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「rules」――西荻窪、北口。骨董品や個性的な雑貨を扱う店の多い道を抜け、善福寺方面に向かってしばらく歩いた半住宅街にその店はあった。ブリティッシュテイストのデスクに、さりげなくアクセサリーやポーチを並べた、貴族的な日常を感じさせるディスプレイに惹かれて入ってみる。すると、そこにはファブリックとレザーを上品に組み合わせた、ハンドメイドのバッグの数々。デザインは一見クラシカルだが、斬新さもさりげなく取り入れている。手作りのぬくもりを残しつつ、細部まで丁寧につくりこんだ職人技の光る逸品が並んでいる。壁に掛けられた、リズミカルな柄物のバッグ。花と鳥のハーモニーが楽しい。見ているだけで気持ちが明るくなる。ゴブラン織りの横長の小ぶりのバッグに目が留まる。裏地もしゃれていて、レザーのハンドル部分にはスエード調の人工皮革の裏張りがしてある。柄はフランスの古風な貴婦人のイメージだが、紫の1つボタンで留めたシンプルなデザインは今風だ。Mizumizuはスクエアなカタチのバッグが大好き。同じデザインでファブリックを替えて作れるということで、いろいろ見せていただく。こちらはハウンドトゥース・チェックのツイード。かなりブリティッシュな優等生的なイメージ。フローラル刺繍が上品なフェミニンなバージョンも。布の切り方、つまり花の位置を工夫してあるのが、よく分かる。生地を見せてもらうと、Mizumizuがよく着るブルーの服に合いそうなフローラルパターンを見つけた。花柄のバッグは案外持っていないので、その生地を使って作って、同じデザインで作ってもらうことにした。職人でもあるオーナーと、裏地やボタン、ボタンにかける紐なのど色を打ち合わせる。いったん全部決めたのだが、後日さらに「裏地に使う布は、こちらのほうがベター」という提案を受けた。裏見返しの部分をより厚くて強い生地にして、裏地は無地のシャグリーンカラーで爽やかさを出したいとのこと。Mizumizuが書類に書いた電話番号が間違っていて(汗)、連絡がつかなかったということで、rulesのほうで布地の見本を郵送してくれた(住所は間違って書かなくて、よかった・笑)。ちなみに、裏見返し部分の色は写真では黒に見えるが、実際はネイビー。もちろんご提案どおり。お任せする。こちらが出来上がったMizumizu注文のブルーローズ柄。写真は片面しか映っていないが、両面で柄の取り方が違い、ひっくり返すと、視覚的に楽しい。鏡に映っているので分かると思うが、サイドはネイビーでマチがしっかり取ってあるので、大きさのわりには案外入る。ハンドルはネイビーのレザーで、裏はレッドの人工スエード。持ってみるとしっとりと手になじむ。ボタンは紫で、紐が赤。円いボタンの裏は、四角の小さな半透明の貝ボタン。細部まで手がこんでいる。お出かけ用バッグのバリエーションが広がり、とても嬉しく、満足した。価格も俗に言う「西荻価格」で、特注ハンドメイドのわりに高くない。ついでにシルク製イヤリングもお買い上げ。シルクなのでとても軽い。耳につけてみると、華やいだボリューム感があり、リゾートチックな雰囲気だ。色はいくつかあったが、Mizumizuが選んだのはレモンイエローにライムグリーンのコンビ。ちょうど合う夏用の服があるので、夏に活躍してくれそうだ。さりげなく上質の、心地よいハンドメイド。西荻は全体としては、アジアンチックな、ゆる~い雰囲気の街なのだが、つぶさに歩くと、ふっとこういう旧き良きヨーロッパの伝統を受け継ぐ店にも出会える。懐の深い街だ。
2017.06.09
日常レベルのウマイもの屋が目白押しの西荻窪。個人で小さく経営し、コアなファンが通って支えている・・・そういう店が多い街。だが、喫茶店「ソレイユ」は、ちょっと違うかもしれない。いつ通りかかっても混んでいる。客層もバラバラで、みな食べたり飲んだり新聞や雑誌を読んだり、勝手にくつろいでいる。西荻といえば、「坂本屋」のカツどんとか(残念ながら現在、長期休養中)、「ぷあん」のカオソイとか、客のほとんどが「それ」を頼むといった一品名店が多いが、ソレイユはそういった店ではない。レトロな内装で、飲み物も出すが、カレーやサンドイッチやスパゲッティも食べられる。つまりは、昔よくあった典型的な喫茶店なのだ。とにかくここは、メニューが豊富。日本人ならたいてい好きな軽食類に加え、ケーキもケースにずらりと並んでいる。すべて昔風のジャンボサイズ。コーヒーは水出し。店内のあちこちに螺旋状のガラス管を備えた丸いフラスコが置いてある。カレー星人Mizumizuがここでよく頼むのが、「チーズカレー」。容器といい、チーズのとろけ具合といい、グラタンのよう。下にややオシャレながら、「ふきん」が敷いてあるところなど、実に家庭的。味も家庭的で、近所の料理上手なお母さんが作ってくれた、ひとひねりあるカレーという感じ。下にぎっしりライスが敷いてあり、ボリュームも満点。どちらかというと若者向けの料理かもしれない。糸を引くチーズをカレーソースと一緒に食べるのが幸せ。最後に皿の上のあたりについたチーズをこそげ取って食べるのも幸せ。オーブンで焼かれてコクを増したチーズ君が、量はちょっぴりながら皿にへばりついて、「ボクはここにいるよ。忘れないで食べて。美味しいから」と言っている(←あ~あ、ここのところの暑さで、ついに・・・)。水出しのコーヒーを使ったコーヒーゼリー。ガラスの器の下に重ねて敷いた透けた和紙のセンスがまた、家庭的でかわいい。味だけだったら、山の上ホテルの喫茶店の水出しコーヒーゼリーのほうがだんぜん上だと思うが、あちらはクルマで行かなければいけない。こちらは、自転車ですぐ。その気安さがいい。豪華(笑)アイス付きコーヒーゼリーロワイヤルもある。手書きのこういったメニューにもセンスを感じる。街全体に手作り感溢れる西荻らしい喫茶店。西荻窪は、吉祥寺から一駅なのに、若者のおのぼりさんでゴッタ返すあの街とは空気が全然違っている。ゆるゆるとした時間が流れる、どこか東南アジアちっくな西荻を、Mizumizu+Mizumizu連れ合いは偏愛している。
2010.07.21
カレーの激戦区、西荻。インド風、マレーシア風、欧風(という名の和風?)・・・とあらゆるジャンルのカレーが凌ぎを削っている、カレー星人の聖地(←意味わからん)。人気店はいろいろあれど、気がつくと同じ店に何度も通っている。カレー専門店でMizumizuが一番よく行くのは、ネパールカレーの店「AMA」。インドカレーより甘みが深く、どこか優しい味のするネパールカレー。「AMA」を知って以来、いつの間にかインドカレーの店から足が遠のいた。中でもMizumizuがよく注文するのが、バターチキンカレー(中辛)とチーズンナン。かなり生っぽいラッシーも、インパクトがある。見た目はシンプルだが、実はかなりヘビーな組み合わせ。チーズナンがずっしりと胃に来る。4つ切りのナンが4枚並んでいるのだが、2枚以上食べられたことがない。当然余ったナンはお持ち帰りに。冷えてしまうと・・・まあ食べられないことはないのだが、当然ながらナンが湿気てしまい、風味はかなり落ちる。カレーも全部食べられないことがしばしばで、同じくお持ち帰りにしてもらう。こちらは温め直せば、さほど悪くない。食べきれないなら普通のナンにすればいい・・・と理性(?)ではわかっているのだが、お餅めいた食感のチーズナンは、はまってしまうとなかなか抜け出せない。チーズの風味自体はさほどないのだが、とろけたチーズとふわりとしたナンの食感のハーモニーがなんともいえない。バターチキンカレーのほうは、ほとんど偏愛していると言っていい。以前好きだったのは、吉祥寺・モティのバターチキン。ところがモティが吉祥寺から撤退してからは、なかなかストライクゾーンにばしっと入ってくるバターチキンに巡り合えなかった。AMAのバターチキンは、モティ撤退で空いた玉座に見事に鎮座してくれた。バターの深い香り、トマトの酸味、スパイスの妙・・・ それらを邪魔しない、鶏肉の淡白な風味。こちらはお得感のあるセットメニュー。Mizumizu連れ合いが必ず注文するのは、マトンカレー。Mizumizuはマトンを好まないので、感想はなし。Mizumizu連れ合いは大いに気に入っているよう。 AMA杉並区善福寺1-1-2103-3397-1344
2010.07.15
