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カンボジアに地雷除去技術の実験に訪れた谷村、弓削、岡田、ジャーナリストの永井綾子と現地スタッフのコン。 実験は順調でしたが、弓削が、地雷を固める接着剤で頭を包み固まれた状態で、亡くなっているのが発見されました。 弓削は、かつて自衛隊に地雷を納品していたメーカーに勤めており、その製造技術を、地雷除去に生かすべく参加していました。 ダブル・ディッピング{(二度すくう)=対人地雷を製造する会社が、同時に対人地雷の処理機械も製造すること。二度利益を得るの意味。}への恨みが動機? 対人地雷の問題をはらんだミステリーです。 対人地雷は悪魔の兵器と言われます。敵味方なく、兵士・民間人の区別なく犠牲者を出します。 一回埋められると、長い時間いつまでも爆発の時を待っています。 殺さず、負傷して大きな障害が残る位の爆発になるように作られています。周囲の人にも大きな負担と恐怖を与えるためです。 戦争・紛争後の復興を妨げる地雷原が、2020年現在で60の国と地域に残っているそうです。犠牲になるのは、生活のため通ろうとした一般人やこどもたちです。 人の手が造りだした、人を不幸にするためにだけ存在する兵器。コンたちは、ムカデ型ロボットで除去に臨みます。彼らはその小さな手足を、未来へ向かって踏み出しているのだ。 引用および参照元:『Ultimate Mystery 究極のミステリー、ここにあり』 講談社文庫から 石持浅海『未来へ向かって踏み出す足』
August 31, 2021
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抹茶チーズケーキ味のカスタードケーキは、表参道の「茶茶の間」監修だそうです。抹茶味のお菓子にしては甘い。 お茶は黒豆麦茶です。東京土産と言えば「東京ばな奈」。ポケモンのイーヴイをゲットです。キャラメルモフアート味2個入り。中のクリームはキャラメルマキアート味のバナナカスタードクリーム、周りのスポンジケーキはチョコ味です。 ちょうどいい甘さ。お茶は、アーマッドの「スイーツティーセレクション」のシリーズで「ショコラヘーゼル」。 ミルクティーにもぴったりのお茶です。
August 30, 2021
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新進ジャズピアニスト新山夏樹は、約一年間の活動休止を経て復活ライブを行った直後に死体で発見されました。右人差し指を鋭利な刃物で切断され…。 兄のわたしは、捜査が進まないことにいらだっていました。指は死後切断されたことがわかっています。犯人の動機は? 猟奇的な殺人と思われる状況にも、合理的な理由がありました。 兄弟の絆が紬出した、演奏しない音が聞こえるセッションは、その場で聴いてみたいですね。聞く耳がない者には聞こえないか…。兄弟ならではのお互いへの思いやりが温かいからこそ、ラストが悲しい短編です。 参照元:『Ultimate Mystery(アルティメット・ミステリー)究極のミステリー、 ここにあり』講談社文庫から 蒼井上鷹『ラスト・セッション』
August 29, 2021
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しまなみレモンシフォンケーキと湘南ゴールドの寒天ゼリーをフレバリー・ルイボスティーと。ルイボスのまろやかさに柑橘類の爽やかさがよく合います。 リプトンの水出し「ルイボス&ホワイトピーチ」は夏にぴったりのお茶です。 お菓子の世界は秋の先取り。和栗のチョコパイは、フルーティーなフレバリーティーの「マルコポーロ」と。 ピスタチオのガレットサンドも期間限定。フルーツティーの「ストロベリークリーム」と。ドイツのフルーツガーデン・ハーブティー「ストロベリークリーム」は、ハイビスカス、ローズヒップに乾燥アップル、いちごが入ったフルーツティーです。 いちごの香りがしますが、味はハイビスカスとローズヒップの酸味が利いていて、「クリーム」の感じは全くありません。
August 28, 2021
