全82件 (82件中 1-50件目)
<きのうのエントリーから続く>さて、チェンマイ最終日。飛行機は夜遅かった。7時半ぐらいまで旧市街で過ごし、そろそろ、ホテルで荷物をピックアップして空港へ行こうかと・・・Mizumizu「荷物フロントに預けてあるし、ソンテウに交渉して、1度チェディに寄って荷物積んで、そのまま空港に行ってもらわない?」Mizumizu連れ合い「そうだね~」Mizumizu「いくらぐらいまでなら払う?」Mizumizu連れ合い「100バーツぐらいまでかね~」ターペー門からホテルまで2人で40バーツ。そこでいったん降りたとして、市内のホテルから空港までは、現地の人なら50バーツで行くらしいが、それで計90バーツ。だが、ホテルの前であらためてソンテウを拾うとなると、もっと高くなりそうだ。だったら、1台のソンテウでホテル、空港と行ってもらったほうがいい。チェディは小さなホテルで、だいたいチェックアウトした客の荷物は、車寄せのまん前にあるベルボーイ・デスクでやりとりしてるから、たぶん積み込みもすぐだろう。さっそく、ターペー門でソンテウを止める。「チェディ・ホテル、わかる?」わかる、と運転手。「ホテル、それから空港、いくら?」あまり英語が得意そうでない運転手、ちょっととまどったように、「いくらなら払う?」と逆に聞いてきた。「そっちで決めて」と言うと、「100バーツ」予想とピッタリ。一発でOKして、乗り込む。しかし・・・!ソンテウで相乗りになったことはほとんどないので、単純に貸切と思い込んでいたのだが、乗ってみたら先客が1人いるではないか。こざっぱりとしたお洒落なスカートをはいた、色白の女性。柄入りストッキングにパンプスというのは、チェンマイではめずらしい。おまけにハンカチで口をふさいでいる(ソンテウは客席の空気が悪い)。青山あたりを歩いてそうなお嬢様タイプ。こりゃ、日本人だな。勝手に決めつけ、「こんばんは」と日本語で挨拶したら、「は?」という顔をされた。しまった。あわてて英語で、「どちらまで?」と聞き直す。「シャンハイ・ロード」聞きなれない通りの名前だ。「シャンハイ・・・?」「あなたは?」「チェディ・ホテル」「ああ、同じ方向よ」にっこりと笑って言われたので、ほっとした。これでとんでもない方向だったら、時間が読めなくなる。チェディがすぐわかるということは、現地の人なんだろうな。安心して座っていたら、なんとソンテウが途中でスタンドに入っていくではないか。――え~っ。よりにもよって、こんなときに給油!?おまけに、ここはタイ。スタンドに入ってもなかなか店員が出てこない。あ~、空港までどのくらい時間がかかるかよくわからないのに・・・待ってる時間が何10分にも思えた。なんで・・・思わずカメラ出して、写真撮っちゃいました。ノロノロと作業を終え、ようやく走り出すソンテウ。途中でお嬢様を降ろし、やっとこれで貸切。Mizumizu「また別のお客さん拾わないでしょうね~」Mizumizu連れ合い「もう乗ってこないと思うけどね~」ソンテウは一応乗り合いなので、運転手が乗せるつもりになれば、相乗り客が来ても文句は言えない。でもま、100バーツと余計に払ってるから、融通は利かせてくれるでしょう。ソンテウがホテルに近づいてきた。すると、信号待ちで運転手が降りてきて(!)、こちらに、「ホテルの中には入れるのか?」というようなことをタイ語で聞いてきた。チェディ・ホテルの敷地内の車寄せには、客を乗せたソンテウは入ってかまわないのだが、中には知らない運転手もいて、ホテルの前の道路で降ろされたことが1度あった。連れ合いが、なんとなく言ってることを理解して、「オーケー、オーケー」と窓越しに叫ぶ。見事信号が青になる前に席に戻った運転手は、そのままソンテウを走らせ、チェディ・ホテルの中へ入った。しかし、入ってもいいのかどうかを事前にちゃんと確認するとは、なんとも律儀。エントランスにソンテウが停まると、荷台客席から連れ合いが飛び降りる。すぐ横にベルボーイ・デスク。ベルボーイの仕事はとても速かった。荷物を積み込み、チップ(20バーツ)をわたすと、おんぼろソンテウの荷台客席に座ってるMizumizuに、最上級の笑顔で合掌して挨拶するベルボーイ。下から目上げられて拝まれると、なんだかこっちは、仏壇に入ったような気分(笑)。まだ、ちょっと早いよね。しかし・・・タイ人の「微笑みパワー」は、ホントにスゴイ。「日本人だって、お世辞笑いは相当なもんでしょ、そんなに違うの?」と思ったアナタ!タイ人の微笑みはレベルが違います! 顔の筋肉全体を使った、相手を包み込むような満面の微笑みは、到底「お世辞笑い」には見えません(でも、本当はお世辞笑いです)。しかも、老若男女、すべからくこの「微笑みパワー」を発揮するんですねぇ~。日本人は勝てません。さすがに微笑みの国。何に向かって微笑んでいるかを深く追究しなければ、最高に居心地のいい国です。さてさて…荷物を積み込んだソンテウは、ようやくスピードを出してチェンマイの街を出て行く。Mizumizu「もうお客さん拾わないよね~」Mizumizu連れ合い「ここで乗る人もいないと思うけどね~」予想どおり、道でソンテウを探してる風の通行人はいない。本気モードで走るソンテウ。荷物を積むとき、やや慌て気味のMizumizu連れ合いの姿を見て、察してくれたのかもしれない。しかし、排気を巻き込むつくりのソンテウの荷台客席は、本当に空気が悪い。空港には20分ぐらいで着いたが、エアコンの効いたメーター・タクシー(おそらく空港まで150バーツ?)で行ったほうが、肺にはよかっただろう。なにはともあれ、無事に空港に着いた。めでたし、めでたし。チェンマイの空港は、一応国際空港なのだが、免税店はさびれきっている。ずいぶん長く売れてなさそうな、マカダミアナッツ入りチョコレート(包装の絵柄だけタイ風で、作ってるのはアメリカ)を、片言の日本語を話すお姉さん店員が、日本人の中年オヤジに、「3箱買えば、お得です」と売りつけていた。「はこ」の発音が、「パコ」になったら、「パコだってよ~」「パコパコ、バコバコ、ウヘヘヘヘ~」と無礼な上に、下品な日本の恥。3箱といわず、30箱でも売りつけてください!日本のオヤジのこういうタイの女性蔑視の態度、本当に脇で見ていて恥ずかしい。タイの皆さん、白人ともども、ご迷惑をおかけしております。今日もこんな最低の日本人と付き合ってくれてありがとうございます。追記:タイバーツのカードレートはVISAでもJTBでも大差なかった。ユーロやドルだとJTBのほうがいい。チェンマイではJTBはほとんど使えるところがなかったので注意。現金の両替は、必ず現地タイでやろう。ちなみに、今回現金の為替レートもカードでの為替レートも2.8円で大差なかった。これがユーロやドルだと、現金の両替よりカードの為替レートのほうが有利。
2009.08.31
チェンマイでの庶民の足「ソンテウ(乗り合いタクシー)」。行く前は、簡単に拾えるのか不安だったのだが、行ってみたら街中では流しのソンテウが頻繁に走っていて、見つけるのに困ることはなかった。「ソンテウというのは一定の範囲を往復してるので、目的地が遠い場合は、終点まで行って乗り換えるといい」と難しいこと書いてるブログもあったのだが、これは相当のチェンマイ通のやること。短期滞在の旅行者は、ソンテウがどこで折り返してくるのかなんてわからないし、そこから目的地方面に向かうソンテウをどうやって見つけるのかもわからない。それよりは、多少割高でも貸切をオファーしたほうがいい。ただ、「たとえ近距離でも、方向に注意」――この事前情報は役に立った。貸切で値段交渉する場合は別だが、進行方向と逆方面には、距離的に近くても行ってくれない。特に方向・方角にヨワイ婦女子の皆さんは、注意しましょうね。貸切したのは3回だが、ガソリンクーポン付きの店回りが安くすんだのは例外としても、500バーツで半日(郊外のエレファント・パークまで往復)のときも、400バーツで数時間のときも、運転手はホクホクで、彼らにとって貸切が悪い仕事でないことは明らかだった。しかし、そんなに得な仕事なのかな?たとえば、エレファントパークまでは、ゆっくり走ったとはいえ、小1時間かかった。途中多少寄り道して往復したので、ざっくり見て走行時間2時間。走ってるよりは待ってる時間のが長い。市内近距離で1人20バーツとして、500バーツということは25人乗せなければならない。あとは時間。走行時間は2時間だが、待ち時間も入れれば半日つぶれる。人数だけ考えたら、半日で25人というのは、そんなに無理な数字でもなさそうだ。だが、市内を走り回って半日で25人乗せるというは、案外大変なのかもしれない。信号の多い市内だとストップ&ゴーの繰り返しになり、燃費も悪くなる。タイというのは、ガソリンが実はそれほど安くない。日本よりわずかに安い程度だ。物価に比べてガソリン代は非常に高いと感じた。それなら、待ち時間が長くても、確実に500バーツになる半日貸切のほうが有り難い仕事なのかもしれない。こちらにとっても、帰りの「足」を心配しなくていい半日貸切を、たった1500円程度でやってもらえるのなら、何も文句はない。女性だけでチェンマイに行った日本人が、物凄く乱暴な運転をされて不愉快な思いをした・・・ という体験を書いているのを読んだが、今回Mizumizuは男連れだったせいか、そういう「女性を甘く見た嫌がらせ」的なことは皆無だった。女性だけの旅行はどうしても、そうした不快な目に遭う確率は高い。弱い者、弱そうに見える者は軽んじられる。それが世界というものだ。吹っかけもほとんどなかった。一番高かったのが、40バーツ(120円)で行く市内を80バーツと言われたこと。これだって「吹っかけ」というほどのことですらない。トゥクトゥクの「吹っかけ」も、「着いてみたら倍の値段を言われた」と書いてる人がいたので少し警戒していたのだが、まったくなかった。ターペー門からワロロット市場(距離的には非常に近い)まで、ヒマそうなトゥクトゥクのおじさんが声をかけてきたので、「40バーツなら乗る」と言ったら、ややしぶしぶながらOKした。そうそう、1度チェディ・ホテルで、旧市内まで「60バーツ」と言ってきたトゥクトゥクの青年がいた。「40バーツ」と言ったのだが、「50バーツ」と頑固なので、断った。すぐに流しのソンテウをつかまえて、40バーツで行ったことは言うまでもない。ワロロット市場で客待ちしているソンテウに声かけられて、「チェディ・ホテルまで」と言ったら、「60バーツ」と言われたこともある。当然「40バーツ」と交渉したが、シブるので、断って、流しのソンテウを拾って、もちろん40バーツで行った。こんなふうに、せいぜい言ってくるとしても20バーツ増し(60円)。断って流しのソンテウを見つければ、ちゃんと40バーツで行く。むしろ、客待ちして「60バーツ」と言ってくるソンテウは使わないほうがいい。「外国人は60バーツで行く」ということになれば、それが相場になって、だんだん高くなる。この便利なソンテウ、だがしかし、何度も書いたように、乗り心地は最低。それに結構危険でもある。まずは、入り口。後ろから、この荷台(笑)にヨイショっと乗り込むのだが、天井が低いので、最初に乗ったときは、まず間違いなく頭をぶつける。気をつけましょう。座席はこんな・・・レトロというのか、単にボロボロというのか・・・ ちなみに、もうちょっとマシなソンテウも多いです。個体差あり。運転席と荷台客席の間には、仕切りがあるので、基本的に運転手と話はできない。そして、この客席も、とってもアブナイ。座席と壁の間に三角形の金具が出ている。ここ、1度は必ずお尻をぶつけて、「イタッ」となる。勢いよく座って腰骨ぶつけたら、相当痛いこと間違いなし。気をつけましょう。旅行者は、ソンテウに乗る前に、運転手に行き先を告げて、運賃を確認するといい。現地の人は黙って乗り込んで、降りたい場所でボタンを押して運転手に意思表示をするみたい。便利で安心なソンテウがすっかり気に入って、メーター・タクシーは結局、空港からダラ・デヴィに行くときに1度使っただけ。本当にタクシーは走っていない。
2009.08.30
「RELAIS & CHATEAUX(ルレ・エ・シャトー)」は、わりあい信頼している。この審査の厳しいフランスの会員組織に加盟しているホテルやレストランで、ハズレたことはめったにない。フランス以外でも、たとえばドイツのリンダウのHotel Villinoなどは、小さいけれど心に残るホテル&レストランだった。リピーターになりたいと思わせてくれるホテルというのはめったにないが、Villinoはその1つ。チェンマイの旧市街の中にあるラチャマンカーが、「ルレ・エ・シャトー」のメンバーだと聞いたときには、「チェディ」とどちらにするかかなり迷った。結局、チェディにしたのは、値段が安かったこと(高速インターネットの料金がチェディは無料、ラチャマンカーは有料というのも響いた)と、古い寺の多い旧市街は、夜になると寂しそうで、ナイトバザールに近いチェディのほうが賑やかでいいのではないかと思ったことだ。だが、チェディのレストランは、先日も書いたように値段のわりには魅力がない。ラチャマンカーのほうは、どの日本語ガイドブックにも、チェンマイの美味しいレストランとして紹介されている。そこで、1度ディナーだけラチャマンカーのレストランで取ってみることにした。ラチャマンカーは、ワット・プラ・シンのすぐ裏にあった。路地の奥で、緑に囲まれ、とても静か。クルマがびゅんびゅん行き交う大通りに面したチェディとは大違い。中国風だとは聞いていた、しかし・・・クロサワ映画あたりの日本の戦国時代も、ビミョーに入っているような?チェディも"The Leading Small Hotels of the World"に選ばれているくらいなので、規模は大きくない。しかし、ラチャマンカーのほうは、もっと小さなホテル。ロビーらしき場所もなく、とても入りにくい。だが、レストラン利用だと告げると、快く通してくれた。いくつかレストランがあるのかと思いきや、1つしかなく、そこでインターナショナル料理もタイ料理も一緒に出すのだという。うっ・・・いきなりヤな予感。タイ料理とインターナショナル料理のどちらも出す店のシェフより、タイ料理だけを出すレストランのシェフのほうが、絶対的に腕がいい。この原則はバンコクでもチェンマイでも変わらない。ということは・・・?でもまあ、ガイドブックでは有名レストランだということになっているし、試してみないとなんとも言えない。レストランは・・・案外狭かった。このほかにも中庭に面したテラス席がある。普通は外を好むMizumizu+Mizumizu連れ合いだが、池のある中庭のテラス席に夕方座ったら蚊の攻撃を受けそうなので、エアコンの効いてる中の席にした。インテリアを見ても、やっぱり中華風。そりゃ、北タイは、中国文化の影響を南タイよりも受けているし、チェンマイの人を見ても、中華系と混ざったような顔立ちの人が多い。そうは言ってもチェンマイはタイ。そして、短い間とはいえ、アユタヤ、スコータイと勢力を3分していたランナー王国の首都だった街。なのに、なんで中華風なワケよ?チェデイは、明らかに日本風だった。この2つの比較的新しい高級ホテルに共通するのは、ターゲットにしてるゲストが欧米人だということ。実際、宿泊客のほとんどは白人だった。違和感ないのか? タイに来て変にモダンな日本風やら中国風の高級ホテルに泊まって・・・ないんだろうな~。欧米人にとっては依然として、アジアと言えば、中国もタイも日本もごった煮状態なのだろう。「どこから来たの?」「東京」「ああ、中国ね」一般の欧米人の理解なんて、まぁ、こんな程度。ローマの大学で現代美術を教えているイタリア人の友人が日本に来て、私を見て合掌して挨拶したときは、ど~しようかと思った。タイ人は一般人も合掌して挨拶するけれど、日本ではそうやって挨拶するのは、お坊さんだけ。食事のときに手を合わせる人はいるが、普通の人に向かってはやらない。むしろ、合掌なんてされたら、文字通り「仏様(死人)」になった気分になる。そう説明すると、ビックリしていた。一体どこで「日本で挨拶は、合掌して礼をするもの」という勘違いがインプットされたのやら。さてさて、ラチャマンカーの食事だが・・・メニューを見たら、2人分のセットメニューがえらく安い。700バーツだったか800バーツだったか、とにかく、料理5品にデザートがついて2000円ちょっと。「これは、コース1人分の値段? 2人で食べたら倍になるの?」と確認するMizumizu。2人で食べてその値段だと明言するウエイトレス。ラチャマンカーのレストランで美味しいと聞いた「レモングラスのサラダ」も、ちゃんと入っている。「じゃあ、それで」「スパイシーにしますか」「いや、スパイシーにはしないで」このお願いが失敗だったかもしれない。というのは、こういう西洋人向けレストランというのは、はじめっからたいしてスパイシーではないのだ。それをさらに「スパイシーでなく」してもらったせいか、料理全体がボケたような味だった。食器は中国風、料理にはラオス風のものも入っている。どうも全体的にタイ料理という感じがしない。楽しみにしていたレモングラスのサラダも、どうにもパンチがない。これって、どこかで食べたような気がする・・・そうだ、フランスの東南アジア料理!この「ぼわ~んとした味」は、まさしく、フランス人好み。そういえば、中央のカレーにやたらデッカイ、骨付き肉の塊がど~んと入っている。こういうのも、明らかに白人のための料理。日本人は骨付き肉をむしろ嫌う人も多いが、白人にとってボリュームのある肉は、体に欠かせないタンパク源。日本に来ると、薄い牛肉しかないのがイヤだ、ど~んと塊になった肉を食わせろ――そう言い出す白人は多い(ちなみに、黒人には友人がいないのでわからない)。だ・か・ら、ルレ・エ・シャトーなのね。しかし、ラチャマンカーは、Mizumizuにとって初めての「相当期待はずれのルレ・エ・シャトー」になってしまった。セットメニューにしたのが悪かったのかなぁ。アラカルトなら美味しいものがあったのかも。しかし、もう1度試す気にもなれない。ラチャマンカーにもう1度行くぐらいなら、カオソイの別の名店を探したい。それなら市内だって100バーツ、ファーハム通りなら30バーツですむし。ただ、次回宿泊するにはいいかもしれないと思った。旧市街の中を朝早くちょっと散歩したりできそうだ。デザートは、タピオカココナッツならぬ、タロイモココナッツ。甘いココナッツミルクの中に、ほっくりした芋が入っている。これはこれで、美味しい田舎料理という感じ。例によって、お酒のダメな連れ合いに合わせて飲み物はスパークリングウォーター。トータルで960バーツ(カードで払って2686円)と、日本のレベルで考えるととても安かった。しかし、ラチャマンカーは「見ると聞くとじゃ大違い」の点がもう1つ。大人のための落ち着いたホテルにしたいので、小さな子供連れの家族は泊めない――と聞いたのだが…隣の席に、思いっきり落ち着きのない10歳ぐらいの白人の男の子がいた。じっとしてられないのか、ウロウロと立ち上がる、食器をガタガタ言わせる。おまけにその父親とおぼしき白人のオッサン、酔っ払ってるのが、「ガハハ、ガハハ」とすごい下品な大笑いを響かせている。あれだけ飲んでるってことは、宿泊客だと思うのだが・・・楽しい家族の団欒に水を差したくなくて、しばらくガマンしたのだが、あまりにオッサンの笑い声がうるさいので、ついに連れ合いがギブアップ。ウエイターにこっそり話して、席を替えてもらった。こんな下卑たオヤジがいる高級レストランはタイでは初めて。日本では、たまにあるが(苦笑)。でもって、席を替わったら・・・そのすぐ後に隣に座ってきた4人組が、なんと!チェディのプールで会った、香港かシンガポールあたりの中華系の金持ちのドラ息子(←見かけで勝手に想像)2人と彼らに買われたハイティーンのタイボーイ(←これも見かけで勝手に想像)2人。同じチェディに泊まって、同じラチャマンカーに食事に来るとは・・・みんな案外やること同じなのね。明日はエレファント・キャンプですか?(笑)食事のあと、ホテルのショップはどんなものか見せてもらったのだが、並んでる商品は、怪しげな古美術品が主。冷房さえ入っておらず、Mizumizuたちが来て慌ててエアコンのスイッチを入れている。ここもよっぽどお客さん来ないのね。「チェディ・ホテルに帰りたいので、タクシーかソンテウを呼んでもらえる?」とフロントの男の子(1人しかいなかった)に聞いたら、「タクシーは、フィックスレートで150バーツです」との答え。どうやらチェディのようにソンテウ拾ってくれるってことはしないらしい。大通りに面してるチェディと違って、ここは路地の奥で、ソンテウはホテルの前を通らないから仕方ないだろう。それなら、自分でちょっと歩いてソンテウを探そう。タクシーを断って、暗くなった路地に出ると、ホテルの目の前の小さな店に赤いソンテウが駐車してある。運転手はいないので、店の人に、「これはソンテウ? チェディ・ホテルまでいくら?」と聞いてみた。すると、答えは、「80バーツ」タクシー150バーツから、70バーツ下がった(苦笑)。しかし、市内なのに、80バーツは吹っかけすぎでしょ。断って、クルマの通りのある道に出た。少し歩いていると、向こうから流しのソンテウが来る。う~ん、これは・・・方向が逆。ダメかもしれない。一応止めて、「チェディ・ホテル」と言ってみる。すると運転手、「オー」あとはジェスチャーで、「反対方向だからダメ」と言っている。見ると後ろに先客が。もし誰も乗ってなかったら乗せてくれたかも。でも、もう1本大きな通りまで歩けば、チェディ・ホテルの方向に流れる車線がある。なので、すぐに諦めてソンテウをやりすごした。大通りに出ると、案の定、ソンテウはすぐに来た。ホテル名を告げると、「50バーツ」ほらほら、30バーツ下がった。でも、50バーツはまだ高いわ。「ノー! 40バーツ」と「いつも40バーツで行ってるわよ」という雰囲気を出すと、すぐに、にっこりして「どうぞ」と運転手。かなりボロなソンテウで、頭上の手すりは錆びていたが、相場の40バーツで無事ホテルまで帰って来たのだった。めでたし、めでたし。
2009.08.29
ザ・チェディの審美的な空間――それは夜も装いを変えて現われる。夜は無数のキャンドルが大理石の通路や・・・池に浮かべられる。ことに水面を漂うキャンドルの灯りが、なんとも幻想的。人工的な照明は極力抑えられているので、ゲスト棟とレストラン棟の間にあるプールを含めた箱庭空間では、「闇」が支配的になっている。もともとはイギリス領事館だったホテルの敷地は、基本的にこじんまりとしているが、闇が深いだけ、狭さが気にならない。そして、大小のキャンドルが散らばることで、日常生活から離れた安らぎとある種のノスタルジーが心を癒す。つくづく、建築家の美意識が表に出てる設計だ。だが、やはり視覚的な美とひきかえに、ゲストのプライバシーが犠牲になっているという印象は、どうしても否めない。たとえば、プール。長細い形は、このホテルの全体の建築設計方針に沿ったものなので、それはそれでいいでしょう。サイズが小さいのも、まぁ、基本的に客数も多くないホテルだし、街中で敷地も広くないし、仕方ないでしょう。更衣室がなく、シャワーも野外にドロップ式が2つしかないというのも、我慢しましょう。部屋からプールまでの距離が近いしね。けどね、プールと長椅子の距離が、どうしても近すぎると思うのだ。ゲストの数が極端に少ないならいい。でも、多少多くなるとどうなるか?縦横の長さが極端に違う細長いプールは、カップルが3組も入れば、狭く感じてしまう。その目と鼻の先にズラッと長椅子が一直線に並ぶ。長椅子でくつろごうにも、否応なしに目の前で泳いでるゲストの姿が目に入ってくる。泳いでる人の水音ってのは、結構大きいのだ。おまけに椅子同士の間隔も狭い。泳いでるほうだって、アタマのすぐ上に、一列に他人が並んで自分のほうに顔を向けてるのは気分のいいものではない。マンダリン・オリエンタル・ホテルではこんなことはない。ダラ・デヴィのプールがスンバらしいのはすでに書いたが、プールと長椅子の距離は常に、「できるだけ」広く取ってあった。敷地の狭いバンコクのオリエンタル・ホテルだって、その点は非常に気を使っている。こういうところが、「一流ホテルのプールとはどうあるべきか」を知ってるか否かの差なのだ。プールではしゃぎたい客とプールサイドで静かにくつろぎたい客の気持ちをおもんばかれるかどうかということでもある。敷地の広さの話ではなく、それをどう使うか。だって、チェディのプールに並べられた長椅子の後方には、おそらく有料のスパ、あるいは高い部屋のゲストだけが使える施設の一部と思われるガラス張りの棟があり、そこにも同じように長椅子が並べられているのだ。そのガラス張りの部屋の長椅子には、だ~れも座っていない。魅力的に見えないので、別にそこに行きたいとも思わなかった。ガラスの中に入って、プールサイドの長椅子とプールで泳いでる人を見たって仕方ないじゃない。外から丸見えだし。こういう「優越」空間は、もっと孤立した、「覗かれない」場所に作るべきだ。たとえば、川の脇とかね。リバービューなら、外からの視線も気にならないし、そこからだけの「特別な眺め」を楽しむことができる。この誰も使わないガラス張りの棟の空間の分、一番多くのゲストが使うプールの広さが犠牲になり、プールサイドの長椅子がまるで監視員みたいに、プールのすぐ脇に置かれることになってしまった。ダメでしょ、これじゃ。で、このチェディ・ホテルなのだが…男・男カップルの比率が異常に高い。なんか、その世界で有名なんでしょうか?午後のプールなんて、まるっきり「ホモたちの宴」。ある午後、Mizumizu+Mizumizu連れ合いが、長椅子に寝そべったら・・・まるで温泉にでもつかるみたいに、プールの向こうサイド(↓ココ)でスキンヘッドでマッチョな白人男性2人が、肩寄せあって入ってる。泳ぐワケでもなく、プールの周囲にある池の蓮を見ながらポチャポチャ。そこへ、香港かシンガポールあたりから来たドラ息子(←完全にただの偏見)みたいな中華系の青年2人と、彼らに現地調達されたらしき2人のタイボーイが計4人でやってきて、嬌声を上げながら、水中で公然とイチャイチャ。至近距離から見ちゃ悪いかと、横を向いたら・・・華奢で小柄な日本人男性2人が、長椅子で本を読んでる。なんで日本人だとわかったかって?読んでる本の文字が日本語だったからサ。――こ、ここには、男女のカップルはおらんのか・・・と見たら・・・いたいた。1組端のほうの長椅子で小さくなってる。ふつーは、カップルというのは男女が多数派だ。タイは同性愛者がよく来る国だが、それだって、男・男の組み合わせが「多数派」にはならない。だが、チェディだけは別。明らかにここでは、世間一般の性的マイノリティとマジョリティが逆転してる。そして、多数派の中で少数派というのは、常に居心地が悪く感じるものなのだ。それは普段、同性のカップルがふつーの場所で感じる「肩身の狭さ」なのだろうけれど、チェディの、特に午後のプールサイドでは完全に立場が入れ替わっていた。ど~も場違いな気がして、早々に立ち去るMizumizu+Mizumizu連れ合い。結局Mizumizuがプールに入ったのは1度だけ。おまけに、ここのプール、水が信じられないほど汚かった。濁っていて、ほとんど前が見えない。何日水を変えてないんですか?ダラ・デヴィの塩水かけ流しの極上プールに比べると、天国と地獄。ユル・ブリンナーとブルース・ウィルスを崩したようなスキンヘッドの白人(明らかに)カップルが泳いでなかったのは、この水のせいだったのかも。周囲に蓮の花を浮かべた池があるのも、清潔感という意味では、どうもね・・・。蓮がきれいというより、池の水が汚いほうが気になる。池にはボウフラ湧いてそうだし、ヘタしたら池の水がプールに流れ込みそうだし(多少池のが低いので、それはないとは思うけど、大雨が降ったらわからない)。連れ合いは、果敢にも(?)ホモだらけのプールに3日連続泳ぎに行った。しかし、オトコたちから浴びせられる熱い視線が恥ずかしかったのか(ちなみに、本人は否定)、すぐに帰って来た。なにせ、彼自身はダサダサのドノンケにもかかわらず、いやドノンケのせいか、ホモ男性には妙にウケがいい(本人は、頑強に否定)。プールは3日目にようやく水を替えたらしく、最後の日だけは透明度は高かったよう。でも、「カルキ臭かった」とか。ダラ・デヴィのプールの水に、そうした不快臭は皆無だった。同じ5つ星ホテルとはいっても、ダラ・デヴィとチェディでは2ランクぐらい違う感じ、と先日書いたのは、こういうところの違いにもよる。朝食もまた、雲泥の差だった。一応、それなりに品数あるように見えますか?でも、実際は「あまり食べるものがない」。パンもハムも、あまり味がよくない。オープンからまもなく泊まった人の体験記を読むと、「マンゴー食べ放題」「スムージーもあった」などなど、かなり満足度が高かった様子。今は、マンゴーはカケラもなく、果物で目立つのはスイカ。スムージーなど1度も出ず、オレンジジュースもマズい。街中の屋台のほうがよっぽどまし。暖かいメニューを選んで作ってもらうことはできる。フレンチトーストとか・・・オムレツとかカレーピラフとか。こういうのは、まぁまぁ。可もなく、不可もなく。スタッフは感じがいいのだが、皿をさげる所作1つとっても、ダラ・デヴィのスタッフには負ける。ダラ・デヴィでは、皿をさげるとき、ガタガタ音をたてることは、ほとんどない。ここのスタッフは、少しずつやることがガサツ。もちろん、不快にさせるような態度ということではない。ただ、訓練がダラ・デヴィのほうが遥かに行き届いているということ。逆に、マンダリン・ホテル・グループの従業員養成ってどうやっているのか、その訓練ノウハウを知りたくなった。たとえば、ダラ・デヴィでは、ドライヤーを使ったら、それには手をつけず、布だけ下に敷いて、あとはコンセントに差しっぱなしのままにしてくれていた。「してくれていた」とわざわざ書くのは、ドライヤーというのは、いちいち片付けられてしまうと、また使うために出してセットするのが案外面倒だから。だから、その部分には手をつけず、そのかわり、バラバラになった化粧品などは、きれいに整えてくれるダラ・デヴィのメイドは、とても気が利いていると思うのだ。一方チェディは、メイドがドライヤーをいちいち引き出しの中にしまう。バスルームの洗面台が狭いので、しまわないと掃除がしにくいのかもしれない。だが、こちらにしてみれば、ドライヤーなんて、使う時間は短いのだから、こういうことされると、また出すのが面倒で、逆に「使うな」と言われてるみたいな気になる。ダラ・デヴィで「予備の蚊取り線香を2~3個持ってきて」と言ったら、ケースでど~んと持ってきてくれた。しかも、ベランダと玄関先の蚊取り線香が切れないように、留守中も焚いておいてくれる。チェディでは、点けっぱなしで留守にすると、線香を途中で折って節約していた。ベランダにあったキャンドルも、最終日の午前中に掃除に来たスタッフが持っていってしまった。まるでゲストにキャンドルのお持ち帰りはさせない、と言わんばかり(笑)。夜大量に使うから、残しておいて欲しいのだろうけど、チェックアウトの前にちゃっかり持って行くとは、芸が細かいこと(芸じゃないよ)。とまあ、いろいろ突っ込みはしたものの、総じていいホテルだったことは間違いない。インターネットのスピードは、辺鄙な場所にあって部屋数の多いダラ・デヴィより遥かに速かった。ただ、もう1度泊まるかというと・・・別のホテルを試してみたいという気持ちのほうが強い。つまり、リピーターになろうとまでは思わないということ。
2009.08.28
チェンマイには7泊した。そのうち4泊が郊外のマンダリン・オリエンタル・ダラ・デヴィ、3泊が市内でナイトバザール至近のザ・チェディ・チェンマイ。ちょうどダラ・デヴィは4泊で1泊タダ、チェディは3泊で1泊タダキャンペーンをやっていたので、この組み合わせにした。ダラ・デヴィは辺鄙なところにあるが、ゴージャスな滞在を楽しむホテル、チェディは立地がよく、アクティブに観光するのにピッタリと特長も異なる。このバランスはとてもよかった。チェディは3泊してトータルの支払額が3万5047円。2泊分で3泊するという理屈だが、ならして計算すれば1泊12,000円弱。今回もネット上でホテルの予約サイトをいろいろ見たのだが、結局ホテルに直接ネットで予約する「2泊分で3泊キャンペーン」が最も割安だった。値段からすると満足度はかなり高いと言える。ただ、この値段、シーズンオフだということと、最近タイの観光業が落ち込んでいることから、安く設定した文字通りの特別価格かもしれない。オープン当初は確か、1泊3万ぐらいは取っていたように思う。その分、朝食の品数が少ないなどの、コスト削減の空気がそこここに感じられた。さてさて、では、詳しく紹介しましょう。このホテルの最大の魅力、それはモダンで真に審美的な建築空間だ。大通りに面しているのだが、車寄せにグルッと入ると、すっきりしたエントランスの向こうに異次元の静謐な空間が広がる。一度、インド人と思しき家族とソンテウで相乗りになった。長方形に切り取ったようなエントランスの向こうに広がる、外部とまったく趣きを異にする空間――家族全員、ソンテウの窓から身を乗り出すようにして見入っていた。たしかに、非常にインパクトがある。どこか和風の建築に、これまたどこか和風の樹木。一切の装飾を廃した白い壁に、木の装飾板が断固として直線的に組み合わされている。モダン・ジャパニーズの美意識の影響、ありあり。しかし、日本人としては、くすぐったいような変な感じ。タイのチェンマイまではるばる来たハズが、着いてみたら日本のモダンな旅館だった、というような。部屋に入るのに、なぜか靴を脱ぐ。引き戸の向こうに「靴脱ぎ場」があって、その奥に部屋のドアがあるという2重構造。木製の引き戸というのが、また日本風。そして、ここで蚊が5~6匹お出迎え。このホテル、とにかく部屋に蚊が多くて困った。ベランダ用の蚊取り線香と室内用のベープ蚊取りマット(じゃないかもしれないけど、とりあえず類似品)があり、そのせいか蚊はとっても弱々しくて、姿は見たが刺されはしなかった。でもさ~、蚊が飛んでるだけで、イヤじゃないですか?ダラ・デヴィは蚊対策には万全を期していて、部屋の入り口とベランダに間断なく蚊取り線香を焚いていた。こちらが部屋を留守にしていても、煙が絶えないようにしてくれていたのだが、チェディでは逆に、ベランダで蚊取り線香を焚いたままちょっと外出して、帰ってきてみたら途中で折られていた。なるたけ一巻きを長く使ってもらおうという、ケチくささコスト削減意識が垣間見れる行為だった。さて、部屋はというと・・・手前にダブルベッド、その向こうにバスタブ。この間は木製のパーティションで区切ることもできる。バスタブの向こうに洗面台とシャワールームにトイレ。一見、すっきりとしてお洒落な空間です。しかし!この部屋の居住性に関しては、5つ星ホテルとしては合格点はあげられない。まずは、なんといってもベッドが悪い。見かけは悪くないのだが、マットレスに腰がなく――これは、柔らかいベッド、というのとは質が違う――とても寝にくい。腰が悪い人だと、さらに痛めてしまうのではないか。インテリアのモダンさに関しては、個人の嗜好の問題だが、Mizumizuはハッキリ言って、あまり好きじゃない。たとえば、スクエアなフォルムの洗面台。蛇口も含めてデザイン優先でとても使いにくいし、やたらと水が周囲に飛び散る。やはり手洗い場の水受け(ボウル)は窪んだ形でなるたけ大きいほうが合理的だ。それと、バスタブにはシャワーがなく、日本の古いお風呂みたいに、お湯をはって入るだけ。しかもお湯はりにあまりにも時間がかかるので、結局1度しか使わなかった。シャワールームのノズルは軽くて使いやすい(水の勢いも文句なし)のだが、下手すると水がトイレのほうへ流れていってしまう。ホント、チェンマイって水回りの施工が悪いんだな。それと最大の欠点は、モダンな半透明のスライド式のドア。トイレとシャワールームが半分しか隠れない――つまり、トイレに入るときはスライド式のドアをシャワールーム側に寄せ、シャワールームに入るときは、トイレ側に寄せる。さらにシャワールームとトイレの間の壁が透明で丸見え。だから、どちらかがトイレに入っていて、うっかり別の人間が手でも洗おうとバスルームに入ってくると、シャワールーム越しにトイレ内が見えてしまうのだ。これはヒドイでしょ。空間を節約するためにスライド式のドアにしたり、パーティションにしたりしてるのだろうけど、その分プライバシーが犠牲になっている。家族なら、まあ気にしないかもしれないが、友人同士だって来るだろうし、こういう作りでは気を使う。室内空間がこのように狭いのは、ベランダを広く取っているせいもある。ゆったりと横になれるように広いクッションも置いてある。このひとまわり余裕のベランダ空間、発想自体はいいと思うのだが、ベランダの壁が透明で、外から丸見えだし、そもそも蚊が多いので、残念ながらゆっくりくつろぐ気になれない。そのほかにも、デスクと椅子の高さがちぐはぐで書き物がしにくいとか、部屋の照明がいくらなんでも暗すぎるとか、個人的にはちょっと不満な点が多々あった。建築家の意匠へのこだわりが、ゲストの滞在中の快適さをかなり奪っている。「見かけはお洒落だけど、住んでみたら、住みにくいマンション」という感じ。そう言えば、なんか全体的にマンションみたい。で、さらにゲストの快適性を陰で奪っているのが、この緑の葦。こうやって見れば、素晴らしく美しいでしょ? 白と茶を基調とした、ややもすれば無機質なモダンになりやすい直線的な空間に、緑の天然葦を大胆に配すことで自然の息吹を吹き込み、有機的なニュアンスを加えることに成功している。あくまで、視覚的には。しかし、自然の緑をこういう不自然な場所で維持していくのは、手入れが大変なのだ。何が大変って、水の供給だろうと思う。コストもかかるし、手もかかる。時間がたてばたつほど、美しい緑を保つのが難しくなる。案の定、水はとても汚く、一応小魚など入れて、虫を食べるように工夫はされているものの、ここでボウフラが湧いているんじゃないの? と思った。 さらに夜中に、耳をつんざくような(←大げさではなく)、カエルの大合唱が始まった。いや~、これには驚き、かつ悩まされました。カエルの鳴き声で目が覚めるなんて、山口市矢原(←だから、誰もわからんっちゃ!)でも、経験がない。最初あまりにも音がデカいので、カエルとは気づかず、目覚ましでも鳴り出したのかと思った。あのカエルの大合唱の舞台も、この葦が怪しいとにらんでいる。他にカエルが集合できそうな場所なんてないし。見た目重視で、ゲストの快適性無視というのは、パラソルの使い方にも指摘できる。この階上のパラソルと寝椅子、だ~れも使わないのだ。にもかかわらず、ずっとパラソルを広げている。寝椅子のクッションのほうは、雨がふってもほったらかし。だから、クッションはわりと汚れている(使うときは一応バスタオルを広げてくれる)。雨が落ちてくると、すぐにクッションを引っ込めていたダラ・デヴィのスタッフの姿勢とはまったく違う。マンダリン・オリエンタルはバンコクでもそうだったが、雨が降れば、すぐに長椅子のクッションを片付け、雨が上がれば、またすぐに広げる。非常にマメで、手抜きがない。で、チェディ。一直線に並べられたパラソルは、見た目には非常に美しい。だが、たとえば朝食のテラス席にはパラソルが足りない。だから、晴れた朝は直射日光が暑くてテラス席は使えなくなってしまう。誰も使わない場所では、せいせいとパラソルが広がり、みんなが使う朝食会場のテラス席にパラソルがない。本末転倒でしょ!さらに、ゲストが少ないせいか、使われていない空間が多すぎる。この2階席はレストランの席なのだが、1階だけでまかなえる数の客しか来ないせいか、上はまったく客を入れない。1階のオープンキッチンの狭いレストランに、かなりぎゅうぎゅうにゲストが詰め込まれる。ディナーも朝食と同じ場所で食べなければいけない。朝も夜も同じって、どういう了見? 場所がないならともかく、ゆったりできる素敵な空間を造ってあるというのに。これも結局「コスト」優先だからやっていることだ。キッチンから近いレストラン席はサーブするのもラク、掃除もラク。というワケで、Mizumizuたちはディナーはしなかった。メニューの値段を見たら、平気で500バーツ(1500円)なんて値段がついている。ダラ・デヴィの「グラン・ランナー」より明らかに高い。シェフはインド人だということだが、朝食で別に作ってくれる「暖かい料理」の味が、まったくたいしたことなかったのも、このホテルでディナーをする気になれなかった理由の1つ。チェンマイのホテルは供給過剰で、どこもかなり苦しいのだと思う。だから、値段を下げてなるたけ客を呼ぼうとしている。チェディもおそらく、オープン当初はもっとサービスがよかっただろうと思う。そして値段ももっと高かった。安くした分、どこをどう削るか、四苦八苦してる経営陣の苦労が垣間見える気がした。だが、やはり宿泊料金と総合的な満足度(サービス、立地、施設の設備)を天秤にかけたら、まだ「かなりいいホテル」だと言うことは断言できる。先日書いたように、ベルボーイは気が利いていたし、それに、レイトチェックアウトも、なんと午後5時まで保証してくれた。ダラ・デヴィのあとになってしまったので、必要以上にアラが見えてしまったということもある。<続く>
