森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.06.14
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望月泰彦さんのお話です。望月さんはお寺の僧侶をされています。

私たちは僧侶を呼ぶ時に、一般に「上人」(しょうにん)と呼ぶのですが、実は私はこの「上人」という言葉が大嫌いでした。
なぜ嫌いだったかというと、「上人」とは、上の立場の人の略ですよね。
だから好きになれなかったのです。
お坊さんは、どうしても、檀信徒の方々から、仰ぎみられることが多く、あげくの果てに、のぼせ上り、自分は偉いものだと思い込んでしまいがちです。困ったものです。

そんなある日、私が尊敬している先輩の僧侶と、その話が出ました。
先輩はこう言いました。
「私も最初は嫌いだったけど、今では素晴らしい言葉だと思っているよ。なぜなら、上人=上を目指す人なのだから」

私は、あっと、思いました。上人=上の立場の人ではなく、上人=上を目指す人と捉えれば、良かったのだということが分かったのです。
何ごとも、自分自身の受け止め方ひとつで、その印象が大きく変わることに気づかされました。

この話は両面観の話に近いと思います。
一つの考えが浮かんできたとき、その考えだけで突き進んではいけない。
あえて別の反対意見をぶっつけて、調和を目指す必要があるというものです。

別の言葉でいうと、人間には精神拮抗作用という機能が備わっているので、それを活用して、不安と欲望のバランスをとる必要があるということです。

やくざ映画などで極道非悪な役ばかりをする役者さんがいます。
見るからに恐ろしそうです。二枚目ではありません。どちらかというと三枚目です。
その人のことを ブサイクな俳優 と表現したら、私生活でも人様に迷惑ばかりかけている人のような印象を与えます。
ところが、その俳優さんを、 個性派俳優 と呼んでみたらどうでしょうか。
人生のあらゆる苦しみを経験し、乗り越えてきた素敵な人のように思えませんか。

別の例でいうと、
・変わり者→個性的な人
・はぐれ者→一匹狼、自立心旺盛な人
・口うるさい人→自分を鍛えてくれる人
・根暗な人→控えめな人、思慮深い人
・目立ちたがり屋→人を楽しませてくれる人
・八方美人→社交上手な人
・融通の利かない人→一徹な人、意思の強い人

先入観や決めつけを優先するのではなく、別の見方も加味して、物事を両面観で見ることができる人は、人間としての器が大きくなっているのでしょう。
森田理論は、両面観という能力を身につける事を目指しているのです。
両面観を身につけた人は、安易に人を非難、否定することがありません。
むしろ相手の強みや長所に焦点を当てて、高評価、賛辞を惜しまない人です。
そういうおおらかで包容力のある人のもとに人が集まってきます。
(「どうせ自分なんか」から「こんな自分でも」へ 望月泰彦 太陽出版参照)





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Last updated  2021.06.14 06:20:04
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