仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2005.12.21
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カテゴリ: 東北
現在、秋田県政のトピックとして、16日に起立採決で可決とした一般会計補正予算案について、実は「可否同数」だったという問題があるようです。

朝日新聞の報道 (なぜか最後に宮城県議会の慣例が紹介されている。)

秋田魁新聞の報道 では、議会事務局職員も報道の問合せより、その日の忘年会を優先した、などとの記事。思わぬ方向に発展しているようです。

教科書的な解答では、議会の自律権の問題である、との一言で終わるはずですが、政治的には済まされないかも知れません。
ところで、議長の手違いや今後の政治的動向は別として、そもそもなぜ補正予算案に賛否拮抗するような状況になったのでしょうか。これだけでも十分に異例です。地域と政策を考える立場からは、このことの方が重要でしょう。

私が家で購読している河北新報の先週の記事では、補正予算案で、南ヶ丘ニュータウン県営住宅建設用地取得費用が焦点となっており、これは県住宅供給公社の経営支援とも関連しているが、議論の末可決された、という内容だったように思います。

秋田の住宅供給公社と言えば、真っ先に御所野ニュータウンが思い浮かぶのですが、さらに、御所野の名を聞くと、東北では先進的に中高一貫教育を実現した御所野学院中学・高校(秋田市立、2000年開校)が連想されます。御所野も秋田自動車道沿いの南の方だったと思います。

南が丘ニュータウンは、秋田県住宅供給公社最後の分譲事業という位置付けのようで、これを最後に、既存団地の処分とあわせて、平成19年度中に存廃を含めて公社のあり方を検討するということだそうです( 秋田県のHP による)。
まちづくりビジョン をみると「子ども総合支援エリア」構想も盛り込まれており、他の行政施策と調整しながら、地域開発と公社支援策の効果が上がるよう、苦労しているのが伺えます。

右肩上がりが崩れ、地価の下落という目にしたくない現実にあえぎながら、過去の無責任な行政トップと政治を恨みつつ、後始末に追われるという、担当者の苦労を察します。このような真剣味が昔もあったのなら、と思っていることでしょう。
それにしても、それ行けドンドンとバラ色の開発行政を無定見に進めてきたことは大いに反省しなければなりません。それが果たして今になって、第三セクターの救済が先に立つ、という本末転倒的とも思われる状況に陥ってしまうのです。

もちろん過去を批判ばかりしても生産的ではありません。また公社がこれまでに果たした役割は正当に評価すべきです。その上で、当然ながら財務状況は徹底して公開して(青森のアニータ事件みたいなのは論外です)、皆同じレベルに降り立った上で、未来志向で議論すべきです。清算、場合によっては公的資金の処理もあって然るべきでしょう。
救済が本末転倒だ、と言いましたが、最低限の救済は、公的施策である以上、元々織り込まれていたはずです。その限度の救済は公明な議論を経た上で、むしろ行うべきかも知れません。問題は、例えば組織を生かすがための追いゼニ、のような発想で、それはまさに本末転倒です。

県議会で議論が拮抗するのはもちろん結構だけれど、どこまで問題を正しく捉えて議論してきたのか疑問もあります。秋田県の事情や経緯を十分調べたわけではないので、適切な批判をできるとは言えないのですが、それにしても議会での論戦は表面的なように見えます。賛否拮抗というほどに真剣で中身のある議論がなされた、というようには見受けられません。
政治家が今になって開発志向や経営体質を批判するだけという図は、ちょっと滑稽でもあり、また残念でもあります。本当に問題を解決する気があるのか。さも活発な議会論戦だと思いこんで行政の責任を問う姿を示しながら、その超近視眼的な批判気取りが、実は極めて無責任であるのですが。





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最終更新日  2005.12.21 06:01:54
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