森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.03.22
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会社で営業をしていると、ノルマが毎月未達でチームの足を引っ張る社員がいます。

女子マラソンの指導者の小出義雄さんは、そんな社員を叱りつけてはいけないという。
他の社員と比較して、なじってもいけない。
そんなことを言うと、できの悪い人間はますます小さくなり、落胆してしまう。
希望を失って意欲は減退するばかりになる。

小出さんはそういう社員がいたなら居酒屋などに誘う。
酒を飲みながらの話はすぐに打ち解ける。
そして、その社員のよいところを評価するようにするそうだ。
どんな人間にも、必ず一つや二つ、取柄はあるものだ。
不成績にばかり目がいき、長所を見逃している場合は多々ある。
いいところをほめられて悪い気のする人はいない。

普通はそこで終わってしまう。
小出さんはもっとやる。実はここが一番言いたいところだ。
それは、「へり下りと謝り」である。
へりくだって相手のことを敬うことは、言葉でいえば謙譲語と言われている。
「キミの成績が思うように上がらないのは、みんな上司であるオレのせいだ。
オレの頑張りが足りないから、キミに苦労をかけてすまない。
オレがしっかりしてさえいれば、キミの能力をもっと発揮させられるのに・・・。
これから、キミに苦労をかけないように努力するから、キミも頑張ってくれ」
(小出監督の女性を活かす「人育て術」 二見書房 72ページ)

なんとも心憎い演出です。
実際は居酒屋に誘っても、褒めるよりも説教する人が多い。
上から下目線で相手を批判する。否定する。
「かくあるべし」を一方的に押し付けるのだ。
叱咤激励すれば相手は改心してくれると信じている。
少し考えれば、事態はますます悪くなることが見え見えなのだが、そんなことには少しも気がつかない。はっきり言えば、上司、リーダー、監督、先生の器ではないということです。

イソップ物語に北風とマントの話がある。
北風が男のマントを脱がせようと、強風を吹かせる。
力づくで男のマントをはぎ取ろうとするのです。
しかし男ははぎ取られないように必死になって防衛する。
北風は目的を果たせず退散する。つぎに、太陽が顔を出す。
暖かい空気を送り込むと、男は自分からマントを脱いだ。

成績の悪い部下は、会社でも居場所がない。孤独である。
みんなから役に立たないお荷物として軽蔑されている。
営業の基本が分からない。やり方が分からない。
でも手を差し伸べてくれる人がいない。
四面楚歌の状態で絶望しているのです。
そんな時に、相手を否定することは北風のやり方と同じです。
ここでとる態度は上から下目線で叱咤激励することではありません。
相手の悩み、葛藤、言い分をよく聞いてあげることです。
相手に寄り添う姿勢が上司に求められるのではないでしょうか。

これは親子や夫婦の人間関係でも同じことです。
一方的にこちらの意見を述べるのではなく、まず相手の話をよく聞く。
弁明の機会を与えるのである。
軽率に是非善悪の価値判断を行い、「かくあるべし」を押し付けない。
事実をありのままに承認してもらうことが先に来ないと、相手からそっぽを向かれてしまうのではないでしょうか。溝はどんどん開いていく。
集談会で家族の人間関係が悪くてストレスが溜まっているという話を聞きます。
こういう場合は小出義雄さんの話を参考にしてみてはいかがでしょうか。





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Last updated  2021.03.22 06:20:07
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