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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第5話「新宅に集う新顔」兵器横流しの事件を追う凌不疑(リンブーイー)。この事案に何かいわくがあるのか、不疑はことさら執着しているように見えた。しかし側近・梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)の報告では許尽忠(シュージンジョン)が潜伏していた鍛冶場には何の手がかりもないという。不疑は人や車の動くところに痕跡があると諭したが、その時、見覚えのある馬車が通った。「若主公、あれは程(チォン)家の馬車では?」馬車を見た不疑は四娘子のことを思い出し、自然と表情が和らぐ。その時、雪が降り始めた。「瑞雪(ズイセツ)だな、もうじき元旦か… 軍の仲間たちに年越しの品を…こたびは都に戻って初の元旦だ」( ゚д゚)<年越しの品?…今まで家族団らんの節句を祝ったっけ?若主公らしからぬ気遣いに戸惑う邱飛、すると邱起は未だ城陽(ジョウヨウ)侯府に寄りつかない若主公を心配した。「城陽侯が若主公が戻るよう何度も上奏したそうです」「…だが断る」程家はめでたく新邸へ引っ越した。引越しといっても旧宅から目と鼻の先、しかし吉時が夜明け前だったため、少商(シャオシャン)は寒さと眠気で機嫌が悪い。蕭元漪(シャオユエンイー)はそんな娘に相変わらず厳しく当たっていたが、父の曲陵(キョクリョウ)侯・程始(チォンシー)は疲れるのも仕方がないとかばった。「練兵よりも疲れたな、部屋で休みたい」「阿父、数日ゆっくり休んだら出征ですか」蕭元漪は娘の言葉に驚き、なぜ軍令を知っているのか聞いた。しかし少商はただの勘だという。「新しい官位だけは授からず、かといって不当な処遇を受けた様子もない だからまだ任務は終わっていないと…」程始は賢い娘だと喜び、今度は出征ではなく、動くのも正月以降だと教えた。少商は自分の居所に入った。美しい庭やその広さに感嘆の声を上げる侍女・蓮房(リエンファン)、すると少商は早速、処分される棚を引き取り、鞦韆(シュウセン)を作ることにする。実は大母(タイボ)の庭を修繕する時、木匠が作っているのを見てこっそり手伝ったことがあった。蓮房はさすが器用な女公子だと尊敬したが、その時、大きな音を聞いた母がやって来る。「何してるの?!」蕭元漪は遊んでいる暇があるなら典籍を読めと叱ったが、確かに娘の大工としての腕前には目を見張るものがあった。(* ゚ェ゚)σ<…阿母の今の視線は何だったの?(`・ω・)b<良い出来だと感服したのでは?そんなある日、正月を家族と過ごすため、程家の三房夫婦と少商の2人の兄が帰京した。三男・程止(チォンジー)を溺愛する老夫人は抱きつかんばかりの歓迎だったが、その様子を見た少商はまるで情郎との再会のようだと呆れる。一方、次兄・頌児(ソンアル)と双子の兄・少宮(シャオゴン)とは初めての顔合わせながら、やはり血のつながった兄弟のせいかすぐ打ち解けた。老夫人は食事中も季夫人・桑舜華(サンシュンホワ)をそっちのけでかいがいしく三男の世話を焼いた。事情が分からない少商はこっそり三兄の席に近づき、大母は三叔母が嫌いなのかと探る。兄の話では三叔母は三叔父が選んだ相手で白鹿山山主の娘、程家より格も上だが、大母は息子に釣り合わないと思っているという。(* ゚ェ゚)<ってか天女でもない限り満足しないわな~あれじゃ少商は家のために埋もれていた二叔父を思うと同情した。結局、親も子の権勢を見て態度を変えるのが常のなのだろう。蕭元漪が娘より姪・程姎(チォンヤン)をあからさまに優遇しているのは桑舜華や兄たちの目にも明らかだった。桑舜華は各自の長所があると諌めたが、蕭元漪は褒めるべき者を褒めているだけだという。「葛(ゴー)氏が植え付けた欠点をまず正さなくては…人の道を学ばずに家を治められる?」しかしその話を偶然、兄と一緒に遊んでいた少商が聞いてしまう。同じ頃、城陽侯府では酒席を設け、子晟(ズーション)の縁談を祝っていた。すると突然、不疑が駆けつけ、皇帝の勅命で城陽侯・凌益(リンイー)と団らんに来たという。城陽侯はちょうど縁談の話をしていたところだと喜んだが、不疑は立ったまま座ろうともしなかった。そこへ縁談相手の裕昌(ユーチャン)郡主が駆けつける。十一郎に恋慕する郡主は再会を心待ちにしていたが、不疑は公務のため帰ると言い出した。城陽侯と夫人・淳于(チュンユー)氏が引き止めたが、不疑の対応は冷たい。「子晟、婚姻は父母の命に従うものだぞ」「…父母?では私の阿母はどこです?!」不疑は継母を母と認めず、郡主にきっぱり断った。「再度はっきり申し上げます、私が求める妻は一目、見ただけで分かります 我が生涯で一人だけ、もし出会えなければ一生、独り身を貫く…郡主は私が求める妻ではない」不疑は閑散とした屋敷に戻った。上元節に付き物なのが灯籠、どうやら何も知らない使用人が飾ってしまったらしい。梁邱起と梁邱飛が慌てて全て外してくれたが、灯籠を見た不疑はふと鍛冶場にも灯籠があったと思い出して回収させた。灯籠には竹細工ではなく鉄の輪が使われていたが、手掛かりにはつながりそうにない。その時、梁邱飛が灯会の灯籠と言えば全て対だと言った。「全て対…(はっ!)許尽忠は灯籠に手がかりを隠したのか?」不疑は買い手が連絡する際に対の灯籠を残すことで会わずに情報を伝えることができると気づいた。「我らも今回の灯会に出かける」一方、程宅では二房の乳母が三娘子の行く末を案じていた。部屋の中は書巻ばかり、若い娘の部屋とは思えない。姎姎は父が残した典籍だと喜んでいたが、乳母は変な気を回して侍女をたき付けた。「今や二房には主がいなくなった、私たちの身の置き場もなくなる 争うべきは争わなければ…こちらが強く出れば虐げられることもない」兄たちは母に冷遇される妹を心配し、早速、豪華な土産を届けた。少商は初めて触れる肉親の気遣いに感激、その中に面白い書簡がある。実は次兄もかつて勉学嫌いで、長兄が楽しく学べるよう戦場での英雄の逸話を自ら彫って作ってくれたものだった。「これならすぐ字も覚えられるぞ」まさか二叔母が父の送金を横領し、妹に惨めな生活を強いていたとは知らず、兄たちはこれからは自分たちがついていると安心させる。その時、三兄が妹の書卓がお下がりで、今の妹には低過ぎると気づいた。そこでちょうど使っていない書卓があるため妹に譲ることにする。「今すぐ運ばせよう」「大丈夫、蓮房!取りに行って!」その書卓は三兄が大兄からもらった麒麟紋様のある紅木製の豪華な書卓だったが、これが思わぬ騒動を巻き起こしてしまう。書卓を運んでいた蓮房たちはちょうど三娘子の棟を通りかかった。すると侍女・菖蒲(チャンプー)たちが気づき、豪華な書卓に目をつける。そこで蓮房を引き止め、実は女公子にも書卓を作るつもりだと嘘をついた。この書卓を見本にしたいので、ひとまず三娘子に見せるため貸して欲しいという。「でもこの書卓は大公子が三公子のために作ったの、珍しい品だから…」「早く運んで!」その時、ちょうど姎姎を連れて外出していた蕭元漪が屋敷に戻ってきた。すると使用人か駆けつけ、姎姎の乳母に菖蒲が蓮房と喧嘩になったと耳打ちする。乳母は離間の策を思いつき、伯夫人に女公子の部屋でお茶でもどうかと誘った。「伯夫人がいらしてこそ賑わいます、女公子は独りぼっちで寄る辺もなく…」姎姎は疲れている伯母を気遣って遠慮したが、蕭元漪は姎姎の顔を立てるため立ち寄ることにした。しかしその道すがら、書卓を取り合って争う侍女たちを見つける。一方、少商はなかなか戻ってこない蓮房を心配していた。そこへ母の腹心・青蓯(チンツォン)が現れ、女君が呼んでいるという。つづく( ๑≧ꇴ≦)ルースーがいちいち上手いのよ ←こればっかりw阿兄の登場で楽しくなってきた!意外にも菖蒲が面白いwと思ったら面倒くさそうな郡主がktkr
2023.06.30
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第18話「正体のない毒」皇太子・李治(リチ)は崖から転落したものの無事に生還し、東宮に戻った。しかし矢傷の治療にやって来た太医の手際を見て激怒、追い返してしまう。太医院は曹王・李明(リメイ)の息がかかり、もはや安心して治療を任せられる太医がいなかった。すると才人・武媚娘(ブメイニャン)が駆けつけ、武家の掛かり付けである盧(ロ)先生を紹介する。李治は外部からの医師の治療で安堵すると、王伏勝(オウフクショウ)に自分の身代わりとなって死んだ華天(カテン)の弔いと遺族の世話を頼んだ。楊(ヨウ)妃は李明を呼び、皇太子に怪我を負わせ、楊家の親族である宗(ソウ)太医を使って命を狙ったのかと迫った。李明は医者から皇太子の病状を聞いただけだと否定したが、狩場での暗殺未遂については認める。これで李明と皇太子の関係は完全に決裂するだろう。しかし楊妃は養子と言えど幼い頃から育てた李明を見捨てることができず、義母として覚悟を決めた。一方、豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)も東宮の騒ぎを耳にしていた。裴行倹(ハイコウケン)からの忠告を思い出した琉璃は皇太子の敵が曹王だと確信し、宮中の恐ろしさを実感する。…何の力もない私が敵を討てるかしら…しかし琉璃は思いがけず敵討ちの機会を見つけた。尚服局は盂蘭盆(ウラボンエ)の衣と負傷した皇太子に届ける替えの肌着で多忙を極めていた。すると阿碧(アヘキ)が卓錦娘(タクキンジョウ)に所望され、雪梅茶を入れに行くという。雪梅茶は頭をはっきりさせるお茶、鄧七娘(トウシチジョウ)は何がそんなに難しいのかと首を傾げた。実は今まで文句を言わなかった楊妃が今回は厳しく、指名された大家が何度、見本を届けても突き返されているという。琉璃は咄嗟に阿碧を追いかけ、手伝いを申し出た。殊勝な態度の琉璃に悪い気はしない阿碧、しかし茶を入れるといっても手順が難しく、雑用を頼むことにする。すると梅花清水の瓶を取ってくるよう頼まれた琉璃は密かに毒を混ぜた。琉璃は何食わぬ顔で阿碧に水を届けた。これで母の復讐を果たせる、そう思って采章(サイショウ)署に戻ったが、その時、ちょうど繍女たちが母の噂話をしている。「…安(アン)大家に比べたら卓大家は技も創意も及ばないから悩むのかしら?」「でも腕前より人間性よ、謀反の罪で身を滅ぼした安大家は″天下第一針″の称号にふさわしくない」琉璃は今、卓錦娘を殺せば母の冤罪が永遠に晴らせないと気づき、阿碧を呼び止めた。「私が茶を運びます」「結構よ」すると琉璃は強引に取り上げようとして盆を引っ張り、わざと茶碗を落とした。阿碧は豆子が手伝うふりをして邪魔をしたと憤慨し、また恨みを買ってしまう。考え事をしながら歩いていた琉璃はうっかり双児(ソウジ)とぶつかり、皇太子の肌着を落とした。そこで気分転換に双児の代わりに東宮へ肌着を届けに行くことにする。すると皇太子は治りかけた矢傷が再び悪化し、高熱で床に伏せっていた。琉璃は医官だったことから傷口を診せてもらったが、明らかに毒だと分かる。毒矢でないのなら傷に触れる薬や紗布(シャフ)、肌着が怪しいが、その時、ちょうど武才人が見舞いにやって来た。話を聞いた武媚娘は驚き、裴行倹に長安の名医を連れて来るよう頼み、盧先生をもう一度、呼ぶことにする。「あなたは間違いのないよう、殿下に付き添っていて」李治が目を覚ますと豆子が付き添っていた。すると李治は夢枕に母が立ったと話し、自分を迎えに来たのかもしれないと弱音を吐く。琉璃は自分も母を早くに亡くしたが、母親にとって子供は命より大事なものだと言った。「皇后が現れたのは太子を励ますためです… 命を大切にして母親が望んだ人生を送る、そうすれは必ず皇后は喜びます」「その通りだ、だが常に命を狙われ、それでも気づかぬふりをしなくてはならぬ このやるせなさをどう晴らせばいい…」「でも命を狙っても殺せなかったのなら相手の負けです ならば堂々と生きて相手を悔しがらせます、かえって向こうが怖がることになります」李治は常に前向きな豆子の言葉に励まされ、久しぶりに笑顔になった。裴行倹は都の名医3名を連れて東宮を訪ねた。3人の見立てでは確かに皇太子は毒に侵されていたが、盧先生の処方にも問題はないという。裴行倹は原因を突き止めるため自分の腕に傷をつけ、薬・紗布・肌着を試してみた。すると薬を塗った傷はすぐ血が止まり、紗布で巻いた傷も悪化はしていない。そこでその夜、琉璃は皇太子の肌着の生地を調べるため細料(サイリョウ)庫へ向かったが、同じことを考えた裴行倹と出くわした。「君のおかげで細料庫に入った宮女が誰か分からなかった」「知ってるわ、林(リン)尚服の配下の采月(サイゲツ)よ…そうだ!前は曹王府にいたと耳にしたわ」裴行倹は早速、曹王府に忍び込んだ。そこで屋根からのぞいてみると、配下たちが薬湯の中に生地を浸している様子を見る。屋敷に戻った裴行倹は同じ薬材を使って自分の傷に試し、実は傷口に触れることで初めて毒性を発する変わった処方だと分かった。…決して致命的な毒ではないが、傷が塞がることなく、最後は敗血症を招いて死に至らしめます…曹王は肌着に毒を仕込ませた、間違いありません…ひとまず敵の思惑通り重症を装っているのが得策でしょう…そうすれば養生しながら後の策を練ることができます一方、琉璃は安全な肌着を作り、深夜のうちに皇太子へ届ける肌着の中に紛れ込ませた。…私が作った肌着には″豆″と刺繍が入っています王伏勝は東宮に肌着が届くと、その中から″豆″の肌着を選んで皇太子に着せた。李治はすっかり回復、しかし外に出られず退屈していた。すると武媚娘が見舞いに現れ、思い出の鳩を届ける。つづく(  ̄꒳ ̄)メイニャン、皇帝の付き添いを断って皇太子の見舞いに行くなんて大胆w
2023.06.29
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第17話「笑顔の仮面」宮中では盂蘭盆(ウラボンエ)の相談で皇子や妃嬪、大臣たちが集まっていた。皇太子・李治(リチ)は事を急くあまり皆の前で曹(ソウ)王・李明(リメイ)の叛逆を上奏しようと決めたが、李明がすでに積荷の中身をすり替えているとは知る由もない。その頃、四門学に堅物で有名な国子監(コクシカン)の張(チョウ)主簿が現れた。林苑庫を守っていた莫坤(バクコン)は誰も入れないと断ったが、その時、裴行倹(ハイコウケン)が華天(カテン)と一緒に駆けつける。聞けば薛(セツ)助教から言づてがあり、庫内が一杯なので早く巻紙を運び出せと言われたというのだ。裴行倹は何とか張主簿を追い返した。しかし荷物に甲冑が隠してあるなら薛助教が人を寄越すはずがない。裴行倹たちは念のため庫内を調べたが、莫坤は箱の中に確かに鎧が入っているのを確認した。それにしては曹王の配下が誰もおらず、番頭がいないからと鍵は莫坤が預かっている。裴行倹は恐らく薛助教が自分たちを誘き出すために張主簿を送り込んだと気づき、片っ端から荷物を調べた。すると兜に″東″と刺繍されていることが分かる。「東宮…太子殿下を陥れるつもりか?!」驚いた華天は四門学を飛び出したが、裴行倹はもう間に合わないと分かっていた。盂蘭盆の仕切りは楊(ヨウ)妃が任され、才人・武媚娘(ブビジョウ)が補佐に回ると決まった。すると李治は曹王の罠だと知らず、皇帝に上奏があると切り出してしまう。「偶然、気づいたことがあり、ご報告せねばと思いまして…」しかし武媚娘は曹王のいわくありげな様子が気になり、咄嗟に話を遮った。「太子殿下、やはり自分の口から報告いたします」媚娘は写経が疎かになっている皇太子を諌めようと東宮を訪ねたが、政務で忙しいと分かり、こっそり写経の一部を代筆したと説明した。代筆に気づいた皇太子は正直に皇帝に報告すると言ったが、恐れ多いと断ったという。事情を聞いた皇帝は善行を隠そうとする武才人と、人の手柄を奪わない実直な皇太子を褒め、結局、李治は上奏を断念した。李治は武才人に上奏を邪魔され、東宮に戻っても憮然としていた。そこへ華天が駆けつけ、曹王が自分に罪を着せようとしていたことを知る。武才人の機転のおかげで助かったと感謝する李治、その一方で李明は怒り心頭だった。楊妃は前殿でのやり取りの意味が分からなかったが、ようやく息子から事情を聞いて愕然となる。「逆手に取るはずだったが、あと少しというところで武才人に邪魔をされた!」楊妃はいくら止めても危険を冒す息子に思わず手を挙げたが、李明は懲りなかった。李治が甘露之殿を訪ねると、偶然にも李明と一緒になった。前殿ではちょうど13皇子・福(フク)王が″鹿狩り図″を父皇に献上し、幼い頃に父皇と狩りに出かけたことを懐かしんでいる。すると李明は明日、禁苑(キンエン)で狩りを行うと話し、皇太子を誘った。李治は曹王を警戒して断ったが、皇帝は病弱な皇太子を鍛えるため、兄弟で切磋琢磨するよう勧める。一方、裴行倹は莫坤を城門まで見送っていた。自分が巻き込んだせいで莫坤が皇太子側だと知られ、これから危険な目に遭うかもしれない。裴行倹は責任を感じていたが、その時、皇太子の命で華天が見送りに駆けつけた。莫坤は皇太子の気遣いに感激し、命に替えても忠誠を尽くすと言づてを頼んで出発する。任務を果たした華天は早速、裴行倹に皇太子が曹王から狩りに誘われ、皇帝の御前だっため断れなかったと話した。皇太子は咄嗟にその場にいた13皇子も誘ったが、万一に備えて裴行倹にも同行して欲しいという。裴行倹は皇太子のためならと快諾、こうして翌日、3人の皇子が禁苑に集った。狩り場では案の定、李明が皇太子に罠を仕掛けていた。鹿を追って東の森へ駆けて行く皇太子一行、すると李明は皇太子に花を持たせるため、13兄に西側で猪を狩ろうと誘う。しかし裴行倹が真っ先に罠だと気づき、皇太子一行を止めた。その時、潜んでいた刺客が現れ、皇太子を狙う。裴行倹は皇太子を南へ逃し後方を守ったが、刺客は次々と皇太子に襲いかかって来た。刺客に指示していたのは曹王の護衛・蒲巴弩(ホハド)だった。すると皇太子の居場所を知らせる照明弾が上がる。「あの方向へ先回りし、太子を討つぞ」その合図を裴行倹も見ていた。裴行倹は急いで皇太子を追いかけた。するとちょうど刺客の矢が命中し、落馬する皇太子を目撃する。激情に駆られた裴行倹は敵を討とうと飛び出したが、物陰に隠れていた皇太子が裴行倹を引き止めた。実は殺されたのは皇太子と衣を取り替えて身代わりになった華天だという。裴行倹は負傷した皇太子を馬に乗せて山道を逃げた。しかし追っ手が現れ、崖から転落してしまう。ここから落ちればさすがに助かることはないだろう。遅れてやって来た李明は高笑いし、蒲巴弩に自分を射るよう命じた。皇帝は皇太子の訃報を聞いて呆然、到底、信じられなかった。「禁軍は上衣を脱いだ太子に気づかず、付近にいた曲者だと勘違いしました 私が途中の道で太子が脱いだ衣を見つけ禁軍を引かせましたが、その時、太子の馬が暴走したのです 崖から落ちる太子を救うことができず痛恨の極み、どうか私に罰を…」李明の報告を聞いた皇帝は頭に血が上り、思わず曹王に金杯を投げつけた。「治児…何ということだ」福王は14弟の準備なら万全だったと訴え、皇太子を救うため矢傷まで負ったとかばう。しかしその時、負傷した皇太子が戻って来た。あの時、崖から落ちた裴行倹は馬をあきらめ、皇太子を連れて途中の木に飛び移っていた。しかし李治は転落して死を覚悟した時、目の前に父皇が現れ、助けてくれたと話す。「陛下はおっしゃった、お前は国の重責を担う太子、ここで死んではならぬと… そして私に息を吹きかけると、突風が吹いて岩の上に飛ばされたのです」すると皇帝はやはり李治が選ばれた存在なのだと確信したようだった。そこは転んでもただは起きない李明、皇太子の無事を喜びながら、亡くなった華天の後任に蒲巴弩を譲ると殊勝な申し出をする。李治はすでに目星を付けた者がいると言って断ったが、皇帝は念のため蒲巴弩も迎えてはどうかと勧めた。そこで李治は裴行倹と蒲巴弩に腕比べをさせ、勝者をそばに置くという。「良いだろう、では試合は10日後だ」つづく( ;∀;)でんぐり返しウマー!裴行倹に見捨てられるウマー!…あれ?女主が出てこなかった( ̄◇ ̄;)
2023.06.28
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第16話「皇太子の賭け」阿碧(アヘキ)と刺繍の腕前を競うことになった豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。この勝負に何としてでも勝って尚服局に残り、母の敵を討つ術を見つけなくてはならない。繍女たちの注目が集まる中、2人は日暮れまでに課題を完成させ、いよいよ作品を披露することになった。尚服局2番手の阿碧は短時間ながら見事な薔薇の刺繍を完成させた。卓錦娘(タクキンジョウ)もその腕前を褒めたが、豆子の刺繍が阿碧をしのぐ。豆子の薔薇は本物と見まごうほど美しく刺繍され、その構図も見事だった。「お題は″花の王″、それに妃嬪の枕覆いに使われるという点も考慮しました 中央の花を他より美しく全面に配したのは、ひと目で花の王だと分かるからです また後宮で抜きん出るという夢を花で表現しています」豆子は見事に勝負に勝ち、一番前の席を与えられた。そのせいで阿碧たちは1つずつ席を下がることになり、恨みを買ってしまう。琉璃は鄧七娘(トウシチジョウ)と再会、何かの時は必ず恩返しすると約束した。しかし七娘は師匠に知られたら困ると焦り、繍女たちを敵に回してしまった豆子を遠ざける。そんなある日、卓錦娘は内侍院の銀糸が細すぎるため、誰かに買い出しを頼むことにした。滅多に皇宮を出られない繡女たちは全員が手を挙げたが、卓錦娘は目利きの豆子を指名する。そのせいで再び繡女たちからやっかまれる琉璃、そこで卓大家に席順を戻し、買い出しも他の者にして欲しいと頼んだ。すると卓錦娘は実力があれば妬まれるのは当然だという。「受け入れてもらうには実力を見せつけて、皆を納得させなさい」「…私は人と争わず、自分の役目を果たしたいだけです」その言葉を聞いた卓錦娘はみるみる顔がこわばった。尚服局は実力が物を言う世界、かつて師匠が豆子と同じことを言って官職を辞したが、結局、全てを失ったという。「名誉は地に落ち、命を失い、娘さえ守れなかった、天下第一針ですらこの始末なのよ?!」「安(アン)氏は大罪を犯して自害したと聞いています、その口ぶりでは何か裏があるのでは?」「何が言いたいの?!覚えておきなさい、向上心がなければ安氏のような末路を辿ることになるとね」琉璃は大人しく引き下がったが、卓錦娘への恨みを募らせた。…必ず復讐してやる、たとえ差し違えようと母上の潔白を証明し、名誉を回復させる!… 琉璃が突然、安宅に戻って来た。阿霓(アゲイ)は再会を喜んだが、また抜け出しのかと心配する。しかし琉璃は買い物の役目を命じられたと説明し、時間がないのですぐ着替えをして出かけたいと頼んだ。阿霓は琉璃が裴行倹のために美しく着飾りたいのだと分かったが、琉璃は気持ちを悟られまいと否定する。「宮中に戻れば女として装える機会がないから…」琉璃は裴行倹への訴状を撤回するため四門学を訪ねた。しかし裴行倹も助教・薛旭(セツキョク)も留守だという。仕方なく琉璃は冤罪について書いた文を託し、結局、裴行倹とは会えずに帰った。すると道すがら、しんこ細工の露天を見かけ、裴行倹に似た人形を手に取る。「これ誰かに似ていると思わない?ふふふ」その時、ちょうど四門学へ帰る裴行倹が通りかかったが、2人に気づかなかった。裴行倹は玉児からの文を受け取り、慌てて安宅に向かった。しかし阿霓からすでに宮中に戻ってしまったと聞く。急いで城門へ駆けつけた裴行倹、すると偶然にもたくさんの土産物を抱えて歩いて来た玉児とぶつかった。「間に合った…」裴行倹は玉児が落とした荷物の中にしんこ細工の人形を見つけた。慌てた琉璃は後ろ手に人形を隠してもじもじしていたが、その時、疾走する馬車が迫って来る。琉璃は咄嗟に避けたものの、勢い余って後ろに倒れそうになった。ちょうど背後にいた男が助けようとしたが、それを見た裴行倹は慌てて駆けつけ、男を蹴り飛ばして玉児を抱き止める。「なぜ蹴ったの?」「君は女だぞ?簡単に男に触らせるな」「あなたも男でしょう?」すると裴行倹は急いで手を離した。「君を殺そうとした者がいたと聞いたが…」「私の荷物を盗んだ犯人だったわ、口封じに私を殺そうとしたみたい でも自尽した、私の件は太子殿下が処理してくれたの」驚いた裴行倹は皇太子に頼んで玉児を恐ろしい宮中から出してもらうと言ったが、琉璃は断った。「私には宮中でやるべきことがあるの」「命より大事なことなのか?!」「…今は言えない」裴行倹は仕方なく自分が持っていた護身用の短剣を譲り、念のため警告しておいた。「もし宮中で争いが起きたら曹(ソウ)王たちには絶対、近づくな、楊(ヨウ)妃にもな」皇太子・李治(リチ)は裴行倹と呼応して曹王の陰謀を暴こうとしていた。莫坤(バクコン)の報告では新しい巻紙を積んだ荷車が明日の昼に長安へ到着するという。恐らく曹王は今晩、貨物に甲冑を紛れ込ませ、明日、四門学に収めた後、曹王府へ運ぶはずだ。そこで皇太子は四門学で甲冑の存在を暴くと決める。一方、荷物を誤送している莫坤は腹痛を装って後退し、曹王の配下を牽制していた。陳(チン)参軍は野営で莫参軍と同じ天幕で休むことにした。そして深夜、莫坤が寝入ったのを確認して天幕を抜け出し、予定通り巻紙の荷車をすり替える。陳参軍は天幕に戻ると、莫参軍はまだよく眠っていた。しかし念のためまいておいた小さな豆が割れていることに気づく。陳参軍は莫坤に知られたと分かり、慌てて曹王府に報告した。皇太子の護衛・華天(カテン)が裴宅を訪ねた。今日は皇帝が盂蘭盆(ウラボンエ)の相談で皇子や妃嬪を召集する。皇太子はその場で曹王の陰謀を上奏し、皇帝の許可を得てから荷物を開けて証拠の甲冑を出すという計画だという。四門学に荷車が到着して皇太子が謁見するまで二(フタ)時、裴行倹と華天はその間、荷物を見張ることにしたが、曹王はすでに手を打っていた。四門学に荷物が届いた。陳参軍は薛旭と倉庫に入り、皇太子に甲冑の運搬が気づかれたため、曹王が裏をかいて皇太子を陥れると教える。「莫坤は前から知っていたようだ…内通者を知らないか?」すると薛旭は以前、裴行倹が倉庫にいたことを思い出し、内通者だと気づいた。甘露之殿に皇子や妃嬪、大臣たちが集まった。才人・武媚娘(ブメイニャン)は曹王の様子を訝しみながら、皇太子の側仕え・王伏勝(オウフクショウ)の話を思い出す。実は李治はあらかじめ王伏勝を咸池(カンチ)殿に使いに出し、武才人にだけ計画を伝えておいた。つづく( ๑≧ꇴ≦)何も親切な人を蹴らなくてもw
2023.06.27
