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2006年10月24日
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カテゴリ: オペラ
 東京文化会館 15:00~
 4階右側

 今日は22日の日曜日、比較的ヴェテラン組の方。

 手元に、「ランスへの旅」のCDがあります。アバド指揮ヨーロッパ室内管。主役級の登場人物には綺羅星のような面々がアサインされてます。コリンナ役にはチェチリア・ガズディア。1980年代の録音ですから、この人が一番良かった頃でしょうか。
 その他、レオ・ヌッチだのルッジェロ・ライモンディだの、ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニだの、フランシスコ・アライサだの、まぁきりが無いほどの豪華スターの競演であります。
 「ランスへの旅」は、フランス王シャルル10世の戴冠を祝う、祝典オペラ。初演時は当時の名歌手を取り揃えた、いってみればガラ・コンサートのようなものでありました。勿論内容もそれに見合った、次から次へと歌手達が入れ替わり立ち替わり現れては歌い、というようなものです。

 こういうオペラではあるけれど、勿論重唱も沢山ありますし、フィナーレのスタイルもロッシーニらしいもの。
 ランスへの旅が蘇演されたのが1984年、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでのこと。件のアバド盤はその際に録音されたもの。2001年に、ペーザロで、新しいアプローチが試みられます。それが今回の藤原歌劇団の上演に繋がるものなのですが、これは、若手歌手らに歌わせるもの。ペーザロでも指揮を務めるゼッダの今回の上演で初めて聞いたのですが、要は、綺羅星名歌手総動員でそれぞれの歌手の力量に委ねるのではなく、力量に限界はあろうとも歌手の粒を揃えて、アンサンブルを重視して聞かせるやり方。確かに、ガラ・コンサートなら、いい歌手を揃えなければ意味は無い。アンサンブルで勝負するか、個々の歌手で勝負するか?

 つまり、土曜日の比較的若手組がアンサンブル重視型で、日曜日(と金曜日)の比較的ヴェテラン組の公演が目指せガラ・コンサート!型であった、というわけだと思います。

 で、日曜日の公演は?
 結論から言うと、残念ながら、そのアプローチとしてはほぼ全滅です。ただし、正直言って、私がファンであるところの高橋薫子を除いては。
 ええとですね、キャスティングは藤原歌劇団のサイトを見て頂くとして、「ガラ・コンサート」と呼ぶにはやはり無理があるんですね。一部を除き概ね声量はあります。でも、個々人の名前は挙げませんが、それはもう歌ってるというより叫んでるだろうお前は、エレクトラじゃあるまいに、と言いたくなるような歌手もあり。それなりに深い声で歌っているつもりだろうけれど、声の限界、浅さが露呈してしまっている低声歌手あり。本当の主役級はそこまで酷くは無いけれど、一概に、一杯一杯の歌唱でした。聞いてる方は落ち着きません。
 で、なんでそうなるかというと、要は「頑張っちゃってる」からなので、そういう状況下でアンサンブルの妙を期待出来るかと言うと.........やはり無理。
 ヴェテラン勢だからそれなりに「ファン」だか「お弟子さん」だかも付いていて、それなりに賑わってはいましたが、特に前日の公演を聞いている身には、ちょっとねぇ。カーテンコールで佐藤美枝子 - 8年前にチャイコフスキーコンクールで優勝して一躍有名に - に盛んにブラボーが掛かってましたが、あれでは可哀想。出来の悪い演奏を褒めるファンほど性質の悪いものはありません。安定感の無い、大味な歌になってしまったのは、本人も分かっているだろうに.....
 全体を一言で言えば、結果的には、とっ散らかった感じの演奏になってしまいました。各人が卓越してるでもなし、よく揃ってるわけでもなし..........

 唯一、と書いた高橋薫子は、他の方には申し訳無いけれど、きちんとした歌を歌っておりました。(ま、私はファンなので、この辺は割り引いて貰うとして。)ヴェテラン、ではないけれど、そろそろ若手というのは失礼なキャリアです。久々の本公演大役。
 敢えて土曜日の砂川涼子と比べますが、率直に言って、高音の綺麗さでは、透明感がより強い砂川涼子の方がはっきり分かると思います。高橋薫子の声は、確かに、93年の「ランメルモールのルチア」で代役での歌唱、翌々年の「愛の妙薬」での歌唱などを思い起こせば、当時の透き通るような声色と技巧からはやや変わっていて、そういった面でのインプレッションは落ち着いた感があります。
 でも、その代わり、声に深みと厚みが増しました。重くなったというのではありません。昔から高音域の前の、中音域がしっかりした人ではあったけれど、それにまして、中音域が充実して、より歌唱に安定感が出ています。暫く前から宗教曲に興味がある、という話を小耳に挟んでおりましたが、確かにそうした曲で求められるような、技巧的高音域の前段の音域での歌唱が見事です。正直に言って、私はこのコリンナ役だけは、日曜公演の方に軍配を上げます。ソプラノは、高音のコロラトューラだけで勝負するものではないのです。
 失礼な物言いですが、こういうのを成熟と呼ぶのでしょう。本当に素晴らしいソプラノになりました。藤原にしても新国立にしても、もっとこの人に歌わせてあげて欲しかったけれど、今はこの「ランスへの旅」で素晴らしい歌唱が聞けたことを良しとしましょう。幕切れ前の、シャルル10世を讃えて歌うハープ伴奏でのアリアというか、ミニ・ソロ・カンタータは、見事なヴォイスコントロールで、東京文化会館の空間に過不足無い見事な歌唱を聞かせてくれました。

 歌手陣で他には、テノールのマキシム・ミロノフがもう一つで、少々残念でした。もうちょっと声が欲しかったですね。確かにいい声ではあるし、多少きらめきを見せるところもあったのだけれど、結論的にはもうちょっとかな。東京文化会館は確かに大きいホールですが、それにしても。

 オーケストラ。
 基本的には昨日とそう大きくは変わりませんでしたが、比べると少々大味加減が増していたような。思うに、土曜日のアンサンブル重視の演奏に対して、日曜日はアンサンブルの締め具合が緩かったのではないかな?結果、ややダルに流れる悪い面が少し出ていたように思います。演奏にそれほどおかしなところがあったわけではなかったけれど、もう少しきりっと締まった演奏でないと、ねぇ。昨年のチェネレントラあたりでの演奏に比べると、歌手陣のとっ散らかった感が伝染しているようで......いい時の東フィル、ではなかったなぁ、残念ながら。

 オペラファンとしては、一部の歌唱はよかったけれどねぇ.....という、あまり楽しくない気分で帰ってきたのでした。

 演出の話その他はまた続きで。







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最終更新日  2006年10月25日 02時52分39秒
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