“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2023.05.16
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メニューブックの作り方
 メニューはお客様にお店の価値を伝える重要なメディアであり、戦略的なツールである。
しかしながら、戦略的にメニューを作り、お客様にうまく伝えてない場合を多く見かける。
今回は、メニューブックの作り方と題し、戦略的なメニューブックの作り方を伝授していきたい。
今回は、メニューブックの作り方についてふれましょう。
 よくお店をお手伝いしていて、「このメニュー売れませんでした」という声を聞きます。
当然、せっかく苦心して考案したメニューにもかかわらず、「売れない」という理由から、最初は在庫切れを起こしたり、管理不行き届きのために評判を落としたりして、最終的に販売縮小となり、その商品の命は終わります。
残念なのは、これらの商品は、ちょっとした工夫で売れるようになるにも関わらず、廃盤商品のリストに収まってしまうケースが多いことです。
実際、多くの飲食店の場合、開発した商品が売れるか、売れないかをお客様の気まぐれななりゆきの選択に依存し、コントロールできていないのが現状です。
 しかし、戦略的なメニューブックを作ると、自分の売りたい商品を思うようにお客様に選んでいただけるようになり、店の特徴として、お客様に印象付けをすることができるようになるのです。
では、実際にどのメニューブックを作っていくのかを実例を見ながら説明していきましょう。

 まず、以前、私が、コンサルティングしていたラーメン屋さんの例を見てください。
この店は、店の活性化をはかるために、店舗の外装や内装をリニュアルし、今までと違った店にしようとなりました。そして、食材原価も高く、あまりお客様の評判が良くないとんこつラーメンをリニュアルすることが課題となったのです。
そんな折、若手社員が「マヨネーズとんこつラーメン」なるものを考案してきました。
最初、「マヨネーズを入れるんじゃ、しつこいんじゃないか・・」という印象がありましたが、実際食べてみると意外とおいしく、食べているとさっぱり感すらあるのです。
「これは売れそうだ」そんな思いが私の心の中を駆け抜けました。
 ここで、普通の店だったら、メニューブックの中に挟みこむ「おすすめメニュー」(差込メミュー)にのせたり、とんこつラーメンのバリエーションとして、グランド・メニュー(定番メニュー)に加えたりするところでしょう。
しかし、このやり方が、せっかく開発したメニューを育てない原因であり、あまり評判が良くないメニューを売り続けることによる、印象度の改善をはかれない理由となるのです。
 リニュアルは新規オープンも同じです。
その時に大切なことは、「捨てる」ことです。
メニューブックを作る上で、「捨てる」こと以上に大切なことはないのです。
そして、何を捨てるかがポイントです。
捨てるものは今まで、評判にならなかった原因、すなわち、売れていたものを捨てることなのです。
「売れ筋を切る」は売れていない店が、売れていないという事実を断ち切る場合、メニューブックを考える上で、一番大切なことになるのです。
 こう言いますと、必ず、次のような質問がされます。
「もし、ふつうのとんこつラーメンを食べたい」とお客様がおっしゃったらどうするのか?」
答えは簡単です。 お作りすればいい のです。店がお客様の要望に応え、お客様というのはその労に感謝するとお客様との絆は固いものとなります。
メニューブックで、「あえておすすめはしないけど、普通のとんこつラーメンを食べられること」を表示すれば、お客様のご要望にあえて応えることになり、普通のとんこつラーメンでもお客様に喜んでいただくことができるのです。
 メニューブックを作る上での二番目のポイントが、売りたい商品、この商品なら絶対ファンになる個性ある売るべき商品などを主役としてメニューブック上で表現をすることです。映画のパンフレットなどでは、主役や準主役、悪役などの写真は載りますが、脇役の人は名前が書いてあるだけですよね、メニューブックは店の良さをお客様に伝えるものなので、商品上での主役、準主役、悪役などメリハリをつけて表現しておくべきなのです。
 例えば、売りたい商品、売るべき商品にのみ写真をつけておけば、その商品が主役だというのがぱっとみてわかるわけです。
この時、食べているシーンを想起できれば尚いいです。例えば、最近デジタルカメラが発達したせいもあり、プロのカメラマンに依頼せず、自分自身で写真をとって、メニューをお作りになられた場合をみかけます。男性が写真を撮影した場合に多いのですが、真上から全体をとった写真を多く見かけます。しかし、こう撮ると、商品のスペックの説明のように見えてしまって、臨場感が湧かず商品の売れ行きに影響がでている場合が多々あります。
逆に、撮影するときに、斜め45度くらいの、自分が食べる視線と同じ角度にすれば、食事しているシーンと同じ環境の構図になり、「食べてみたい」と思っていただくことができるのです。ウリの商品なんですから、力いっぱい演出してください。
 同時に商品名の書体もメリハリをつけるといいです。
大衆的なイメージやカジュアルなイメージを演出したい場合は、字のフォントサイズを大きくしたり、太くしたり、下線をひいたりしてデフォルメをし、一目でわかるようにします。
雰囲気で売りたい場合は、目では明確にわかるかわからない範囲でメリハリをつけます。フォントサイズでいうと+1くらいで十分です。
 次にレイアウトです。一般的に写真や図版がある場合は、横書きならZになるように図版をレイアウトし、縦書きならNになるようにレイアウトします。
横書きの場合、売りたいものはなるべく、右下のほうに配置します。左上は、印象付けができるものがいいでしょう。印象付けができる商品というのは、事前期待に比べて事後評価が上がりやすいもの、すなわち、「意外とおいしかった・・」と印象を残せるものがいいでしょう。最初にお話をしました、マヨネーズとんこつラーメンや、納豆ソースのハンバーグのように、一見、合わなそうで、スタンダードなものの組み合わせが、お客様の好印象を残すようです。



開業コラム目次は こちら です。



大久保一彦の本


誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ]





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Last updated  2023.05.22 10:16:03


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