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2014.02.27
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演技・構成点が、他の選手に比べて妥当かどうかという問題なら、たとえばコストナー選手への評価はどうだろう? 驚くぐらい伸びるスケート技術を披露し(滑る技術で言ったら、女子ではコストナーが世界一ではないだろうか)、独創的で、キム選手以上に成熟したエレガントな演技で観客を魅了した銅メダリストの演技・構成点は73.77点。世界中のファンや有名スケーターがこぞって絶賛した浅田選手は69.68点だ。浅田選手は失敗したリプニツカヤ選手の70.06点より0.38点低く、ほぼ同じ仕分けになった…もとい、ほぼ同じ点しか出なかったのだ。15歳の少女と、ですよ?

それは「滑走順」のせいだとスケート関係者は言う。

日本スケート連盟名誉レフリーの杉田秀男氏は、「正直にいって得点はもう少し伸びてもおかしくない。演技順が早かったことで、演技構成点が抑えられたのだろう」と当たり前のように書いているし、佐野稔氏は、次のように述べている。

http://no-border.asia/archives/19414
●低く抑えられた得点は、滑走順の影響か
それほど見事だったのに、フリーの得点だけを較べても、浅田はアデリナ・ソトニコワ(ロシア)とキム・ヨナ(韓国)に及びませんでした。正直なところ、演技構成点については、もっと高くて良かったのではないかと、私も感じています。それでも、浅田の得点が低くなった理由のひとつには、滑走順の影響があったように思います。

彼女は第2グループの最終滑走でした。それまでに滑った11人の選手とは、明らかに演技のレベルが違っていました。ですが、採点する側の心理を考えたとき、すでに滑走を終えた11人との比較で、ひとりだけあまりに飛び抜けた点数はつけにくい…といった気持ちが、点数を抑える方向に働いたのではないでしょうか。<引用終わり>


滑走順がどうのとういう説明は、現実にはそういうことはあるかもしれないし、そういうこともあるのだと現場のスケート関係者が思っているだけのこと。そのこと自体を間違っているとか正しいとか言うつもりはないが、絶対評価という原則から見れば、「滑走順で抑えられた」という説明には正当性はない。むしろ、そういうことはあってはならないハズだ。

佐野氏の結論は、結局はこうなる。

もし仮に、最終滑走グループのなかに入って、浅田があのフリーの演技をしていたら、違う得点になっていたのかもしれません。そうした「不確定な要素」が結果を左右することは、人間が採点する競技である以上、ある程度仕方のないことです。もちろん、はたして最終滑走グループだったときに、浅田があの演技をできていたのか。それは誰にも分からない話です。また、その滑走順にしても、SPでの浅田の失敗に拠るものです。案外浅田本人は、周りが感じているほど順位や得点に対して思うところはなく、自分が集大成と決めた舞台で、納得のいくスケーティングができた達成感のほうが大きいのかもしれません。

確かに、金メダルが目の前にぶら下がった状態で、浅田選手にあの演技ができたかどうかは、わからない。だから「滑走順が違っていたらば、もっと点が出ていただろう」というのは、無意味な仮定法で、ただ、「演技・構成点がメダリストに比べてかなり低かった」という、得点を見て一般人が(当然)疑問に思うであろうことを後付で説明するために言っているにすぎない。

「あの演技でフリー3位なの?」というのは、しごくもっともな疑問だと、Mizumizuも思う。

絶対評価を謳うシステムなのに、自国選手に理不尽な点が出ても、このように「仕方がない」と言って済ませているのが日本のスケート関係者だ。あげくに、選手は採点に思うところはないなどと決めつけて、はい終わり。

選手本人が言えるわけないでしょう!

キム・ヨナ選手のセリフではないが、選手が採点に納得いかなかったら、どうしろと?

佐野氏は回転不足判定には「運」「不運」があるという。NHK杯の織田選手への判定について。

http://no-border.asia/archives/16451

織田の4回転トゥループと、成功と判定された高橋の4回転トゥループを比較しても、回転そのものに大きな違いがあったようには思えません。ですけど、ふたりがジャンプしたリンク内の地点は、まったく別のところでした。もしかすると、判定に使用するカメラの位置からだと、織田のジャンプが回転不足に見えたとしても仕方ないような角度だったのかもしれません。

あくまで私の推測ではありますが、こうなってくると「運」「不運」の範疇になってしまいます。ですが、それもまたスポーツを構成する要素の一部だと言うしかありません。


あっちから見ると回転不足に見え、こっちから見ると回転が足りていたように見える…そんな不確かな条件で、一方向から見たカメラのみで判定するのは無理があるのではないだろうか? それならば少なくとも判定に使うカメラ数を増やすなど、判定の信頼性を高める努力をすべきなのに、そういった提言はスケート関係者からついぞ聞かれることはない。

これが他のスポーツだったらどうだろう? 判定は覆らないとしても、あとからさまざまな角度から見て審判の判定を検証するということは普通になされている。そうやってより精度の高い判定を目指し、審判に対する信頼を高める努力をする、それが正しいあり方ではないのだろうか? 現行のルールで非常に大きな減点となる回転不足判定について、自国の選手が不利益をこうむっているのに、「運が悪かった。これもスポーツ」で片づけていいのだろうか?

セルジオ越後のような人から見れば、まさにこれが「臭いものに蓋」になるのだろう。以下、「日本人はなぜフィギュアの採点を議論しないのか」というコラムからの抜粋

http://news.livedoor.com/article/detail/8567677/

ブラジル滞在中に感じたことの一つに、日本とのスポーツ番組のテイストの違いがある。例えば国内リーグの試合後に放送される討論番組では、1時間たっぷり、延々と激論が交わされる。番組時間が突然延長されることもザラ。きわどいオフサイド判定があろうものなら、そのシーンを何度も何度もリプレーしながら、ああでもないこうでもないと騒ぐ。批判的な時は、辛口なんていうレベルを超えているよ。とにかく本音なんだね。

翻って日本は、ハイライト番組と応援番組が主で、コメントは本音よりも建前だ。采配ミスや判定ミスがあったことは、思っていても口に出さない。Jリーグや日本代表のニュースで、きわどいオフサイドシーンに触れられることがあるだろうか。臭いものに蓋、触らぬ神に祟りなし、という言葉がある国民性からか、どうもそういう話題は奥に押し込めてしまうよね。議論をして相手に意見を言うと、その相手のことを嫌いなのかと思われてしまう。これじゃあ議論にならないよね。

もう一つ、日本のスポーツ報道は、そのスポーツそのものよりも周辺のドラマ性ばかりに注目する。延々とサイドストーリーが語られる箱根駅伝もそう。浅田真央の快演で感動を呼んだソチ五輪のフィギュアスケートにしても、プレー分析やライバルとの採点の付き方の比較といった、競技そのものについての言及はほとんどなく、とにかく感動ストーリーだけが拡散される。なぜもっと議論しないのか。<引用終わり>


今回、浅田選手の渾身のフリーについても、「あれでフリー3位というのはおかしい」というスケート関係者はほとんどいない。「点が伸びなかったのは、滑走順で抑えられたのだろう」で終わり。そしてただただ感動のサイドストーリーに流れ、延々とそれが続く。

それでもNHK杯の織田選手の4回転の回転不足判定について、「会場にいた多くの先生方、プロの立場で観ていた人たちの間から『あれは可哀相じゃないか』といった声が挙がっていました」と、判定に疑問をもつ専門家がいることを認めただけでも、まだ進歩したと言えるかもしれない。

それならば、その判定について、あるいは判定方法について議論すべきではないか? 「運」で片づけていい問題と悪い問題がある。

日本のファンはもうルールをよく知っていて、回転不足判定に神経を尖らせてる。バンクーバーのときのように、「わずかな回転不足がたいていの場合、転倒よりもひどい減点になる」という無茶苦茶なルールはさすがに変わったが、それでもお手つきやステップアウトといった非常に目立つミスより、わずかな回転不足のほうがほとんどの場合、減点幅が大きく、ときには回り切っての転倒より低い点になるというのは相変わらずだ。

カナダ在住の日本人スペシャリスト天野氏によれば、「(団体戦のプルシェンコのように、見せつけられると)ジャッジは我を見失って高得点を出してしまうのかもしれない」そうだ。ナルホド、高得点が出るのはジャッジが我を見失った結果ですか。そこまでデタラメとは思いもしませんでした。

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はいはい。人間がやることですからね。ある程度は仕方のないことですね。どの程度までが「許容範囲」かも主観次第ということでしょう。そういうのは絶対評価ではなく、ご都合主義評価というものだと思いますけどね。

ジャッジの採点など、現実にはこんなものなのだ。絶対評価のはずが「滑走順」で評価が違い、素晴らしいパフォーマンスを見せつけられると、「我を見失う」そうだ(ヤレヤレ)。

そのわりには、世界中の一流スケーターが絶賛した浅田真央のフリー、あれほど見せつけられても、ジャッジはショートで失敗して浅田選手同様「メダル仕分け組」から落ちたリプニツカヤ選手と同様の点しか出さなかった。

この天野氏のコラムは、団体戦のあと(個人戦の前)に書かれたものだが、プルシェンコ選手の得点に関してジャッジをフォローしようとする意図が見え見えだ。個人戦でプルシェンコ選手がそこそこのジャンプを決め、予想外の高得点が出た場合を想定しての「予防線」かもしれない。

しかも、プルシェンコ選手のスタミナに不安が全然なかったという見解はどうだろう? 点が出たからスタミナ問題はなかったとでも言うのだろうか? スタミナが切れたか切れなかったかは点が出たかどうかではなく、後半までスピードがどうだったか、ジャンプが跳べたかといった実際の演技内容で判断するものだ。

解説の本田氏は、フリー後半にジャンプが2つ2回転になったのを見て後半の疲れを指摘していた。ISUの誇る世界的(苦笑)スペシャリストと、ジャッジではないが日本が世界に誇る元名選手。どちらの「目」がより正しいだろう? Mizumizuは完全に本田氏に同意する。

<以下、後日>


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最終更新日  2014.02.28 01:53:33


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