森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.15
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高良武久先生は「適応不安」が神経症の原因になっていると指摘されています。

適応不安とは、現在の自己の心身の現象、状態をもって、自己の生存上不利であると感ずる気分、換言すれば、 自己が現在の心身の状態をもってしては、環境に適応し得ないという不安の心理 であると説明されています。

例えば、今の状態では就職しても営業の仕事ができるはずはない。
現在の自分では、学校生活で友達と仲良くやっていけるとは思えない。
近い将来直下型大地震が起きたとき、生き延びることはできないのではないか。
自分もガンになって死んでしまうのではないか。

適応不安を感じている人は、実際に目の前に起きた事ではなく、過度な取り越し苦労をしている人です。それが最悪の場合、精神交互作用で益々悪化し、神経症として固着してしまうのです。

観念の世界で最悪のケースを想像して、もし考えているようなことが現実に起きてしまったらどうしようと考えているのです。
行動して、失敗をして、工夫や改善しながら目標に近づく考え方はありません。
観念上の試行錯誤がすべてという考え方なのです。

そういう人は、気になる一点に照準を定めて、悶々と苦しんでいます。
心の奥底では、どうせ挑戦しても成果が上がるはずはないと考えています。
ビクビクしながら行動して、ずっこけてしまうとやはり考えていた通りのことが起きた。
自分の考えは正しかったことが証明できたと思ってしまうのです。
益々観念の世界に浸るようになります。
そして不安に思うこと、やっても失敗すると決めつけたことには、決して手をださない人間になってしまうのです。

適応不安に陥る人は、観念中心で自己内省が強い人です。
自己内省に偏り過ぎているという点で自己中心的な人です。
観念の世界で考えたことで、すべてのことをコントロールしていきたい。
支配していきたいという気持ちで生きている人です。
そういうことが可能であるという間違った考え方で、生活しているのです。
「かくあるべし」を前面に押し出して、事実、現実、現状には目が向かなります。

人間は本来、注意や意識を外に向かって解放させるようにできています。
その自然の流れを、意思の力で無理やり自己内省に引きずり込んでいるのです。
すると自然の変化には無頓着になります。
変化を観察する、察知するということはできません。
そんなことは考えもしない事だったということになります。
季節の変わり目、人の気持ちなどは全く分からなくなります。
これでは、森田理論でいう周囲の変化に臨機応変に対応した生き方はできなくなります。

適応不安に振り回されると、神経症に陥ってしまいます。
適応不安に翻弄されないためには、不安が襲ってきたとき、解決可能なものと解決不可能なものを区別することが大切です。解決可能なものには、積極的に不安解消のために対策を打つことです。将来に備えて事前の準備をしておく。
解決不可能なものは、事実よく観察して、事実を認める。
そして事実を受け入れる。事実本位の生き方に変えていくということです。
その不安を持ちこたえたまま、目の前の小さなたくさんの課題の処理に取り組んでいく。
事実にこだわる割合が多くなり、観念の世界での試行錯誤が少なくなることで、適応不安は遠のいていきます。





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Last updated  2020.11.15 06:34:08
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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