仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.09.19
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カテゴリ: 雑感



Welcome to the Shinkansen...

と呼びかけているのだ。この場合、Shinkansen は大文字で始まる感覚なのだろう。じっさい、車内の電光文字メッセージ(正式には何というのか。)には、大文字で流れていた。

英語に弱い私だから自分の適当な感覚の話になるのだが、the Shinkansen と定冠詞で言い切っているのが、よくぞ本家本元日本のザ・新幹線に乗ってくれたね、という尊大なニュアンスに聞こえたのだ。

ちょっと具体的に書くと(私の言語感覚を論じても何の役にも立たないのですが)、新幹線を大文字でいうのなら、(日本の)新幹線という乗り物あるいは新幹線ネットワークを利用していただいてどうもありがとう、というだけで良いのに、わざわざ the で限定するのが気になる。何かに限定する文脈にしたいのなら、(冠詞なしで)Tokaido Shinkansen とすべきだろうが、the で導いたということは、「今皆さんの乗っているまさにこの新幹線」に乗って皆さん良かったね、と言っているように聞こえたのだ(何度も言いますが自分の英語感覚ですから全く当てになりません)。

われらが東北新幹線の場合は、Welcome on board to Tohoku Shinkansen. とアナウンスしているような気がする(これも適当)。今朝ネットでみてみたら、on board the Tohoku Shinkasen なのだそうだ。the があることの感覚については後述するが、少なくとも、「東北」新幹線と紹介していることはまず指摘できる。

つまり、(どの路線と特定しないが日本の)新幹線に乗ってくれたね(無冠詞のShinkansen)、というのならいい。また、新幹線一族のうちでも「東北新幹線」に乗ってくれたね(Tohoku Shinkansen)、というのもわかる。なのに、
(1) なぜ、the が必要なのか(これは東北でも東海道でも)
(2) なぜ東海道は the Shinkansen なのか
という疑問だと分析できようか。

ちなみに私が違和感を抱いた「ひかり号」車内での日本語アナウンスは、「今日も新幹線を利用いただきありがとうございます。」だったから、これに相応しい英語は、私の乏しき感覚ながら、Welcome to Shinkansen だと思う。

まず、(2)について。これは英語の問題というより意識の問題なのだろうか。すなわち、我こそ新幹線。日本には、ほかに東北新幹線や秋田、山形、最近は北陸や北海道新幹線もできたみたいですけど、この新幹線が本家本元でっせ。こんな主張をしたいということではないか。と考えてみたが、開業当初からこれで通しているだけかも知れない。それとも、ひかり号やのぞみ号は、山陽や九州新幹線に乗り入れることもあるから敢えて一般的に表現しているのだろうか。

さて、(1)について。これが最も厄介なところだ。はるか昔の学生時代に読んだマーク・ピーターセンさんの『日本人の英語』では、a,the,無冠詞の区別は文脈が全てであり、名詞の性質によって前につく冠詞が決まるということでは決してないという説明を思い出す。限定の文脈なら固有名詞だって the が付くのはおかしくない。冠詞は名詞に付くのではなく、意味的カテゴリー(限定か一般か)を決める役割を持っている。

日本語の「今日も新幹線をご利用いただき...」は、特に「どの新幹線」と決めつけていないニュアンスを受けるから、無冠詞の Shinkansen が素直だと(私の乏しい英語感覚では)思う。

もっとも、このアナウンスは、東京駅を出発してから発せられたわけだから、皆さんが乗車している「この新幹線」ないしは「このひかり号」という意味で、聞き手の乗客と話し手の女性(録音だけど)の間に、特定の文脈を受け入れる前提はできている。だから、新幹線にいくつかの種類があるという認識があるという前提の中で(ウルトラマンに一族があるように)、「この新幹線」とか「この新幹線列車」ということなのだと理解できるのだろうか。だとすれば、逆に、Tokaido などと付けていないのもうなずけるというものだ(the Tohoku Shinkansen という言い方はおかしいことになる)。

つまり、
Welcome to the Shinkansen(みなさんが乗ったこの(東海道)新幹線にようこそ)
Welcome to the Shinkansen train(みなさんが乗ったこの新幹線列車にようこそ)
という意味内容において成り立っている、と。

ネイティブに聞けばすぐわかることでしょうが。本棚から探し出して『日本人の英語』もう一度読んでみますか。






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最終更新日  2016.09.19 08:24:57
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