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第24話結黎(ジエリー)は小蘭花(シャオランファ)と蕭潤(ショウジュン)、東方青蒼(ドンファンチンツァン)と謝惋卿(シャワンケイ)が同時に婚礼を挙げ、新婚初夜に相手をすり替えればいいと提案した。しかし東方青蒼は例え偽でも愛した女子しか娶れないと激怒して出て行ってしまう。慌てて追いかけた小蘭花はこれも2人の歴劫を成功させるためだと説得したが、その時、思いがけず謝惋卿が訪ねて来た。「ちょうどいい、ここで諦めるよう告げる!」「大魔頭、止まれっ!」小蘭花が命令を発すると、東方青蒼は同心呪が反応して動けなくなった。「私と一緒に謝娘子(ニャンズー)と会うの!ひと言も発してはだめよ!」すると東方青蒼は急に口が開かなくなってしまう。↓待て、コラっ!謝惋卿は東方青蒼に縁談を申し込みにやって来た。断りたくても何もできない東方青蒼、すると小蘭花が兄も謝惋卿に求婚する相談をしていたと嘘をつき、勝手に話を進めてしまう。喜んだ謝惋卿は結納の品として心を込めて織った絹を贈り、しきたりとして自分の生年月日を書いた紙を差し出した。小蘭花は東方青蒼の代わりに預かろうとしたが、謝惋卿は新郎新婦が交わすものだと拒む。「急に来たので用意していないのも仕方がないわ…明晩、湖に船を浮かべて月見をします そこへお持ちください、一緒に飲みましょう」謝惋卿が部屋を出ると、小蘭花は結納品だけ東方青蒼に乱暴に渡した。「本当に黙ってるなんて…諦めさせるとか言ってたくせに! あなたも本当は娶りたいんでしょ?!」怒った小蘭花は部屋を飛び出し、謝惋卿を馬車で送って行くことにした。謝惋卿は想い人と小蘭花が実は兄妹だったという不思議な縁に驚いていた。しかし小蘭花はいざ縁談がまとまってみると急に不安になり、謝惋卿に友人の話として相談を持ちかける。「好きな人がいるけれど、身分が違うので一緒にいられないらしいの、どうすればいい? 例えば家同士が代々、憎しみ合う仲なのに、その家の人を好きになったらどうする?」「自分のせいではないのに諦めるのは愚かよ」「でも…相手は普通の人じゃないの、決して投げ出せない重い使命を背負っているわ」謝惋卿はこの話が小蘭花の悩みだと気づいた。「答えは同じよ、本当の愛に巡り会える人はごくわずか、もし巡り会えたのなら諦めてはだめ」その夜、東方青蒼はようやく術が解けた。「″も″とはどう言う意味だ?!小蘭花は″あなたも本当は娶りたいのね″と言った やはりあの者は長珩(チャンハン)に嫁ぎたいのだな?!」觴闕(ショウケツ)は直接、本人に確認するよう進言したが、東方青蒼は聞いたところでどうにもならないという。…私はそれほど長珩に劣っているのか?…東方青蒼は結黎を使って小蘭花の気持ちを確かめることにした。しかし結黎から月尊を好きかと聞かれた小蘭花は、つい意地を張って東方青蒼を好きではないとごまかしてしまう。東方青蒼は落胆したが、結黎は女子とは好きな相手について本心を隠すものだと安心させた。「口にする言葉と心の中は反対なのです 怒っていても″怒っていない″と言ったり、そばにいて欲しいのに″独りにして″と言ったり… だから″好きじゃない″は好きだってことなのかも…」「そんなことが?!…ではどのように判断する?」結黎は女心を推し量るのは難しいと言ったが、ふと小蘭花と月尊の心がつながっていると思い出した。そこで互いに神器を外せば相手の気持ちが分かるようになるという。その夜、東方青蒼は小蘭花の寝所に忍び込み、こっそり″蔵心(ゾウシン)の簪″をすり替えることにした。月尊を待つ間、觴闕は結黎の気持ちを確かめることにしたが、結黎は觴闕を好きではないと断言する。結黎が信じているのは銭だけ、情など信じる価値はないという。「私は死ぬまで誰も好きにならない、分かった?」「分からない…」すると結黎は觴闕には理解できないのだと言って部屋に戻ってしまう。翌朝、蕭潤は小蘭花を誘って市場に出かけた。しかし菓子を食べようと言っても、どの花が好きか聞いても、舟に乗ろうと誘っても、小蘭花は浮かない顔をしている。小蘭花は何を見ても東方青蒼と過ごした時のことを思い出し、居たたまれなくなった。その様子を東方青蒼と觴闕が見守っている。「尊上、蘭花仙子の心はどうですか?」「分からぬ…」実は東方青蒼は昨夜、結局、かんざしをすり替えずに戻っていた。「同心呪がなくとも心の中を分かってみせる…」蕭潤は黙り込んだまま歩いている小蘭花に困惑していた。すると小蘭花はかつての自分なら、こうして長珩と一緒に出かけることができて夢が叶ったと喜んでいたと話す。「かつての?」「あなたを昔から知っていた、あなたが私を知るずっと前からよ…」蕭潤には意味が分からなかったが、大事なのはこれからだと話した。「私はこの玉を握って生まれて来た 将来の富を約束する物だそうだが、ずっと預かっているだけのように感じていた これは私が愛する人の物だろうと… 君に会って分かったんだ、持ち主は君だ、受け取ってくれ」小蘭花は懐かしそうに奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)を眺めながら思わず微笑んだ。その顔を見た東方青蒼はやはり小蘭花が長珩を好きなのだと誤解し、帰ってしまう。小蘭花が霊玉を見て真っ先に思い浮かんだのは怒った東方青蒼の顔だった。第8話で嬉しそうに霊玉のことを話した際、急にへそを曲げて席を立った東方青蒼。小蘭花は思わず笑みを浮かべ、自分の本当の気持ちを確信する。そこで蕭潤に別れを告げ、東方青蒼を追いかけた。「待って!話があるの!」しかし東方青蒼はこれから謝惋卿と月見に行くという。「行かないはずでしょう?」「気が変わった」「だめ!だって…理由はないけど」小蘭花は素直な気持ちを明かせず、結局、東方青蒼は謝惋卿との縁談に同意してしまう。その夜、蕭潤の元に間違って新婦の婚礼衣装が届いた。曲水(キョクスイ)は直ちに夜渓(ヤケイ)楼に向かったが、やはり衣を交換に行こうとしていた結黎と觴闕の会話を聞いてしまう。「…間もなく花朝よ、謝惋卿が死ねば月尊は蕭潤をどうする?殺すに決まってるわ」曲水は恐ろしい陰謀を知り、慌てて引き返した。しかし疾走して来た馬車と衝突、死んでしまう。丹音(タンイン)は歴劫を終えて水雲天に戻った。長珩を脱獄させた罪を問われる丹音、すると澧沅仙尊(レイゲンセンソン)が娘の代わりに自分が罰を受けると嘆願する。しかし雲中君は丹音に罪を償う機会を与えた。「直ちに雲夢澤(ウンムタク)に戻り、先の戦神を殺し、その元神を滅ぼせ」雲中君は東方青蒼が赤地女子(セキチジョシ)の元神で封印を解くつもりだと分かっていた。「いけません!長珩仙君は先の戦神と関わりがあり、もし戦神を殺せば歴劫に失敗し灰と化します!」「長珩は勝手に歴劫に行った、生きて戻ったところで水雲天では罪囚だ」雲中君は長珩も戦神である以上、先に戦神のようにその責を担うべきだという。驚いた丹音は長珩の命乞いをしようとしたが、咄嗟に澧沅仙尊が術で娘の声を止めた。「丹音は必ずや使命を果たします」↓( ๑≧ꇴ≦)ぐえ〜その2つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<お前が担えぇぇぇぇぇ~!雲中君@視聴者
2023.06.26
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第23話城内に貼られた小蘭花(シャオランファ)の絵姿を回収した結黎(ジエリー)と觴闕(ショウケツ)。すっかり疲れて夜渓(ヤケイ)楼に戻ると、東方青蒼(ドンファンチンツァン)と小蘭花がふてくされて待っていた。聞けば2人は蕭潤(ショウジュン)と謝惋卿(シャワンケイ)を引き合わすことに失敗し、結局、蕭潤が小蘭花を見初めてしまったという。東方青蒼はこれも結黎の愚策のせいだと八つ当たりしたが、小蘭花はそもそも東方青蒼が謝惋卿をとりこにしたせいだと言い返した。互いに嫉妬してますます気まずくなる小蘭花と東方青蒼、しかし今は長珩(チャンハン)と赤地女子(セキチジョシ)の歴劫を成功させることが先決だ。そこで小蘭花は直接、蕭潤と会って断ると決めた。東方青蒼は自ら小蘭花に奇妙な化粧を施し、悪趣味な衣を着せて送り出すことにした。「私が言ったことを覚えているな?」「うん、とことん下品で粗暴に振る舞い、良い印象を微塵も残さず消し去ればいいのよね」すると東方青蒼はさらに印象を悪くするため、半日ほど待たせるよう命じた。しかし蕭潤は怒るどころか、遅れて来た仙女を歓迎してくれる。小蘭花はこの顔を見れば腰を抜かすと思ったが、蕭潤は仙女に試されているのだと前向きに解釈していた。「何て素晴らしい化粧だろう!これは俗世に染まらない上品で優雅な人にしか似合わない!」人間になっても優しい性格は変わらない長珩、その様子を東方青蒼たちが遠目から見ていた。小蘭花は蕭潤に何とか嫌われるため、その場で足を広げて座った。「もう疲れて歩けないわ~足を揉もうっと!」いきなり靴を脱ぎ捨て足を出した小蘭花、これで確実に自分を嫌いになっただろう。しかし蕭潤は型破りな小蘭花を気に入り、一緒に座り込んで靴を放り投げた。「やはり君は他の人とは違う!実は私たちは前世から縁があると…」そこにしびれを切らせた東方青蒼がやって来た。「東方兄?」東方青蒼は小蘭花に靴を履かせながら、実は自分たちが夫婦だと嘘をついた。「身重の体なんだぞ?ダメじゃないか…」( ゚д゚)はあ?何言ってくれてんの?衝撃の事実に蕭潤は呆然、あきらめざるを得なくなる。「義兄弟ゆえ、君が妻を探し出せずに諦めるのを待っていた しかし私に怒った妻が君の招待に応じてしまい、誤解させてしまったようだ そうだ、妻の絵姿を渡してくれないか?」すると蕭潤は肌身離さず持っていた仙女の姿絵を東方青蒼に渡した。小蘭花は嘘をついて長珩を傷つけた東方青蒼に憤慨したが、自分を妻だと言って手を引いてくれる東方青蒼に悪い気はしない。その夜、2人はようやくわだかまりが解け、灯籠祭りに出かけた。小蘭花は初めて見る灯籠祭りを喜び、人間のように願掛けすることにした。「願い事は決まった?」すると東方青蒼は願いを叶えるのは天ではなく、己の手で成すものだという。「私の願いは水雲天の平定だ、偽善者の仙族どもを殺し、父上の魂を慰める 三界を統一して蒼鹽海(ソウエンカイ)の民から苦しみをなくす…」小蘭花は深く落胆し、戦のない世界の実現を訴えた。しかし東方青蒼は未だ封印されている兵がいると憤り、皆が誰かの息子であり夫や父であるという。結局、月族と仙族、どんなに話し合っても平行線だと気づいた小蘭花は話を切り上げた。「ごめんなさい、もうこんな話やめましょう」こうして小蘭花と東方青蒼は一緒に灯籠を飛ばした。…小蘭花、永遠に私のそばにいて欲しい…大魔頭、ずっとそばにはいられないけれど、あなたの幸せを願ってるわ小蘭花は花の世話のため飛仙(ヒセン)閣を訪ねた。すると謝惋卿が飛仙閣の10年間で手に入れた財産を手放し、自らを身請けしたと知る。謝惋卿は酒楼で偶然、東方青蒼と出くわしたのを機に、自由の身になって夢の中の人を探す決意をしたという。一方、蕭潤は屋敷に東方青蒼を訪ねていた。実は失恋の傷を癒すため、これから辺境へ発つという。「3年から5年は戻れない…東方兄、お元気で」「待った!」東方青蒼は蕭潤を引き止めるため、急いで小蘭花たちを呼んだ。蕭潤と曲水(キョクスイ)を城外まで見送りながら口実を懸命に探す東方青蒼たち、しかしどんなに説得しても蕭潤の決意は固い。追い詰められた小蘭花は結黎に知恵を出せと迫ったが、その時、結黎が蕭潤を止めた。「蕭郎!おめでとうございます、あなたは合格よ!」結黎は実は東方員外(インガイ)と小蘭花が兄妹で、妹を心配した兄が蕭潤の気持ちが本物か試したのだという。「あなたは蘭花娘子(ニャンズー)への想いを捨てず、東方員外との義兄弟の絆も守った 非の打ちどころのない心の持ち主です!…これで蘭花娘子との婚姻が認められました!」東方青蒼は思わぬ展開に怒り心頭だったが、お陰で蕭潤は辺境には行かないという。「今日の化粧は清新で上品だ、やっぱり私を試したんだな?」喜んだ蕭潤は早速、父に報告し、婚礼の準備を始めると言って引き返した。東方青蒼は何とも言えない気持ちになった。…これが愛というものなのか…一方、忘川(ボウセン)にいた容昊(ヨウコウ)は巡回していた天兵と出会し、陣営に案内された。しかし容昊と蝶衣(チョウイ)は将軍と3000の兵を一人残らず殺してしまう。蕭潤の引き留めに成功した東方青蒼たちだったが、事態はますます悪化した。途方にくれる小蘭花、しかし結黎は全て命格(メイカク)詩通りに進んでいるとあっけらかんとしている。「小蘭花は蕭潤に嫁ぎ、月尊は謝惋卿を娶る で花朝で2組の婚礼を一緒に用意、新婚初夜に相手をすり替えるだけよ!」確かに結末が命格詩と同じであれば歴劫は成功、それまでの経過は関係ない。小蘭花は賛成したが、東方青蒼は激怒した。「偽でも本当でも私は愛した女子しか娶らぬ!他の者に求婚はおろか一瞥さえせぬ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)小蘭花のメイクwwwだからあれほどやり過ぎはダメだと…ryにしても長珩がポジティブ過ぎるw
2023.06.25
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第4話「毒叔母の末路」母屋に固執したせいで自分だけ新しい邸宅に移れなくなった葛(ゴー)氏。これも少商(シャオシャン)の企みだったと気づき、離れにいる四娘子の居所に怒鳴り込んだ。「私は子を産むまで母屋を離れないと誓った でも夫が新邸に引っ越したら、私一人で誰の子を産めって言うの?!」「女が子を産むのに男が何の役に立つと?」「え?…小娘にはまだ早い!」葛氏は運良く義兄の功績にあやかっているだけの母娘だと蔑んだ。しかし少商は運が良ければ赤子の頃に取り残され、両親の庇護なく育つはずないという。その時、少商は回廊で母が立ち聞きしていると気づき、二叔母をあおった。「母上が幸運だと感じるのは父上が丈夫で二叔父は足が不自由だから? でも二叔父は何でもあなたに服従しているのに、何が不満なのです?」「服従?能無しのヘタレだからよ!なぜあんなお荷物でも程(チォン)家では重宝されるのかしら」葛氏は四娘子に散々、夫の悪口を言って帰って行った。蕭元漪(シャオユエンイー)は娘がわざと二叔母を怒らせたと見抜きながら、武婢(ブヒ)を連れて母屋へ向かう。その頃、母屋に戻った葛氏は憂さ晴らしに夫の大事な書簡を片っ端から放り投げていた。嵐が過ぎ去るのを黙って待つしかない程承(チォンチョン)、しかしそれがかえって妻を苛立たせてしまう。「妻がこんな屈辱を受けているのに黙っているの?! こんな腰抜けに嫁ぐなんて!なぜ私はこうも不運なのよ?!」葛氏は泣きわめきながら夫を叩いていたが、程承がついに口を開いた。「もうたくさんだ!…怒りが収まらぬなら葛家に帰ればいい」激高した葛氏は夫に書簡を投げつけ始めたが、その時、突然、義姉が現れた。「おやめ!」蕭元漪は青蓯(チンツォン)に二弟を家主の元へ連れて行くよう命じた。焦った葛氏は追いかけようとしたが、蕭元漪に引っ叩かれてしまう。「浅知恵でどうしようもない愚婦ね、二弟は寛大ゆえ容認していただけ 私たちは3日後に出て行くけれど、お前はおとなしくここに残り、葛家の迎えを待つのね」蕭元漪は葛家に義妹を離縁する旨を伝えたと言い放った。驚いた葛氏は娘の復讐かと憤ったが、蕭元漪は簡単に人を恨んだり、恨む相手を間違えたりしないという。「悪巧みばかりするお前を私が好きにさせると思う?お前のやったことは全て把握しているわ」蕭元漪は娘に対する義妹の所業の数々を知っていた。開き直った葛氏は娘を連れて帰るまでだと言ったが、蕭元漪は程家の三娘子である程姎(チォンヤン)は置いて行けという。「お前が道士の名を騙って私に娘を捨てさせた時、私がどんな思いだったか… お前にも味わわせてやる」…蕭元漪が男女の双子を出産したのは程始(チォンシー)の出征が迫っていた時だった葛氏は義兄と義姉を引き離そうと企み、老夫人に道士のお告げで赤子を手元に置けば厄難を逃れられると吹き込むそうすれば義姉も子供の世話のため残るしかないだろう程始は死ぬ時も家族一緒だと拒否したが、その時、皇帝からすぐ孤城へ救援に向かうよう勅命が届いたすると老夫人はせめて子供だけでも残すよう懇願、蕭元漪は断腸の思いで娘を置いて行くと決断する…「…私の許可なく一歩も出してはならぬ!」蕭元漪は葛氏を母屋に監禁し、武婢に見張らせた。分をわきまえれば余生にこの屋敷を与えるつもりだったが、どうやら無用の長物だったらしい。その夜、凌不疑(リンブーイー)は配下の報告を受け、ある鍛冶場に駆けつけた。何でも董(ドン)倉管が捕まってから急に門を閉ざし、店がつぶれたと言いながら食事が運び込まれているという。不疑は早速、捜査を命じたが、やがて物置小屋にある祝融(シュクユウ)の像に目をつけた。そこで像を動かしてみると、壁が開いて密室に隠れた許尽忠(シュージンジョン)を発見する。しかし許尽忠は歯に仕込んでおいた毒を噛み、自害した。すると不疑は息絶えた許尽忠の首にある黒いあざを見て呆然となる。このあざは確かに幼い頃に見たあの男の首のあざと同じ、それは決して忘れることのできない記憶だった。「ここで働いていた全ての雇人と屋敷にいる全ての下僕を捕えよ!一人一人尋問する!」不疑は思わず興奮して声を荒らげたが、ふと冷静になった。「待て…派手に動くな、許尽忠の死は伏せておけ、奴と往来があった者は皆、調べ上げよ」葛太公(タイコウ)が三娘子の傅母を連れて程家にやって来た。太公は娘が迷惑をかけたと謝罪し、離縁状をもらって連れ帰るという。その夜、程家は葛家を厚くもてなしたが、少商は早々に席を立って離れに戻った。「昔は不条理な母親を持つ従姉を哀れんだけど分かったの 舅母に大切にされている従姉は幸運だわ」「息子を望む仲(チュウ)夫人に疎まれて舅母に預けられたのに幸運でしょうか?」侍女の蓮房(リエンファン)は同情したが、少商は外祖父の家だったからこそ程姎は大切に育てられたと羨ましがった。「不運なのは私のほうよ…」するとそこへ母がやって来る。蕭元漪は勝手に出て行った娘を叱り、ともかくすぐ挨拶に連れて行くことにした。程姎は葛傅母に一緒に連れ帰って欲しいと懇願していた。すると蕭元漪が娘と一緒に挨拶にやって来る。実は蕭元漪はかつて隣人だった舅母を姉と慕い、義妹で苦労して来たことを知っていた。舅母は程姎に母親を戒めにすればいいとなぐさめ、どちらにしても一生、両親を頼って生きていけないという。「大樹のように己の足で立ち、強く生きるのよ」傅母の教えを受けただけあった程姎は所作も美しく、礼儀正しく温厚だ。蕭元漪は程姎を娘のように面倒見ると約束したが、隣にいた少商は何とも複雑な気分になった。蕭元漪は離れに戻った少商を呼び止めた。「なぜ葛舅母に酪漿(ラクショウ)を勧めたの?程姎を差し置いてしゃしゃり出るなんて…」少商は愛情あふれる葛舅母に理想の母の姿を重ね、自然と親しみを感じて酪漿を勧めただけだった。しかし母は自分を悪意ある憶測で判断し、何事も計算ずくだと考えるのだろう。蕭元漪は従姉のように普段から従順で勤勉なら周りも自然と良い方向に考えると諭したが、少商は反発した。「舅母に育てられた従姉が羨ましい、野放しだった私には望めません これからは私を見張らず、完璧な従姉だけを見てはいかがですか? そうすればどんな怒りも収まるでしょう」「心配無用よ、これまでどんな兵も御して来た、強情な娘くらい何よ?これからじっくり調教するわ」部屋に戻った少商は月を眺めながら、母との会話を思い出していた。…程少商、最初から偏見を持つ人に取り入るよりも、いっそ薄情になったほうがいい…どうせ頼る親族も悩みを打ち明ける友もいない…愛されもせず、疎まれるばかりよ…葛氏が消えてもまた別の者が現れる…他人に期待せず、自分を大切にした方が自在に生きられるわ程始たちは葛太公一行を見送るため城門の外までやって来た。葛太公は迷惑をかけたお詫びに程承を白鹿(ハクロク)山の書院で学べるよう手配してくれたという。「学問を成就させたら学堂を開くといい」こうして程承も兄夫婦に娘の世話を頼み、後ろ髪を引かれる思いで旅立った。涙に暮れる程姎、蕭元漪は姪の肩を抱き、慰めながら馬車へ戻ることにする。少商は距離を取って2人の様子を見ていたが、従姉にだけ見せる優しい母の顔に深く失望していた。つづく( ๑≧ꇴ≦)何だこの毒娘と毒母の戦いは?!ウーレイ早く!w
2023.06.24
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第3話「母屋の主」兵器横流しの罪で捕らわれた董(ドン)倉管(ソウカン)は拷問に恐れをなして全て白状した。抱き込んだのは許尽忠(シュージンジョン)で、馮翊(ヒョウヨク)郡で歴代続く鍛冶師だったが、突然、仕官して兵器を扱う商方令(ショウホウレイ)になったという。董倉管は定期的に銭を受け取り黙認、兵器をどこへ売ったかまでは知らなかった。「横流しされた兵器は大量だ、買い手の野心は小さくないな…」報告を聞いた凌不疑(リンブーイー)は姿を消した許尽忠の追跡を命じ、董倉管は辺境に流刑とした。「廷尉府に伝えよ、流刑前に程(チォン)家に戻せと」不疑は証拠をつかめたのも程家四娘子(スーニャンズー)のおかげだと話し、お返しだと言った。青蓯(チンツォン)は女君と女公子の間を取り持とうと、少商(シャオシャン)に豪華な装飾品を届けた。「まだありますよ、女君が良い品は全て女公子に残しておいたのです」今まで粗末な生活を強要されてきた少商は目を輝かせたが、そこへ父と母がやって来る。すると娘の性根を叩き直そうと奮起した蕭元漪(シャオユエンイー)は早速、書簡を差し入れた。しかし思いがけず娘がろくに字も読めないと知る。蕭元漪は呆れ果てたが、程始(チォンシー)は自分も三十から学問に勤しんだ手前、気長に構えればいいと娘をかばった。董舅父が別れを告げるため程家に立ち寄った。程老夫人董(ドン)氏は弟を抱きしめ涙したが、出世する息子のために今後は弟家族と縁を切るという。すると董舅父はその場にへたり込み、姉に見捨てられたと号泣した。「地べたに座り込む芸風は董家の血筋なのかしら?」少商は2人を茶化したが、従姉妹の三娘子(サンニャンズー)・程姎(チォンヤン)から陰口は駄目だとたしなめられてしまう。その時、董舅父が四娘子の姿に気づき、親族である自分を売ったと逆恨みした。「姉上の仕打ちも納得だ!″蕭氏が残していった娘はいずれ母親と同じようにいけ好かなくなる″ ″早く追い出した方が食いぶちが省ける″と言っていた!」慌てた二房の葛(ゴー)氏は自分まで巻き込まれないよう、役人に早く連れて行けと言ったが手遅れだった。「そうだ、お前も言っていたな ″たかが十数年だし、ろくでなしに育てればいい、蕭氏も救えない″と… 程始が送ってきた銀は全部、こいつが懐に入れたんだあぁあぁ!」凌不疑は程家の騒ぎを高楼から眺めていた。配下の報告では許尽忠の行方はまだ分からず、妻子もおらず、屋敷ももぬけの殻だという。すると不疑は難に遭えば己が熟知した場所を選ぶと示唆した。「董倉管も昔、姉と暮らした家に身を隠そうとした…鍛冶場だ」董舅父が程少商への仕打ちをぶちまけたせいで、程家の雰囲気は気まずくなった。そこで程始が話題を変え、年末には三弟や息子たちが帰って来ると報告する。老夫人は喜んで葛氏に早く母屋を掃除して大房に明け渡すよう迫ったが、葛氏は何かと理由をつけて居座ろうとした。しかし老夫人に押し切られ、その怒りは不甲斐ない夫に向かってしまう。程家の次男・程承(チォンチョン)は病弱で足が悪く、出征した兄や仕官した弟の代わりに家を守ってきた。しかし葛氏は夫が母屋も守れないと激怒、程承が大切にしている書簡を火鉢に投げ入れてしまう。そこへ娘の程姎が現れ、咄嗟に書簡を取り出した。「あなたの身体が丈夫なら姎姎は女に生まれたかしら?」葛氏は息子を授かれない不運から清廉な父娘を蔑ろにし、むしろ腹黒い四娘子の方がましだと悪態をつく。一方、少商は母から厳しく教育されていた。暗記するまで食事も睡眠も禁じられる少商、父も母には頭が上がらず助けてくれない。「魂胆は分かっているわよ?董大叔父を引き渡し、大母を驚かせ、二叔母の悪事まで暴いた 年端も行かないのに、事もあろうか朝廷のお裁きをおもちゃにするなんて… しかと指導しないといつか一族に大きな災いを招くわ…おとなしく勉強しなさい」すると母は出て行ってしまう。少商は仕返しの何がいけないのか分からなかった。母のように面子を気にして母屋を占領されても黙っていろというのか。その時、少商は気がついた。「そうよ、母の性分なら黙って二叔母の好きにさせておくはずない」その夜、少商は母屋に二叔母を訪ねた。そこで少商は母屋に居座りたいなら母とまともにやり合っては勝てないという。「将来、孫息子を宿せるかもしれないと大母を説得したら?」「私に味方して母親と戦わせようって魂胆ね?」葛氏は四娘子がまた悪巧みしていると疑ったが、少商は母の悔しがる顔を見れば痛快だと言った。確かに見たところ義姉と四娘子の間に母娘の情などない。すると少商は2人だけの秘密だと言って離れに戻った。「あの悪童…ふふ、苦労して教えたかいがあったわ」翌日、葛氏は蕭元漪が母への挨拶に来たところで、実は母屋に居座るには理由があると切り出した。道士の話では母屋なら子宝を授かりやすいという。老夫人は思わずそれにしては何年も効果がないと言ったが、葛氏は当然ながら義姉には及ばないと卑下した。「私たちを不びんだと思って迷信でも信じてくださいませんか?」すると信心深い老夫人は道士の助言ならばと認めることにした。蕭元漪はならば息子を授かるまで義妹は他に移らないのかと念を押す。「もちろんです、君姑、ここで誓います、程家の息子を産まぬ限り母屋に住み続けます!」挨拶を終えた蕭元漪は別れ際、葛氏にくれぐれも後悔しないよう釘を刺しておいた。すると葛氏が勝ち誇ったように秘密をばらしてしまう。「嫋嫋(ニャオニャオ)を追い詰めるから、あの子が私に母屋を奪うよう持ちかけたんですよ?」その頃、母から筆写を命じられた少商は、3本の筆を縛りつけ、一度に3文字書こうと企んでいた。しかしそこへ母がやって来る。「昨夜は二叔母に母屋に居座る方法を教えたの?」「新邸に移るのだからくれてやればいいでしょう?」「なぜ知っているの?」少商は母が母屋を占拠されても静観していることを怪しんだ。居座らせたのは母屋が無用だと分かっているから、恐らく凱旋した父に褒美が届くと気づいたという。「あの人たちには虐げられ放題だった…仕返しの何が悪いのです?」「確かに私たち両親の責任だわ、だからこれまでのことは水に流す でもこれが最後よ、次からは許しません、心しておきなさい」すると蕭元漪は娘が細工した筆を取り上げて帰った。「…心しておけ?吐き捨てるように言うのね」少商が予想した通り、程家に皇帝の使いがやって来た。父は関内(カンナイ)侯に封じられ、曲陵(キョクリョウ)を領地として500戸を賜る。老夫人は息子の出世で上機嫌、程承も久しぶりに顔を見せにやって来た。「二郎と来たら、大郎や三郎ほど甲斐性があれば…」しかし程始は三兄弟の中で一番、家を案じて尽くして来たのが二弟だとかばった。「二弟は書が好きだ、褒美で書も下賜されたし、好きなだけ選べ 金銀や装飾品は全て阿母に…」その時、葛氏が義兄と一緒に凱旋した万(ワン)将軍には大豪邸が下賜されたらしいと羨ましがった。すると程始は実は万家が今の邸宅を自分たちに譲ってくれることになったと報告する。葛氏は憧れの万将軍府に引っ越せると聞いて大喜びしたが、程始は弟嫁が来る必要はないと言った。「息子を産むまでは母屋に住むのだろう?二弟も新邸に移るから邪魔はしない」つづく( ゚ェ゚)ここで普通は「二叔母ザマァ!」ってなるはずなのに、ママが嫌すぎて同情してしまうw結局、ママは娘が自分に似ているからイライラするんだろうね
2023.06.23
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第15話「尚服局へ」魏林(ギリン)は卓錦娘(タクキンジョウ)から豆子(トウシ)の暗殺を命じられ、毒を受け取った。そこで豆子の好物である桂花糕(ケイカコウ)に毒を混ぜ、差し入れることにする。しかし臆病なため足がすくんで牢獄の奥へ進めず、結局、獄卒に豆子へ届けるよう頼んで帰った。すると獄卒の胖子(ハンシ)が美味そうな菓子を見て勝手に食べてしまう。その時、突然、皇太子・李治(リチ)が地下牢に現れた。魏林は卓錦娘に任務を終えたことを報告したが、豆子の死を確認していなかった。「中に入るなと言われて…でも獄卒に銭を握らせたし、豆子に届けてくれたはずです」卓錦娘は動揺し、鄧七娘(トウシチジョウ)を呼んで掖庭の様子を探って来るよう命じる。「…探ると言っても何をですか?」「お黙り!」琉璃(ルリ)は独房にあっても身なりを清潔に保ち、机の上も丁寧に掃除していた。そこに突然、皇太子が現れる。皇太子は早速、戸を開けるよう命じ、裴行倹(ハイコウケン)に頼まれて急ぎ助けに来たと教えた。「それが優雅に身だしなみを整えているとは…怖くはないのか?」「汚いなりで横たわり嘆き続けていたらもっと悲惨です、ならば楽しむ努力をすべきです」李治は豆子の逆境にも動揺しない前向きな姿勢に感心し、その美しい容姿と男気は不禄院にはもったいないという。その時、獄卒の叫び声が聞こえ、一同は慌てて様子を見に行った。豆子への差し入れを盗み食いした獄卒が毒死した。届けたのは20歳そこそこの見慣れぬ内官、どうやら豆子の毒殺を図ろうとしたのだろう。李治は豆子を守るため東宮に移動するよう勧めたが、琉璃は義父と順子(ジュンシ)を巻き添えにしてしまった反省から、自分だけ逃げることはできないという。すると李治はその義理堅さに感銘を受け、必ず下手人を見つけると約束した。七娘は尚服局へ戻り、卓大家に掖庭の騒ぎを報告した。皇太子の命で豆子は釈放され、暗殺を企んだ者を必ず探し出すよう命じていたという。「でも師父、尚服局とは関係ありませんよね?」「もちろんよ!」すると卓錦娘は七娘に使いを頼んで追い出し、魏林を連れて内侍院の副総管・潘秦海(ハンシンカイ)を頼ることにした。「無事に切り抜ける手立ては必ずある…」不禄院に豆子が戻った。義父や順子、仲間たちと再会を果たし喜ぶ琉璃、実は皇太子が自分の密命で皇宮を出たことにして救出してくれたという。「外で太子の友人と知り合って…その人が太子に頼んでくれたらしい」孫徳成(ソントクセイ)は安堵し、今度こそ逃してやると言ったが、琉璃は皇宮に残ると言い出した。「阿娘の敵は卓錦娘なのでしょう?…阿娘の敵を討ち、無実の罪を晴らす!」そこで尚服局に移動し、卓錦娘に近づいて母を陥れた証拠を探し出すという。孫徳成は一介の医官に何ができると反対したが、琉璃の決意は変わらなかった。不禄院の弟子たちは豆子のためにささやかな宴を開くことにした。そこで買い出しの銭を取りに戻ったところ、自分たちの蓄えが全て消えている。孫徳成は手癖の悪さで不禄院に落とされた魏林を真っ先に疑ったが、案の定、魏林の私物の箱の中から盗品が出てきた。すると順子がせん別として豆子の荷物に入れたはずの自分の玉があると気づく。琉璃はてっきり荷物を拾った裴行倹が中身をすり替えたと思っていたが、実は棺の荷物は皇宮内ですでに盗まれていたのだ。その時、桂子(ケイシ)が銭を隠していた時、魏林から話しかけられたことを思い出した。「あの時、弟子たちの好物は何か聞かれて…なぜか豆子の好物まで聞かれたんだ 桂花糕だと教えたよ」琉璃は掖庭に毒入りの桂花糕を届けたのが魏林だと分かった。話を聞いた孫徳成は激怒、すぐ魏林を呼んでこいと命じたが、思いがけず魏林が冷たくなって戻ってくる。その頃、潘副総管は東宮を訪ね、皇太子に不始末を謝罪していた。調査の結果、毒を盛ったのは魏林という内官で、日頃より手癖の悪い者だったという。失踪を機に豆医官の銭を盗んでいたことから、豆医官が戻って発覚するのを恐れての口封じだと推察した。しかし事が露見し、すでに湖に身を投げて自尽したという。「盗品は見つかっています、豆医官だけでなく宮中で盗まれた物は全て魏林の仕業でした」李治は思わぬ結末に驚いたが、今回は潘副総管を見逃すことにした。「次は厳重に処罰するぞ」卓錦娘は内侍院へ相談に行こうと魏林を連れ出し、道すがら湖に突き落として殺した。この事実に気づいたのは潘秦海だけだったが、手癖の悪さでうまくごまかしてくれたという。しかし豆医官の後ろ盾が皇太子だと分かり、潘秦海はここで手を引くよう警告した。さらに驚いたことに不禄院から豆子が尚服局への異動を承知したと知らせがきたという。「私を巻き添えにしないでくれ」卓錦娘は豆子に手を出せなくなったが、尚服局に来るなら技を盗めばいいと考えた。「殺せないのなら生き地獄を見せてやる!」豆子の尚服局への異動はひとまず仮扱いとなった。卓錦娘は殊勝な態度の豆子を温かく迎え、これからは尚服局の指示に従うよう命じる。尚服局の2番手である阿碧(アヘキ)は掟に従い、新入りに一番後ろの机を準備していた。しかし卓大家は豆子の腕が最後尾の水準なら引き抜くはずがないという。「こうしましょう、今日はまず腕比べで豆子の実力を示させるわ」すると気が強い阿碧が自分が相手になると名乗りを上げた。卓錦娘は豆子と阿碧に薔薇を刺繍させることにした。「そうね…決めたわ、″花の王″を題に妃嬪の枕覆いを作りなさい」繍女たちは仕事に戻ったが、露台で対決している2人が気になって仕方がなかった。すると双児(ソウジ)が阿碧は刺繍を始めたが、豆医官はまだ花を見つめていると報告する。誰もが阿碧の勝利を信じて疑わない中、琉璃がようやく筆を持って図案を描き始めると人だかりができた。間に合うのかしら?>(*´・ω)(ω・`*)<平凡な図案だわ~つづく・:*+.\(( °ω° ))/.:+*:・ やっと尚服局に来たわ〜!
