森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.04.08
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
昨日の続きです。

手足の機能の衰えを補うために、周囲から優しい援助の手が伸べられる。
それは、元気な時にはなかったものである。
病気にならなければ、知り合うこともなかったであろう医師、看護婦さん、保健婦さん、ヘルパーさんの優しい温もりと手厚い介護は、失ったものを補って余りあるものに思われる。
私が長年味わってきた孤独とは対照的な世界に身を置くことになった。
優しさは大きな癒しの力を持っている。
私の苦しみをいっしょにわけもとうと手を差し伸べてくれる人がいるということは、人間のもっとも大きな喜びではなかろうか。
そのような温かい気持ちにまもられて、たいせつに思われている毎日は、たとえ肉体的に苦しくとも心は満たされている。心は癒され、安らいでいる。
(癒されて生きる 女性生命科学者の心の旅路 柳澤桂子 岩波書店 21ページ)

発病後14年くらいたったころに、私は神秘体験をしている。
今振り返ってみると、この体験は私の生涯のなかで、重要な意味を持っていたように思える。
いよいよ休職期間も切れ、私が大切にしていた研究職を解雇されるという知らせを受けた晩にそれは起こった。
寝たきりの生活を余儀なくされ、仕事とのかかわりを完全に断たれたことで、それまで持っていた執着から自由に解き放された。
神秘体験によって、私の足は地にしっかりついたように思われる。
この時以来私の心は揺らぐことはなかった。

私の得たものを成長させて、世の中に返す義務があると思いました。
一睡もしませんでしたが、前の晩のみじめな私はもうそこにはいませんでした。
私の脳のなかでは、既存の価値観を与える神経回路が崩壊し、新たな回路が形成されたのかもしれない。
新たな神経回路が強い信念を醸し出すことによって私を支えてくれているのかもしれない。
他人の思惑を気にすることなく、自分が自分であることを思い切り楽しめるようになった。
サケは太平洋で数年過ごしたのち、再び生まれ故郷の川に戻ってくる。
目的がはっきりと見えなくても、それに向かって突き進んでいく本能のようなものがサケの体のなかに宿っているのではなかろうか。

それを体験したものとして、後世の人に伝えたいことが泉のように湧き出てきたのである。

(同書 28ページ参照)

神経症を経験した人がある程度解放されたとき、このような心境になれば生きる目的が持てるように思います。
私は対人恐怖症で辛くて不器用で苦しい人生を送ってきました。
今考えるとその苦しみは無駄ではありませんでした。
失敗やミス、後悔や懺悔の蓄積は全て貴重な財産になっていたことがよく分かります。人生の途中でどんなに辛い落ち込みを経験したかは問題ではないと思います。
その後、それらをきちんと受け入れて、逆転人生に変化したかどうかが問われているのだと思います。大きな落ち込みを乗り越えた方は人を感動させます。
その切り替えに成功した人は、人生の勝者だと思います。
私はその財産を活用して、私と同様な苦しみでのたうち回っている人に、ブログを通じて一人でも多くの力になりたいという目標を持つことができたのです。
人生の目標が明確になると迷いがなくなり、生きることが味わい深くなります。





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Last updated  2023.04.08 14:14:33
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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