仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2006.03.12
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カテゴリ: 仙台
以前から気になっていたこと。仙台藩の城下に物資を運び入れるため、「舟曳堀」が鶴巻(梅田川口)から苦竹まで通っていたが後に埋められ宅地になった、というのだが、一体どういうルートだったのだろう。

ちょっと整理すると、南部では阿武隈川河口(納屋)から名取川河口(閖上)まで「木曳堀」がある。すでに政宗の時代に川村孫兵衛により掘削され、仙台城の建材もこの運河を利用して運ばれた。名取川・広瀬川をのぼり、その名も舟丁に蔵(若林御蔵)があった。

そして北部。塩釜港から城下までの陸送に悪路や急坂があるため、2代忠宗の命で塩釜(牛生)と七北田川(大代)の間に運河を開削。さらに大代から、七北田川の流路付替え工事(岩切-福田町間)で新たに河口となった蒲生まで延長した。これが「舟入堀」である。現在は仙台港(新港)の区域に沈んだ。そして、あわせて「舟曳堀」を鶴巻と苦竹の間(5km)に完成させた。

実は政宗は仙台開府の当初から、宮城野原五輪下から塩釜に向けて運河工事を始めたが、隠密によって幕府に知られ中止したという。
(なお、のちに命名される「貞山堀」を構成するもう1本の大運河で「新堀」(蒲生-閖上)は明治新政府によって開削された(明治5年完成)。幅5mほどだった新堀と木曳堀も、県が大改修を施し拡幅。さらに、北上川と結ぶための北上運河(石巻-野蒜)、東名運河(野蒜-松島湾)を合わせ、政宗の気宇を今に伝える仙台湾に沿った壮大な水運ネットワークである。)

蒲生(蒲生御蔵)、鶴巻(御蔵場)、苦竹(御蔵前)は米蔵が建ってにぎわったという。特に蒲生(町蒲生)は塩釜をしのぐ隆盛だったという。仙台港建設前の航空写真をみると、蒲生の町に舟入堀の舟だまりの地形が残り、密集する人家のようすがよくわかる。

大崎や登米のコメが北上川を下り石巻から塩釜港に運ばれ、舟入堀で蒲生まで来る。一度蒲生で積み替え、七北田川を上って鶴巻で再度積み替える。今度は船曳堀に入るが、鶴巻では七北田川と堀は直接つながらず、藤川(地図では、幸町、東仙台を経て苦竹駅付近、国道45号の日産プリンスの北で梅田川に合流。)の水を注入した。落差があり城下への進水を防ぐためである。また、いわゆる「落し堀」とし、補修や浚渫のため、「辰の口」という地点で水を落とした。舟曳堀は幅5~8間、深さ4尺ほど。底の浅い高瀬舟で曳夫2名で米48俵など諸物資を運んだ。曳夫などの住んだ町は福田町一丁目の旧45号線北側で当時「新町」と呼ばれた。
さらに、堀はわざと蛇行させて、敵の侵入や横流しを監視したという。そのため、鶴巻から苦竹まで何度か積み替えをする。舟曳堀(お舟堀)は狭い運河で、その名の通り綱で舟を曳いた。そして苦竹から原町の米倉までは、小田原牛小屋町から出てきた何十頭の牛が、原町の宿場町を通って運んだ。

原町御蔵は、現在の榴岡の気象台のある場所。明治中期まで校倉造りの蔵が6棟残っていたという。

さて、その舟曳堀のルートである。鶴巻御蔵から福田町南西方を経て苦竹御蔵まで、大まかに言えば、現在の国道45号線の南側で、梅田川と並行する形で、その南側を通っていたようだ。

まず鶴巻。七北田川の船だまりは現在の鶴巻1丁目(鶴巻小学校のある町)で、舟曳堀の始点でもある。御米蔵3棟、御塩蔵1棟があった。鶴巻御蔵場跡地は、鶴巻小学校や仙台市ポンプ上のやや北側、梅田川と七北田川の合流する地点の南側。地図では今工場になっているようだ。

そして、梅田川の南側に沿って舟曳堀が進み、運河の水を落とした「辰の口」は、45号線
が梅田川を越える福田橋のたもと、ちょっと南側である。扇町六丁目、現在の仙台市動物管理センターの北のあたりだ。付近に(福住町)船小屋という地名もある。

この辺から、舟曳堀は梅田川とはやや離れ、現在の45号線の南側を城下へ進んだのだろう。
苦竹の御蔵だが、地図では現在の自衛隊のあたりのようだ。

今朝は歴史の整理に終わってしまって時間がないが、具体的ルートの特定は、もう少し色々な資料で調べればわかるだろう。詳しく調べてネットで紹介している方もいるようだ。できれば私の地図に鉛筆でオーバーレイして、ヒマなとき(何時だろう)に自分で歩いてみたい。往事に思いをめぐらしながら。

(仙台市高砂市民センター『高砂をあるく』第10集、平成10年、ほか各種資料からODAZUMA Journal編集局整理)





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最終更新日  2006.03.12 08:40:52
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