2023.06.22
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第14話「刺繍に隠された文字」掖庭(エキテイ)に捕らわれた医官の豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。記憶を頼りに図案を書き出すという約束でようやく食事にありつけたが、ふと裴行倹(ハイコウケン)との約束を思い出して慌て出した。このままでは皇太子に身の危険を伝える手立てがない。一方、後宮では武媚娘(ブメイニャン)が皇帝の見舞いにも行かず写経に勤しんでいた。それにしてもたった二時(フタトキ)の写経で腰が痛むとは、皇太子はさぞ疲れているのだろう。武媚娘はふと思い立って筆を走らせ、尚服局に腰当ての図案を届けるよう命じた。「そうだわ、やはりこの図案は不禄(フロク)院に届けて、豆子に作らせてちょうだい」しかし侍女・松涛(ショウトウ)の話では豆医官はその腕を見込まれて尚服局へ移動したという。松涛は図案を届ける道すがら、偶然、尚服局の鄧七娘(トウシチジョウ)を見かけた。そこで七娘に図案を託して豆子を指名したが、豆子は今、掖庭に入っているという。松涛は仕方なく誰が作るか任せると言って帰ったが、七娘はこの機会に豆子を助けようと思いついた。しかし卓錦娘(タクキンジョウ)は武才人の指名だと聞いても、豆子が自分に従わない限り掖庭から出られないという。琉璃は卓錦娘に急かされ、図案を書き出した帳面を渡した。喜んだ卓錦娘だったが、よく見てみると、どの題材も死装束に使う図案だと気づく。「豆子、どうしてくれようか…」その時、庭園で宦官が今が盛りの牡丹を刈り取っているのを見た。聞けば潘(ハン)副総管の指示だという。実は楊妃(ヨウヒ)の宮殿に最も美しい牡丹を植えるよう指示したが、後に庭園で咲いた牡丹の方が見事だった。植え替えるには時期が悪く、潘副総管はやむを得ず庭園の牡丹を掘り起こすことにしたという。「そうすれば錦楽(キンガク)宮の牡丹が最高になり、楊妃娘娘の不興も買いません」その話を聞いた卓錦娘は急に機嫌が良くなった。…豆子がいなくなれば私が宮中一の腕を持つ存在でいられる…七娘はこっそり掖庭の豆子を訪ねた。琉璃は卓大家の側近を警戒したが、七娘は親戚の友人である裴行倹と阿霓(アゲイ)に頼まれたと明かす。驚いた琉璃は2人に危険を冒さないよう言付けを託し、それより皇太子を呼んできて欲しいと頼んだ。七娘はさすがに皇太子への伝言など無理だと断ったが、ふと才人から引き受けた仕事があったと思い出す。「才人にあなたの事情を伝えれば助けてくれるかも?」しかし琉璃は恩人である武媚娘を巻き込むことを恐れ、断った。「分かったわ、何とか仕事を引き受けてここに持って来る」「ありがとう」「曹吾の友人の頼みだから、これで曹吾にも顔向できるわ」卓錦娘は自ら武才人の腰当てを作り始めた。そこで七娘は大家が夜なべしてまで作ることはないと訴え、自分が代わると申し出る。「私が直接、才人にお届けし、その際に忙しい師父が寝ずに作ったと報告します」喜んだ卓錦娘はそこで切り上げ、続きを七娘に任せて休んだ。琉璃は七娘から腰当ての材料を受け取った。しかし胸当ての鳩の刺繍を見て、あの時、母が直すことになった褘衣(キイ)の刺繍と同じだと気づく。…阿娘に刺繍を直させたのは卓錦娘だったのね、そのせいで阿娘は死んだ…翌朝、七娘は豆子が仕上げた刺繍を受け取り、そのまま咸池(カンチ)殿に届けた。武媚娘は出来栄えに満足し、豆子の代わりに誰が作ってくれたのか尋ねる。すると七娘はひざまずき、豆子が恩返ししたいと訴えたため、掖庭で作らせたと明かした。驚いた武媚娘は改めて刺繍を確認すると、鳩がとまっている木の模様が文字になっていると気づく。…太子に難あり…武媚娘は慌てて掖庭に豆子を訪ねた。「あれはどういう意味なの?」「宮外で裴行倹と知り合い、太子の危機を知りました 裴行倹の身分では宮中に上がれず、私が医官だと知ると僅かな可能性に賭け、伝言を託したのです でも私は捕まってしまい…」「すぐ太子に会うわ」皇太子・李治(リチ)は武家と裴家に交遊があり、武才人が裴行倹と幼馴染だと知った。武媚娘は裴行倹の人柄を良く知っていると訴え、信じられない話だが、全く根拠がないとは思えないという。一方、卓錦娘は潘副総管に賂を届け、豆子に死罪を申し渡すよう頼んでいた。しかし潘副総管は流石に命までは取れないと銭を返し、どうしても手を下すなら目をつぶるという。「ただし証拠は残さないでくれ」すると卓錦娘は結局、口止めに賂を渡し、魏林(ギリン)を使うことにした。居眠りしていた琉璃は裴行倹の夢を見た…『玉児!玉児!私だ!』裴行倹は皇太子に伝言が届き、面会を許してもらえたという琉璃は上手くいったと喜んだが、裴行倹は浮かない顔をした実は獄卒から今日の午時に豆子が死罪だと聞いたという『阿翁も順子も救えた、太子に危機を伝えることもができた 戻ったかいはあったわ、これで死んでも琉璃に悔いはない…』琉璃はうっかり口を滑らせた驚いた裴行倹だったが、そこへ獄卒が来て連れて行かれてしまう『君は誰なんだ!秘密を抱えたまま逝く気なのか?!本当に悔いはないのか?』…そこで琉璃は目を覚ました。「そうよ、このまま死ぬわけにいかない」琉璃は母の敵を討ち、無実の罪を晴らすと誓った。そしていつか全てを白日の下に晒し、自分こそ″天下第一針″の真の後継者だと知らしめるのだ。玉児を救出できずに悶々としていた裴行倹、すると裴宅に突然、華天(カテン)が訪ねてきた。「主がお話があるそうで、まもなくこちらに…」裴行倹は酒や詩作に付き合う気分ではないと断ったが、そこへ白馬にまたがった男が侍衛を引き連れて駆けつける。「久しぶりだな、火急の事態を伝えたのはお前の方だが?」「九公子、酒も飲まぬうちから酔っているのか?」「無礼な!学生ふぜいが太子殿下の御前で何と偉そうに…」従者に叱られた裴行倹はようやく酔香楼で知り合った九ちゃんの正体が皇太子だと知った。裴行倹は曹(ソウ)王・李明(リメイ)が密かに甲冑を入手していると密告した。実はこれまで権力におもねる者を軽蔑してきたが、こうして国家の危機に際し、主君の役に立ちたいと切望しながらも、この身分のため拝謁の術もなかったと嘆く。「″真に才ある者は隠居せず″という」李治は俗世を離れれば身を清く保てるが、正義を貫いてこそ真の男だと言った。「今回の手柄に褒美を取らす」すると裴行倹はその場で平伏し、豆医官を掖庭より救って欲しいと嘆願した。「手柄を立てたのは私ではなく豆医官なのです、私は何も頂けません」李治は豆子が武才人に伝言を託した医官だと気づいた。「武才人でしたか…豆子は一介の医官でありながら大義の前には死も恐れない その気概には頭が下がります 嘘がつけないお人好しで、優れた裁縫の腕を持っています 宮中に馴染めず逃げ出そうとしたのですが、私と出会って太子殿下の危機を知り、自首したのです まさか本当にやり遂げるとは…」「分かった、必ず助けよう」つづく( ゚ェ゚)松涛の方がメイニャンっぽいのにね~
2023.06.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第13話「師匠の思い」執拗に医官・豆子(トウシ)を探す副総管・潘秦海(ハンシンカイ)。尋問された孫徳成(ソントクセイ)は知らぬ存ぜぬを通したが、そこへ思いがけず琉璃(ルリ)が戻ってきた。豆子は俸禄が少ないので外で買った巾着を売ったが孫内侍にひどく叱られ、その上、順子(ジュンシ)が捕まったので怖くて逃げ出したという。しかし街中に手配書が貼られて大事になったと知り、慌てて帰って来たというのだ。孫徳成は話を合わせて大目に見て欲しいとかばったが、順子の釈放と引き換えに豆子は掖庭(エキテイ)に収監されてしまう。順子は従犯として1年の俸禄停止と板打ち50回で解放された。孫徳成は不禄院に戻った順子を献身的に介抱するが、順子は頑なに口を利こうとしない。一方、尚服(ショウフク)局の大家(タイカ)・卓錦娘(タクキンジョウ)は豆子が自首したと聞いて早速、面会した。琉璃は母の弟子である卓大家まで巻き込まないよう身分を明かさなかったが、どうも様子が違う。「質問に答えてくれたらここから出してあげる 仕立ての技はどこで覚えたの?誰かに教わった?それとも奥義書を読んだとか?」「不禄院で豪華な衣の妃嬪の骸を見てきました 衣の刺繍を眺めながら針の運びを考えるうち、おのずとできるようになったのです」しかし卓錦娘はあの技を自然と身につけることなどできないと知っていた。「なら最後にひとつだけ聞くわ、″天下第一針″の安(アン)氏を知っている?」「もちろん名前だけは…卓大家は弟子だったとか?どんな方でしたか?」「何が弟子よ!私の才能を妬んで技を伝えてくれなかった!名ばかりの師弟関係だったわ!」卓錦娘は思い出したくもないと声を荒らげ、豆子がその技を伝授されたのなら尚服局のために自分に教えて欲しいという。「よく思い出して、思い出せたら獄卒に言って私を呼びなさい」すると卓錦娘は帰り際、獄卒に賂を渡し、豆子が自分を呼ぶまで水も食べ物も与えないよう頼んだ。孫徳成は順子が面会に来なかった自分を恨んでいると分かった。そこで順子の心を開こうと、救出するために奔走したが卓錦娘に阻まれ、銭だけ巻き上げられてしまったと説明する。「お前には申し訳ないことをした、もし私を許してくれるなら何か言ってくれ…」しかし真実を知った順子はかえって自責の念に苦しむことになる。一方、阿霓(アゲイ)は如意衣装店に戻り、安四郎(アンシロウ)に事情を説明していた。安四郎は阿霓を責めることなく、琉璃は情に厚く、幼い頃から融通が利かないところがあったという。「またあの子を守ってやれなかった、なんと情けない伯父なのだ…」琉璃は母と卓大家の間に因縁があると知った。思えば義父から母の唯一の弟子である卓大家に決して身分を明かしてはならないと厳しく言われたことがある。その時、孫徳成が獄卒に賂をつかませ、差し入れを届けにきた。「…手料理を持ってきた、味は11年前と同じだ、覚えているな?」琉璃はその意味を悟って器を受け取ろうとしたが、突然、卓錦娘が現れ、料理を払いのけてしまう。計画は失敗、孫徳成は諦めて帰ることにした。「容易に人を信じるなよ…義父の言葉を決して忘れるな」卓錦娘は念のため豆子を別の独房に移動させた。琉璃は卓大家を警戒し、うまくあしらうおうと考える。「そう言えばあれから思い出したんです…幼い頃に奇書の類いを読んだことがありました 美しい刺繍を施した衣が描かれていて、思い起こせばあの本から学んだのです」卓錦娘は目を輝かせ本の在り処を聞いたが、琉璃は妃嬪の遺品だったと嘘をついた。「読んだ後、棺に戻したので骸と一緒に埋葬されましたよ?」「その妃嬪とは?」慌てた琉璃は覚えていないとごまかしたが、卓錦娘は妃嬪がどんな衣を着ていたか絵に描けと迫った。「ごちそうを届けるからここで描いて、ごまかそうとしたら死より苦しむことになるわよ?」その夜、不禄院から順子の姿が消えた。孫徳成は弟子たちと手分けして探し回ったが、御花園の池に身を投げようとしている順子を見つける。「掖庭で酷い目に遭ったのだな…だがお前の命は豆子が命懸けで守ったんだぞ?」「師父に申し訳がたちません…豆子にも悪いことをした…」順子は卓錦娘にそそのかされて師匠が豆子のために自分を捨てたと勘違いしていた。死ぬのが怖くて豆子が巾着を売ったことや宮中を出たことを白状してしまい、2人に顔向できないという。「最も大事な友人を裏切ってしまった…死んで当然です!」しかし順子は結局、豆子の素性までは明かしていない。孫徳成は順子の判断のお陰で豆子が今も無事なのだと感謝し、厳しい状況の中でもよく頑張ったと褒めた。鄧七娘(トウシチジョウ)は明日の仕入れで街へ出る際、親戚の家を訪ねたいと大家に願い出た。七娘は幼くして両親を亡くし宮中に上がったが、自分を気にかけてくれた唯一の親戚だという。すると卓錦娘は門限までに戻れば良いと認めてくれた。曹(ソウ)氏は甥の曹吾(ソウゴ)から遠縁の七娘に会ったと聞いた。そこでたまには顔を見せるよう七娘にこと付けたところ、仕入れのついでに店に寄ってくれる。曹氏は如意衣装店に対抗するため、この機会を利用して尚服局の卓大家が唯一認めた直弟子の七娘が戻ってきたと宣伝した。阿霓は四門学に裴行倹を訪ねた。実は曹記衣装店に尚服局の親戚が来ているため、玉児(ギョクジ)を救う手立てがないか聞いてみようと思ったという。しかし下手をすれば玉児の正体に気づかれると思い直し、裴行倹に相談に来たのだった。裴行倹はならば自分が豆子の友人だと申し出て状況を聞き出そうと提案、早速、2人で曹記衣装店を訪ねる。すると阿霓を好きな曹吾が喜んで2人を七娘に紹介してくれた。裴行倹は宮仕えしている七娘に頼みがあると切り出した。「友人の豆医官が皇宮を出た日、私が頼み事をしたせいで戻りが遅れてしまった 豆医官が無事かどうか探ってもらえないだろうか」「何日も戻らなかった理由は他にもあるはずです、掖庭で罰を受けているという噂は聞いています」七娘は奴婢の自分が手に負えるような単純な話ではないと断ったが、曹吾にまで嘆願されては無下にできない。「弟のような曹吾の頼みなら断れないわ…様子を探ってみます、でもそれ以上のことはご勘弁を」つづく
2023.06.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第12話「知られた秘密」医官の豆子(トウシ)を捕まえた裴行倹(ハイコウケン)は皇宮へ入るため腰牌を貸して欲しいと頼んだ。琉璃(ルリ)は協力できないと断ったが、驚いたことに″豆子″の手配書が出回っていると知る。その時、2人がいる酒楼に捕吏が駆けつけた。裴行倹は腰牌を貸すなら、脱出を助けると持ちかけた。やむなく琉璃は取り引きに応じ、腰牌は玉児が持っているとごまかす。そこで裴行倹は咄嗟に衣を交換して豆子を逃すことにしたが、豆子が頑なに拒否した。裴行倹は仕方なく豆子を抱えて2階から脱出、馬で逃走する。やがて馬を乗り捨て物陰に隠れた2人、しかし裴行倹は豆子を抱き止めた際に胸に触っていた。「君は何者だ?」琉璃は仕方なく裴行倹を連れて安府に戻り、玉児の姿に戻ってから事情を説明した。実母はある宝物を持っていたため命を狙われ、玉児だけが恩人の助けで不禄(フロク)院に隠れて生き延びたという。しかし実父は冷たい人で玉児が邪魔になり、黙って去ることが孝行だった。話を聞いた裴行倹は玉児の敵が強大な権力者だと察したが、ふと従兄と恋仲という話も嘘だと気づく。玉児は良縁など興味などないが、信じさせるため出まかせを言ったと明かした。喜んだ裴行倹は思わず口元がゆるんだが、慌てて話を戻す。「目立つのにどうして医官の格好で外出を?」「知人の目をごまかすためだったの、あなたに話せるのはここまでよ」そこへ琉璃を探していた阿霓(アゲイ)が帰って来た。阿霓は裴行倹が秘密を知ったと聞いて驚き、ひとまず琉璃を連れて中庭に出る。すると琉璃は母の身分までは明かしていないと教え、安心させた。玉児は本当に腰牌を持っていなかった。落胆する裴行倹だったが、琉璃は義父と順子(ジュンシ)を心配し、宮中に戻るつもりだという。「なぜ皇宮に入りたいの?力になれるかも…」裴行倹と阿霓は無駄死にするだけだと反対したが、琉璃は計画を練ってから行くとごまかした。すると裴行倹は皇太子に謁見したいと明かし、皇太子の身が危険だと知らせたいという。孫徳成(ソントクセイ)は毎日、差し入れを持って掖庭に順子を訪ねたが、未だ会わせてもらえずにいた。その帰り道、誰かがつけて来ると気づいて物陰に隠れると、魏林(ギリン)だと知る。さらに内侍院が豆子の捜索を始めたことが分かり、街中に豆子の手配書が貼られたと聞いた。動揺が広がる不禄院、もしや順子が豆子を告発したのだろうか。孫徳成は順子を信じながらも、琉璃が心配で眠れなかった。すると第4話で琉璃が無事に城門を出た時は城壁に目印を残すよう頼んだことを思い出す。…明日は私が街へ出られる日だ、印を確かめよう、さもないと安心できない…翌朝、魏林は尚服(ショウフク)局の大家・卓錦娘(タクキンジョウ)の居所を訪ねた。どうやら孫徳成の耳にも豆子の手配書の件が届いたようだという。実は今日が慣例により孫徳成が街へ出る日、もし豆子が宮中を出たのならこの機に接触するはずだ。しかし自分の尾行に気づいた様子、どうすべきか相談に来たという。すると卓錦娘は鄧七娘(トウシチジョウ)に任せることにした。「見失わないで、しっかり頼んだわよ」琉璃は義父に会うため、阿霓の目を盗んで屋敷を飛び出した。慌てて琉璃を探しに出かけた阿霓、するとちょうど安宅を訪ねるところだった裴行倹と出くわす。裴行倹は玉児が勝手に出かけたと聞いて困惑したが、阿霓は孫内侍に会いに行ったと気づいた。実は毎月5日は不禄院の内侍が街へ出る日で、確か玉児は都を去る時に城門に印をつけると約束したという。すると偶然、曹吾(ソウゴ)が裴行倹と一緒にどこかへ急ぐ阿霓を見かけ、慌てて後を追った。市場は大変な人出だった。そこで裴行倹と阿霓は酒楼の露台から玉児を探すことにしたが、なかなか見つからない。すると阿霓が玉児は帷帽(イボウ)をかぶっているはずだと気づいた。「はっ!玉児だ!」一方、琉璃は義父を見つけ、嬉しそうに手を振りながら人混みをかき分けて走り出した。孫徳成を尾行していた七娘にはよく見えなかったが、急ぎ始めた孫徳成を慌てて追うことにする。その時、突然、従兄の曹吾が現れた。「数年ぶりですね~家に寄って行きませんか?」足止めされた七娘は孫徳成を見失い、ちょうど告示板にいた官兵に協力を頼んだ。琉璃はもう少しで義父と再会できるはずだった。しかし裴行倹が突然、玉児の腕をつかんで横道に引っ張り込む。その時、七娘から通報を受けた官兵が孫徳成を捕縛、琉璃は義父が連行される姿を黙って見ていることしかできなかった。琉璃は義父と順子を助けるため、宮中に戻ると決めた。驚いた裴行倹は興奮する玉児を点穴して眠らせ、阿霓にくれぐれも外へ出さないよう頼む。その夜、裴行倹は玉児のことばかり考えて眠れなかった。…あの賢くて不思議な娘が気にかかる…しかし琉璃に付き添っていた阿霓はうっかり眠ってしまう。翌朝、阿霓は琉璃の書き置きを持って慌てて屋敷を飛び出した。するとちょうど様子を見に来た裴行倹と出くわす。「玉児が行ってしまった、太子殿下にあなたのことを伝えておくと書き置きが…」裴行倹と阿霓は急いで宮門へ向かった。しかし一足遅く、医官姿の豆子が永安門に入って行く姿が見える。琉璃は腰牌を持っていなかったが、門衛に自分の手配書を見せていた。一方、副総管・潘秦海(ハンシンカイ)は孫徳成を一晩、掖庭で反省させてから尋問することにした。孫徳成は相変わらず豆子の居場所が分からないの一点張りだったが、その時、豆子が現れたと報告がくる。つづく( ̄▽ ̄;)グリナザ…もうこれ以上、目をでかくしないで欲しいw
2023.06.20
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第22話長珩(チャンハン)の転生である蕭潤(ショウジュン)の学友となった東方青蒼(ドンファンチンツァン)。恋敵との友情に戸惑いながらも、小蘭花(シャオランファ)の助言を守って笑顔で応えた。しかしその様子を小蘭花と結黎(ジエリー)に見られ、月尊としてはばつが悪い。一方、無理を押して雲夢澤(ウンムタク)に駆けつけた容昊(ヨウコウ)は、洞窟に戻ると苦しそうに胸を押さえた。蝶衣(チョウイ)は首領の身を案じて思わず後ろから抱きしめたが、容昊は黙ってその手を引きはがしてしまう。すると容昊はかつて師匠の亡骸が横たわっていた大きな岩を懐かしそうに眺めた。…3万年前、容昊は師匠・赤地女子(セキチジョシ)の亡骸に元神をかろうじて留めることに成功した神仙をよみがえらせることができるのは万物を育む特別な力を持つ息山神女(ショクサンシンニョ)ただ1人しかし息山神女は代々息山を守り、凶神・太歳(タイサイ)を抑え続けて三界を守って来た功績がある何より師匠は息蘭族と懇意で、現息山神女を昔から知っていた容昊は他に手立てがなく、自害して師匠の後を追おうと覚悟したが、その時、どこからともなく不気味な声が聞こえて来る『お前が命を捨てても帰墟(キキョ)の境で会うことは叶わぬ』洞窟に謎の黒い霊が現れた暗黒の霊は容昊に息山神女の元神を奪い、命で命を救えばいいと焚き付ける『水雲天(スイウンテン)の神仙が命を惜しまなければお前の師父が犠牲になる必要などなかったはず 奴らは戦神の死を悲しむどころか戦乱が終わったと歓喜し、そしてまた安逸をむさぼり始めた お前の師匠の死に何の思いも持っていない、孤独と悲しみを味わっているのはお前だけだ』暗黒の霊にそそのかされた容昊は師匠を失った悲しみから魔に落ち、ついに凶行に及んでしまう容昊は息蘭族を襲い、息山神女を引き渡すよう迫った追い詰められた両親は時間を稼ぐため結界を敷き、娘の霊力を封じて記憶も消し、顔かたちも変えて逃すと決める『これからお前はただの精霊となる、たとえ肉親でもお前だと分からないだろう もうこの世から息山神女はいなくなる…』すると息山神女は小さな蘭の種子に変わってしまう容昊は結局、息蘭族を皆殺しにしたが、息山神女を見つけることはできなかった容昊は息山神女の元神を手にいれようとしたが失敗したすると暗黒の霊は祟気(スウキ)で赤地女子の命をつなぎ止め、息山神女が見つかるまで元神を歴劫させて時間を稼ぐよう勧める容昊は暗黒の霊が太歳だと気づいたが、太歳と言えばはるか昔、息蘭族に滅ぼされたはずだったしかし太歳は高笑いし、息蘭族はただ身体を破壊しただけで、息山神女の力で元神をこの砕霊淵(サイレイエン)に閉じ込めただけに過ぎないという『つまり太古から今まで何十万年かかっても息蘭族はお前を滅せぬと?』『私は簡単には死なぬ、しかし祟気(スイキ)がなければ長くはもたぬ』この世で最も邪悪な力と言われる祟気、祟気なら息山神女の清浄な霊力にあがなえるという容昊はようやく太歳の目的が自分に祟気を作らせ、息山神女を殺し、封印を解かせることだと分かった『その者は私の祟気で生きながらえている、私が死ねばその者の元神も灰となるだろう』…容昊は蝶衣にすぐ祟気を集めるよう命じた。しかし今や化魂鼎(カコンテイ)は壊され、蒼鹽海(ソウエンカイ)の内乱も収まって巽風(ソンホウ)とも手が切れている。「もう祟気は手に入りません」すると容昊は自分が何とかすると言った。一方、小蘭花と東方青蒼はそれぞれ謝惋卿(シャワンケイ)と蕭潤に接近、仲良くなった。そこで結黎の計画に従い、いよいよ2人を引き合わせるべく静逸雅軒に誘い出す。酒楼は演舞台のある廊下を挟んで南北に長く伸びており、結黎は右の厢房で小蘭花が謝惋卿を、左の厢房で月尊が蕭潤をそれぞれ接待するよう指示した。謝惋卿は小蘭花に親しみを感じると話し、初めて気が合う友だちができたと喜んだ。「実は色々と話したいことがあるの…」これまで数々の浮き名が立った謝惋卿、しかし心が動く相手はいなかったという。それが元宵節の夜、月明かりの中、風のように現れ、去って行った謎の男が忘れられない。小蘭花は東方青蒼のことだと気づいて動揺したが、想い人を探す手伝いを頼まれ、断れなくなった。東方青蒼は店の前で蕭潤を待っていた。「また賭場だな、浮ついて遊びまわっている、厳しく叱らねば…」觴闕(ショウケツ)はまるで本当の兄弟のような口ぶりだと揶揄したが、そこへようやく蕭潤が現れた。実は人生を左右する大事な決断をしたため遅れたという。何でも蕭潤は前世から縁がある娘と出会い、その娘を娶ると決意していた。東方青蒼はてっきり謝惋卿のことだと誤解、後押しすると約束してしまう。すると蕭潤は自分がいつの間にか描いていた仙女の絵を大きく引き伸ばし、酒楼の演舞台に掛けた。まだ名前も身分も分からないが、手がかりをくれた者に銭10万枚を贈るという。…確かに記憶を消したはずなのになぜ覚えている?…東方青蒼は蕭潤の想い人が小蘭花だと知って怒り心頭だった。しかし励ました手前、協力せざるを得なくなってしまう。「東方兄!褒賞金を借りたい、必ず返す!」「ギギギ…いいだろう、分かった」席に戻った蕭潤は実の兄より東方青蒼に親しみを覚え、義兄弟の契りを結びたいと言い出した。焦った東方青蒼は吉日を選んで準備をしようとごまかしたが、蕭潤は特別なものは必要ないという。こうしてあれよあれよという間に兄弟になってしまった不倶戴天の敵同士。一方、觴闕は結黎と一緒に急いで小蘭花の絵を片付けようとしていた。しかし曲水(キョクスイ)が現れ、邪魔されてしまう。結黎は丹音(タンイン)が蕭潤の従者だと知り、主を思うなら絵を外すべきだと説得した。「下賜品を妓女に贈り、求婚したかと思えば、今度は鹿城(ロクジョウ)一の酒楼で大騒ぎして… 老爺の耳に入ってまた打たれてもいいの?主の幸せを願うならなおさら外すべきよ この絵が町中の噂になったら、かえってこの娘子は会ってくれないかも…」驚いた曲水は慌てて絵を片付けたが、手遅れだと気づいた。「しまった!若君は同じ絵姿を数百枚、城内中に貼れと命じていた!」容昊は蒼鹽海(ソウエンカイ)との境で忘川を眺めていた。そこへ運悪く見回り中の天兵たちが現れる。「容昊仙君ですか?!…やっぱり、以前、命を救われた者です」容昊は咄嗟に負傷した長珩のため、薬草を探しに来たと嘘をついた。すると将軍は自分の兵に協力させると申し出て陣地に案内するという。一方、蕭潤はすっかり酔っ払い、東方青蒼に絡んでいた。「東方兄!分かりますか?想い人がいるのに相手の心が分からず、気持ちを伝えることもできない 東方兄〜東方兄〜東方兄〜!」東方青蒼は蕭潤に手を焼き、酒を取って来ると言って出て行ってしまう。するとちょうど部屋を出た小蘭花と鉢合わせになった。東方青蒼は小蘭花を連れて階下に降りた。「また隠れてあいつと会ったのか?!」驚いた小蘭花は元宵節の夜に会ったのが最後だと否定し、東方青蒼が記憶の抹消に失敗したせいだと言い返す。「もう良い、それにしてもよほど縁が深いのだな!」東方青蒼は嫉妬のあまり嫌みを言ったが、かえって小蘭花に詰め寄られてしまう。「月尊大人?!自分こそどうなの?!元宵節の夜、謝惋卿に何をしたのよ?!」聞けば今や東方青蒼は謝惋卿の想い人、小蘭花は一緒に探す羽目になったという。小蘭花と東方青蒼が痴話喧嘩している頃、2人の帰りが遅いのを心配した蕭潤と謝惋卿が個室を出て探し始めた。「東方兄~!」「蘭花娘子?」2人の声を聞いた小蘭花と東方青蒼は呆然、慌てて別々に逃げたものの、結局、同じ箪笥の中に隠れて鉢合わせになる。思いがけず狭い箪笥の中で密着し、気恥ずかしい小蘭花と東方青蒼。やがて2人の姿が見えなくなると、改めて場所を変えることにした。しかし別々に逃げた小蘭花と東方青蒼は運悪くそれぞれ蕭潤と謝惋卿に見つかってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!モクモクさん!すっかり忘れていたけれど、3話に出て来た太歳だったのね
