森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.10.27
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論語の先進第11から22にある話です。

弟子の子路が「聞いたことはすぐに実行してもよいものでしょうか」と訊くから、「両親もいることだし、相談しなければダメだよ、聞いたらソク実行なんて、とんでもない」と答えたのさ。

その後で、弟子のぜん有が全く同じ質問をしたから、「聞いたらすぐに行うことだよ」と答えたんだ。

そうしたら、たまたま両方の場に居合わせていた弟子の公西華が、「同じ問に先生が正反対の返答をしたのを聞いて、私は混乱しています。お教えください」って真顔でいうからね、「何の不思議があるもんか。ぜん有は消極的だから即断即行ぎみぐらいが適当だし、子路は人を押しのけてでも進む方だから、押さえ気味がちょうどよい案配なので、それぞれに相応しい回答をしたまでだよ」と手の内を明かしてやったよ。
(高校生が感動した「論語」 佐久協 祥伝社 159ページより引用)

これは目の前の状況や変化をよく見て、最も適切な対応を心がけることが大切だという話だと思います。
臨機応変にその時の状況に対応することが肝心というわけです。

状況に応じて対応していると、このエピソードのように、まるっきり反対の対応になることもあり得るということです。

世の中の社会現象や自然現象は、刻々と流動変化しています。
にもかかわらず、現状に満足してしまうとその状態を維持して守ろうとします。
また自分の考え方に固執すると、その考えを他人に押しつけようとします。
その結果、自分だけが変化の波から取り残されてしまうことになります。
ここで大事なことは 絶えず流動変化する波を観察し、その変化の波に素早く飛び乗っていくこと です。

できれば、仮説を立てて変化を先読みし、変化の前に飛び出るくらいの気概が必要になります。
その仮説が間違っていれば、その時点ですぐに修正すればよいのです。

進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残るものは、最も力の強いものか、そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは変化に対応できる生き物だ」述べています。
変化に対する考えを無視した生き物は、進化の過程で淘汰されてきたのです。

森田先生も変化に対応して行動することをさまざまな角度から説明されています。
例えば体操の時の休めの姿勢。
片足で全身の体重を支え、他の方の足を浮かして、つま先を軽く地に触れている態度をとると周囲の変化に対して、迅速に適切に反応することができる。

電車の中でも、休めの姿勢で立っていると吊革などをつかむ必要はなく、読書ができる。電車の動揺にも、決してじたばたすることはない。
そのうえ、降りる駅や乗り換え場所を間違うこともない。
スリに遭うこともない。手荷物を忘れたりすることもない。

自分でも人力車に乗られたときは、ケガをしないような態勢を取られていたという。間違って放り出されたときは、柔道の受け身の姿勢を取りケガをしなかったという逸話も残っています。

変化に対応する生き方は、外部に向かって精神が緊張状態にあり、自己内省力が悪循環することが避けられます。神経症的な不安が入り込む隙間がなくなるということになります。
つまり神経症を回避できることになります。





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Last updated  2022.10.27 07:36:47
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