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違和感「関東一ラーメン」まであと数歩のところで立ち止まる。通いなれた銭湯が商店街の切れ目の向こうに見える。冷やしチャーシュー麺を食べたあとで、今日は早めに行こうかと考える・・・そのあと、もし居たら奈美を誘って生ビールでも!知り合って1年になる奈美とは、ひと月前から「いい仲」となりなんとなく長い付き合いになりそうな気がしている。つい、先週の夜のことを思い出し、ニヤついた顔を戻せないままのれんをくぐり、入り口の扉を右横に滑らせた。いた!・・・最近銭湯で良く見かける、背中に我慢を背負ったやつだ。いつも目が合う度に「俺の目を見返せるなら、やってみな」とばかり眉間にシワを寄せて俺から視線を外そうとしない・・・勇一は寸止めなしの実戦空手の黒帯である。中学時代イジメ受けて嫌でたまらず暴力に屈したくないとの想いから始めた。ただ暴力に屈して鬱になったままが嫌だった。(有段者になってから弱いものいじめなど当然一度もしたことがない)勇一は、全日本大会で4位まで勝ち上がった師範代の教えを忘れていない。「空手に先手なし、先制は相手がボクシング経験者や喧嘩慣れした奴の場合、かわされる。悪くすればカウンターを食らうはめになる」と教わった。勇一は尊敬する師範代の言葉を信じた。なぜなら、一度4回戦ボーイを相手に試してみたのだ。あっけなくKO負けしたから以来、キレても相手の攻撃をかわす。自然に相手に肉迫できるから!顔面に近づければ「裏拳」を相手の鼻っ柱に、それが無理な姿勢だと足の甲を踵で潰す、で、怯んだところ(殆ど攻撃が止まる)で一歩下がり、蹴りを入れる。ほぼ、それでKO!ただし、絶対に敵わない相手だと感じ取れたときには、ダッシュで逃げることにしている。だから今も生きていられるのだ。これは、生来の感だろうと思う。勇一が生まれ育ったのは漁師町だったが、「町史」によると江戸の頃、瀬戸内海を荒らしまわっていた海賊たちがいたが、幕府の命令を受けた謀藩の水軍に惨敗したあと徳川幕府の解散命令を受け、漁師を生業として定住するようになったらしい実際、あの街は荒っぽかった。まつりで酒がまわると喧嘩。煙草の火を貸せ、貸さないでまた喧嘩。日常茶飯事でも、会話がこじれて喧嘩。そんな環境で育てば、嫌でも危機感が身につくというものだ。そんな勇一の身の上に、不思議なことが起きようとしている(嫌な野郎に出会った・・・とはいえ俺はこの店の客だいくらあいつが裏社会の関係者であろうと商店街の商売の邪魔をする筈もない)俺は奴に気づかないふりをしてカウンターにすわり、注文をした。「冷やしチャーシュー麺、ください」奴が立ち上がるのを勇一は横目で確認した。奴がこっちに来る!俺はとっさに身構えた!だが、驚いたことに奴は立ち止まると、直立不動の姿勢をとり、もっと驚いたことに深ぶかと頭を下げたのだ。え!勇一の目は大きく開かれていたことだろう。奴の顔ときたら、普段のあのふてぶてしさは微塵もなく意を決した目になり、こう言ったのだ。「今まで、存知あげなかったとはいえ、あのような態度をとり、申し訳ありませんでした!)ええー!なにがどうしたって! ポチっと応援をお願いします、元気の元です♪
2015.04.23
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パラレルワールド 4 俺は白昼夢の中にいたのか?否、あれは18の頃に遭遇した不可思議だが、俺の「大脳皮質」に保存されているはず・・・そうに違いないのだ。 それはまるで・・・S・F映画の 1シーンのような現象だった。科学的な説明など、俺にはとうてい無理だけれど、何度思い出しても、細部までブレることのない画像が脳裏に蘇るのだ。 街も人も、すべてが乳白色の霧に覆われたようになるのだが奴の顔ははっきりと見えた。俺の歩く道の前方約40mの辺りに、見た目は同じに見えるが、まったく別の道が現れ、元の道に割り込む。元の道は一瞬で削除され、現れた新たな道が、上書きされた。(俺には、そんなふうに感じられたのだ)その『現れたばかりの見慣れた道』に突然もう一人の俺が現れ、俺を見つけて歩きだす。やがて奴と俺はすれ違う。