2023.06.19
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第21話今夜は謝惋卿(シャワンケイ)が運命の相手と巡り合う大事な日。容昊(ヨウコウ)は手負いの身体ながら雲夢澤(ウンムタク)に駆けつけ、師匠のために簫を吹いていた。謝惋卿は初めて聴く音色になぜか懐かしさを覚え、欄干にもたれながらしばし耳を傾ける。一方、東方青蒼(ドンファンチンツァン)は姿を消した小蘭花(シャオランファ)を追っていた。やがて觴闕(ショウケツ)と結黎(ジエリー)に合流、霊力を使えないため手分けして探すしかない。実は小蘭花は東方青蒼が謝惋卿の歴劫を邪魔しに来たと誤解し、急いで飛仙(ヒセン)閣に向かっていた。東方青蒼は高楼の屋根に登って小蘭花を探すことにした。すると偶然にも飛仙閣の露台に立つ謝惋卿の姿を見つける。「刻限か…」その頃、蝶衣(チョウイ)は主の元へ駆けつけ、東方青蒼が鹿城(ロクジョウ)に現れたと報告していた。しかし東方青蒼の目的は師匠の元神、容昊は歴劫を終える花朝の婚礼の晩までは手を出さないと分かっている。「3万年あまり師父の歴劫を見守ってきた… ついに息山神女(ショクサンシンニョ)が見つかり、師父の歴劫も終わる 何事もなくこの生涯が終われば、師父は私と共に帰れるのだ」謝惋卿の運命簿には″元宵節の夜、自害を試みるも蕭郎が止める″とあった。しかし肝心の蕭郎が未だ姿を表さず、東方青蒼は気が気でない。一方、賭場を逃げ出した長珩(チャンハン)の転生・蕭潤(ショウジュン)は飛仙閣まであと少しというところで用心棒に見つかった。小蘭花はちょうど逃げて行く蕭潤の姿を見かけ、咄嗟に追いかける。すると蕭潤は裏道で用心棒たちに追い詰められていた。「玉を出せ!」「…これは渡せない、生まれた時に握っていた物なんだ、銭は返すから!」「やめなさい!」小蘭花は止めに入り、花粉をまいて用心棒たちを眠らせ、蕭潤を救った。謝惋卿は人生に絶望し毒酒を飲もうとした。しかし止めるはずの蕭郎が現れず、東方青蒼はやむなく自ら駆けつけ阻止する。謝惋卿は突然、高楼に現れた男に不思議な縁を感じたが、ふいにうなじの業火(ギョウカ)のあざがうずいた。「前世で会ったことが?あなたは誰?!」驚いた東方青蒼は咄嗟に方術で謝惋卿を眠らせた。その頃、蕭潤は自分を助けてくれた小蘭花に一目惚れしていた。「君とどこかで会ったかな?」「いいえ、人違いでは?」小蘭花は顔を隠しながら逃げ出し、物陰に身を潜めてやり過ごす。しかし蕭潤は小蘭花が夢に出てくるあの仙女だと確信し、飛仙閣へ行かず恩人を追った。東方青蒼は露店の後ろに隠れている小蘭花を見つけた。「お前を案じて探し回っていたが、まさか長珩と密会していたとは…」実は東方青蒼はすでに飛仙閣の宴で長珩に気づいていた。しかし小蘭花が自分の骨蘭を宝物だと言ってくれたため、小蘭花を信じて知らないふりをしたという。小蘭花は確かに東方青蒼を騙したと認めたが、お互い様だと開き直った。「ならあなたはどう?先の戦神の元神を奪いに来たくせに!」「なぜそれを?!結黎か?」「違う、命格(メイカク)詩を読めばだいたい見当はつくわ」すると東方青蒼は小蘭花が自分に付き添うためではなく、初めから長珩に会うために来たのだと誤解してしまう。「ならば人間のうちにあいつを始末してやる!」「ダメよ!長珩仙君は蕭郎よ!」「何だって?!」東方青蒼は蕭郎が蕭潤だと知り、小蘭花と出会ったせいで飛仙閣に現れなかったと分かった。「私が止めなければ謝惋卿は死んでいたんだぞ?!」「何ですって?あなたが謝惋卿の自害を止めたの?!関わったら運命が変わるわ! オワタオワタ___詩の通りにならないと歴劫は失敗、元神が灰になてしまう!」東方青蒼は蕭家に忍び込んだ。するとちょうど曲水(キョクスイ)がやって来る。「誰だ?!」「そなた…確か丹音(タンイン)と言ったな?」曲水は慌てて助けを呼んだが、東方青蒼が指を鳴らすと卒倒してしまう。そこへ悲鳴を聞いた蕭潤が駆けつけた。「私もお前も共に鹿城に来るとは縁があるな…」「はあ?」東方青蒼は蕭潤も眠らせ、小蘭花と出会った記憶を引っ張り出して消しておいた。東方青蒼が屋敷に戻ってきた。無事に蕭潤から記憶を消すことができたと聞いた小蘭花は安堵したが、根本的な解決にはならない。歴劫では2人が婚姻し、謝惋卿は蕭郎に殺される運命だった。そのためにはまずすれ違った謝惋卿と蕭潤を引き合わせなくてはならない。すると結黎が人間の出会いは自然なもので、無理に会わせるのは駄目だと言った。「月尊と觴闕は蕭潤に、私と小蘭花は謝惋卿に近づくの」「…じゃあそうしましょう」觴闕はまだ分からないことがあって質問しようとした。しかし結黎は月尊と小蘭花を2人だけにするため、強引に連れて行ってしまう。東方青蒼は気まずくなって席を立ったが、小蘭花は話があると止めた。翌朝、謝惋卿が目を覚ますと寝台にいた。確かに昨夜、誰かと会った気がするが、侍女は酔って夢を見たのだという。「そうだ、試玉(シギョク)軒の崔(サイ)様から招き状です、10日後に探春の宴を開くと…」謝惋卿は断るよう頼んだが、急に気が変わった。「鹿城一の庭師を呼んで」一方、蕭潤と曲水もようやく中庭で目を覚ました。すでに朝だと気づいた蕭潤は大慌て、曲水を急かして学問所へ行く準備に戻る。すると書斎の机の上に美しい仙女の絵があった。「これは?」「昨夜、自分で描いたでしょう?!」謝惋卿は金陵で花の仙女にも劣らないと評判の小蘭花を招いた。するとこれまでどんな庭師でも花を咲かせることができなかった牡丹の王様・烏金耀輝(ウキンヨウキ)が小蘭花の手入れでついにつぼみを付ける。謝惋卿は小蘭花を絶賛、探春の宴に招待した。一方、東方青蒼は蕭潤に近づくため学問所に編入、学友になった。蕭潤は夜渓(ヤケイ)楼を1箱の金子で買った噂の金陵の富豪だと大喜び、隣の席に座った東方青蒼に馴れ馴れしく話しかける。すると先生が激怒、教室の外で2人とも立たされてしまう。蕭潤は従者の曲水と觴闕を残し、東方青蒼と2人で学問所を抜け出すことにした。「東方兄、西の広場で蹴鞠があるんだ、見に行かないか?」「講義中ゆえ門は閉まっている」「私に妙案がある!」すると蕭潤は犬の通り道になっている壁の穴から脱出、東方青蒼を急かして腕をつかみ、引っ張り出した。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)<何ということだ…長珩に手を引かれ、犬の抜け穴を通ってしまった…しかし運悪くそこへ別の先生がやって来た。蕭潤は咄嗟に東方青蒼は自分を止めようとしたとかばったが、思いがけず東方青蒼がこの状況を打破してくれる。「いや、私が無理に誘ったのだ」そこで東方青蒼はいきなり先生にめくらましを放ち、蕭潤を連れて逃げ出した。↓( ゚ロ゚)」東方兄!早く早く!東方青蒼と蕭潤は蹴鞠に参加、見事に赤組を勝利に導いた。「まさか東方兄がこんなに上手いとは!」「…蹴鞠の技は幼い頃、父から教わった」「へえ〜うちの親父は″遊ばず、学び、名を上げろ″と言うばかりだよ」「私は名を上げることに興味はない、蹴鞠はこの世で最高のものだ」「その通り!」蕭潤は東方青蒼が不倶戴天の敵だとも知らず、すっかり心酔した。その時、東方青蒼はあの夜の小蘭花の話を思い出す。…あなたに話があるの、友だちになったらしかめっ面はだめよ?…何と答えるか分からない時は笑って…巽風(ソンホウ)と仲直りする時、教えたでしょう?すると東方青蒼は口角を上げて蕭潤に笑顔を見せた。つづく( ๑≧ꇴ≦)長珩www腹痛いわwwwww
2023.06.18
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第2話「したたかな母上」凱旋早々、参内せずに嫌疑人を追跡していた凌不疑(リンブーイー)。その夜、ようやく皇帝への挨拶を終えると、側近の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が待っていた。「陛下に責められましたか?」「まさか、若主公は陛下の″義子″だぞ?」皇帝は参内の件を凱旋で帳消しにしてくれたが、兵器の事案は様子を見るという。しかしこのまま手をこまねいている凌不疑ではなかった。「兵器の横流しは長年の懸案、一刻を争う」凌不疑たちは帰りの道すがら城陽(ジョウヨウ)侯府を通りかかった。梁邱起は帰還後まだ挨拶していないと声をかけ、外征中も朝廷で不孝だと陰口を叩かれたらしいと心配する。しかし凌不疑は馬を止めることもなく、屋敷の前を通り過ぎた。「これ以上、罪状を増やされたから何だ」一方、程(チォン)家では老夫人董(ドン)氏の弟が武器の横流しで捕まり大騒ぎだった。老夫人と仲(チュウ)夫人葛(ゴー)氏は釈放を働きかけるべきだと程始(チァンシー)に迫るが、軍法で処置されるため無理だと突っぱねられてしまう。葛氏は掃除が終わっていないと言い訳して母屋を開け渡さなかった。蕭元漪(シャオユエンイー)を敵視し、兄夫婦を娘がいる離れに追いやる葛氏、しかし蕭元漪は文句も言わず素直に従う。一方、程少商(チァンシャオシャン)は具合が悪いふりをして薄幸な娘を演じていた。その時、回廊から母と青蓯(チンツォン)の話が聞こえてくる。どうやら父は娘の惨めな境遇に同情的だが、母は手強そうだ。…母上は鋭い、私の芝居を見抜いたのかも?…実は蕭元漪は帰還を半月遅めに伝え、老夫人たちに不意打ちを食らわせていた。思った通り老夫人たちは自分への恨みを娘で晴らしていたのだろう。「十数年も娘を放任したせいで手遅れになるやも、しかと躾けて性根を叩き直さないと…」少商は自分の境遇に気づいていながら放置し、虐げた者を成敗せず自分を躾けると言う母に失望した。…やはり当てにできるのは自分だけね…凌不疑は程家を監視させていた。あの日、捜査を妨害したのは程家二房の李(リー)老婢で、老夫人は弟を売った四娘子(スーニャンズー)に激怒しているという。すると廷尉獄(テイイゴク)に程家の四娘子から荷物が届いた。中には藁と布切れが入っていたが、凌不疑はその意味を悟って直ちに葛氏布荘を捜索、帳簿の問題を見つける。「実に面白い」凌不疑は程少商のこと、とっくに己の退路を見つけていると踏んだ。程老夫人は弟を救うため葛氏と董舅母と示し合わせ、中庭で死にたいと騒ぎ始めた。何事かと慌てて駆けつける程始と蕭元漪、その様子を少商は蓮房(リエンファン)と一緒に上階から面白そうに眺めている。しかし父も百戦錬磨の大将軍、祖母の猿芝居には騙されないだろう。少商の予想通り父はその場にひざまずき、母より大声で自分には舅父を助ける力もないと号泣した。「救わないのではなく救えないのです!凌不疑は鉄面閻魔ですよ?! 私が功績をあげていなければ連座になっていました!」さすがは母子、芸風も良く似ていたが、老夫人はついに泣き芸を諦めて逆切れした。「いいわ、ならお前が背いたと御前に訴えてやる!陛下は何より孝道を重んじるとか…」すると黙って見守っていた蕭元漪が口をはさんだ。「君姑、親に背くことは大罪、息子を流刑や斬首にするおつもりですか?!」そこまで大事だと知らなかった老夫人は再び泣き崩れ、流石に蕭元漪も呆れ果てる。その時、蕭元漪は静養しているはずの娘が回廊から盗み見ていることに気づいた。高みの見物を決め込んでいた少商、しかし回廊に母が現れた。少商は急に咳き込んでごまかしたが、両親が戻ってかえって自由が利かなくなったとこぼす。「厳しい母親でも意地悪な叔母よりはいいのでは?女君も女公子を思ってのことです」しかし蓮房の言葉も慰めにはならなかった。一方、少商のおかげで証拠を得た凌不疑は董倉管(ソウカン)を尋問した。董舅父は何とか言い逃れしようとしたが、拷問の恐怖から観念、全て白状するという。その頃、老夫人に手を焼いた蕭元漪は胡(フー)婆を呼び寄せた。親友と再会を果たした老夫人は今生で会えるとは思わなかったと涙し、抱き合って喜ぶ。すると胡婆は外地で賊に襲われたところを程始に救われたと話し、その時、粗末な矛が折れたので敵の刀を奪って守ってくれたと説明した。「戦場では刀や剣は将士の命なのに、あくどい奴らが良い武器を粗末な武器とすり替えている 全く良心の欠片もない!」胡婆は蕭元漪に言われた通り老夫人に訴えた。董舅母は何も知らずに義姉を訪ねた。すると老夫人の態度は一変、董家のために程家を犠牲にはできないという。「昨日、煙突から煙が出ないから変だと思い、道士にお告げを聞いたの そうしたら程家は親族に巻き込まれ先が危ういと言われたわ 道士は正しかった、二房の布荘まで差し押さえられて、お前たちのせいよ!」老夫人は董舅母を2度と屋敷に入れるなと命じて追い出したが、それから部屋にこもって食事にも出てこなくなてしまう。その夜、程始は母に点心を差し入れた。ようやく息子の優しさに触れた老夫人は機嫌を直したが、なぜ葛氏の嫁荷を蕭家の家計に回したのかとこぼす。程始は嫁荷の行方は知らないが、さすがに誤解だと否定した。「蕭元漪が嫁ぐのは2度目だよ?家財も全部、抵当に入れた、そんなに大切なのかい?」「もちろんです!」すると程始はあろうことか早くに父を失くした母に再嫁を勧め、怒らせてしまう。少商は老夫人の部屋を見下ろしながら、父がどうやら祖母を怒らせたのだと分かった。「母上のほうが上手ね…夫君に戦わせて自分は牙を隠している」「つまり全ては私の計画だと?」その声は蕭元漪だった。すると蕭元漪は盗み聞きし悪意ある憶測をしたと叱責、戒尺で少商の手を打ってしまう。「明日から礼記(ライキ)を書写しなさい、それまで外出禁止よ」少商は父と灯会に行く約束だと訴えたが、蕭元漪は認めなかった。少商は母が戒尺を持って自分の粗探しに来たと誤解した。しかし″母と子の道″など自分には無縁、悲しむ必要もない。一方、蕭元漪は程始が老夫人に再嫁を勧めたと聞いて驚いていた。「叩かれて当然よ!私がもう一度、叩くべきね!」程始は笑い飛ばしたが、蕭元漪は娘の人騒がせな才能が息子以上だと訴える。実は昨日、煙突から煙が出なかったのは娘の仕業だった。祖母の迷信深さを知っていた少商は密かに煙道を変え、天のお告げだと吹き込んでいたという。「おおお~嫋嫋(ニャオニャオ)は聡明だな、煙突にも詳しい」「かばうの?!私の配下だったら軍棍(グンコン)の刑よ!」興奮した蕭元漪は慌てて口をつぐみ、娘に仕置きしたことを思い出した。本当は身体に合わない衣を着ている娘のために何着か作ろうと思い立ったが、まさか物差しで罰を与えることになろうとは。「間違った選択をして嫋嫋はあんな子に育ってしまった…もう間違えられない 甘やかせば娘の一生を誤らせるわ」つづく(  ̄꒳ ̄)え?ガリレオ?w〓通称多過ぎ問題〓程少商→嫋嫋・四娘子・女公子程始→家主・大郎・阿父蕭元漪→女君・阿母程老太太→老夫人・君姑・大母二房(次男の家)葛氏→仲(2番目)夫人・二叔母
2023.06.17
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第1話「掟破りの四娘子」早朝の洛陽(ラクヨウ)、まだ静まり返った都に伝令兵が馬を駆けて飛び込んできた。「隴右(ロウユウ)にて勝利!大軍が凱旋!」前将軍・凌不疑(リンブーイー)たちは城門で盛大に迎えられ、早速、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)が皇帝の詔を読み上げる。凌不疑は光禄勲副尉(コウロククンフクイ)に任じられ羽林(ウリン)衛左騎(サキ)営の統領に、他にも北軍五校の越騎尉(エツキイ)の統括、侍中(ジチュウ)に昇格した。すると曹常侍が皇帝が賜った礼服を差し出し、すぐ宴に向かうよう勧める。しかし凌不疑は下賜された外套をまとい、再び馬にまたがってしまう。「急な報告を受けたため、処理を終えてから伺います…出発だ」凌不疑は高台から片田舎の家の前に止まった馬車を見つめていた。「捕らえますか?」「…慌てるな」その家には程(チォン)家の四娘子(スーニャンズー)こと少商(シャオシャン)がいた。少商は戦乱により幼い頃から両親と離れ離れ、祖母や叔母の元で育てられる。しかし祖母と叔母に疎まれ、事あるごとにこの別宅に放り込まれていた。今回は置き去りにされて1ヶ月、ここ数日は熱を出していたが、医者も呼んでくれない。それがどういう風の吹き回しか、突然、李(リー)老婢が差し入れを持って迎えにやって来た。一方、洛陽では程家の老夫人・董(ドン)氏が息子の帰りを楽しみに待っていた。しかし仲夫人・葛(ゴー)氏は兄夫婦に少商を追い出しことがバレるのではないかと冷や冷やしている。老夫人は四娘子ならすでに迎えに行かせたと安心させたが、驚いたことに息子夫婦が予定より早く帰ってきた。四娘子のことも忘れて再会を喜ぶ老夫人、すると程始(チァンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の出迎えがないことに気づく。「嫋嫋(ニャオニャオ)は?」「はっ!ぁ〜それが〜あの子は〜ここにはいないの」少商は無礼な李老婢を上手くあしらい馬車に乗り込んだ。その時、偶然にも車から藁ぐまへ向かう足跡があることに気づく。すると侍女・蓮房(リエンファン)が車の中がやけに汗臭いと訴えた。少商は確かに何日も湯あみをしていない男の臭いだという。馬車が出発すると突然、黒甲衛(コクコウエイ)が立ちふさがった。「朝廷の命で賊を捕捉する、誰か、馬車を捜索せよ」驚いた李老婢は車に乗っているのが程校尉の四娘子だと教え、未婚の娘の車を男が捜索することは許されないという。しかし車から娘子の声が聞こえた。「武将の家族なら命に従わなくては…ただ捜索の前に将軍にお話があります」そこで凌不疑は馬を車の横につけた。すると窓から真っ白で華奢な手が現れ、来た道を指差す。「うちの藁ぐまの方が面白いかと…火でもついたら人が飛び出してくるやもしれません」驚いた李老婢は慌てて止めようとしたが、黒甲衛の1人が松明を持って飛び出してしまう。藁ぐまに火がつくと、たまりかねた男が飛び出してきた。凌不疑は馬車を行かせて男を捕らえたが、連行された男が程校尉の実の舅父(キュウフ)だと分かる。つまり馬車に乗っていた四娘子は自分の大叔父を引き渡したというのか。一方、少商は馬車に揺られながら両親があと半月で帰還すると聞いた。蓮房はこれで主も虐げられずに済むと安堵したが、少商は自分を捨てた両親に期待などしていない。その頃、捕縛された董舅父は程少商を長幼の序も分からないとんだ性悪だと嘆いていた。「程少商か…」凌不疑は馬車を見送りながら、顔も知らない四娘子に興味を持った。程家では老夫人が息子夫婦に事情を説明していた。四娘子は強情な性格なため、田舎に送ったのも躾のためだったという。その時、李老婢が慌てて屋敷に飛び込んできた。「大変です!一大事です!母親の躾もなっていない四娘子が董舅爺を大変な目に~!」「誰の娘ですって?!」憤慨した蕭元漪が出てくると、李老婢はすでに家主が戻ったと知って卒倒してしまう。すると少商が門から入ってきた。「阿父、阿母…やっとお戻りになったのですね」しかし娘はすっかりやつれ、身なりもひどく、激しく咳き込んでいた。この15年、外地で国を守っている間、娘はてっきり都で何不自由なく過ごしていると思っていたが、まさかこんな惨めな境遇だったとは…。程始は娘を虐げた老婢を薪小屋に入れるよう命じた。驚いた葛氏は咄嗟に君姑に合図、すると老夫人が息子の同情を引くため倒れたふりをする。…その程度の芝居?…そこで少商も負けじと卒倒した。程始は迷わず娘を助け、母を置きざりにして少商を連れて屋敷に入ってしまう。しかし蕭元漪は娘が父の腕に抱かれながら、うっすら片目を明けて二叔母を挑発している嫋嫋を見逃さなかった。四娘子を虐げてきた老夫人は何とか取り繕うと必死だった。そもそもこの十数年、両親が娘を放っている間、自分たちが赤子を育ててきたという。しかし蕭元漪の従者で義姉妹・青蓯(チンツォン)が反発した。「赤子を捨てたい母親がいるとでも?…誰かが強いたからです」老夫人は憤慨したが、程始は確かに親孝行のため娘を残したのに、まるで自分たちが押し付けたような言い草だと嘆く。焦った葛氏は普段の四娘子は悪たれで手が負えず、そのせいで君姑が怒りから具合が悪くなったと訴えた。少商は寝たふりをして聞いていたが、形勢が悪くなりそうで目を覚ます。「ご心配をおかけしました、物心がついて以来、初めて両親と会えました 礼をもってお迎えしなくてはならないのに…私はふつつか者です、二叔母が罰して当然なのです」娘の殊勝な姿に程始は胸を痛めた。すっかり悪者にされた老夫人はそもそも嫁のせいだと八つ当たり、蕭元漪が来てから息子は何でも言いなりだと涙する。「はあ~怒りで息が詰まりそう~どこかで呼吸を整えなければ~」実は老夫人は再嫁の蕭元漪を毛嫌いしていた。少商は薄目を明けて部屋を出て行く祖母と二叔母の姿を盗み見ていた。蕭元漪はそんな娘の様子に気づいていたが、母らしい優しい言葉をかける。「嫋嫋、ゆっくり休みなさい、厨房には好物を作らせておくから」「…私の好物をご存じなのですか?」蕭元漪は返す言葉もなかったが、その時、使用人が慌てて飛び込んできた。「家主、大変です、黒甲衛が来て包囲されました!」程始と蕭元漪は一目見てあの誉れ高き無敵の凌将軍だと分かった。凌不疑の話では朝廷の命で武器を着服した者を捕らえたが、その際、程校尉の家族を驚かせてしまったという。そんな中庭の様子を少商は上階からのぞき見していた。「今日、董大叔父を捕らえた人かしら?目的は私かも…」武器を着服した嫌疑人は老夫人の弟で程始の舅父の董倉管(ソウカン)だった。「功績が高かろうと国をむしばむ行為は徹底的に調査します」凌不疑は程校尉に報告して屋敷を出ると、上階から視線を感じて四娘子が見ていると勘づく。そこで帰り際、四娘子の協力に感謝していると伝えた。蓮房は主がお咎めを受けるどころか誉められていると安堵したが、少商は将軍が自分を遠回しに非難していると気づく。「忠義が先立つ?つまり不孝ってことね… 年長を恐れないですって?…言い換えれば不敬ってことよ 私が廷尉府の拷問役のようって、つまり過酷で女らしからぬってことだわ 凌不疑…上等ね、恩を仇で返すなんて、道義にもとる」つづく(  ̄꒳ ̄)いや〜ルースー、相変わらず上手いわ〜さてウーレイが出てくるまで続くかな…w
2023.06.16
