森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.11.26
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孔子の言葉だそうだ。

偉い人は人の意見を尊重して、いたずらにこれを排斥せず、しかも自分の意見は持っている。
下等の人は、人が何か言えばただちにそうかと思いながらも一度は争ってみる。
偉い人は衆議に服従するけれども、自分の見識は動かない。
下等の人は自分の見識はなくて、いたずらに屁理屈をいって、自己の存在を目立たせようとする。(森田全集第5巻 白揚社 412ページから413ページ)

耳の痛い言葉である。自分にもそういう傾向があるからだ。
誰かが何か言うと、すぐに上げ足をとって、非難的で反対意見を述べる。
その人たちは「そうはおっしゃいますが・・・」というのが口癖である。
普段から憎々しく思っている人に対しては、相手の話を聞こうという気持ちが最初からないのである。そういう人の反対する理由を聞いてみると、ただ反対のための意見を述べているのに過ぎないので話の中身が薄い。話を聞いてみるとすぐに正体が分かる。

森田理論を深めている人は、とにかく相手の意見や考え方に耳を傾ける。
最初から反対のための反対意見を述べることは皆無である。
目には目を、歯には歯をというような対立関係にはなりにくい。
そして評価できる点はないか、貴重なアドバイスが含まれていないかという気持ちで対応する。
片寄った先入観や悪いと決めつけるようなことがない。

そして、特徴的なことは、元々自分の意見や考え方は、しっかりと持っている。
普段から疑問に思ったことは徹底的に分析して、それなりの考え方を確立しているのだ。
その立場と相手の考え方の違いはどこにあるのか、しっかり把握しようとする。
立場の違いがはっきりすれば、その溝を埋めるべく話し合いをしていく。
自分の考え方よりは、相手の主張が理にかなっていると思えば、自分の考え方はあっさりと取り下げる。自分の考え方のほうが、理にかなっていると思えば、相手が納得してくれるまでとことん説明する。違いを乗り越えて妥協する。調和を目指す気持ちが強いのだ。
そう気持ちがあれば、たとえ相手から反対意見を述べられても、感謝こそすれ、腹立たしくはならないと思う。周りの人とともに、より良い方向性を目指していくという立場に立っている。

こういう立場は、相手の存在、人間性を最大限に尊重しているので、友好的な人間関係に発展していく。自分の周りに自然発生的に人の輪ができるのである。楽しく生活できる。

反対に、相手の存在を軽々しく扱い、人間を人間とも思わないような態度をとる人は、孤独な人生を歩んでいくことになる。他人と対立関係の態度をとり続けている人は、そういうオーラをプンプンと周りにまき散らしているのですぐに分かる。
笑顔がない。険しい顔つきをしている。
いつも難しい事を考えているようではあるが、中身は貧弱だ。
自己防衛に躍起になっている。その態度がオドオドして自信のなさを醸し出している。
言葉遣いが、ぞんざいである。けんか腰である。
懸命に孤軍奮闘しているが、第三者から見ると、その姿は痛々しく見える。
それは反対することでかろうじて自己存在理由を探し出そうとしているからである。
そういう人には近づかないほうがよい。
危害を加えられないように遠巻きに構えて見守る事が鉄則である。
これは森田理論の不即不離の考え方の応用である。

君子という人は、「かくあるべし」を他人押し付けることの弊害についてよく分かっている人だと思う。相手の意見や考え方、存在、性格、能力、職業、境遇などをあるがままに認めて、受け入れることができる人であると思う。そして大きな包容力で、相手を許すこともできる。
森田理論を哲学にまで高めて、日常生活の中で縦横無尽に活用している人だと思う。
自分は小人だと思う人は、森田理論を深耕することで、多少なりとも君子への道が開けてくるはずだ。





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Last updated  2020.11.26 06:31:39
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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