この物差しを使って価値評価をし、次の行動を選択して生活しているのです。

ここで注意したいことは、人それぞれこの物差しは違うということです。
10人いれば10通りの物差しが存在するということです。
ところが、自分の物差しにこだわり、普遍性のあるものだと勘違いしている人が多いのです。
すると自分の物差しを相手に一方的に押し付けてしまうということが起きるのです。
冷静になって考えれば、そんなことはあり得ない。
元々人間同士は分かり合えない存在なのです。
だから話し合って分かり合う努力をする必要があります。
現実は譲ることもあれば、譲られることもある。
絶えず妥協点を見つけて、話し合って、折合う点を見つける態度が欠かせません。
「かくあるべし」を前面に押し出すと、人間関係がぎくしゃくしてとても生きずらい社会になります。

いつも自分だけのことに過度にとらわれていては、他人の存在、長所、強みには全く気付かない。
反対に欠点、弱点、ミス、失敗をことさら拡張して相手を追いこんでいくのです。
人間関係は悪化の一途をたどります。
他人が敵のように思えて自己防衛にエネルギーを投入せざるを得ないようになります。
森田理論を深耕してその弊害に陥らないようにしたいものです。





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Last updated  2020.03.03 14:35:41
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