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梦华录 A Dream of Splendor最終話「それぞれの願い」顧千帆(コチェンファン)は皇后・劉婉(リュウエン)と接触し、忠誠を誓う代わりに趙盼児(チョウパンアール)を見逃して欲しいと訴えた。しかし皇后から欧陽旭(オウヨウキョク)への訴えを取り下げさせるよう迫られ拒否、交渉は決裂する。「…悪いけど力にはなれないわ」顧千帆は咄嗟に皇后に短剣を突きつけ、パンRが助かるなら命も売り渡す覚悟だと脅した。「私は裁きへの干渉を求めているのではない、同じ女子であるパンRに機会を与えてやって欲しい その後は勝とうが負けようが恨み言は申しません」「いいでしょう」すると顧千帆は去り際、真実を明かした。「陛下の手元にある夜宴図は真作です、パンRが贋作だと示唆したゆえ、あなたは難を逃れた」何も知らなかった劉婉は驚愕した。聞けばパンRは賎民のままならぬ辛さなら自分も良く分かると共感し、皇后を助けたという。顧千帆はパンRが欧陽旭を訴えたのも、皇后が斉牧(サイボク)からの侮辱に耐えられなくなったことと同じだと話した。パンRはなかなか意識が戻らず、皆を心配させた。しかしパンRの気概に感銘を受けた高鵠(コウコク)が太宗から下賜された妙薬を届けてくれる。顧千帆は高観察を信じ、薬を砕いてからパンRに口移しで飲ませた。するとついにパンRが目を覚ます。一方、劉婉は皇帝や顧千帆の話を噛みしめながら、ようやく自分の過ちに気づいていた。「陛下に謁見したいと伝えて」皇后はパンRに再び機会を与えた。そこで皇帝は公平を期すべく長官を交代させ、審理を公開とする。パンRは重い身体をひきずりながら再び登聞鼓院(トウブンコイン)へ出廷し、早速、杖刑(ジョウケイ)の続きを受けることになった。しかしそこへ伝令官として崔(サイ)内侍が駆けつけ、聖旨を伝える。「皇后の誕辰を祝い、本日より女子に対する杖刑以下の罰は銭で免除できるものとする…ちんつー」顧千帆たちは急いで門で見守っている葛招娣(カツショウテイ)と陳廉(チンレン)に銭を集めろと指示した。「30貫だ!」すると集まっていた民衆がパンRのために寄付してくれる。その中には開封府の前でパンRを蔑んだ男たちもいた。パンRは30貫と引き換えに残りの杖刑を免れた。欧陽旭は皇后が助けてくれると信じて出廷し、依然として婚約破棄を否認する。証書はとうに破棄し、結納品もなく、婚約を証明する物などないはずだ。パンR側の証人・孫三娘(ソンサンニャン)は身内も同然、また杜長風(トチョウフウ)も今や孫氏の許嫁のため、2人の証言は信頼性に欠ける。「確かに酒によって婚姻をほのめかしたことがありました、過ちは認めます なれど男側からの婚約破棄は容赦されるかと…」欧陽旭は誠意を示してパンRに謝罪したが、パンRは偽りの謝罪など必要ないと冷ややかだった。「欧陽旭、訴状をしっかり読んだ?婚約破棄は訴えの一部、問題は私を中傷したことよ?」三娘は婚約祝いに家宝の硯(スズリ)を欧陽旭に贈ったと証言した。返還を求めたがすげなく追い返され、用心棒に都から追い出されそうになったという。しかし欧陽旭が離京前にすべての身代を質入れしたため、硯を見つけることができた。池蟠(チハン)は質札と硯を証拠として提出、硯には確かに三娘が説明した通り表に文言、裏には″孫″と表記があり、質札の契約人は欧陽旭となっている。パンRは婚約する前から欧陽旭が自分から再三、銭を借りながら返済を拒んだと訴えた。「だまし取りは窃盗と同罪のはず、5貫以上は斬首となります」その時、つい立ての裏で審理を聞いていた皇帝は、激怒してうっかり椅子を叩いてしまう。長官は咳払いして慌てて誤魔化したが、顧千帆は皇帝の存在に薄々、勘付いた。皇帝は皇后と一緒に審理を見守っていた。「…皇上、先日は私が悪うございました」「長年、連れ添った夫婦ではないか、幸いにもまだ取り返しがつく」「でも斉牧を許すことはできません」「私が群臣の反対を押し切ってそなたを立后したのは、野心あふれる有能な女子だったからだ(コソッ)知っての通り私は決して知慮に富む賢君ではない… そなたを好いたのは己にないものを持っていたからだ よいな?これからは天下の民の噂話に耐え得るような手立てを取れ この大宋はそなたの家でもあるのだ」欧陽旭は思わぬ証拠に動揺し、硯の件は失念しただけだと釈明した。「これは趙盼児の報復行為だ!君はなぜこんな下劣なことを…」「あの日の発言に感謝するわ」開封府で訴えを差し戻された後、パンRは帰り際、自分の訴えを受け止める勇気もないのかと欧陽旭を非難した。すると欧陽旭は勝ち誇ったように刑法と慣習は全く別物だと言ったという。「それを聞いて悟ったわ、婚約破棄では断罪できないとね… 欧陽旭、私はあなたを地獄へ送る、あなたが私の首を締めたようにね」「何の話だ?…首など締めていないぞ!そんな証拠はあるはずない!」焦った欧陽旭は従者に助けを求めようとしたが、すでに従者は姿を消していた。その時、証拠集めに奔走していた宋引章(ソウインショウ)が駆けつける。「証拠ならありまーす!」欧陽旭の侍従・淑徳(シュクトク)と書生・子明(シメイ)は賊に殺されたことになっていた。実は子明の屍(シカバネ)から″歩虚韵(ホキョイン)″という楽譜が見つかっていたが、確認した引章は楽譜の奇妙な点に気づいたという。「これは道家の祭事で演奏される音曲で、書生は道教の修行者でした しかし歩虚詞と工尺譜(コウシャクフ)が一致していないのです そこで奇妙な箇所だけを横に読んでみると、ある文章が現れました、″欧陽旭が私を殺した″と…」驚いた皇帝はまた椅子を叩きそうになったが、すんでのところでこらえた。楽譜の裏には″紫陽観(シヨウカン)″という文字もあった。そこで引章は欧陽宅の近くに建つ紫陽観を捜索、すると座蒲(ザフ)の下から書生の遺書を発見する。「欧陽旭は侍従を死に至らしめ、大金で刺客を雇い、趙氏を殺そうとしたと… それを目の当たりにした書生は口封じに殺されると思い、楽譜に暗号を記したのです 欧陽旭は音律を知らぬため、気づかれません」酒楼組合へ向かっていたパンRたちを襲った黒幕は欧陽旭だった。欧陽旭は激しく取り乱し、捕らわれまいと暴れ出した。するとついに皇帝と皇后が姿を現す。欧陽旭は全て聞かれていたと知り呆然、その場にへたり込んだ。「欧陽旭の官職を全て剥奪し、詔獄(ショウゴク)へ…いいや、皇城司の獄へ収監せよ! 顧千帆、朕に代わりしっかり取り調べてくれ」皇帝は趙氏、孫氏、宋氏の功績を認め、何でも望みを叶えることにした。「孫氏、言ってみよ」「わっ!私ですか?!…私は永安楼の新作料理を召し上がって頂ければ十分です 願わくば誥命(コウメイ)夫人の衣を賜りたく、栄に浴することができましたら、この上ない幸せです」「許そう」今や立派に自立した引章は、これを機に登聞鼓院が常に開かれ、杖刑が減ることを望むと嘆願した。皇帝はさすが″風骨″の文字を授かっただけのことはあると感心し、許可するという。皇帝は最後にパンRの望みを聞くことにした。するとパンRはいきなり3度ほど叩頭し、政に口を出す無礼を謝罪する。「私は父の罪により楽妓となりました…父は民を救ったがゆえに死んだのです 宋氏は官妓の家の出ですが、世塵(セジン)にまみれることなく、琵琶に邁進しています そんな私たちは欧陽旭より卑しいでしょうか?」パンRは賎民が決して卑しくないと証明するため欧陽旭を訴えたと説明した。男女を問わず一度、賎民になれば容易に抜け出すことはできず、一生、世間から見下されてしまう。パンRは楽師や職人、奴婢の家に生まれた者を賎民である苦しみから解き放って欲しいと涙ながらに嘆願した。良賎制は秦漢(シンカン)期に始まった。皇帝も改めたいと思っていたが、天下の大業ゆえ、代々の帝王が徐々に進める必要があるという。「では今日はまず1つだけ定めるとしよう… 今後、教坊司の優秀な楽師や職人に内侍省翰林院の職を授けるものとする つまり官吏だ、当然ながら賎民ではなくなる また国に貢献し、善行を積んできた官奴婢と私奴婢に対しては上奏を許可する 朝廷が適切に取り計らおう」そして皇帝もこの日をきっかけに堂々と劉婉を伴って朝議に向かった。永安楼では宋引章の琵琶を聞こうと多くの客が集まった。その様子を池蟠は上階から幸せそうに眺めている。一方、三娘は夢を叶え、杜長風との婚儀で鳳凰冠をかぶり、礼服を着た。傅子方(フシホウ)は母の新たな門出を喜び、仲睦まじい陳廉と招娣も2人を祝福する。こうして紆余曲折を経て幸せをつかんだパンR。顧千帆は愛するパンRが嫁いでくれる日を待ちながら、今日もパンRに付き添っていた。終わり無事に完走しました!中国ドラマにハマるきっかけがパンR演じるリウイーフェイが出演した武侠ドラマ金庸の女神と言われたイーフェイが久しぶりにドラマ復帰した作品でしたが、期待が大きすぎたせいか、ちょっとこれじゃない感が…ともあれ私の愚痴を聞きながら最後までお付き合いくださった皆様、ありがとうございましたw
2023.06.14
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梦华录 A Dream of Splendor第39話「決死の直訴」何としてでも都に留まりたい欧陽旭(オウヨウキョク)は皇后に寝返った。秘密を知った趙盼児(チョウパンアール)は欧陽旭に殺されそうになったが、駆けつけた陳廉(チンレン)に救われる。陳廉はパンRを無事に送り届けたが、皇后は決して自分たちを見逃さないと警告した。しかしパンRは必死で抗えば機会が生まれるかもしれないという。「蕭謂(ショウイ)が言っていたの、人が多い場所なら手は出せないと…」翌朝、雷敬(ライケイ)や高慧(コウケイ)の陳情を聞いた皇帝は蕭欽言(ショウキンゲン)を参内させるよう命じ、顧千帆(コチェンファン)の釈放を決めた。都虞候(トグコウ)・張允(チョウイン)の態度は一変、顧千帆への拷問を謝罪し、耳に良く効く薬を持たせて見送る。顧千帆は真っ先に桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけたが応答はなく、慌てて永安楼へ向かった。すると池蟠(チハン)からパンRが欧陽旭を訴えるため開封府へ行ったと知る。一方、欧陽旭は皇后の従者に昨夜の一件を報告していた。「深夜の上、大理寺の見張りもいたので使いを出せませんでした 皇后にパンRを始末するようお伝えください、さもなくば…」その時、屋敷に開封府から審理の通達が届いた。どうやらパンRは騒ぎを大きくして自分に手出しさせないつもりだろう。欧陽旭は動揺したが、従者はすぐさま審理を非公開にするよう手を回すことにした。「恐れるな、そもそも趙盼児は訴えることができない」審理は一方的に非公開となり、開封府の門は固く閉じられた。そんな不公正な中、パンRは欧陽旭が自分との婚約を一方的に破棄し妾になれと強要、断ると中傷を受けたと訴える。「物証も揃っています」すると欧陽旭はそもそもパンRに自分を訴える資格はないと伝えた。「趙氏の籍は銭塘(セントウ)、私は赴任地の新州にあります」長官はパンRが東京に移ってまだ1年経っていないと確認、確かに開封府の所轄ではないと退けた。「銭塘で改めて訴えよ」パンRが開封府を出ると正門で顧千帆が待っていた。思わず顧千帆に抱きついて喜ぶパンR、耳の怪我も幸い大した傷ではなかったという。すると野次馬たちはやはり探花の欧陽旭が勝ったと噂し、妓女だった女なら婚約破棄も仕方ないと見下した。これが世間というものだろう。自分が賎民の女子というだけで、人は善悪の区別もせず欧陽旭の側に立つのだ。「欧陽旭を訴えたのは千帆を救うためだった、でもこれからは自分の名誉挽回のために訴える 欧陽旭を法で罰してやるわ」顧千帆はパンRを応援すると励ました。陳廉は慌てて欧陽旭の後ろ盾が皇后だと教えたが、顧千帆はこの機会に欧陽旭こそ裏切者だと皇帝に知らしめるという。「やられたらやり返す、私のために来てくれたのだ、今度は私がパンRを助けなければ…」その時、見知らぬ書堂が声をかけた。「趙娘子、東京でもまだ訴状は出せます、少々、難しいですが…」実は景徳(ケイトク)年間、闕門(ケツモン)の外に官民の訴えを受理する登聞鼓院(トウブンコイン)が設置された。ここでの民の訴えは直接、皇帝に届くという。しかし朝廷のお達しで登聞鼓院が受理する案件は賂(マイナイ)や恐喝、殺人などの罪だけ、他の事案は通常、県から州へ順番に上告する必要があった。「…あとは越訴(オッソ)だ」パンRは登聞鼓院の太鼓を打ち鳴らした。しばらくぶりに鳴り響く太鼓の音、すると力自慢の孫三娘(ソンサンニャン)が途中で代わり、力の限りばちを振り下ろす。「訴えたのは誰だ?!」長官は訴状を受け取ったものの越訴であると分かった。越訴の場合、掟に従って訴人は杖刑20回を先に受けなければならない。それでもパンRは欧陽旭を訴えると譲らなかった。「そなたが勝訴しても私が与えられる罰はせいぜい結納品の返還だが?」「それでも構いません」パンRはどちらにしても高官が″八議(ハチギ)の法″で守られ、懲罰を減免されると知っていた。しかしパンRは自分が軽薄な女ではなく、欧陽旭こそ徳を欠いたえせ君子だと証明したいという。皇帝は太鼓を打ったのが趙盼児だと聞いて驚いた。すると皇后・劉婉(リュウエン)が駆けつけ、パンRを殺すべきだと進言する。大理寺の調べで欧陽旭を襲ったのは蕭欽言(ショウキンゲン)ではなく斉牧(サイボク)だと分かったが、審理が始まる直前になってパンRが欧陽旭を訴え出るとは怪しい。「そもそもなぜ今頃になって訴えるのでしょう? これも欧陽旭の名誉を傷つけ、大理寺への印象を悪くするためです 清流派は蕭欽言や顧千帆と結託したのでしょう、そしてパンRを味方につけたのです 皇上、今回ばかりは我慢なりません!」劉婉はこれ以上、夜宴図に悩まされるのはご免だと訴え、思わず涙ぐんだ。「皇上、お願いです! 大理寺には厳正に審理させ、欧陽旭殺害を企てたのが斉牧だと究明してください!」登聞鼓院での審理の日、空は暗雲が垂れ込め、冷たい雨になった。長官は改めて越訴の場合、訴えの乱発を防ぐため先に杖刑を受けてから審理に入る掟だと確認、執行の札を投げる。こうしてパンRは前庭に用意された執行台に乗った。目をそらさずパンRを見つめる顧千帆、しかし三娘と宋引章(ソウインショウ)は思わず目を背けてしまう。門では池蟠(チハン)たちが心配そうに見守っていた。すると4回目を打たれた時、パンRは激しく血を吐き出し、6回目で気を失ってしまう。欧陽旭はその姿を見ながら、まるで何かに取り憑かれたように呟いていた。「打て…いいざまだ…殺せ…」顧千帆たちは思わず執行人を邪魔してパンRを守った。長官は法廷への介入は大罪だと激怒したが、顧千帆は皇后が裏で手を回したのだと気づく。「杖刑とは臀(デン)杖で脊(セキ)杖ではない!こんな重刑を科し、趙氏を殺して口封じするつもりか!」驚いた長官は侮辱罪で顧千帆を捕らえるよう命じたが、顧千帆は公平性に欠けるとしてパンRを抱えて帰ってしまう。池蟠たちは何が起きたのか分からなかったが、ともかく急いで道を開けさせた。すると引章が悪徳官吏が勝手に脊杖に変えたと暴露する。「脊杖20回とは流刑になる者の罰だぞ?!」文人である濁石(ダクセキ)と袁屯田(エントンデン)は驚愕した。まさか冤罪を晴らすための場所で長官が訴人を殺そうとするとは…。「この世の公正はどこにある?!行こう!上申するぞ!」皇帝は御花園で偶然、女官たちの噂話を耳にした。「何の話だ、聞かせてくれ」「安陽殿の女官から聞いたのです、永安楼の趙娘子の杖刑のことや、実は武官の娘だったと…」パンRは実は趙謙(チョウケン)の娘だった。皇帝はパンRの凋落が自分のせいだと知って胸が痛む。しかし永安楼を訪ねた時、パンRは帰り際、皇帝に感謝していると話していた。…手が空くと陛下の息災を祈っています、陛下のご厚恩がなかったら都の華やかさを享受できず、酒楼も開けませんでした…皇帝は女官たちを集めてパンRをどう思うか聞いた。皇后の手駒となった崔(サイ)内侍は顔をひきつらせて皇帝の顔色をうかがうことしかできない。すると女官の1人が顧千帆のような夫を迎えられて羨ましいと言った。「″生き閻魔″の顧千帆が良き夫にもなるとはな〜」「何でも趙娘子のために刑場破りをしたそうです、天下一の良き夫です!」「刑場破りだと?!」何も知らなかった皇帝は後宮に駆けつけ劉婉を追及した。皇后が民の命を軽んじ、今や市井では″登聞鼓院も朝廷も不公正″と噂になっている。劉婉は自分が間違っているなら罰して欲しいと嘆願した。自分を追い詰める元凶の斉牧を処刑できるまであと少し、邪魔をされたくないのは当然だという。「婉R、私が怒る理由が分からないのか?」皇帝は子を産めない劉婉に借り腹を認め、権力を望むゆえ立太子も見送って来た。お忍びで永安楼へ行った時も別の意図があると誤解され、パンRへの嫉妬もあったのだろう。「国を納める道は平坦ではない、まさか朕が何事にも寛容だと思っているのか? 父皇の教えだ、″君たる道、気ままであるべからず、心に天の理を抱き、民意を重んじよ″と… 朕はたとえ斉牧に陥れられたとしても皇后を信じた 趙盼児を殺したところで皇后がでっち上げた斉牧の罪状に世の民は納得すると思うか? …よく考えなさい」皇帝は皇后に真心で接して来ただけに、失望も大きかった。劉婉はその場でへたり込んだまま動けなかった。ふと気がつくと夜も更けて真っ暗な寝宮に独り、すると突然、顧千帆が現れる。「夜半に皇后の寝所に侵入するなど死罪になるわよ?!」「分かっています」すると顧千帆は拝跪し、実は蕭欽言の実子であると明かした。しかし育ててくれた叔父・斉牧に皇城司へ送り込まれ、蕭欽言に対抗するため宮中の機密を集めて来たという。「皇后の身辺調査で夜宴図の存在を知り、絵を隠滅する任務で訪れた銭塘でパンRと知り合いました 私は大勢の官吏の秘密を握っています、手駒にしていただけるなら皇后への忠誠を誓います どうか許嫁・パンRの命をお助けください」劉婉はならばパンRに訴えを取り下げさせ、斉牧の審理が終わったら欧陽旭を引き渡すと言った。「煮るなり焼くなり好きにして」「…取り下げはできません、欧陽旭を死罪にしてパンRの名誉を回復させたいのです」「馬鹿な…悪いけど力にはなれないわ」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!まだ1年経ってないの? ←そっち?w
2023.06.13
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梦华录 A Dream of Splendor第38話「背後に潜む者」母・孫三娘(ソンサンニャン)と師範・杜長風(トチョウフウ)が恋仲だと知った傅子方(フシホウ)は猛反発。女子は三従四徳を守り、父に夫に子に従うべきだと言い放った。「俺の同意なしに一緒にはさせない!」しかしこの言葉を聞いた三娘は息子に深く失望し、自分の婚姻に口出しできる者などいないという。「私が甘やかし過ぎたせいね…母の慈愛に子が応えるとは限らない、あなたは父親そっくりだわ」すると三娘は息子を置き去りにして帰ってしまう。 子方は屋敷へ戻ると母に謝罪した。着替えを持って待っていた三娘は、改めて自分は母である前に女であり人だと言い聞かせる。しかし礼服を着る夢を叶えたくて息子に学問を強要したのも事実だった。「これからは私の夢のために生きなくていい、礼服を着る夢は自分で叶えるから…」三娘はもう怒っていないと安心させた。永安(エイアン)楼を任された宋引章(ソウインショウ)は立派に勤めを果たし、趙盼児(チョウパンアール)へ報告に来た。引章の楽しそうな様子に安堵するパンR、そこへちょうど顧千帆(コチェンファン)が帰って来る。実は都を発った欧陽旭(オウヨウキョク)が海賊に襲われ、命を落としていた。しかし今朝の朝議で顧千帆も突然、言官に弾劾されたという。商人と通婚を図り、許嫁に買い占めをさせて民と利を争っているというのだ。その時、屋敷に侍衛司が踏み込んだ。都虞候(トグコウ)・張允(チョウイン)は勅命により顧千帆を連行するという。顧千帆はすぐ戻るとパンRを安心させたが、結局、夜になっても帰ってこなかった。顧千帆は張允がかつて殿前司(デンゼンシ)・崔(サイ)指揮の配下だったと知っていた。「敵討ちのつもりか?」恐らく張允はその復讐心を利用され、清流派と皇后派の争いに巻き込まれたのだろう。しかし皇帝は拷問を禁じているはず、その証拠に身体に目立った傷が残らないよう水責めしかしなかった。顧千帆は政争に関わらないよう警告したが、張允は次に鐘刑を命じてしまう。パンRは陳廉(チンレン)から事情を聞いた。実は蕭(ショウ)家の印が入った宝玉が顧宅から見つかり、欧陽旭を襲った賊の骸にも蕭家の紋があったという。蕭欽言(ショウキンゲン)は現在、病を理由に謹慎中だった。すると蕭宰相の前妻が顧千帆の″叔母″らしいと噂が広まり、蕭欽言が息子も同然の顧千帆を出世させたと憶測が流れる。言官は蕭欽言が顧千帆の婚姻に不満で、顧千帆が一緒だと知らずにパンRを襲ったと上奏した。驚いた皇帝は今回ばかりは皇后と蕭宰相のやり過ぎだと激怒したが、皇后が潔白を主張したため顧千帆の尋問を命じたという。「つまり陛下は顧千帆を皇后派と見なし、夜宴図の件で私に嘘をつかせたと思ったんだわ 皇后の罪を隠したことが拘束した本当の理由なのね」パンRはひとまず静観することにしたが、自分の命を狙ったのが蕭欽言でも斉牧(サイボク)でもないと感じていた。顧千帆の消息が全く分からないまま丸1日が経った。皇城司もパンRも身動きが取れず不安が募る中、杜長風は自分が偵察に行くと申し出る。「これでも官吏だ、何があっても切り抜けられる、男なら家族の困難に立ち向かわなくては…」孫三娘(ソンサンニャン)は杜長風の力強い言葉に感激し、パンRも拝礼して感謝した。杜長風は医者に成りすまし、顧千帆の診察を命じられたと嘘をついて牢獄に潜入した。すると顧千帆は拷問で耳から血を流し、音が良く聞こえないという。「皆、むやみに動くなと伝えてくれ…陛下のお望みは私の審問でパンRと永安楼には手を出さない つまり陛下は何かを疑っているが確かな証拠はない 当初、雷敬(ライケイ)が私に夜宴図を探させた、恐らく奴は今頃、必死で陛下を説得しているだろう 私が死ぬことはない、くれぐれもパンRを心配させないでくれ…」しかし嘘がつけない杜長風は鋭いパンRにあっさり見抜かれてしまう。顧千帆は拷問されて耳を痛め、高熱を出していた。心配したパンRは陳廉に見張りをまいて欲しいと頼み、顧千帆を唯一、救える蕭欽言に会いに行く。しかし蕭欽言はすでに手を回してあると教え、5日以内には解放されると教えた。「その間、そなたは東京を離れた方がいい」蕭欽言は家職を呼び、馬車に厳重な守りをつけてパンRを送るよう命じた。「千帆はいい子だ、そなたもな…全て悪いのは私だ」パンRは馬車に乗って蕭府をあとにした。すると突然、蕭謂(ショウイ)が車に乗り込んでくる。「助けに来た」蕭謂は父が顧千帆を見限ると教えた。実は皇后が蕭欽言と顧千帆の噂を耳にし、疑心暗鬼になったという。「父が絵の存在を隠し、異心を抱いていると… そこで父は今日、劉(リュウ)国舅(コッキュウ)と接触し、断言した 当時、顧氏とは憎み合って別れ、顧千帆とは帽妖事件以外で一切、関わりがないとな …残酷だと思うだろうが昔からだ、だから今の地位がある 父にとって父子の情など取るに足らぬもの、最も重要なのは権勢だ」蕭謂はパンRが何も知らずに父を頼ったと思ったが、パンRはすでに父が自分の父親の敵だと知っていた。「私を狙ったのは蕭宰相ではない、でも顧千帆が捕まって私を消す気になったのね 私が斉牧一派に殺されたように見せかければ宰相と顧千帆の疑いは晴れるから… でも顧千帆さえ助かるなら宰相を恨まないわ、この命を差し出してもいい」「なるほど、血を流しても君を娶りたがるわけだ」「どうして助けてくれたの?顧千帆を嫌っていたのに…」「それでも私の大哥だ、帽妖事件の時は命を救われた、妬んでいても死んで欲しくはない」蕭謂は兄の大事な人も守りたいと訴え、しばらくは永安楼にいるよう勧めた。「人が多い場所なら手は出せまい…大嫂、気をつけて」雷敬は顧千帆が予想した通り、皇帝を必死に説得していた。夜宴図の件は何度も調べたが絵空事であり、任務以前の顧千帆は何も知らず、ましてや趙氏との結託などあり得ないという。蕭欽言も前妻の″甥″である顧千帆を引き立てたことはなく、もしそれが事実なら自分が顧千帆に厄介な任務を任せられるはずがないと訴えた。そもそも顧家は清流派、前妻とも憎しみあって別れたのだろう。一方、パンRは蕭謂の助言に従い永安楼にいた。すると陳廉から思わぬ知らせを聞く。実は死んだと聞いていた欧陽旭が救出され、大理寺が都に護送していた。「使用人2人と桂花を満載した商船の船員、計8名が死にましたが、 欧陽旭は川に飛び込み、板を抱えて助かったとか…」陳廉は欧陽旭を説得し、全て清流派の仕業だと皇帝に証言させてはどうかと提案した。しかし斉牧は蕭欽言と顧千帆が父子だと知っている。パンRは逆に父子の結託と経歴改ざんで死に追いやられると考え、反対した。つまり黒幕は蕭欽言と顧千帆が親しい関係だとしか知らないのだろう。「…欧陽旭に会うわ」パンRは大理寺の見張りを催眠香で眠らせ、欧陽宅に潜入した。中庭では陳廉が物陰に潜んで警戒している。欧陽旭はパンRが自分を殺しに来たと思ったが、パンRは否定し、証言を頼みたいと切り出した。「あなたの部屋は鵝梨帳中香(ガリチョウチュウコウ)の香りがする…巷では少ないけれど宮中では珍しくない 皇后の使者に会っていたのね?そうでしょう? 賊に襲われたというのは嘘、黒幕は斉牧ではなく皇后だわ、あなたはとうに皇后に寝返っていた 皇后は夜宴図の件で斉牧を恨んでいる、都から追い出しても今後のために潰したかったはずよ? そこで連環計を謀った、まずは蕭欽言を疑うよう仕向け、証拠に不備を残す 斉牧は都におらず陛下に釈明できない 陛下は皇后はを疑い、それ以上に清流派を疑う、と同時に皇后は勢いづく蕭欽言を牽制できる」「なぜ分かった?」パンRは欧陽旭が桂花の過敏症だと知っていた。そんな欧陽旭が都を出るために桂花を積んだ船に乗るはずがない。パンRは最初から最後まで誰かが手配した計略だと気づき、背後にいるのが皇后だと分かった。しかし欧陽旭は全て自分が計画したと否定する。実は欧陽旭は恥を忍んで皇后の兄を頼っていた。完全に斉牧と敵対したため、今後は皇后に尽くすと誓ったという。「私が命懸けで仕組んでこそ皇后は斉牧を排除できる だから皇后は私を信じて東京に残れるよう機会をくださった…」「そのために8人の命を奪い、私を殺そうとしたのね?」欧陽旭は他に道がなかったと訴えながら、急に膝から崩れ落ちた。苦しそうに項垂れる欧陽旭、驚いたパンRは恐る恐る顔をのぞき込んだが、その時、欧陽旭がパンRの首をつかんで押し倒した。「君が憎い、私を変えたのは君だ!なぜ私を拒み、顧千帆を選んだのだ?!」欧陽旭は恨みつらみを爆発させたが、気がつくと抵抗していたパンRの手がだらりと床に落ちた。激情に駆られた欧陽旭は愛するパンRを手にかけ、思わず腰が抜けた。しかしもう選択肢はない。欧陽旭は次に顧千帆を殺すと息巻いたが、その時、死んだふりをしていたパンRが欧陽旭の頭を蹴り飛ばして逃げようとした。「誰か!」パンRの悲鳴に気づいた陳廉は急いで部屋に乗り込み、欧陽旭を殴ってパンRを救出する。そこへ目を覚ました護衛たちが駆けつけたが、欧陽旭は追うなと命じた。…慌てるな、パンRに知られたところで証拠はない、どうせ顧千帆は牢だ、明日、皇后に報告すればいい…一方、雷敬はまだ皇帝を説得していた。欧陽旭が刺客に襲われたというのもおかしな話、もし蕭欽言の指示ならしくじるはずがないという。すると突然、賢(ケン)妃の姪である高慧(コウケイ)が心の友であるパンRの陳情にやって来た。パンRが顧千帆の権勢で商売敵を抑えたなど事実無根であり、そもそも他の酒楼の嫌がらせが原因で香料を買い占めただけだという。「都で頼る者もいない女子が酒楼を開くことは大変なことです! 無辜の民を政争に巻き込まないでください!」すると崔内侍は食い下がる高慧を止め、強引に連れて下がった。皇帝は気位の高い高慧がなぜパンRと友人になったのか首を傾げた。すると雷敬はこの機を利用し、皇后も潔白だからこそ侍衛司に顧千帆を調べさせ、蕭宰相を謹慎させたのだと畳み掛ける。「これも陛下を信頼してのこと もしこの件が誣告だった場合、陛下が蕭宰相の復帰を遅らせれば皇后が傷つくのでは?」一方、陳廉はパンRを無事に桂花巷(ケイカコウ)へ送り届けていた。つづく( ゚ェ゚)え?使用人2人って…ザワザワ…
2023.06.12
