流行り物は確かに流行り物なんですよ。でも、そもそもこのクラシック音楽業界というやつほど言ってる事と裏腹に流行り物が好きな業界も無い。深遠にして久遠の芸術みたいな顔をしておいて、たかだか25年で「至高の巨匠」(K.B.ね)を、聞く者も聞かぬ者も寄って集って「最近からすれば時代遅れ」にしてしまうのがこの世界。孤高にして至上の芸術主義者も没後15年もすれば one of them。本人はコカコーラと録音を毛嫌いしてる筈だったのに崇拝者は争って非正規録音に殺到し、挙句の果てに遺族が了承したとのお墨付きで「エディション」発売。末期にはご当人と同じくらいの大きさで某夭折のチェリストの名前がクレジットされる始末。挙句に安売り箱の準常連。古楽器ブームだって同じ。流行だから支持されてるけど、1970年代のERATOの古楽シリーズを同時代で狂喜乱舞した人はどれだけいたか。「空想の音楽会」シリーズは10年ほど前に復刻されたけど、それに付いて行ったファンはどれだけ居たか。いないんですよ、あまり。今の up to dateな古楽じゃないから。