森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.03.26
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この言葉は不即不離、精神拮抗作用の説明です。
さらに、この言葉を深耕してみましょう。

私がインテリア卸の会社に勤めていたころ、とても気むずかしい部長がいました。
ワンマンというか、独裁的というか、不快な感情をすぐに態度にだす人でした。
私はそのすぐ下で働いていました。いつも緊張していました。

出先の所長職の人は、直接この部長に電話をすることは控えているようでした。
部長の精神状態を確認しないで、部長の機嫌を損なうような話をしようものなら、フロアーにひび渡るような罵声を浴びることになります。しかも長話になるのです。

そこで、所長職の人は、まず私宛に電話をしてくるのです。
今事務所にいるのか。外出しているのか。
忙しそうか。そうでもないか。
今日はどんな機嫌か。今電話をしてもよい状態か。
トラブルの対処やノルマの進捗状況の報告については、特に気を使っていました。
「今は問題のある案件を抱えて、荒れている」というと、「分かった」といって、「落着いたら頃合いを教えてくれ」といって電話を切るのです。
この作業を行わないと、本来の仕事に支障が起きることが多かったのです。

この問題について、森田先生は次のような話をされています。
ここに入院している人は、森田を尊敬し、あるいは信頼しているからこそ入院したわけで、森田がこわいのは当然のことであります。
この森田がこわいという心そのままであると同時に、一方では森田の話を聞き、指導を受けたいという心があるはずです。
このこわくて逃げたい気持ちと、近づいて幸福を得たい気持ちとがはっきり対立している時に、私どもの行動は微妙になり、臨機応変になり、最も適切になり、いわゆる不即不離の態度となるのであります。

間違った態度の人は、こわいとか恥ずかしいとかという心を否定し圧迫しようとし、一方には近づきたいという心をやたらに鞭うち、勇気をつけようとして無理な努力をし、その結果は精神の働きがかえって萎縮し、かたよったものになってしまうのであります。
こわくないように思おうとするから、ムリに虚勢を張ってかたくなになり、しいて近づこうとするから、相手の迷惑などには少しも気がつかず、ずうずうしくなってしまうのであります。

これらの話から分かることは、相手にお構いなしの自己中心的な行動は問題だということです。
自分の気持ちや感情を優先して行動するとうまくいかないことが多い。
その時の相手の状況を観察して、接触のタイミングを見極めることが大切になるということです。そして時期尚早と判断すれば、いったん引き下がる。チャンスを待つことです。
その際、全く目をそらせてしまうことはダメである。
絶妙のタイミングがやってくるまで、遠巻きに観察を続ける。
ここがチャンスと判断したときには、不安であっても思い切って行動する。
この手順を間違えて行動してはならないと教えてくれているのである。
言い換えれば、刻々と変化する目の前の状況をよく観察して、その変化にこちらから合わせていくという態度のことである。
(新版 自覚と悟りへの道 白揚社 73~76ページ)





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Last updated  2021.03.26 06:20:05
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