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「シートン動物記」でおなじみのアーネスト・トンプソン・シートンが探偵役になる推理短編。 記者のわたしは、野生動物が事件を解いた(実際はシートンが探偵役になった)物語風の記事が好評だったため、今回もシートン老について熊狩りに来ました。 わたしたちは、金持ちの道楽で熊狩りに来たマイク・クレイトンと従兄弟のトニイ・ヴァインに会いました。 灰色熊ジャックに向かっていくマイクをトニイは止めるのですが…。 80歳を越えたシートン老ですが、灰色熊を目にしても「恐れるのはかまわない。が、怯えてはいけない」と言い切り、穏やかな態度を崩しません。 また、動物を「殺すのではなく、一緒に生きること。ありのままの姿を見ること。…」が真のトロフィーだと言います。 シートン氏への敬愛に満ちた文は気持ちよく読めます。 著者は『ジョーカー・ゲーム』で有名になりましたが、歴史上の有名人を探偵役にした作品も多々あります。 参照元:『Ultimate Mystery(アルティメット・ミステリー)究極のミステリー、 ここにあり』講談社文庫から 柳広司『熊王ジャック』
August 27, 2021
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あくまで主人公は花のつもりです。文字だけで教えられた歴史という闇の世界に一ふさ、あるいは一輪咲いている花々を、七つの殺人物語を借りて散らせたいと思います。 連城三紀彦の『戻り川心中』は、花葬シリーズの連作短編のうち五編を納めています。 表題の『戻り川心中』は直木賞候補にノミネートされ、TVドラマ、コミック化された作品です。時代を、作者が直接知らない明治から昭和初期にとり、リアリズム重視だった推理文壇に対し、ロマンを追究しました。 『戻り川心中』は、歌人の苑田岳葉の人生を描きます。 岳葉の初期の歌は、技巧に走り才に溺れすぎるきらいがありましたが、27歳で師の元を去ってから、人間の心情の襞が詠み込まれるようになったと評価されています。 妻ミネが胸を病んで療養所に入ってからの自堕落な生活の中、岳葉は桂木文緒と出会い、「桂川情歌」という生涯最高の傑作を生み出します。文緒との心中未遂、その後のカフェの女給との心中(女給の朱子だけが死亡)、三日後の自殺…。 苑田の生涯を小説化していたわたしは、岳葉について調べます。筍の皮をはぐように、今までと違う岳葉の顔が現れ、わたしは岳葉が心中した本当の理由を推理します。それは思いもかけないものでした。 二回にわたる自殺未遂というと、自己破滅型の作家、太宰治が浮かびますが、現実より小説はさらに奇なりというところでしょうか、苑田の人生はひと味違うものでした。 収録された全短編において、表面に現れていた事件の容貌が、展開に従って次々に違う面を見せていきます。その思いがけない展開に惹きつけられる短編集です。 引用および参照元:連城三紀彦『戻り川心中』講談社文庫
August 25, 2021
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莢子は、化粧品メーカーの美容部員をしていた頃、社内の店頭実演大会で優勝した経験がありました。内勤に転じてから頭角を現せず、寿退社していました。 しかし、急に転がり込んできた姑との同居で、夫婦関係もぎくしゃくして離婚に至りました。 莢子はかつて勤めた化粧品会社で、高齢者に対してメイクの相談にのるチーフアドバイザーに就任しました。時を経て、かつての夫から連絡が…。 わたしはノーメイクで過ごす時間がほとんどです。いまさら美しく粧いたいとも思わないのですが、もっと歳を重ねて、最期の時を迎える前にメイクしてもらったら、若い頃の情熱みたいなものを思い出すかもしれません。 莢子にとっては、化粧で人を輝かせる仕事こそ天職でした。金色のコンパクトケースの中の小さな鏡が、四十年前の幸福を映してきらりと光った。 引用および参照元:柴田よしき『猫と魚、あたしと恋』イースト・プレス から 『化粧』
August 23, 2021
