森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2024.01.04
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玉野井幹雄さんのお話です。

基本的に私どもは、異常でないものを異常と思い込んで、それを取り除こうとしているわけですから、治るはずはないし、治ってはいけないのです。
したがって、最後は「治らない」ということをはっきり自覚しなければ、どうしても治まりがつかないのであります。
私どもは、治るかもしれないという思いが少しでもあるうちは、その事実に対して真剣になることができません。どこかに甘えが残ります。
(いかにして神経症を克服するか 玉野井幹雄 自費出版 78ページ)

自分に関して良いと思うことが全くなくなっても、たとえどんなに自分が惨めな状態になっとしても、生きている限り「最悪の道」だけは必ず残っています。
もうどうしていいか分からない、私は完全にゆきづまってしまったという人でも、そのゆきづまったままに生きる道がまだ残っているのです。
その「最悪の道」を進む覚悟ができてくれば、あわてる必要がなくなります。
(同書 88ページ)

玉野井さんによれば、神経症を抱えていようが、どうすることもできない葛藤や苦悩を抱えていようがそのままの状態で生きていく道が残されていると言われています。そのようなことができるのかと思われている人が多いと思います。

私は集談会で65歳以上まで生き延びた人は、100点満点の人生だったと聞いたことがあります。65歳まで生きていると様々なことが起きます。
多くのミスや失敗を積み重ねてきました。
辛くて人生に終止符を打ちたいと思ったこともあります。
気分本位になり、後悔だらけの人生を歩んできました。
他人からは非難や否定され続けてきました。

それでも途中でリタイヤしなかったのです。
とにかく必死に生き続けてきた。あきらめなかったから今がある。
人間はできる限り延命を図ることが最大のミッションだと言われます。
途中どんなに苦しくて逃げ回ったとしても、何とかかわして長らく生きてきたということは自分が考えている以上にすごいことなのです。

そう思える人は、自分で自分を褒めてあげてもいいと思います。
苦しい人生だったにもかかわらず、途中で投げ出さないで、よくぞここまで生き抜いてきたね。あんたはえらい。

さらに人生の第4コーナーを回って心穏やかな日々を生きている人は幸せな人です。これ以上幸せなことはありません。
神様がいるとしたら、与えられた命を守り抜いてきたという点を大きく評価されるのではないかと思っています。
もし次に生まれ変われるチャンスがあるとすれば期待が持てると思います。

その日を迎えるためには、森田理論学習と集談会の仲間たちの支えが必要です。
森田理論では不安の裏には欲望があるといいます。
欲望の方に目を向けていきましょうと教えられました。
また観念で事実を否定して格闘する生き方の間違いを学びました。
雲の上にいる自分が、現実の自分にそっと寄り添うことが肝心であると教わりました。事実本位を目指す方法は人によってさまざまあることが分かりました。
人間関係は付きず離れずの距離感が大事だと教えられました。
これらを森田理論学習で教えてもらったことはありがたいことでした。
横道にそれても、すぐに元に引き返することができたのですから。

集談会の仲間たちの付き合いは神経症を解消するのに役立ちました。
自分は決して孤立していない。同じ目標を共有する仲間がいる。
心の安心・安全基地を確保できたことは大変心強いことでした。
なんとか人生の有終の美を飾ることができるという確信を持つに至りました。





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Last updated  2024.01.04 06:31:55
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