それから奴は、ほとんど意味不明な台詞を残して消えて行った・・・ 親友と共に体験した、奇妙な出来事だったが、4年を経過した今でも時折、ふっと蘇えるたびに、「消えてしまえ!」と指を頭髪の中に差し入れて髪をクシャクシャにしてしまう。 それにしても・・・なんで公園で、ブランコになんか、それも・・・腕時計を見る・・・13:25分、こんな時間にひとりで何やってるんだよ、俺・・・ 日曜日だった。「そっか昨日新宿で映画観たあと、ライブハウスで気心知れた常連たち(ミュージシャンの卵がほとんど)とアメリカンハードロックと音楽談義をさかなに美味い酒を飲み・・・始発で朝帰り・・・」で、起きてみると、帰ってきた時のTシャツとジーンズのまま・・それから?何の目的もなく公園まで来ていたのか?そんなはずは無いだろう・・・俺は、俺自身に説明を求めた。(飲み過ぎたかな・・・) すると、俺の正直な腹が「早く何か食わせろ!」とばかり、グーッと鳴った。答えは出たな・・・ 公園の出入り口に立つと、右手はす向かいに「蕎麦屋」があり、左方向に100メートルも歩けば、薄口醤油を鶏がら、昆布、野菜を煮込んだだし汁でのばした、東京にしては、珍しい西日本風のラーメンを食べさせてくれる店がある。どっちにしようか?空を見上げると・・・夏の日差しだ!「冷やしチャーシュー麺」・・・大盛りだな。 ポチっと元気をください
2015.04.16
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パラレルワールド 3 >この状景に驚くことは無くなったということは、奴はこんな場面に何度か遭遇した経験があるってことだ・・・ 「教えてくれ・・・」って頼む? まるで俺な奴にか?他の誰にだって簡単に説明できやしない、この事態だ説明を求めたとして恥じることでもない。だが、その気にはなれない。鏡の中の俺にまじめな顔して教えを乞うような・・・ 「教えてもらったらどうだ?」やはりアキラは背中を押してきた。俺はアキラの顔を見ないまま返事した。「鏡の中の自分にか? 心療内科行きだろ、それじゃあ」アキラは「やっぱりな」と言いたげな息を吐き俯いた。 「俺に訊くのが嫌なら・・・」唐突に奴の方から話しを切り出した。「そのうち、お前もまた今日みたいなことに遭遇するかも知れない。そん時までに知りたいことをメモっとけばいい。じゃあな」言うと奴はいやな笑みを浮かべて背中を向けた。 「おい、ま、待てよ!」少しだけ悔いを含んだ声をあげてみたが奴は、大昔のあのブラウン管の砂嵐のように消えていった。俺は、目まいを感じ、身体のバランスを失った。 落ちていく感覚に襲われた俺は、目を開き咄嗟に目の前にある何か(2本?)に摑まった!それはブランコの鎖だった・・・さらに大きく目を見開き周囲を見渡した。(公園?そうだな公園だ・・・どこの公園だ?)ブランコから降りて、公園の外に出た。(ここは!)間違いないとは思ったが、入り口のポールの横に石柱があり「渋谷区立児童公園」とある。やはり夢だったか?あれがたった今九州で起きたことなら今、笹塚にいるわけない・・・ 皆様のお陰で上位にランクしています♪これからも 応援のポチ、よろしくお願いします。
2015.04.06
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パラレルワールド 2 俺はわざと奴の耳に届くように言った。「あいつ、どこから来たんだろうな」すぐ隣にいるあきらに疑問を投げかける体をよそおって奴の脚を止めてみようと試みたのだ。実際、俺の狙いは当たった。奴は立ち止まると俺たちに半身を向けたのだが、続いて驚くべき言葉を吐いた。「・・・初めてなのか」「何がだ・・・?」奴は両手を広げ、首を左右に振って言った。「今、この時、他の連中に俺たちはどんなふうに見えてると思う・・・」 奴に言われて初めて気付いた!俺たちのまわりは、動画の世界だった。早送りだったり、コマ送りだったり、人の姿と見極め難い砂煙のようだったり・・・「何なんだ、これは・・・」すると奴は満足気に笑みを浮かべた「この街にくるのは、初めてだが・・・」奴は、一歩近づいて俺の目を覗きながら続けた。「この状景に驚くことは無くなった」こんな異常事態の原因を知ってるみたいな奴の口ぶりにむかついたが、正直言って俺は知りたい事が無限に広がったように感じた。 気が向いたら、いや、どうぞポチして下さいまし。