ある日――西荻から自宅に帰る道すがら、洒落たウィンドウディスプレイの帽子屋を見つけた。高低差をつけた支柱を窓際に何本も並べ、その上に、わざとランダムな方向に向けて帽子をのせている。そこだけが急にパリの街角になったよう。帽子も1つ1つ全部デザインが違い、少量生産独特の雰囲気が漂ってくる。窓越しに店を覗くと、商品を飾っているのはウィンドウと壁回りだけで、店の中央から奥にかけては布やら裁縫道具やらが雑然と並んでいる大きな作業机が占領していた。店舗兼工房ということらしい。なんだかますます魅力的だ。入ってみると、女性が1人。案の定帽子作家で、店内に飾ってある帽子は、基本的に自分でデザインして縫ったオリジナルらしい。わりあいオーソドックスなものが多いが、全体的に非常に質が高い。ふと目に留まったのは、ある黒い帽子。上のほうが膨らんだ扇形で、浅い庇がついている・・・形としては鉄道員の被っているような帽子を、庇を小さくして、柔らかく変形させたよう。額の上のところに片結びになったリボンが付いているのが、また洒落ている。被ってみるととても暖かい。「カシミアに別珍を合わせたものなんですよ」ちょっとレトロな雰囲気もあり、パリ風だなと思ったので、そう言うと、やはり50年代のフランス、郵便配達員が被っていた帽子からヒントを得てデザインしたのだという。その品自体は、試作品なので売れないが、注文すれば作ってくれるという。まさかこんな近所に、オリジナルデザインのオーダーメイドの帽子を作ってくれる工房があるとは知らなかった。さっそく頭のサイズを測り・・・「あら、小さいわ」などと驚かれ(頭は本当に小さいのだ。中身がないから・・・ほっとけ!)、「小さいわねぇ、どうしよう。ピッタリに作りますか、それとも普通にして、少し余裕をもたせましょうか・・・」と作り手が迷っているようなので、「少し大きくてもいいですよ。目深に被れば、耳のほうまで隠れて暖かいだろうし」と、こちらの希望を伝えた。森茉莉は「父の帽子」で、頭のデカい鴎外が、帽子屋で自分に合うサイズがなくて、バツの悪い思い――というより、ほとんど八つ当たり――をしているようすをユーモラスに書いているが、逆の意味で鴎外の気持ちはよくわかる。ニットならまだしも、普通の帽子を被ると、変に大きくてスポンと目のあたりまで来てしまうことがある。急に、大人のものを欲しがっている子供になったような場違いな気分にとらわられる。さて、オーダーしてからしばらくたって電話があり、おおむねできたのでリボンを付ける前に、合わせに来て欲しいと言われた。さっそく行って被ってみると、やはりちょっと大きい。風で飛ばされるようなデザインではないと思うが、もうちょっと小さくしてもいいかな、という感じ。だが、あまりピッタリした帽子は頭皮が痒くなる気がして(←皮膚のトラブルには常に悩んでいるMizumizu)好きでないので、このくらいのが返っていい気もする。結局、しばらくこのまま使ってみて、気になるようならサイズ直しをしてもらうことで話が落ち着いた。「リボンの素材はどうしましょう? 変えますか?」「何かよさそうなの、ありますかね?」「グログランなんか、どうかしら」壁際の戸棚の中から、魔法のように色々な素材のテープが出てくる。Mizumizuも、「こっちはどう?」などと指差して、あれこれテープを当ててみたが、結局サンプルのが一番ということに落ち着いた。そして、また数日待ち、出来上がったと電話が来た。だが、忙しくてすぐ行けなかった。間を置いて出かけてみると、が~ん!平日の昼間なのに、店が開いてない。この店、オープン時間が実に不定期なのだ。だから、長いこと店の存在に気づかなかった。ゆる~い西荻になんともふさわしいゆる~い店。店の机の上もごちゃごちゃのめちゃめちゃで、整理整頓はかなり苦手な人らしい(笑)。でも、売ってる品物はちゃんとしてる。そんなところも、まさに西荻のカラーの店だ。次は事前に電話をして、開いているのを確認してから出かけた。頭の部分のデザインも、この帽子が気に入った理由の1つ。黒のカシミアと別珍を交互に使って、この2つの素材の質感の違いがさりげなく、とても洗練されている。近づいて初めてわかる上質感だ。リボンが付いているのも、量感のアクセントになってバランスがいい。