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梦华录 A Dream of Splendor第37話「募る憎しみ」東京(トウケイ)に来た当初はしおらしくしていた傅子方(フシホウ)。しかし次第にわがままになり、孫三娘(ソンサンニャン)は手を焼いていた。今朝は書院に行かないと駄々をこねる息子を送り届けたが、三娘は仕事にかこつけて息子の相手をしない自分を責めてしまう。すると杜長風(トチョウフウ)が現れ、子方ももう14歳、母親とべったりでは笑われるとなだめた。「君の息子は私の息子も同然だ、私が育て上げる」三娘はしみじみ杜長風との出会に感謝し、都へ来たことは人生で最も正しい選択だったと言った。趙盼児(チョウパンアール)と顧千帆(コチェンファン)は復縁し、幸せな時間を過ごした。しかしパンRは軌道に乗った永安(エイアン)楼の仕事が忙しく、今は婚礼どころではない。パンRとの結婚生活を夢見る顧千帆だったが、それでも無理強いはしなかった。「私に嫁ぐのはいつだっていい、ずっと嫁がなくても私は待っているよ 君は恨みを捨てられる人だが、わだかまりはあるはずだ 君に付き添い、心の傷をゆっくり癒して行きたい」パンRは顧千帆の真心に感激し、思わず涙ぐんでしまう。すると顧千帆は夜宴図(ヤエンズ)の件も解決したと安心させた。「欧陽旭(オウヨウキョク)は新(シン)州の通判に…」「横滑りで降格ではない、欧陽こそ諸悪の根源なのに…」欧陽旭は辺地に飛ばされると知って絶望した。皇帝の怒りはすでに静まっていたはず、恐らく斉牧(サイボク)と顧千帆にそそのかされたのだろう。そこで赴任するまでの十数日の間に活路を見いだすべく、銭をかき集めることにした。「西京(セイケイ)での苦労を2度と味わいたくない、ここに留まれるなら命を売り渡してもよい」叔徳(シュクトク)は欧陽家の最後の身代である屋敷の売却に反対したが、欧陽旭は子明(シメイ)に証文を渡してしまう。欧陽旭はパンRに謝罪するため永安楼を訪ねた。驚いた宋引章(ソウインショウ)は咄嗟にパンRなら留守だと追い返し、謝罪文をパンRに届ける。…この情、追憶となるを待ち、惘然(ボウゼン)とする…パンRは欧陽旭が自分たちの追い打ちを恐れて旧縁にすがっているだけだと分かった。皇帝の欧陽旭への処分は確かに甘すぎだが、欧陽旭にとって前途を断たれるのは何よりの罰だろう。そんな折、池蟠(チハン)当てに酒楼組合から招請状が届いた。パンRに香料を買い占められたと知り、来年の醸造権の入札について相談したいという。「女子が正店を営むことを組合は禁じて来た、君が会合に行けば鼻を明かせるぞ?」パンRは明日の休みに顧千帆と出かける予定だったが、池蟠の言葉で心が動いた。欧陽旭は子明が400貫しか持って帰らなかったことに激怒、折檻した。実は淑徳から売らずに質入れしろと指示されたという。そこへ慌てて淑徳が現れた。淑徳は質入れなら請け出すことができると訴えたが、欧陽旭は質札を出すよう迫る。「私は先代に欧陽家を託された身、たとえ死んでも渡せません!」激情に駆られた欧陽旭はいきなり淑徳を殴打、そのまま撲殺してしまう。「欧陽家の主はお前か?!私だ!くたばれっ!」子明は常軌を逸した主の様子に呆然、腰が抜けて動けなくなった。顧千帆はパンRとの生活のため、調度品を買い揃えた。するとパンRは改めて蔵の鍵を要求、このままでは破産してしまうという。そこへ陳廉(チンレン)が子犬を連れてやって来た。「ご命令どおり賢い犬です!」顧千帆とパンRは幸せに包まれ、これからは顧宅で楽しい毎日が待っていると信じて疑わなかった。池蟠は酒楼組合へ出かけるため馬車でパンRを迎えにやって来た。しかしパンRを心配した顧千帆が一緒について来る。狭い車の中でにらみ合いを続ける顧千帆と池蟠。痺れを切らしたパンRは2人をなだめ、今回は入札を打診されても断ろうと提案した。「今、手を広げ過ぎてもうまく回せない 杜氏もいないし、人選びに失敗すれば名折れになるわ 商いも戦と同じ、攻めてばかりではいけない」その時、馬車が急停止した。露店と馬車が接触、道がふさがっている。するとパンRは組合ならもう近いので歩こうと言った。パンRたちが組合への道を歩いていると、突然、工事中の陸橋から材木が落ちて来た。池蟠は運良く免れたが、パンRをかばった顧千帆は材木の下敷きになってしまう。その時、顧千帆は陸橋の上から自分たちの様子を確認する男と目が合った。顧千帆は男が自分たちを狙ったと気づいて暗器を放ち始末したが、そのまま意識を失ってしまう。顧千帆は大事に至らず、足を負傷したパンRは顧宅で静養することになった。知らせを聞いた杜長風は慌てて桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけたが、子方は師範の姿を見て動揺する。「母さんに用ですか?僕は何もしていませんよね?」陳廉は咄嗟に自分が呼んだと取り繕い、一緒に昼餉を食べようと誘った。三娘は杜長風の優しさに感激しながらも、まだ息子に婚姻の件を伝えることができなかった。杜長風はこそこそ付き合いたくないと漏らしたが、三娘の気持ちを汲んで待つことにする。一方、陳廉は引章に永安楼の主を託したいとパンRから事付かっていた。パンRは軽傷だが事情が複雑なため、顧千帆がそばに置いておきたいという。現場に先に駆けつけたのが開封府のため皇城司は手を出せなかった。引章は了承したが、刺客の狙いが誰だったのか気になる。もしや酒楼組合だったのか。しかしパンRたちを狙ったのは酒楼組合ではなかった。王楼(オウロウ)店主はパンRの事件に酒楼組合が関わっていないと確認して安堵した。するとこの機に店主が宋氏に代わると分かり、思わぬ好機だと喜ぶ。そんなある晩、永安楼に急報が舞い込んだ。可四(カシ)が長楽(チョウラク)郡主府へ料理を届けたが、蟹醸橙(カイジョウトウ)の蟹が腐っていると騒ぎになっているという。引章と三娘が長楽郡主府に駆けつけると、可四が門前に縛り付けられていた。すると誰が煽ったのか、騒ぎを聞きつけて人だかりが出来ている。その時、腐った蟹を持って家職が現れた。見たところ確かに蟹は腐っていたが、引章は同行した医官に調べさせ、蟹みそが朱色だと分かる。三娘は群衆にわざわざ蟹みそを見せて回り、これが永安楼の料理ではないという証拠だと訴えた。「赤いみそは雌蟹特有のもので、雄蟹のみそは黄色です、召し上がった方ならお分かりでしょう 水産組合も証言してくれます、雌蟹を永安楼に卸したことは一度もないと…」実は東京で貴重な江南産の蟹を提供しているのは永安楼だけだった。他店が出している沢蟹とは身の肉が全く異なり、医官はひと目で判別したのだという。潔白を証明した三娘は可四を解放した。すると可四は陰謀だと訴え、群衆を焚き付けたのが王楼の店主だと暴露する。引章は訴状の到着を待つよう告げたが、焦った家職は結託を否定し、自分も騙されたと謝罪した。しかし翌日、今度は李家に酒を買いに行った葛招娣(カツショウテイ)が断られて帰って来る。何でも欲しいなら鬱金(ウッコン)と蘇合(ソゴウ)を全部差し出せと脅して来たとか。「ここは池蟠の出番ね」あの事件以来、池蟠は寝殿に引きこもっていた。引章は寝所へ乗り込み、このまま永安楼が潰れたら笑いものになるという。ようやく永安楼が嫌がらせを受けていると知った池蟠は一念発起、地方で酒を買って来ると出かけて行った。その夜、杜長風は三娘を抱きしめ慰めていた。しかし運悪く厨房へ来た子方に見られてしまう。2人の関係を知った子方は屋敷を飛び出したが、追いかけて来た三娘たちに橋で挟み撃ちにされた。「来るな!飛び込むぞ?!こんな破廉恥な女、母親じゃない!よその男と通じるなんて!」すると激怒した引章は子方を橋から落としてしまう。「溺れやしないわ」確かに子方は浅い水路であっさり立ち上がった。「俺は悪くないぞ!」「いいえ、銭塘(セントウ)で必死に育ててもらった恩にどう報いたの?! 東京では最上の衣食を与えられ、書院にも通ってる、あなたに孝行心はないの?!」「とにかく下種と通じるなんて間違ってる!」これにはさすがの杜長風も言い返した。「私は進士で下種などではない、君の母君は表裏のない清らかな人だ 君子と淑女が愛し合うのは喜ばしきこと、恥でも何でもない」「でも…おれは許さないぞ!」 つづく( ๑≧ꇴ≦)引章、覚醒!意外にも最後は一番カッコよくなりそうw
2023.06.11
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第20話雲夢澤(ウンムタク)に居を構え、人間の振りをして過ごすことになった東方青蒼(ドンファンチンツァン)と小蘭花(シャオランファ)たち。すると結黎(ジエリー)が花街へ出かけようと提案した。「だって気晴らしに来たのでしょう?」人間界に来た目的を隠していた東方青蒼と觴闕(ショウケツ)は黙って付き合うことにしたが、飛仙(ヒセン)閣という酒楼に鹿城(ロクジョウ)で名高い芸妓・謝惋卿(シャワンケイ)がいるという。惋卿は芸と教養で並ぶ者がなく、仙女にも勝る美貌だと評判だった。惋卿の客には名門貴族が名を連ね、その顔を拝めるのは招待状を持つ客だけだという。しかし東方青蒼は大枚をはたき、今夜の宴に潜り込むことに成功した。日が暮れる頃、東方青蒼たちは中庭に入ったその時、小蘭花は招待客の中に長珩(チャンハン)にそっくりな人間を見つける。しかし男の腰飾りが奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)だと気づき、やはり長珩本人だと確信した。なぜ歴劫で人間界に転生したのか分からないが、東方青蒼に見つかったら殺されてしまう。焦った小蘭花は東方青蒼を連れて前の席に座り、振り返らないよう気をつけた。謝惋卿の舞が始まった。その妖艶さに誰もが目を奪われる中、小蘭花は謝惋卿のうなじに業火(ギョウカ)の傷跡を発見する。3万年前、業火で傷を負った神仙と言えば先の戦神・赤地女子(セキチジョシ)。小蘭花は東方青蒼の目的が先戦神の元神を奪うことだと分かった。…先戦神の元神を使って何をするつもり?何とか阻止して歴劫を成功させなければ…すると舞台が終わり、長珩が急に立ち上がって歓声を上げた。驚いた小蘭花は咄嗟に東方青蒼に腹が痛いと訴え、長珩が見えないよう視線を遮る。長珩は人間界で放蕩息子として有名な蕭家の次男・蕭潤(ショウジュン)に転生していた。謝惋卿の房間を訪ねることができる客は一人だけ、その日、最高の品物を贈った客だった。すると蕭潤が下賜品の紅珊瑚を贈り、今夜の客に選ばれる。皆の注目が蕭潤に集まる中、小蘭花は咄嗟に腕輪を落としたと嘘をつき、霊力を使えないので皆で探して欲しいと訴えた。「だって骨蘭(コツラン)は私にとって唯一無二の宝だもの」その間に蕭潤は給仕に案内されて中庭を後にした。「見つかったわ!」しかし東方青蒼は小蘭花の不自然な様子を怪しんでいた。蕭潤は謝惋卿の房間に入った。実は蕭潤の父親は謝惋卿の父と同期の役人で、先帝は当時、蕭潤と謝惋卿の婚姻を下賜している。蕭潤は紅珊瑚を贈って求婚に来たと言ったが、謝惋卿は断った。謝家は10年前に派閥争いに敗れ、男たちは全員、極寒の地に流され、女子たちは妓女に落とされている。「あなたとは一杯の茶を飲むだけの縁、厚意は受け取るのでお帰りください」「また日を改めるよ」蕭潤が出て行くと、謝惋卿は紅珊瑚を返すよう指示した。長珩を追って歴劫に来た丹音(タンイン)は蕭潤の従者・曲水(キョクスイ)に転生していた。蕭潤は紅珊瑚を持ち出したことがばれて棒打ちの罰を受けたが、それでも謝惋卿を娶ると譲らない。実は蕭家は妓女に落ちた謝惋卿を許嫁と認めていなかった。しかし曲水は主がなぜ愛していない謝惋卿にこだわるのか分からない。「幼い頃からよく仙女の夢を見るのだ… とても気高く、谷間に咲く蘭のようで、彼女と少し似ている、縁があると思うんだ」宴が終わった。飛仙閣を出た東方青蒼は情義がないならなぜ骨蘭を″唯一無二の宝″と言ったのか小蘭花に尋ねる。「私を騙したのか?」「違う」「ならば情がないというのが嘘なのか?」「それも違う、もしもあなたが水雲天を攻めることがあれば、あなたは私の敵よ? …あなたこそ私に怒っていないの?前は私が文句を言ったり逆らったりすると怖い顔で怒ったわ」「そんな風だったか?」「そうよ?でも近頃は違う…本当に怒っていないの?」東方青蒼は確かになぜか怒る気になれないと気づき、自分でも困惑した。屋敷に戻った東方青蒼は觴闕に本心を打ち明けた。「近頃、心が乱れて集中できぬのだ、特に小蘭花には怒るべき時であってもなぜか腹が立たない」しかしあれ以来、小蘭花は自分と距離を取り、確かに静かにはなったが心の中にぽっかり穴が空いたようだった。「尊上、実は私も同じです」觴闕も結黎への自分の思いに戸惑っていた。小蘭花は結黎に長珩仙君が歴劫で人間界にいると明かした。上級の神仙が歴劫をしくじれば大事、そのため東方青蒼には隠したいという。しかも妓楼で踊っていた謝惋卿は先の戦神・赤地女子だった。結黎は3万年前に死んだ戦神が蘇るのかと驚いたが、小蘭花にも詳しいことは分からない。「ただ月尊大人は赤地女子の元神が欲しいみたい」明日は元宵節、謝惋卿が運命の相手・蕭郎と巡り合う日だ。すると小蘭花は蕭郎とは長珩の転生した蕭潤のことだと気づく。一方、息山(ショクサン)で精気を養っていた容昊(ヨウコウ)は雲夢澤が乙酉(イツユウ)年の元宵節だと聞いた。「そばで見守らねば…」元宵節の夜、小蘭花と結黎は人間と同じように灯籠を持って祭りを楽しんでいた。しかし東方青蒼は赤地女子の歴劫を見守らねばならず、早々に引き上げるという。そこで結黎は気を利かせ、偵察して来ると言って觴闕を引っ張って行った。結黎は意味が分かっていない觴闕に月尊と小蘭花を2人きりにしたと教えた。「私たちも2人きりね?」しかし觴闕は急に恥ずかしくなって急いで行ってしまう。一方、東方青蒼と小蘭花は気まずそうに2人で散策していた。すると少女が花を買って欲しいと声をかける。「この花を恋人の髪に挿して、そうすれば100年も一緒にいられるの」「100年だけか?」※人間界の100年=仙界の100日「10万年も100万年も一緒にいられるよ」東方青蒼は大きな芍薬の花を買うと、小蘭花の髪に挿した。「人間の男の真似をしただけだ」「…ねえ、本当に気晴らしで来たの?私を騙してない?」「だますものか、気晴らしだ…そんなに心配なら今後はお前を決して騙さないと誓う だからお前も私を騙すな、よいな?」その時、東方青蒼は露店で売っている鞠を見つけた。父と蹴鞠で遊んだことを思い出し、しばし物思いにふける東方青蒼、しかしふと気がつくと小蘭花の姿が消えていた。一方、蕭潤は賭場で大負けしていた。ついに大事な玉まで賭けて負けてしまったが、回収される前に玉を取り戻して逃亡してしまう。その頃、謝惋卿は祭りの喧騒を嫌って房間に閉じこもっていた。すると夜も更けた頃、どこからともなく簫の音が聞こえて来た。つづく( ๑≧ꇴ≦)長珩仙君は人間界の方が生き生きしてる!
2023.06.10
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第19話東方青蒼(ドンファンチンツァン)は小蘭花(シャオランファ)のおかげで七情を取り戻し、父へのわだかまりも解けた。そこで月族の掟に従い、小蘭花の頬に赤い顔料をつけて感謝を捧げる。小蘭花はこれで三界に平和が訪れると安堵したが、東方青蒼の口からとんでもない発言が飛び出した。「そなたの家に帰れぬ辛さがやっと分かった…本座は決心した 水雲天(スイウンテン)を平定し、雲中君(ウンチュウクン)を討ち取ってお前の家を取り戻す!(๑•̀ㅂ•́)و✧」思わぬ結果に小蘭花は呆然、気分がすぐれないので休みたいと断り、部屋に戻ってしまう。「本座の介抱で寝ていなかったであろう…ゆっくり休め」( ತ _ತ).oO(月尊を変えられると思った私がバカだった…東方青蒼は帰り際、小蘭花から受け取らなかった蘭@16話を見つけ、寝宮に持ち帰った。すると觴闕(ショウケツ)が承影(ショウエイ)剣の破片を持って現れ、罰を請う。「最後の一片を見つけ出せませんでした」実は破片を全て集めて承影剣を鋳(イ)直せば蘭花仙子が殺されるため、辛くて身が入らなかったのも事実だと認める。しかし東方青蒼は見つからないのなら最後の一片は砕け散ったのだと話し、探す必要はないと許してくれた。「捨てるがよい」觴闕が寝宮を出ると、回廊で巽風(ソンホウ)と出でくわした。巽風は觴闕が持っているのが承影剣の破片だと気づき、兄が不要なら欲しいという。「最後の一片を探し出せるかもしれない」すると觴闕は最後の一片なら砕け散ってしまったようだと伝え、巽風に渡した。雲中君は昊天(コウテン)塔に丹音(タンイン)を送り、弟に退路を残した。そこで丹音は嘘でも罪を認めれば出られると説得したが、長珩(チャンハン)は愛する人を守ることが過ちだというなら、このままでいいという。丹音は長珩を鼓舞するため、悲しまずとも小蘭花は戻って来ると教えた。実は司命仙君の神器・天極鏡(テンキョクケイ)で長珩と小蘭花が雲夢澤(ウンムタク)で婚礼を挙げる様子を見たという。驚いた長珩は歴劫で人間界に転生しようと思いつき、丹音に脱獄させて欲しいと懇願した。丹音は反対したが、長珩はこれが唯一の機会だという。「君は愛を知らないからだ…頼む!手を貸してくれ!」丹音は長珩の願いを断れず、結局、昊天塔から逃がし、神水庁(シンスイテイ)へ向かった。「ありがとう、丹音、来世では必ずこの恩に報いるよ」すると長珩は滝の中に身を投げてしまう。…あなたは私が愛を知らないと言ったわ、それは違う、私は愛を誰よりも知っている…丹音は愛する長珩を守るため、共に歴劫に行く道を選んだ。その夜、小蘭花は幼い自分が両親と楽しそうに遊んでいる夢を見た。…私には両親がいないはず、最近こんな夢ばかりだわ…小蘭花は太古の神霊・元亀(ゲンキ)から言われたことを思い出し、自分の真身が分からず思い詰めてしまう。翌日、東方青蒼はなぜか急に寒気に襲われた。業火(ギョウカ)を身につけた東方青蒼は寒さとは無縁のはず、原因は小蘭花に違いない。その頃、小蘭花は極寒の洞窟にこもっていた。結黎(ジエリー)は小蘭花が凍え死ねば自分も月尊に殺されると訴えたが、小蘭花は自分が何者か突き止めたいという。すると東方青蒼が毛布を持って駆けつけた。東方青蒼が小蘭花に毛布をかけてやると、結黎はそそくさと出ていった。「お前は息山(ショクサン)の蘭だと言っただろう?」「だけど元亀は私の真の姿を示さなかった…私の真身は見たことのない葉っぱだった…」東方青蒼は思わず小蘭花を抱きしめた。「何者だろうと関係ない、お前は三界で私が最も気になり、最も大切にしたい者だ 永遠に私のそばにいれば良い」すると急に小蘭花は東方青蒼の腕から飛び出した。「いや!あなたは月尊、仙界を平定し、水雲天の者を皆殺しにするのでしょう?!」東方青蒼は困惑し、小蘭花にどうしたいのか聞いた。しかし小蘭花は仙族でも月族でもない自分にはどちらにも義理などないという。「私は得体の知れない草よ、私たちの間には情も義もない…もう私に構わないで!」「なぜ今になってそんなことを…自分で仙族ではないと言ったろ?」「ごめんなさい…でも水雲天は私の家、大事な人もいるわ、あなたの他は皆、水雲天にいる…」東方青蒼は小蘭花の言葉に深く傷つき、独りで帰ってしまう。巽風は人間に生まれ変わった赤地女子(セキチジョシ)の赤子を発見した。そこで玄虚(ゲンキョ)の境で封印を解くことにしたが、巽風が取り出した元神があやうく消散しそうになる。東方青蒼は慌てて元神を赤子に戻したが、赤子は元神を取り出されてもなぜか死んでいなかった。東方青蒼は結黎を使って小蘭花から歴劫の情報を聞き出した。「神仙は人間に転生するたびに違う運命があるの、運命簿の命格詩に従って生きるわ 例えるなら運命簿は台本で、命格詩は台本のあらすじみたいなものよ 台本ほど細かくはないけれど、命格詩には経験すべきことが書かれているの」「″試験で首席を取り、役人となる″と書かれているのに試験に行けなくて首席になれなかったら? 歴劫は失敗ってこと?」「そうなるわ、失敗すると霊力を損なうか、最悪、灰になってしまう だから霊力が強い神仙ほど歴劫は危険なの」「もし歴劫に出た上級の神仙が赤子のうちに死んだら元神は灰になるの?」「なるわ、だから余程の理由がない限り歴劫に出ない方がいい」東方青蒼は隠れ身の術でその話を全て聞いていた。東方青蒼は赤地女子の元神をやみくもに奪えないと知った。しかし巽風は小蘭花をいぶかしみ、そもそも修繕が済んだのなら殺すべきだという。東方青蒼は殺せない理由があるとだけ答え、ともかく赤地女子を運命簿通り鹿城(ロクジョウ)へ送り届け、歴劫を見守るよう頼んだ。小蘭花は結黎が急に運命簿に興味を持ったことを怪しんだ。…誰かに頼まれたのかしら、確か″上級の神仙″と言ってたわ…そう言えば修復した運命簿は謝惋卿(シャワンケイ)という人間だった…もしや転生した上級の神仙?でも歴劫中の神仙なら私が知らないはずはない…でもなぜあの運命簿は海市(カイシ)に保存されていたのかしら小蘭花は修復した運命簿に書かれていた命格詩を思い出しながら書き出した。新婚初夜に新郎に斬ら殺されるとは、何とむごい運命なのか。その時、小蘭花は鏡に映る自分の顔が謝惋卿に変わるのを見た。もしや謝惋卿とどこかで会ったことがあるのだろうか。觴闕と将棋を指すと言って出かけた結黎が戻ってきた。何でも雲夢澤へ行く月尊のお供で夜まで戻らないという。「鹿城は寂月宮よりも楽しいもんね~」…鹿城?!謝惋卿がいる鹿城だわ…小蘭花は東方青蒼が謝惋卿を探しに出かけたと気づいた。聞けば人間界はちょうど正月、命格詩によれば元宵節に謝惋卿は運命の人に出会う。「結黎、支度して!鹿城へ行くわよ!」小蘭花と結黎は帷帽(イボウ)で顔を隠し、東方青蒼を追跡した。しかしあっさり見つかってしまい、寂月宮に戻れと命じられてしまう。そこで結黎は咄嗟に小蘭花が月尊を怒らせたことを反省し、付き添いたかったのだと釈明した。すると觴闕も蘭花仙子の想いを汲んではどうかと進言してくれる。悪い気はしない東方青蒼、結局、同行を許したが、小蘭花はどこか気まずかった。觴闕は独りで付近の偵察に出かけた。すると飴細工の露店を見かけ、買うことにする。何も分からず5文の飴細工に高価な霊玉を出してしまった觴闕、しかし結黎が現れ、店主から霊玉を取り戻してくれた。「飴細工に一体、いくら払うつもり?」「…蒼鹽海(ソウエンカイ)では見ない目新しい物なので、飴の好きな君に買おうと思ったんだ」一方、東方青蒼と小蘭花は茶屋で2人を待っていた。「月尊大人…ありがとう、私を責めずに同行を許してくれて」「我らの間に情がないなら責めることはない」(*´・ω・)お、おう…「情も義もないなら偽りの言葉を吐くな、聞きたくもない」(*´-ω-)おぅ…「何も言えぬのか?」「何か言えば怒らせるから…」「そうだ、黙っているのが一番だ」(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコクその時、ようやく觴闕と結黎が戻ってきた。結黎は月尊たちが人間界の常識に不慣れだと分かった。しかし郷に入っては郷に従え、月尊であっても人間と同じように振る舞うべきだという。東方青蒼は自分が決まりだと一蹴したが、小蘭花は雲夢澤には独自の運命があると師匠から聞いたと教え、月族も仙族も手出しできないと警告した。「うかつに手を出すと、その元神が灰になることもあるみたい でも…みんながひれ伏す月尊大人よ?人間のふりをするなんて難しいわ〜」小蘭花は謝惋卿を守るため、負けず嫌いの東方青蒼を煽った。「私に難しいことなどない、ただ人間になるなら最も偉大な者だ…結黎、人間の話を続けろ」「尊上…ここで一番偉いのは皇帝です、でも皇帝は独りしかなれませんし…」「では他を殺す」驚いた小蘭花は人間界の運命を変えたら灰になってしまうと訴え、結黎に助けを求めた。そこで結黎は月尊なら富豪か貴人だと話し、″金陵から来た富豪の東方員外″という身分を思いつく。「小蘭花は東方家の花を世話する侍女、私はお金の管理をする侍女、で、觴闕は護衛 これでそう?」※員外=尊称(* ˇωˇ)<仙女でもない、月尊でもない?…本当にそうならいいのに(ボソッすると結黎はまず鹿城に屋敷を構えるよう勧めた。つづく( ;∀;)觴闕…苦労人なのになんて実直なのかしら〜
2023.06.09
