[Stockholm syndrome]...be no-w-here

2023.12.04
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さっそく、及川幸久の【X NEWS】からの話題。
少し調べてみたら、X(Twitter)の動画も楽天ブログに貼り付ける事ができた。




今回、ロシア・レポートの中で及川が「(来年、トランプが大統領に再選される事を前提に)日本はプーチンとの対話を再開し、連携して中国を牽制すべきだ」と指摘しているのを聞いて、以前に読んだエマニュエル・トッドの著書【問題は英国ではない、EUなのだ】を思い出した。
2016年11月に投稿したブログ記事『 少しだけ、不安を拭えたかも…? 』を読み返してみると、トッドの発言と共に【週刊現代】に掲載された佐藤優(元外交官)と山内昌之(東京大学名誉教授)の対談記事にも触れていた。
抜粋してみる。


ーーーーーーー
「トランプの登場によって、日露関係、米露関係は変化するでしょう」「何よりトランプは、プーチン大統領に好感を抱いています」と山内が語れば、トッドも「ドイツ中心で動くヨーロッパに嫌気が差したアメリカが、ロシアと融和していくというシナリオも考えられる」と述べている。
「しかし、(トランプ大統領の当選を予見できなかった)日本の知米派やメディアは、依然として、日米安全保障条約から全てを説く古典的な世界観に立っている」と、山内は指摘する。

また、佐藤は「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を「それぞれの国が自分の領分でやっていこうという発想」と解説しているが、同じ意見をトッドの著書の中に見る事ができる。
彼は「ロシアは、中級のパワー、安定的で保守的なパワーとして再台頭しているのであって、(かつてのソ連のような)強大な帝国になろうという意志は持っていない」と述べている。
(「ロシア脅威論は、西側諸国の幻想に過ぎない」とも…)
つまり、佐藤が指摘するように「米国は米国で、他国は他国で独自の文化圏を作っていく(=棲み分ける)という考え方が世界の主流になるだろう」という事だ。

このように、トランプの大統領就任に伴い、米露関係は確実に変わるはずだ。
それは同時に、日露関係も変わる、いや「変えなければならない」という事を意味する。
トッドは著書の中で「日本のパートナーに相応しいのはアメリカとロシアです」と、はっきり断言している。
何故なら、「中国との地政学上の関係を視野に入れれば、ロシアと友好関係を築く事は、日本の外交上、最優先事項だと言っても良い」からだ。

仮に、日・米・露がそれぞれに友好な関係を築く事ができれば、そのパートナーシップが強力な「中国包囲網」になる事は言うまでもない。
つまり、トランプの大統領就任は、日本にとって充分チャンスにもなり得るという事だ。

ただし、そのためには、とにかく日本政府が先見的な視野を持ち、世界に通用する「外交力」「交渉力」を身に付ける事が必須になる。
それを示唆するように、佐藤も対談をこう締め括っている。

「こうした中で、日本もこれまでのままの外交姿勢をとってはいられない。
新たなルールに見合うだけのインテリジェンスを身に付ける必要があります。」
ーーーーーーー


如何だろう。
正に、今の国際情勢を予見した内容ではないだろうか。
彼らの指摘が正しかった事は、ウクライナ戦争の真相やグローバルサウスの台頭、そして世界的な反グローバリズム運動がはっきりと示している。
佐藤の言う「新たなルール」が、この時から始まっていたのである。

翻って、今の日本はどうか。
トッドの助言を実行していれば、日露(韓)で連携して中(北)を牽制する事ができた。
更に、トランプが米大統領だった時であればプーチンとの関係も良好で、強力な中国包囲網を形成する事も可能だった。

しかし、トランプ政権からウクライナ戦争にかけて日本が取った選択は、中露の結束を強めただけでなく、ロシアが北朝鮮を味方に引き入れる結果まで招いてしまった。
こうした判断ミスをしながら、「台湾有事」だの「防衛費倍増」だの騒がれても、僕に言わせればただの悪因悪果だ。
今回、及川が7年前のトッドと同じ主張をしているのは、「対米従属」以外に何の国家戦略も持たない日本が、実に7年もの時間を無駄にして来たという事実に他ならない。
正に「コスパ」も「タイパ」も最悪な国家である。

そして、奇妙な星の巡り合わせと言おうか、来年はアメリカ大統領選挙が行われる。
トランプは再び大統領に返り咲くだろうか。
世界にとっても日本にとっても、大きな時代の転換点になる事は間違いない。
日本はどう生き残るか…。



せっかくなので、北方領土問題についても触れておこう。

講談社現代新書『日本の歪み』の中で東浩紀が「ロシアが北方領土を返さないのも、要は米軍基地が北方領土に作られる可能性があるからです」と発言していたが、同じ講談社現代新書『 知ってはいけない 隠された日本支配の構造 』(矢部宏治・著)にも、同様の内容が書かれている。
抜粋すると、外務省が制作した高級官僚向けの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月)には、以下の見解が明確に記されているらしい。

○ アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求する事ができる。
○ 日本は合理的な理由無しにその要求を拒否する事はできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

「どんな場所でも」とは、当然ながら北方領土も含まれている。
それ故、この極秘マニュアルには日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉に関して、次のような大原則が存在するという。

○だから北方領土の交渉をする時も、返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。

こんな条件をロシアが受け入れる筈がないのは、誰の目にも明らかだろう。
現在の日米の軍事的関係を根本的に変えない限り、ロシアとの領土問題は永遠に解決しない。
つまり、北方領土問題とは「日露関係」ではなく「日米関係」の問題なのだ。

では、日本政府や官僚達は、本気で北方領土を取り返すために、米国政府と対等な話し合いができるだろうか。
その勇気と覚悟とインテリジェンスがあるだろうか。
メディアはどうか。
国民はどうか。
それが問われる時代が来ている。

北方領土に関する矢部宏治の記事 →『 なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」



中東諸国に対する対応も、米国の利害とは別に考えて行かなければいけない。




こちらの動画では、日本の内閣官房がYouTubeと共同で新型コロナに関する情報を検閲していた事が紹介されている。
この傾向が強まれば、やがて日本もロシアや中国と変わらない検閲国家になるだろう。





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Last updated  2023.12.05 16:24:21


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