よくみると少しボーイッシュなデザインなのだが、リボンを添えることで、フェミンニンな雰囲気になっている。被ってみると、さすがにカシミアというべきか。破格に暖かい。今のように、酷寒の時期にはこの帽子が手放せない。普通よくある、耳まですっぽり隠れる冬用ニット帽の比ではない。実際に被ると、もっと扇形に上のほうが膨らんで見える。やはりちょっと大きいので、直してもらおうかな・・・と思いつつ、少し風が通るのが逆に暑すぎなくていいのかも・・・などとも思い、今のところそのまま使っている。ちなみにこの店、看板も出ていないのだが、Strawというらしい。帽子を作ってもらってから、名刺をもらって初めて知ったのだった。Straw杉並区西荻南3-22-7tel:03(3332)6292第二、四木曜、日曜定休日14時頃~19時まで開店(だということだが、これもアテにならないので注意)。
2010.01.17
このところ、パリの名店の東京支店のスイーツには失望させられること多々。やはりパリの味はパリでということかもしれない。そこにいくと、いつも賑わっている日本人パティシエの店は、値段も法外でなく、商品もフレッシュで、納得できる。近隣の人気店で、秋になると楽しみにしているスイーツが、「アテスウェイ」のモンブラン。フォークを入れると、中にはモンブランの頂を覆う雪のような真っ白なクリームが。このフォルムを見るとMizumizuは、新薬師寺の伐折羅大将の髪を思い出す。こちらも秋を感じさせる、マロン風味のサントノレ。「アテスウェイ」のサントノーレはマロンクリームがとても柔らかく、これは少し形の崩れた状態。フォルムからいえば、むしろこちらのほうがモンブランのよう。オーナーがブルターニュで修業した縁で、ブルターニュ地方の菓子も充実している。東京女子大の目の前という立地は、駅からは不便なのだが、ロマンチックで少しセンチメンタルな流行歌の歌詞にありそうな世界。「アテスウェイ(願い事がかないますように)」とは、ブルターニュのかもめが飛び交うサンマロの海で、修業時代のオーナーが、くしゃみをするたびに厨房仲間がかけてくれた言葉だという。彼の願いはかない、「東京女子大の前のオシャレなパティスリー」は、今日もお客がひきもきらない。
2009.10.11
時計というのは、お手ごろな価格の日本製クオーツが一番よく働く。しかし、スイス製のデザイン性の高い時計も捨てがたい魅力がある。というワケで、気がつくといろいろ買っていたりするのだが、Mizumizuが所有した時計で一番の困り者がロンジンの超薄型文字盤のクオーツ時計だった。写真一番左がそれ。まん丸いゴールドの文字盤は厚みがわずか4ミリ。時間を示すインデックスはシンプルな細いライン。クロコの濃紺の革バンドとの組み合わせはとてもエレガント。余計なものをそぎ落としたようなデザインが非常に気に入って買ったのだが、「薄いから電池はわりと早く切れます」と言われたとおり、すぐに止まってしまうのが難点だった。そのうえ、使ってるうちにどんどん電池切れの間隔が短くなる。薄型の特殊な時計ゆえか、電池代も高い(高かった)。ロンジンを扱っているショップに持っていったり、デパートの修理コーナーに行ったりしていたのだが、時間もかかり、預けてから別の日にまた出直さなければならない。そのうちに、電池を交換してからしばらくしまっておくと、使う前にもう止まってるというような異常な状態に。デパートの修理コーナーにいた職人さんに話を聞くと、中の部品を新しくすれば、長持ちする新しい電池が使えるようになると言われた。どうもよくわからない話で、内心、それってつまり、ムーブメント自体に最初から不具合があったってことじゃないの?と思ったのだが、こんなに電池切れが早いんじゃやってられない。数万かけて部品を入れ替えてもらった。で、最近はあまり腕時計をして出かけない。そもそも出かける時間もなく仕事に追われまくっている。たまにでかけても、携帯電話に時計がついているので、腕時計はなくてもいい。気がつくと、家中の腕時計が止まっていた!(笑)写真はそのうちのいくつか。左からロンジン、4℃(アクセサリーブランド)、クルマ屋さんからもらったノベルティグッズ、一番右が連れ合い所有のセイコー。