森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.04.05
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昨日は客観的事実と主観的事実を認めて受け入れる態度が重要であるという話をした。
今日は客観的事実と主観的事実のバランスをとることについて投稿したい。

人間はいろんな欲望を持っています。
美味しいものを腹いっぱい食べたい、浴びるほど酒を飲みたい。
できるだけ多くのお金を稼ぎたい、結婚したい。
他人から評価されたいなどなどです。
これらは本能的な欲望といってもよいかもしれません。
これらの欲望が次から次へと頭の中で渦巻いています。

ところが同時にそれらを抑制し引き留めるような考え方も同時に湧き起こってきます。
森田理論で学ぶ「精神拮抗作用」と呼ばれているものです。
別の言葉でいえば、人間には欲望の制御機能が働くようになっているのです。
例えば、食べ過ぎるとブクブク太ってしまう。生活習慣病にかかってしまう。
酒を飲みすぎると、二日酔いで苦しむことになる。肝臓が悪くなる。
お金の亡者になると、不正を働いたり、詐欺のようなことに手を出して人様に迷惑をかける。
このような考え方が自然に発生して、欲望が暴走しないようになっています。

この制御機能が正常に機能しないという人は、双極性障害を抱えている可能性があります。
あるいは欲望が暴走を始めて、制御不能な状態に陥っています。
不安がないので、天真爛漫で、とんでもないことを思いつき、即実行に移そうとします。
欲望に果てしがなく、他人に止められても聞く耳を持ちません。
しかし、躁状態が通り過ぎると、借金で首が回らなくなって後悔するようになります。
自己嫌悪、自己否定に陥ってしまいます。

一方、不安に取りつかれている人は、生の欲望の発揮が蚊帳の外になっています。
その不安を取り除いたり、逃げ回ることが習慣になっています。
こういうのを手段の自己目的化といいます。
本来の目的がすり替わっています。
欲望と不安のバランスが崩れており、一人で相撲をとっているような状態です。

元々人間に備わっているこの制御機能はとてもありがたいものなのです。
不安、恐怖、違和感、不快感などがその役目を担っていますので、大事にする必要があります。
森田理論学習で学ぶように、欲望と不安はヤジロベイのようにバランスをとる必要があるのです。
天秤でいうとどちらかに重いものを乗せると、つり合いは取れません。
つり合いがとれないということは、破滅を招き、どちらも存在を誇示できなくなります。
このように主観的事実と客観的事実は、常にバランス、調和を意識しながら生活する態度が欠かせないのです。私がよく思い浮かべるのは、サーカスの綱渡りです。
長い物干しざおのようなものを持ってバランスをとりながら、注意深く前に進んでいます。
この気合を身につける必要があります。

次に欲望をどん欲に追い求め過ぎると、この制御機能は正常に働かなくなるという特徴があります。飛行機が離陸するとき、ある一定の速度に達すると、何らかの不具合が発生しても、離陸を中止することはできないそうです。
中止すれば、勢い余って海や山などに突っ込んでしまい、大惨事になります。
欲望をどん欲に追い求める人のことを仏教では、「餓鬼」というそうです。
その姿はとても醜いものだといわれています。
人間本来備わっている制御機能を有効に活用することができなくなるのです。
バランスのとれた生活を維持していこうとすれば、普段の生活の中で欲望を意識して制御する必要があります。

美食家、グルメ三昧の人は、なるべく家で食事をすることを考えてみる。
家庭料理、加工食品づくりなどに精を出すことです。
酒のみの人は飲むたびに同じ量の水を飲む。
飲むよりも野菜などを積極的に取るようにする。
人よりも少し遅めに飲むように心がける。
新しいものが欲しくなったら、自分の持ち物を棚卸してみる。
壊れていたら、直して再生して使えないかと考えてみる。
つまり、欲望の充足率を60%ぐらいのところに置いて生活する習慣を身に着けることが大事になります。自分一人でそのバランスをとれないという人は、第三者の助けを借りる必要があります。





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Last updated  2020.04.05 08:15:10
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