2009.08.27
<きのうから続く>チェンマイ国立博物館は思ったほどたいしたことなく、3時間どころか1時間とかからずに出てきてしまった。お昼にはまだちょっと早いが、予定どおりスーパーハイウエイを東にぐるっと回り、ファーハム通りに入って南下、ワット・ファーハム至近のカオソイ・サムージャイに行ってもらう。ネット上の評判はすこぶるよい。「昼時は店の外まで行列がのびる」らしいので、11時ちょっとすぎの今なら、それほど混まずに食べられるかもしれない。ソンテウはワット・ファーハムの境内に駐車。そして、カオソイ・サムージャイに入ってみると…がら~んなんか、予想と違う。広い店内には、カオソイ以外にも屋台風にいろいろなモノが売られているが、客より店員のほうが多いくらい。これで本当に昼時に行列になるほど、客が来るのだろうか??席に座り、メニューをもらって…えっ?値段が書いていない。メニューに値段がないって、怪しいじゃないの。チェンマイの食べ物屋は屋台だって、値段をわかりやすく書いてあるところがほとんどだ。なんかヤな感じ。でもまあ、有名店だし、ここでいきなり「カオソイ1000円」なんてことはあるまい。とりあえず、連れ合い牛肉、Mizumizu豚肉でカオソイを2つオーダー。見ると、壁に写真入りの大きなメニューがある。あっちには、値段が入っているのかと席を立って壁の写真メニューを見に行った。やっぱり値段が書いてない…とはいえ、他のメニューもいろいろあって美味しそうではある。「ここのローカルフードを食べたいの?」急にハッキリした英語で話しかけられた。声のほうを振り返ると、中国人の男性が奥さんとおぼしき中国美人と食べている。「ここは、カオソイが有名だよ」明らかに初めて入ってきた観光客丸出しのMizumizuに、助け舟を出してくれたよう。「あ、カオソイは、もうオーダーしたんです」とMizumizu。「ところで、カオソイっていくら?」「30バーツ」ホッ。それならラムドゥアンの小カオソイと同じだわ。「カオソイ以外だと、ローストチキンが美味しいよ」と中国人男性。「ぼくたちも今食べてる」中国人の男性というのは、どこでも非常に自信に満ち溢れている。「頼れそう」で「キレそう」な第一印象は、とても感じがいい。ま、たいがい見かけ倒しなんだけどね。自信持っている人が、実際に十分な能力があるかというと、そんなことはないワケで。ただ、こうやって積極的に声をかけてコミュニケーションとってくる能力は、日本男性にはない彼らの武器。「これは、どう?」一応、名物と聞いた豚の串焼き、ムーサテーの写真を指差してみる。「ああ、それもいいよ。ぼくはローストチキンのほうが好きだけど」と中国人男性。そこへちょうどMizumizuたち担当のウエイターが通りかかり、「ムーサテー?」ともう注文を受けたかのような雰囲気。Mizumizuが席に着くと、ムーサテーを運んできて見せる。実はラムドゥアンでも同じようなデモンストレーション(?)をされた。そのときは断ったのだが、今回は食べてみることに。ピーナッツソースのほのかな甘さが、薄い豚肉とよく合う。うん、これは美味しい。パクパク食べてると、お待ちかねのカオソイが運ばれてきた。小皿の上に紫タマネギ、高菜、ライムがのっている。ささ、食べましょ、食べましょ。ラムドゥアンとどっちが美味しいかな。ところが…!「あれっ?」箸をつっこんでスープの底に沈んだ麺を少し食べたところで、Mizumizuがまず気づいた。「どうしたの?」「麺がものすごく少ないよ。もう終わっちゃった」「え?」連れ合いも、箸を動かす。「ホントだ。ほとんど入ってないじゃん」こ、これは悪質でしょう!だって、見た目にはわからないのだ、中に入ってる麺の量なんて。カオソイは生麺と揚げた麺の2種類が入っていて、上にのっているのは揚げ麺のほう。こちらの量は、まあ多くはないが、そこそこ普通だったのだ。ラムドゥアンのように小と大に分かれているわけでもない。箸つけてしまってから、「中の麺が少ない」ってクレームもしにくい。おまけに、この店、ウエイターが身体的ハンディキャップを負っている人が多い。身体の悪い人に向かって、食べた後になって、「麺がほとんど入ってないじゃない!」なんて文句つけるのは、まるで弱いものイジメみたいで気がひける。こういうウエイターを使うのも意図的ですか?最初は、「へ~、ハンディキャップ持ってる人も、普通に働いているんだ。いいじゃん」と好意的に受け止めたのだが、こういうことをされると、この店ってば、こういう社会的弱者の人を安く使ってるんじゃ?と急に疑いの芽がムクムクと育ってきた。11時半になっても、お客はほとんど来ない。すべての客に「ほとんど麺の入ってないカオソイ」を出しているのがどうか知らないが、「行列のできる店」だったはずが、閑古鳥が鳴いてるなんて、なんかあるでしょ、理由が。麺のことはおいておいても、味もラムドゥアンのがいい。ちょっといい、ではなく、ずっといい。中に入っている豚肉もまったく美味しくなかった。ラムドゥアンとは雲泥の差。スープもあれほどネット上でみんなが感激してる店のものとは思えない。味なんてものは、結局は個人の嗜好なので、好き好きと言ってしまえばそれまでだが、やはり普通に考えれば、この店は、「味が落ちた」のだと思う。こんなに、賞状(?)が並んでる店なのに。やれやれ。名店もこうなっちゃ終わり。ほとんど麺の入ってないカオソイを出してコスト削減を図るなんてこと、雇われ従業員が自ら考案するワケがない。上から言われてやってるに決まってる。安くてうまいと評判になる→客が押しかける→店を改築する(サムージャイの場合は、拡張したらしいが)→味が落ちる(あるいは極端に量を減らす)→評判が落ちる→客が来なくなる→店はあせって、またどこかでコストを落とそうとする→さらに客が減るこういうパターンは古今東西を問わず、ひんぱんに起こる。「名店」のオーナーが陥りやすい「人間の業」かもしれない。美味しいものを作るのはセンスだけではなく、やはり手がかかるのだ。最初は「美味しいものを食べてもらいたい」という純粋な気持ちでいても、客が増えてくると、だんだんに邪心が入りこんでくる。「オレのこんなにうまい料理がこの値段じゃ、安すぎない?」「ここまで手をかけることないか。ちょっと効率化を図ろう」。それを本人は邪心と気づいていないかもしれない。だが、こうやって名店は堕ちていく。「値段と味のバランス」について、客は口には出さずとも非常にシビアだ。そして、いったん堕ちた評判、つまりは信頼を取り戻すのは、並大抵のことではない。結局のところ、商売というのは、「ラクに儲けたい」「手を抜きたい」という目に見えぬ邪心との耐えざる闘いなのだ。サムージャイのオーナーは、明らかに、思いっきりわかりやすいカタチで邪心に負けている。ちなみに会計のほうは、マトモでした。カオソイ30バーツX2ムーサテー11本で30バーツ(ただ、ネット上の情報だと1本からでも頼めるよう)水10バーツで100バーツ(300円)。ふと見たら、ソンテウの運転手が奥さんと奥で食べている。彼らにはマトモな量の麺が入っていたのだろうか。地元民には、ここまで露骨なことはしない気がする。サムージャイを試そうと思ってる日本人観光客の皆さん!中の麺が異様に少なくないかどうか、注意してください。そして、「ほとんど入ってない」というフザケタ真似をまた繰り返すようなら・・・Mizumizuの分もハッキリ怒ってください! 今考えたって、あれはクレームするに十分な事件でした。
2009.08.26
チェンマイで2つ目のホテルはピン川沿いで、ナイトバザールにも近いチェディ。詳しいレポは後日に譲るとして、悪くないホテルだった。個人的に一番気に入ったのはベル・ボーイのサービス。全員がそうではないのだが、人によっては、出かけようとすると、「タクシー? ソンテウ?」と聞いてくれる。「ソンテウ」と答えると、通りに出て行って、流しのソンテウを止めて敷地内の車寄せまで誘導。さらに、こちらの行きたい場所を聞いて、ソンテウの運転手にタイ語で料金を確認してくれる。ホテルのベル・ボーイを通して、ソンテウの運転手が言ってくる値段はきわめてまっとう。自国民同士だと、相場もわかっているし、あまり吹っかけたことは言いにくいのかもしれない。さて、ちょっと遠い場所にある、チェンマイ国立博物館へ行こうと、ベル・ボーイに流しのソンテウを呼んでもらったときのこと。すでに書いたように、チェンマイのソンテウにはそれぞれ「テリトリー」がある。行く方向も決まっているので、乗り合いタクシーといっても、どこにでも行ってくれるわけではない。とはいえ、実際には、相乗りになることも少なく、交渉次第ですぐに「貸切タクシー」になってくれる。チェンマイ国立博物館は、ホテルから非常に遠い。スーパーハイウエイ沿いで、そもそもチェンマイの中心地をメインに走り回ってるソンテウが頻繁に通る場所ではない。当然、そこまで行ってしまうとソンテウを止める客も少ない。つまり、ソンテウの運転手にとって、そこまで2人の客を60バーツとか80バーツで乗せて行って降ろすだけというのは、あまりありがたくない仕事なのだ。案の定、ベルボーイを通じて、「ワン・ウエイ?」と聞いてきた。そこでMizumizu、さっそく、「博物館で待っていてもらえる? 往復でいくらか聞いて」と頼んだ。「ホテルまで戻ってくるんですか?」とベルボーイ。時間は午前9時半近い。博物館にどのくらい時間がかかるかわからないが、たぶんお昼すぎにはなる。ということは、お昼はやっぱりカオソイだよね(←3日連続・苦笑)。「ダイレクトに戻るんじゃなくて、ファーハム通りに回って、そのあとホテルに帰ってきてもらいたいの」「カオソイを食べたいんですか?」ファーハム・ロードと聞いてすぐに目的がわかったよう。ウンウンと頷くと、「博物館のあとは、ファーハム通りでカオソイ食べて、それからホテルに戻ってくる」というようなことを、カオソイ食べる身振りを入れて(笑)、ソンテウの運転手に通訳してくれている。こういう気の利くベル・ボーイがいてくれると、本当に助かる。さすが5つ星ホテル。「いくら?」とMizumizu。3~4時間の貸切といったところか。ちょっとだけ考えて、ソンテウの運転手が言ってきた値段は、「400バーツ」市内の寺+郊外のサンカムペーン通りの店(ガソリンクーポンつき)の4時間で200バーツ小一時間かかる郊外の山中のエレファント・キャンプ往復5時間半で500バーツの、きのうまでのソンテウと比較すると若干割高だったが、ガソリンクーポンの出る店に行くわけでもないし、博物館で物凄く待たせてしまうかもしれないので、即「OK」した。400バーツで貸切交渉成立。すると、最初、「行きだけ?」と聞いてるときは、仏頂面だった運転手の顔がニコニコになった。さっそくケータイで電話をし、市内で奥さんをピックアップ(←つまり、寄り道・苦笑)。「○▲■■~」建物の中から飛び出してくる奥さんを指差して、こちらにタイ語で何やら言っている。言葉はわからないが、お昼をはさんでの貸切なので家族同伴、というのはエレファント・キャンプのときもそうだった。こちらもすぐに、「どうぞどうぞ」と大きく頷く。運転手の奥さんを助手席に乗せて、ソンテウは出発。国立博物館は、思ったより遠くなかった(苦笑)。雑貨で有名なニマンヘミン通りがスーパーハイウエイになるのだが、スーパーハイウエイに入ると、渋滞もなくスイスイ。博物館の入館料は1人100バーツ。チェンマイはバンコクに次いで、タイ第二の都市だ。しかも、ランナー王国という独自の歴史も持っている。――博物館どのくらいかかるかな~、2時間はかかるだろうな~。3時間待たせたら悪いかスラ~などとソンテウの運転手の待ち時間を気にしつつ、勇んで行ったのだが…「こ、これがタイ第二の都市の、しかも国立博物館ですか?」拍子抜けするほど、展示物が貧弱だった。わずかに2階の一角を占める仏像群は、「多少」見ごたえがある。だが、いつも思うことだが、タイの仏像は案外「古くない」。タイで仏教が国家宗教として成長したのがそもそも13世紀なので、それ以前の仏像というのはほとんどない。そのこと自体は当然といえば当然なのだが、問題は収蔵されている仏像の質と量。バンコクの国立博物館にはアユタヤ仏、スコターイ仏と、見ごたえのある仏像がずらりと並んでいたが、あれに比べると雲泥の差。「仏像のいいものは、すべてバンコクに持っていった」という話は、本当なのだと実感した。よっぽど展示するものがないのか(苦笑)、チェンマイを訪問した日本やイギリスといった各国ロイヤル・ファミニーの写真が飾ってあった。若き日の美智子様の写真もある。13世紀にメンラーイ王によって成立したランナー王朝は、独立国家としては、すぐにその勢力を失っている。周辺国の属国だった歴史のほうが長い。ところが王家だけは、まがりなりにも20世紀まで存続し、今も子孫が健在なのだとか。国立博物館にわざわざ他国のロイヤル・ファミリーの写真を展示するという姿勢に、「偉大なメンラーイ王を祖とする、今はなきランナー王家」への追慕と愛着、そして密かな誇りを見るような気がした。天皇陛下と妃殿下の写真を国立博物館に展示してくれるなんて、日本人にとっては嬉しいことじゃないの。中国や韓国では考えられません。だから、Mizumizuはタイが好きなのだ。もう1つこの博物館で見た印象深いモノ… それは巨大な扇風機のブランド名。国立博物館なのに、館内はエアコンが入っておらず、かわりに部屋ごとに大人が両手を広げたくらいの幅のある扇風機が置かれていた。その扇風機、TODAIJIブランドなのだ。東大寺ブランドの扇風機って・・・?日本じゃ見ません。もちろんタイ製でしょう。よ~わからん日本語をブランド名にしてる電化製品、タイではよく見かける。ホテルの時計はHIDEKIブランドでした。Mizumizu、感激ィ(←「ヒデキ、感激ィ」に掛けてみたのだが、そもそももはや、今どき誰もこのキャッチフレーズを知らないかもしれない?)。
2009.08.25
『地球の歩き方』は、「行き方」が詳しく書いてあるという点で、すぐれたガイドブックだが、ときに、実際とかけ離れた美辞麗句を並べ、「地球のだまし方」と揶揄されることも多い。その最も端的な例として、Mizumizuがイチオシとしたいのが、メーサー・エレファント・パークの近くにあるメーレム・オーキッド・ナーザリー(通常「オーキッド・ファーム」)。『地球の歩き方』の記述を読んでみましょう。マニアが眼をむくような品種の豊富さと美しさ。奥には蝶の育成所もあり、ネットで囲われた庭の中に数種類の熱帯の蝶が飛び交っている。おみやげコーナーでは蘭を使った細工物やアクセサリーが充実している。どうですか? スンバらしい場所に思えませんか?行きたくなりますよね?で、Mizumizuが実際に行って、撮って来た写真をご覧いただきましょう。白い蘭赤い蘭紫の蘭らんらんらんまあ、かわいい。アップっぷ藤のような蘭これも蘭?世界最大の蘭世界最小の蘭・・・ だそうだけど、どこが蘭?どうですか? ますます行きたくなりましたか?しか~し!このオーキッド・ファーム、実体は…敷地の99%がコレなのだ。つまり、ほとんど蘭なんて咲いてない。上で紹介した蘭がすべてと言っていい。一生懸命探して、咲いてる蘭が1株、2株・・・ という実にフザケタ場所だった。右見ても左見ても、こんなん↑ばっかり。北を見ても、南を見ても、東を見ても、西を見ても、こんな感じ。ふつーのホテルに置いてある蘭のほうが、よっぽど数も多くてきれいです!こんな場所、金取って見せるかね? しかし。「ネットで囲われた庭の中に数種類の熱帯の蝶が飛び交っている」ところがコレ↓し~ん。よくよく目を凝らせば、黒っぽい小さな蝶が1~2匹いたかもしれない。荻窪の我が家の庭先に来るアゲハのほうが、よっぽど麗しいです!「蘭を使った細工物やアクセサリーが充実している」というお土産コーナーは、たぶんここ数年は1つも何も売れてないだろうというような、古臭い、埃をかぶったような、「いかにも」な観光土産がちぐはぐに置いてある、さびれきった売店。世界にどうしようもない観光地の売店はあまたあれど、ここを超える場所は、そうはないと思います。これで1人60バーツ(180円)もの入園料を取るとは!完全に詐欺でしょう、ダマシでしょう。入り口のお姉さんによれば、5月ならば蘭がたくさん咲いて、とてもきれいなのだとか。ほんとォ~かな~♪行っ~て損した、オーキッド・ファーム(←「花いちもんめ」のメロディで)。チェンマイ最大のハズレ・スポットの烙印を押しときましょう。がっかりして園外に出て、待たせていたソンテウに乗ると、ちゃっかり中の壁に、きれいな蘭の写真のついたメーレム・オーキッド・ナーザリーの宣伝ステッカーが貼られていた。あまり人気のないスポットは、どうやらガソリン・クーポンを出してソンテウやタクシーの運転手に観光客を連れてきてもらうらしい。そういえば、英語を話すタクシー・ドライバーの運ちゃんが、やたらと「タイガー・キングダム」と「スネーク・ファーム」を奨めていた。猛獣の子供を抱いたり、蛇を首に巻きつけたりしている白人美女の写真入り宣伝ステッカーも、あちこちのソンテウに貼ってある。「タイガー・キングダム」と「スネーク・ファーム」は、よっぽどつまらないと見た。エレファント・キャンプとオーキッド・ファームを見終わった時点で、ちょうどお昼を少し過ぎたぐらいだった。ソンテウの運転手に「きのうのカオソイの店に連れて行って」と頼み、ファーハム通りの「ラムドゥアン」に。エレファント・キャンプおよびオーキッド・ファームからだと、ちょうどホテルに帰る途中になる。ラムドゥアンで一応、運転手に「一緒に食べる?」と聞いてみたが、固辞された。「とんでもありません!」というようなキッチリした態度で断ってくる。本当に、昔の日本人のようなおじさんだ。家族連れだし、お弁当を持ってきていたのかもしれない。ラムドゥアンで美味しいカオソイを食べてソンテウに戻ると、運転手のおじさんが、「次は?」と聞いてきた。リクエストすれば、追加でどこへでも行ってくれそうな雰囲気。でも、いったんホテルへ帰ることにした。ホテルで約束の500バーツと、予定外のラムドゥアンで待たせた分40バーツチップとしてわたした。礼儀正しく受け取る運転手のおじさん。「明日は?」と、聞いてきた。また貸切で使ってもらいたい雰囲気。こちらも、予定があればお願いしたいところだったが、翌日の予定は決めていなかったので断った。ちょっと残念。運転の丁寧だし、感じもいい。英語ができない分、変な売り込みもしてこない(できない?)。あとから考えれば電話番号を聞いて、ホテルのフロントの人に通訳してもらうという手もあった。気持ちのいい仕事をしてくれる人というのは、いそうでいない。お互いの相性もある。まさに一期一会。でも、お陰様で気持ちのいいチェンマイ郊外への小旅行が楽しめた。つくづく旅は、「出会う人」だと思う。
2009.08.24
<きのうから続く>エサをもらった象は川へ移動。ここで人間に体を洗ってもらう。ごろ~ん。「ボクはまだ食べたりないや」「洗って、洗って~」「エサ?」「シャワーだゾウ~」象さんの鼻シャワーは、結構強烈。橋の上ではオバさんが、「ノー・シャワー、サンキュー」と逃げ惑う。水浴びして身体を洗ってもらい、すっきりしたところで、本日のメイン・エベント、「象のビックショー」の始まり、始まり。このショー、ちょっとあなどっていましたが、実際に見ると、「スゴイ」の一言。象は頭がいい。そして、半端じゃなく芸達者。だが、何より驚いたのは、象がまるで「人を喜ばせるのを楽しんでいるように」見えることだ。そして、ヤンヤの拍手を浴びると、「ウけてるのがわかって得意になっている」ように見えることだ。欧米人が動物に芸をしこむと、こうは見えない。「よく言うことを聞くように訓練されているな」という印象になる。そこにあるのは明確な主と従の関係だ。だが、タイの象が、それだけで人間の言うことを聞いてるようには、到底見えない。彼らは、むしろ人間を「助けてあげている」ように見える。エサをもらったり、身体を洗ったりしてもうらうかわりに、非力で小さな人間に自分のもっている巨大な力をお返しに使ってくれている。そんな、「共存」という言葉が、概念ではなく実感として思い浮かぶ。タイの象使いが、カマのような鋭い刃物で象を調教するから残酷だと決めつける動物愛護病患者主義者もいる。だが、実際に芸を披露する象は、残酷な仕打ちをされるから人間の言うことを聞いているのではない。それは、ここの象の生き生きとした表情を見れば明らかだ。象の行進。前の象のしっぽを鼻でつかまえるのだが、後ろの象が鼻を巻きつけようとすると、尻尾がやたら「逃げる」象がいる。かる~くイジワルしてるのか、その前の象のしっぽに気をとられているのか、詳細は不明なのだが、後ろの象(鼻でお尻をちょんちょんしながら)「おいおい、しっぽ貸せよ~」前の象「・・・」(完全無視)というのが、なんだか人間っぽくてイイ。「模範演技だよ~」タイと言えば、涅槃仏、涅槃犬、涅槃猫、涅槃人間(←違う)…なので、象も・・・見事に涅槃の境地。起き上がったあとは・・・「フラフープだゾウ~ 鼻長いもんね」「よしよし、小さな人間クン、帽子かぶせてあげるゾウ~」「ハモニカだゾウ~」Mizumizu連れ合い「え? このハモニカ、象が吹いてるの?」鼻先にハモニカ乗っけてるからそうでしょ。実際、象が吹いてるとは思えないぐらい、ちゃんと音楽になっている。実はフリだけで、録音流してるだったりして?(笑)芸が見事すぎて、ときどき「手品?」と思ってしまう。そうこうするうちに、サッカーゴールが出てきて・・・「シュートだゾウ~」「さあ、蹴るゾウ~」「守るゾウ~」バーン! 本気で蹴ってるよね!?しかし、サッカーする象で驚いてはイケナイ。最大の驚きは・・・お絵描きする象。これ、ナマで見るまでは、どうしても信じられなかった。目の前で絵筆を走らせてる象を見ても、どうしても信じられない。構図は? 色は?遠目にはわからない下絵があって、それに沿って描いているのかな?しかし、それにしても・・・上手すぎるでしょう。ふんふんふん♪ お絵描き終わったら、道具は自分で片付けるもんね。「お行儀いいでしょ?」と、言わんばかりに、実に楽しそうに退場していく象。満場の拍手を浴びて、文字通り、鼻高々。象の作品集。どうやって覚えさせたんだろう? 信じられません。「象の絵は飛ぶように売れる」とネットで書いてあるのを読んだが、さすがに2000~3000バーツ(9000円)という値段のせいか、1枚しか売れなかった。このパンダの絵、連れ合いが気に入って、日本に帰ってきてまで、「買えばよかったかな~」と後悔している。確かに、記念に1枚買っておいてもよかったかも。こちらは象の絵が買える売店。その場で売れないと、後日安くなってここで売られるとか。しかし、中には象が描いたのかどうか、非常にアヤシイものも置いてある(苦笑)。最後に、伝統的にタイで象が担ってきた仕事が披露された。呼吸を合わせて木材を積み上げる象クン。巧みな共同作業。約1時間のショーは、想像以上に素晴らしいものだった。これは見る価値アリ!しかし、雨が降ったら大変そうだ。天気がよすぎてもまた、暑くて大変だろう。ショーを午前中の早い時間にかためてやってしまうというのも、行ってみて納得。しごく合理的な判断だ。お昼前には見終わって、キャンプを出た。さて、次はオーキッド・ファームだ。
2009.08.22
メーサー・エレファント・キャンプは、どうしようかな~と思っていた。チェンマイ旅行の計画を立てているときだ。チェンマイ訪問客の多くは行っているようだが、問題はやはり個人旅行での行きにくさ。公共交通機関で行く方法はなく、街からはクルマで小一時間かかるらしい。それに目玉のショーの時間がやたら朝早い。メーサー・エレファント・キャンプ毎日:朝7時から14時(午後2時)までショーは、8時、9時40分の2回。ハイシーズンには13:30の回もあり。入場料と30分のエレファント・ライド(象乗り)で、1人520バーツ。エレファント・ライドは1時間コースもある。入り口のチケット売り場でまとめて買えるし、キャンプ内でもライドだけのチケットを売っている。ショーが8時と9時40分って、えらく朝早くありませんか?朝がニガテなMizumizu、ここで二の足を踏む。それに、象のキャンプと言っても、どうもピンと来ない。もしかしたら北海道の「熊牧場」を少し大きくした程度の完全観光施設なのかもしれない。あるいは「象だけのサファリ・パーク」? 面白いのかなぁ。だが、ネットで行った人の体験記を読んでいると、思った以上に規模も大きく、ショーも充実しているよう。よし、じゃ、行こう!行こうと決めたら、「足」を確保しなくちゃ。いろいろ調べてみると、断片的だがだいたいの「相場」がわかってきた。2006年の情報:メーター・タクシーを個人で借り切って、1200バーツから1500バーツ2009年の情報:街中の現地旅行会社のツアーに参加して、1人500バーツ(ただし、入園料は別)。ほかに参考になりそうな体験談だとソンテウの8時間貸切:1000バーツトゥクトゥク3時間貸切:200バーツというのもあった。現実的には、郊外の山中にあるエレファント・キャンプにトゥクトゥクで行くのは無理。選択肢は、メーター・タクシーもしくはソンテウの貸切ということになる。時間はちょっと読めないが、たぶん朝早く行けばお昼には見学が終わるだろう。つまり半日の貸切ということだ。そこで寺+買い物でソンテウを貸し切ったとき、通訳役のおっちゃんに、「明日エレファントパークとオーキット・ファーム(←これは象のキャンプ地から近いので、ついで)に行きたい。朝7時半にホテルに来てもらって、ホテルまで帰って来る。それでいくらか聞いて」と頼んだ。そしたら、「500バーツ」と思った以上に安いではないか。2006年にメーター・タクシーで1500バーツ払ったという人がいるということは、2009年の今だと1800バーツぐらいは覚悟していたのだ。ソンテウはメーター・タクシーに比べたらずいぶん乗り心地は悪いが、日本で乗る機会もないし、返って「タイに来た」感があっていい。即答で「500バーツでOK」する。エレファント・パーク往復だけなので、通訳役のおっちゃんは来ない。もちろん、それで問題なし。不安は、「タイ人は時間にルーズ」というネット上の噂だ。待ち合わせに40分遅れで来た、なんて書いてる人もいた。「朝7時半ね」と、英語があまりできない朴訥とした運転手に、しつこく確認した。で、当日の朝。朝7時20分にちゃんと来た。通訳役の、ちょい調子のいいおっちゃんはいなかったが、運転手のおじさん、奥さんと10歳ぐらいの息子(あるいは娘と孫?)を連れて来た。郊外に行くし、1人で待ってるのもつまらないし、お弁当持って家族同伴ということらしい。ホテル入り口でMizumizuたちを待つ間、子供を抱いて立っていて、Mizumizuに会うと、子供を指差して、「一緒に連れて行っていい?」みたいなことを言ってる様子だった。もちろんですとも。こちらも1人で待たせるより、家族同伴で楽しんで待っててもらうほうが気が楽というもの。日本人なら絶対にやらないと思う。「公私混同」とか言って怒る人もいそう。でも、Mizumizuにとっては返ってありがたい。「ソンテウの運転手は、ときどき物凄く運転の荒い人もいる」という体験談を読んだが、自分が家族乗せてれば、無茶な運転もしないだろうし。別の日に数時間、別のソンテウを貸切にしたのだが、そのときも運転手はケータイですぐ電話をし、途中で家に寄って、助手席に奥さんを乗せてた(笑)。チェディ・ホテルの入り口で待ってるソンテウ。心なしか車体がキレイ。今日の貸切にそなえて前日に洗ってくれたのだろうか。ホテルの食事が朝7時からなので、急いで食べて、それでもちょっと待たせてしまい、7時40分ぐらいに出発。メーター・タクシーで行った人の体験談に、「物凄く飛ばして、20分で着いた」というのがあったが、安全運転のわがソンテウの運ちゃんは、ゆっくり丁寧に運転。40分か50分ぐらいかかった。カーブでも直線でも速度が変わらないので、酔いやすいMizumizuにはありがたい運転手。ソンテウ車内にて。足を投げ出してお行儀悪く座るMizumizu連れ合い。ソンテウはとても乗りにくいが、運転席側にもたれて、こうやって座るとラク。メーサー・エレファント・キャンプは、本当に山の中にあった。入り口でチケットを買うと、「時間から見て(着いたらもう8時半近く、最初のショーは始まってしまっていた)、まずここで(と地図を鉛筆で示して)エレファント・ライドをやって。それからここで(と、川をさして)象の水浴びが始まるから。ショーはその後の9時40分にこの広場で」と説明される。8時半ちょっと前に到着、というのは、結果としてとてもよかった。まずは、エレファント・ライドへ。お~、いるいる。象さんがいっぱい。「ふああ~、眠いなぁ~」「さ、仕事の前に食事、食事」「ボクなんか、仕事しながら食べちゃうもんね」混むときは、だいぶ待たされると聞いたのだが、待ち時間ゼロで象の背上の人となる。思った以上に高い! う~ん、これはまさに「王の乗り物」かも。「乗り心地は悪い」と聞いていたのだが、そんなに悪くない。道はご覧のように、雨季のせいかべちゃべちゃにぬかるんでいる。でも、不思議と、とっても安定がいい。象は慎重に足を運ぶ。実に慎重。柔らかなクッションの上を、ゆっくりと進んでいくよう。30分のコースは山道を行く。1時間だと川を渡るのだとか。眼下に広がるタイのジャングル… と言いたいところだが、案外日本の山奥みたい(笑)。やっぱりチェンマイは標高が高いのね。ともあれ、したたる緑の中を象の背に揺られて行く・・・ というのは得がたい体験。はぐれ象発見! いや、これも演出の1つか?山道をいったん登り、それから下って、キャンプ内の道に戻ってきた。不思議なことに、ぬかるんでいない道のほうが、揺れて乗り心地が悪い。向こうからたくさんの観光客が・・・エレファント・ライドの「乗降口」もラッシュアワー。エレファント・ライドは、思った以上に楽しかった。曇りだったので、それほど暑くもなく、雨も降らなかったのはラッキーだろう。これで直射日光ビンビンだと辛かったかもしれないし、雨だともっと最悪だっただろう。Mizumizuとしては、川を渡る1時間コースにしてもよかったかな~と思ったのだが、連れ合いは30分で十分だとか。さて、象から降りると、あちこちで「象のエサ」(20バーツ)を売る屋台が出始めた。ショーの前の、象のお楽しみ時間。エレファント・ライドを終えた象が、ぞくぞくとやって来て・・・観光客からエサをもらっている。中には客の帽子を取って、それをもう1度頭に乗っけてあげて写真に納まる芸達者の象も。いや~、象の鼻って、ホントに器用。ときには完全に人の指がわり。「ここ、ここ。エサはココにちょうだい」エサを食べたら、朝の入浴。象が移動する前に観光客がぞろぞろ川のほうへ移動し始めた。<明日へ続く>
2009.08.21
