仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2014.06.14
XML
カテゴリ: 仙台
またまたこの話題です。ある本で取り上げていたもので。
(都市生活研究プロジェクト[仙台チーム]『仙台ルール』中経出版、2013年)

■関連する過去の記事
歩行者は左右どちらを通行するか 仙台のエスカレータ再論 (2010年12月21日)
仙台のエスカレーター作法を考える (2010年4月9日)

同書では、大阪式(右立ち。左側を歩行用に空ける。)と東京式(左立ち)の2大ルールが存在するが、大阪ルールは万博の際に世界的にメジャーな右立ちを定着させた、東京は遅れて1990年代に左立ちが定着した、としている。その上で、仙台では地下鉄は右立ち、JR(特に新幹線)では左立ちが多いが、統一されていない。むしろ、前の人に倣うことが仙台のルールと言えるのかも、との面白い解説だ。

仙台がいまだに不統一なのは謎だが、それはさておき、気になったのは前段の部分。大阪の右立ちが、大阪万博の時に世界標準を取り入れたとするのは定説だ。しかし、東京は90年代に左立ちが定着、というのは初めて聞く。一体なぜだろう。俗説に江戸の侍が刀を抜きやすいように、という理由付けはともかくとしても、わが国では、大阪と仙台(地下鉄)ぐらいとされる右立ち以外には、基本的に左立ちの東京方式とされるのだから、それが90年代というのは、ちょっと意外だ。

もっとも、混在していたのが徐々に統一されてきた時期が90年代ということなら、なんとなく理解もできる。もともとエスカレータは、静止して立つべきで歩いてはいけないとの教えもあったような気もするし、そうは言っても急ぐ人に道を開けてくださいというマナーも自然発生的に出てきたのだろう。不特定ならぬ特定の多数が毎朝利用するようなターミナル駅の場合は、おのずと左右どちらかに決まっていくだろう。気を利かせた駅員が誘導する場合もあったかもしれない。そうして、ローカルなルールが確立する。すると、いつしか新聞かTVが取り上げて首都圏でもあっちとこっちで違うね、という話題になって、それならヨリ都心のルールにあわせよう、という運動が起きたのではないか。それが90年代だったのではないだろうか。

さて、話を本論の仙台に戻そう。

私は20年近く朝晩JRを利用しているのだが、朝は確実に左立ち(右空け)になっている。東京式だ。ただし、一説には仙山線のホーム(7番とか8番とか)は右立ちというが、いくら利用集団がことなるとは言ってもそうではないだろう。仙台駅は東京ルールと言っていい。

仙台駅でラッチを出て、駅建物内のエスカレータやペデストリアンデッキから地上に降りるエスカレータ(数年前にできたヤツ。ちょっと幅が狭いが。)も、左立ちだ。ロフトあたりは(高校生が並んで立っているのは別として)確かに左右混在、そして、地下鉄仙台駅は右立ち主流というぐあいだ。

仙台では、地下鉄南北線開業時(1987年)に右立ちを指導したという説もある。JRが左立ちなのは、東北新幹線の影響が強いという説明も有力だ。いずれにしても、いまだに両ルールが(混在ならぬ)並立併存という、大変興味深い現象を抱える都市であることは間違いない。

さて、両派併存状態を統一すべきかどうかも一応気にはなる。昨年4月に、仙台市が立ち位置を統一する条例を制定するなどとエイプリルフール記事を書いてバッシングを受けたA新聞があった。私自身は、現実には上記の書物がもう一つの仙台ルールというように、その場で前の人たちにあわせればいいだけのことで、統一の必要はないと思う。

JR派と地下鉄派は、意外と毎日それぞれのルールだけを体験、実践していて、異文化理解をしていない場合が多数だという可能性もある。あるいは、地下鉄とJRを乗り継ぐ人は、すんなりと異文化を受け入れている。どっちにしても、統一の機運やタイミングは生じていないということでないか。

(もっとも視覚の不自由な方への配慮の見地はあるかもしれない。ただし、そもそも安全をいうならエスカレータ上は歩くべきでないと思われるし、急ぐ人への配慮をどうすべきかというのは、本来的に、当該環境のもとで無理のない範囲での自然発生的なマナーなのではないだろうか。)

東西線開通を来年に控えて、この話題、一層深まるだろうか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.06.14 13:57:52
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

コメント新着

おだずまジャーナル @ Re:仙台「6時ジャスコ前」の今むかし(11/14) 仙台フォーラスは来月3月から長期休業。再…
クルック@ Re:黒石寺蘇民祭を考える(02/18) ん~とても担い手不足には見えませんけどネ…
おだずまジャーナル @ Re:小僧街道踏切(大崎市岩出山)(12/11) 1月15日のOH!バンデスで、不動水神社の小…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: