森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.07.11
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森田理論は神経症を克服するためだけではありません。
神経質性格者が人生観を確立するためにあります。

どこに目をつけて取り組んでいけばよいのかを説明してみたいと思います。
内容としては2点あります。

まず、不安の裏には欲望があるというということをしっかりと理解することです。
私が神経症で苦しんでいた時は、そんなことを考えてみたことはありませんでした。
その結果、生の欲望の発揮は蚊帳の外になりました。
ひたすら不安と格闘していたのです。取り除こうとあらゆる手法に取り組んでいました。
また予期不安を察知すると逃げ回ることを繰り返していました。
もがけばもがくほど、ずるずるとアリ地獄の底に落ちて行ったのです。

森田理論学習によってそのやり方は間違っていたことが分かりました。
進むべき道は、生の欲望の発揮を視野に入れて、不安と欲望のバランスを回復させて、それを維持していくことだと理解しました。
そういう意味で森田理論は バランス療法 と呼んでもいいのではないか。
神経症の真っただ中という場合は、不安には手を付けてはいけません。
生の欲望に100%エネルギーを投下していくべきです。
日常茶飯事、興味や関心のある事などに力を入れていくことです。

イメージとしてはサーカスの綱渡りです。
サーカスの綱渡りは、長い物干しざおのようなものを持っています。
この竿を右に傾けたり、左に傾けてバランスをとっています。
バランスを維持しながらも、少しずつ前進していきます。

こういう態度で生活できるようになると神経症は治るのです。
生活の発見会では、不安は横において、目の前のなすべき課題に取り組むことが肝心であると教えられてきました。それはその通りなのですが、私の体験では、 欲望と不安のバランス療法 に取り組むのだという考え方がしっくりときたのです。意欲的になれたのです。
これは比較的即効性があります。半年から1年くらいで軌道に乗ってくると思います。
日常生活、仕事などが好循環に入るのです。

これで万々歳か。ちょっと待ってください。
生活面では劇的な変化をしてきますが、肝心の症状は依然として残ります。
それは不安の方には手を付けていないわけですから、土砂降りの暴風雨が吹き荒れている中で生きていることは、何ら変わらないわけです。指針が持てず、苦しいです。むなしいです。
もはや解決方法がないのか。悶々としたまま、森田から離れていく人が後を絶ちません。
こういう人は、「惜しい。もったいない」と声を大にして忠告したいです。

森田はそういう場合にもきちんと解決方法を提示しているのです。
ところが、「不安には手を付けないで、目の前のなすべきことに手をつけること」があまりにも肥大化して、これが森田理論のすべてだと誤解したところから、悲劇が始まったのです。
もう少し掘り進めば、豊かな金鉱脈に到達したのに、早々とここには求めている金鉱脈はないと判断して撤退した結果が、果実を手にできなかった最大の理由です。
35年も生活の発見会にいると、その宝物を発見して、人生の指針を見つけて味わい深い人生を送られている人に遭遇します。そういう人からはオーラを感じます。

もったいぶらずそれを早く教えてくれという声が聞こえてきそうです。
それは、観念優先の思考パターン、行動パターンを、事実、現状、現実優先の思考パターン、行動パターンに変えていくことです。人間は、大脳の前頭前野が高度に発達してしまった結果、事実よりも観念を優先する生物になってしまったのです。
事実軽視する、事実を隠す、事実を捻じ曲げる、事実を捏造する。言い訳をしてしまう。事実を他人に責任転嫁することを平気でしてしまう生き物に変わってしまったのです。

事実を否定して、その事実を観念の世界に引き上げよう、修正してしまおうと考えるようになったのです。ここが悲劇の始まりのような気がします。
頭で考えた理想や完全の世界が、事実よりも上にくるという、思いあがった生き物になったのです。でも事実はおいそれと捻じ曲げることはできません。
その努力を続けると葛藤や苦悩で苦しみ続けるという悪循環にはまってしまうのです。
森田では、このことを分かりやすく「かくあるべし」を振り回すと言います。
思想の矛盾に苦しんでいる状態と判断します。

目の付け所の2点目は、事実を最優先にして、観念の世界は、事実の下に置くことです。
森田では感じから出発して、理智で調整すると物事はうまくいくと言います。

事実主導で観念を従にする方法 を見つけ出して、習慣化する努力を意識的に行うことが不可欠です。私は「かくあるべし」をできるだけ減少させて、事実本位の態度を養成する方法を9つにまとめてみました。その方法は明日以降、順次投稿してまいります。





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Last updated  2021.07.11 06:20:05
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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