チェンマイと言えばカオソイ。カオソイと言えばチェンマイ。Mizumizuがこの素晴らし~い食べ物を知ったのは、西荻の「ぷあん」。美人でしゃきしゃきしたお姉さんと、チェンマイ出身のおばさんが2人で作っている。他の店でも食べたが、Mizumizuにとっては、日本では「ぷあん」のカオソイが一番。週末限定メニューなので、土曜・日曜はカオソイ目当てに客が押しかける。さらにこの店、8月はチェンマイに食材を買出しに行くので、かなり長い間閉まってしまう。8月末に店が開くと、「カオソイ切れ」の常連客が待ってましたとばかりに押し寄せて、またまたスゴイことになる。そんなカオソイ、本場のチェンマイではダラ・デヴィにある「グラン・ランナー」で食べた。しかし、カオソイというのは本来庶民的な食べ物。ラーメンみたいなものなので、高級レストランではなく、街中の名店に行ってみたい。チェンマイ関連の本やネット情報で調べ、日本人の間で名店として名高い店を2つピックアップした。1つは「カオソイ・ラムドゥアン」、もう1つは「カオソイ・サムージャイ」。両方ともピン川の東ファーハム(Far Ham)通りにある。ファーハム通りは別名「カオソイ通り」と呼ばれるほど、カオソイの店が多いとか。だが、市の中心から見ると、だいぶ北にはずれており、歩いて行くのは到底無理。見にくいかもしれないが、赤丸した2つの店の上(北)がサムージャイ、下(南)がラムドゥアン。そこで、寺+サンカムペーン通りの店を200バーツで借り切って回ったときに、英語が話せるガイド役のおじさんに、運転手に通訳してもらい、まずはサムージャイに行ってみることにした。ネットでは、なんとなく、サムージャイのファンの人が多いようで、「2度行きました」「昼時は店の外まですごい行列」「あまりに人気なので、店を拡張したのですが、それでも混んでます」などなどの賛辞があふれていたからだ。ところが、この通訳役おじさん、クーポン券をゲットしたら、もうどうでもよくなったらしく、サンカムペーン通りの最後の店で、運転手のおじさんに、「●△■~!」と行き先を告げただけで、市内に戻ってきたところでニコニコしながら自分だけソンテウを降りしてしまった!――えっ 最後まで一緒に来ないの?と思ったときには、すでに走り去るソンテウの後方で、お愛想笑い全開のまま手を振っている。その態度に、本能的な不安を感じるMizumizu。しかし、もうどうしようもない。ともあれソンテウはちゃんとピン川沿いの道を北上し、右手にボロい店、その向かいに駐車場のある場所まで来て停まった。「●△■~?」運転手が店先のおばさんに何事か聞いている。「●△■~」おばさんもタイ語でなにやら答えている。それを受けて運転手は駐車場に入り、エンジンを切って、「ここだ」とこちらに言いに来た。しかし、その店は、ネットの写真で見たサムージャイの店構えと違っている。「ノー」とMizumizu。「サムージャイ、サムージャイ」とりあえず、連呼してみた。すると…えっ… という顔で、ドライバーの顔がものすごく引きつった。責任感の強い、素朴な日本人が、思いがけず失敗を指摘されたときの反応… にすごく似ている。この英語を話せない運転手は、とっても実直なタイプのよう。サムージャイという店に行きたいという、こちらの意思は明らかに通じてなかったらしいが、店のおばさんが、「ラムドゥアン」と叫んできた。「ラムドゥアン?」聞き返すMizumizu。そうだと大きく頷くおばさん。うん、ラムドゥアンなら、もともと行きたい店ナンバー2だったし、どこにあるのかわからない(近くだということは間違いないが)サムージャイをわざわざ探してもらってまで行く必要もない。「OK、OK」と顔を引きつらせている運転手の肩を叩くMizumizu。すると、運転手は物凄く安心した顔をした。これが英語ができて、多少観光客ズレしてくると、「ここも美味しい」とか何とかテキトーなことを言ってきて、返ってこちらのカンにさわったりするものだが、この運転手にはそういうスレたところがまったくなかった。さて、行きたかった店ナンバー2のラムドゥアンなのだが・・・結果として、ここが最高でした。サムージャイは実は後日行ったのだが、ネット上の評判とはうらはらに、ヒドい店だったのだ。間違ってラムドゥアンに連れて行ってもらったのは、偶然とは言え、ウルトラ・ラッキー。チェンマイの地元民のための店なので、エアコンなどはない。英語もあまり通じない。だが、日本人だとわかると、店のご主人が日本語の本をもってきた。ラムドゥアンが絶賛記事とともに写真入りで紹介されている。こちらが店のメニュー。英語で書いてあるし、お奨めメニューの写真もあって、わかりやすい。カオソイは小が30バーツ、大が35バーツ。約100円。や、安い!西荻だと鶏肉しかないのだが、ここは「鶏肉」「牛肉」「豚肉」「スペアリブ」と選択肢も豊富。茹でた麺と揚げた麺が入っている。小皿で別に紫タマネギと高菜、それにライムが付いてくるので、好みで。こちらはMizumizuの頼んだ豚肉。な、なんとひと手間かけて揚げてあるではないか。カツ入りと言ってもいい。い、いいんですか? これで35バーツで・・・Mizumizu連れ合いは、相変わらず大好きな牛肉。2人で、途中でチェ~ンジしてみたのだが、Mizumizu「やっぱ、豚肉だね~」Mizumizu連れ合い「やっぱ、牛肉だね~」と2人の意見は異なった(笑)。牛肉は肉のエキスがかなり強くスープに染み出ている。一種の「くさみ」も含めて牛肉が好きな人にはお奨めだが、和牛のようにクセのない柔らかい肉を好む人には、少し野性味が強いのではないかと思う。実は別の日に鶏肉も試した(笑)。チェンマイの鶏は地鶏なので、ウマイ・・・ と言う人もいるが、ホンモノの地鶏って、けっこうカタイと思うのだ。地面を自由に歩き回っていれば筋肉が締まって肉が硬くなるのは、容易に想像できる。問題はそれが好きかどうか。個人的には、それほどでもなかった。日本の中途半端な「地鶏」に慣れてしまっているせいかもしれない。もちろん、アメリカのブロイラー・チキンが世界最低なのは言うまでもない。アメリカ人って、世界中の食材の味を落として回ってる。ホント、やめて欲しい。さてさて、ラムドゥアンのカオソイの話に戻ると…Mizumizuはカオソイとはココナッツミルクをスープに使うものと信じていた。「ぷあん」がそうだし、確かに普通、チェンマイ風のカオソイはココナッツミルクを使うそうなのだが、ラムドゥアンは風味が違った。ココナッツミルクは使っていないのではないだろうか。「洗練」とか「まろやか」とは違う美味しさだ。舌先で感じるスパイスは、むしろ昔の日本のカレーの風味。どこか懐かしカレーの味がする。それをインド風と言うのか、ミャンマー風と言うのか、よくわからないのだが、とにかくハッキリ言えるのは、ラムドゥアンのカオソイは絶品だということ。カオソイを「カレーラーメン」と言うのも間違いだと思う。カオソイはカオソイ。麺はラーメンとは違う。どちらかというと「きし麺」、イタリアのフェットチーネ。でも「カレーうどん」でもない。生麺には違いないが、それほどモチモチはしていない。だが、噛むと味がある。ラムドゥアンのカオソイ、Mizuラン(←ミシュランのもじり)の3ツ星、決定!チェンマイに行ったら、なんとしても行くべし!ラムドゥアンのカオソイを食べずして、チェンマイを去ってはいけません!問題は…やっぱりとても行きにくいことだろう。そして、夕方4時ぐらいに閉まってしまうよう。街の北のはずれなので、流しのソンテウもあまり通らない。近くにたむろしてるトゥクトゥクもいない。個人でソンテウかトゥクトゥクをチャーターして、食べてる間待っててもらったほうが帰りの足も確実だろうと思う。たぶん、なのだが、100バーツ(300円)出せばトゥクトゥクでもソンテウでも、貸切って、食べている間は待っていてもらえるのではないかと思う。交渉してみてください。ラムドゥアンの載ってる地図は、上に一部をのせたCHAOの日本語入り地図しかない。この地図があれば、運転手に見せればタイ語が併記されているので、わかると思う。もし、この地図を入手できなかった場合は、「ファーハム・ロードのワット・ファーハム(ファーハム寺)の数十メートル手前(南)」と覚えておこう。運転手がラムドゥアンを知らなかったら、とりあえず、ワット・ファーハムに行ってもらう。サムージャイはそのすぐ北(街から行ったら進行方向)にあるが、ラムドゥアンはワットから数十メートル市内の方向(南)に戻った、駐車場の向かい。ちなみに市内から行く場合は、駐車場もワットもサムージャイも左手。ラムドゥアンが右手。ワット・ファーハム(ファーハム寺)にはクルマも置ける。ここからなら徒歩でもラムドゥアンはすぐ。市内方面に戻れば反対側にラムドゥアンがある、ということ。これだけ説明すれば、行けますよね(笑)。Mizumizuは、最初は200バーツで借り切った寺回りとクーポン券回りサンカムペーン通りの店回りのソンテウに連れて行ってもらって待ってもらった。次は同じソンテウの運転手に、郊外のエレファント・キャンプに行った帰りに寄ってもらった(このときは朝7時半から午後1時すぎぐらいまで、つまり半日借り切って500バーツ)。話があちこち行くが、ラムドゥアンはカオソイ以外のメニューもイケる。ご存知ソムタム(パパイヤのサラダ)、20バーツ。エスニック風味の強い焼き飯。値段は失念、30バーツだったかな? 焼き飯自体としては、「ギャラリー」のほうが薄味で油っぽくもなく、上品で美味しいけれど、ラムドゥアンのスパイス使いはインドやパキスタンを思わせる強烈さが魅力。そして、値段もギャラリー(焼き飯70バーツ)よりずっと安い。ところで、ご飯のとなりのキュウリみたいな野菜、何でしょうね?チェンマイでは、焼き飯類には必ず付いてくる。別にたいして美味しくないので、どーでもいいけど(苦笑)。これはロンガン・ジュース、たしか20バーツ。他にはムーサテー(串焼き豚)がお奨めらしい。あと、ラムドゥアンでは、テーブルの上に並んでる水だと5バーツで、ペットボトルの水を出してもらうと10バーツだったと思う。もちろん、テーブルの上のガラス瓶に入った水で十分。それを指差せば(なにせ、英語はあまり通じない)、空のコップに氷を入れてもってきてくれる。
2009.08.19
古都チェンマイには廃寺も多いと聞いた。中でも心惹かれたのが、こちらのサイトで紹介されていた「ワット・ジェットリン(チェット・リン)」。「仏像が現存している数少ない廃寺のひとつで、現代の名刹ワットチェディ・ルアンからも200~300メートル」とある。こちらの写真で見ると、やっと雨をしのぐ程度の質素な木組みのお堂に安置された仏像は、ところどころ色がはげているものの、なんともゆかしい風情がある。すんなりと長い指も優美。(上記のサイトから拝借した写真)そこで、ワット・チェディ・ルアンからワット・プラ・シンで行く途中で、貸切ソンテウに寄ってもらった。ところが…!着いたところは金ピカの仏像を納めた新しい、普通の寺院で、写真で見たイメージとはまったく違っていた。写真で見た古い仏像の影もない。おかしいな~。ネットの情報を読み間違えたのかと思い、その日はそのまま去り、ホテルに帰ってネットで情報を確認する。場所は間違っていない。だが、よくよく読むと、「2005年1月現在、写真のように、残されていた仏像を本尊にしたヴィハーン(注:お堂のこと)の建設が進められているほか、その左奥には新しい金ピカの仏像が置かれた別のヴィハーンがすでにできあがっている。僧侶も常駐しており、廃寺ではなく生きた寺院としての活動が始まっているようだ」とあり、どうやら廃寺だったものが修復され、新しい寺院としてよみがえったよう。だが、「古い仏像とチェディは残っているし、新しく建てられたヴィハーンもタイ様式はもちろん、典型的なタイヤイ様式とも異なるユニークなスタイルをしており、場所的にも行きやすいので、訪れる価値は今でもあると思う」とある。2005年の話なので、情報が古いといえば古いが、この書き方だと古い仏像はまだ境内のどこかにあるかもしれない。なので、日を改めて再度行ってみることにした。チェディ・ホテルを出てソンテウを拾おうとしたら、ホテルの横で客待ちしていたトゥクトゥクのドライバーが大きな声で呼びかけてきた。トゥクトゥクはソンテウより高いので無視して、さっそく通りかかったソンテウを止める。慣れない場所なら地図を見せることもあるのだが、もう一度行った場所なので、連れ合いが運転手に口頭で行き先を告げた。旧市街だし、当然、「2人で40バーツよね?」と確認して、すぐに後ろに行って乗り込もうとすると、「ノー、ノー!」人のよさそうなやや年の運転手、なぜかびっくりしたような顔で、「80バーツ」と吹っかけるではないか!はあぁぁ? 80バーツだとぉ?人良さそうな顔しちゃって、40バーツも吹っかけ(←日本円に換算すれば120円)るわけ?なんつー、ごーつくなオヤジだ。頭に来て、「40バーツ」と怒鳴ると、「60バーツ」に下げてきた。「ノー! 40バーツ」譲りませんよ、みんな40バーツで行くところでしょ。しかし、運転手、困ったような顔で、「50バーツ」と、まるで苦渋の決断をしているかのよう。も~、頭に来た!乗らないという意思表示をして、クルマの進行方向とは逆に歩き出すMizumizu+Mizumizu連れ合い。運転手は、「50バーツ」とまた叫んだが、もはやクルマから遠ざかったワタシラを見て諦めたのか、ようやくエンジンをスタートさせた。なんなんだ??ソンテウの運転手も多少吹っかけることはあるが、せいぜい10バーツだ。それもこちらが粘れば、だいたいすぐ下げてくれる。あの頑なな態度は何なんだ、わからん。そこへ、さっき声をかけてきたトゥクトゥクがさっそうと(?)やってきた。「どこへ行くの?」ソンテウとの交渉が不成立に終わったのを見て、チャンスだと思ったのだろう。ホテルの横で客待ちしているトゥクトゥクはわりといるのだが、客はみんなソンテウのが安いということを知っているので、トゥクトゥクには乗ってくれないのだ。「ワット・ジェットヨー」再び行き先を告げる連れ合い。すると、「え?」とトゥクトゥクのおじさんも、変な顔をした。ごそごそ地図を取り出して広げるて見せると、おじさん、「ワット・ジェットヨーは、ここだよ」と、とんでもない場所を指差した。旧市街の外、郊外環状線のスーパーハイウェイに沿った場所で、国立博物館のそば。ホテルのある場所からだと、ちょうど旧市街の反対側のはるか向こうになる。それでようやく行き先を間違えて言っていたことに気づいた。「ワット・ジェットリン」と慌てて言い直す。ついでに、ソンテウの相場である「40バーツ」でいいか、と聞くと、うんうんと愛想よく頷くトゥクトゥクおじさん。こうでなくっちゃね。トゥクトゥクはあちこちで暇そうに客待ちしているが、それは観光客からの信頼がないからだ。20バーツ多めに吹っかけて拒否され、客に敬遠されるくらいなら、それほど不便な場所でない近場だったら、40バーツで乗ってもらったほうがよっぽどいいと思うのだ。それと、ソンテウはトゥクトゥクと違ってあくまで「乗り合いタクシー」なので、走り回るエリア、つまりはテリトリーが決まっている。それと進む方向も。だから距離が近くても方角が逆だと乗車拒否されることがあるし、あまり遠くへは、基本的に行かない。ただ、そうは言っても、チェンマイのソンテウは気軽に貸切に応じてくれるので、遠くても上乗せした料金を払えばすぐに往復のチャーター便になってくれる。そっか、ワット・ジェットヨーなんて、そんな明らかにテリトリーの外のトンデモな場所まで、「40バーツ」で行かせようとするなんて、ずいぶんゴーツクな客に遭っちゃったんだ、あのソンテウのおじいさん。2人で40バーツで交渉成立した旧市街のワット・ジェットリンへ、トゥクトゥクで向かう。トゥクトゥクとソンテウと、どっちが乗り心地がいいかと言うと… 実はどっちもどっち。ソンテウのほうが自分の排気を客の乗る荷台(笑)に引き込んでしまうような構造になっている分、空気が悪い。トゥクトゥクのほうが開放部が大きいので、その分、空気はソンテウよりはいい。トゥクトゥクから見た、走行中のソンテウ。車体の色は赤と黄色があるが、黄色いソンテウは、「完全な路線バス」。赤いソンテウは「乗り合いタクシー」。チェンマイの旧市街近辺ならどこでも走っていて、貸切も可。ソンテウの空気は、ホントに悪い。ハンカチで口をふさいでる乗客も見た。さて、再び訪れた元・廃寺のワット・ジェットリン。古い仏頭を見つけた。しかし、ネットの写真で見た古い仏像のものとは違うよう。境内をくまなく歩くが、やはりピカピカの新しいお堂しかない。古い木の橋があった。ここから向こうは寺の外のよう。向こう側には何もなさそうだしなぁ…ちょっと橋をわたってみて振り返ると、古いチェディ(仏塔)とその向こうにピカピカのお堂。やっぱりここがワット・ジェットリンに間違いない。歩いていると、質素な木組みの中にいる少年僧(?)を発見。しかし、ピカピカの新築本堂には…ピカピカの仏様。これしかなかった。この風情を求めて行ったのに(しかも2度も)。ひとさまの信仰に関わることを、美術品鑑賞者の立場であれこれ言うのは、筋違いというものだろう。だが、なんでも新築のお堂と金ピカに塗りなおした仏像がいいというワケじゃないと思うんだが・・・
2009.08.18
チェンマイで最も格式の高い寺、ワット・プラ・シン。1345年に、ランナー王国メンラーイ王朝第5代国王プラヨーが、亡くなった先王(父親)の遺灰を納めるために、仏塔(チェディ)をこの地に建てたのが、寺院の起源。ここには2つの重要な仏像が納められている。1つは本堂↓にあるトンティップ仏(Pra Thongtip)。1477年の鋳造で、北タイでもっとも人々に崇拝されている仏像なのだとか(The Famous Temples in Thailandより。praというスペリングも同書にならったもの)。しかし・・・ボテッとしたお体とか、大作りなお顔立ちとか、造形的にはどうも惹かれるものがない。タイの仏像は、「修復」というと、すぐに金ピカに塗り直してしまうので、新しいのか古いのかもわからない(基本的には、みんなそれほど古くない)。もう1つの重要な仏像――この寺の名前の由来にもなったプラ・シン仏(Phra Buddha Sihing)との「出会い」のほうが、おそらく外国人にとっては感動的だろうと思う。仏塔(チェディ)の横にあるライカム堂に、プラ・シン仏は納められている。傾斜の急な切妻屋根、独特な意匠の装飾。だが、全体としては、古びた外観。(基本的には、チェディ・ルアンの礼拝堂↓と同じ様式)。だから、内部へ足を踏み入れたときに眼に入ってくる朱(あか)と金の空間が、いっそうの驚きと感動を誘う。奥に安置された仏像のなんと神秘的なこと。ワット・チェン・マンは「縦方向」を意識させる空間だったが、こちらは「横方向」への広がりがある。一種、ヨーロッパのゴシック建築からルネサンス建築への移り変わりを思わせる。お堂自体は、それほど大きくないのだが、内部空間は「無限」を感じさせる。チェンマイの仏教美術の魅力は、こうした堂内空間と仏像が一体となって醸し出す壮麗で厳粛な雰囲気にあると思う。トンティップ仏のある本堂のように、派手なシャンデリアが天井からどど~んと下がっていると、どうも俗っぽくていけない。チェンマイの人の感覚では、そうすることが信仰心の表れなのだろうけれど。プラシン仏とライカム堂の空間(ワット・プラ・シン)、それにチーク材を縦横にわたしたワット・チェン・マンの内部空間――審美的には、この2つがチェンマイの仏教美術の最高峰に位置するものだと思う。こちらがプラ・シン仏。寺の名前の「シン」はSingと書く場合が多いが、仏像のほうの綴りはSihing。SingはSihingを簡略化したものらしい。The Sacred Buddha Images of Thailand(タイで出版されている仏教美術関係の書籍)の記述を読むと、このプラ・シン仏は伝説によれば1407年にチェンライで作られた。その後なのかそれ以前なのか、ハッキリしないが、チェンマイとチェンライの間に戦争が起き、勝利したチェンマイの王(英語のスペルではSaenmuangma、セーンムアンマー王のことか?)が、チェンライから運ばせたものだという(しかし、このセーンムアンマー王、ウィキペディアでは1401年没とある。1407年に作られた仏像を1401年に没した王が運ばせた、というのも変な話だ。1407年の記述が正しいとすると、セーンムアンマー王ではなく、サームファンケーン王かもしれない。サームファンケーン王もチェンライと戦争を起こしているし、年代から言えばサームファンケーン王のほうが辻褄は合う。もしセーンムアンマー王が正しいとすると、1407年という鋳造年が間違いなのかもしれない。西暦に直すときに間違えた可能性も大いにある)。さてもう1つ、ワット・プラ・シンの仏教建築で目を惹くのが、この非常に高い位置にある経蔵(Library)。本堂の裏にある講堂も、緑につつまれ、しっとりと落ち着いた佇まいだった。ここで見つけた面白いもの。それは…エメラルド仏のレプリカ。本物は現在、バンコクのワット・プラ・ケーオにあるが、この仏像、ずいぶんとあちこちを転々とする数奇な運命を辿ったようだ。チェンマイに運ばれたのは1468年。16世紀に現在のラオスに渡り、タイに戻ってきたのは18世紀。<ネット上では、英語でも日本語でも、このエメラルド仏はワット・チェディ・ルアンにあった(あるいはレプリカがワット・チェディ・ルアンにある)と書いているサイトが多い。だが、Mizumizuが見たのは、ワット・プラ・シンだったし、The Famous Temples in Thailandでもエメラルド仏が安置された寺院はワット・プラ・シンだと書かれている。同書にチェディ・ルアンとエメラルド仏に関する記述はない。ただ、こちらのサイトには、エメラルド仏はワット・プラ・シンからワット・チェディ・ルアンに移されたとある(その後ラオスに渡ったという話は省略されているが)。それはありえる話だ。どうもチェンマイの寺院関連の情報は、いい加減なのがあまりに多くて困る。というか、どれが本当でどれがいい加減なのか判断がつきにくくて困るというべきか・・・ 上記のサイトには、プラ・シン仏は1367年に、ワット・プラ・シンに安置されたとあるが、それではセーンムアンマー王の即位(1385年あるいは1400年)より早くなってしまう。>ワット・プラ・シンについては、こちらの方のブログの写真が充実している。
2009.08.17
ワット・チェン・マンまではピン川沿いのチェディ・ホテルから、ソンテウ(乗り合いタクシー)で行った。2人で40バーツ。ワット・チェン・マンで、英語を話すおっちゃんに声をかけられ、行きたい場所をピックアップして話し合った結果、ワット・チェディ・ルアン、ワット・プラ・シン、ワット・ジェットリン(旧市街内)、サンカムペーン通りの銀製品とセラドン焼きの店(以外の店にも、すでに書いたように、結局おっちゃんのガソリンクーポン獲得のために付き合ったのだが)、ワット・クー・タオ(旧市街の外)を回って、200バーツということでソンテウを貸しきるということで交渉が成立した。ワット・チェン・マンを出て、同じ旧市街のワット・チェディ・ルアンへ。ここは、次に行く予定のワット・プラ・シンについでチェンマイでは格式の高い寺だそう。ただし、本堂の建築自体は新しい。ワット・チェディ・ルアンの見どころは、本堂建築ではなく、なんといっても後ろに見えている、半壊した巨大なベル形の仏塔(チェディ)。とにかくデカイ。圧倒的。喪失した部分は、巨大な見えない力によって、えぐり取られたよう。こちらのアングルからだと、わりと整って見える。この破格の仏塔、建立は15世紀初頭。当時、その高さは約90メートルにも及ぶほどだったが、1545年に地震で一部が崩壊した。それでも500年以上、つまりは20世紀に入るまで、チェンマイで最も高い建築物であり続けた(The Famous Temples in Thailandより)。1990年代にユネスコと日本政府の援助で修復され、現在の高さは60メートル。修復されたとは言っても、オリジナルの姿(北タイのランナー様式)に関する記録がなかったため、中央タイ様式を取り入れて直した部分もあるという。仏塔と並んで、もう1つの見どころは、チェンマイのいわゆるシンボルツリー(city pillar)となっているゴムの木。伝説によれば、この木が倒れると、チェンマイも滅びるという。一種の樹木信仰で、布を巻いて祀っているところなど、日本と同じ。本堂内部には…仏像と高僧の像。マダム・タッソー館はだしの蝋人形も・・・タイでは、高僧の人形が仏具店で売られている。だいたいが痩せて深い皺を刻んだ老僧なのだが、結構リアルで、それがショーケースの中にずらっと座っていたりするものだから、初めて見たときはかなり驚いた。寺にこういうナマナマしい高僧の人形が置かれているってのも、日本ではないからなあ…マダム・タッソー館の蝋人形なら、モデルが誰かたいていわかるが、タイの偉いお坊様じゃ、こちらにはサッパリだし。本堂を出て、境内を一回り。礼拝堂(Chapel)は、正面の装飾がなかなか凝っている。そして、涅槃仏(Reclining Buddha)。しかし、この仏様のスケスケの衣が・・・ど~も、お水っぽく見えて、ありがたくない。タイ人にとっては、「仏様にきれいな衣を着せる」というのは、信仰心の表れなのだろうか。感覚が違いすぎて、よくわかりません。セイロン仏など、赤い衣をまとって、まるでバーのマダムみたいなのもあるが、セイロン(スリランカ)経由で仏教が伝わったタイにも、そのケのある仏像がわりにある。なんだかんだ言いながら、じっくりゆっくり見て回るMizumizu+Mizumizu連れ合い。ソンテウ貸切は、時間を気にしなくていいのがいい。おっちゃんも、ガイドと称してくっついてくるわけでもなく、「じゃ、何時にここで」みたいな確認をするわけでもなく、こちらのペースに合わせて辛抱強く待っていてくれる。チェンマイの人というのは、「待つ」ということがあまり苦にならないらしい。店番をしてる店員も客が来なければ横になって休んでるし、ダラダラ時間を過ごすことにかけては、ホント天才的。
2009.08.15
旧市街にあまたある寺(ワット)の中でも、もっとも見ごたえのある寺院、それがワット・チェン・マン。チェンマイで最も長い歴史をもち、13世紀の終わりにランナー・タイ王国を興したメンラーイ王(マンラーイ王という表記もあり)が、チェンマイに都を定めた際に建立された。ランナーのランとは「百万」、ナーとは「稲田」の意味。古事記に記された日本の呼称「豊葦原の瑞穂の国」とほとんど同じイメージなのがおもしろい。麺来王、いやメンラーイ王と祖をするランナー王朝は、20世紀にタイ王国に併合されるまで続いたが、現実には、メンラーイ王が没したのちはアユタヤ王朝の支配を受け、16世紀半ばにはビルマ王朝の勢力下に入り、18世紀には南方シャムのチャクリー王朝の朝貢国になっている。つまり完全な独立国だった時代は案外短く、属国だった時代のほうが長い。それでも今でも、王朝の子孫は健在だとか。さて、そのランナー・タイ王国の隆盛期に建てられたワット・チェン・マンは、緑に囲まれた敷地の中に、本堂、仏塔(パゴダ)、貴重な仏像をおさめた御堂、経蔵、それに講堂がある。こちらから拝借した航空写真で見るとわかりやすい。本堂は、華やかで堂々とした中にも気品がある佇まい。想像よりも小さかった。中は、朱に塗られた木材の交差が目を惹く、せいせいと天井の高い空間。チェンマイで最も荘厳で感動的な寺院空間だった。屹立する太い柱はチーク材だとか。しかし、ここまできれいに塗装されては、古さがワカラン。チェンマイの人にとっては――タイは全般的にそうなのだが――古い寺院や仏像を、全部新しく建て直したり、きれいに塗りなおしたりすることが信仰の篤さを示すことになるらしい。日本の「古刹」からは、ずいぶんかけ離れたイメージの「チェンマイ最古の寺」だった。古びた仏像にありがたさを感じる日本人の感性ともずいぶん違う。チェンマイ本堂の仏像。造形的に惹かれる部分があまりない。「タイのいい仏像は、全部バンコクに持っていった」とも聞くが、そうなのかも。最近、日本の地方の寺におかれた古い仏像が盗まれ、海外で売りさばかれているという話をテレビで見たが、さもありなん。日本の仏像というのは、日本人が考えている以上に、美術品として、「いいもの」なのだ。こちらは15頭の象が支える「仏塔」。英語ではPagoda、タイ語ではチェディ(ただし、「チェディ」はスリランカから伝わったベル形の仏塔を指す。クメール様式の仏塔はタイ語で「プラーン」、ラオス風の仏塔は「タート」とそれぞれ呼び名が違う)別のアングルから。本堂の横にあるお御堂には、水晶の仏像と大理石(後述するように、大理石というのはどうやら誤りのようなのだが)の仏像という珍しい仏像があると聞いたのだが…どこにあるのやら、わから~ん。どうも、仏像の後ろのガラスケースの奥に納められていたようなのだが、見えな~い!なんとか見て、きれいな写真に納めてる方のブログがこちらにあるので、どうぞ。さて、本堂内部は赤と金の美しい壁画で彩られているのだが…これまた新しすぎる。「地球の歩き方」によれば、10年ほど前に描かれたものだとか…もともとあった古い壁画はどうなったんだろう?仏像鋳造の図とおぼしき場面に出てくるワンちゃん。ワリと凶暴そうなのだが…寺の境内にいるワンちゃんときたら、コレ。そこ、道の真ん中なんだけど。まあ、こっち(通行人)がどくからいいけどね。「大理石の床は、冷たくて気持ちいいよ~」「だね~」もしもし、クルマの下のお犬様?顔の下の面妖な水溜りは、もしやアナタ様のヨダレ?ワンちゃんも、夕方涼しくなってから活動するのだろうか?しかし、昼間っから、そんなに寝てばっかりって、動物としてど~なのよ?チェンマイでは、寺ではこういう犬を保護してるらしく、犬のために寄付を募る「お賽銭箱」もあった。
2009.08.14
クルマをシャットアウトした通りにも、少し脇に入ったお寺の境内にも、露店がずらりと並ぶチェンマイ・ウィークエンドマーケット。値段もナイトバザールに比べると安い。そのせいか、あまり値引きに熱心ではない。ナイトバザールで見かけるものもあるが、まったく初めてお目にかかるものも多かった。ゴージャスもどきの箱。遠目に見ると、かなり豪華なのだが、近づいてみると、「う~ん」という感じ。見て歩く分には楽しい。ずらりと並んだフルーツ形の小物入れは、木製のラッカー仕上げ。これも他では見なかった。工芸品としての出来では、リンゴが一番よかったのだが、ここはタイ。大好きなマンゴスチンを買うことに。しかし、この露店をやっている家族、商売はまったく素人のよう。迷ってるMizumizuを家族全員で、(何か食べながら)下から無言で「じ~っ」と見つめている。セールストーク、完璧ゼロ。最終的に大きいのと小さいの2つ買ったら、喜んで丁寧にお礼を言っていた。黙ってはいるが、売れても売れなくてもどちらでもいい、ではなく、買って欲しいな~という気持ちはあるらしい。2つでいくらだったか忘れてしまったが、150バーツ(450円)ぐらいだったかな? こちらも特に値引き交渉もせずに買った。しかし、この小物入れ、ヘタの周りを黒い輪郭線で太く縁取ってしまっているのが、すべてを台なしにしてると思うんですが(笑)。遠目に見ると、この輪郭線が影のようになって、ヘタがくっきり盛り上がって見えて悪くなのだが、近づくと、「ヘタと果実の境界線のあたりの塗り分けが面倒だから、黒い輪郭線で消しちゃえ!」って感じの、とても志の低い職人仕事のように見える。「灯り」もこちらの人は大好き。吊るすタイプ、差すタイプ、置くタイプ。さまざまなインテリア照明が露店で売られている。これも遠めに見ると、とってもロマンチックで幻想的なのだが、近づいてみると、とっても大雑把な作りだということがわかる。しかし、ちょっとしたお土産なら、そんな大雑把な作りもご愛嬌のうち。1本10バーツ(30円)の木のしおり。これ、現在東京で使用中だが、素朴なぬくもりがあって、案外いい。手描きの色絵には、(それなりに)味がある。象のキーホルダー、たしかセットで100バーツ(300円)ぐらい。一応(苦笑)、皮製。縫製がカワイイというのか、とってもテキトーというのか… ウィークエンドマーケットに漂う空気、そこにあるのは、やはり「懐かしさ」だ。かつての日本にも、こうした手作りの「ちょっとしたモノ」がたくさんあった気がする。キッチュな品々が安く豊富にあるのが、雑貨天国・チャンマイの魅力。手芸の好きなお母さんが作った…レベルのものも、今の日本だと安くは売れないだろうが、こちらでは安く売って十分まだ商売になるらしい。ちょっとしたお土産には絶対に事欠かないハズ。女友達2人で来ても楽しい町ではないかと思う。治安もいいし、法外なぼったくりもない。ただ、ちょっとアテがはずれだったのは、文化遺産が思ったほどたいしたものでなかったこと。「チェンマイは、日本でいえば京都のような位置づけの古都」と言われて、過剰に期待してしまっていたのかもしれない。歴史・文化という意味で、チェンマイを京都と比べるなど、おこがましいというもの。実際に行ってみて痛感した。それについては、また明日以降に。「北のバラ」というキャッチコピーが、的を得ているかどうかは判断しにくいのだが、ジワジワと虜になる魅力をもった不思議な町。チェンマイの最終日、連れ合いと、「チェンマイ、また来るかねぇ~」「来ないんじゃないの~」「たいして見るところもないしね~」と言っていたのだが、帰ってきてみると、「また行ってもいいかな~」チェンマイは、そんな町。ここを拠点にして、たとえばラオスのルアンパバーンにも行ける(さすがに日帰りは無理だが)。スコターイまでなら、ホテルまで迎えに来てくれるエアコン付きバスで片道470バーツ(1400円)・所要4時間(地球の歩き方には6時間と書いてあった気もするので、時間はアバウトかも)、日帰りも可能だとか。テレサ・テンはチェンマイで亡くなったが、アジアの歌姫がこの町を愛した理由も何となくわかる気がする。
2009.08.13
毎週日曜日に、ターペー門をはさんで城郭の内側――つまり旧市街――にある道路を歩行者天国にして開催されるという、ウィークエンド・マーケット。「ナイトバザールとおんなじようなもんかねぇ…」と言いつつ、せっかくだから、行ってみるか、ということになった。だが!日曜にやるということと、歩行者天国になるということはすぐにわかったのだが、肝心の時間が俄かにはわからない。ホテルのフロントにでも聞けばいいのだが、「ま、日曜のマーケットだから午後からでしょ」と適当に決めつけて、午後2時ぐらいに、ターペー門に行ってみた。しか~し!全然歩行者天国になってないじゃないの。マーケットをやる雰囲気でもなく、クルマがじゃんじゃん行き交っている。「あれ~」「変だね~」と、道すがら見つけた、ちょっとした旅行社のような店に入り、かくかくじかじかのマーケットの時間やいかに、と尋ねたら、なんと、「午後5時から真夜中まで」だと言うではないか!土曜の夜ならわかるが、日曜の夕方から夜そんなに遅くまでマーケットやるの? 毎週?とりあえずいったんホテルに帰るかということになり、「ちょっと堀の写真を撮ってくるよ」と連れ合いが離れた。少しの間、1人で待っていたら、向こうから片足を引きずった青年がニコニコしながら近づいてきて、「マッサージやりませんか?」と話しかけてきた。え?と思って見ると、城郭の壁にそって長いすが並び、主に白人が何人かマッサージを受けている。フットマッサージ30分で60バーツ(180円)、肩や腰をもんでくれる1時間マッサージで120バーツ(360円)と良心的なお値段。ちょうど木陰になっているのだが、パラソルなども広げて涼しげ。ナイトバザールにも、並んだ店の隅のほうに露天マッサージ店が出ていたが、こちらのほうがずっと開放感があり、気持ちよさそう。青年と話していると、連れ合いが戻ってきた。「マッサージやる?」Mizumizuはやってもいい気分だったのが、Mizumizu連れ合いは、全然疲れてないし、マッサージという気分にはなれないという。早めにホテルに帰ってプールで泳ぎたいらしい。そこで、お兄さんには、「今いったんホテルに戻るから、また後で来る」と約束して別れた。チェンマイは、タイの中では温和な気候とはいえ、やっぱりそこは南国。特に午後に太陽が出たりすると、物凄く暑く、体力の消耗が激しい。ホテルの宿泊客もそれをわかっているのか、午後は案外プールでごろごろ過ごしている人も多い。そして、涼しくなった夕方から、またお出かけするというリズム。いったんホテルに戻って、午後5時近くになったところで出直す。ターペー門はもう、人でごった返していた。これが、さっき連れ合いが撮った城郭にそった堀の写真。象「パオォ~ン」ターペー門のすぐそばで、生オレンジジュースを売る店発見!その場で絞ってくれるこの屋台は、ありそうで案外見つからない。見つけたら迷わず買おう、20バーツ(60円)の生オレンジジュース。し、しかし…なぜか店によって、美味しさに差がある。ただオレンジを絞るだけなのに、何でだろう? どうも機械の違いのような気がするのだが、ハッキリはわからず。このターペー門の店は、ナイトバザールで見つけた店より味は落ちたのだった。残念。さっき話しかけてくれたお兄さんを捜すと、いたいた。壁のそばでお仕事中だった。手を振って近づくと、――は? 誰?という顔をされた。ホテルで上を着替え、白い長袖タイシャツから黒い半袖ブラウスになったのだが、それだけでもうわからなくなったよう。「さっき、あそこで話したでしょ」と言ってもしばらくは、ポカンとしてる。オイオイ!連れ合いと2人で、「ほらほら、あっちで!」「後から来るって言ったでしょ」とたたみかけると、ようやく思い出したように、「あ~」と笑顔になる。大丈夫か、青年!?彼はちょうどマッサージを施してる最中だったので、別の人が担当することに。2人とも女性だったのだが、どうやら、連れ合いについた女性のほうが上手だったよう。マッサージというのは人によって、かなり上手い下手の差がある。それでも夕方の涼しくなってきた風に吹かれながら、大きな木の緑の下で受けるマッサージは、ほかではなかなか味わえない快感だった。上手い下手はあるが、といって手抜きをしているという感じもしない。それがタイ人の偉いところ。マッサージ中のMizumizu連れ合い。最初はフットマッサージだけのつもりだったのだが、途中で全身マッサージに変更。きっちり1時間揉んでもらった。結局、声をかけてきてくれたお兄さんは、先客が終わるとまたすぐ馴染み客が来て、こちらにはノータッチだった。それでも、何かと話しかけてくれる。ダラ・デヴィで無料のアクティビティ「ストレッチング・クラス」というのを受けた。要するにタイ式マッサージをゲスト2人がお互い相手にやってあげられるように、基本的なマッサージのやり方をレクチャーしてくれるもの。そのときの先生は、タイ式マッサージのプロで、めちゃくちゃ上手だった。彼に比べると、ターペー門の露天マッサージのお兄さんは「見よう見まねで覚えた」というカンジがぬぐえないが、それだって値段を考えれば、文句をつける筋合いのことでもない。お兄さんはカレン族だそうで、「インドのほうから来たの、ボク。だから、濃い顔ね」なんて、日本語でしゃべる。「濃い顔」という語彙があるのが面白い。といって、ペラペラではなく、「乗り換えって、どういう意味?」と聞いてきたりする。「最近、日本人は減ったでしょ」というような文法のしっかりした台詞だと、案外通じないのだが、「昔、日本人たくさん。今、少ない。でしょ?」と簡単な単語を並べて話すとわかってくれて、「そうそう、あの赤いシャツの人たちがね・・・」とちゃんとした答えが返ってくる。マッサージの途中でカレン族のカバンなど奨められたが、もうカバンはいらないので、それは断った。明るいお兄さんとの会話は、マッサージと同様、楽しい思い出になった。毎週日曜は真夜中までこのターペー門でマッサージしてるとか。で、この「濃い顔」の彼、なんと自分のメルアドを「kimutaku(キムタク)」にしてるとか。カレン族のキムタクって…? オイオイ!(苦笑)。マッサージを終えて、ターペー門の中へ。白人率が実に高い。そんなにチェンマイ、好きですか?しばらく歩くと、右手にあるお寺の境内が、屋台村になっている。大勢のお客さんでごった返している。奥には、なんと巻き寿しの屋台まであった。おおッ! ソムタム(パパイヤのサラダ)の店発見!向かって左にあるすごい量の白い物体が、パパイヤを切ったもの・・・と思われる。ソムタムと聞いては素通りできない連れ合い、さっそくオーダー。25バーツ。緑唐辛子を「入れるか?」と聞かれて、慌てて断る。Mizumizu連れ合いは、日本人としては、かなり辛いものが大丈夫なヒトなのだが、あの緑唐辛子だけはダメ。木製の鉢でまぜまぜしながら、トントンと叩く。いや、トントンというより、もっとくぐもった音。「トクトク…」という感じ。この木製のお道具は、「コーク」というらしい。近くで売っていた、これまたタイでよく見る「2層のスイーツ」を20バーツでゲット。どういう取り合わせなんだこれ?(苦笑) 軽食なのかオヤツなのか… ということは、まったく気にせず、さっそく食べるワタシラ。両方とも、とっても美味しゅうございました。いや、ホント、びっくりするぐらい美味しかったと言っていい。おそるべし、チェンマイ!特にソムタムは、まさに家庭の味という感じ。作ってる人も、もしかして普通の主婦かな?「当たって嬉しい、花いちもんめ~」と、意味不明の鼻歌をうたいつつ、歩行者天国の道へ戻り、露天を見てあるく(露天の写真は明日。乞うご期待!)しばらく行くと、左側に、またお寺が。境内はやっぱり屋台村になっていた。さっきのお寺は、ソムタムとか、マンゴー&もち米とか、カレーなどを売っていて、食べてるのはほとんどアジア系(地元民?)だったのだが、こちらは、チェンマイソーセージやヤキトリといった肉類を多く売っているせいか、圧倒的に客は白人だった。う~ん、楽しいゾ、ウィークエンドマーケット。ちょっとしたお祭りのようで、出ている露天もナイトバザールよりよっぽどいい。食べ物もずっと美味しい。ナイトバザールは完全に観光客向けだったが、こっちのウィークエンドマーケットは、地元民も多く繰り出しているよう。これからチェンマイに行くみなさん!日曜午後5時からの旧市街でのウィークエンドマーケット、必見です!<明日へ続く>
2009.08.12
チェンマイの代表的工芸品と言えば、やはりセラドン焼きと銀製品。まずは有名なセラドン窯、バーン・セラドン(BAAN CELADON)へ。この窯の商品の写真がきれいなブログはこちら。もしくは、こちらも、セラドン焼きの写真が豊富(これだけあれば、お店が開ける!)。有名店だけあって、品数も豊富で、質的にも最高級のものを置いている。見ているだけで楽しかった。お高いものは避けて、日常的なものを探す。熱帯地方の植物の葉をかたどった小皿・大皿に心惹かれるものの、「お皿はたくさんあるしな~」「持って帰るの大変そう」と迷っている間に、珍しくもMizumizu連れ合いが、「丸い造形と螺旋形に入った象の具象の絵柄が面白くて気に入った」と、壷をご購入に。1500バーツ(多少の値引き後)。2000バーツでVAT Refund(税金の払い戻し)ができるので、500バーツの蓋付き小物入れも買うことに。それで、Mizumizuは、「これ以上ワレモノ増やしても…」と買うのを断念。しかし、今から思うと、「やはり買っておけばよかったかな~」と少し後悔している。旅の買い物はおかしなもので、「何でこんなモノ買ったんだ?」と買ったことをやや後悔するものと、「何であのとき買わなかったんだろう」買わなかったことを後悔するものが出る。レジでVAT Refundの書類を書いてもらう。パスポートの発行日などの情報が必要とかで、Mizumizu+Mizumizu連れ合いは2人もとパスポートを携帯していなかったために、店員さんがホテルに電話して、フロントから情報を聞いて書き込んでくれた。ホテルのフロントでは、パスポートをコピーして控えている。でも、自分がパスポート情報をコピーして持ち歩いたほうがよさそうだと、このときに気づく。VAT refund対象になる買い物をしそうな方は、なるたけパスポートのコピーを持って歩こう。ここでタイの免税手続きについて、再学習。(1)VAT Refundしてくれる店でのみ申請可能。ジム・トンプソンやこのバーン・セラドンなど、タイの有名ブランド店ならたいていOK。(2)1つの店で2000バーツ以上買い物をしたときに、VAT Refund申請書類を書いてもらう。(3)それが合計で5000バーツ以上になったときに、払い戻しを受ける権利が生まれる。戻ってくるのは購入金額の7%。(4)国際空港で荷物を預ける前に税関事務所で購入品を提示する。(5)出国審査後に、VAT払い戻しカウンターでタイバーツを受け取る(カード会社経由で銀行口座に日本円で入金してもらう手もあるが、手数料がバカ高。結局はタイバーツで受け取るしかない。次回のタイ旅行がない人は空港の免税店で使い切ったほうがよい。日本でタイバーツを日本円に両替するのは、かなりバカバカしいレートに甘んじなければならないから)。実はMizumizuは、チェンマイ国際空港で、(4)をまったくきれいに忘れて、搭乗口へ行ってしまった。そこでMizumizu連れ合いがたまたまVAT払い戻しカウンターを見つけて、慌てて書類を提出。つまり(4)の手続きを飛ばしてしまったのだが、ちゃんとタイバーツで払い戻しが受けられた。ラッキー!7%戻ってくるので、たとえば1500バーツのものは1395バーツで、500バーツのものは、465バーツで買ったのと同じことになるというワケ。バーン・セラドンを後にして向かったのが、P. Collectionという銀製品の店。聞いたことのないブランドだったのだが、中には工房もあって、かなりデモンストレーション臭いものの、職人が働いていた。銀細工なんて、神経を集中しなければいけない仕事を、こうした「公開の場」でやるのは、職人にとっては苦痛だろうと思う。ときどき日本のデパートでも、日本の伝統工芸の職人さんが、仕事ぶりを披露するイベントがあるが、あれも元来1人でコツコツ集中してモノ作りをするのが好きな人が、無理やり人前に引っ張り出された感じがして、ちょっと気の毒になる。P. Collectionも、デザインは保守的なものが多かったが、職人が1ヶ月かけて作ったという細かな銀細工を施した箱などは、素晴らしいものだった。素晴らしいが、日本の家屋(というか、つまり我が家)に置くにはそぐわないし、第一、あまりに高い。そこで、手ごろな銀のアクセサリーを探す。店員さんがついて説明してくれた。日本語をかなり頑張って、でも相当たどたどしく話す中年のオバサンだった。オールドシルバーで、気に入ったネックレスを見つけたので、「これとお揃いのブレスレットか、イヤークリップはない?」と聞いたら、「オー、オー」と言いながら、単に「丸い」玉が連なっているというだけで、似ても似つかないデザインのブレスレットを持ってきて、「だいたい同じです」と、のたまうキュートさ。とっても一生懸命なので、笑ってしまった。結局、一点しかなかったので、ネックレスだけ買うことに。「これは、いぶし銀、だから、磨くの、ダメ」と、必死にお手入れ方法を説明してくれるキュートなおばちゃん。チェンマイの売り子さんは、みんなどこか素朴。いろいろ買ってもらおうと頑張ることは頑張るのだが(それなりに)、基本的に、決定的に、押しが足りない。みなさん、押し売りにはなれそうもない。で、思ったほど買ってもらえなくても、必ず最後に手を合わせて、笑顔で、「コップンカー(ありがとうございます)」と、礼儀正しく挨拶する。チェンマイが観光客に評判がいいのも、こうした人々の気質による部分が大きい気がする。バンコクより、ずっとおっとりしている。オールドシルバーとは言っても、本当に文字通りの意味で「古い」のか、それともいわゆる「古美(燻し)」仕上げをしているのか、詳しいことはわからないのだが、このネックレスは、今回のチェンマイ旅行で最も気に入った買い物になった。値段は、多少値引いてもらって8000バーツ。もちろんVAT Refundしてもらったので、7440バーツだったということ(日本円だと2万ちょっと)。以前ジム・トンプソンで買った、シルクのブラウスと合わせるとピッタリ。模様は軽やかなのだが、全体気に重量感があるのがいい。以前、ドバイに行ったとき、ドバイ(というか、中東?)では、金のアクセサリーの価値を決めるのは、何より「重さ」だという話を聞いた。チェンマイでも銀のアクセサリーについて同じことを言っていた。日本人にはあまりそういう意識はないと思う。日本人が海外でつけているアクセサリーは、高級な場所であってもかなり控えめ。これが中国人となると、どーんと重そうな宝石のついた派手な金のアクセサリーをしている。日本人は、エルメスとかルイ・ヴィトンとかのバッグを持って、こざっぱりとした服装で、隅のほうでニコニコしているイメージ。オマケダラ・デヴィでプレゼントされたセラドン焼きの象形カードホルダー。ちょっとした封筒も立てておけて、案外便利。でも、いい気になってあれこれ立てすぎると…よく倒れます。
2009.08.11
チェンマイの名産品、セラドン焼きや銀製品などの店が点在しているのがサンカムペーン通り。だが、サンカムペーン通りは遠い。どのくらい遠いかと言うと…この地図の右端のその先。要はターペー門からまっすぐ西に延びる道を行くだけなのだが、鉄道駅を過ぎ、ダラ・デヴィを過ぎて、まだ行く。旧市街からだと30分ぐらいかかる。しかも、店はかたまってあるわけではなく、数キロにわたって散らばっている。だが、ここは距離のわりには安く行ける。「地球の歩き方」を見ると…「ソンテウ(乗り合いタクシー)を借り切って、観光名所を3時間ほど回ってもらって700~800バーツ」と書いてあるのに、サンカムペーン通りへは「50バーツぐらいで行けるはず」とある。実際に行ってみた身として言うと、3時間=700バーツというのは少し高い。たぶん400~500バーツぐらいまでは交渉できるはず。どうもガイドブックに書いてあるソンテウやトゥクトゥクの「相場」は、実際よりちょっと高かった。トゥクトゥクも「60バーツから」とガイドブックに書いてあるのを読んだのだが、近場なら40バーツで行ってくれた。これは、一時期のガソリン高騰がここにきてひと段落していること、タイの政治情勢の混乱で観光客が減ったこと、チェンマイがシーズンオフだったことから、若干「相場」が落ち気味だったためではないかと思う。だから、またガソリンが上がったり、観光客数が増えたりすれば、「相場」は上がるかもしれない。さてさて、普通にチャーターしたら、数百バーツのソンテウが、郊外のサンカムペーン通りへはどうして、「50バーツぐらいで行けるはず」なのか?答えは、「ガソリンクーポン」。サンカムペーン通りの店は、客を連れてきたソンテウやタクシーのドライバーに、ガソリンクーポンを出すのだ。これは、相当ドライバーにとって助かるらしい。バンコクでもトゥクトゥクで同じようなことがあった(こちらのエントリー参照)。自分の連れて行く店に15分いてくれれば、クーポンがもらえるから、そのあと10バーツで(こちらの)目的地へ連れて行くと。バンコクの店は怪しげな三流店だったが、サンカムペーン通りの店は、たいてい(というのは、ちょっとやっぱり、「この店は…」というのもあったからだ。それについては後述)マトモ。一流店も多い。Mizumizu+Mizumizu連れ合いは旧市街の寺で、英語で話しかけてきたおっちゃんに、「寺4箇所+サンカムペーンのセラドン焼きと銀製品の店」へ連れて行ってもらう条件で、200バーツでソンテウを借り切った。所要時間については、最初「3時間ぐらい」ということだったが、実際には4時間近くかかってしまった。しかも、寺を1つキャンセルしたかわりに、ちょっと辺鄙なところ(ファーハム通り)にあるカオソイの名店にまで連れて行ってもらった。それでもソンテウの運転手は、追加料金を要求することもなかった(こちらがチップで40バーツを上乗せしたけれど)。なにせ、ワシラ、寺もじっくりゆっくり見るし、店でもかなり引っかかる(←これは主にMizumizuだが)。寺でいくら時間をかけて見ていても、運転手は、辛抱強く待っていてくれる。考えてみれば、「タチの悪い」観光客なら、いくつか名所を回ったところで、お金を払わずにドロンしてもおかしくない気がする(ドライバーがついてくるわけではないので、やろうと思えばできる)が、こちらを信用しているのだろう。こういうおっとりとしたところも、昔の日本人を思わせる。そのかわりと言っては何だが、サンカムペーン通りでは、見たくもない「レザー(皮革)の店」とか、興味も何もない「ハニー(蜂蜜)の店」だとかにも、ガソリンクーポンのために付き合った。「10分いてくれればいい。買う買わないでクーポンが増えるわけでも減るわけでもない」というのが、英語を話すガイド役のおっちゃんの話。あとから話してわかったのだが、英語を話すおっちゃんは、実はメーター・タクシーの運転手。なのだが、今車を整備に出しているので、その間、友達のソンテウの運転手に「共同事業」をもちかけたよう。ソンテウの運転手のほうは、まったく英語はダメだが、実直そうで、運転も丁寧だった。ガソリンクーポンの店と組み合わせて名所を回る、値段は相場より安めの200バーツで(内心、クーポンの出る店に余計に連れて行く気だったのだろうケド)、というセールストークで観光客に声をかけていたところに、Mizumizuが引っかかったというわけ。「引っかかった」とは言っても、お互いに非常に満足できる結果になって、ソンテウの運転手もハッピー、こちらもラッキーだった。ムリヤリ興味のない店に連れて行かれたら、不信感も募るが、「ガソリンクーポンのためだから。買わなくていい、10分いて」と正直に言われれば、別に不安にも不快にもならない。名所だけを回ってもらって高めに払うより、名所にサンカムペーン通りのガソリンクーポンの店を組み合わせて、安くしてもらったほうがよいのではないかと思う。もちろん観光客のスケジュールにもよる。サンカムペーン通りだけにすれば、それこそ50バーツとか100バーツで貸切できると思う。興味のない店でも、10分間店内を見ていれば、それだけ運転手は儲かるので、逆に「クーポンの店を何軒か回ってもいい」と話して、値段を安くおさえてもらうという手もあると思う。ただし、待っていてもらうのだし、いくらなんでも50バーツ以下にはしないほうがいいだろう。それと、ソンテウの運転手はあまり英語ができない人が多い(一般的に、「押し」も弱いタイプの人が多いよう)ので、話が通じるかどうかは不明。クーポンが出ることを知らない人もいるかもしれない。チェディのようなホテルだと、ベルボーイがソンテウをホテルの車寄せに呼んでくれて、必要があれば通訳もしてくれるので、交渉しやすいかもしれない。成り行きでソンテウをチャーターして、サンカムペーン通りの高級店を回り、結果大満足だったという方の体験記はこちら。サンカムペーン通りには、工房を備えた高級店が多いが、中には「昔の東南アジア・パック旅行で、こういう店に連れて行っていたよな~」と思うような店もあった。典型がクーポン目当てでおっちゃんに連れて行かれた「蜂蜜の店」と「レザー(皮革)の店」。蜂蜜店は、小さな個室に連れて行かれ、日本語を話すきれいなお姉さんのデモンストレーションを聞く。商品は「ロイヤルゼリー」「ライチの蜂蜜」「野草の蜂蜜」の3つだけ(苦笑)。それも大瓶ですごく高い。いや、大瓶のわりには安いのかもしれない。店の人はそう考えているのだろうけれど、3つしか選択肢がなく、しかも重い大瓶のロイヤルゼリー(あるいは蜂蜜)なんて、よっぽど興味のある人でないと買わないと思う。味は悪くないのだから、ライチの蜂蜜を小瓶にして、500円ぐらいにしてくれれば、物珍しさも手伝って買ったかもしれない。一般の旅行客に売るなら、そういう「小さな商売」にしたほうが、結局は儲かるのではないかと思う。もう1つ、「こりゃダメでしょ」の典型、「レザー(皮革)の店」は、象の革だとか、ワニの革だとかを使った財布やバッグを売る店だった。ここは、なにせ商売の仕方が古い。やはり日本語を話す店員さんが説明してくれるのだが、縫製が悪く、デザインは古すぎる。一体何年売れずに置かれていることやら… という品物ばっかり。店も倉庫みたい。タイシルク、シルバー、セラドン焼きの、工房を備えた店は、確かに高級なものを置いていた。案外賑わっていたのが、宝石の店「Gems Gallary」。頼んでないのに連れて行かれた店(笑)だったのだが、白人の観光客でごった返していた。さすがにこういう場所は女性客の独壇場。後で調べたら、このGems Gallary、バンコク、パタヤー、プーケットにもあるらしい。宝石はまったく買う気がなかったので、見てもピンと来ない。デザインも豊富なのだが、あまりたくさんありすぎて、何が何やらわからず、結局宝石店で、宝石ではなく、ピューター(白目)の花瓶を購入した。700バーツ(2000円ぐらい)。テラスで使う予定。ピューターの特長である、縦に入る銀白色の光沢が気に入って買ったのだが、造形から見ると、花瓶の下方の「膨らみ」があまりきれいな線を描いていない。このあたりがイマイチなところ。タイものには多い。余談だが、アメリカのフィギュアスケート全米選手権では、4位の選手までメダルが授与され、表彰台に上がる。金・銀・銅ときて、4位の選手に与えられるメダルが「ピューター」製だとか(ウィキペディアからの情報)。金属の価値ということから考えても、なかなか的確な選択のように思う。オリンピックでも、4位の選手にピューターメダルを出したらどうだろう?(笑)。シルク製品の店では、店内で絹織物の製造過程を説明していた。糸つむぎ。お客が店に入って来たときだけ、慌てて実演(笑)。昔の日本でも、こういうことをやっていたんだったなあ…(←「ああ、野麦峠」から得た知識)。お蚕さま。機織り。こちらは実際に仕事中だった。1メートル織るのに1時間かかるという説明。製織の知識ゼロなので、速いのか遅いのか、全然わからない(苦笑)。タイシルクの店は、確かにいいモノがあったのだが、デザインが保守的すぎて、結局何も買わなかった。もうターペー門でバッグを買ってるし。こうした店に置いてあるデザインTシャツは、さすがにナイトバザールのものとは違って、絵柄が洗練されている。もちろん、それなりに値段は張る。ところで、従業員がマスクをしているのは、タイで新型インフルエンザの恐怖が蔓延しているせい。チェンマイの街なかでも、マスクをしている人をずいぶん見かけた。<サンカムペーン通り情報は、明日へ続く>
2009.08.10
ニマンヘミン通りでは、新感覚の雑貨を扱う店が多く集まっている、とガイドブックで読んだ。さっそく地図でミマンヘミン通りを探す。旧市街の北西、空港の北。案外大きな通りで、距離も長いらしい(全長2キロ)。いろいろ調べてみると、雑貨店はミマンヘミン通りの北、旧市街から延びるHuay Kaew Rdと交差するあたりに集中してるらしいことがわかった。チェディ・ホテルでもらった地図には、ニマンヘミン通りの拡大図があった。これで見ても、Huay Kaew Rdとニマンヘミン通りの交差点にある、Amari Rincomeホテルからニマンヘミン通りを南下して店巡りをするのがよさそうだ。雑貨店が集中してそうな、ニマンヘミン通りの北の拡大図。このニマンヘミン通り、Huay Kaew Rdを横切って北上すると、そのままチェンマイの外環幹線道路「スーパーハイウェイ」になる。さて、そのミマンヘミン通りには、旧市街からソンテウ(チェンマイの庶民の足、乗り合いタクシー)を拾って行った。最初ドライバーに値段を聞いたら、「2人で60バーツ」と言われた。「50バーツで」と粘って、承諾してもらう。ソンテウの相場は、旧市街周辺で1人20バーツ。ちょっと遠くなると1人25バーツから30バーツ(と聞いたのだが、たいてい25バーツで行ってくれた)。で、ミマンヘミン通りに着いてみると…通り沿いにずらっと雑貨の店が集まってる… という感じではなかった。ニマンヘミン通り自体は、複数車線の非常に大きな、車の交通量の多い大通りで、道に面して店がポツポツ散在しており、あとはニマンヘミンから横に入った路地に、小さな雑貨店が並んでいる、という感じ。Huay Kaew Rdとニマンヘミン通りの交差点から道路の右側を南下。路面店を冷やかしながらしばらく歩くと、ニマンヘミン・プロムナードという路地に出た。こういうこじゃれた店のカンジは、東京と変わらない。チェンマイの若者にも人気のエリアだというのも納得。なぜかビーズの店が多い。銀製品の店もある。デザインは目新しいものも多い。そして、あくまで「カワイイ系」。プロムナードの奥からニマンヘミン通り方向を見たところ。茂っている木は、さすがに緑の力強さが東京と違う。セラドン焼きを扱う店で買った、アロマバーナー。900円ぐらい。この方向から見るとまぁまぁだが、実際にはボテッとしていて、やや間の抜けた造形。それでも、値段を考えれば、普段使いには十分。現在東京の家で活躍中。レモングラスの香りを立てて楽しんでいる。セラドン焼きを扱う店も、ニマンヘミン通りにあるのは、日常的に使える手ごろなものを大量に積み上げて置いてあった。東京でいえば、浅草あたりにある庶民御用達の陶器店のよう。高級セラドンを買うなら、東の郊外のサンカムペーン通りにある窯元の店に行ったほうがいい。チェンマイといえばセラドン焼き。だが。派手なベンジャロン焼きも捨てがたい。というワケで、ベンジャロン焼きのアロマバーナーも買ってみました。上に水とアロマオイルを入れ、下のスプーンに丸い蝋燭を入れて暖める。買ったのはバンコクのスワンナプーム国際空港の免税店。2550バーツ、カードで払って7215円。チェンマイの空港の免税店は、シケまくりで、「何もない」と言ってもいいくらい。チェンマイから来ると、スワンナプームの免税店がものすごく華やかに見えた。チェンマイではあまりベンジャロン焼きを見なかった。バンコクにはたくさんあったのに…と思って調べてみたら、なんのことはない、ベンジャロン窯はバンコク郊外にあるよう(こちらのブログが写真も多くて詳しい)。基本的に、チェンマイ=セラドン焼きバンコク=ベンジャロン焼きと、覚えるといい。セラドン焼きを買うならバンコクよりチェンマイのほうが、品数豊富で安い、ということ。こちらは、ニマンヘミン通りのAmari Rincomeホテル側にある路地の店で見つけた銀製の鍵。スーツケース用に購入。よく見ると市販の南京錠を象で「くるんだ」だけのもの。値段は失念、でももちろん安い。象はチェンマイのシンボル。あちこちで象入り製品を買いまくる、典型的観光客のMizumizu。だが、当のチェンマイでは、動物園で生まれたパンダの赤ちゃんに人気が集中しているとか。このLoyFarという銀製品の店、なかなか凝った細工の銀製品が手ごろな価格で買える良い店だった。デザインも新鮮で面白い。サンカムペーン通りにある伝統的な銀細工の店――保守的なデザインが多い――と比べてみるのも一興。チェンマイの原宿、ニマンヘミンを堪能して、帰りはソンテウでワロロット市場へ。ソンテウはすぐにつかまり、今度は簡単に「2人で40バーツでいい」と言われた。え?と思って乗り込んだら、先客が2人。ニマンヘミンに雑貨を見に来たと思しき20代ぐらいの白人の女性。しかも、同じワロロット市場で降りたのだった。観光客の考えるルートは、だいたい同じってことだろう。
2009.08.09
チェンマイの6つのショッピングゾーンのうち…(1)毎日やってるナイトバザール(チャンクラン通り)(2)ワロロット市場(ナイトバサール地帯の北、早朝から深夜までやっているが、売っているものが時間帯によって違う。中心にある屋根のあるショッピングセンターは午後6時まで)。(3)ターペー門の周囲のショッピングエリア(旧市街城郭の外)(4)ニマンヘミン通り(チェンマイの原宿。空港の北、旧市街から見ると西)。(5)サンカムペーン通り(チェンマイの東の郊外。工場を擁した伝統工芸品の店が多い)。(6)ウィークエンドマーケット(ターペー門を挟んだ旧市街城郭の内側で、日曜日の午後5時から真夜中まで開催)。(3)のターペー門の近くは、チェンマイの中では、高級感のある店が多い。老舗ではなく、流行の店だが、若向けだけではない、マダムの要望にも応えられるような品揃えの店。ターペー門は、旧市街城壁の東の門で、チェンマイでもっとも賑やかな場所の1つ。地図からターペー門を切り取ると…ターペー門からまっすぐに延びているのが、ターペー通り。この通りを歩いていたら、あらら、不思議…なぜか、「かばんフリーク」になってるMizumizu。まずは、黒と赤のバックスキンに刺繍を施した、大胆な模様のバッグをご購入。680バーツ(2000円弱)。安くて、そこそこ質がいい。それがチェンマイ・グッズの魅力。ただ、このバッグ、使ってみたら中についてるファスナーが噛みやすい。よく見れば、ミシン刺繍の糸目が一部で飛んでいたり、革の絵柄とズレたりしてる。そこそこに見えて、案外難がある。それがチェンマイ・グッズの正体。だが、値段とのバランスを考えたら、十分に許せる。安かろう悪かろうにならない、ぎりぎりのところで、デザインもまぁまぁ。それで、気づいたら買っている…(苦笑)同じ店で買った銀のしおり。てきとーそのものの象の絵柄が、とってもキュート。19バーツで買ったのだが、同じ(と思しき)ものが、ナイトバザールでは30バーツ、ウィークエンドマーケットでは10バーツだった。ウィークエンドマーケットでこれを見つけたときは、9バーツx2の損に、ガッカリ。こちらは、タイシルク製品を――ドレスはもちろん、バッグも――売っている店のディスプレイ。サイドに2重のフリルをあしらった、ブラックシルクのショルダーバッグが気に入ってしまった。モノがシルクなので、断然軽く、嵩張らないのがいい。旅行にも便利では…? と思い、買ってしまった。1200バーツを1000バーツ(3000円弱)に値引きしてくれた。しかし、これも、よ~くよく見ると…バッグ本体の中央部分の布が一部裂けている。「裂け」は、大げさかもしれないが、筋が入ってしまっている。一流ブランドなら、商品にできないでしょう。買うときに気づいたので、ストックがないか聞いてみたのだが、現品限りだとか。「シルクは天然素材だから、そういうことはあるのよ」いえ、そういうことはあるにせよ、それを商品として売るのがどうか、と思うワケですよ。考えたが、よくよく見なければわからないし、値引いてくれて、お手ごろ価格なので(←チェンマイ・グッズの甘い罠)買うことにした。ほかにもジム・トンプソンのパクリとしか思えないデザインの、ツートンカラーの小さなシルクバッグもご購入。こういうの、旅先のホテルのレストランなどに持っていくのにちょうどいい。畳めば、本当にぺったんこの布なので、スーツケースの場所を取らない。スクエアポーチと小銭入れもご購入。この2つの小物と上の小さなバッグ、3つで600バーツ(1800円弱)。縫製に関しては、「かなり上手なお母さんが縫った」という感じ。家内制手工業で作っているらしく、相手をしてくれた店のマダムがデザインを決めるのだとか。売り場の上にミシンの置いてある工房があった。ふと見ると、日本語のソーイングブックが置いてある。なるほど、どこかで見たようなデザインが多いと思ったけど、つまりは、雑誌に載っている流行のデザインを見て、それを自分流にアレンジしているのだろう。実際、そのテの店が多いせいか、モノ自体に新しさとかオリジナリティは感じない、それもチェンマイ・グッズの特徴かも。こちらは中華系のおばさんがやっている店で買った、100バーツ(300円)のキャップ。連れ合いがご購入。粗目のざっくりしたコットンで、これまた案外いい。いや、300円にしては、相当いいと言うべきか。だが、売り物にしていいと思えたのはこれだけで、色違いの帽子は色が半分日に焼けて褪せていた(それでも並べてるということは、買いたい人がいれば売るんだろう)。同じオバさんの店で買った、手作り感あふれるカード。1つ50バーツ(150円)。手描きなので、全部絵柄が少しずつ違う。入れてくれた袋がまたイイ。チラシで作ったお手製の袋。カードにぴったりでした。昔、日本でも、こういうことしてる小売店のオバさんがいたような気がする。どこかに必ず、チョット難のある手作り感とそれに見合う値段の安さ――奇妙なノスタルジーに囚われて、なんだかどんどん買ってしまう、オソロシイ街、チェンマイ。しかし、まだまだこんなものでは終わらないのであった…
2009.08.08
ワロロット市場から歩いて、有名レストラン「ギャラリー」に行ってみた。ピン川をはさんで、ちょうどワロロットの向かい側にある。これは、「ちゃーお」という、チェンマイ長期滞在者向け日本語情報誌を発行している会社のもの。チェンマイでは、あっちでもこっちでも地図をくれるのだが、この地図は、観光名所のほかに、有名な食べ物屋、ショッピングエリアなどが日本語でわかりやすく書いてあるのがいい。入手先はこちら。日本人短期観光客にも大いに役立つので、ぜひとも入手を!ピン川をわたる歩行者専用の橋。写真を撮ろうとしていたら、後ろから来た人が、わざわざ立ち止まって待ってくれていた。チェンマイの人の、こうした譲り合いの精神は群を抜いている。自動車のマナーもいい。クラクションであおったりということが、あまりない街なのだ。向こう岸にわたって、南へ歩く。この道は歩道が狭く、歩きにくい。だが、ポツポツとおチェンマイの工芸品を扱う店があり、それほど退屈せずに歩けた。ギャラリーは、文字通り、店頭が工芸品のギャラリーになっている。奥がレストラン。野趣溢れるインテリア。川に向かって開かれていて、席数も多い。川沿いにも席があり、小さな船着場に続いている。川べりは、こんな感じ。日本の田舎みたい。蚊が出そうだな~という直感は大当たり。チェンマイはこの時期、非常に蚊が多い。ダラ・デヴィは、蚊対策に相当気を使っていたので、刺されることはなかった。もう1つのホテル、街中で泊まったチェディは、蚊対策がやや中途半端で、かなりの数の蚊を目撃。だが、蚊取り線香で弱っているのか、刺されることはなかった。思いっきり川沿いのこのギャラリーでは…大きな蚊が数匹寄ってきて、Mizumizu連れ合いはついに刺された。しかし、蚊でストレスを感じて、つぶそうとしたり、追い払おうとしたりしてるのはMizumizu+Mizumizu連れ合いだけだったような…?白人率の高いレストランだったが、あっちの家族連れも、こっちのゲイカップルも、みんな動揺(笑)することなく、静かに食べていた。気にならんの?いつだったか、フィンランドでホームステイしたという日本人女性が、「夕方になるとね~、(ホストファミリーの夫婦は)森を散歩するのよ。私も誘われるんだけど、蚊が出て、イヤでイヤで… でも彼らはなぜか刺されないの。刺されるのは私ばっか」と言っていたことがあった。蚊に刺されやすい人と刺されにくい人がいるのは確かなようで、血液型説もあるようだが、個人的には体温とか汗の量ではないかと思っている。ちなみに、Mizumizu連れ合いは、異常なほど蚊に刺されやすい。彼といると、Mizumizuはなぜか刺されない(笑)。さて、肝心の料理なのだが…ここのチャーハンは最高でした!チャーハンはカオパットという。それにたとえば、エビが入れば、カオパットクン、豚肉が入ればカオパットムー。ギャラリーには、いろいろなカオパットがあり、どれを頼んだか忘れてしまったが、とにかく、あれほど油っぽくなく、さらり、ぱらりと美味しいチャーハンは、そうはない。チェンマイで食べたものの中でも一番だったし、これに比べると、日本のチャーハンがいかに「油まみれ飯」かわかる。粘り気の多い日本米で、ああいったチャーハンを作るのは不可能だろう。ギャラリーではゼッタイに、カオパットをオーダーしよう!しかし…!なんと、カオパットが来る前に、カメラの電池が切れて、写真はなし。カオパットの前に来た、連れ合い注文の毎度おなじみヌードルの写真を撮ったところで、切れてしまった。米から作る麺は、太さによって、センミー(細麺)センレック(太麺)センヤイ(幅広麺)に分けられる。ギャラリーにはセンミーはなく、これは(たぶん)センレック。スープがあるので、「ナーム」。具は牛肉をチョイス。味は、屋台よりは確かに美味しかったそう(連れ合いの談話から)。飲み物にはタマリンド・ジュース(写真ヌードルの左上)を頼んでみた。思った以上に甘く、独特の風味を楽しみながら、美味しく飲んだ。気になる(?)お値段は、カオパット 70バーツ(200円)ヌードル 70バーツソーダ水 30バーツ(タイの水ね)タマリンドジュース 50バーツ(150円)と、とても安い。しかし、ジュースと焼き飯――それも絶品の――がそれほど変わらない値段というのは…ふつうなのかな? タイでは。
2009.08.07
ワロロット市場は、旧市街城郭の東、ピン川のすぐ西側にある。この地図でいえば、左端に見えているオレンジ色の部分が城郭に囲まれた旧市街、その東にある紫色の部分がきのうご紹介したナイトバザール。ワロロット市場はナイトバザールの北にある。ソンテウ(乗り合いタクシー)で最初にこの市場で降りたときの感想は…「ぐえっ、き、きたない…」排気ガスが充満する道端に、さまざまな露店が出ている。どこもここも、およそ清潔とは言いがたい。ソーセージを焼くじゅうじゅうとした煙、ジュースを絞る機械のうなり音、大声で何事かやりあっている売り子と客、道の隅では物乞いをしてる身体の不自由な人もいる。混沌とした生のエネルギーが、とぐろを巻いているようだ。――こ、こんなところで何を見ればいんだろう?一瞬途方に暮れかけるが、とりあえず、市場の中心にある建物の周りを歩いてみた。なんといっても、果物の豊富さと安さに圧倒される。書かれている値段はもちろん、1個ではなくて、キロいくら。日本のスーパーなんてもんじゃない。とにかく積み上げられるだけ積み上げた果物が、いまにも台から落ちそうなほど。それがあっちにもこっちにもある。南国タイは、やはり豊かな国なんだと実感する。ワロロット市場で仕入れたマンゴスチン。マンゴスチンは、日本では高級品(というより、そもそもあまり売られていない)だが、これだけ買ってたったの20バーツ(60円)。拍子抜けするほど安い。タイに「飢饉」って、あるんだろうか? 米は二期作が普通だし、放っておいても果物は食べきれないほど生る。タイで餓死する人って… いるの? 日本では、ときどき聞く。不況のあおりを受けて仕事がなくなり、貯金も底をつき、行政の援助は受けにくく、アパートで1人寂しく餓死したという人の話。ああいった「悲劇」って、タイであるんだろうか。ゼロではないだろうけれど、あまり考えられないことのように思う。これだけ食料が豊富だったら、なにもガツガツ頑張ることないよね。ワロロット市場自体は、早朝から深夜まで商いが続くのだが、中心にあるショッピングセンター(と言えるのかどうか? とにかく屋根のある建物・苦笑)は午後6時まで。1階は食料品街になっている。歩いてみるが、最初の印象はやはりよくない。むき出しの生ものの上に、さかんにハエがたかってるのを見たときは、「なんとかしてよ」と気分が悪くなりそうに。だが!このショッピングセンター(?)で、手作りのサクーサイムーとスイーツを売る店を見つけてからは、そんなネガティブな印象はあっという間に霧散し、ここがチェンマイでも最も好きな場所の1つになった(←ゲンキンすぎる…)これがそのお店。娘さん(夏休み?)を連れたお母さんが1人でやっている。サクーサイムーとは、一言で言えば、「豚肉団子のタピオカ包み蒸し」お母さんの店のサクーサイムーは、ちょっとタピオカのつぶつぶ感には乏しいのだが、いくつか試したチェンマイのサクーサイムーの中では、イチバンだった。パクチーとサニーレタスみたいな野菜をつけてくれるのだが、「少し」と言っているのに、思いっきりたくさん入れてくれるお母さん。毎日その日の朝に売る分を作るらしく、夕方には売り切れに。お母さんは、サクーサイムーのほかにも、同じ豚肉のあんで、「クレープ式に作る、見かけは餃子みたいな食べ物」をその場で作ってくれる。上の上の写真は、クレープというか餃子の皮というか… を作ってるところ。アップにすると…クレープの要領で皮を伸ばし、そのうえにあんを乗せている…できたモノの見かけは、餃子だと思う。名前を知らないので(誰か知ってる方は、教えてください)、「クレープ餃子」と、とりあえず命名。でも、味はクレープでも、餃子でもない(爆)。サクーサイムーと中身は同じで、周りの皮だけが違うのだと、タイのお母さん。ココナッツミルクをかけて食べると、サクーサイムーのぷちぷちした食感とは違う、しっとり滑らかな皮の歯ごたえが新鮮。で、この「クレープ餃子」、色が怪しげと思いませんか? この青なんて、ゼッタイにインチキ人工着色料だと思った。でも!この青は天然の花から、緑は草(日本でいえばヨモギのようなものか?)からつけるのだという。味は… 正直、青も緑も白も、大差ない気がする(苦笑)。これだけ入って、1パック20バーツ(60円)と、またまた、「そんなに安いの?」とビックリする。クレープでも餃子でもない「クレープ餃子」を試したい方は、ワロロット市場の屋根のある建物1階へGO!1パック20バーツだが、サクーサイムーとクレープ餃子を半々で1パックにしてもらうこともできる。まったく初めて食べる人には、それがお奨めかな。また、同じく1階のお母さんの店のすぐそばに、また別のお母さんの店がある。ここでは、ココナッツミルクを使ったタイでよく見るスイーツが売られていた。よくあるタピオカココナッツ+コーン入り。袋に入れて売ってくれたのをホテルに帰って、コーヒーカップに移してみたもの。これまた…うま~い!!タピオカココナッツは珍しいものではないが、硬くて少し青臭い、日本のもののように甘くないコーンがアクセントになっている。ココナッツミルクに対してタピオカがずいぶんと多いのも、日本と違うところ。これでなんと10バーツ(30円)って…いいんですか? そんなに安くて。このワロロット市場のお母さん2人の店には2度、3度と足を運んだ。別の日の買い物。左からマンゴー(1個にしてもらって10バーツ払ったら、おまけで小さいのをくれた)、ココナッツと寒天を合わせた、よくあるお菓子10バーツ(これだけはワロロット市場で買ったものではない)、一番右が、タピオカココナッツを売っていたお母さんの店で買った、カオニャオ(もち米)のココナッツミルクがけ(10バーツ)。全部、うま~い!!マンゴーは少し黒い点が皮に出てきたころが一番美味しいが、このマンゴーも大当たりだった。めちゃうま!!マンダリン・オリエンタルで出されたものよりずっと甘く、濃厚で、よく熟れていた。中央のお菓子はまったく普通に美味。右のカオニャオは相当ウマい。甘いココナッツの風味をよく吸収してるのに、もち米がしっかりしていて、べチャとしていない。お値段は、10バーツ。「カオニャオ、How muchニャオ?」などと質問して、買った甲斐があったワ。これなら20バーツで倍買うべきだった。マンゴーとココナッツミルクがけのもち米を一緒に食べようと思って買ったのだが、結局別々に食べてしまった。それで、十分美味しい。いやあ、すごいゾ。ワロロット市場。こういう庶民の店で売ってるものがこれだけ美味しいというのは、チェンマイはやはり、食のレベルが高いということだ。食通の街のイメージはいろいろあると思うが、Mizumizuにとって、パリだのニューヨークだのは、およそ食のレベルが高いとは言いがたい街だ。美味しい店に行けば、めちゃくちゃ美味しいが、まずい店もあまりに多く、そのまずさたるや、捨てたくなるほど… というのがパリでありニューヨークだ。ビートたけしが、「ルーブル美術館で出された料理が、まずくてびっくりした」と言っていたが、さもありなん。こういう街に共通しているのは、貧富の差が激しいということと、観光客が多いということだ。NY在住の人が、日本とNYで外食の値段はそれほど変わらないと言うのは、別に嘘ではないだろうけれど(地元民は安くて美味しい店を知っていて当たり前だからだ)、観光客が普通に行ける場所で、そこそこの値段のウマいモノがない、やたら高くてマズイものばかり食べさせられるような街は、食のレベルが高いとは言えないと思っている。それでも、ホノルルみたいに、高いばっかりで、さっぱり美味しいもののない街より、パリやニューヨークのほうがマシ。考えてみればホノルルなんて、大きくもない島の中の観光地。もともと大海原に浮かぶ小さな島なのだから、素材が豊富であるわけがない。庶民が通う一般的な店で、それなりに美味しいものが平均して食べられる街、それがMizumizuにとって食のレベルの高い街。東京がそうだし、かつての香港がそうだった(最近は行っていないので、どうなったか?)。イタリアだったら、断然パルマ。チェンマイもまさに、その定義に当てはまる。
2009.08.06
雑貨天国の呼び声も高いチェンマイ。チェンマイの買い物ゾーンを、Mizumizuは大きく6つに分けてみた。(1)毎日やってるナイトバザール(チャンクラン通り)(2)ワロロット市場(ナイトバサール地帯の北、早朝から深夜までやっているが、売っているものが時間帯によって違う。中心にある屋根のあるショッピングセンターは午後6時まで)。(3)ターペー門の周囲のショッピングエリア(旧市街城郭の外)(4)ニマンヘミン通り(チェンマイの原宿。空港の北、旧市街から見ると西)。(5)サンカムペーン通り(チェンマイの東の郊外。工場を擁した伝統工芸品の店が多い)。(6)ウィークエンドマーケット(ターペー門を挟んだ旧市街城郭の内側で、日曜日の午後5時から真夜中まで開催)。他にもあるのかもしれないが、とりあえず上の6つのゾーンの位置と売り物の傾向を把握しておけば、チェンマイのショッピングには困らないハズ。さてさて、今日はまず、観光客なら絶対に行くであろうナイトバザールから。「掘り出し物がある」などと書いてあるガイドブックもあったのだが、実際に行ってみての感想は、「バンコクとそうは変わらん」ということ。Tシャツやタイシルクのクッションなどは、バンコクとまったく同じ品物が並んでいて、がっかりした。チェンマイのが安いということもない。日本でも、衣料品は田舎のが高いが、同じ理屈かもしれない。珍しいものを置いてるのは、ナイトバザールのメインストリート、チャンクラン通りではなく、横道(路地)に入った奥の店。迷路のように続く小さな路地の店に迷いこんでみるのは楽しいが、ハッキリ言って、売ってるものはほとんどがガラクタ。珍しくてそこそこの品質のものは非常に少ない。掘り出し物なんて、ないと思う。あるとしたら、むしろチェンマイの一般市民も来る、ウィークエンドマーケットのほうだろう。また、ナイトバザールは完全に観光客向けで、値段交渉(つまりは値切り)を前提として値づけをしているせいか、案外高い。薄い銀製のしおりが、ナイトバザールで30バーツ、ターペー門近くのふつうの店で19バーツ、ウィークエンドマーケットで10バーツだった。つぶさに見ると珍しいものも、ごくごくたまにあるが、ざっと見ただけでは、同じものがあちこちに並んでるだけのバサール… という印象だった。その「どこにでもあるモノ」の代表がTシャツ。上のほうにあるのが普通のプリントTシャツ。下の1枚が刺繍の入ったTシャツ。プリントTシャツは値段交渉後で2枚240バーツと260バーツ。4枚買ったのに3枚しか写ってないのは、1枚洗濯中だから(笑)。だいたい1枚350円ぐらいということだ。1度に4枚買えば、もちろんもっと安くしてくれるだろう。刺繍のTシャツは2枚で440バーツ。ただ、この値段、ちょっと値切りすぎたのか、売り子の中国系のオバさんが、すごくイヤな顔をしていた(苦笑)。刺繍たって機械刺繍の荒いものだし、1枚660円でそんなに値切りすぎたとも思えないんだけど(再苦笑)。1枚しか写っていないのは、もう1枚が洗濯中のため。タイのコットンTシャツは、値段のわりには着心地はいい。これまでお土産で買ったTシャツでワーストワンの称号を与えてあげたいのは、10年ぐらい前にNYのアメリカ自然史博物館で買った恐竜Tシャツ。コットンの質がこれ以上ないくらい最悪だった。コットンなのに汗は吸わない、すぐ(汗)臭くなる。洗っても乾きが異常に悪い… いったいあの粗悪なコットンをどこから入手していたんだろう(たぶん、中国だろうけど)。そういった「先進国の観光地での粗悪なお土産」に比べたら、タイの露天で売ってるTシャツは、ずっと良心的。寝巻きがわりにホテルの部屋で気持ちよく使った。そうそう、なぜかタイでは、白いTシャツより黒い(というか色つき、ということかもしれない)Tシャツのほうが高い。染める手間がかかっているということだろうか。日本人にはちょっとない感覚だと思う。同じく、あちこちにある「石鹸のカービング(彫り細工)」。手前に空間があいてるのは…Mizumizuがお買い上げしたから。150バーツ(450円)を値切りなしで購入。このソープ・カービングの店では、必ず売り子が石鹸を彫ってるフリをしているが、あれはあくまで「フリ」であって、どこかで大量生産してることは間違いない。だって、どの店もみんな置いてるモノは同じだもん。珍しいとまではいかないが、それほどたくさんは出回っていないタイシルク+コットンのキルトクッションカバー。もちろんミシンキルトだが、縫製も露天売りのものにしては、まあまあで、値段も手ごろだった。値段は失念してしまった。2枚買って、多少値引いてもらった。タイシルクのクッションカバーは、本当にどこにでもあるのだが、縫製がかなり荒いものもあるので、注意。こちらは、案外珍しいモノの例。Walking Buddha(遊行する仏)のレリーフ銅版。同じ店で買った(これはたいして珍しくない)小さな仏像。こんなサイズの仏像にも、売り子のお兄さんが言うには、「バンコクのブッダ」「チェンマイのブッダ」で様式を変えているという。ちなみに写真は、「スコターイのブッダ」。バンコクの国立博物館で見たときも、スコターイ仏が一番姿がいいと思った。このナイトバザール、そこそこのものも多いが、「こんなもの売るの?」と思うものも多い。ものすご~く雑な刺繍の入ったズボンを、しげしげ見ていたら、気に入ったと思われて、奨められてしまったことも…このヘタクソな刺繍を、本気で売り物にする気?と驚いていただけなんですが。夜目で品物がよく見えず、勢いで買って失敗したものも…これが、「チェンマイでの最大の失敗買い物」と自認するイグサのランチョンマット。去年バンコクのナイトバザールで竹のランチョンマットを買ってよかったので、今回も手ごろなのを買いたいと思っていた。ナイトバザールで見つけたのが、上の1枚。イグサの編みこみなのだが、素材があまりに薄々で、モノは相当よくない。そのうえ、よく見たら、端のほうが汚れてるのが多い。「だいじょ~ぶ! あなた、洗える!」と売り子のインド人(カシミールから来たインド人と本人は言うのだが、顔は彫りが深く、肌は白く、といって白人ではない。肌の白いアラブ系みたいな顔立ち)のお兄さんが日本語でまくしたてる。アンタが洗ってから売れよ!うんざりして立ち去ろうとしたら、「4枚で300バーツ(900円)にするから」と追いすがってきた。まあ、1枚200円ちょっとなら、使い捨てレベルだし、と買うことにして一番状態のいいのを選んだ… つもりが、よく見たら左から二番目のなんて、端に穴があいているじゃないの。虫にでも食われたんか? イグサの色もまだらに褪せている。しかも、後日ニマンヘミン通りに行ったら、イグサと草木染の布を組み合わせた、素朴ながら雰囲気のあるランチョンマットを見つけてしまった。そっちのほうがずっとよかった…というわけで、まさに安物買いの銭失いの典型。そうそう、チェンマイで最高にマズマズの料理もナイトバザールだった。チャンクラン通りから1本入った場所にあるアヌサーン市場の、モロ観光客向けで白人しかいない店。アヌサーン市場の食べ物屋で、「客の呼び込み」をしてる店には、絶対に入らないほうがいい。ピッツァからタイ料理まで1軒で出す、なんてのも最低。この2つの条件にモロに当てはまる店に入ってしまった。センミーならそうは外れないだろうと、Mizumizu連れ合いが、店の人にあるかどうか聞いたら、メニューにはないが作れる、とかいうつもりらしく、乾麺を出して見せてくれたのだが…全身凍りました。なぜかって?腐っていたんですよ、乾麺が。乾麺が腐るって、どういうこと? と思うでしょ。乾麺の袋に穴があき、そこから水分が入り込んだのを、長いことほったらかしにしてたらしく、麺の一部が恐ろしく真っ黒のカビている。そ、そ、それを使うの?使いそうだな~。「オ~! こっちならクサってな~い、マイペンライ!(←気にしない、大丈夫、といった意味らしい)」かなんか言って…いまさら席を立つのもあまりに失礼だろうし、センミーはやめて、メニューにあるものにしよう、とパッタイとソムタムをオーダー。これがそのパッタイ。見かけはそれほど悪くないでしょ? むしろ美味しそうだったりして。皿もきれいなのを使ってる。しかし…パッタイなのに、変にすっぱい。日本でいえば、焼きそばがすっぱいようなもの。「酸味がある」のではなく、「変にすっぱい」のだ。なんで???もちろん激マズ。大半を残した。そして、そのあとお腹の調子が悪くなった…これが「チェンマイ最大のハズレ料理」だった。しかし、値段からすればたいしたことはない。30バーツ(90円)とかその程度。繰り返し言います。「客引きしてる食べ物屋は、絶対に避けよう」。アヌサーン市場でも、隅のほうでは、一品料理(センミーもあった)を出す、文字通りの屋台がある。そっちのほうがずっとマトモ。
2009.08.05
ダラ・デヴィでの4泊は、夜遅くなるとあまりやることがない(バーなどは開いているのだろうけど、ゲストも少ないし、わざわざバギーを呼ばなければいけないし、行ってさびし~い気分になってもナンなので行かなかった)ということ以外は、予想以上に退屈せずに過ごせた。ただ、チェンマイに行く人に諸手を挙げて奨めるかというと、そうでもない。というのは、ここはチェンマイの街から相当離れている。ホテルを出て、ちょっと街をぶらぶらするという楽しみがない。街中への送迎はないの? と思われるかもしれないが、ありますよ。あるけど、無料のシャトルバスサービスは1日3便か4便と、とても少ない。メーター・タクシーを呼んでもらえば、200バーツ(600円)で街中に行けるし、戻ってくるときは、どこかホテルにでも飛び込んでメーター・タクシーを呼んでもらえばいいことだ(流しのメーター・タクシーはいない。流しはソンテウという乗り合いタクシーだけ)が、これが案外億劫なのだ。1つにはダラ・デヴィが快適すぎるということもある。実際、ダラ・デヴィを出て、チェンマイの街中のナイトバサールに行ったときは、あまりのキタナサにショックを受けてしまった。ダラ・デヴィというのは「泊まるところ」ではなく、「滞在するところ」なのだ。そして、ダラ・デヴィだけで完結した世界をもってしまっているので、肝心のチェンマイの街に行く気が失せるという本末転倒なことになる。裏を返せば、それだけ素晴らしいホテルだとも言える。笑顔がいっぱいの親切なスタッフに、何から何までやってもらって、まるで王族になったような気分。自分という人間が上等になったかのような勘違いをしそうだ。ホテルの良し悪しを決めるのは、結局は人だと思う。たとえば、朝食のときに、テーブルを回って、各ゲストと軽い会話をする中年のスタッフがいた。年のころは50歳ぐらいか。きれいな英語を話し、会話だけでなく、Mizumizuがうっかりレンゲを忘れておかゆを持っていこうとすると、さっそく寄ってきて、「お持ちしましょう」と手伝ってくれる。そのときにちゃんとレンゲを取ってのせ、Mizumizuの後ろからうやうやしくついてくる。そんな気配りもできる人だ。相当のベテランらしい雰囲気が、自信のある態度から漂ってくる。その「自信」は、「偉そうな」自信ではない。ゲストにサービスするのが楽しいといった、「仕事に対する」自信なのだ。最終日の朝は、Mizumizu連れ合いに、「今日が最後ですね。またお会いできるのを楽しみにしています」と声をかけてきた。前日の会話で、部屋で仕事をしていると話したのをちゃんと憶えていて、「今度は仕事なしだとよろしいですね」とも付け加える。そして、最後に朝食を終えて出て行くMizumizuたちへ、「また、ぜひ(来て下さい)」という一言を忘れない。このタイミングとこの挨拶が大事なのだ。黙って見送られるのと、一言、「またお待ちしています」と言われるのでは、ホテルの印象がぐっと違ってくる。こういうことが自然にできるのが、マンダリン・オリエンタルの人材の優秀さだ。簡単なように見えるが、どのゲストが最終日なのかまで気を配るのは、なかなかできることではない。若いスタッフばかりでないとうことも大切だ。年齢が若ければ安く使える。それはわかるが、こういうベテランスタッフの経験からくる、ちょっとしたサービスには、「深み」がある。痒いところに手が届くというより、痒いと言う前に掻いてくれる感じ。どんなにいいマニュアルを作って教え込んでも、若いスタッフには、そう簡単にマネはできない。落ち着き、余裕、安心感… 経験からしか身につけられない態度というものは、確かにあるのだ。「ベテランのホテルマン」がいるホテルが、最近は少なくなってきているが、マンダリン・オリエンタルにはそういう熟年の人材が、若手に交じって生き生きと働いているのがいい。バンコクのマンダリン・オリエンタルでも、チェックアウトしてから夕方まで時間をつぶしたプールで、最後の最後にスタッフがMizumizuに、「今回のご滞在は2度目でしたね。また次をお待ちしています」とちゃんと言ったのだ。まるで手品(笑)。だから、そうした「人資源」にお金を出してもいいという人には、心からお奨めできるのだが、チェンマイをくまなく見たい、アクティブに動きたい、ホテルに高いお金を払いたくない、という人には奨められない。チェンマイに1泊とか2泊しかしないのなら、やはり街中のホテルにしたほうがいいと思う。チェンマイはホテルの供給が過剰らしく、相当いいホテルでもかなり安く泊まれる。Mizumizuたちもダラ・デヴィに4泊したあと、ナイトバザールの近くにある「ホテル・チェディ」に移って、そこで3泊し、精力的にチェンマイの街を見て歩いた。さてさて、ダラ・デヴィ最後の夜は、またもタイ料理レストラン「グラン・ランナー」へ。前回は頼みすぎたので、今回は2人2品に抑えることに…海老好きのMizumizu連れ合いは、海老の揚げ春巻き。これやっぱり、3人分だと思うのだが…(苦笑)。カオソイの次は、やっぱり定番グリーンカレー、というのはMizumizu。こちらもタップリ。味はやっぱり、バンコクのオリエンタル・ホテルの「リム・ナーム」(アラカルトの食べられるテラス席のほう)を超えることはなかったが、別に比べなければ言うことなし。バクバク食べる。デザートも定番の盛り合わせにしてみた。どう考えても、やっぱり3人分だと思うのだが(←それしか感想ないんかい!?)… これまた食べきれず、お持ち帰りにしてもらう。大人数で一皿を分けることを前提としてるんだろうか?この日ももちろんタイ舞踊つき。前回来たときに見たし、同じものだろうと思って少し遅く行ったら、これまた裏目に…その日は客が多く(といっても、テラス席に5組ほど)、前回のように踊り子さんたちの目の前のテーブルというワケにいかなかった。そのうえ、同じだろうとタカをくくってい演目もまったく違った。日曜日の夜は、小さな舞踏作品を連続させて見せていたが、水曜日の夜の演目は、「ラーマキエン」から。ストーリーのある展開で、日曜日の舞踏作品よりずっと見ごたえがあった。前髪が中村俊輔のお兄さんが、仮面をかぶって大熱演。Shall we ダンス?映画『王様と私』のユル・ブリンナーは、この動きを真似ていたのだな。古い映画の元ネタを思いがけず発見してしまった(『王様と私』のShall we dance? の動画はこちら。ユル・ブリンナー+デボラ・カー。役所広司+草刈民代が踊る40年前)しかし、タイの王様が、胸のはだけたこんなカッコでこんな踊りを踊っちゃまずいでしょう。タイで上演禁止になるのは、当然。こっちの「王様」はもっとひどい。ユル・ブリンナーのような抗しがたい性的魅力がないのは仕方ないにしても、この衣装の着方のだらしなさ、しぐさの滑稽さは一体なに!? いやしくも実在したタイ王国の元首を、完全に野蛮な未開人扱いしてる。これが1996年というから、呆れる。どうにもならない白人のアジア蔑視は、こういうちょっとした部分にさりげなく、如実に出る。よっ! 井上怜奈&ジョン・ボルドウィン!!(←似てないっちゅーに)最後にみんなでご挨拶。前髪が中村俊輔君は、汗かいて別人になっていた。タイ舞踊つきのこのレストランは、ダラ・デヴィのエントランス近くにあるから、宿泊客でなくても来ようと思えば来られる。インテリアを含めた雰囲気も素晴らしいし、料理も1品300バーツ前後とお手軽。後で知ったのだが、ホテル・チェディのレストランより明らかに安かった。もちろんダラ・デヴィのホテルの格は、チェディより2ランクぐらい上の感じ(ただし、星数でいえば、どちらも5つ星)。チェンマイに来て、少し豪華が気分を味わいたいなら、足を運ぶ価値はある。もちろん、メーター・タクシーも呼んでくれる(でしょう)。チェンマイの街からは15分か20分ほど。メーター・タクシーは、200バーツと相場からすると割高なのだが、日本人にとっては安いものだと思う。
2009.08.04
マンダリン・オリエンタルの魅力――最高級ホテルとしての強みと言ってもいいが――は、スタッフのきめ細かなサービスと食事の美味しさだと思っている。ダラ・デヴィの朝食も期待を裏切らなかった。果物、蜂蜜、マカダミアナッツといったチェンマイの土地にまつわる食材をきちんと提供しつつ、西洋風あり、中華風あり、和風(!)ありといったバリエーションで、どんな嗜好のゲストにも一定の満足を与えるように工夫されている。初めての朝食は月曜日の朝だった。日曜日にゲストがいなかったのだから、当然朝食会場はガラガラ…またまた、とっても寂しい(笑)。お天気もイマイチ…だが、このくらい曇っていたほうがヤワ肌の日本人にはありがたいのだ。ピカーッと晴れると大変よ、太陽光線がキツくて。火曜日、水曜日、木曜日と朝食を食べたワケだが、日が進むにつれて夏休みも本番なのか、ゲストの数が増えてきた。そうなると勝手なもので、ガラすきで、貸切状態だった初日が懐かしくなった。フルーツ天国タイに来たからには… といきなり果物をお皿にテンコ盛りにするMizumizu。7月に入るとマンゴーはバンコクでは美味しくなかったが、こちらでは旬が少し遅いのか、熟れたウマウマのマンゴーが出てきた。真ん中の巨大な夏みかんみたいなのが、ポメロ。日本名ではブンタンというらしいが、日本のブンタンとはやはりちょっと違うような…すっぱそうに見えるかもしれないが、実は味は淡白で、水っぽい。フルーツ盛り合わせの向こうに並んでるのが、これまた生ジュース。ここの生ジュースは、ゲストの注文を受けてから絞る。パイナップル、オレンジ(こちらのオレンジは、緑色のみかんみたいなカタチ)、マンゴーのジュースは最高。ああ、書いてるだけで、もう一度飲みたくなる。あの濃厚なジュースに比べたら、東京のデパ地下で売ってる生ジュースなんて水みたいなもの。イマイチなのが、スイカとリンゴ。リンゴジュースは特にマズい。赤いリンゴは輸入モノしかないようで、こちらのリンゴは緑色の梨みたいなカタチ。それをジュースにすると、まるで草をしぼって飲んでるみたい。あれなら「青汁」のがましかな。生のフルーツ、ジュースのフルーツに加え、シロップを使ったフルーツカクテルも日替わりでいろいろなものが出る。これもまた、おいし。そして、絶品認定をしたいのが…自家製ヨーグルトと採れたての巣蜜。巣蜜は見かけがキライで、日本ではほとんど食べないのだが、これは素晴らしかった。なんと巣箱からそのまま取ってきたような、木枠付きの巣蜜が毎朝出てくる。よく売られているプラスティックの四角い容器入りではないのだ。巣蜜好きの人は、ふつうの蜂蜜では物足りないと言うが、その気持ちが初めてわかった。非常に濃厚だが、どこまでも自然で健康的な蜂蜜の甘さに、不思議なウエハースのような食感が混ざる。そして自家製ヨーグルトは、とてもまろやか。このヨーグルトと巣蜜を一緒に食べると、また相乗効果で舌が大喜び。おかゆは中華風。薬味を自分で入れて、調味料で味を調整する。これもグッド。洋風メニューもあり。これは完全に普通。オムレツは注文して作ってもらう。これまたてんで、普通…(苦笑)。サイズはもっと大きくしてもらうこともできる。もちろん、スクランブルエッグ、目玉焼き、ゆで卵、何でも作ってくれる。パンケーキも好きなだけオーダーできる。あえて1枚にしてるのは、こちらのお腹の都合。案外美味しかったのが、巻き寿し。「タイでは和食は食べない」と豪語(?)していたMizumizu。朝食のときも、2日間は和食には目もくれなかったのだが、3日目に試してみたら、「案外美味しい」というワケで、4日目はたっぷり取りました。3日目に出たのは、「のり巻き」で、そっちのほうが美味しかった。チェンマイは街中でも、日本食レストランをあちこちで見かけた。屋台でも、巻き寿しを売っているところがあったのには、びっくり。むこうに見える焼きソバは、柔らかすぎでした。朝食のあとは、北の(手入れの行き届いた)ライスフィールドをぶらぶら散歩。やっぱり山口市矢原の風景だなぁ…
2009.08.03
「大丈夫か、ダラ・デヴィ?」と、思ったのは、何も無人地帯と化した敷地奥のヴィラ群でだけではない。ダラ・デヴィにはエントランス近くにショッピング・ヴィレッジがあるのだが、ここも空き店舗が目立った。天気が悪かったせいもあるが、とても陰鬱で、蚊も出そうで、長居をする気になれなかった。もっとも、やっている店舗にあるモノ自体は、ちゃんとした「チェンマイの高級品」なので、それは見ていて目の保養になる。さっそく買ってしまった3連の小物入れ。ぐるりの黄色はタイシルク。木製の引き出しの中には、ちゃんとバックスキンの内張りが張ってある。お値段806バーツ(カードで払って、2,232円)。ショッピング・ヴィレッジのほかにも、大寺院のようなメインロビーのある建物↓の1階はショッピングアーケードになっている(フロントは2階部分にある)のだが、豪華なシャンデリアの下がったアーケードにも、ほとんどテナントが入っていない。空き店舗のガラスドアには、「Opening Soon」の張り紙が一応張られてはいるのだが、「いつから張ってるの?」と突っ込みたくなる。このままずっと「Opening Soon」だったりして?店も少ないが、客も輪をかけて少ない。シーズンオフとはいえ、ここまでゲストがいなくていいのか? と他人事ながら心配になるMizumizuとMizumizu連れ合い。夜を待って、「Le Grand Lanna」というタイ料理のレストランに行ってみたのだが、ここも全然お客がいなかった。結局Mizumizuたちのほかには1組家族連れが来ただけ…念のために言っておくと。その日は日曜の夜だったから、特にお客さんが少ない日だったようで、数日後に来たら、さすがにもっと席は埋まっていた。建物は高床式になっていて、インテリアは徹底して、落ち着いたダークな色合いの木。高級すぎず、素朴すぎず、雰囲気はとてもいい。テラス席とエアコンの効いた屋内の席があるが、当然テラス席を指定。ライトアップされた熱帯の植物は、うっとりするような美しさ。たおやかな立像にかけられた薄い布がまた不思議なニュアンスを醸し出し、微風に揺れるさまがエキゾチックだった。食事は、北タイが本場の「カオソイ(カレースープラーメン)」と連れ合いの好きなポメロサラダ。それに名物の1つに挙げられているチェンマイソーセージを含む前菜があったので、それをオーダーしてみたら…前菜もカオソイもサラダも一緒に出てきました。前菜の量に驚く。「これで1人分?」と思わず確かめてしまった。3人分入っている気がする(笑)が、これで間違いなく一皿だという。1人分の料理を2人で分けても、油断すると2皿分請求してくる南イタリアとは、ずいぶん違うわ(苦笑)。写真手前左からカオソイ、その横がポメロサラダ。左奥がチェンマイソーセージや豚肉の串焼きや鶏肉の皮の揚げ物などが盛られた前菜、右奥がカオソイに入れるという薬味。もう1つ、チェンマイに来たら食べてみたいと思っていた、北タイ風カオニャオ(もち米)もオーダーした。バンコクで食べたカオニャオは全部白かった。ここのカオニャオはお赤飯のような色。で、お味は…プールサイドのバールよりは上だが、バンコクのオリエンタル・ホテルよりは下、という感じ。とはいえ、日本のタイ料理のレベルから考えると、格段に美味しいので満足・満足だった。器も厚手の焼き物というのが、いかにも地方料理という感じがして、いい。値段もバンコクのオリエンタル・ホテルよりは安い。しかし、中瓶のスパークリングウォーター(イタリア産)が250バーツと、料理の値段がほとんど変わらないというのは、不思議な感覚。エヴィアンといい、外国から持ってくる水は、タイではずいぶん高い。連れ合いがアルコールを好まないし、Mizumizuのほうはヘタするとアルコールでアトピーが悪化するので、最近はもっぱらガス入りの水が食事のお供。前菜の盛り合わせは、とても2人では食べきれず、部屋へお持ち帰りした。食事をしていると、タイの伝統音楽の生演奏が始まるではないか…!レストランのオープン時間(7時)に合わせて来たのは少し早かった。ウエイターに聞いたら、毎晩8時から9時ぐらいまで、生演奏とタイ舞踊があるという。その時間に合わせて来るべきだった…もう大半食べ終わってしまったので、踊りを見るのに手持ち無沙汰だからとココナッツアイスクリームを追加オーダー。全然まったく、普通でした。2組しかいないお客さんの前で、踊り子さんたちは、いたって真剣に舞踊を披露。ご存知、長爪ダンス。男性は、この中村俊輔みたいな前髪のお兄さん1人で大奮闘。仮面をつけた踊りは、かなりエロチック。曲目に合わせてちゃんと衣装も替え、にこやかに、手を抜かずに踊っている。えらいな~。ここまでお客さんが少ないと、張り合いないだろうに…華やかな舞踊までついた、贅沢なディナーだった。食べきれないほど出た料理の値段は、税・サービス料込みで1435.94バーツ(4000円ちょっと)。安いな~、さすがチェンマイ…などと思ったのは、「娑婆」を知らないからだと、「安+うま」チェンマイの街に出てみて気づいたのだが…とはいえ、雰囲気よし、味よし、サービスよし、値段良心的の素敵なレストランだった。チェンマイを再訪したら、もう1度行きたいレストランの1つ。食事のあと、バギーを呼んでもらって部屋まで。夜のダラ・デヴィを見たかったので、スタッフに頼んで、少しヴィラ群のほうを回ってもらった。ライトアップされてさぞや幻想的だろうと期待していたのだが…とっても暗くて、寂しかった(爆)。――お、お客さん、いるの?バギーを運転していたお兄さんの話では、稼動率20%だと言っていたが…見栄だと思う。もしかしたら、全部で10組もいなかったんじゃないだろうか、あの日曜の夜。おまけに水道管にヒビでも入ったのか、ちょっとした「洪水」になってるところがあったりして…お兄さん、携帯でどこやらにさっそく連絡していた。翌日そこに行ってみると、道を掘り返して作業をしていた。なんか、あっちこっちで工事して、これもシーズンオフだからなのか(そう思いたいが)。やっぱり施工にほころびがあったというのが正解じゃないかという気がしてならないのだが…そうは言っても、実際に泊まったゲストに不便な思いをさせなかったのは、さすがマンダリン・オリエンタルというべきか。シャワーの水の出がちょい悪い、エレベータが(これは相当)カビ臭い、という程度の不便しか感じなかったのも事実。ただ、部屋でフルーツを食べて、皮をそのままにしておくと、どこからかアリンコが来る。それもすぐに。これには閉口して、食べ終わったあとの皮や種は新聞紙に厳重にくるみ、なるたけ時間をおかずにホテルのスタッフを呼んで片付けてもらうようにした。もちろん、呼べばすぐに来てくれた(スタッフ、明らかに余ってるし…)。夜のコロニアル・スイート棟を通路側から撮ってみた。なんだか、やっぱり、寂しい…(苦笑)。夜になっても、ベランダから見える別のスイート棟はまったく電気が点かず、庭はとぉっても暗い…おまけに、深夜どこからか、イビキのような音が聞こえてきた!連れ合いと、「なんだ?」「どこからだ?」と明かりを点け、ゴージャスな部屋をグルグルしてみた。こういう怪現象が起こると、高級ホテルであればあるほど気味が悪い。しかも、ゲストが極端に少ない、周囲から孤立した、広大な敷地の豪華ホテルとなれば…音はどうやら、玄関近くのエアコン開口部からのよう。「動物でも寝てるんじゃないか?」不気味なことを言う連れ合い。確かに、動物がダクトのところで寝てたら、こんな寝息が聞こえてこないとも限らない。相当大きな動物か…?でも…よくよく聞くと、生物のイビキにしては音が規則的すぎる。どうやら機械的なもののよう。ファンが回る音か何かが、たまたまイビキ音に少し似ていただけだったみたいだ。やれやれ…わかってしまえば、翌日からは気にならなくなった。しかし、夜の寂しさは連泊しても変わることはない。食事のあとはやることもなく、ひたすら豪華な部屋に閉じこもるMizumizu+Mizumizu連れ合いだった。仕方ないので、部屋のジャグジー風呂に1日2度入ったりして(←プールでもジャグジーに1日1度は入ってる)。今から考えれば、夜もちょっとサイクリングするなどすればよかったのかもしれないが、真昼間からあまりにひと気のない奥のヴィラ群を見てしまったのがトラウマになって、暗くなってからあっちの方向に行く気になれなかった。
2009.08.02
ダラ・デヴィでは無料で自転車を貸し出してくれるのだが、「敷地の外へ行っちゃダメ」などと言われるので、いきおい敷地内をくまなくサイクリングしてみようか、ということになる。馬車で一巡りしたときは、ヴィラ群のある区域でもメインになる大きな道だけしか通らなかった。地図を見ると大きな道から枝分かれした小道もあるし、ライスフィールド(要するに田んぼ)の中を歩けるあぜ道もある。ホテルの敷地内とは思えないような田園風景の中にあるヴィラ群。背の高いヤシの木があると、さすがに熱帯だな、と思うのだが…ライスフィールドの中に入ると、「ここは山口市矢原(←どこだかわかる人は、たぶん1日に拙ブログを訪問する数千人のうちの10人ぐらい)ですか? という風景になってくる。ヴィラからの眺めはこの田んぼかぁ… 完全に山口市矢原だぁ。蛙の合唱がうるさくないのかな? 蛙が生息不能なほど、農薬使ってるとしたら、それはそれでヤバそうだし… などと考え、ヴィラを予約しなくて正解だったかも、と思うMizumizu。北タイの伝統的な住居を、これまた典型的な北タイの自然の中で再現したという感じ。それもかなり広大な敷地の中に。いやぁ、力が入ってますね、凄い。確かに凄いは凄いのだが、いかんせんスケールがデカすぎた。北のライスフィールドの周囲のヴィラ群は、綺麗に手入れされているのだが…南のライスフィールド、つまり敷地の一番奥のほうに来ると、もはや「広すぎて手が回らなくなっている」感が強い。写真ではわからないかもしれないが、だいぶ建物が傷んでいる。ひと気のない奥のヴィラへ続く小道は、もともと地盤が悪いのか、施工が悪いのか、あるいはその相乗効果なのか、道に敷かれたレンガは浮き、コケが生えてツルツルすべる。道自体が陥没してしまって、レンガが剥がれてしまったところもあった。植物も伸び放題で、手入れがされていない。つまり、奥のほうのヴィラは、もう久しく使ってないということだ。オープンしてまだ数年しか経っていないのに、ずいぶん荒れた雰囲気で、まるで「突然住民が全滅した山村に迷い込んだ」よう。こ、これは…MWの世界?サイクリングした日がたまたま日曜日で、シーズンオフでも、さらにゲストが少ない日だったことも災いしたのかもしれない。奥(というのか裏というのか)にあるヴィラ群は、ほぼ完全無人地帯。隠された(いや、別に誰も隠してないけど)ダラ・デヴィの奥の素顔を知ってしまうと…こんな案山子も、まるで因果を含めてるみたい…「見たな~」「他人(ひと)にしゃべるんじゃないぞ~」大きな道に出ても、会うのはそぞろ歩きしてる従業員ばかり。自転車に乗ってる人も、ほぼ99パーセントが従業員だった。自転車に乗ってどこ行くんだ? やっぱりサイクリングして暇つぶしてるんじゃ… と思ってしまった。あらゆるスタッフが陰りのない飛び切りの笑顔で、明るく挨拶してくる… というのもこの状況だとある意味、コワイ。「これじゃ、絶対やっていけないよね…」思わず連れ合いとダラ・デヴィの経営状態を心配してしまった。同じようなコンセプトの最高級ホテル、フォーシーズンズ・チェンマイに対抗して、あちらより広くしたという話だが、それが仇になってしまったのではないだろうか。あちこちで建物や道を直してる業者の人に会った。コロニアル棟もなにやら通路の天井の色を塗りなおしていたし、そういえば、豪華なエレベータは信じられないくらいカビ臭い。コロニアル棟はオープンからさらに数年遅れて完成したハズなので、ものの2年かそこらで、そこまでカビ臭くなってしまったということだ。どう考えても、何か施工に問題があると思う。奥のほうから、自壊し始めてる超豪華ホテル…まるでペーター・ブリューゲルの『バベルの塔』みたい。上へ上へと壮大な塔を作る人間の足元で、この巨大な建築物は崩壊が始まっている。それでもまだ工事を続ける人々…ダラ・デヴィに泊まるなら、早めのほうがいいかもしれない。いかなマンダリン・オリエンタル・ホテル・グループとはいえ、あのスケールで、初めからあちこちに施工に難のありそうな建物・施設を維持しつつ、サービスの質を落とさずにやっていくのは、至難の業だと思うのだ。実際、フレンチレストランも閉鎖(この建物は、非常に立派なのでいかにももったいない)、ライステラスというオープンカフェも閉鎖(建前では、全部メンテナンスのために閉めてる、ということだった)。もともとタイ料理しか食べるつもりはなかったから、個人的に支障はなかったが、ここまでやってないと、「大丈夫か? ダラ・デヴィ」と言いたくなってくる。上にある緑の「肺」みたいな形をしてるのが北のライスフィールド。この周囲のヴィラは綺麗。一番下にある緑地帯が南のライスフィールド。ここまで来ると手入れはかなり行き届かず。無人地帯と化した「奥のヴィラ」とは、幅の広い道から枝分かれした小道にあるヴィラ群のこと。
2009.08.01
マンダリン・オリエンタル・ダラ・デヴィは、2005年オープンの比較的新しいリゾート。チェンマイ出身の建築家による設計だそうで、20世紀初頭までこの地を統治していたランナー王家にちなむ建築様式をそこここに散りばめ、かつ北タイ各地からチーク材を使って建てられた古民家を移築するなど、この地方の伝統を最大限活かしている。馬車で一巡りしてみたが、チェンマイの建築・文化の粋を集めた野外博物館と言ってもいいくらいだった。モダンなコロニアル・スタイルのマンション、わがコロニアル・スイート棟から馬車で出発。石畳の道をはさみこむようにして、熱帯の植物がたわわ。バナナは、普通になってます。メインロビーの大寺院のような建築も凄かったが、スパ用の建物も凄い。屋根の意匠… ここまでやりますか?これぞまさしく、オリエンタル・バロックと呼びたくなるくらいに過剰な装飾。だが、このスパ棟(スパ・スイートというゲストルームのあるところではなく、スパを楽しむためのアクティビティ施設)、ゲストの姿をついぞ見なかった(苦笑)。時折スタッフが歩いているのを見かけるだけで、ものすごく「し~ん」としている。1度、もしかして中を見学させてもらえるかな、と思って行ってみたのだが、あまり慣れていない女性スタッフが、「部屋にもスパ・コースのメニューはありますが…」と言って、簡単な説明をしてくれただけ。何となく「中を見せてほしい」とは言えない雰囲気で、あまりにひと気がないので、その場で申し込む気にもなれなかった。アトピー体質なので、もともとスパにはあまり興味がないのだが、タイ式マッサージなどもいくつかあったようで、マッサージはやってもよかったかな、とちょっと後悔している。後で気づいたのだが、ダラ・デヴィが提供する無料のアクティビティに「スパ・オリエンテーション」というのがあり、それを予約すれば、どうやらスパ棟の中を見学できたらしいのだ。そこで説明を受けて、興味があればコースを選んで予約、という流れらしい。こうした無料のアクティビティは時間が決まっているので、チェックインのときにもらう日本語の予定表をしっかりチェックしよう。さてスパ棟の脇を抜けていくと、ヴィラ群地帯に入る。コロニアル・スイートがモダンなマンションなら、こちらは素朴ながらも洗練された伝統的建築様式の一戸建てと言ったところ。しかし、日本人の目には、それほど魅力的に見えない…(苦笑)。西洋人には物珍しいかもしれないが、ヤシの木以外は日本の田舎みたいなのだ。それにシーズンオフでゲストが少ないせいもあるが、「誰か泊まってる人いるの?」というぐらい、ひと気がなくて寂しい。途中で見つけた変な木。Canon boll treeとプレートが掛かっていた。日本名は、ホウガンノキ(砲丸の木)。かなり毒々しい花が咲いていた。食虫植物みたい。通りかかった英語のできる従業員に、まさに砲丸のようなデッカイ果実を指差して、「これ食べられるの?」と聞いたら、「ノー、ノー」と首を振っていた。さらに、この従業員、Canon boll treeは「仏陀の木」だと言っていた。だが、これは明らかに間違い。仏教の三大聖樹、無憂樹・印度菩提樹・沙羅双樹のどれとも違う。仏教徒のタイの人間が、なんでそんな勘違いを…? と思い、ネットで調べたら、おもしろいことがわかった。なんと同じような誤謬がスリランカにもあるそうなのだ(こちらをどうぞ。ただし、仏教説話における沙羅双樹の理解に関しては、この著者自身に多少間違いがあるよう。正しくは、無憂樹=釈迦生誕、印度菩提樹=悟り、沙羅双樹=釈迦入滅)。スリランカでは多くの一般人が、このホウガンノキ(Canon boll tree)を沙羅双樹(Sal tree)だと思っているとか。平家物語で名高い、盛者必衰の理をあらわす 「沙羅双樹の花の色」が、こんな面妖な色じゃ困るわ。タイの仏教はスリランカ経由で入ってきているので、まずスリランカに誤って伝えられ、それがそのままタイに伝わったのかもしれない。ホウガンノキについては、京都府立植物園のこの動画での説明が、非常に詳しくて勉強になる。日本には2個体しかなく、花は基本的に夜咲き、果実は人間は食べないが、豚は食べるらしい。ダラ・デヴィ敷地内には、ひっそりとワット(寺)もあった。なかなか由緒ありげ。もともとこの場所にあったのを、リゾート建設のときにも壊さず、そのまま(あるいは少し直して)残したものだろうと思う。
2009.07.30
ダラ・デヴィの2つのプールサイドには、コロニアル・バーとロイ・カーム・バーの2つのカフェがある。もちろん、ロイ・カーム・バーのほうがお奨め。めずらしく片言の日本語を話すウエイトレスさんがいた。マンダリン・オリエンタルが日本人の間でイマイチ評価が高くないのは、英語が話せないとあまり楽しめない、ということもあるかもしれない。日本人スタッフはフロントにいるだけで、レストランにはいない。こういうところで、スタッフと軽く会話するのもサービスの1つなのだが、英会話に自信のない多くの日本人は、話かけられると返って緊張してしまうだろうし、横では白人客がスタッフと楽しそうに話している… そんなこんなで、「ここは、白人優先ホテルだな」と感じてしまう人が多いのかもしれない。さて、片言で日本語を話すお姉さん相手に、まずは飲み物をオーダー。ココナッツ・ジュース。スプーンがついてくるのは、内側の皮にはりついたココナッツの実をこそぎ取って食べるため。以前バンコクの博物館で飲んで、死ぬほどマズかったのだが、まともなところで飲めば美味しいのかと、確かめたくて頼んだ。結果…博物館のものとは雲泥の差でした。とはいえ、ココナッツミルクは好きだが、このココナッツジュース(ココナッツ・シュガーと呼ぶのも同じだと思う)はそれほどでもないことを再確認。飲んでるうちに慣れてきて、だんだん好きになるかもしれないが、どちらかというと…ライムジュースのほうが好き。単にライムを炭酸で割って、ガムシロップをお好みで入れるというジュース。チェンマイのライムはご覧のように、日本のかぼすぐらいの大きさしかない。日本で見るレモン大のライムとは若干違って、味もまろやかというのか、もうひとつパンチがないというのか…レモン大のライムは、とうとう一度もチェンマイでは見かけなかった。ダラ・デヴィには別に「グラン・ランナー」というタイ料理のレストランもある。シェフは同じなのかと聞いたら、違うという答え。バンコクのオリエンタル・ホテルで言えば、ここが「ヴェランダ」で、「グラン・ランナー」が「リム・ナーム」みたいな位置づけなのだと理解する。そこで、食事もオーダー。選んだのは、定番と化したカレーと麺類。グリーンカレーは、具沢山! 味は素朴。カレー自体には、バンコクの「リム・ナーム」のような複雑な洗練は感じられず。こちらのヌードルは、名前は忘れてしまった。出された料理を見て思わず、「これはパッタイ?」と聞いてしまった。でも、パッタイではないそうな。ウエイターの説明によれば、「具が違うから」らしいのだが、詳細は不明。味も具が豪華なだけで、甘めのパッタイのようだったが、とにかく、具が違うので、パッタイではないそうな(わからん)。総論:ここはルームサービスと同じ扱いになるので、タイ料理レストラン「グラン・ランナー」より料理の値段が高い。味は、そのわりには、「まぁまぁ」程度のレベル。プールサイドの明るく開放的な雰囲気を味わいながら、何か軽く飲むだけにしておいたほうが無難かも。基本、Barなので。ロイ・カーム・バーで食事したあとは、ライブラリー(図書館)に行った。図書館は施設の入り口近くにある。途中でお馬さんが草を食べてるのに遭遇。ダラ・デヴィの図書館は、非常に充実しているので、お奨めです。ぜひぜひ行ってみて。日本語のガイドブックも数種類あったので、貸し出してもらって、買い物情報を集めた(←これがドツボの買いまくりツアーの幕開けとなるとは、そのときは知る由もなかったのだが)。日本語のDVDもある。「海猿」とか「黄泉がえり」とかいった映画も(苦笑)。DVDの貸し出しも無料。こういうところで、セコく課金しないのが、マンダリン・オリエンタルのいいところ。ダラ・デヴィの夜は案外やることがないので、退屈な夜は、部屋でDVDを見るのもいいかも。なんで、チェンマイまで来て、部屋でDVD見ないといかんの、という突っ込みはなしでお願いします(笑)。ダラ・デヴィの夜は、遅寝さんには案外退屈、とだけ憶えておいてください。インターネットも図書室でなら無料で楽しめる。図書館内は落ち着いた木のインテリアで、カフェ風のオープンスペースになったテラスもある。水ならタダでサービスしてくれる。ダラ・デヴィはよっぽど、ゲストの熱中症を恐れているのか?プールで長椅子に寝そべっても、水。ジムの待合室でバギーを待ってるときも、水。図書館に入っても、水… が常にうやうやしく供されるのであった。そんな水ばっか、飲みたくない!と内心叫びたくなるほどだった。
2009.07.29
ダラ・デヴィには2つのプールがある。1つはコロニアル・スイート棟から中庭を通って(部屋によっては直結で)行ける、コロニアル・プール。しかし、このコロニアル・プール…し~ん…誰もいない。今の時期、バンコクのオリエンタル・ホテルのプールなら競争率高くなりそうなカバナも誰も使っていない。2度ほど泳ぎに行ったのだが、1度は完全に貸切で、1度は2人女性が泳いでいただけだった。このプールにベランダが直結してるコロニアル・スイートもあり、中庭に面した同クラスの部屋より、確か設定価格が高かったのだが…その価値なしと思う。部屋とプールがあまりに近くて、プールにいる人たちの視線が気になってしまうだろうし、子供が泳ぎ始めたら、かなりうるさいハズ。しかも!このコロニアル・プール、直近にあるトイレが壊れていた。だいぶ長く修理していない感じ。このプールは基本、部屋から直接来るので、更衣室はない。ヴィラ群のほうにある、ロイ・カーム・プールのほうが、プール自体も素晴らしく、シャワーとサウナ、もちろんロッカーも完備したきれいな更衣室がある。だから、コロニアル・スイートに泊まってる客もヴィラ群のほうにあるロイ・カーム・プールに行ってしまうというワケ。この地図の左上の青い部分。グネッとなったのが池で、その横のカクカクしたのがコロニアル・プール。右下のほうにあるゆがんだ扇状になっているのがロイ・カーム・プール。その下にある、少し色の濃い部分は池。ダラ・デヴィ内の移動は、バギー(電気自動車)か小さな馬車を部屋から呼び出して、目的の場所まで運んでもらう。ほかにも、自転車の貸出があり、自転車での移動も可。ただし、この自転車、ダラ・デヴィの敷地内でしか使えない。しかも1日ごとに返さなければいけないので(部屋のそばに置いたまま夜になってしまったら、電話で呼び出して誰かに持っていってもらえうこともできる)結構面倒。自転車も乗ったが、あえて「敷地内」と言われると、ちょい軟禁されているような気分で、哀しかった。外は道路だけで何もないが、少しぐらい外をサイクリングしてみたいな、と思わないでもなかったのだが、まぁ、事故などあったらホテルも困るのだろう。一番便利なのは、バギー。こんなふうにお洒落な(?)ペイントを施したものもあります。実際に部屋に来るのは、座席が2席×2列になったものが多く、前の2席にホテルの従業員、後ろの2席に客が座る。最初の日、フロントに電話してバギーを呼び出したとき、勝手がわからず部屋で待っていた。「ちょっと遅いな~」と思ったころ、フロントから電話があって、「外でバギーが待っております」と言われたのだが、何のことはない。バギーは基本的に、すぐ来てくれる。こちらが出てこないので、バギーのほうでしばらく下で待って、遅いのでフロントに電話してくれるよう依頼していたらしい。バギーを呼んだら、すぐに部屋を出て待てば、それほど間をおかずに来てくれる。バギーは24時間呼び出し可能だとか(さすがに夜中に呼び出したことないけど)。もう1つ馬車という方法もあって、こちらは午後5時ぐらいまでとか。でも、お馬さんは1頭しかいないし、そもそも後ろが狭くて乗りにくいので、最初の日にものめずらしさで敷地内をぐるりと走ってもらった以外は、単なる食事やアクティビティのための移動に馬車を指定する気にはなれなかった。1度ロイ・カーム・プールからバギーを呼んだら、出払っていたらしく、馬車がやってきたことがあった。だから乗ったのは、4泊して2度だけ。さてさて、ヴィラ群のほうにある、ロイ・カーム・プールは…木々に囲まれて、野趣たっぷり。円形を組み合わせた優美なデザインで、ここに比べるとコロニアル・プールがまるで庶民御用達の市民プールのように見える。花の形のシャワーが手前に見えるのが、わかるかな? 水の勢いは、とっても弱いのだが、まぁ、更衣室に行けば、お湯がじゃんじゃん出るシャワーがあるので、このシャワーはちょっと水をかぶるだけのもの。ただ、更衣室のシャワールームは、水は勢いよく出るのだが、水はけがえらく悪くて… チェンマイに長期滞在した人のブログを読んでも、アパートの水周りにはずいぶん苦労している人が多くて(やはりシャワーを浴びると床が水浸しになるとか、水道管から水が漏れたとか)、設計もしくは施工に難があるのは多少仕方ないのかもしれない。奥に見える屋根つきのスペースがジャグジー。中はなんと、黄金のタイル(苦笑)。入るときに柱のところにあるボタンを押して、ジャグジーにできる。丸みを帯びた形状のプールの周りは、木々の間に長椅子が置かれているので(カバナはない)、寝そべった客同士がズラッと並ぶことがなく、気詰まりがない。うまい配置になっていると思う。このプールは実は2段になっていて、写真の長椅子は、下のプール用くつろぎスペース(1組限定)。上のプールの水が滝のように下に流れてきて、下のプールからさらに田んぼ(があるのだ、プールの向こうには)の脇に流れ落ちる仕組み。上のプールは非常に深く、すぐ足がつかなくなるが、下のプールは150センチの深さしかないので、女性でも十分足がつく。このプール、水は非常にきれいで、一切カルキ臭さがない。そのかわり少し塩っぽい。冷たいというだけで、まるでかけ流しの温泉のようなのだ。あの膨大な水に塩を混ぜたうえに、ただ流しっぱなしにしてるのか、あるいは循環させているのか謎なのだが、とにかく水の透明度には舌を巻いた。塩水なので、「浮き」具合もよく、肌にもやさしい。プールの中には水中スピーカーがあり、静かな音楽が流れている。あらゆる贅を尽くしたプールと言ってもいいかもしれない。ただ、ちょっと管理は完璧の完璧とはいかなくて、タイルがところどころ剥がれていたり、タイルの目地に藻がついていたり(木の下になっているところで、水面ギリギリのごく一部)、ということはあった。プール使用時間も夜7時までと、比較的短いのも残念だった。Mizumizu連れ合いは、部屋で仕事をしていたのだが、合い間にこちらのプールで泳ぐのが、すっかりお気に入りに…日本に帰ってきて、自宅での仕事に戻ってからも、午後になると、「ロイ・カーム・プールはないの?」ここらには、カルキ臭くて、水も濁っている、1回250円の高井戸温水プールしかないです。
2009.07.28
部屋におかれた小さなアイテムも、また一工夫ある。微妙な絵柄のメモ帳。お持ち帰り決定。蘭の花が部屋のあちこちに飾ってある。ここにも…リビングの隅に置かれた椅子。床剤はタイルと木材を組み合わせているのが特徴。ジャグジーつきのゆったりとしたバスタブとは別にしつらえれらた、大理石のシャワールーム。シャンプーやコンディショナーはガラス瓶に入っている。ドレッシングみたい。ただ、このシャワールーム、ホースつきと固定式、2つのシャワーが贅沢に設置されているのはいいが、水の勢いがかなり弱かった。施設が広すぎるのかもしれない。なにせ、ホテルでもらったダラ・デヴィの地図は…さながら1つの村のよう。コロニアル・スイートは地図で言うと左上…真ん中あたりにある塔のごちゃごちゃした建物がレセプションとレストランのある中央の建物。コロニアル・スイート群は、中庭とプールを取り囲むようにぐるりと建てられている。Mizumizuたちが泊まったのは、地図で一番上にみえる2つの大きな建物のうちの向かって左側。中庭へは、階段のあるホールから出られる。池越しに、朝食会場になるAkaligoというレストランのテラスを眺めたところ。白いパラソルが広がっているのが、プールわきになる。
2009.07.27
ダラ・デヴィ正面のたたずまいは、見るものを圧倒するスケールで、エントランスをくぐってレセプションに向かう道々、「なんじゃ、これ」と半ば呆れた。予約したのはスパ・スイートという部屋。ダラ・デヴィのホームページにはいろいろな部屋のタイプがズラッと並んでいて、何が何やらわからないのだが、一番安いのがスパ・スイート。スイートの上のランクが1棟1棟独立した「戸建」になっているヴィラで、ヴィラにもいろいろなタイプがある。例によって、ネット上のホテル予約サイト、「旅ウェブ」「エクスペディア」「Agoda」「Hotel Travel」などを比べてみたのだが、結局のところ、またも直予約の「4泊泊まって1泊タダ(朝食含む)」キャンペーンが、税・サービス料金を入れても一番安かった。ダラ・デヴィでも、予約したスパ・スイートから、1ランク上のコロニアル・スイートにアップグレードしてくれた。コロニアル・スイートは、いくつかある「コロニアル・スイート棟」という建物群の中にある、いわばマンションの一室。これがヴィラになると戸建地帯の1戸建になる、というワケ。そして、コロニアル・スイート棟は…エレベータホールからして、こんなに豪華。階段ホール(笑)もあり、ここのガラス戸を抜けて緑いっぱいの中庭を通り、プールに行ける。Mizumizuたちの部屋は2階。部屋に通じる開放廊下は、明るい色のタイルとアンティークガラスを使ったランタンが、コロニアルな雰囲気を盛り上げる。部屋に入って、リビングの窓側から撮った写真。銅製のシーリングファンの下がった、奥行きのある広いベランダ。シーリングファンは強力で、回すとかなり涼しい。日本で出回ってるシーリングファンと違って、安っぽさがない。さすが、マンダリン・オリエンタル。ベランダから中庭越しに見えるのは、別のコロニアル・スイート棟。バスルームから見たベッドルームは、エアコンの調整もリビングとは独立して操作可能になっていた。バスルームの洗面台はもちろん、ダブルボウル。ティッシュケースはチェンマイ特産の銀細工。こんなにクッション並べなくても… ベッドの幅が狭いのは、ブリティッシュスタイルですか?観音開きのドアの向こうにあるのは、ドレッサー…?いや、実はトイレの洗面台。木製のしゃれた意匠。トイレはもう1つあって、やはりドアにはタイシルクの小さな目隠しがかかり、中には白く塗装した木製の腰板が張られていた。家具はすべて暖かみのある木製で、部屋と部屋の間には、同じデザインの透かし模様の入った装飾板がドアの上に嵌め込まれている。想像以上に隅々まで美しい部屋だった。アップグレードしてくれたというのもあるが、値段からすると相当に割安感がある。超豪華ホテルに滞在するなら、シーズンオフに限る。今回のダラ・デヴィ1泊のお値段は…宿泊料 12999バーツサービス料 1299.90バーツ付加価値税 1000.92バーツ地方税 103.99バーツ小計 15403.81バーツ3泊分 46211.43バーツで4泊なので、1泊当たり11,552.96バーツ(カードレートで32,000円ちょっと)。さすがチェンマイ、さすがシーズンオフ、さすが円高。ちょっと安すぎるのではないか、と思うぐらい。インターネット接続料が例によって割高で、4日で2568バーツ(7200円)。しかも、僻地のせいか、かなり遅かった。写真のアップなど、する気にもならないほど。というか、ダラ・デヴィ滞在中は遊ぶのが楽しくて楽しくて、ブログなんて書く気にならなかったというのが本音かな。
2009.07.26
タイでは、もち米に甘いココナッツミルクをかけたものとマンゴーを一緒に食べるデザートがある、というのは聞いていた。マンゴー・ウィズ・スティッキー・ライス、タイ語ではカオニャオ・マムアンというらしい。カオニャオがもち米のことで、タイのもち米は、日本のそれとはまた風味が違うのだが、とても美味しい。以前「バーン・カニタ」というバンコクのレストランに行ったとき、ウエイターに勧められたのだが、確か日本円で1000円以上という、タイのデザートにしては破格に高かったので注文しなかった。日本ではタイ産マンゴーは高いが、バンコクの市場ではとても安く売られているし、それを切って、あとはもち米にココナッツミルクをかけるデザートにそれほどシェフの腕が関係するとも思えない。良質のもち米を使うにしても、1000円超というのは、いかにも日本人向け価格のような気がしたのだ。ちなみにオリエンタル・ホテルの「リム・ナーム」にも「ヴェランダ」にも、マンゴー・ウィズ・スティッキー・ライスはなかった。元来簡単なデザートだから、いつか食べる機会もあるだろうと思っていたのだが、バンコクでは案外見かけない。だが、今回バンコクからチェンマイに飛ぶためにやってきたスワンナプーム空港で、とうとう見つけた。この店にありました。マンゴーが半分だと50バーツ(150円)。1つ丸々だと100バーツ。しかし、そもそも米と果物を一緒に食べるって、ど~なのよ、と疑う気持ちもあったので、とりあえずハーフサイズで試してみることにした。一口食べての感想は… なかなかイケます。まさに、ココナッツ風味の甘いモチモチのもち米と、少しねっちりとした完熟マンゴーの組み合わせ――そうとしか説明できないのだが、もち米の甘さがマンゴーにつきものの、ある種の青臭さを消している。これなら100バーツのにしてもよかったな、というのが結論。階は違うのだが、同じ名前の店で、もう1つ試してみたのが、コレ↓中の黄色いひも状のモノは「フォイ・トーン」と言って、溶き卵を熱したシロップに落として作る。それを半分くるんでる煎餅みたいなのは、タイ語では何と言うのか知らないが、口当たりがパリッとしてない、湿気てしまった「亀の甲煎餅」のよう。あとは干しブドウとナッツのかけらが入って、10バーツ(30円)。お味は…これは、個人的には1度でいいです。フライト時間まで、なんとなくプラプラ過ごしていると、巨大な蝋細工が目に入った。猿がまたクレープをお供えしてる。ワット・ポーでも見たのだが、このクレープは何ざんしょ。そんなことを考えながら、さらにプラプラしてると、低い舞台のような台座で、タイの伝統的な衣装に身を包んだ、宮崎あおいを少しふっくらとさせたような美女がこちらに気づいて、横座りの姿勢を正座に直した。な、なに?と思わず見てしまうと、視線を絡めて、手を合わせ、こちらに向かってにっこり微笑んで礼をする。もちろんMizumizuもニッコリとご挨拶。で…それだけでした。さすが、タイ。空港に微笑み係がいるらしい(爆)。話は少し前後するが、バンコクで1泊して、朝食はできればオリエンタルの「ヴェランダ」で、ポメロ・サラダでも食べたいと思っていたのだが(「リム・ナーム」のほうは朝はやらない)、ディナーのあとヴェランダで聞いてみたら、朝のメニューは昼以降のメニューとは違うという。見せてもらったのだが、洋風のものが多く、食指が動かなかった。「ヴェランダ」は、タイ料理以外はダメだった。なので、ホリデイ・インとオリエンタルの間にあるちょっとした屋台街で朝を食べることにした。夕暮れ時には、あの排気ガスの充満するシーロム通りにテーブルと椅子を出して、現地の人たちがいろいろなものを食べている。路地を入ったところにはグリーンカレーを売る店もあって、結構賑わっていた。ところが…!それは、あくまで午後からの話だったよう。朝早い屋台街は、し~んとしていて、ほとんどの店はまだ営業していなかった。なんとか1つ開いてる麺屋を見つけて、例によって「センミー」を2人でオーダー。ここのセンミーはスープがナンプラー(漁醤)味で、ただ単にしょっぱいだけの科学調味料風味ふんだん(苦笑)。ハズレました(再苦笑)。オリエンタル・ホテルで優雅にポメロ・サラダの朝食を食べるアテもハズレ、屋台もハズレ、昼の飛行機までの時間がえらく間延びした、つまらないものになってしまった。唯一の収穫は、マンゴー・ウィズ・スティッキー・ライスは案外口に合うとわかったことだけだった。……バンコクからチェンマイへは、小一時間の空の旅。チャンマイの空港から市内へは、タクシーでだいたい120~150バーツだという情報を事前にゲットしていた。いざ、飛行機を降りて、荷物を受け取ると、タクシー紹介窓口に行った。受付のお姉さんに、「マンダリン・オリエンタル・ダラ・デヴィ」と言ったのだが、なかなか通じない。ようやく、「オ~、ダラ・デヴィ」と理解してくれ、行き先のパネルを指して言われた値段は、「200バーツ」え?結構高い。目を凝らして確かめたが、間違いなく、DHARA DHEVI 200バーツと書いてある。あとでダラ・デヴィで聞いたところによると、チェンマイのタクシーは、「タクシー・メーター」と車体に書いてあっても車内にメーターはなく(はあ? それじゃ、メーター・タクシーじゃないじゃん)、交渉制なのだが、ダラ・デヴィは市内からでも、空港からでも、200バーツと決まっているそうだ(それじゃ、交渉制じゃないじゃん)。ダラ・デヴィは、チェンマイの旧市街からだと20分ぐらいかかる辺鄙なところにあるホテル。泊まるのは、金持ち(地元民から見れば)と決まってるから、タクシーの運転手同士でカルテルを結んでいるらしい。まあ、600円だから、チェンマイの相場からすれば相当高いのだろうけれど、新宿から成田までバスで3000円も取る国からやって来た旅人から見れば十分安い。200バーツ以上請求されることはないワケで、返って気楽かもしれない。バンコクの空港のように、紹介料が50バーツ余計にかかるということもない。すぐにドライバーがやってきて、そろってタクシー乗り場へ。外は、暑い。確かに暑いが、といって、曇っているせいか、東京以上ということもない。チェンマイはもともと標高が高く、タイの中では涼しいところで、日本の沖縄ぐらいの亜熱帯気候なんだとか。そう言われれば、こんもりと濃い緑の山の風情が、なんとなく日本みたい。熱帯らしいヤシの木もあるにはあるが、バンコクよりずっと少ない。タクシーは混む市内を通らずにダラ・デヴィへ。20分ぐらいで、到着。タクシーの運転手は、いかにも「一生懸命お世辞笑いしています」というおじさんなのだが、不思議と感じは悪くない。なんとなく、日本の田舎にもいそうなタイプだった。金持ちらしいガイジンさんが来て、あまり扱いに慣れてないし、英語もうまく話せないが、必死に感じよく接しようと努めている――そんな態度。「アハハッ、アハハッ」という、冷静に見ると、かなり不自然なお世辞笑いが、ますます日本人みたい。父親のような年のおじさんに、そこまで気を使わせて、返って恐縮してしまった。
2009.07.25
去年オリエンタル・ホテルに泊まったとき、サービスや食事は超一流だが、部屋はそれほどよいと思わなかった。滞在するのならお勧めのホテルなのだが、1晩寝るだけだと割高感がある。そこで、オリエンタルに至近のホリデイ・イン・シーロムにしようと思った。ネットでいろいろな安売りサイトを見たのだが、結局、以前ホリデイ・インに泊まったときに、フロント係に泣きつかれるようにして入ったメンバーカードの番号を使ってログインしてみた会員サイトの提示価格が、一番安かった。シーズンオフのせいか、はたまたタイの国内情勢が混乱して観光客が減ったせいか、「2泊すれば1泊タダ」キャンペーンなどをやっている。ちぇ、そんならバンコク2泊にすればよかったかな~などと思いつつ会員サイトで予約。ツイン1泊2448.16バーツ(朝食なし)と、4つ星にしては格安。ただし、ホリデイ・インの会員サイトでの予約は、キャンセルができない即時決済なので、今後会員になる方はご注意を。しかし、ホリデイ・イン・シーロムは、部屋が狭いとか、シャワーがホースのない、ただのドロップ式だとかいう話もあるし、あまり期待はしていなかった。だが、チェックインしてみたら、「1泊だけのご予約ですので、お部屋をアップグレードいたしました」と言われた(嬉)。通された部屋は角部屋で、予想よりずっと広く、バスルームもゆったりした作りで、ビューバスになっている。シャワールームがバスタブとは別にあるのもいい。シャワーはバスタブについているのもシャワールームについているのも、ちゃんとホースのある可動式。広々バスルームお風呂からの眺めベッドもゆったり「もうオリエンタルはいらないね~」などとはしゃぐMizumizu+Mizumizu連れ合い。だが…!泊まってみて気づいた。見た目はモダンで上等なのだが、いろいろなモノが少しずつ使いづらい。ベットはアメリカンサイズのゆったりタイプだが、それほど寝心地がいいわけではない。悪くもないのだが、「やっぱりオリエンタルのベッドのがいいな」。長椅子も硬くて、長いことくつろぐ気にはなれない。すぐにカバン置き場と化した。シャワーは水の勢いが鈍い。バスタブやシンクは、デザイン性は高いのだが、素材自体あまり質がよくないのか、もうところどころヒビが入っている。ビューバスとはいっても、窓は汚れているし、お湯を張るとガラスは曇るし、そもそもバスタブから見る夜景がそれほど綺麗ではなかった。ただ、アイロンとアイロン台があるところなどはビジネス客には便利だろう(この角部屋だけかもしれない)。部屋には無料の水もあるのだが、エヴィアンは170バーツ(高ッ!)。ちなみに、シーロム通りをはさんでホテルの目の前にあるセブンイレブンでは、水はエヴィアンと同サイズで7バーツから10バーツ。同じメーカーの水がホテルのロビーでは50バーツだった。オリエンタルでは、水はいくら飲んでもタダ。インターネットは有料で、1日502バーツ(1500円前後)。ネットの接続料金が、宿泊代と比較してえらく高いと思うのは、Mizumizuだけだろうか? 「やっぱりオリエンタルの部屋のがいいかねぇ…」「そうだねぇ…」と、翌朝のMizumizu+Mizumizu連れ合い。オリエンタルが1泊いくらだったか、よく憶えていないのだが、4万とか5万というレベルだったと思う。そもそも7000円前後のホテルと比べること自体、あまり意味がないかもしれない。アップグレードのおかげで、値段からすれば大満足だったとは言える。ただ、アップグレードしてくれない場合は、どんな部屋に回されるのかわからないので、一概に「お勧め!」と言い切れないホリデイ・イン・シーロムだった。
2009.07.24
夕食はオリエンタル・ホテルのタイ料理レストラン「リム・ナーム」のテラス席と決めていた。舞台のある建物内の席だとタイ舞踏付きで、決まったコース料理になるが、テラス・リム・ナームならアラカルトで注文できる。オリエンタル・ホテルへは、BTSのサパーン・タクシン駅で降りて、すぐ先の川にある渡し舟に乗れば、それほど歩かずに行ける。オリエンタル・ホテルへの渡し舟はタダ。ただし、夜遅くまではやっていない。舟はホテル本館のテラスに着いて、そのあと向こう岸にあるリム・ナームに行く。懐かしのオリエンタルの渡し舟内部。川面を行く風が心地いい。ホリデー・イン・シーロムも悪いホテルではないが、さすがに川をはさんで宿泊棟とスパ&レストラン棟があるという贅沢は、オリエンタル・ホテルの特権だ。テラス・リム・ナームで川沿いのテーブルに座ったとたんに、雨が降り出した。残念!仕方なく屋根のある席へ移動。アミューズは、去年宿泊したときはもっぱらタロイモのチップスだったのだが、今回はシャーベットだった。ジンジャーとレモングラスの風味が漂うシャーベット。Mizumizu連れ合いは、アルコールを受け付けないのだが、なぜかお酒を使ったスイーツは大好きで、このシャーベットも一口食べて、「うまいな~!」と大絶賛。シャーベットにこれほど大胆にジンジャーとレモングラスを使うといのが、凄い。まさに、ここでしか食べられないオリジナルのエスニック・シャーベット。ここのシェフ、ホテルのPRビデオにも出演していたが、はっきり言って天才でしょう。シェフ自身がブランドになっているホテルのレストランは日本にもあるが、引き抜かれたり、独立されたりしないよう、待遇面でずいぶん気を使うのではないか。タイ料理が好き、とは言っても、おのずと好きなメニューは決まってくる。去年はいろいろな「変わりカレー」も試したのだが、やっぱり定番のグリーンカレーが一番美味しかった。というワケで、今年も注文。器が去年と変わった。薄手の最高級磁器を使っているのは変わりないが、デザインが一新され、1つの器に入る量が減ったような(苦笑)。リム・ナームは席数を増やしたので、そのせいかな。でも、個人的には去年は量が多すぎたので、このくらいで十分。グリーンカレーを一口食べて、「う、うま~」と2人して唸る。まろやかで、洗練されていて、それでいて深い。日本で食べるタイ料理につきものの、ある種の「ドロ臭さ」がまったくない。いったいどうやってこの複雑で上品な味を作るのだろう。このときは、まだチェンマイのマンダリン・オリエンタル・ダラ・デヴィで食べていなかったのだが、同じマンダリン・オリエンタルのタイ料理レストランでも、やはりバンコクのほうが少し… いや、かなり料理の味は上だった。もちろん、ダラ・デヴィの料理も素晴らしいのだが、首都の世界的レストランのシェフの味には及ばない。やっぱり、料理は人ですね。Mizumizu連れ合いは、「日本ではあまり食べられない素材を」と、スリッパロブスター(セミエビ)をオーダー。殻に肉が張り付いて、食べるのが大変なのだが、時間をかけて丁寧に、きれいに食べるMizumizu連れ合い。Mizumizuも少しもらった。甘辛いタレが個性的。締まったロブスターの身にしっかり染み込んでいる。美味しいのだが、あまり量は食べられない味かもしれない。これは大人数で分けて少しずついただく、というのが一番美味しい食べ方かと。デザートは、去年食べて気に入ったお団子(Dumpling)入りココナッツミルク。「sweetly and salty」とメニューに形容されているとおり、甘さと塩辛さが共存している不思議な味。これも去年よりだいぶ量が減った。でも、このくらいがジャストサイズ。いくら美味しくてもスイーツはあまりたくさんは食べられない。タイ最上級のレストランでのお会計は、日本の水準で考えるととても安い。グリーンカレー 350バーツ(1050円)スリッパロブスター 470バーツ(1410円)ガス入りの水、サンペリグノ中瓶 250バーツ(750円)ダンプリング(お団子入りココナッツミルク) 200バーツ(600円)小計 1270バーツサービス料 127バーツ付加価値税 97.79バーツ総合計 1494.79バーツ (4500円弱)でもやっぱり、巷のフードコートの値段と比べると、ゼロが1つ多い(苦笑)。このレストラン、着席すると必ず「カクテル?」と勧められる。カクテルは去年、川向こうのもう1つのレストランでマンゴーを使ったカクテルを頼んで、「まあ、一度でいいかな」と思ったので、こちらのレストランでは頼んだことないのだが、作ってる人は別だろうし、もしかしたら、NYの幻さんのカクテルぐらいのモノを出してくれるのかな? と後からチラと思った。ただ単に、カクテルは利益率が高いから勧めてるだけかもしれないが…次回は、試してみようっと(←また来る気でいるMizumizu)。去年つきっきりでサービスしてくれた、イケメンのウエイター君はいなかった。渡し舟で本館に戻り、エントランスホールに入ると、去年もずっといたエレベータボーイが、ささっとエレベータのドアの前に立って、Mizumizuたちをお迎えする体勢に。ここのエレベータボーイの所作は、それだけで芸術なのだ。残念ながら宿泊はしないので、遠くから挨拶だけして、エントランスを出る。帰りはぶらぶらシーロム通りを歩いて帰った。排気ガスの充満したシーロム通りは、レモングラスの香りが漂う、安らぎに満ちたオリエンタルの空間とは別世界。「下界に降りてきた」という感じだった。
2009.07.23
バンコクに着いてまず最初に行ったのが、大型ショッピングセンター「マーブンクローンセンター」。この6階にあるフードコートでは、美味しいソムタム(パパイヤのサラダ)が食べられるという(←ネット情報)。Mizumizu自身はそうでもないのだが、Mizumizu連れ合いは、バンコクのオリエンタル・ホテルのレストラン「ヴェランダ」でソムタムを食べて以来、大ファンに。今回は、街中で美味しいと評判の店に行ってみよう、ということでマーブンクローンのフードコートを選んだ。ホリデー・イン・シーロムは、BTS(スカイトレイン)の駅にも近く、マーブンクローンも同様。だが、案外タクシーで行っても2人だとそれほど変わらない。なので、行きはタクシーに乗った。これが失敗!モロに渋滞に巻き込まれ、もう少しというところでクルマは全然動かなくなる。黒人のタクシードライバーは、なぜか中央分離帯寄りの車線を走っていて、途中で降りると言い出しにくかったのだが、メーターが88バーツになったところで、たまりかねて降りた。払った金額は90バーツ(270円)。距離からするとかなり高い。しかし、なんだって3車線ある道で、もうじき歩道側にマーブンクローンが現れるというのに、歩道寄りの車線を走らずに、一番停めにくくなる中央寄りの車線を走るのだろう? おかげで道路の真ん中で降りて、すり抜けしてくるバイクに注意しつつ、クルマの間を2車線横切って歩道に行かなければならなかった。マーブンクローンにはすぐ着いた。さっそく6階に向かう。エレベーターの扉が開いて、あらビックリ!そこはショッピングセンターというより、露天のマーケットがそのまま移動してきたような、雑多な雰囲気。マーブンクローンは火災時の避難経路に問題アリと聞いたが、確かに。どでかい空間が小さな店舗で埋め尽くされ、さながら迷路のよう。火事になったら、どっちへ逃げたらいいのかわからない。店の品揃えは、基本的にカオサン通りやウィークエンドマーケットなどで見るものを大差なかったのだが、1店、コットンの帽子でなかなかのものを置いてる店があった。扱ってる帽子は基本的に生成色で、汚れは目立ちそうだが、かぶってみると頭にぴたりと入り、普段使いに重宝しそう。デザインもいろいろあったが、ツバの広いものがタイの強烈な日差しには向いていそうだ。ややゴルフ場で働いてるオバちゃん臭いデザインではあるが、ツバもしっかりしているし、日差しを遮るという目的のためには、デザインよりは使い勝手。後ろがリボンになっていて、それで頭の大きさに合わせて、少し調整できるところも気に入った。190バーツ(570円)と値段も安いから雑に使える。さっそくお買い上げ。190バーツの言い値そのまま。交渉すれば180バーツで売ってくれただろうし、頑張って粘ればたぶん、160バーツぐらいにはなったかな? Mizumizuの場合、交渉――つまり、値切りは、まったく気分次第。タイのコットン製品は、普段使いのものとしては、値段も安く、案外質もいい。タイシルクが有名だが、タイコットンのほうが用途も広いし、値段も手ごろ。むしろ、タイに行ったらコットン、というのがMizumizuの常識になりつつある。「フードコートはどこ?」と帽子屋のオバちゃんに聞くと、奥を指し示された。細い路地のような店と店の間の通路を歩くと、建物の端にようやくフードコート発見。麺類を売ってる店、カレーを売ってる店、揚げ物を売ってる店、ドリンクを売ってる店… 小さな店がたくさん集まっている。タイのフードコートでは、まずクーポン券を買う。払った額と同じ金額が印刷してある紙だ。1バーツ、5バーツ、10バーツと種類もたくさんあるので、お釣りがいらないようにクーポンを店にわたして料理を買うというシステム。しかし…いつも思うのだが、なんだってこんな面倒臭いことをするんだろう?現金がわりにクーポンを使うというだけのために、クーポン売り場には数人の人員が配置されている(といって、別に手数料がかかるわけではない)。クーポンはだいたい、きっちり全部は使いきれないから、余ったら、客はわざわざRefundコーナーに行って、また現金に戻してもらわないといけない。現金でやりとりしたほうが、ずっと早いのに…ネットで調べたが、なんのためにこういう回りくどく、しかもコストのかかるシステムを構築したのか、真相をつまびらかにしてくれるサイトは見つからなかった。1つ推測できるのは、店で雇った店員が現金をちょろまかしにくいということかもしれない。クーポンを現金に戻せるのは当日限り。現金のやりとりだと、10バーツ、20バーツとアルバイトがポケットに入れてしまってもわからないが、クーポンでは不正はしにくい。そのほかの可能性としては、偽札使用防止に多少なるかな、ということか。店で現金をやり取りすると、店のほうは調理に気を取られて、偽札を使われても気づかないかもしれない。クーポン売り場で偽札を使ったら、その場では気づかなくてもフードコート内で食べている間に誰かが気づけば、摘発できる機会は増える。その程度しか思いつかないのだが…客にとっては、面倒なだけのクーポンシステム。その分、料理は割高になるし。さてさて、「美味しい」と(一部のネットサイトで)評判の、コート一番奥にあるソムタム(パパイヤのサラダ)の店へ。注文すると、木製の深い鉢に材料を入れて、トントンとこれまた木の棒で叩くようにしてその場で作ってくれる。叩くことで、パパイヤの口当たりを柔らかくするのだと思う。こちらができあがり。40バーツ(120円)。屋台に比べるとやや高めなのかも。お味のほうは…完全に普通でした。もちろん、十分に美味しい部類です。やはりオリエンタル・ホテルのほうが、ずっと美味しい。ただし、お値段は… 10倍ですか? それとももっと? 一方、ここのフードコートの値段は、日本から来たばかりの身にはあまりに安い。センミーという、細麺に目がない連れ合いは、さっそくつみれ入りのセンミー・ナムをオーダー。ナムというのが汁ありヌードルのことのよう。やはり40バーツで、お味はこれまた完全に「普通に美味しい」。薄味なので、自分で調味料を足して味を調整する。Mizumizuは、タイと言ったらコレでしょ、のパッタイ。35バーツ。やや甘口、つまり欲しい辛さは自分で調味料で足せ、ということのよう。麺が少し柔らかすぎたかな。とはいえ、これまた、まあまあ美味しく食べられるレベルだった。全体的に、インパクトのない「普通に美味しい」フードコートだった。大きな感動もないが、大ハズレのガックリもない。そこそこの店が一箇所に集まっている。そういう意味では、行って損のない、便利なフードコートだ。ちなみに、水はミネラルウォーターの中瓶が12バーツ(36円)。屋台だと10バーツぐらいのものかな。ここのフードコートで、Mizumizu連れ合いがセンミー・ナムを買うとき、何を勘違いしたのか、40バーツのところを70バーツ分のクーポン券をわたしてしまった。売り子のねーちゃんは、何も言ってくれず、Mizumizuはパッタイ売り場にいて気づかなかった。気づいたときには後の祭り。タイは、お釣りごまかしはまずないし、うっかり払いすぎてもちゃんと戻してくれる店員が多いのだが、例外もあるよう。気をつけましょう。あまったクーポン券を現金に戻し、「どう考えたった、手間かかって無駄だよなあ…」と割り切れない思いをかかえつつ、フードコートを後にする日本人2人。そうそう、このショッピングセンター、トイレで2バーツ要求されます。さて、巨大なショッピングセンター内をまたうろうろしたあと、今度は渋滞関係なしのBTS(スカイトレイン)で戻ることにした。行き先はオリエンタル・ホテル。BTS(スカイトレイン)で1人30バーツ。2人だと60バーツ(180円)。混んでなければタクシーでもそのくらいの値段で行ける距離なのだが、渋滞にはまってイライラするよりいい。
2009.07.22
今回は、チェンマイでの滞在が主目的だったのだが、バンコクでも1泊して、あのオリエンタル・ホテルの「リム・ナーム」で極上のタイ料理を食べたいと思った。1泊だけなので、オリエンタル・ホテルに泊まるのはやめて、すぐそばの「ホリデー・イン・シーロム」を予約した。オリエンタル・ホテルには歩いて行っても10分かからない距離。空港からは、いつものように正規の乗り場でメーター・タクシー(タイ語では「タクシー・メーター」)に乗った。正規乗り場から乗ると、タクシー運転手についての情報が書いてある用紙がわたされるので、トラブル防止になる。手数料は50バーツで降りたときにタクシー運転手に運賃に上乗せして払う。このほかに、2つ使う高速道路料金がメーター表示運賃のほかにかかってくる。去年よりだいぶ値上がりしていて、高速料金は25バーツ+45バーツで計70バーツだった。「地球の歩き方」には、空港でわたされるクレーム用紙を取り上げてしまおうとするドライバーがいるが相手にしないこと、と書いてある。一応読んではいたのだが、今回実際にタクシーに乗ったときには、うっかり失念していた。あてがわれたタクシーは、ピンク色のトヨタ・カローラ。メーター・タクシーの中では上等なほう。タクシーに乗り込むと、黒人っぽい運ちゃんが、早口の不明瞭な英語で、「高速料金は私が払う。全部コミで500バーツ、OK?」というようなことを言ってきた。「え?」と聞き返してるうちに、「その紙を私にください」と言って、クレーム用紙を取り上げてしまった。こちらもついついうっかり、「あれ? 行き先がここに書いてあるんだっけ?」などと思ってわたしてしまった。で、早口の運ちゃん、クルマをスタートさせながら、「高速代コミで500バーツ、OK?」とたたみかける。思わず「イエス」と言ってしまいそうなノリだが、Mizumizuは決してノリでイエスとは言わない。そのヘタクソな英語で言ってる意味を理解したMizumizu、すかさず、大きな声で、「No!」と叫び、メーターを指差して、「メーターを使え!」と威圧的に命令した。「オー」と、まるで今気づいたようにメーターを押す運ちゃん。コイツはあぶない。「高速代は、私が払う」すばやく宣言するMizumizu。その場できっちり自分で払わないと、あとから上乗せした金額を要求されても、水掛論になってしまう。自分で高速代を出すのも鉄則だ。「ボクが払いますよ」親切ごかしで明るく言う運ちゃん。「ノー! 私が払う」譲らないMizumizu。さらに、「その紙返して」いったん取り上げられたクレーム用紙を取り返そうとしたのだが、運ちゃん、笑いながら、「ノー、ノー」と取り合わない。「それは私のもの。返して」「じゃあ、ホテルで」なんとかクレーム用紙をキープしようとする運ちゃん。ますます怪しいじゃん。すっかり不機嫌な顔になるMizumizu。「じゃあ、ホテルでね」と念を押す。ここで、やや人種偏見的なバンコクのタクシー運ちゃんの見きわめ方を…数回のバンコク滞在で頻繁にタクシーを利用したが、クルマがよくて、肌が非常に黒くて(黒人、といえるかどうかはともかく…)、とってもお調子よくヘタな英語をしゃべりまくる運転手の仕事が、実はかなり疑わしかった。逆に、英語は全然ダメで、クルマもおんぼろで、痩せてお年を召した中華系みたいなおじいさん運転手の仕事は常にいい。行き先を伝えるのに苦労はしても、一度理解したら、早くそこにたどり着けるルートが頭に入っているような感じ。ただ、地図は基本、読めないみたいで(苦笑)、地図で「ここ」と指し示すより、タイ語で書いてある「地球の歩き方」などで行きたい場所の名前を見せたほうが早い。聞いた話なのだが、バンコクのタクシー運転手は通りの名前でルートを頭に入れてるのだとか。黒っぽい肌のタクシー運転手はすぐに渋滞にはまる道を行く。渋滞は時間帯によっては仕方がない面もあるのだろうけれど、「もっと別の行き方があるんじゃないの?」とも思った。単に迂回路を知らないだけかもしれない。Mizumizuたちが行った場所はいずれも近場だったので、渋滞でクルマが動かなくなったら、さっさと降りた。バンコクでは、夕方の渋滞にはまると、本当に、まったく動かなくなる。地図を読むのが巧みな連れ合いがいると、こういうときに助かる。地図片手に運ちゃんと話して現在位置(通りの名前)を確認し、「ここからならもう歩いていったほうが早いよ」「ここに地下鉄の駅がある。乗れば一駅だから、地下鉄で行こう」と言ってくれる。途中で降りると言っても、バンコクのタクシー運転手はまったく嫌な顔はしない。結論:バンコクのタクシー運転手は、痩せた中華系のおじいさんが最高!(←あまり本気にしないでください)さて、話を空港から乗ったタクシーに戻すと、高速道路の料金所できっちり運ちゃんにお金をわたし、過不足なく払うところを監視した。その後は、どうでもいいおしゃべりをする以外は特に怪しい所業はなく、ホリデー・イン・シーロムのエントランス(ちょっと道から回り込んだところにある)の前にクルマをつける。メーターは335バーツと表示されていた。それで連れ合いが、チップを入れて340バーツを運転手に払い、そのあとで50バーツの手数料を別に払おうとして、まず340バーツをわたすと、「ノー、350バーツ」と叫んでる、黒人と言えるのかどうかよくわからないが、とりあえず肌のとても黒い運ちゃん。「え?」とまどう連れ合い。350バーツにプラス50バーツというのは、かなり「ぼったくり」に近い。だが、どうもそういう意味ではなく、「全部で350バーツ」と言ってるようなのだ。「紙返しなさいよ」冷たい声でMizumizuが割り込む。「何? レシート?」とぼける運ちゃん。「空港でわたされたドキュメントよ」断固として取り戻すつもりのMizumizu。クレーム用紙をごそごそ探して、こちらに突き出しながら、また、「350バーツ」と、言い張っている運ちゃん。なので、Mizumizuが、運ちゃんの手から40バーツを取り返し、かわりに50バーツをわたした。すると、納得したのか、「サンキュー」と運ちゃん。結局彼が取ったのは350バーツ。おいおい!計算できないの?メーターが335バーツなのだから、手数料の50バーツを足して、キミは385バーツ受け取らないといけないのだよ。350バーツじゃ、35バーツ足りないじゃん。こっちは、チップ込みで340バーツを兄ちゃんにわたし、50バーツは別にあげるつもりだったのに。つまり、キミは、40バーツもらいそこねたのだよ。最初に高速代込みで500バーツと吹っかけてきたけれど、実際に、70バーツ(高速代)+50バーツ(紹介手数料)+335バーツ(メーター)=455バーツかかったので、吹っかけたといっても、45バーツ(130円)だけなのだ。さきごろあったローマの高級レストランに比べれば、なんともカワイイ吹っかけではないか。しかも、その余計に取ろうとした45バーツとほぼ同額もらいそこねるとは、まさに、天罰ですね。まったくもって愚かなドライバーだ。バンコクの空港から、タクシーを利用する皆さん1.もらったクレーム用紙(紹介用紙でもある)は、絶対にタクシー運転手にわたさないこと2.メーターを使わせること3.高速代は必ず自分で払う(運転手にお金をわたして払わせる)ことをくれぐれもお忘れなく。紹介料の50バーツはメーター運賃とは別に払います。それもお忘れなく。追記:翌日お昼前に、ホリデイ・イン・シーロムから空港までタクシーに乗ったときの料金は、(高速代を含まない)メーターで245バーツと表示された。混んでいない時間帯だったせいもあるだろうけれど、予想以上に安くすんだので運ちゃんに少し多めに260バーツ払った。高速代70バーツ+260バーツ=330バーツ。ちなみに空港から市内と市内から空港では、高速の入り口は別になります。
2009.07.21
ただ今、チェンマイのマンダリン・オリエンタル・ダラ・デヴィ滞在中。大寺院の夜景ではありません。ホテルのフロント正面。詳しいホテル・レポは後日。お楽しみに!
2009.07.14
成田から6時半のフライトでバンコクへ。両替レートは成田空港 1バーツ=3.21円バンコクの空港 1バーツ=約2.8円で、やはりバンコクで換えたほうが有利。バンコクからは約1時間のフライトでチェンマイに。チェンマイのホテルの高速ネットは、とても低速なので、しばらくは更新できないかもしれません。では、また。
2009.07.12
今日からタイへ。今日の夕方にはバンコクに到着。1泊して、翌日はチェンマイに。タイで観光客が必ずといっていいほど着てるモノ、それは…こんなふうに刺繍があしらってある長袖のプルオーバーブラウス。素材はもちろんコットン。観光名所に露天の店が出ていて、値段は170~200バーツ(600円前後)ほど。タイの強烈な日差しは、長袖で防いだほうがいい。Tシャツだと、むき出しになった腕が日光に直に射されて痛くなる。Mizumizuは3着買ったのだが、左端の黒の綿ガーゼの丈の長いのが一番着心地がよかった。作りがゆったりしてるから、粗目の綿素材がよく風を含み、熱帯では案外涼しい。1人で外出した連れ合いが、カオサン通りでイケメンの売り子君にやすやすと引っ掛けられて(笑)買ってきたのだが、大当たりだった。もう1着欲しくて再度足を運んだのだが、もう同じものはなくて、かわりに買ったのが、右端の同じく綿ガーゼのウエスト丈の白いプルオーバー。着てみたら透けすぎてイマイチだった。薄手なのだが、見た目ほどは涼しくない。真ん中の白い綿ブラウスのほうが厚手だが、こっちのほうが着やすい。刺繍もしっかりしている(つまり着心地は、左端から1、2、3。値段は200バーツ、200バーツ、170バーツ)。刺繍がさらに凝ったものになると、値段はそれにつれて高くなる。ただ、この刺繍のプルオーバー、一度洗濯するとシワが寄りすぎて、アイロンを掛けないと物凄くヨレヨレになってしまうという欠点がある。そのせいなのか、なんなのか、現地のタイ人で着てる人を見たことがない(笑)。でも観光客にとっては重宝なブラウスなので、今回は持参するMizumizuであった。ブログはたぶん月曜日ぐらいからライブ中継する予定。今回は連れ合いと一緒。向こうで仕事をするので、パソコン2台にプリンター1台、アイロンも電気ポットも持参。重い!!
2009.07.11
最終日、いつものようにメータータクシーをホテルのエントランスで呼んでもらって空港へ。オリエンタル・ホテルはBMWの7シリーズでの送迎をやっていて(2600バーツだったかな)、最後の最後までこれを一生懸命薦める(苦笑)。予約のメールでも、一度断わっても、しつこく薦めてきた(再苦笑)。まるで、売れないボーイみたい(←そんなところには、行ったことないって!)。だが、東京ではありふれてるBMWの7シリーズごときに2000バーツ以上の価値はないと、いつも(といっても2回だが)スリルあふれる(?)公共のメータータクシーを呼んでもらっている。なんでオリエンタル・ホテルはBMW派なのだろう。マイバッハかオールド・ロールスロイスだったら多少割高でも考えるのに。いったんメータータクシーで押し切れば、あとはホテルのスタッフは限りなく親切。タクシーの運転手にタイ語で行き先を指示し、こちらには、「600バーツぐらいです」と言ってくれた。実際には600バーツ(2000円弱)かかったことはないのだが。今回のタクシーの運ちゃんは、とても痩せて、見るからに人のよさそうな初老のドライバー。しかし、運転手の腕はイマイチ、いやイマサンぐらい信用ができないバンコク。ちゃんと高速にのって空港まで着くだろうか、とやや心配。しかも英語はほとんど理解しないようす。空港からオリエンタル・ホテルに来るときは、かなり近くまで高速で来ることができたのだが、帰りはいつも、相当街中に行ってから高速に入る。これは別に、運ちゃんが変なことをしてるわけではない。さて、今回の運ちゃんだが、道々標識を見て、いちいち指差し確認をしているではないか。「だ、大丈夫か? もしかして、そんなに道を知らないの?」不安が募る。運ちゃんに向かって、「ハイウエイ」と言うと、ウンウンと実直に頷いている。人間は絶対に悪くはない、と確信する。よく「人は外見ではわからない」というが、そんなことはない。悪い商売をしてる人間は顔つきが悪くなる、目つきに邪心が出る。大多数の人間は、普通に仕事をしている普通の人間。ナイトバザールのあたりまで来て、ようやく高速に入る。市内の渋滞した道が眼下に遠ざかるのを見て、ほっとして高速代65バーツ(高速代は近々上がるという話なので注意)を渡すと、25バーツ返してよこした。そっか、40バーツ+25バーツで、25バーツは後で払うんだったな、と25バーツをいったん受け取る。ところが!市内の渋滞を高速で回避してくれた…… のはいいのだが、この運ちゃん、なんと途中で高速をおりてしまうではないか! 高速の空港マーク標識が左手に遠ざかっていく。「あれれっ~?」――道端には露天が出てる。あきらかに高速じゃないよ、この道。しかし、前方に空港マーク標識が現れた! どうやらこの下道でも空港には行けるよう。しかし、なんで高速をおりているんだろう? 運ちゃん、とっても真剣にハンドルを握り(しかし、標識をみて指差し確認する動作はそのまま)、パッシングで前方車両を蹴散らしながら、ガンガン速度をあげて突っ走る。もしや、意外と走り屋!?運転に集中してる彼の邪魔をしないよう、後ろでおとなしく座っているものの、不安でならない。ちゃんと着くのか? 下道だと時間はどのくらいかかる? しかし、前回フルに高速で行ったときよりあきらかにスムーズに走行してる。そして、案外早く空港が視界に入ってきた。あらら? 結局高速代も40バーツだけで追加料金はなし(途中でおりたから25バーツ道路は使わなかった、ということだろう)。前回ホテルから空港まで来たときは、ずっと高速で来たが、高速も渋滞してノロノロ運転だった。それよりはるかに快適に走ってきた。もしや、この運ちゃん、市内の超渋滞地域だけ高速で回避し、市街地から出たらもう下道で行ったほうが速い、と知っていたのだろうか? それならそうと言ってくれるといいのだが、なにせ彼、英語ができない(笑)。お金をわざわざ返してきたところをみると、「間違って」高速からおりたのではない、ような気がする。とにかく、思った以上に早く、あっけなく着いた。ちなみに空港-ホテル間の計4回のタクシー料金(ちょうどメモが出てきたので)は:前回の空港からオリエンタル・ホテルまで 300バーツ(空港での手数料50バーツ+高速代65バーツ+メーター切り上げで払って185バーツ) 前回のオリエンタル・ホテルから空港まで 440バーツ(高速代65バーツ+メーター切り上げで払って375バーツ)今回の空港からホテルまで 380バーツ(手数料50バーツ+高速代65バーツ+メーター259バーツを切り上げて380バーツに)今回のホテルから空港まで 300バーツ(高速代40バーツ+メーター251バーツを切り上げて)前回はずっと高速で行ったのだが、高速が渋滞して途中でクルマがノロノロ走行に。時間もかかり、高速代もフルにかかった。今度の運ちゃんは高速を途中でおりたために、逆に早く着き、安く上がった。バンコクのタクシー運転手は道を知らない、英語ができない、外国人と見ると遠回りする――よく聞く評判だが、今回のように英語はできなくても、キッチリ(か偶然かイマイチ判然としないのだが・苦笑)早く着く安いルートで行ってくれる運転手もいる。あまり頭っから疑ってかかるのもムダなことかもしれない。ヘタに英語を話す運転手のほうがアヤシイ行為が多かった。空港では、英語が通じない運転手に向かって、ボディランゲージと満面の笑みで敬意を表して降りた。なんとなく通じたのか、運ちゃんも嬉しそうに笑っていた。乗るまではどうなるかわからない、ある意味スリリングなバンコクの公共タクシー。前回は落ち着きのない入墨の兄ちゃんドライバーで、走りながらやたらよそ見が多く、けっこうビビったが、今回はキチンとした仕事をしてもらって後味のよい旅になった。標識見るたびに指差し確認してたのも実直さの表われなんだろう……ということにした(あ~、コワかった)。空港の免税店に行くと、日本人のおばあさんが、ブルガリの店舗で「ディスカウントは?」と日本語で値切っていた。オイオイ!マーケットで味をしめたのかもしれないが、タイならどこでも値切れるワケじゃないよ。そういえば、ダムヌン・サドゥアク水上マーケットでも、日本語で「こうしょうできません」と書いてあったっけ。日本人の交渉(つまりは値切り)に、現地の人も多少ウンザリしてるのかも。そういえば、チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットでは、1枚85バーツ(280円)のラウンド型のランチョンマットを4枚買った。カオサン通りの露天などに比べれば(もちろん、ねーちゃん目当ての日本人のスケベなオッサン相手に超ボリまくるパッポン・ナイト・バザールは論外)、十分に安い値段だったので「交渉」はしなかったのだが、何も言わなくても20バーツ負けてくれた。サクーサイムーを買った店でも、2回目に行ったら何も言わないのに負けてくれたうえに、量も微妙に増やしてくれたっけ。小さなことなのだが、「わぁ~」と素直に喜んで見せたら、向こうも嬉しそうな顔をしていた。最後に為替レートについて円からバーツに換えるときは、成田空港よりもタイの空港に着いてからのほうがレートがいい。タイでカードで支払うときに、ときどき「円? バーツ?」と聞かれる。その場で円で決済したほうがわかりやすい、みたいな案内が日本語で書いてある店もある。でも、これはレートが悪い(今回実験ずみ)。タイミング悪く突発的かつ急激なバーツ高にでもならない限り、カードもタイバーツで決済したほうが、こちらにとっては有利なレートになる。ただまあ、わずかな違いといえばそのとおりだが。以上、結構引っ張りましたが、タイ旅行ネタは本日にて終了です。
2008.08.07
ワット・ポーには仏画もいっぱい。2度目の訪問となった今回は、巨大な黄金仏が横たわるReclining Buddha棟の壁画に注目してみた。仏教説話とラーマキエン(タイ王室にまつわる伝説)をモチーフにしていると思われるが、日本でいうと浮世絵にあたるような風俗画もあり、なかなか楽しめる。これだけは先日のエントリーで紹介した『A History of Wat Phra Chetupon and Its Buddha Images』に解説があった。カピラヴァットゥ帰郷説話の一場面だとか。注目すべきは仏陀のポーズ。足が前後に開いたWalking Buddhaスタイルになっている。国立博物館で注目したWalking Buddha像。日本では全然見ないと思って調べたら、やはりタイ独特のスタイルだという。こちらもWalking Buddhaスタイル。しなやかにのびた右腕が優美。これは仏教説話とラーマキエンが入り混じったような画。この仏陀は両足が揃っているので、Standing Buddhaに分類できる。僧侶たちは逆にWalking Buddhaスタイルでの行列。僧侶なのに、みな中性的なしなやかで優美な姿で描かれている。際立って中性的。それがタイの仏画の特徴かも。Walking Buddha像がお土産屋にないかと探したが、手ごろなものはなかった。古美術を商う店には真贋は定かではないが、アンティークと称するWalking Buddha像がかなりあった。スコタイ・ホテルの売店では、小さな青銅製のWalking Buddha像を見つけた。姿は大変に美しかった。値段を聞いたら200万円ぐらいだった(バタッ←気絶するMizumizu)。仏教説話とあわせて、タイの寺院壁画に欠かせないテーマであるラーマキエン。おそらくこれはその一場面かと。インド風におおらか&セクシー。「あらぁ、いけませんワ……」市井の人々の生活を写したような壁画もあった。この半裸(全裸?)の男たちは、一体ここで何をしてるのか?「ボク、ファランにオフされたいな~」(←コレの意味がわかるアナタは、とってもイケナイタイ通) この2人は何を……?(右の少年、立ち去りながら……)「ボク、知らないよ~」そして、No1ボーイ登場!?タイ・ボーイは昔から仕草がたおやか&セクシーだったようで……<FIN>
2008.08.06
今日午後杉並で2度にわたる集中豪雨あり。お昼すぎまで晴れていたのに、にわかに掻き曇り、叩きつけるような雨。しばらくしてあがったと思ったら今度は雷が来た。雷が鳴って一瞬パソコンが切れてしまい、書きかけのブログが消滅。……過電流を心配したけれど、パソコンは無事だった。杉並区では650世帯が停電中とか。ウチはまだ大丈夫だが…しかし、豊島区ではマンホールの中で作業をしていた5人が流されて現在捜索中とか(1人は死亡が確認された)。朝は元気に仕事に行ったはずの人たちだ。都市型集中豪雨の恐怖。XXXXXXXXXXさて、長さ46メートル、高さ15メートルにもおよぶ巨大なReclining Buddha(涅槃仏)ばかりが紹介されるワット・ポー。たいていの観光客が王宮見学のあとに疲れ切ってやってきて、「必見の足の裏」だけ「見た見た」と帰ってしまう。だが、実はこのワット・ポー、1000以上の仏像・仏画を所蔵する仏教美術の宝庫なのだ。様式も初期スコターイから後期アユタヤを経てラタナコーシン朝までと広範囲。にもかかわらず、巨大涅槃仏以外の仏像について解説した日本語ガイドブックがまったくない。なら、自分で探すしかない、とバンコクで本屋へ。すると、あったあった。『A History of Wat Phra Chetupon and Its Buddha Images』という研究書。中の写真は白黒オンリーだし、新書といいながら、若干ページが黄ばんでいるが、110バーツ(360円)という日本人からすると信じられない価格。各仏像について、その時代と様式、背景にある歴史などについて解説したマジメなスグレモノ。おまけに巻末にはワット・ポー(Wat Phra Chetupon というのが、ワット・ポーのこと)の平面図まで載っている。観光客が必ず見るReclining Buddhaがあるのが、この平面図では左上、つまり北西角の(10)番。前回はやはりこの涅槃仏だけを見て帰ったが、今回はしっかり他の仏像・仏画も見学しようと体力を温存してやってきた。ちなみに(26)番がマッサージ処。右側、つまり東側に広がる本堂エリア(実はこちらのほうがずっと広い)の境にあるのが3基の仏塔。この向こうが仏像・仏画の楽園。黄金に輝く甍がまぶしい。(1)の本堂に鎮座するのが、このまばゆいゴージャズ・ブッダ。アユタヤ様式。本堂を取り囲む離れ十字形の4棟のうち、南に位置する(3)にあるのが、弟子に説法する仏陀像…… と思ったら、解説書によれば、この仏像はもともと左右2つの立像をしたがえた3体1組のものらしい。仏陀に対して身体がかなり小さく、横一列に並んで皆こちらには背を向けている弟子(?)たちの像は後から置いたということか。仏陀像は、ラタナコーシン朝時代、すなわち18世紀後半から始まる現王朝に入ってからのもの。西側の離れ十字棟(4)には、7頭の蛇に守られた仏陀像。台座にはとぐろを巻いたエメラルド色の蛇。スコターイ様式。本堂のアユタヤ様式の仏陀より古いものということになる。超人的な仏陀のパワーを感じさせる仏像。口を開けた禍々しいまでの蛇の魔力。それを背後にいただきながら平穏な表情の仏陀。動と静、魔と聖の対比と融合が印象的。実はジム・トンプソンの家にも、これと同じ意匠の仏陀像があった。だが、7頭の蛇はすべて失われていた。ワット・ポーのものは保存状態完璧。そして、北の離れ十字棟(5)には、象と猿から捧げ物を受ける仏陀像(ラタナコーシン朝)の、これはレプリカ。新しいだけあって、仏陀のファッションは西洋風。なぜ、レプリカ写真を載せたのかというと、本物の像の前には……こんなにいろんな像を置いちゃって、肝心の象と猿が見えないのだ!位置を変えて、左側の跪く象はなんとか見えた! 右側のお猿さん(は、やっぱりあんまり見えないので、さらに移動)が枝の先に垂らして捧げているのは…… さては、クレープだなッ。このほか、離れ十字棟をつなぐ回廊には、ワット・スタットのように、Seated Buddha像がずらり(上の解説書の表紙の写真参照)。解説を読むとスコターイ様式のものとアユタヤ様式のものだそう。だが、実は、この2つの様式の違いがよくわからない。おまけに修復のとき一様にキンキラに塗り替えるから、新しいのか古いのかも一見して不明になる、と思う(詳しい方、見分けかたのポイントなどについて、コメントいただけると嬉しいのですが)。国立博物館で見たときは、スコターイ様式のほうが顔は面長で、優美でしなやかな動きのある立像が多く、アユタヤ時代に入ると顔は円く、より様式化されて静的な仏像が増えてきたように思ったのだが、ワット・ポー回廊のSeated Buddha像に関しては、必ずしもそういう特徴分けができないようだった。オマケ:3基の仏塔近くの回廊(24)で見かけたStanding Buddha。ガラスケースに収められている。仏様、お言葉を。「ここから出してくれよぉ~」「外は暑いッスよ」<明日は禁断の(?)ワット・ポー所蔵仏画・ラーマキエン壁画をご紹介します>
2008.08.05
先月はワット・スタットには行ったが、その近くの眺めがよいというワット・サケートには足をのばさなかった。ワット・スタットは本堂の仏陀像も素晴らしく、回廊に並んだ黒と黄金の仏像も魅力的でもう一度行きたいな、と思った。そこで、ちょっと変わったルートで街歩きしつつこの2つの観光スポットを回ることにした。まずは水上バス(15バーツ、50円だが、17バーツに上がるという話もあり)で「メモリアル橋」で下船。ラマ1世像のある広場を抜けて。ワット・ラーチャプラナへ。さっそくお犬様が入り口でヘバってた。お暑いですね~。せめて、日陰に移動されてはいかがでしょう? お犬様「動くのもタルいしね」ワット・ラーチャプラナは本堂は閉まっていて入れなかったのだが、建物を飾る浮き彫りと透かし彫りがなかなか見事だった。仏教説話に疎いので、なんの場面なのかさっぱりわからず、慙愧。だが、この動的なポーズは素晴らしい。浮き彫りと透かし彫りの組み合わせも手が込んでいる。これは『ラーマキエン』(アユタヤ王国の王子にまつわる伝説)の一場面かも?眼に異様な力がある。痩せたワンちゃんがお堂を守っている。近づいたら、タイで初めて犬に吼えられた。ここには日本人の僧侶が守る日本人納骨堂があるという。確かにあったが、鎧戸も扉もかたく閉ざされたまま。日本人僧侶らしき人にも会わず。ワット・ラーチャプラナを出てパフラット市場方面へ北上。ここらあたりは、観光客相手ではない一般市民用の日常品を売る露天が続く。600メートルほど歩くと、「オールド・サヤーム」というショッピングモールに出た。冷房で涼もうと入ってみる。名前のとおり、古めのモール(笑)。観光客相手ではなさそう。宝石や磁器を売る店もあるが、吹き抜けになった室内屋台が目を惹いた。こんな感じ。下が屋台村になっていて、上階は吹き抜け空間を取り囲むように店が並ぶ。結構地元民で賑わっているので、期待が膨らんだ。サクーサイムーを売ってる店を発見! やった~と1パック買う。35バーツだか45バーツとちょっと高めだが、たくさん入っていた。ところが!食べてみてガッカリ。冷えていて、周りのタピオカもまったく粒感がなく、しかも油っぽい。ウィークエンド・マーケットで売っていたもののほうが遥かに美味しかった。リベンジとばかり、人が並んでいるスイーツの屋台へ行く。もち米のお団子にココナッツミルクをかけたもの。15バーツと格安だったのだが、これもハズレ。小さなお椀だったが、全部食べられずに残してしまった。2連敗で他を試す気持ちがなくなった。残念。美味しい店もあったのかもしれないが、これも運。オールド・サヤームからまた暑い街に出て、さらに600メートルほど歩くとワット・スタット。メモリアル橋からはほぼまっすぐのルート。スコタイ王朝時代の最大の仏像。ラマ1世がここに運ばせた。だが大きいというだけでなく、姿の美しさもバンコクにある仏像では随一(と思う)。こんなしなやかな仏像もあった。前回来たときは目に留まらなかったのだが、細身の腰掛け姿がたまらなく優美。しかし、誰だロビンソンの買い物袋を横に置いたのは!? あまりにハマリすぎている! まるで買い物帰りに仏様が、「あ~、暑くて疲れた。ここで一休みっと」と腰掛けているよう。日本の枯れた雰囲気の仏像とあまりに違うので、最初は「タイの仏像って、やたらキンキラじゃん」と思ってしまい、そのことばかりが印象に残り、なかなかよさがわからなかった。ぐるりの回廊に安置された微笑みの黄金仏。ワット・スタットでは僧侶たちの祈りの声、奉仕学生(?)の元気な声がいつも聞えてくる。そして、回廊で眠り込む放浪者。観光客がそこに混ざり、独特なムード。敬虔と緊張と好奇と倦怠が全部ごちゃまぜになっている、とてもタイ的な空間で、バンコクでも最も好きな場所に。ワット・スタットを出て、仏具街になっている「パルムン・ムアン通り」を西へ500メートルほど歩く。大きなブラ・スメン通りを横切って少し行くと、きったな~い運河に出る。運河を左折して小道に入ると、そこは建具屋街。透かし彫りを施したドアの扉などが軒先に並ぶ。ステンドグラスをはめ込んだ洋風のものもある。「ワット・サケート」の下がり看板に導かれて路地に入ると……唐突に、緑の静寂。さっきまで聞えていたバイクやクルマの音が一瞬すべて消え、森に迷い込んだような錯覚にとらわれる。ワット・サケートは人工の丘。階段を登って「黄金の丘寺院」へ。釣り鐘が並んでいる。どことなくチベット仏教風のようでもあり。だんだん視界が開けてくる。伝統建築の向こうに近代的なビルが。これは王宮方面を見下ろしたところ。バンコクにこんな高い丘(しかも人工)があったとは。眼下に開発から取り残されたような古びた地域があるのを見た。実は東京にもこういう場所がポツポツとある。白金から恵比寿にかけての一帯に雰囲気がちょっと似ている。「白金」「恵比寿」と聞くとオシャレなイメージだが、実はこのあたりの低地には、昭和30年代から変わっていないような貧しげな地域がそのままになっていて、ふと迷い込むとタイプスリップしたような気分になる。頂上には黄金の仏塔があった。階段のぼって疲れ果て、喧騒の「下界」へ下り、大通りに出たところで、すぐにタクシーを拾い、ホテルへ。ホテルでガイドブックを見直して気がついた! 「ワット・サケートでは丘の麓に建つ本堂の『ラーマキエン』の壁画も必見」。が~ん!見事に見逃した。皆様はお見逃しのないように。
2008.08.04
オリエンタル・ホテルの門の外で客引きをしているのは、タクシー親父とトゥクトゥク親父とチャオプラヤーにつながるトンブリー地区(川の左岸)の運河めぐりボートツアーの客引き。「客引きについていってボートに乗せられると、ひと気のない川の上で身ぐるみはがれる」みたいな注意書きを日本語のガイドブックで見ていたので、ボートツアーの客引きは避けていたのだが、水上バスでチャオプラヤー河を行くと、白人がよくエンジン付きボートに2人から多いときは8人ぐらいのグループで乗っている姿を見かける。道端で声をかけてくるいかにも怪しげなオヤジと違って、いつもホテルの門のところで客引きしているおっさんたちは、一応商売でやっているようだし、2人なら大丈夫じゃないか、ということで、乗ってみることにした。これが↓客引きのおじさんたちが立ててる看板。同じ客引きは「リバー・シティ」というショッピング・センターにもいて、そこで聞いたらボート代として(1人当りではなく)、1時間900バーツ(3000円弱)、2時間で1600バーツだという。オリエンタル・ホテルの門の前でいつも座って手招きしているおじいさんに聞くと、800バーツだと言う。そのおじいさんは、1度見たら忘れられない、異様な風体。日に焼けて肌は濃いチョコレート色、髪はぼさぼさで、前歯はちぐはぐに唇から飛び出し、なんと裸足でそこらを歩き回っている。このおじいさん、いつもそこにいて、Mizumizuたちを見るたびに声をかける。まとまって外出できるのが土曜日だけなので、そう言っていつも振り切っていた。で、土曜日にいざ乗ろうとやってきたら、そんなときに限っておじいさんがいない。普通の身なり(苦笑)のおじさんがそこにいたので、「いつものおじいさんは?」と聞くと、「今日はいない」なんて言う。「朝見たけど?」と聞くと、こんどは「2時間ぐらいで戻ってくる」とか、本当に適当な返事(苦笑)。仕方ないので、値段を確認すると「1時間なら1000バーツ」とふっかける。「800バーツ」と粘ったのだが、「900バーツ。ガソリン上がってるからお願い」と譲らない。やっぱり、こっちから「乗りたげ」に声をかけるとダメなのね。1時間900バーツ(これはあくまでボート代で、1人当りではない)でOKして、ついていくことに。するとなんとなんとオリエンタル・ホテルをぐるっとまわってホテルの建物のすぐ裏につれていくではないか! 内部は完璧に掃除の行き届いたホテルだが、一般客が来ない建物の裏となると汚いのなんの。ビックリした。しかも、その建物の裏にある船着場(とてもおそまつな船着場なのだが、ともかく船への乗り降りは、なんとか可能)に、捜していたおじいさんが、ちょうど客を乗せていた! なんだ、お客をつれてきていたんだ。なら5分で戻ってきたじゃないの。まったくも~。おじいさんも、こちらに気づき、別の人間につれられてきたとわかると、ものすごく頭に来た顔をした。「あなたを捜していたのに」と一応英語で言ったのだが、通じたかどうか。完全歩合制だろうし、あれだけ連日熱心にこちらに声をかけていて、しかも800バーツと言っていたのだから、おじいさんとしたら、900バーツあっさり別の男に払っているMizumizuたちにはガッカリしただろう。さて、運河めぐりには、こんなボートで出発。船着場はこんな感じ。いかにも急ごしらえで、そのうちに板が抜けちゃうんじゃないかと思う。オリエンタル・ホテルの建物のすぐ裏にこんなものがあるとは知らなかった。チャオプラヤー河に漕ぎ出す。もっとエンジンの小さいスローボートに乗る白人観光客もいた。ワット・アルン(暁の寺)の手前で、運河へ入る。そこはもう一般人の居住地域。「大河」であるチャオプラヤーからの眺めとは景色が一変しておもしろい。こんなふうなワット(寺)地帯? もあれば……緑地帯もあるのだが……基本的にはこうした、貧しい水上家屋が延々と続いていた。昔はみんなこんなふうに生活していたのだろうけれど、いざ目の当たりにすると、そのあまりの貧しさにショックを受ける。アユタヤに向かう列車の窓の向うに続いていた、線路沿いのバラック地帯もそうだったが、日本の戦争直後の写真を見ているよう。しかも、半分朽ちたような水上家屋で生活している人々のすぐ横に、真新しい豪邸が建っていたりする。敷地の周りを高い柵で囲った豪邸の持ち主は、自分の家のすぐ隣に、最低限の生活をしている極貧の人々がいるのが気にならないのだろうか?それでも子供たちは無邪気。運河で魚を捕るのに熱中している。こちらに気づくと明るく手を振ってくる。ヨーロッパじゃ、こうした貧しい人が住む場所に足を踏み入れると、「覗き見するなよ!」みたいな敵意をふくんだ視線が返ってくることが多いのだが、「金満」観光客に対する一般人の僻みや妬みを、少なくとも表面的にはほとんど感じないのがタイ。しかし、やはりタイは問題の多い国だ。このすさまじい貧富の差は何なんだろう。教育を受けられない貧困層の子供が長じて働くとしたら、やはり手っ取り早い風俗になりがちだ。そして、タイの「ボーイ」(若い男性で売春する人たちをこう呼んでいる)や「オネエチャン」目当てに、白人や日本人が大挙して押し寄せる。若いイケメン君・カワイコちゃんなら、破格の収入になるだろう。タイの「いたいけな」ボーイやオネエチャンに騙され、せっせと送金して貢いでる日本人も多いらしい。あぶく銭がどこかに一時的に集中したとしても、それはあくまで個人レベルの話、国全体に巣食う貧困を解消する手立てにはなんらならない。それに、話していてわかるが、タイの男の子は一見シャイでカワイイのだが、日本人の同世代の男の子より一般的にずっと遊ぶのに「慣れ」ている。グッドルッキングであればあるほど、そこらあたりは巧み。日本人のように気ぐらいも高くない。だから逆に、ハマってしまってカモられる日本人が多いというのも、納得。ちなみに、カワイコちゃん(女性)にはMizumizuも連れ合いもまったく関心をもってもらえなかったので、彼女たちがドンナかは、不明。いまだに最低限の生活を強いられている水上家屋の群れを見せ付けられて、複雑な気分でチャオプラヤー河に戻ってきた。写真は日本人に人気のワット・アルン(暁の寺)。もちろん、エンジン付きボートで川面――それも大河と運河を両方を――走る気分はなかなか爽快なので、個人的にはお薦めのアクティビティ。このエンジン付きボートツアー。すれ違うボート(けっこう多い)を見ていて気づいたのだが、なぜか乗っているのは90%以上白人観光客だった。アジア系(日本人ではない)観光客は2組ぐらいしか見なかった。日本人にはなぜか人気がないよう(「ひと気のない川の上で…」と、脅かされすぎ?)。ホテルの喫茶部でのアフタヌーン・ティーは日本人女性が圧倒的なのだが。群れる場所が確実に分かれているのというのも、なんだか奇妙な気分だった。貧しい一般人の住む地域を覗き見してるようなものだといえばそのとおりなのだが、一応白人の観光客は自分たちの子供をつれてきて、こういう場所を見せている。それはある意味社会勉強だ。ところが、日本人はといえば、美味しい料理と買い物(そして多くのタイ・フリークはボーイやオネエチャンとの格安で気分のいいお遊び、つまりはセックス)にしか興味がない…… 「金満」日本人(多くの日本人は日本では別に裕福ではないが、タイの所得水準で考えれば皆「お金持ち」なのだ)のアタマのカラッポぶりを感じてしまう――と言うのは、あまりに卑下しすぎだろうか。
2008.08.03
オリエンタル・ホテルからシーロム通りに出て、散歩しているときに見つけた「アニタ・タイシルク」。最初飾り文字の「アニタ」を「アンティーク」と読んでしまったのだが、アンティーク・シルクの店、と言われても納得してしまいそうな、古めかしいどっしりとした店構え。そして、ウィンドウに飾られたシルク製品が、光沢といい質感といい素晴らしいものだった。明らかに高級店――と思い、実は先月も1度のぞいたのだが、布地が主で、製品になっているものは案外数が少なく、ピンとこなくて何も買わなかった。ただ、シルクの上質感が飛びぬけていること、プリントが鮮やかで美しいことは印象に残った。今回また店の前を通りかかり、引き寄せられるように入ってしまう。先月来たときには気づかなかったバスローブが棚の下にひっそりとあるのを見つけた。「いくら?」と聞くと、4500バーツ。うっ、ジム・トンプソンより高く(でも質は圧倒的にこちらのがいい)、オリエンタル・ホテルのオリジナル・バスローブと同じ値段だ。袋から出してもらってしげしげと眺める。この店に特長的な鮮やかな花鳥風のプリント。どこかしら日本の浴衣のような雰囲気もあり、こうした柄のシルクのバスローブは見たことがない。シルクは鮮やかなプリントが難しい素材。そう考えるとこれは貴重だ。華やかな黄色系と落ち着いたブルー系があり、買うなら黄色系だな、と心に決める…… のだが、なかなか決心がつかない。「免税になる?」と聞いたら、ならない、とあっさり。う~ん、肌触りと光沢から言ったら、オリエンタル・ホテルのシルク・バスローブのほうがいいかもしれない。しかも、むこうは免税手続きをしてくれる。どうしたものやら…… 真剣に迷っていると、相手をしてくれていた初老の上品な女性店員さんが、「500バーツ、ディスカウントするわよ」も~、絶妙のタイミングだった。その一言で購入決定。まったく、うまいなぁ。というワケで、アニタ・タイシルクで買った浴衣風シルクプリントのバスローブ↓手洗いもでき、脱水機は使わずにそのまま干してアイロンしろ、とのこと。シルク製品でドライクリーニングオンリーではないのは、長い眼で見ると重宝する。そしてこのバスローブの最大の魅力は「衣擦れ」の音。脱いだり着たりするときのシャラシャラという、乾いているのにどこかに湿り気を隠しているような不可思議な音は、いにしえの雅を感じさせる。ホテルに帰ってから、我ながらご丁寧に着比べてみたのだが、しょーじき、肌に触れたときのしなやかさだったら、オリエンタル・ホテルのシルク・バスローブ↓のが上だったかも……(苦笑)こちらは、無地で色はいろいろなバリエーションがある。ただ、胸元にホテルのレターロゴがバッチリ入ってるのを日本の自宅で着るのもなんだかなぁ…… ということにした。さて、アニタの店の袋を持ったまま、街の中心に出て、またもたまたま「ALMETA」というシルク製品の店に入る。ここもまったく偶然だったのだが、つぶさに見ると、1つ1つの商品の素材が非常によく、デザインもモダンで凝っている。店員さんは、「中田英寿+竹中直人÷2」みたいな風貌の30代半ばぐらいの男性。そして、どことなく仕草が中性的。話してるうちに、中身は相当女性度が強いとわかってきた。アニタの店の袋を持ってるのを目ざとく見つけて、「あ、アニタで買ったんだ。いい店よね。どんなの買ったの? 見せて」とせっつくところは、本当に女の子っぽい。ついでに、こちらの趣味もわかるし一石二鳥というところだろう。とにかく、「中田英寿+竹中直人÷2」君は、美しいものに対するセンスが抜群。「ほら、このテーブルランナーはね、縫い糸までシルクなの。赤い模様はウチのオリジナル。きれいでしょう?」確かに! でも、赤い模様のテーブルランナーはウチのリビングのカーテンの色と合わない。「このボックスは、フタの部分がシルクで底はレザーなの。色は2色。ほら、緑の箱とオレンジ箱を2つ、こうやってすこしずらして並べて置くと、きれいでしょ?」おっしゃる通り! でもやっぱりカラーリングが…… ブルーやレモンイエローだったらイメージに合う部屋があるんだけど。「このショールは裏表で色が違うの。だから裏を見せるように肩に巻くと(と言いながらMizumizu相手に実演)、きれいでしょ? 左右長さをずらしてもいいし、前をピンで留めてもいいし、片肩だけでまっすぐ垂らしても素敵よ」巧みな売り込みで買ってしまったのが、このショール。緻密な織りが、ぬめるような光沢としなやかな質感を生んでいる。光によって輝きが違って見えるのは最高級シルクならでは。値段はハッキリ憶えていないが、たぶん1万円前後かと。免税手続きはなし。「中田英寿+竹中直人÷2」君が店員でなかったら、たぶん買っていなかっただろう。ショップというのは、商品のデザインや質も大事だが、やはり売り子も非常に大事。「作り手」と「売り手」の二人三脚がうまくいかないと商品は売れない。バンコクには「器」は男性で「中身」は女性(的)という人がふつーに働いているが、ナレードゥム君といい、給仕やオシャレものの売り子には彼ら(彼女ら?)のような個性はまさしくピッタリ。中身は女性(的)、とは言っても、その女性度は個人で相当違うのだが、それぞれの特性に合った職業を得ると、彼ら(彼女ら?)は並みの女性や男性以上の能力を発揮する。「女性は女性らしく、男性は男性らしく」というのがいかに不自然で、ある意味不毛なしつけであることか、バンコクに来るとよくわかる。そして、タイシルクの実力もなかなかに奥深い。アニタ・タイシルクもALMETAも、安くはないけれど、商品の造りが丁寧で素材が上質。ジム・トンプソン以外にも、つぶさに見ていけば、質で勝負の小規模高級店が、まだまだありそうだ。
2008.08.02
欧米人に人気の観光スポット「ジム・トンプソン・ハウス」。同名のタイ・シルク製品の高級ブランドの創始者として知られるジム・トンプソン氏の生前の邸宅だ。アメリカ人。建築家から諜報員に転身し、ヨーロッパで活動したあと東南アジアへ。終戦後事業家に転じ、タイシルクの復興と普及に私財を投入して打ち込み、事業は大成功。そして、マレーシアでの謎の失踪。遺体は現在に至るまで見つかっていない…… そのドラマチックでミステリアスな生涯は人々を惹きつけずにはおかない。今回行ってみて、ジム・トンプソンという人のもつ美意識に感銘を受けた。チーク材を贅沢に使ったタイ様式の邸宅なのだが、玄関の床は大理石の市松模様にするなど、洋風のニュアンスも多く取り入れている。もともと建築家だったというだけあって、「家」に対するトンプソンのこだわりが長い時間を経てもズンズン伝わってくる。調度品も見事。古い仏像を中心としたコレクションが、あちらこちらにさりげなく飾ってある。圧巻はリビングルーム。古民家の居室を移築したのだが、その際に窓だった部分を4つつぶして、今風に言えば「ニッチ空間」――奥に窪んだちょっとしたスペース――に作り変え、ミャンマーで見つけたという古い仏像4体を壁に打ち付けて飾ってある。プライベート・ミュージアムといった趣きだ。内部は日本語でのガイドツアー見学。適当に行ったのだが、それほど待たずにグループが集まり、5人ぐらいで一緒に観て回った。日本人は比較的少なかったが、ココは来る価値があると思う。ジム・トンプソン・ハウス内にあるショップも大変な賑わいで、飛ぶように売れていた。バーツが高くなって売り上げが落ちたという話だが、なんのなんの。1バーツ=3.3円時代にあっても、「案外安いな?」と思わせる価格帯の商品が並ぶ。かつて、イタリアがリラの時代(笑)、かの国には案外安い、そして質の高い、オシャレなものが溢れていた。イタリアだけではない、西ヨーロッパ全体がそんな感じで、掘り出し物がたくさんある買い物天国だった。ところがユーロが導入され、便乗値上げが相次いでから、そうしたウマミがなくなった。くわえてこの数年の超ユーロ高。ヨーロッパの観光地で売られている(明らかに)中国製のおみやげ物ですら、とんでもなく高くて買う気にもなれない。そこにいくと、ジム・トンプソンはデザインも明るく洗練されているし、品数も多いし、それになんといっても買い物心をくすぐる「ちょっとしたお得感」がある。これからはアジア・ブランドの時代かも? ただ、シルク製品の「最高級」ブランドと言われると、若干「?」マークがつく。たしかに高級なシルクもあるが、そうでもないシルクもある(ように見えた)。手触り、質感ともに中国製の安価なシルクと大差ないものも多い。あくまでシルクの質だけで見れば、バンコクのシーロム通りで偶然見つけた「アニタ・タイシルク」(実は有名な老舗らしい。店構えからして高級感が漂っていた)やスクンヴィット通りやホテル・スコターイにショップ展開している「ALMETA」のほうが良かった。ジム・トンプソンはむしろ、コットン製品に力を入れてるのか、鮮やかでモダンなデザインのコットン製品が目を惹いた。などと言いつつ……シルク製のパーティ用バッグをまずはお買い上げ。値段は忘れてしまったけど、「案外安いな」と思った記憶がある。素材はブラックシルク、内張りは同じくシルクで色はショッキングピンク。内張りのピンクがラインになって見えるデザイン。シンプルなスタイルが好みにピッタリだった。左からシルク製のプルオーバー・トップ。ウィングド・スリーブが特徴的。このシルクは間違いなく最高級と言える風合いだった。シルクのバスローブも欲しかったのだが、残念ながらバスローブはあまりいいシルクが使われていない。その分値段も3500バーツぐらいで抑え気味だったのだが、「このバスローブなら、オリエンタル・ホテルのシルクのバスローブのほうがいい」と思い、買うのをやめた。ちなみにオリエンタル・ホテルのシルク・バスローブは4500バーツ。真ん中はコットンの長袖Tシャツ。トロピカルで派手なプリントに惹かれて思わずお買い上げ。右端はツバ広のコットンの帽子。よく日をさえぎってくれそうだし、折りたたんで持ち運ぶにも便利、それに安かった(具体的な値段は失念)ので、購入。ただし、帽子は案外厚手で風とおしが悪いということに、買って着用しはじめてから気づいた。真夏にかぶると、暑い。これは空港の免税店であまったタイバーツで買った3連のシルク製の財布。これだけは値段がわかる。610バーツ(2000円ちょっと)。カードや小銭や紙幣を分けて入れることができ、12.5cmX7.5cmの小ぶりなサイズは、ハンドバッグが小さいときに重宝しそう。こんなふうにボタン式で取り外しができマス。空港のジム・トンプソン店は日本人女性ばっかりだった。タイの免税についてタイの免税は下限が5000バーツ。1店で2000バーツ以上買うと書類を書いてくれるので、それを集めて5000バーツになれば、7%の税金が還付される。ただし、空港では手数料として100バーツ引かれ、クレジットカード入金希望の場合は600バーツ差し引かれる。……って、ちょっと待った!5000バーツ買ったとして還付される税金は350バーツ。そこから100バーツ引かれたら250バーツ(825円)。これは日本円に換金しても二束三文だから、やはり空港で使うことになる。クレジッド入金だと600バーツ引くって、それじゃ、5000バーツの買い物に対する還付より高いじゃん。苦笑……手続きが面倒なわりには、大量に買わないとあまりメリットがない制度。おまけに街中の高級店でVAT Refundしてくれる店は案外少なかった。
2008.08.01
2006年プラハの世界人形劇祭で、 最優秀文化伝統人形劇賞を受賞したバンコクのジョー・ルイス人形劇団。 「スワン・ルム・ナイト・バザール」にその伝統的操り人形劇「フン・ラコーン・レック」を観賞できるジョー・ルイス・シアターがある(まもなく場所を移るという情報もアリ)。 フン・ラコーン・レックは、日本の文楽と同じく3人1組で1体の人形を操る。音楽もどこか日本の浄瑠璃の節回しに似ていて、不思議に懐かしい。日本風にいえば「大夫」が物語を語っていくのも同じ。ただし、人形遣いは3人全員が協調した動きを見せ、その流麗な所作も見所になっているところが、黒子という存在のある日本の文楽と大きく違うところ。ホテルのコンシェルジュに聞いたら、ホテルで予約を取ったほうがいいと言われたが、そうそう平日から満席にもなるまい、と自分で直接早めにシアターに行くことにした。先月も行ったスワン・ルム・ナイト・バザール。ホテルからもそんなに遠くないので、午後5時過ぎに気軽にタクシーに乗り込んだ。ところが……!ここで、噂のバンコクの渋滞に初めて本格的に巻き込まれた。シー・プラヤー通りからラマ4世通りに近づいたところでだんだんにクルマが進まなくなり、なんとかラマ4世通りにはいったら、先方に見えるルンピニー公園までクルマが行列になっている。スワン・ルム・ナイト・バザールのあるルンピニー公園はオリエンタル・ホテルのほぼ西にあるのに、この運転手はなぜかわざわざ左折して北上し、距離的には遠回りになるシー・プラヤー通りを使った。渋滞を回避しようとしたのかどうかわからないのだが、判断は悪かったと思う。これじゃわざわざ遠回りして大渋滞のラマ4世通りを走る距離を延ばしたようなもの。一方通行なども多いから、一概に「わざと遠回りした」とも言えないのだが、もっと渋滞に巻き込まれない別ルートが絶対にあったはずだ。故意なのか、知識が足りなかったのかはわからない――バンコクのタクシー運転手は道を知らない人間も多いということが、使っているうちにだんだん身にしみてわかってきた。全然進まないうちにメーターがどんどん上がっていくし、ラマ4世通りに入ったらますますピクリとも動かなくなったので、ちょうど窓の外に見えたサームヤーンの地下鉄の駅の前で降ろしてもらう。「地下鉄で行くなら、ルンピニーで降りるんだよ」と人のよさそうな顔(ツクリモノか?)で教えてくれるタクシー運転手。言われんでも、わかってるって。地図手に持ってるやろ!どうもバンコクの人は地図というものを見る習慣がないらしい。道を歩いてる人もタクシーの運転手も、地図で指し示しても見ようとしない。知ってるか知らないか、だけ。地図というのは実は、読める人間と読めない人間の能力差が非常にハッキリするツール。バックパッカー街で白人の若い男女が何度も辻で立ち止まり、地図を広げているのを目撃したことがあった。最初ははるか先にいたのだが、あんまり止まってばかりいるので、ついには追いつき、「お手伝いしましょうか?」と声をかけた。「ここに行きたい」と青年が指を差す。が~ん!声をかけたのはMizumizuだったのに、差された場所が一瞬ではわからなかった。ところが横にいた連れ合いは一瞬で理解し、「ぼくらは今、ここ。だからここに行くには、この道をまっすぐ行って右へ」と教えてあげている。すると青年が地図を「グルッ」と回して、「ああ~! ここにいるんだ! で、こっちへ行くんだネ!」と理解したのだった。こうやってグルグル回す人はあまり地図を読む能力が高くない(実はMizumizuもこのタイプ・笑)。教えてあげたので、2人は意気揚々と目的地(恐らくはゲストハウス)に向かっていった。たぶん彼らはMizumizuたちを親切な現地のタイ人だと思っただろう(笑)。さて、サームヤーンから地下鉄で2駅でスワン・ルム・ナイト・バザール最寄りのルンピニー駅に到着。あっという間だった。あのままタクシーに乗っていたらどれだけ時間を食ったかわからない。よかったよかった。ジョー・ルイス・シアターを探しながら歩いていると、ねーちゃんが、「ジョー・ルイス・シアターのチケット、900バーツを800バーツで」と寄ってきた。劇場近くまで案内してくれて、「これから先には私は行けない(なんでよ?)。チケット売り場で値段を聞いてみて。900バーツだから。戻ってきてくれれば800バーツで売る」とのこと。チケット販売所で聞くと、席は十分余っていたので、わざわざアヤシイ800バーツのチケットを買う気にはならず、そのまま正規チケットを購入。劇場の外で見ていたねーちゃん、残念そうに立ち去った。まだ開演までには時間があったので、熱帯の夜にふさわしい、ゆる~い雰囲気のバザールを見て歩き……先月も食べた屋根つきの屋台村で食事した。ところが、これが信じられないくらいの大ハズレ。先月はまぁまぁだったのに、こんなに店によって違うとは思いもしなかった。だいたいご飯の炊き方からして最低だった。水が多すぎて、長米が思いっきり水を含んで膨れ上がり、日本米のような粘りや弾力性もなく、タイ米特有のさらっとした風味もなく、「こんなまずい米食べたことない」状態に…… あの店のおばさんは、基本的に料理が下手だったんだな。やれやれ……ほとんど気分が悪くなるほどまずい屋台食を早々に切り上げて、シアターに向かうと、シアター前の野外レストランは白いオーニングの下、テーブルにキャンドルを灯して欧米人が大勢食事をしている。ううっ、この賑わいを見ると、少なくとも欧米の観光客には人気のレストランだったのかも。屋台であまりにハズレで、一食ムダにしたので、うらやまし~い気分でうらめし~く眺めた。案内係に導かれて席へ。ところが「こちらです」とアームレストに触れたとたん、「ポロッ」ともろにはずれしてまう! だが、案内係ははずれた布張りのアームレストをただそのままポイとのっけて、気にする風でもなく行ってしまった。だからさ~、直しなよ。ネジがあれば留められるんだからさ~。「ネジありませんかぁ?」と、こういうのを見ると、すぐに修理しなくては気がすまない連れ合いが、モロはずれのアームレストを手にとってブラブラさせる。人形劇は、予定から5分ほど遅れてスタート。出し物は日によって違うそうだが、その日は「ガネーシャの誕生」だった。写真は禁止なので、お見せできないのが残念だが、3人が一体となって操る人形は、空中を闊歩する人形の滑らかな動きとともに、操り師たちのピタリとそろった足の運びが非常に美しく、これで900バーツ(3000円弱)なら、何度でも観たい! と思った。ところが劇の途中から、後ろの席のバカップル(死語?)の若いねーちゃんがベラベラ隣のにーちゃんに話しかけはじめた。しかも、嘆かわしいことに話してる言語は、あろうことか日本語! しばらく我慢していたが、あまりに長々と、しかもだんだんに声高におしゃべりするので、だんだん耐えられなくなった。語りや音楽が聞えない! 連れ合いがついにキレて、「静かに!」と後ろに向かって叱責。それで静かになってくれたからよかったが、恥ずかしいこと、このうえなし。日本の皆さん、劇場では劇が始まったらしゃべってはいけないんですよ。よ~く憶えておきましょうネさて、人形劇を堪能して、外に出ると、通りにはタクシーがたむろしている。ところが!ここでアユタヤ旅行の帰りのようなことが起こった。タクシーの運ちゃんが一斉に、まるで示し合わせたように、行き先を告げるとメータータクシーのくせに、「150バーツ」「200バーツ」と吹っ掛けるのだ。うそぉ。オリエンタル・ホテルなんてせいぜい50バーツでしょ(と、すっかりもう土地勘ができている)。もしかしたら、このバザールの中の道に入るのに、手数料でも払っているのだろうか? トゥクトゥクもいたので、「50バーツでどう?」と言ったら、笑いながら、「ノー、ノー。遠すぎる。150バーツ」と、まるで他のタクシーの運転手と事前に談合してるかのよう。だめだ、ここは――と思い、道に出る。ところが、行列してタクシーが待っている。……ということは、同じく吹っ掛け組かも…… と思い、流しのタクシーを停めようと行列タクシーのもとを離れようとした。すると、Mizumizuたちの動作で思惑がわかったのか、目の前にフラフラと入ってくるタクシーがいた。行列の前に割り込んでるようなものだが、こういうタクシーなら、ちゃんとメーターで行くのでは、とアタリをつけて、乗り込む。案の定だった。この運転手はちゃんとメーターを押す。アジア系で、とても気弱そうなタイプ。「あ~、よかった」とリラックスして乗っていると……あれっ!?道が違う? もうじきホテルというところで反対の道に曲がって入ってしまった。運ちゃんも、「あっ」と思ったらしく、キョロキョロしはじめた。連れ合いも気づき、タクシーの運ちゃんに「違う」と話しかける。運ちゃん、頷いてUターン(オイオイ!)。一度道を間違えたとはいえ、51バーツで来た。間違えなかったら、たぶん47バーツといったところかな。ホテルにつけたところで、運よく次の客が待っていて(たまたま客がタクシー待ちをしていた場合のみ、タクシーは客を乗せることができるが、誰もいない場合は、さっさとホテルから追い出される)、この道に不安のある気弱そうな運転手は得したことになった。しかし、ホテルのドアマンが必死に道を説明している(オリエンタル・ホテルのドアマンは客がタクシーに乗るときは必ず行き先を運転手に説明してくれる)のに、なかなか飲み込めていなかったから、また次でも道を間違えたかもね(笑)。とても親切なオリエンタル・ホテルのドアマン。ところが、部屋の日本語の案内には、「公共タクシーの運転手は英語ができない、道を知らないといったことがあるので、当ホテルではそのような公共タクシーの利用はお勧めしておりません」なんて書いてある。最初はホテルからメータータクシーに乗るのは、はばかられる行為なのかと思った。ところが白人客はバンバン呼んでもらって乗ってるし、Mizumizuたちもドアマンに頼んだら、すぐに呼んでくれて、運転手に行き先を説明し、トラブルがあったときのためのカードもさっと書いてくれる。確かに部屋の日本語案内に書いてあることはそのとおりだが、英語ができなくてもタイ語で行き先を見せれば、知っていれば行ってくれるし、道を間違える場合も確かにある(笑)が、完全に知らない場合は知らないと言う。「そのようなタクシーの利用はお勧めしない」なんて、ことさらバンコクのタクシーの印象を悪くする書き方をしなくてもいいと思うし、実際タクシーに乗りたいといえば、ホテルのドアマンは非常に親切に対応してくれるのだ。もちろん、まったくトラブルがないとは言えないのは当然のこと。タクシー運転手に観光客が殺されるという事件もあった。でも、そんなことはどんな国だってあることじゃないだろうか。運転手のレベルはともかく、バンコクのタクシーは安くて数が多いので、とても便利だ。
2008.07.31
先月は申し分なかった、というより驚愕したといってもいいオリエンタル・バンコクのサービス。だが、夏休みに入った今月は先月ほどの満足は得られなかった。先月は毎日夕方にもって来てくれたタダのちょっとした一品料理やワイン。今回は1週間滞在して、たった一度ブルーベリームースのマンゴーソースがけが出ただけ。果物も先月は、1日2度補給されることもあり、種類や量もこちらの好みに合わせて調整してくれていたが、今回は決まったものが1日1度出るだけ。ロンガンにはアリンコがたかっているし(部屋を移ってからはロンガンが出なくなった)、バトラーは日替わりでいろいろな人が来る。このサービス低下(というか、先月が異常によかっただけというべきか)は、もちろん客数の違いだ。今月は圧倒的にお客が多い。ビジネスミーティングも頻繁に行われていて、ある朝など、明らかにビジネスマンとおぼしき男性がいっぱいブッフェで食べていた。これはオリエンタル・ホテルでは珍しい情景。おもしろいことに、休暇で来てる男性と仕事で来てる男性は、朝から顔つきまで違うのだ。スーツを着ていなくても、1人で座っていても、仕事で来たのか、にーちゃん・ねーちゃん漁りに来たのかすぐわかる。しかし、ビジネスマンに占拠された朝の一般客は悲惨。混んでない朝なら…こんなふうに温かい特別メニュー(この日は海老入りライススープ、つまりおかゆ)も頼めるのだが、ビジネスマン集団が大挙してやってくると、従業員は殺気立って働かなければならず、気が引けて特別メニューを頼む気になれない。「マカフィー」と名札をつけたビジネスマンがやたらと歩き回っていたある日の午後などは、エレベーターボーイすらどこかに借り出されたらしく、いなかった。先月は下手したら2人いて、必ず流麗な所作で挨拶をし、エレベーターのボタンを押してくれていたのに。誰も立っていないエレベーターの前はなんだか寂しい。先月何かと世話してくれた朝の「シスター」ことワッタジィティ・ナレードゥム君(長い名前!)は、最後の2日間だけシフトが替わったのか、ブッフェにいた。彼(彼女?)が復帰したことで、Mizumizuたち(だけ)に対するキメ細かい朝のサービスが復活した。1ヶ月たってもちゃんと、名前を憶えてた(えらいなぁ)。ワッタジィティ・ナレードゥム君。仕草は完全に女性。気のきき方はハンパじゃない。コンビだった黒服クン(先月は、単独白人男性とみるとすぐに果敢にアタックし、ほぼ100%の確率で爆笑させていた)はどこにいるのか聞いたら、休暇でイギリスに行ったのだという。なるほど~、家族連れの増えるこの時期を選んでホテルを離れたな、さては。ナレードゥム君が持ってきてくれたフルーツ盛り合わせ。何も言わなくても、「あ、今日はまだフルーツ取ってないのネ。じゃ、持って行くワ」という感じ。マンゴースティンはちゃんと半分皮をはずしてある。盛り方も美的。ワッフルを作ってもらおうと席を立ったら、さっと寄ってきて、「何?」「ワッフルを作ってもらいたくて」「あ、じゃあ、座ってて」と、頼みに行ってくれた。Mizumizuが自分で持ってくると、メンドーなので、メープルシロップを直接ドバドバかけてしまうのだが(恥)、「シスター」は抜かりなく、お皿を3つも使って、メープルとハニーを2つきれいに並べて置いてくれる。ワッフルとパンケーキを作っているおねえちゃんは先月と同じ人。ただ先月のワッフルやパンケーキは焼く時間が足りてない白っぽいものが多かった(苦笑)。今回はちゃんとほどよく焼いてくれている。先月はへニャッとして美味しくないと思ったのだが、こんがり焼きたてのワッフルとパンケーキは今回は及第点。ワッフル&パンケーキはリクエストして作りたてを食べよう。前日にビジネスミーティングが入っていて、パンがあまったのか、ナレードゥム君がバラつき(笑)でもってきてくれて、魚にエサやりをどうぞ、と言われた。テラス席のすぐそばの川にはナマズがたむろしているのだ。パンに群がるナマズ。絵的にはあまり美しくありませんが……シスターがかいがいしくサービスしてくれるMizumizuたちのテーブルの横で、アジア系のカップルが多少不愉快そうに視線を投げてきた。確かに妙に親切にしてもらってるこちらは気分はいいが、それを見てるだけの一見さんからすれば、「このホテル、客を差別してない? なんであっちの客には魚のエサまで出てくるんだ?」と思うかもしれない。特に日本人はこういう不公平には敏感だし。ただ、言ってしまえば、ホテルなんてところはカネがすべてなのだ。1ヶ月とあけずにやってきて、1週間も連泊すれば扱いがよくなるのは、むしろ当然だろう。そして、もっとも口うるさい客というのは、もっとも眼が高い客ではなく、もっとも貧乏な客なのだ。その金額を無理して払っているから返ってくるサービスに対して期待値ばかりが高くなる。何にしろ、差はわずかでも、支払わなければならない金額は段違い、ということはよくあること。個人的にはオリエンタル・バンコクはたいへんにいいホテルだと思う。別に金額的に優遇されているわけでもなんでもないのに、2ヶ月に2度も来て、1週間連泊したというのが、その証明になっているだろう。だが、このホテルは安くはない。だから、経済的に余裕がない人には、薦めない。貧乏人はしっしっ、という意味ではもちろんない。ホテルの歴史やホスピタリティにコダワリや関心がないなら、わざわざ割高な料金を払ってまで泊まるほどでもないですよ、という意味。設備だけを見たら、もっと新しくて近代的で、リーズナブルなホテルがいくらでもある。タイなのに白人だらけというのがいかにも植民地的だし、世界の所得格差を見せつけられるようで、正直あまり気分のいいものではない。さて、バンコクの気候に関しては、先月より今月のほうがしのぎやすかった。7月のバンコクは東京よりずっと涼しく感じた。先月は蒸し暑く(タイは5月が酷暑らしい)、蚊がいっぱいいた。だが、ホテルのお客は少ないし(したがってサービスもいいし)、マンゴーは美味しいし、ホテル滞在の満足度はシーズンオフの先月のほうがはるかに上。結論:オリエンタル・バンコクには、夏休みや冬休みは避けて、なるたけシーズンオフに泊まりに行こう。<もう日本に帰国していますが、まだちょっとタイ編のこぼれ話が続きます>
2008.07.30
全82件 (82件中 1-50件目)