[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2021.07.07
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カテゴリ: 宝塚
ここ数日、岡田斗司夫と山田五郎のYouTube動画に気を取られて後回しになっていたが、ようやく宙組感想の続き。

桜木みなと演じるワトスンは、変わり者のホームズとは対照的に良心的かつ常識的な人物。
天才ホームズの前ではどうしても「普通の人」に見えてしまうワトスンだが、良い意味での普通っぽさをずんは上手く体現している。
それでいて、真風涼帆と並んでも見劣りする事はなく、ホームズの良き理解者としてしっかりと相棒役を務めている。

公式サイトのインタビューで演出の生田大和が語っているように、本作品ではずんが真風と対等に存在する事が、ホームズとワトスンの関係性を成功させるための鍵になる。
「ホームズとの掛け合いも含めて、このためにキャリアを積んで来たのだというぐらいの意気込みで演じて欲しいですね」という生田の期待に充分に応える芝居を、ずんは見せているのではないかと思う。
スーツの着こなしもこれまで以上に様になり、彼女の確かな成長を感じさせた。

レストレード警部役の和希そらも、バウ公演の主演を経験して一回り成長したのか、随分と貫禄のある芝居になって来た。
【アナスタシア】での女性役、今回の中年男性役と、着実に役の幅を広げている。
どこかゲーム感覚のホームズに対して「こっちは仕事なんだよ!」と言いたげな中間管理職の心情が、しっかり伝わって来た。


凛城きらが演じるシャーロックの兄・マイクロフトは、もう少し年上の壮年といった感じか。
弟より優秀な頭脳の持ち主ながら出歩くのが嫌いなため、探偵ではなく政府の役人という職に就いている。
(原作では、人付き合いが嫌いな者ばかりが集まった会員制クラブまで創設している)
何でもお見通しな性格のため、どこか浮世離れした雰囲気のマイクロフトを凛城は上手く表現していた。
専科への異動が決まっているが、彼女ならその期待に応えてくれるだろう。

ホームズ達が下宿するベイカー街221Bの女主人・ハドスンを演じるのは、退団が発表された遥羽らら。
彼女は舞台や写真集でずんと組む機会が多かったので、これからもそうだと思っていただけに、退団は残念だ。
英ドラマ【シャーロック・ホームズの冒険】では老婆だが、宝塚版ではアニメ【憂国のモリアーティ】に寄せて若い女性でホッとした(笑)。
探偵としては優秀だが人間的には問題ありのホームズに手を焼くハドスンを、可愛らしく演じている。

可愛いと言えば、ワトスンの婚約者メアリー役を演じる天彩峰里も、限られた場面で存在感を見せていた。
器用だし、着実にキャリアを伸ばし今後の更なる活躍が期待される。

モリアーティの部下・ポーロック役の瑠風輝は、脇役かと思いきや「実は…」という結果的に美味しい役柄だった。
せっかくだし、もっと見せ場があっても良かった気がする。

ありがとう!!
レヴュー【Délicieux(デリシュー)!】の感想は、次回の観劇日(13日)に改めて。




と、今回はこれで終わらず【 宝塚OGサポーターズクラブ 】の話題に触れておきたい。
ネット記事を読むまで全く知らなかったが、卒業したタカラジェンヌ達のセカンドキャリアを後押ししようと、コロナ禍の昨年6月にOGの瞳ゆゆが結成したものらしい。

彼女がこのクラブを立ち上げた理由は、退団後の我が子の人生を心配する保護者の声に応えるためだったという。
確かに、宝塚を卒業した後も舞台や芸能界で活躍できるOGは一握りしかいない。
また、宝塚への入り口(受験)をサポートする場所は幾つもあるが、宝塚からの出口(退団)と同時に発生するセカンドキャリアについて、相談できる場所、教えてくれる環境は今まで無かった。
「宝塚受験だけでなく、在団中、退団後のサポート体制が整い、様々な方面で活躍するOGが増えれば、ご家族も、より安心して宝塚の道へ送り出すことができ、宝塚歌劇団の繁栄にも貢献できるのではないかと考えます」と瞳は語っている。

実は、昨年公式に設立された新会社『タカラヅカ・ライブ・ネクスト』もこうした現状を踏まえたものなのではないか、と僕は思う。
別のインタビューで、OGの月映樹茉が語る「自分が苦労した事を先にしっかり伝えられれば、後輩達が同じ苦労をしなくて済みますから」という言葉と同様に、小川友次(もしかすると轟悠も…?)は次の世代を見据えて新たな挑戦に踏み切ったのではないか。

そして、瞳ゆゆのインタビュー記事はこう締め括られていた。

宝塚音楽学校の校訓「清く、正しく、美しく」をもとに、厳しい稽古や規律の中で磨かれた彼女たちが、舞台を離れても輝き続けられる場を提供したい。
そう考える瞳さんの「母校愛」を形にできれば、チケットがなかなかとれない宝塚の魅力は、舞台の枠を超えて今以上に広く社会に認められるはずだ。

記者によるこの言葉は、裏を返せば「タカラジェンヌ達が現役時代に必死の思いで積み重ねて来た努力やキャリアが、一般社会ではまだまだ認知・評価されていない」という事である。
先日紹介した美弥るりかの「退団したら、女優という表現方法しかないのかな?」という発言も、僕には選択肢の限られたOGの現実に対する彼女なりの挑戦のように聞こえた。
(だからこそ、七海ひろきの存在が美弥にはとても心強く感じられたのだろう)

今公演で初舞台を踏む107期生達、更にこれからタカラジェンヌを目指す少女達が将来の不安を抱えながら活動しなくても済むように、ファンとしても何かできる事はないのだろうか…、と考えさせられる記事だった。



【FRIDAYデジタル】の記事はこちら↓
(せっかくなので、本日掲載されたばかりの天真みちるの記事も…笑)

瞳ゆゆ『 宝塚歌劇団OGが明かす「私たちの第二の人生の歩き方」

月映樹茉『 元タカラジェンヌが漁師に嫁いで目覚めた「私の新しい生き方」

天真みちる『 宝塚で「おじさん役」を究めた天真みちるの第2の人生





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Last updated  2021.07.08 22:51:31


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