森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.06.03
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シュバイツァー博士はアフリカの密林の中に病院を建てて現地人の医療を始めた。
1913年のことだ。医療にかかる費用はすべて博士が負担した。
その後の40年にわたる努力に対してノーベル平和賞が贈られた。

この献身的、人道的な医療活動は高く評価されている一方で、晩年に博士は厳しい批判を浴びるようになった。
それはこの地方に今までなかった病気が急速に拡大してきたからである。
日本人の桜沢如一医師が招きに応じてこの病院に移った。

行ってみると博士の病院では入院患者で超満員だった。
手足を切断されたハンセン病患者がたくさんいた。ハンセン病大国だった。
夜になると、喘息患者のせきの大合唱だった。
その他、白内障、結核、リューマチ、心臓病、腎臓病、尿道炎などがあった。
いわゆる文明国で蔓延している疾患ですが、それまでこのような病気はなかったという。桜沢如一医師も風土病と言われる「熱帯性かいよう」にかかったという。
現地の人のみならず、博士のアシスタント医師や看護師もほとんど健康を害し、落後するものも多かったという。

桜沢医師はその原因はシュバイツァー博士の食事指導にあるのではないかと推測した。博士は現地の人たちに肉などの動物性食品、砂糖、ミルク、コーヒー、バター、チーズなどの食事を勧めた。
それらの95%はヨーロッパから運び込まれていた。
今までの郷土食、地産地消、身土不二という食に対する考え方は時代遅れで、健康増進のために駆逐すべき対象として取り扱われたのである。
博士は現地の人たちに豊かな食生活を楽しんでもらいたいという親切心でしたことが、実際には文明病を蔓延させるという皮肉な結果をもたらした。

森田理論では珍しいもの、おいしそうなもの、甘いもの、安いものに安易に飛びつくという考え方は戒めています。

特に食料の大半を経済力に合わせて輸入に頼っている国は自立できない。
今度のウクライナとロシアの戦争で、小麦が不足して高騰している。
それでなくても世界の人口は100億人に迫る勢いで増え続けている。
食料不足になるとさらに高騰し、そのうち売ってくれる国がなくなる。
日本の食の安全保障は極めて深刻なのである。

昔から現地で作られているもの、食べられているものを大事にして食生活を豊かにしていく。新しいものに飛びつくよりも、今あるものに光を当てて、その存在意義を引き出していく。
そして十分に活用することで居場所を与えていく。

便利なものが出てきても、今あるもので間に合うのならば、少々使い勝手が悪くても、命尽きるまで使い切るというのが森田の考え方です。
これは「物の性を尽くす」という考え方です。

食べ物でいうと、自分の土地でできるものは何か、どういう輪作体系で作ると無理がないのかを考えて作る。できた食材の料理方法を様々に工夫する。
つまり「身土不二」という食に対する哲学を身に付けていないと、食で健康な体を維持することはできないということになります。





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Last updated  2022.06.03 10:26:50
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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