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かんばん後のバー「愛子」でママたちがかたつけをしていると、路地の方から足音が乱れ、人が倒れる音がしました。 殺された銀行員の間宮は、予定表に、商談のため「愛子」に行くと書き込んで銀行を出ていました。商談の相手は一体誰だったのでしょう…。 容疑をかけられた若い男には、作並温泉にいたというアリバイがありました。このあたりの地理に詳しい方なら、トリックにぴんとくるかもしれません。 トリックが破られる場面は、さすがに鮎川哲也作品、爽快です。 参照元:『アリバイ崩し 鮎川哲也ベストミステリー短編集』講談社文庫
August 21, 2021
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アリバイトリックは大きく分けて時間と空間のトリックになります。『北の女』は、鮎川哲也の真骨頂ともいえるアリバイ崩しがテーマの短編です。大阪 道頓堀 新聞記者として大失敗したため、東京本社から大阪支社に転勤させられた畑は、起死回生のスクープを狙っていました。OL信子が殺された事件で、信子は耳鼻科の医師磯原と言い争っている場面を見られていました。しかし、信子がバーで目撃されている時間、磯原にはアリバイがありました。 今や古典の鮎川作品で、スマホの時代には通じないトリックだったりしますが、アリバイ崩しは自然で、意外な動機も新鮮でした。 参照元:『アリバイ崩し 鮎川哲也ベストミステリー短編集』講談社文庫
August 20, 2021
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8月18日はハイエイトの日です。8(ハ)月1(イ)8(エイト)日から。 ハイエイトは、フルタ製菓から昭和42年に発売された、めがねのような形の容器に入った糖衣のチョコです。明治のマーブルチョコと同じようなチョコです。どちらもロングセラーのお菓子です。容器の両端には穴が開いていて、ここに輪ゴムを通すとめがねになる仕掛けになっています。 昔より色合いが柔らかになったと思ったら、天然色素の糖衣に替わったからですね。
August 18, 2021
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中本誠は追い詰められていました。事業がうまくいかず、資金繰りがどうにもならないところまで来ていました。 切羽詰まった中本は、保険金目当てで妻の殺害を計画します。が、屋根に上って計測器まで移動していた中本は、足がかりが外れ墜死してしまいます。(『上品な魔女』) 現場に駆けつけた福家警部補は、妻のさゆりが119でなく110番に電話した点、携帯を使った点、一回玄関に出てサンダルを取ってから庭に出ている点に、疑問を抱きます。 大学時代の友人に言わせると「さゆりは魔女です」。 捜査訪問を続けるうちに、穏やかで人に反論することもない、やさしげなさゆりの別の顔が見えてきます。こんな人が、一番怖い人種かもしれません。 参照元:大倉崇裕『福家警部補の考察』東京創元社
August 16, 2021
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コロンボを思わせる、刑事らしからぬ福家警部補の活躍する短編集の第五集が『福家警部補の考察』です。 安息の場所 スーパーの袋に入った拳銃は、思っていたよりも軽かった。いきなり拳銃の登場です。しかもそれをトートバッグに入れたのは、優子という女性。 女性バーテンダーがやっているバーということで評判になった「ソリティア」でカウンターに立つ優子は、師匠の名誉を守るために強請屋を殺害するのですが…。 福家警部補は、即死でなかった被害者に、犯人は何故とどめをささなかったのか?という疑問を糸口に、優子にたどりつきます。そのあとは、コロンボよろしく繰り返し優子の前に現れ、優子を追い詰めていきます。 優子の師匠の名前を知るくらい酒が好きという福家、客として来店し、幸せそうにジントニックとマティーニ…を味わう福家。 師匠の教えを守るため、残してしまった決定的証拠を福家に指摘され、「もういいわ」「あなたにぴったりのカクテル、いつになるか判らないけれど、ご馳走するわ。」 福家警部補は挿話的に、事件を解く鍵になった人たちの抱える問題も、解決していきます。睡眠時間があるのかというくらいの精力的な活躍ぶりですが、見かけが小柄で野暮ったい女性なので、警視庁捜査一課の刑事に見えないのが悩みです。 引用および参照元:大倉崇裕『福家警部補の考察』東京創元社