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梦华录 A Dream of Splendor第36話「黄色い花に託す想い」高慧(コウケイ)の腹当てを利用して縁談を迫っていた欧陽旭(オウヨウキョク)。しかし今や露店で誰もが自分の名が刺繍された絹の手巾を買うことができた。「一つ条件をのむなら君が必要な物を返そう」焦った欧陽旭は腹当ての半分を差し出し、助けてくれるなら2度と高家に関わらないと誓う。「しかし傍観するなら…君が嫁ぎ先で安寧を得ることはないだろう」高慧はそれがただの脅してないと分かった。「何をすればいいの?」「陛下に会わせて欲しい」東京織物組合の会頭でもある池蟠(チハン)は趙盼児(チョウパンアール)に頼まれて絹の手巾を大量に作った。「あと3日もすれば東京(トウケイ)は絹の手巾だらけになる、で手巾を何に使う?」「私を助けてくれた人への恩返しよ」パンRは仕事の合間を見つけては熱心に邸報(テイホウ)を読んでいた。池蟠はまだ顧千帆(コチェンファン)が気になるのかと疑ったが、パンRはこれも永安(エイアン)楼のためだとごまかす。「永安楼の繁盛ぶりを見て他店が放っておくと思うの?」しかし実はパンRは父親が命に背いた年の邸報を読んでいた。すると当時、左司諫(サシカン)・蕭欽言(ショウキンゲン)が父・趙謙(チョウケン)を弾劾したという記載を見つける。パンRはついに顧千帆が自分に会えなかった理由を知り、激しく動揺した。宋引章(ソウインショウ)は書斎にいるパンRを訪ねた。孫三娘(ソンサンニャン)が傅子方(フシホウ)との再会を喜び、屋敷に住まわせたいという。パンRは構わないと言ったが、どこか様子がおかしかった。しかし引章は詳しい事情を聞かず、悩みがあるなら散歩して気分転換するよう勧める。「林(リン)三司の屋敷から逃げ出した時、行く当てもなく歩き続けていたの 寺で雨宿りしながらずっと考えていたけど、答えは出なかった でもそのうち夜が明けて雨も止み、寺を出たわ、気の向くまま歩いていると心が晴れていたの」「はお…場所を変えて考えてみる」パンRは迷いを吹っ切るように寺の石段を一気に駆け上った。そこへちょうど大師が現れる。「大師、ある人との縁が良縁か悪縁かどう見極めるべきでしょうか?」「縁の良し悪しは縁自体にはなく、自身の考え方次第なのです」「世の悩みに因果あり、お言葉どおりです」一方、雷敬(ライケイ)は顧千帆と舟で接触していた。「全てうまく行った、陛下、蕭(ショウ)宰相、斉(セイ)中丞、それぞれに話をつけておいたぞ お前の考えで四方丸く収まった」雷敬はこれから朝廷がどう変わろうと自分の地位は盤石だと喜んだ。老舗の酒楼はこぞって永安楼で人気の酒を真似することにした。思えば誰もが食通というわけではない。同じ酒なら安い方が良いはずだ。王(オウ)楼の店主は早速、蘇合と鬱金を混ぜた酒を店で出したが、噂を聞いた池蟠が怒鳴り込んでくる。「うちの製法を盗んだな?!」「蘇合鬱金酒の製法は古書に載っている、書写して東京中の正店と脚店に配ってやった! 幻の酒もあと3日でどこでも飲めるようになるぞ!」池蟠は王楼で喧嘩になり、顔をすり傷だらけにして戻った。しかし誰も同情せず、他店に真似されても悔しそうではない。すると可四(カシ)が手当てしながら、パンRが東京中の鬱金と蘇合を買い占めたと教えた。他店が真似して鬱金と蘇合を買うなら、むしろ儲かるよう手を打っておいたという。三娘の話ではすでに蟹醸橙に使う江南の蟹も買い占めてあった。「王楼は理屈を分かっていないから、きっと沢蟹を使うはずよ? 沢蟹の鮮度はもって2日、古くなれば苦味が出て料理が台無しになる」しかも明後日には新しい酒を出すという。「丁香琥珀(チョウコウコハク)酒だって?…まさか丁香と琥珀も買い占めたのか?で、いくら稼いだ?!」「それほど多くない、でも酒楼の組合長より先に香薬業の副組合長になる」「…パンR姐、やっぱり夫婦になろう!2人が組んで商いをすれば無敵だ!」「ふん、どうやら頭を打ったみたいね」引章も新しい演目を決め、素娘(ソジョウ)や教坊司の舞妓を招いたと報告した。パンRは皇帝が来店したとあって皆が来たがるのだと思ったが、引章はそれだけではないという。楽妓たちは酒楼に呼び出されると演奏より接待を求められ、休憩も狭い倉庫に押し込められていた。しかし永安楼は謝礼が高いだけでなく気配りも細やか、大勢の文人が半月ごとに機嫌を取りに来てくれると評判だという。パンRは引章も一歩ずつ成長していると知り、いつか賎民という言葉に悩まされずに済む日が来ることを願った。「パンR姐、池蟠の求婚を断るの?尻に敷けるのにw」「今なら分かるの、本気で愛している人には自分が得る物ではなく、与えられる物は何かと考える」「…その人には何を?」「自分の殻を破らせ、私の元へ導く…」するとパンRは意味ありげに微笑んだ。その夜、皇城司を出た顧千帆は不自然に咲いている黄色い花に気がついた。「ちょっと出かけてくる、ついて来るな」しかし陳廉(チンレン)だけは慌てて追いかけてしまう。顧千帆が半遮面に駆けつけると、パンRは荒れ果てた店内で待っていた。「これが最後よ…まだ私を娶る気がある?」その手には顧千帆が贈った思い出の珊瑚のかんざしがある。「もちろんある、だが…君は私を許さない」「なぜ?父親が蕭欽言だから?あなたの父親が私の父を弾劾したからなの?」「知っていたのか…」顧千帆は自分にパンRを娶る資格がないと嘆いた。しかしパンRは当時の蕭欽言はただ職責を全うしただけ、自分が賎民になったのは皇帝や蕭欽言のせいではないという。「父の選択だったのよ、罪だと知りつつ門を開けた、民が殺されるのを見ていられなくて…」それでも顧千帆はパンRを抱きしめることができなかった。「今は恨みを捨てることができても、何十年後には変わるかもしれない …一時的な欲望や意地で突き進めば君の人生を損なう」「先々のことより今を見るべきよ…あなたがいなくなりどんなに辛かったか分かる?」パンRは嵐で全てが吹き飛ばされた時、顧千帆も見つからず、一度は汴河(ベンガ)に身を投げようと思ったという。するとパンRは中庭に出て石をつかみ、珊瑚のかんざしを壊すことにした。「誇りをかなぐり捨て、もう一度聞くわ、すべての過去を忘れて私とやり直す? 3つだけ数える…E…R…」その時、顧千帆は慌ててパンRを抱きしめた。「やり直そう…残りの人生は君を愛し、守り続けたい」そんな2人の姿を陳廉と葛招娣(カツショウテイ)が見守っていた。欧陽旭は皇帝と会える機会を知り、宦官が止めるのも聞かず回廊で足止めした。「万死に値する罪を犯しました、ですが悪人の讒言を信じてしまったのです!」しかし皇帝は深く失望したと嘆いて行ってしまう。実は皇帝は欧陽旭と斉牧がすでに西京で知り合っていたと聞いていた。恐らくあの贋作は斉牧が作って欧陽旭に持たせたのだろう。皇帝の怒りは清流派へ向いた。ただ欧陽旭が高慧を巻き込まぬよう破談に応じたと聞いて誠意はあるのだと誤解する。「探花の旧例に従い、小さな州の通判にしてやれ」皇帝は賢(ケン)妃の顔を立てれば高家もそしりを免れるだろうと言った。実は欧陽旭が謁見できたのは皇后が女官に手を回したお陰だった。崔(サイ)内侍は皇后に欧陽旭の一件を報告したが、なぜ皇后が協力したのか分からない。「恨みには徳よ…子犬と老犬をもっと争わせておけば、陛下の清流派への信頼も揺らぐはず 今日はお手柄でした、そなたの甥は私の兄弟・劉国舅(コッキュウ)の軍で面倒を見ましょう」劉婉(リュウエン)は甥を人質に取り、皇帝の側仕えである崔内侍を手駒にしていた。「分かっております、太子が擁立されれば貴方様は上奏を批准する権限を失ってしまうと…」「陛下は仁君であり良き夫でもある、でも最後まで私を守ることはできないわ」翌朝、パンRは顧千帆の屋敷から永安楼に現れた。すっかり割り切った引章とは対照的に、池蟠はパンRと顧千帆が復縁したと知って絶望の淵に突き落とされてしまう。しかしそんな池蟠を尻目に、パンRは招娣から三娘が子方に手を焼いていると聞いた。「来たばかりの時はいい子だったけど、徐々に荒れて、今朝は書院に行かないと駄々をこねてた」「説教してやらなくちゃ」パンRは池蟠など眼中にないようで、招娣と厨房に行ってしまう。すると引章は思わず惨めな池蟠を見ていると気分がいいと嫌みを言った。2人は言い争いになったが、可四たちは仲が良いほど喧嘩するものだと見抜いている。つづく ( ̄▽ ̄;)復縁話、長いわ!w ←ってそこがメインなのにwここにきて宮中が面白くなってきた~皇后も腹に一物ありそう
2023.06.08
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梦华录 A Dream of Splendor第35話「隣家の秘密」趙盼児(チョウパンアール)は顧千帆(コチェンファン)と合流、皇帝に欧陽旭(オウヨウキョク)の夜宴図(ヤエンズ)が贋作だと思わせたと説明して帰ることにした。すると顧千帆はパンRを引き止めるため、咄嗟に孔午(コウゴ)の助言に従い足が痛いふりをする。しかし橋の上で機敏に動いていた姿を見たパンRはすぐ嘘だと分かった。「芝居に付き合っている暇はないの」パンRは皇帝が初めから皇后の出自を承知していたと察し、自分の話を信じるはずだと言って立ち去ろうとする。焦った顧千帆は任務で傷を負い、望月(ボウゲツ)楼の件は知らなかったと釈明した。「だから臆病になったと?馬車から降りなかったわ ←(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク そこまでして直接、別れを告げることから逃げた ←( ๑≧ꇴ≦)最低! なぜはっきり言えないの?!…正真正銘の臆病者ね 欧陽旭の方がまし、使用人を寄越して別れを伝えたもの ←( ๑≧ꇴ≦)そうだそうだ! …あなたなんて願い下げよ」その時、ちょうど池蟠(チハン)が現れ、パンRを顧千帆から引き離した。顧千帆はパンRを追いかけ腕をつかんだが、パンRに手を振り払われてしまう。「陛下の前でボロが出るわよ…会いに来ないで」池蟠は今にも泣きそうなパンRを灯籠祭りへ連れ出した。大道芸を見たり、飴細工を買ったり、池蟠のおかげでパンRはいつの間にか笑顔が戻る。そこで池蟠は安くて美味しい店に入って食通ぶり、酒を飲みながら酔狂な武勇伝を語って新鮮味を醸し出し、蝋燭が瞳を照らす時になって真面目な話を始め、真剣さを演出した。しかし花街で育ったパンRには全てお見通し、その手の口説き方なら聞き飽きているという。池蟠は仕方なく率直にパンRへの想いを伝えたが、パンRからはっきり拒絶された。「あなたを好きじゃない…豆腐脳の好みだって甘味と塩味がある、優劣ではなく味が違うの」池蟠はまだ納得できなかった。そこで帰りの道すがら、運命を信じて賭けをしたいと頼む。「私が勝てば君は私といる、私が負けたら3つの要求に潔く応えよう」「いいわ…」その時、橋を渡る男の子が見えた。「次に橋を渡るのが男か女か当てるのはどう?」「男だ、遊び仲間がついてくる」しかし子供を追ってきたのは母親だった。。・゜・(ノД`)・゜・。うわ~ん!踏んだり蹴ったりの池蟠、思わず手巾で顔を覆い、悔し涙に暮れる。するとパンRは池蟠のため露店で人形を買い、身代わりに渡した。パンRは賭けに負けた池蟠から顧千帆の身の上を聞くことにした。すると池蟠は幼い頃に知った隣家の秘密を明かす。「奴の両親は家に背き、外地で婚姻を結んだらしい だが祖父の顧審言(コシンゲン)はかつての礼部の高官で、とんだ堅物じいさんだった …思い出した!ある日、じいさんが激怒していたんだ 程なくして千帆が母親に連れられて顧家に来た、てっきり奴の伯父の隠し子だと思ったよ だが奴の父親が追いかけてきて裏門を叩き続けていた 奴と母親は中で泣き続けていたが、爺さんが父親に怒鳴っていた ″顧家には百年の誉れがあり、ハエだか犬だかの婿はいらぬとか何とか…」「蝿営狗苟(フウエイクコウ)ね、恥知らずのことよ」「それだ!で伯父が父親を追い返しながら言っていた ″千帆は母親の姓を名乗る、蕭(ショウ)姓ではない″って…」パンRは顧千帆が実母を叔母と呼ぶ理由を知り、実父が蕭欽言(ショウキンゲン)だと気づいた。当時、通りには屋敷が3邸、顧家と池家、蘇(ソ)家があった。蘇家の娘は銭塘(セントウ)の楊(ヨウ)家に嫁いだが、残った家族は疫病で死に絶えたという。池蟠の両親も世を去り、今や当事者以外でこの秘密を知るのは池蟠だけだった。「あなたも黙っていて」「君が聞かなければ話すこともなかったよ」「…そうだ、あなたは東京織物組合の会頭よね?」するとパンRは2つ目の要求に応えてもらうことにした。パンRが桂花巷(ケイカコウ)に戻ると、門のそばに黄色い花が飾ってあった。…黄色の花を掛けたら茶坊で落ち合おう…しかしパンRは花をもぎ取って捨ててしまう。屋敷に入ると宋引章(ソウインショウ)が欄干に腰掛けて待っていた。あれから店でちょっとした問題が起こったが、引章が解決したという。すると引章が改めて2回も間違いを犯したと謝罪した。「賎民であることが不満の原因だから賭けに出る… あなたを世間知らずと言いながら、その年頃に私も欧陽旭の偽りの誓いにだまされたわ 今だって一向に成長していない だけど女子とは梅の花のように風霜を経験するほど美しい花を咲かせるものなの」パンRは花月宴と千山閣が順調なのは引章の力が大きいと感謝した。引章はパンRを母屋まで送り、窓を閉めることにした。するとうっかり棚にある重石代わりの花瓶を倒し、書類が散らばってしまう。「大丈夫よ、もう休んで」パンRは引章を帰して髪をほどこうとしたが、ふと鏡に映る手形に気づいた。「三千貫って…」パンRは葛招娣(カツショウテイ)にすぐ陳廉(チンレン)を呼んでもらった。陳廉の話では顧千帆は遼(リョウ)の使者の歓待を命じられた日に荘園を売ったという。「あの日、馬車に隠れて私を避けたのはなぜ?」「″会いたいが会えないと″…あんなに怯えた姿を見るのは初めてです パンR姐に許してはもらえないと恐れる何かを抱え、逃げたのです」そんなある日、永安楼で騒ぎが起こった。孫三娘(ソンサンニャン)は顔馴染みの文人・袁屯田(エントンデン)のため自ら配膳に出たが、厨房へ戻ろうとした時、杜長風(トチョウフウ)が現れる。「今日は趙娘子(ニャンズー)に用があるんだ」すると階下から池蟠たちの怒号が聞こえた。どうやら子供が届け物の菓子を盗み食いしたらしい。三娘は上階からのぞきこんだが、その子供の顔を見て驚愕した。「子方(シホウ)?」「娘(ニャン)…」皇帝から調査を任された雷敬(ライケイ)が謁見した。江南の密偵はまだ戻っていないが、東京にいる銭塘出身者に当たったところ、皆が口を揃えて楊運判は確かに趙氏の店で絵を買っていたと証言したという。しかも潤(ジュン)州知州の呉銘(ゴメイ)に至っては楊家で夜宴図を見たことがあった。皇帝はパンRの話が本当だと確信し、欧陽旭と斉牧(サイボク)が皇后を陥れようと謀ったと憤慨する。すると雷敬は欧陽旭と斉牧も誰かに欺かれたのではないかと進言した。「すでに自害した鄭青田(テイセイデン)が関わっているやも… 死ぬ間際、遺書で罪を悔いたのは、誰かをかばうためやもしれません」雷敬は他に黒幕がいると匂わせ、皇帝があの夜宴図を贋作とも真作とも認めないよう上奏した。皇后・劉婉(リュウエン)は今回も九死に一生を得たと分かった。…当時、多くの困難を乗り越え、今の地位がある、過酷な数十年がさらに続くなど我慢ならない…斉牧は雷敬と接触、なぜ付き合いのない自分を助けたのか聞いた。すると雷敬は皇帝に昇(ショウ)王しか子供がいないことから、いずれ昇王が即位すれば皇后が実母ではないことを知るという。「その時、皇后派は皇帝の支持を失う、巻き添えはご免です 今後は密かに斉中丞と助け合いたい、宰相となる日を待ちます」「その暁には貴殿を太尉として迎えよう」「感謝します…ただ陛下の激しいお怒りを静める矛先が必要でしょう」「それなら考えがある」高鵠(コウコク)は欧陽旭を呼んで激怒した。妹の賢(ケン)妃の話では皇后が皇帝の寵愛を取り戻し、夜宴図が欧陽旭の虚言だと一蹴したという。「そんなはずは…贋作なら皇城司とパンRが追うはずありません!…あ」欧陽旭はうっかり口をすべらせ、本当は西京(セイケイ)で絵を手に入れたのではなく、パンRからもらったとばれてしまう。すると高鵠はようやく分かった。夜宴図の秘密を知った欧陽旭は皇后派の宿敵・斉牧に身を寄せ、再起を図ったのだろう。顧千帆とパンRがいずれ出世の妨げとなるのは目に見えていた。そこで夜宴図の出所をごまかし、皇帝を利用して顧千帆に隠蔽の罪を着せようとしたのだ。しかし今や夜宴図が贋作か真作かは問題ではない。「巷の噂では陛下がお忍びで永安楼を訪れたらしい もし事実ならパンRが陛下に何を伝えたのか、予想もつかぬ」追い詰められた欧陽旭はもはや自分たちは同じ穴の狢だと開き直った。「私を救う気がないと言うなら、愛の証しの腹当ての半分を人目にさらします」一方、蕭欽言は雷敬が斉牧の信用を得たと聞いて喜んでいた。このまま清流派に打撃を与え続ければ、皇帝はかえって警戒心を強めてしまう。今回、雷敬は斉牧に助け合おうと持ちかけ、同時に皇帝に斉牧の手抜かりを印象づけてくれた。「これにより陛下が抱く清流派へのわずかな好感も砕け散って跡形もなくなる… 安心せよ、いずれ私が朝廷と君主の補佐を一手に握る、その時は悪いようにはせぬ」欧陽旭は帰りの道すがら、見覚えのある刺繍を持った女人を見かけた。「すいません、この手巾は?」「東京の至る所で売っているわよ?」驚いた欧陽旭が露店に駆けつけると、確かに色々な名前入りの手巾が売っている。「誰の仕業だ…」そこで欧陽旭は高府に戻り、高慧の部屋に乗り込んだ。「君の仕業か?」欧陽旭の手には″慧″と刺繍が入った手巾がある。「一つ条件をのむなら君が必要な物を返そう」つづく( ๑≧ꇴ≦)最後に笑うのは誰だ?!おじいちゃんたちが気になって男主と女主の話がどうでも良くなってるwww
2023.06.07
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梦华录 A Dream of Splendor第34話「皇帝の苦悩」欧陽旭(オウヨウキョク)は皇帝に謁見し、皇后が操を失った身で陛下を欺き、皇后の座に就いたと弾劾した。その証拠に″夜宴図″を提示、歌い手の中で鼓を打っている女子が皇后だと指摘する。「図上の女子の衣に記されている姓名をご覧に…」皇帝は皇后を侮辱したと激怒、欧陽旭に向かって硯(スズリ)を投げた。しかし欧陽旭は人倫の道を正すためだと訴え、皇帝が讒言だと思うなら死をもって謝罪するという。そこで皇帝が投げた硯を拾い、自分の頭を打ちつけた。「陛下…忠言は耳に逆らうものですが、賢帝は虚心坦懐に受け止めるものです」すると欧陽旭は意識を失ってしまう。一方、池蟠(チハン)は趙盼児(チョウパンアール)の店主としての手腕に感心していた。パンRは自分にできるのは他の酒楼の真似事くらい、そこで工夫を凝らしたという。料理の腕なら孫三娘(ソンサンニャン)の上がいるが、そのかわり新鮮かつ精巧な江南料理を出し、飽きられたら西北料理を提供すればいいという。酒が醸造できない永安楼は李家の中等品しか出せないが、香料を加えて別物にしていた。しかし琵琶や舞なら他の酒楼とは水準が違う。「私は趣向を変えているだけよ」「素晴らしい!」池蟠は今やすっかりパンRに心酔し、いっそ一緒にならないかと口を滑らせた。「あ、聞き流してくれ」欧陽旭は骨折したが命に別状はなく、皇帝も直言の臣を罪には問えなかった。皇后派の大臣たちは慌てて駆けつけたが、皇帝が激しい頭痛に襲われ、玉座でうずくまってしまう。その時、永安楼の賓客の1人だった林頻(リンヒン)が酒の入った小瓶を出し、これを飲めば痛みが和らぐかもしれないと進言した。蕭欽言(ショウキンゲン)は止めたが、皇帝は藁にもすがる思いで飲んでしまう。「…ん?効いたぞ?治った!」皇帝は林三司に同じ酒を手配させるよう命じた。聞けばこの酒は永安楼特製の蘇合鬱金(ソゴウウッコン)酒で、南洋の珍しい香である蘇合と鬱金には活血止痛と行気解鬱の効能があるという。「例の花月宴の店か…」実はこの酒は貴賓室の秘酒でなかなか手に入らず、林三司も2度目でようやく手に入れた代物だった。「永安楼には宋引章(ソウインショウ)という女将がおります 教坊司の琵琶色の教官で、蕭(ショウ)宰相の寿宴では柯(カ)老相公から″風骨″の2文字を贈られたとか」「軽々しく筆を下さぬ柯政(カセイ)が?楽妓に揮毫(キゴウ)を?!」驚いた皇帝はすぐ琵琶が聞きたいと訴え、お忍びで宮中を出た。顧千帆(コチェンファン)は鼠捕りの傷も落ち着き、孔午(コウゴ)と宮中を巡回していた。そこで妻帯者の孔午に夫人がへそを曲げた時にはどうなだめるのか聞いてみる。「烈女も愛にはほだされるものです、身を案じさせるのが肝要かと…」日が暮れる頃、池蟠と可四(カシ)は永安楼へ近づく舟を見つけた。客は林三司の紹介状を持っていたが、可四は予約がなければ入れないと断る。しかし池蟠は侍従の様子から大物の客だと見抜き、西の間なら空いていると勝手に案内した。パンRは池蟠が連れてきた一見の客を雨水廰(ウスイチョウ)に案内、ひとまず下がった。池蟠も葛招娣(カツショウテイ)もどこの富豪かと興味津々、するとパンRは龍涎香(リュウゼンコウ)の香りがしたという。「引章が銭(セン)王太妃から下賜されていたわ」ともかくただ者ではないことは事実、池蟠は丁重に接待しようと言った。侍従は酒を運んだ招娣の酌を許さず、自分で注いだ。また料理を取り分ける時も、さりげなく銀製の箸で毒見している。すると貴人は琵琶を奏でる宋娘子の姿がないことを訝しんだ。「お気づきでしたか…ご不調があると拝察しました 静謐(セイヒツ)を好まれるかと思い、借景として外で演奏させていたのです」パンRは頭が痛い時は誰でも音曲を聴きたくないものだと言った。皇帝は聡明で気が利く店主を気に入った。するとパンRが銭塘(セントウ)で育ったと聞いて話は思わぬ方向へ向かう。「両浙路転運判官(リョウセツロテンウンハンガン)・楊知遠(ヨウチエン)も銭塘に居を構えていたな…面識はあるか?」その頃、宮中では陳廉(チンレン)が慌てて巡回中の顧司使を呼び止めた。実は拱宸(キョウシン)門から出た馬車が皇帝の腰牌を提示したので追求できなかったが、侍女によると皇帝がお忍びで出かけたという。皇帝の護衛は御前司(ゴゼンシ)の務めだったが、顧千帆は何かあれば皇城司も責めは免れないと考え、密偵を送ることにした。パンRは楊運判と面識があると認め、何度か屋敷を訪ねたこともあると明かした。文人が集う茶坊を営んでいたため、仲立ち人として作品の鑑定に楊府へ行ったのだという。「楊運判には数々の名作を買って頂きました 例えば荊浩の″雪廬図(セツロズ)″、王靄(オウアイ)の″夜宴図″…懐素(カイソ)の″会棋帖(カイキジョウ)″などです でも惜しいことに火事で全部、消失してしまいました」貴人は夜宴図と聞いて一瞬、表情を変えた。「だが夜宴図は複数、存在していると…私も何枚も見た」「鎌をかけても無駄ですわ~ふふふ、夜宴図は1枚だけです」そこでパンRは妙技・茶百戯で夜宴図を再現してみせた。「幅は5尺ほど、主の両側に客人がいて…こちらには踊り子が…月も出ていました 踊り子の躍動感を出せないのが残念でなりません で員外は…いつ頃、夜宴図をご覧になりましたか?」※員外=宋時代の尊称「覚えておらぬ」するとパンRは大枚をはたいて表装させた名画が焼失するとは残念だとぼやいた。「切れ地の緑陵湖(リョクリョウコ)と軸棒の檀木(ダンボク)だけでも1貫もかかりました」皇帝はパンRの詳細な説明を聞きながら、欧陽旭が献上した夜宴図の表装とは違うと分かった。パンRは招娣を連れて下がった。貴人の正体を察したパンRは招娣に陳廉を探して顧千帆の居場所を聞き出すよう頼む。「私が命の危機にあると直接、伝えて欲しいの」一方、皇帝は中庭で身を潜めていた護衛を呼び、パンRの話の真偽を調べるよう命じた。「皇城司の者に見知られぬようにな」実は皇帝は皇后の過去を知っていた。本当に欧陽旭の絵が贋作なら清流派も口をつぐむだろう。「戻るぞ」その頃、顧千帆は永安楼の近くに御前司の馬車が止まっていると知り、慌てて馬を駆けた。パンRは貴人を見送りがてら、頭痛の時には熱い生姜湯に浸した手巾を額に置くと良いと助言した。すると皇帝は女子の身でありながら、なぜ酒楼を営む気になったのかと尋ねる。パンRは男女に能力の差はないのに見下されると嘆き、女子が正店を営むなど言語道断という組合を見返したいと訴えた。その語りぶりはまるで劉婉(リュウエン)のよう、皇帝は思わずある女子を思い出すと吐露する。「その女子は成功を収められましたか?」「私を補佐し、家を取り仕切ってくれている、完璧にな」「奥方でしたか?!どうぞ守ってさしあげてください 奥方は女子ですし、上に立つ者は恨みを買いやすいですから…」パンRは自分にも守ってくれる相手がいたが、今は別れてしまったと話した。「優しい人でした、賎民だった私を正妻として娶ろうとしてくれました、だから恨んではいません」貴人は蘇合鬱金酒を土産に舟で帰って行った。すると引章が慌てて駆けつけ、陳廉によると今の客は皇帝だったという。報告を受けた顧千帆は永安楼に向かっていた。しかし皇帝の警護を担っているのは御前司、驚いたパンRは陳廉に皇城司を撤退させるよう引章に伝言を頼む。「陛下に知られたら大変なことになるわ」「分かった!」パンRは顧千帆を引き留めに行くため、池蟠に馬車を頼んだ。すると池蟠は自ら手綱を握って送ってくれる。「顧千帆に会ったらはっきり言うんだぞ?情に流されたらまた涙することになる」一方、顧千帆は途中で馬を乗り捨て、人混みの中を走り始めた。その時、ちょうど橋の真ん中で顧千帆を探すパンRを見つける。「ついて来い」池蟠は馬車を置いてからパンRを追いかけて橋を登ったが、すでにパンRの姿はなかった。顧千帆は人目を避けてパンRを橋のたもまで引っ張って行った。「大丈夫か?何があった」「夜宴図の話が出た時、陛下だと確信したわ 欧陽旭が帰京できたのは夜宴図を手に入れたからよ、陛下は欧陽旭から聞いたのね」パンRは皇帝に欧陽旭の絵が贋作だと吹き込んだと明かした。欧陽旭は皇城司があの絵を探していたことも、顧千帆とパンRの仲も知っている。パンRは顧千帆を報復から守るため、表装裂(ギレ)の色から贋作だと思わせたのだ。「私の手抜かりを補えるのは全ての事情を知るあなただけ、あとは頼んだわ」「なぜ己を窮地に追い込む?口封じで殺されるかもしれないのだぞ?!」「…あなたを恨んでる、でも死んでほしくない」するとパンRは話なら終わったと言って帰ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)鼠取りの傷がかなり重症らしいwww
2023.06.07
