仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2010.08.26
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カテゴリ: 仙台
仙台市の6月議会で議員定数を60から55にする条例が可決された。来春の統一選挙から適用される。記名投票か無記名投票かで会派の意見が対立したが、無記名投票により、賛成31、反対24だった。また、共産党市議団を除く6会派の代表者から、政務調査費の領収書添付を現行の1万円超から1円以上にする条例改正案を提出し、これも賛成多数で可決。なお、共産は今年度から適用とした独自の条例改正案を提出し、否決された。

共産党市議団の主張は、こういうことだろう。

■議員定数を減らすだけが議会改革ではないはずだ。市民と議会のパイプは重要で60でも多いとは言えない。
■デタラメな使途の政務調査費、海外視察制度、一日5千円の費用弁償などの問題こそ早急に改革すべき。共産党は改善を提案してきたのに、先送りされてきたでないか。


よく市役所一家と称され、最近は河北新報が奥山市政1周年を機に、市民の視線重視ではなく市役所内の論理に埋没しそうでないかという論調で、市長のスタンスや仙台市政全般を批評している。市長や市役所だけではなく、市議会も「一家」だったと感じることが少なくない。もっと言えば、経済界も含めて、仙台全体が、大藩を気取りながら進取の風に欠け、足を引っ張りこそするが、皆で議論したり、改革や改善に立ち向かう雰囲気のうすい。明るさや開放性に欠け、何かよどんだ「一家」でないか。

それが証左に、昨年の市長選挙もあれだけ前市長を批判しておきながら、多数会派は市役所出身の奥山擁立でまとまっていたのは、不思議と言えば不思議だ。国政も県政も、ねじれたり交替したりとダイナミックな中で、ひとり仙台市政だけは、結局市政与党の立場でいたいという市議会の本音が守られてきた、ぬるま湯市政でないか。

共産党の姿勢は、明確で一貫している面もあるとは評しているが、ただ、言わせてもらえば、昨年の市長選挙の姿勢はどうだったのだろうか。

定数問題について、上記の共産党市議団の主張は、たしかにそのとおりである。是正すべき調査費等こそ改革すべきで、数を減らせばいいというものではない。特に、少数会派にとっては深刻な問題でもあろう。

私は、55が適正かどうかは結局有権者の判断に委ねるしかないと思うが、単にムードで減らすだけが改革だという一面的で一方的な見方は、たしかに戒めるべきだ。市民も、実はそれはわかっていると思う。あえて言えば、60人は要らないでしょうね、という感覚では無かろうか。極論だが、各区に1人や2人となると、市民もそこまでヨシとはしないだろう。

そもそも、定数の面で考える市議会のあり方とはどんなものか。私は、市議会は、市民の意見をある程度多様に反映しつつ、議論と政治的妥協により合意を試みる場に本質があると思う。議会改革というと、首長と同格の二元代表制だとか、条例案の議員提案が大事だとか言うが、そんなことが本質ではない。首長のチェックと住民の意見の反映が、期待されている役割だ。そして、多様な住民の意見を反映しつつ政治的妥協をする場だから、一定のマスは必要だ。

誤解を恐れずに言えば、議員個人や会派の条例提案が期待されているのではない。首長が2人いては困る。いったん信任された首長を市民の目でチェックし、政治的決定の市民の意見の合意形成を図ることが期待されている。議会の活発化という意味では条例提案も良かろうが、その程度だ。国会の役割とは本質的に違う。この辺が、地方議会の議員の立場から説かれる「議会改革」の問題点だ。
(詳細はいずれ論じる機会があろう。)

定数の話に戻るが、県議会などは、大都市部以外では1人区も多く、既に県議選の段階で少数意見を捨てていることになるが、仙台市のような大都市の場合は、地域による政治的意見の差は少ないから、多数代表の原則によって多様な代表者を選んだ上で、議会の場で議論と妥協をする方が良かろう。





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最終更新日  2010.08.26 07:04:21
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