これだけバラバラだと、時計を売ってるショップに持っていっても、「これはできますが、これはお預かりになります」などとメンドウくさい。修理を専門にやってくれるプロの店が近くにないかな~と思っていたら…あるじゃないの!家から徒歩10分の西荻窪の街角に。いつできたんだろう? 最近まで気づかなかった。で、写真一番右の時計は、連れ合いのなのだが、ブレスレット部分のパーツを細いピンで留めてつなげているのが、ピンがはずれやすくなってきたと、これまた困っていた。Mizumizuのいろいろなブランドの時計と、セイコーのブレスレットのピンの修理を一挙に頼んでみたら…「ハイ、すぐできます」と心強い返事がソッコーで返ってきた。しかも…聞いてたまげるほど安い!http://padonavi.padotown.net/detail/pages/1109/00000905000.html↑ここのお店紹介に載ってる料金ほぼそのままで、薄型ロンジンのような特殊なものも、「預かり」ではなくすぐその場でやってくれた。ピンの交換もその場でチョイチョイ。あっという間に直してくれて、古くなってサビの入ったピンを見せてくれ、「こんな感じになっていたので抜けやすくなっていたんだと思います。ピンを1つ1つ押してみて、緩そうなのだけ新しいのと交換しました」と作業の説明もバッチリ。でもって、これまた「そんな値段でいいんですか?」というぐらい安い。工房には3人スタッフがいて、1人はお年のベテラン。あとは30代ぐらいの若手の職人が2人。ルーペを額にくっつけて(作業中は目に移動)、いかにもデキそうな感じ(笑)。ロンジンの薄型時計の電池交換には過去、毎回毎回そーとーなお金を払っていた。あれは何だったんだ。電池交換のあまりの安さと速さに驚いて、「大丈夫なんだろうか、そんなに安くやって」と返って心配してしまったのだが、ここはやっぱり、どちらかというともっと手の込んだマニアックな時計、つまり機械式時計のオーバーホールを請けていきたいんだと思う。店の紹介を見ても、地方発送の準備などしている。オーバーホール以外にないよね、これは。ちょうど連れ合いはブライトリングの機械式時計など持っている。そして、オーバーホール代にビビってあまり使っていない(笑)。オーバーホールの腕前はまだ拝見していないが、頼んでみて後悔することはなさそうだという気がしている。ブライトリングを頼む前に、調子の悪くなってきたレビュートーメンのクリケットのオーバーホールを頼んでみようか、と連れ合いが言っている。店に行ったとき、ちょうど彼が腕にはめていたのだが、「こういうのもできますか? 実はこのごろ…」と、調子の悪いところを説明したら、「あ、それは…」となぜ調子が悪くなっているのか、予想されるムーブメントの機能劣化について軽く説明してくれ、こちらが言う前から、「クリケットなら修理できますから」とモデル名をあっさり言い当てていた。小さな店の中はまさしく時計職人の工房そのもので、余計なものは何もおいていない。「お休みはいつですか?」と聞いたら、「え、あのぉ~」と口ごもって、「決めてないんです。今のところ適当」なんて、正直に言うところが、ゆる~い街・西荻の店らしくて笑ってしまった。西荻は、吉祥寺の一駅隣りだが、ディープでマニアックな店がある反面、とってもゆるい。お昼開店の店に正午に行ってもまだ開いてなかったりと、適当なところは、イタリアそこのけ。この時計修理工房も商売っ気があまりないのが心配だが、ガツガツしなくても、いいモノ・いいサービスを売ればやっていける(儲かってるかどうかは…どうかなぁ。あんまり儲けたがってる人もいない気がする)、つまり目の肥えた地元民が多いのがこのあたりのいいところ。こういう職人の店こそ長く生き残ってほしいもの。どんな時計でもすぐ電池交換してくれるだけでMizumizuとしてはかなりハッピー。心強いパートナーを見つけた気分だ。
2009.01.06