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梦华录 A Dream of Splendor第33話「花月宴」葛招娣(カツショウテイ)は陳廉(チンレン)から聞いた話をありのまま趙盼児(チョウパンアール)に伝えた。詳しい事情は分からなかったが、確かに皇城司(コウジョウシ)の極秘任務ならかん口令がしかれ、顧千帆(コチェンファン)の居場所を隠したのかもしれない。しかしパンRは納得できなかった。「だったらなぜあの時、馬車から降りず、私に会わなかったの?」すると招娣はそれ以上、何も言えなくなってしまう。3日後、永安(エイアン)楼が満を持して開店した。高楼は賓客をもてなすための一元(イチゲン)閣、誰もが楽しめる千山(センザン)閣、そして毎日、違う演目を行う万水(バンスイ)閣に別れている。店内は顔馴染みを始め豪華な顔ぶれが揃ったが、一元閣はまだお披露目されなかった。パンRの話では一元閣には最初の賓客として東京(トウケイ)で名高い文人12名を招き、宴を催す予定だという。「明日、花月箋(カゲツセン)を12名の方に送ります、さてどなたに届くだろうか?」池蟠(チハン)は思わせぶりなことを言った。パンRは一元閣に招待する文人に招待状を書いた。当日は極上の料理と宋引章(ソウインショウ)の琵琶を楽しめる花月宴を開催、しかし50貫という高額な値をつける。「東京なら半年、家を借りられる!」招娣は目を丸くしたが、パンRは新たな客を得るためにも高値で関心を引くと説明した。花月宴に50貫の価値があると思わせるため、あえて初日に一元閣を閉めたという。「その代わり明日は少しの失敗も許されないわ」花月宴では美酒と美食だけでなく、楽しい歌と雅な舞が揃っていた。パンRの狙い通り賓客たちは五感を満足させ、まさに至福の時だと感激する。そして最後は夜空に大輪の花が上がり、宴を締めくくった。↓引章、どした?w↓実は可愛い招娣↓イーフェイよ…桃花の教訓を忘れたか!w花月宴の花火を顧千帆は父と2人で船の客室から見ていた。蕭欽言(ショウキンゲン)はパンRが人日(ジンジツ)から元宵(ゲンショウ)のにぎわいを酒楼の開店に利用したと気づき、やはり商いの才覚があると感心する。「傷はもう良くなった頃であろう?いつ婚礼を挙げる予定だ?」顧千帆は父の白々しい問いにうんざりした。「我らが会わない理由を知っているはずだ、父親を殺した敵(カタキ)の息子に嫁ぐ女子などいない… 私が疑わないとでも思ったか?あなたにとって周りの人間は駒でしかないのだな」思えば帽妖(ボウヨウ)騒ぎも斉牧(セイボク)たちを打ち倒すため自分を利用したのだろう。しかし助けるのはこれが最後だ。顧千帆は急に茶碗を割ると、破片で手の平を切って血を流した。「人の血は盃(サカズキ)10杯分だとか…あなたを助けた船上で2杯分、失った その後、あなたがパンRの父を殺したと知り、心を痛めて2杯分、吐血した そして今、最後の1杯分を返す…父子の縁はこれで切れる」すると顧千帆は最後の忠告を伝えた。恐らく父は捨て身で東京へ戻った斉牧を恐れて自分を呼んだのだろう。「斉牧の新たな腹心・欧陽旭(オウヨウキョク)がまもなく高鵠(コウコク)の婿になる…話はそれだけだ」その夜、パンRの母屋の回廊からうめき声が聞こえた。招娣は咄嗟に水を汲んで賊に浴びせかけたが、よく見ると顧千帆がねずみ捕りに足を挟まれている。すると目を覚ましたパンRが窓を開け、冷ややかな目で見ていた。「…なぜこんなところにネズミ捕りが?」「ネズミが走り回るからよ」そこへ騒ぎに気づいた孫三娘(ソンサンニャン)と宋引章(ソウインショウ)が駆けつけた。「宴の招待状をねだりに来たなら見当はずれね」顧千帆はパンRに大事な話があると訴えたが、パンRは顧千帆から預かった土地の証文と蔵の鍵が入った袋を窓から放り投げ、閉めてしまう。顧千帆はやつれたパンRを心配した。しかし三娘に諌められ、今夜のところは黙って帰ることにする。濡れ鼠となり、足を引きずりながら庭を歩いて行く顧千帆、その哀れな背中をパンRは窓紗からそっと見守っていた。↓( ๑≧ꇴ≦)チェンファンwwwここで初めて好きになったわw宮中では皇后・劉婉(リュウエン)が頭痛持ちの皇帝のため、こめかみを按摩していた。清流派は相変わらず皇后が政に関わらぬよう必死、劉婉も自分を追い出すつもりだと分かっている。皇帝は頭痛の際に皇后に上奏文の批准を代行させた自分のせいだとなだめたが、その時、植木の手入れをする宮女たちの話し声が聞こえてきた。なんでも永安楼という店には美しい菓子があり、見せ物小屋では女子の相撲まで見られるという。すると皇帝は身体の具合が良くなったら皇后を連れてお忍びで永安楼へ行こうと約束した。欧陽旭は抱一(ホウイツ)仙師の祭詞を届けに来たという口実で謁見した。なぜ欧陽旭が来たのか首を傾げる皇帝、すると欧陽旭はいきなりひざまずき、国を揺るがす事態のため嘘をついて上奏に参上したという。「皇后に関することです…操を失った身で陛下を欺き、皇后の座に就いたのです!」「なんだと?」つづく( ๑≧ꇴ≦)どさくさにまぎれて可四まで踊らせるとかw
2023.06.05
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梦华录 A Dream of Splendor第32話「顔の見えない再会」池蟠(チハン)が所有する永安(エイアン)楼で再起を図ることになった趙盼児(チョウパンアール)たち三姉妹。実は永安楽はもともと見せ物小屋で、今もその名残が残っていた。するとパンRは懐かしそうに演舞台に立ち、池蟠に官妓だった子供時代の思い出を語る。「幼い頃はだいぶ苦労したわ…」そんなパンRを優しく諭し、可愛がってくれたのが宋引章(ソウインショウ)の姉だった。引章の姐は良くパンRを見せ物小屋へ連れて行った。見せ物小屋ではいつも笑いが絶えず、歌や舞をみて楽しめる唯一の場所だったという。官妓だった数年間は振り返るのも辛い過去、それでも見せ物小屋だけはパンRにとって美しい思い出だった。するとパンRがふいに舞を披露する。池蟠はその美しさに見惚れていたが、ふと引章の姉の行く末が気になった。「で、琵琶精の姐姐は?」「…聞かないで」パンRは話題を変え、酒楼の中に見せ物小屋を作ろうと持ちかけた。「人が世を知るには五感を使って色・声・香り・味を感じ、触れて考える… 永安楼の料理と酒を東京一にするとは言えないけれど、他の4つを極めたい 美酒と美食に楽しい歌と雅な舞があり、俗楽や欲望もある場所よ 宴者は決して蔑まれたりせず、民も高官も貴人も一緒に楽しめる… これこそいまだかつて東京になかった酒楼だわ 急激な変化が必要だけど、池衙内は同意するかしら?」池蟠はパンRの壮大な計画に魅せられ、興奮してうっかり鼻血を出した。( ̄ii ̄)ぁ… (・ω・ `)あら…その頃、皇城司(コウジョウシ)では陳廉(チンレン)が昏睡する顧千帆(コチェンファン)に付き添っていた。「顧司使、起きてください、実はパンR姐が大変なんです」するとうっ血を除いた顧千帆がようやく目を覚ます。「…何があった?」顧千帆は宮中へ向かう道すがら、馬車の中でパンRたちの最近の様子を聞いていた。陳廉は心配ならこれからパンRに会いに行こうと言ったが、顧千帆は合わせる顔がないという。「私とパンRは一緒になれないんだ」その時、馬車が前を歩く人を避けきれず、急停止した。孔午(コウゴ)はパンRたちがいると報告、すると顧千帆はパンRが池蟠と一緒だと気づいて困惑する。「陳廉、池蟠に脅されていないか聞いてこい」車から降りた陳廉はなぜ敵対していた池蟠と一緒にいるのか聞いた。実は都に戻ってようやく望月(ボウゲツ)楼や茶坊の件を知ったという。「無事ですか?招娣(ショウテイ)は?」「それはあなたの質問なの?誰かの問い?」「もちろん私です、ともかく池蟠とは距離を置いた方が…」「過去なら断ち切った、私が誰といようと他人に関係ないわ」すると池蟠はパンRの心情を思いやり、聞こえよがしに自分の織物店で休もうと誘った。パンRは立ちすくんでいたが、馬車の中にいるであろう顧千帆は息を潜めて出てこようとしない。顔の見えぬ再会、パンRは信じていた顧千帆の裏切りに深く傷つき、池蟠の店に入るとひとしきり泣いた。傷心のパンRは永安楼の修繕作業に没頭し、悲しみを紛らせていた。今やすっかりパンRに心酔する池蟠、実は望月楼の店主を脅して300貫を取り返して来たという。しかしパンRは自分が契約を反故にした以上、違約金を支払うのは当然だと言った。「心遣いには感謝しているわ、でも返して来て」池蟠は仕方なく手形を納め、顧千帆に傷つけられたパンRを励ましたかったと明かす。「永安楼のことは全て君に従う、あの時の君の言葉を生涯、忘れないよ いまだかつてない東京の酒楼、その実現のために努力する」「…真面目な姿は初めてね、何だか慣れないわ」パンRは怪訝そうな顔をして厨房へ向かった。「真面目な私が好きなのか?…ブッ!( ̄ii ̄)ぁ…」孫三娘(ソンサンニャン)は見事な包丁さばきを披露して厨房を手中に収めていた。招娣は女将となり、古参の給仕たちへの挨拶を済ませる。一方、引章は弟子の素娘(ソジョウ)たちを集め、見せもの小屋では出演料のほかに売った酒の1割を払うと説明した。歩合金がもらえるとあって大喜びの素娘たち、こうして新永安楼の準備が着々と進む。そんなある日、高慧(コウケイ)が永安楼にパンRを訪ねた。婚礼が決まったと聞いたパンRは祝福したが、相手が欧陽旭(オウヨウキョク)だと聞いて唖然となる。「西京(セイケイ)から戻ったの、斉中丞(セイチュウジョウ)に取り入って昇進し、私の弱みを握って脅して来た …今の欧陽旭は冷酷な毒蛇のよう、次はあなたを狙うはずよ、くれぐれも気をつけて」杜長風(トチョウフウ)は欧陽府を訪ねた。叔徳(シュクトク)は不在だと言って追い返そうとしたが、杜長風は強引に入ってしまう。「やはりいたか!」すると騒ぎに気づいた欧陽旭が現れ、叔徳を下げた。「急遽、陛下に召され、新たな職に就き、連絡する暇がなかった、どうか許してくれ」欧陽旭は留守の間、使用人たちの面倒を見てくれた杜長風に感謝したが、気がかりなのは三娘のことだと分かっていた。東京に戻ってまだ日は浅いが、いろいろな噂が耳に入って来るという。「私と高慧が婚姻を結んだあと、パンRに報復するか心配なのだろう?」杜長風は図星だったが、欧陽旭はすでに過去への執着を捨て、今後は出世に力を注ぐと安心させた。杜長風は桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけ、欧陽旭の言葉を伝えた。引章は欧陽旭を信じられないと言ったが、パンRはそれが本心でも嘘でも、ひとまず自分たちと揉める気はないのだと安堵する。確かに高慧との婚姻を前に面倒ごとは起こせないはずだ。すると杜長風はうっかり欧陽旭が顧千帆とパンRの関係までは知らなかったと口をすべらせてしまう。杜長風は三娘が洗濯物を取り込むのを手伝うことにした。三娘は杜長風にパンRの前で顧千帆の名を出さなによう釘を刺し、考えれば考えるほど顧千帆に腹が立つと嘆く。「…男ってろくでもない」「私はろくでもある!…違う、ろくでもなくない」すると三娘は口下手な杜長風のため自分から告白した。「私はあなたが好き、遠回しに言うのは苦手だから…共に生きるなら正式に娶って欲しい でもいくら独り身が不便だからって、適当な相手を選んでは駄目、よく考えて」「私だって正式な官職もないし、肝が小さく、少しのことで震えてしまう でも両親は早世したから舅姑の世話は不要だ、へそくりはしない、女遊びができる性格でもない それにいずれ八品になる私に嫁げば、婚儀で礼服を着ることが叶うぞ?どうだ?」杜長風は三娘への想いがあふれ、気がはやって口づけしようと迫ってしまう。驚いた三娘は杜長風を思い切り突き飛ばし、慌てて助けようと手を伸ばした。しかし誤って一緒に転倒、運悪く招娣に見られ、2人の関係がばれてしまう。顧千帆は欧陽府に見張りをつけた。欧陽旭は承知していたが静観している。淑徳はすでにパンRと縁が切れているため安心したが、欧陽旭はパンRと顧千帆を許す気など毛頭ないと言った。桂花巷に陳廉がやって来た。招娣は追い返そうとしたが、陳廉は母親の件を謝罪し、招娣に会いたかったと吐露する。しかし招娣はパンRに義理立てし、顧千帆の配下である陳廉とは相容れないと突き放した。「顧司使の心は変わっていないよ ただ遼(リョウ)の使者を迎えた際、重傷を負って回復せず、今朝も吐血した だから来られないんだ」「でも肝心な時に逃げたじゃないか?!そのせいでパンR姐は銭を借りようとひざまずいて…」「何か手違いが?司使は2つの荘園を売り、銭を集めた、パンR姐に渡したはずだ」「来られなくても言付けくらいできるだろう?」「…実は昨日の晩も密かに様子を見に来ていた」「昨日?」ともかく陳廉は欧陽旭にも見張りを付けたと教え、手作りの人形を贈って帰って行った。三娘は杜長風との縁談が決まったものの、パンRや引章の苦い経験を考えると不安だった。そう言えば沈如琢(シンジョタク)はあれからどうなったのか。引章は誓約書を持っていると安心させ、素娘が色々と報告してくれたと明かした。「世間の噂では沈如琢が林(リン)三司の侍女と密通し、私が激怒して琵琶で指を折ったとか…」「本当に折ったの?」「そうよ、でも折ったのは林三司だけど…」船着場の一件以来、引章は″風骨がある″と評判になっていた。そのため林三司は自分を避けて沈如琢を罰したのだろう。「やっと分かったわ、男なんておもちゃみたいなもの 退屈しのぎに遊ぶのはいいけれど、愛を期待しては駄目 好きなら嫁げばいいのよ、そして飽きたら別れたらいいの」「引章…ここを出てからずい分、変わったわね」「浮世を見限り、皮肉屋になった?…ふふ、今や私も風骨ある女子、多少は変わり者の方がいいの」招娣は陳廉から聞いた話をそのままパンRに伝えた。確かに皇城司の極秘の任務ならかん口令がしかれ、顧司使の消息を隠したのかもしれないという。しかしパンRは納得できなかった。「だったらなぜあの時、馬車から降りず、私に会わなかったの?」つづく( ̄▽ ̄;)引章___お姉ちゃんが本当に素敵な人に見えたわ〜
2023.06.04
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第18話東方青蒼(ドンファンチンツァン)は亡き父の元神と再会、怒りと憎しみを爆発させた。「お前は私を常に道具と見なし、情と愛を断つ苦しみを与えた… 私に父親殺しの汚名を着せ、誰もが恐れる怪物にしたのだ!」しかし先代は天賦の才を持つ青蒼だけが業火(ギョウカ)を習得できると信じ、月(ゲツ)族が生き延びるための唯一の希望だったと訴える。当時は赤地女子(セキチジョシ)の大軍に北も南も奪われ、先代にとっても苦渋の決断だった。「だからお前に殺される道を選んだのだ」すると黙って見守っていた小蘭花(ショウランカ)が口を挟んだ。「待って、古書には″その手で親を殺せば七情を滅せる″なんてどこにも書いていなかったわ」情の根を断つことは極めて困難で、何度も死んでは蘇り、全てを断つには幾千年もかかった。先代は秘術だけでは間に合わないと焦り、いち早く情の根を断つためには息子が自らの手で親を殺すしかなかったという。そこまでしても息子の七情はこうして蘇っていた。「今までのお前の苦しみを全て無駄にしてしまうのか? 己の情に溺れ続け、苦しみから抜け出せなくても構わないと? 青蒼!今すぐ業火の剣を抜き、私の魂を砕け!そうすれば情の根を全て断てる!」しかし東方青蒼は剣を抜かなかった。七情と共に蘇った記憶の中には優しかった父との楽しい思い出もあったという。すると東方青蒼は父を殺した苦しみはもちろん、情がもたらす全ての苦しみを受け入れると伝えた。 小蘭花は咄嗟に荷物の中から鞠を取り出して東方青蒼に差し出した。東方青蒼は受け取らなかったが、先代が鞠を招喚し、懐かしそうに眺める。すると先代は昔のように息子に鞠を蹴った。しかし東方青蒼は蹴り返すことができないまま、ついに燃犀花(ゼンサイカ)が燃え尽き、先代の姿も消散してしまう。「父亲(フーチン)…」蒼鹽海(ソウエンカイ)へ戻った東方青蒼は巽風(ソンホウ)の雷刑に立ち会った。すると30回を終えたとこで東方青蒼が雷道を止める。「残りは私が代わって受ける」驚いた觴闕(ショウケツ)は反対したが、東方青蒼の決意は固かった。東方青蒼は巽風の前で残りの雷道51本を受け、膝から崩れ落ちた。小蘭花と觴闕が慌てて駆けつけたが、巽風は身代わりになってくれた兄に困惑し、魂胆があると疑う。「東方青蒼…そんな芝居で私の心が動くとでも?」すると小蘭花は憤慨し、持ち帰った雲影鏡(ウンエイケイ)を置いた。「これを見るといいわ」東方青蒼の命に別状はなかったが、深手を負って静養することになった。小蘭花は薬湯を用意して寝所へ戻ったが、東方青蒼の姿がない。実は東方青蒼は先代の寝殿で独り、悲しみに暮れていた。そこへ小蘭花がやって来る。東方青蒼は弱みを見せまいとしたが、小蘭花は東方青蒼の手を取り、優しく抱きしめた。「以前は父の命日でも何も感じなかった、だが今は胸が苦しい… もう2度と父上に会えない…」七情を取り戻した東方青蒼は初めて誰かの胸で号泣した。小蘭花は献身的に東方青蒼を介抱した。子供のように苦い薬が飲みたくないと言えば、好物の鮮花(センカ)餅を作ると言って懐柔する。そんな兄の様子を回廊から巽風が見ていた。↓静養中は月影先生東方青蒼が薬を飲み終えると、小蘭花は独りで歩くよう勧めた。「その方が早く治ると医者が言ってたわ」「…無理だ、まだ痛む、お前が支えてくれ、ゴホッ!ゴホゴホッ!」小蘭花は東方青蒼の様子を心配そうに見ていたが、その時、觴闕が巽風が訪ねて来たと知らせた。すると東方青蒼はうっかり寝台から飛び出し、仁王立ちになって小蘭花に着替えを要求してしまう。騙されたと気づいて冷ややかな視線を送る小蘭花。東方青蒼はばつが悪くなり、仕方なくそのまま出て行った。巽風は静養中の兄に丁重に拝礼した。実は海市(カイシ)の件で話があるという。3万年前、東方青蒼が殺されたと蒼鹽海に伝わった時、南北の幽王が九幽を攻めようとした。すると追い詰められた巽風の前に仮面をつけた男が現れ、海市の創設を助けるなら南北の幽王を抑えると申し出たという。「素性を探らないことが助ける条件でした」巽風は海市主が月族の元神から祟気(スイキ)を作っていたと知り、この3万年を思い返して奇妙な点に気づいた。確かに自分が負けそうな時は海市主が流れを変えてくれたが、優勢になると決まって敵が盛り返して来たという。こうしてそれぞれの勢力が拮抗して内乱が続き、気がつけば月族の力が衰えていた。「万死に値する私をなぜ許したのですか?」「許してはいない、犯した罪はこれから戦場で償うがよい」「はい」巽風はまだ何か言いたそうだったが、結局、下がった。小蘭花は巽風がまだ東方青蒼を恐れていると気づいた。「仲直りするのは簡単じゃない、今度は偉そうな態度を取らないで 誰だってあんな顔で叱られたら怖いわ、親しみを見せるの そうすれば許したことが伝わると思うわ」「私にはできぬ」東方青蒼は強くあれと教えられ、敵を威嚇することはできても親しみを示すことなど教えてもらったことがなかった。そこで小蘭花はまず仏頂面をやめて笑えばいいという。「そうね…この角度がいい!」小蘭花は東方青蒼の口角を無理やり引き上げ、実の兄弟ならもっと親しくなるべきだと助言した。「抱きしめたり肩を叩くといいわ」結黎(ジエリー)は小蘭花の月尊への気持ちが芝居ではなく本心だと気づいた。そうでなければ命懸けで川に飛び込んだり、手作りで菓子を作ったりするはずがない。「しかも月尊の話をする時は目が輝いてる」小蘭花は動揺して菓子を落としたが、芝居だと否定した。巽風は兄から封印された10万の兵を解き放てる方法があると聞いた。「赤地女子は転生し謝惋卿(シャワンケイ)と名乗る、間もなく生まれるゆえ雲夢澤(ウンムタク)へ行け 玄虚の境へ連れて行き、元神を用いれば封印を破り、兵を連れ帰れる」「直ちに向かいます!」「待て…」東方青蒼は巽風を引き止め、ふいに手を上げた。すると巽風は反射的に怯んだが、驚いたことに兄が自分の肩を軽く叩く。「傷が治っておらぬゆえ、気をつけて行け」「はい!」觴闕は早速、小蘭花に月尊と巽風の様子を身振り手塗りで報告した。ゆっくりではあるが確かに情に慣れて来た東方青蒼、小蘭花はこれで善意や慈悲も思い出すはずだと期待した。しかし觴闕は月尊の変化が本当に良いことなのか分からないという。「古来、仙族と月族は相容れない 始祖・鹽女(エンニョ)が言い残したんです、″宿怨を忘れないことが月族の生きる意味だ″と…」東方青蒼が司命殿にやって来た。觴闕と結黎はそそくさと退散、すると東方青蒼が小蘭花に感謝を捧げたいという。その手には血が入った小瓶があった。実は月族の掟では感謝を示す時、自分の血を相手の顔につけるという。「月族の掟だ…お前には感謝している」「やめて~血なんか嫌よ」小蘭花は慌てて顔を背けたが、東方青蒼は嫌がると分かっていたので赤い顔料にしてあると教えた。「塗りたくない…」「私が捧げる初めての感謝だ、お前は拒めぬ」東方青蒼は小蘭花の頬に優しく触れ、赤い顔料を塗った。つづく( ๑≧ꇴ≦)罰を受けるためなぜか脱いじゃう月尊w
2023.06.04
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第17話小蘭花(シャオランファ)は東方青蒼(ドンファンチンツァン)が父を殺したという話に何か裏があると気づいた。しかし觴闕(ショウケツ)も当時の詳しい経緯はまでは分からないという。「でもきっと七情(シチジョウ)を断つ秘術と関係がある 太古の書に記されたこの術の成功例は尊上だけなんだ」小蘭花はその本を読みたいと頼んだが、觴闕の話ではすでに燃えて灰になってしまったという。小蘭花はともかく先代の寝殿で手がかりを探すことにした。しかし寝殿は禁足地のため、觴闕はたとえ寵愛される小蘭花でも侵入すれば命はないと止める。「先代のことで尊上を怒らせ生き残った者はいない、先代のことは尊上の心のしこりなんだ」「なら尚さら行かなくては…そのことで何万年もずっと苦しんできたのよ? 全てを解き明かして治してみせる、ゆっくり眠れるように…」小蘭花は独りで荒れ果てた寝殿に入って行った。すると觴闕も月尊を救えるなら死んでも構わないと賛同、小蘭花について行く。「ちょっと~2人ともどうかしてるわ!」結黎(ジエリー)は困惑したが、どちらにしても2人が殺されれば自分も道連れだと気づいて追いかけた。七情の木が復活した東方青蒼は怒涛のごとき感情に苦しめられていた。心海で目にしたのは青々とした大木、東方青蒼は根を断とうとしたが失敗する。すると再び幼い頃の辛い記憶が蘇った。あの日、東方青蒼は父の祝いに手作りの琴を贈ったが、父の逆鱗に触れる。『お前は楽妓か?時間を無駄にしおって!』父は東方青蒼に木彫りや琴を教えた乳母たちの処刑を命じた。激高した東方青蒼は衛兵の剣を奪って父に斬りかかったが、父を殺すことなどできるはずがない。しかし父は軟弱だと叱咤し、情に流される息子を何度も打ちつけた。小蘭花は先代の玉座を調べ、椅子の中に隠してあった化粧箱を見つけた。箱の中には觴闕が言った通り灰になった古書が入っている。「でもこの書は木でできてる、元に戻せるかも…」一方、東方青蒼は情を消すため、ある洞窟へ向かった。かつて父は息子の情が完全になくなるまで、この洞窟に東方青蒼を閉じ込めている。東方青蒼は月族を再興し、水雲天(スイウンテン)を平定するため、ここで死ぬよりも辛い修練に耐えた。そして七情を失った東方青蒼は臣下たちの前で父との手合わせに勝利、新しい月尊となる。しかし父は最後の試練として自分を殺せるか試した。ふいをついて背後から息子に襲いかかった父、その時、振り返った東方青蒼はついに父を刺し殺してしまう。小蘭花は古書を再生、七情を取り除くためにどれだけの苦痛を伴うのか知った。觴闕も月尊が荒れているのは七情の木の復活で過去を思い出したせいだと気づく。「永遠に先代を許せないでしょう…」「どうして先代は自分の息子にこんな仕打ちを?…きっと何か裏があるはずよ」小蘭花はあきらめきれず、先代の寝所を調べ始めた。すると思いがけず東方青蒼の手作りの琴や、鞠、書記が残した先代の記録が出てくる。「本当なら記録は書庫に保管するはずなのに寝殿に隠していたのね…」小蘭花が巻物を広げてみると、″先代が青蒼と巽風(ソンホウ)に業火(ギョウカ)の剣を試させた″という記載を見つけた。…巽風は業火に耐えられず剣を離したが、青蒼は自在に剣を振るった、鹽女(エンニョ)を除けば蒼鹽海(ソウエンカイ)で初めてのことだ…小蘭花は先代の想いに気づいて悲しくなった。息子が業火を操れると知り、先代はどんなに悲しかったか。最愛の息子は蒼鹽海を繁栄させるために業火を学び、七情を断つ苦しみを味わなければならない。「だから言ったのよ、″なぜお前が…″と」しかし結黎は言った本人しか真意は分からないと言った。すると小蘭花は確かにその通りだと納得し、先代に会いに行くという。仙族であれ月族であれ死者の元神は忘川(ボウセン)に眠っていた。小蘭花は川底にある帰墟(キキョ)の境まで潜り、先代の元神を探して直接、本心を聞くという。しかし元神を呼び覚ます燃犀花(ゼンサイカ)はすでに滅び去っていた。すると結黎が確か燃犀花は枯れていてもまだ霊玉数千個の価値があると思い出す。「枯れた?どこにあるの?!」実は枯れた燃犀花は寂月(セキゲツ)宮の霊宝(レイホウ)閣にあった。巽風が月尊だった時、父親が恋しくて探し回っていたところ、献上されたという。「私が盗み出したの」小蘭花は枯れた燃犀花を蘇らせようとしたが七情の木のようにはいかなかった。必死に霊力を注いで復活させようとする小蘭花。結黎はいつしか眠ってしまったが、ふと目を覚ますと小蘭花は古傷が開いて腕から血が流れていた。驚いた結黎は慌てて止めたが、その時、偶然、小蘭花の血が燃犀花に滴り、ついに蘇る。「分かった!血が必要だったのね」一方、東方青蒼も悪夢に悩まされ、また眠れずに朝を迎えた。すると腕の古傷が浮かび上がる。しかし今日はいよいよ巽風の処刑の日、觴闕がそろそろ刑場へ行く時間だと知らせた。東方青蒼は寝宮を出ることにしたが、その時、腕に新しい切り傷ができる。実は忘川に飛び込んだ小蘭花は激しい水流にもまれて切り傷を負っていた。なかなか戻って来ない小蘭花を心配そうに待ち続ける結黎、その時、月尊が現れる。「小蘭花はどこだ?」結黎は恐ろしさで口ごもったが、東方青蒼は小蘭花が忘川に飛び込んだと気づいて後を追った。その頃、小蘭花は帰墟の境に到着し、宮殿を見つけた。すると死者の元神がゆらゆらと近づいて来る。「もしや先代の月尊ですか?」小蘭花は荷物から雲影鏡(ウンエイケイ)を取り出し、燃犀花に術をかけようとした。しかし突然、東方青蒼が現れ、止められてしまう。「帰るぞ!」「まだ聞いてないの、なぜあなたに辛く当たったのか…」「要らぬことだ!」そこで小蘭花は先代の寝殿で見つけた琴を出した。東方青蒼は父が自分の目の前で壊した琴を直して持っていたと知り、唖然とする。「ここまで来たのよ、どうしても確認したいの…罰は戻ってからでいいでしょう?」小蘭花は急いで燃犀花に術をかけた。するとついに玉座に先代の月尊の姿が現れる。「そなたは?」「私はご子息に遣わされて…」「青蒼か?!青蒼は仙界を平定したか?月族の再興は?」小蘭花は何も答えられず、黙って琴を差し出した。先代は青蒼がくれた琴を懐かしみ、これを壊した時は心が張り裂けそうだったと嘆く。「嘘をつくな!」激怒した東方青蒼は父の前に姿を見せた。つづく( ゚ェ゚)そのジャラジャラした髪飾り、外して潜りなさいよ、ちょとw
2023.06.02
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