森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.09.19
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森田先生は、自分の観念・主義を押したてようとすると強迫観念のもとになる。
価値は常に必ず相対的なものである。
これを絶対的に一定したもののように思い違いやすいから、その考え方から、種々の思想の誤謬となり、また強迫観念ともなるのである。
強迫観念についても、従来の価値観を打破して、相対性原理を理解することによって、初めてこれを全治させることができるようになったのである。
(森田全集 第5巻 520ページより要旨引用)

森田先生の話をもとにして、人間関係に相対性理論を応用することを考えてみたいと思います。
森田先生は、自分がこれまでの人生の中で身につけた思想、観念、主義などを絶対的な真理とみなすことは間違いであるといわれています。
その考えを自分や他人に押し付けると、神経症を発症する。

不安はあってはならないものである。
他人に非難されるようなことがあってはならない。
これらは、森田理論では「かくあるべし」ということなのですが、誰しもこの類の考え方をたくさん持っています。特に神経質な人には理知的でその傾向が強い。
これは客観的に見ると、あまりにも一面的な見方であり、普遍的な真理とは言えません。
そういう考え方を持つことは構いませんが、それが絶対的真理だとみなすことは弊害が多い。
ましてやその考えを自分や他人に押し付けるようなことはよくないことです。

自分独自の考え方は、世の中の普遍的な考え方からすると、間違っているかもしれない。
別の考え方があるかもしれない。
「井の中の蛙、大海を知らず」状態にあるのかもしれない。
それは絶対的で唯一無二のものではなく、新しい普遍的な真理にとって代わる運命にあるかもしれない。

そういう考え方でいるとよいのですが、自分独自の考え方を持ってしまうと、それにこだわってしまう。
他人の話を、聞く耳を持たなくなり、異論に対してすぐに攻撃を開始してしまう。
よりよい普遍的な真理を求めるという態度が希薄になり、相手を論破することが目的になる。
相手をこき下ろし、対立をあおるので、当然人間関係は悪化します。
自分の考え方にこだわり、他の意見を無視するというやり方は、とんでもない方向へと流されてしまうのです。人生そのものの歯車がかみ合わなくなります。

森田理論では、自分の考え方をしっかりと持って主張することは大事であるといいます。
そうしないと相手の言動に振り回されて、放置すると、最後には相手の言いなりになる。
この生き方は苦しいばかりです。

ただし、自分の独自の考え方を一方的に他人に押し付けてはならない。
自分の「かくあるべし」を押し付けてはならないということです。
他人には他人独自の考えがある。それを無視してはならない。
それを吐き出させて、理解しましょうという気持ちを忘れてはならない。

自分の気持ちと、相手の気持ちの間には乖離があるのが普通の状態です。
その溝を埋めて、二人ともwin winの状態に持っていく。
調整や妥協の労を厭わないで、粘り強くつきあっていく。
これが森田先生の言われている人間関係における相対性理論なのではないでしょうか。

「かくあるべし」の強い人は、自己主張が強く、自己中心的な人です。
精神的なゆとり、包容力の広さは感じられません。
いつも挑発的、好戦的です。
2人の人間がいれば、意見の対立は必ず発生する。
お互いにそれを出し合い、調整、歩み寄り、妥協を繰り返しながら生活するという態度を持ち続けることが大切になります。





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Last updated  2020.09.19 06:34:24
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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