August 14, 2021
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鳥飼否宇は、九州大学理学部生物学科卒業後、編集者を経て、奄美大島に移住しました。ネイチャーミステリーを書く一方で奇想、異色のミステリーを書いています。 『死と砂時計』も異色の連作短編ミステリーです。 舞台は、世界各国から集められた死刑囚が処刑を待つ、ジャリーミスタン終末監獄。1日8時間の労働とジャリーミスタン語の習得に努めさえすれば、囚人は比較的自由に過ごせます。 両親殺しの罪で収監された日系アメリカ人のアラン・イシダは、頭脳明晰で刑務官からも頼りにされるシュルツ老の助手として、刑務所内の事件を解決することになります。 「英雄チェン・ウェイツの失踪」 シュルツ老は伝説の英雄チェン・ウェイツの話をします。過去にただひとり、脱獄に成功したチェンは、なぜ満月の夜に、最も屈強な監視員の居る日に脱獄したのか…。 シュルツ老は謎を解き、チェンの現在の居場所もつきとめます。大胆な脱獄方法にはただただびっくりです。 チェンの実行力にも、そのトリックを見破るシュルツ老にも感心しかないのですが、グロテスクな話です。 国内で死刑執行を行いたくないので、金銭で外国に押しつけようという発想は、多いにありそうな気がします。近くで目にすることがなければ、そのことについて考えることもありません。 連作の最後がまた衝撃的で、エピローグまで目が離せません。正直好きなタイプのミステリーではありませんが、トリックの巧みさには惹かれます。今のこの時代には読まないほうがいいかもしれません。 参照元:鳥飼不宇『死と砂時計』東京創元社
August 12, 2021
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8月10日は「かっぱえびせんの日」です。「8(や)められない、10(と)まらない」のキャッチフレーズから8月10日になりました。 かっぱえびせんは、株式会社カルビーが昭和39年に発売した、ロングセラーのお菓子です。天然エビが殻ごと入っているので、サクサクしてカルシウムが摂れます。 「かっぱえびせん」の原型は1950年代の「かっぱあられ」。あられといえば米が原料ですが、戦後の食糧難で手に入りにくかった米に代わって、小麦から作られたのが「かっぱあられ」でした。 創業者の松尾孝さんが、その明るさに感銘を受けた清水崑さんの漫画「かっぱ天国」の絵が、著者承諾のもとにパッケージに使われています。「かっぱえびせん」は、かっぱシリーズ最後の27番目の商品です。 参照元:株式会社カルビー Calbee H.P
August 10, 2021
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8月8日はブルーベリーの日です。B・B(ブルーベリー)が8・8に見えることから、サプリメント会社が制定しました。 ブルーベリーは、北アメリカ原産の低木果樹。元になった植物が南アメリカからカリブ海諸島を経て北アメリカに渡りました。日本では関東の気候が栽培に適します。 ブルーベリーと言えばまずアントシアニン、目にいいというイメージが浮かびます。実際ブルーベリーには、見た物を脳に伝えるタンパク質の活動を促す働きがあるそうです。 さらに、花粉症の症状緩和、便秘や生活習慣病の予防・改善にも一役買ってくれるそうです。 もっとも、生のブルーベリーだと大量に食べないと効果がなさそうです…。
August 8, 2021
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川崎市のコロナ感染者数はうなぎ上り、ちらほらと障がい児の感染も聞きます。 ひとたびお子さんが罹れば、お母さんの感染は避けられません。マスクが付けられないのはもちろん、多動で飛び回る、常に声出しがあるお子さんが罹ったおうちでは、感染を防ぐため兄弟児を部屋から出さないようにしたそうです。 お母さんの中には、高熱が続き点滴を受けた方もいらっしゃったそうですが、これで「軽度」ですからね。ご自身の苦しさに加えて、入院などまず無理な障がい児の介助と心配をしなくてはならないご家族の大変さは想像を絶するものがあります。 