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『鏡の記憶』は、高橋克彦の記憶シリーズの3作目短編集『蒼い記憶』の中では一番怖いサスペンスでした。 小さな田舎町の公民館での講演会を控え、電気シェーバーの充電を忘れてしまった私は、古い床屋に入ります。岩手から移ってきたという店主はