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手塚治虫

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2024.02.08
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カテゴリ: 手塚治虫


​​​​前回のエントリーでは、手塚治虫の原作漫画とかけ離れていても名作になったアニメの話をしたが、今回は、「この企画がボツって良かった」例を挙げたいと思う。

それは、『0マン』。1959年に「週刊少年サンデー」で始まったSF超大作で、初期手塚の最高傑作の呼び声も高い作品。

漫画史における歴史的意義としては、それまで月刊誌が中心だった少年漫画の潮流を週刊誌へと変え、毎週「次はどうなる」と読み手をワクワクさせて引っ張っていく、「週刊誌における長編漫画」のスタイルを確立したエポックメーキングな作品だ。

このあたりの詳しい話は、You TUBERの某(なにがし)氏による動画がオススメ。

https://www.youtube.com/watch?v=V_kQm_RyDUQ

また、コージィ城倉による『チェイサー』では、漫画雑誌の編集者(つまり、大人)たちが「面白い」「次が気になって」と夢中になっている様子が描かれている。


この『チェイサー』については、後日詳しく書くつもりだが、日本の高度成長期、漫画が新しい庶民の娯楽として爆発的に人気を得ていく――その「昭和の熱気」の雰囲気を背景に、手塚治虫を口では批判・否定しつつ、本当は大好きで手塚の真似ばかりしている漫画家を媒体にした、一級の手塚治虫論になっているところが素晴らしい。





…だそうだ。

重層的なテーマをもった手塚作品にふさわしく、何を面白いと思って読んだのかは、人それぞれなのだが、もう人生の終盤(苦笑)になって、初めて『0マン』を読んだMizumizuがヤられたのは、主人公リッキーのかわいさだ。

コンパスよりきれいな円を描く――と言われた手塚タッチが生み出した、とことん「丸い」お顔のリッキー。大きな、独特のお目目、いつもかぶっている赤いキャップ、足首のない「末広がり足」――そして、ふわふわの大きな尻尾。

最初、表紙でこの絵を見たときは、「うーーん、少年向きのマンガだよね」と、なかなか食指が動かなかったのだ。だが、評論家を含め、面白いと言っている大人が多いことに背中を押されて、図書館で借りて読んでみた。

で、今は…


全集版のサイズ(B6)では飽き足らず、それよりデカいB5判を揃えてしまった。

しかし…実はこれはカラーでないのが気に入らない。B5サイズでカラーの限定版も過去に出たようだが、当然、今はプレミア価格で当時の定価では買えない。

ま、多分、また出るでしょう。カラー&大型サイズの豪華版(また買うのかよ)。

カラーではないとはいえ、サイズが大きいので、流麗な手塚タッチが堪能できる。リッキーは運動能力に優れ、屋根から屋根へピョーンピョーンと飛び移ったり、ありえない跳躍を見せたりするのだが、そこがまたカワイイ。

卑怯な真似が大嫌いなのは手塚ヒーローの定番設定だが、人間のためにやらざるを得なくなったときは、うつむいてキャップで顔が隠れている。そんなひとコマにも、ヤられてしまった。

健気なリッキーは、自らの苦悩を大人に漏らさず、自分の中にそっと閉じ込めて、周囲に悟られないようにする。幼いルックスからは想像もつかない独立心の強さも魅力のひとつだ。

驚かされたのは、うたたねをしていた田手上(たてがみ)博士が目覚め、その間に重大な決意をして涙するリッキーを見て、そのいきさつをしらないまま、「(自分だけが寝てしまって)さみしがっている?」と誤解し、丸っこい小さなリッキーを抱き寄せて、「かわいい子じゃ。わしの孫みたいじゃ」と愛おしむ場面。



このリッキーをパッと抱き寄せて、抱きしめている嬉しそうな表情は、まさにかわいくて仕方がない孫をいつくしむ祖父の姿。

この漫画を手塚治虫が描いたのは、30歳になるかならないか。その若さで、「孫に対する(年寄りの)気持ち」をさりげなく、しっかり描き切っているところに驚かされたのだ。

山田玲司は手塚治虫を「オトナなんだけど、子供でもいたい人」と評したが、若くして老成した視点も持っていたことがこのシーンから分かる。

ところが、だ。

手塚治虫の「あとがき」によると、発表からだいぶたって、『0マン』を(旧)虫プロダクションでアニメ化しようという企画があり、パイロットフィルムを作ったそうだ。ところが、当時は『巨人の星』『明日のジョー』に人気が集まっていたとかで、

かようなチマチマした可愛らしいキャラクターではどうも、というテレビ局からのつよい要望で、でき上ったテレビ用のリッキーは、星飛雄馬がシッポをつけたようなチグハグな人物でした。れいの跳躍をしてみても、ただの体操選手の走り高跳びのようにみえて、あんまりおもしろいアクションにはなりませんでした。​(手塚治虫漫画全集 『0マン』より)

手塚プロダクションの公式ホームページには、その時のキャラクターが載っている。
https://tezukaosamu.net/jp/anime/103.html​

​ゲーー なんじゃこれ

『0マン』の最大の魅力は、幼くまるっこく、かわいいリッキーのルックスにある。それを流行りにのっかって、変えろと? 

当時のテレビ局の担当者が、いかに『0マン』を理解してなかったか分かる。

ボツって良かった!

しかし、アニメにならなかったのは個人的には残念だ。作りようによっては面白い作品になったハズ。「手塚流悲劇」が控えめで、主要人物がほどんど死なないというのは、当時よりも、むしろ今の時流に合っている。どこかで作ってくれませんかね。

金星への移住など、現在の常識では無理だと分かっている部分もあるから、そこは「改変」が必要だろうが、ストーリーの骨格は今でも十分楽しめるから、アニメ化は荒唐無稽な話ではないはずだ。オートメーション化が進み、「ひと」が仕事を失ってヤケになっているシーンなどは、むしろ現代のほうがリアルに見る者に迫ってくるのではないか。手塚治虫の先見性は、ときに恐ろしいほどだ。

アニメ化することで原作漫画の認知度が上がるというのは、まぎれもない事実。だから原作者は弱い立場に置かれる。その結果、『0マン』パイロットフィルムに見るように、「テレビ局の意向」で作品の良さが完全に損なわれてしまうこともある。

富野由悠季氏が『海のトリトン』の最終話のシナリオを隠したというのは、勇気ある英断だった。テレビ局に漏れたら100%改変を強要され、名作と再評価されることもなかっただろう。

​​





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最終更新日  2024.03.05 09:03:16


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