我が家ののび太君とて、ある程度はコロナウィルスについて理解できますが、入院となったらパニックになるでしょう。外界から隔離され、防護服のドクターや看護士さんに囲まれたら大騒ぎになりそうです。 わたしが働いているNPO法人に、職員でまだワクチン接種が済んでない人がいればどうぞ受けてください、という案内がきました。緊急事態宣言が出ても、福祉関係は休まず利用者さんたちの要求に応えるように、というお達しもきていますから、職員が罹っては困りますからね(苦笑)。 大切な利用者さんやご家族のためにも、今日も気をつけます。
August 7, 2021
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オクラは、アオイ科トロロアオイ属の植物で、英語では「婦人の指」とも言われます。アフリカ北東部原産。 日本では昔「アメリカネリ」「陸(おか)蓮根」の名もありました。 オクラの粘り気は食物繊維で、コレステロールを減らす効果を持ちます。夏バテ防止、便秘、下痢にも効きます。 8月7日はオクラの日。オクラの切り口が星形なので、月遅れ七夕のこの日になりました。 友人のお子さんが幼稚園の頃、野菜全般が嫌いでお弁当に入れられる緑の野菜がオクラだけと言っていたのを思い出しました。星の形が面白いので、オクラだけは好きだったそうです。
August 7, 2021
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古き良き時代の英国、クリスティーやセイヤーズのミステリーを思わせる内容に惹かれて読みました。平塚白銀の『セントルイス・ブルース』です。 子爵松倉の誕生パーティーの日、婚約者の門田悦子が撃たれて亡くなりました。犯行を疑われても仕方ない状況の中、子爵は恋人の杉きん子とセダンに乗り込み、国道を疾走して逃げ出します。 ふたりは死を覚悟しますが、途中3~4人の男に負われる鷺坂を助けます。鷺坂は無実を証明してみせると約束します。 約束通り、鷺坂はトリックを暴き、真犯人を見つけ出します。要になったトリックは現代では通じませんが、斬新で痛快です。子爵の考える未来も爽やか。 タイトルの『セントルイス・ブルース』は、W・C・ハンディが1914年に起譜した楽曲で、門田悦子が死の直前まで口ずさんでいた歌です。鷺坂のダンス・ミュージックにもそれぞれ哲学があります。という見解がちょっと愉快です。「タンゴを好む女は理性に富むが憂鬱、ルンバを好む女は情熱的だが理智に欠ける…」という具合です。 平塚白銀は経歴不明の幻の探偵作家です。探偵小説専門誌に何作か作品を発表しただけで、文壇から消えてしまいました。残念。 参照元:ミステリー文学資料館・編『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション下』 光文社 から 平塚白銀『セントルイス・ブルース』
August 6, 2021
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ひぐるまのかたへに深きわが憂ひうれひ近づくそのひぐるまにひぐるまは地にくろきかげおとしたりそこを踏みゆきし寂しき我は 向日葵は明るいイメージが強い花ですが、ここでは向日葵の影に焦点が当てられます。 夏の日差しの中、光を浴びる向日葵ではなく、地面に落ちた影に目をとめて、私はひぐるま(向日葵)の影を踏んで歩いて行くのです。向日葵の花と空の光が明るいだけに、影の暗さが際立ちます。喀血の報せ握れり眼の前にかがやきくらしひぐるまの花このとき、作者は愛しい人が喀血したという報せを受けていました。 多くの若い命が結核という不治の病で失われた時代でした。作者の大熊長次郎もまた、結核に罹り闘病の苦しさの中、睡眠薬自殺を遂げました。さきはひをつねの日享けて生けりよと思ひしものをいまはむなしき 医学の進歩によって、結核は不治の病ではなくなりました。ですが、その時代の医学では治せない病気は常に存在します。 同様に、医学の進歩をもっても、完全に障がいをなくすこともできません。過去なら助けられなかった生命を救えるようになったことによって、後遺症も一定数残るからです。 病苦で自殺する方がないように、手厚い支援を望みます。 引用および参照元:『現代短歌全集 第五巻』筑摩書房 から 大熊長次郎歌集『蘭奢待(らんじゃたい)』*「蘭奢待(らんじゃたい)」は東大寺所蔵の黄熟香の別名。作者は少年時代、友人とこの名前の雑誌を作っていました。
August 5, 2021
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警視庁に勤めていたSさんは海外に渡り、10年ほどして金を作って帰ってきました。今居住している貸家の隣家に家を新築中です。 次の章は、警視庁勤め時代の回想。進藤刑事は、銀行の7万円を預かって汽車に乗って大阪支店に届ける任務を遂行中、ちび八と呼ばれる掏摸(すり)を見かけます。そして…。役所を出るときにふと見ると庭に百日紅が咲いていた。それが何故かばかに印象深くのこっていた。 あれから10年、Sさんは新居に百日紅を植えようと考えています。 百日紅を植えることは、過去への対峙。過去と現在の二重の構造がうまくできています。ひねりもきいています。新橋から大阪までの12時間の汽車の旅、三等車、届ける金額が7万円…には時代が表れていますが、ストーリーは古さを感じさせません。 牧逸馬は、谷譲次、林不忘のペンネームも持つ人気作家で、林不忘名義の丹下左膳シリーズはベストセラーになりました。 参照元:ミステリー文学資料館・編『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション下』 から 牧逸馬『百日紅』
August 3, 2021
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一昨日コロナワクチンの二回目の接種が終わりました。 昨日は一日だるさと筋肉痛がありましたが、発熱などなくて、まあ動けました。夜は10時間爆睡でした。 今日はもう普段通りです。前回もそうでしたが、接種した場所の痛みと腫れはしばらく残りそうです。 解熱剤とアイスノン、アクエリアスゼロなど用意していたのですが、使わずにすみました。 私の受けたのはモデルナのワクチンです。 ワクチンに対して不安がないと言えば嘘になりますが、コロナに罹って苦しむこと、後遺症に悩まされることを思うと受けたかったので、まず一安心です。 若い人の中には、まだ十分安全性が確立していないワクチンを受けないという選択をされる方もいます。時間が経ってから出てくる重篤な副反応を不安視される方もいます。 確かに私のような60以上の年代とは考え方も変わってくるでしょう。ただ、若い方たちの感染の割合が増えていることは怖いことです。 接種を望む全ての人に早くワクチンが行き渡りますように。
August 1, 2021
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奴さんの紋が四角であることから、四角に切ることを「奴に切る」と言いました。蒲焼きなど上流階級の食べ物に対して、煮炊きしなくてよい「冷や奴」は、奴階級の夏の食べ物でした。 樋口一葉の『にごりえ』にも、冷や奴は庶民の食べ物として、遊郭の鉢肴(はちざかな)に対峙して取り上げられています。鉢肴は、鉢に盛って出す酒の肴です。 かつて裕福な蒲団屋だった源七は、銘酒屋(表向きは飲み屋で私娼を置いた店)の人気者お力のもとへ通いますが、落ちぶれてしまった源七に対してお力はすげない態度で臨みます。意気消沈して帰宅した源七に、妻のお初は、好物の冷や奴を出します。能代の膳のはげかかりて足はよろめく古物に、…小丼に豆腐を浮かせて青紫蘇の香たかく持出せば…。食べる気にならないという源七に、お初は悲しい目を向けて「それは菊の井の鉢肴は甘(うま)くもありましたらうけれど、今の身分で思ひ出した処が何となりまする…」と、稼業に精を出してほしいと乞います。 結局、源七は鉢肴に象徴される菊の井、お力をあきらめきれないのでした。妻は子を連れて家を出て、源七は…。 引用および参照元:長田弘 鶴見俊輔 なだいなだ 山田慶兒 『同時代ライブラリー 歳時考考』岩波書店 樋口一葉『にごりえ・たけくらべ』新潮文庫
August 1, 2021
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