2015.04.04
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2、パラレルワールド気付いたら、俺の心臓の鼓動しか聞こえなくなっていた。このまま、奴とすれ違ってしまって平気なのか?何故、そんなふうに考えた? 自問自答してる意味がわかんねぇ・・・!何かの本で読んだっけか?パラレルワールド・・・同一時間帯(自分の中では)に別の世界が並列して存在する・・・たしか、そんなだったぞ!・・・そして稀に並列世界が交差する!!(それがどうしたって言うんだ!)俺は結局ビビッてるのか・・・ああでもない、こうでもないと考えているうちにやはり、何も考えて居られない時が来た。奴と俺の肩が並んだのだ!何か特別な状況の変化を覚悟した・・・の・・・だがなにも起こらず二人は交差し、離れてゆく・・・振り向いたら、もうそこには誰も居ないんじゃ・・・気配を感じて横を向くとあきらが俺の目を見ていた。俺は言った。「あきら、お前、俺と同じこと考えてるな」あきらは左の口角を吊り上げて声もなく笑ったが、目は笑ってなかった。俺は足を止めた。「やめとけ、その方がいいような気がする」あきらは、直感でものを言う奴ではない。それだけに、一瞬俺は奴の言葉に従おうとしたが、やめた。つまり、それは、俺が直感でものごとを判断するそういうタイプの人間だってことだ。「勇・・」(勇一 を 『ゆう』と短縮して呼ぶことを認めてるのはあきらだけだ)「よせ、振り返らない方がいいかもしれん。こんな訳のわからん・・・」あきらの言葉をさえぎって俺は言った。「なにがあってもお前のせいにしたことなんか無い」俺は振り返った・・・奴は今ゆっくり歩いている・・・ 良かったらポチください。
2015.03.29
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新連載です。久しぶりに書いてみようなどといった気分に襲われました。今度の小説は一応ジャンルでは、「学園青春小説」ということで始めますが、社会人になっても青春をひきずっている「田村 勇一」と「木島 あきら」の二人を中心に展開する物語となっています。これからどうぞよろしく! ある夏の日に 1 あれ何だ 「あれは何だった?」誰も信じちゃくれないだろうな・・・自室のベッドの上で身体を伸ばし、天井に貼り付けた化粧品のキャンギャルのポスターをいつになく醒めた目で観ながら頭の中でつぶやいた。ほんの30分ほど前に遭遇した、今でも自分の目を疑うあの出来事のせいだ・・・通いなれた通学路を昭(あきら)とシカゴの「長い夜」について「ホーンはあったほうが良いに決まってる派」の俺と「ホーンは要らない派」のあきらとで「お前わかってねえな!」「わかってないのはそっちの方だ!」と持論を至近距離でキャッチボールしながら歩いてた。あきらとは幼稚園からの付き合いで、高2の今までけんかのひとつも無しでつるんでる。他にもダチはいるが、そいつらとは例外なく殴りあいの喧嘩のはてに気を許しあっている。あきらは殴れない。なぜだかは未だに不明だ。けど、お袋は高1の時あきらのフトンセットを用意してくれた。だから奴は自分ちの居心地が悪いときは、俺んちに泊まっていく。我が家から見れば片側一車線の道を隔てた向かいに奴の家があるのにだ。ふいに奴が俺の手を引いた。「なんだよ、おかまか!手でも組もうってのか?」それでも奴は「前から来る奴見てみろ・・・」あきらの奴、急に顔色悪くなって で、顎でそいつらを示した。俺もきっと、今、顔の色が何時もになく白く、目を大きく見開いていて、とても後輩たちには見せられない情けない顔をしてるに違いないそう思わせるに充分すぎるほど、前からこっちへ歩いてくる二人連れの野郎の片方が・・・俺に酷似・・・いやあいつも俺なのかもしれない・・・ 応援ポチをお願いします。励みになりますので♪
2015.03.19
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