ハワイに行ってつくづく思い知ったトウキョーの食のレベルの高さ。ご近所の西荻窪にも、個人レベルの小規模経営で、だからこその「むちゃウマ」店がぽつぽつある。紅茶とケーキの店グレース(Grace)は、手作りの上品なケーキが地元のマダムに人気。路地裏のまるで個人のお宅に入っていくような店構えのドアをあけると、昼下がりの午後はお茶を楽しむ女性でいっぱいだ。今はズシンと甘いケーキがインの東京だが、グレースのケーキはあくまで甘さ控えめ。秋の名物は、なんといっても和栗だけを使った贅沢な「マロン」。洋菓子特有の重さがまったくなく、そう、どちらかというと和菓子の栗きんとんをさっぱりとした生クリームで軽くした……という味わい。あちこちに「埋められた」栗のほっくりとした食感が綺羅星の如し。このケーキは遠方からでも味わいに来る価値があると思う。こちらも、感動の逸品「カスタードケーキ」。本当にシンプルなカスタードとスポンジのハーモニーなのだが、基本に忠実に、上質な材料でしっかり作ったカスタードって、なんて軽やかな音色を奏でるのだろう! 口に運ぶとふわりととける。そのはかさながいとおしくて、天使のケーキと呼んでいる。あまりに繊細なので、持ち運びには注意。カスタードが溶け出して崩れやすい。お持ち帰りより、店内でいただくほうがオススメ。コーヒーも美味しいが、やはりグレースでは紅茶とケーキをマリアージュさせよう。紅茶は種類が豊富で、1人分でもご覧のような大きなポットで供される。店のつくりもちょっと古めのヨーロピアンな雰囲気。50代か60代初めぐらいの日本女性が若いころ憧れた空間じゃないだろうか。お店のオーナーの人生観が垣間見れるよう。白いサッシで、上下スライド式の洋風の窓からは緑の木が見える、徹頭徹尾フェミニンな雰囲気。男性が1人で入ったら浮いてしまうかも。住所 : 東京都杉並区西荻南3ー16ー6電話 : 03-3331-8108営業時間 : 11~21時(日曜休)
2008.10.12
東京女子大の目の前にある「アテスウェイ」。この店のオーナーパティシエの経歴も華々しい。クープドフランス世界大会総合優勝、アルパンジョンコンクールのショコラ部門優勝。修業先はブルターニュだったらしく、店内にはブルターニュ風のガレットやブルターニュの塩、バターなどもおかれている。Mizumizuは日本のクッキーはほとんど食べられない。いつもブルターニュのガレット(輸入もの)を買っている。だが、アテスウェイのガレットはちょっとお高い(笑)ので、あまり手がのびないでいる。一度か二度買ってみたことはある。塩づかいに気を使っていて、もちろん美味しかった。アテスウェイで秋から冬にかけてよくお世話になるのは、モンブラン。アーモンド風味のメレンゲを土台に、和栗がしのばせてある。タマネギを細くのばしたような独特の形の中はほとんどがクリーム。完全な生ではないが、ホイップクリームとしては上質でしつこさや油っぽさがない。それを栗のクリームで覆っている。実は、コレ、以前はもっと大きくて、もっと甘かった。そのときは美味しいものの、強烈すぎて、1つ食べるのは苦しいほどだった(笑)。血糖値が一挙にあがるような変な興奮があった(再笑)。今は全体的に小さくなって、甘さもやや控えめになったと思う。物足りないと思う人もいるかもしれないが、個人的には歓迎している。あとは栗のロールケーキもオススメ。モンブランはこれまで買ってバラツキがあると感じたことはないのだが、他のアイテムは質にムラがあるような気がするのが残念なところ。ここは大はやりの店で、たくさん職人を使って作っている。そのせいかもしれない。たとえばガトーフレーズはときどきジェノワーズがバサバサになっている。だが、アテスウェイはとにかく人気がある。客層は若い女性だが、女子大生という感じでもない。卒業生かな? 便利な場所ではないのだが、遠くから買いに来る人も多いらしく、クルマもよく停まっている。男性客は、明らかに女性に付き合わされてる感が出ている人が多い(笑)。おそらく、とても「イン」な味なんだろう。甘みが強く、フルーツとチョコレートのようなインパクトのある素材を一緒に使って強烈な個性を出している。生地に蜂蜜をしのばせて風味を高めるなど、ちょっとした隠しワザもきいている。12月の繁忙期以外は、イートインコーナーもある。ただし、コーヒーの味は「いけません」。
2008.01.12
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