ゲミュートリッヒな暮らし~Seit 2005
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前回、「オリンピック」の記事を書いたところ、読者の方から反響があった。泣きそうになった、との言葉までいただく。実は、賛成めいた記事を書くのは勇気が要る時分のことである。メディアによる手のひら返しが起きる直前のことだったので。久しぶりに、亡き祖母から譲り受けた切手帳を眺める。もちろんオリンピックの記念切手もあるんだが、よく見ると切手ではないシートがあった。オリンピック募金シールと云うやつ。どうも、オリンピックの資金集めの為に募金を募っていたらしいのだ。当時、祖父母の家計は決して豊かでは無いはずだったが、こうして国家事業に協力を惜しまない、と云うところが祖父母の世代の生き様なのだろう。戦争に行って、家も焼かれて、散々な目にも遭って、である。我々の親世代は、あの世代に何かと反抗したものだが、逆に自分から見た祖父母の生き様は、ある意味新鮮な輝きを放って見えてしまう。大河ドラマ「いだてん」を一年間見させていただき、1964年の東京オリンピックが如何なる経緯で開催されたのか、いろいろ勉強させていただいた。歴史的経過を辿ると、祖父母が募金までした気持ちが分かるような気もしてくる。今の我々よりも「大きな物語」を敏感に感じとれる時代だったんだろう。札幌冬季五輪のシート拙者は、募金などと云う大それたことの一つも出来なかったが、その代わり携帯電話を三台分、当時住んでた土地の役場の回収箱に入れた。メダルの材料となる貴金属は、携帯電話等からリサイクルされた材料で作る、初めての試みがなされている。大橋悠依選手の金メダルも、拙者が寄贈した携帯の零コンマ何パーセントが使われているのかな?と勝手に妄想して幸せな気分になっちゃってたが。こんなの使ってましたねぇ切手帳を引き継いだのだから、やはり記念切手ぐらい買っておこうと逓信省のホームページを見たら凄いことになっている。メダリストの切手シートが続々と発売されていて、メダリストが増えに増えたもんだから、まことに賑やかである。切手はビジュアルが命だから、やっぱり大橋悠依選手に目が行ってしまうけど、お写真がいま一つで、なんかこう、活かし切れてない(笑)。結局、買ったのは各競技がアーティスティックに描かれた記念シート。オリンピックだけ買うのも申し訳ないから、パラリンピックも買ってしまった!買ったはいいが、サイズが大きくて切手帳に収まらなかった。仕方ないからJR九州のクリアホルダーにて阪堺電車百周年切手と共に暫く保存。特急「指宿のたまてばこ」のフォルダに収納ありがとう!チャイコフスキーを流してくれて今回のオリンピックは、ロシアはドーピング問題で国としての参加が認められていない。だから、個人資格の選手が金メダルを取っても流れる曲はチャイコフスキーピアノ協奏曲の冒頭部分。「奴らにはクラシック音楽を聴かせておけばいい」などと、ロシア外務省の高官が悪態をついた。オリンピック反対派も、商業主義より旧共産圏の国家ぐるみのドーピングを批判すべきと思うのだが、なんでかこの方面への言及が出て来ないのが不思議。実を言うと、拙者はチャイコフスキーが好きでたまらない。ロシア国歌なんかより、こっちの方が断然有難い。久々に、チャイコフスキー交響曲第四番のCDを聴きまくった。親から買ってもらって30年以上聴いてるCDだ。自分の持ち物も、次第に年季が入るようになった。余談だが、拙者の小説の次回作に、こんな台詞がある。「やっぱり此処(北海道)はロシアに近いんだなぁ。国家としてはクソなのに、芸術は何だってこう惹かれるんだろう。困っちゃうなぁ」マラソンコースとなった道庁本館前女子マラソンは、嫁さんが早起きして中継を見ている。札幌市内の景色が映る訳で、拙者も札幌在住時代が少し思い出されたので一緒に中継を見た。札幌在住時代なんて、もう10年近い昔の出来事だ。鹿児島出身の一山選手が入賞を果たし、ホッとする。男子マラソンも中継を見た。見てて退屈しなかったのが不思議だ。大迫選手が粘りに粘って途中から二人を追い抜いたので大騒ぎした。ゴール地点で、2位の選手が後ろの選手に「俺について来い!」と鼓舞するシーンも印象に残った。国籍の違う選手になんで?と思ったら、二人ともソマリア出身の難民だったそうだ。一瞬のドラマだったが、是だけでも「世界」を感じとることが出来る。感無量~タカラジェンヌが堂々の国家斉唱もはや何も言うことはない。閉会式にジェンヌ様達が堂々の国家斉唱を披露したのだ。小林一三先生が見たら泣いて喜ぶ光景だ。拙者も阪急阪神ホールディングスの一株主として、我慢して投資した甲斐があったと感無量。しかも、池田泉州銀行イメージガールの有紗瞳様も参加されていた。本当に良かった!抑制の効いた袴姿は、祝賀ムードと云う訳にもいかない式典を厳粛に引き締めていた。本当は、モン・パリとかベルバラとか、フランスを意識した出し物の一つでもやって欲しかったけど。先ほど、「祝賀ムードと云うわけにもいかない」と書いたが、引継ぎ先のパリ市内は完全な祝賀ムード。同じ時代である事が信じられなかった。此の違いは何なのか?少なくとも彼らは「大きな物語」を確実に感じ取っている雰囲気である。では何故我々は「小さな物語」に引き籠るばかりなのか・・・心の中のモヤモヤを抱えたまま、あゝ明日から再び、終わりの無い閉塞感に呻く日々が始まる。自作バナーであります
2021.08.09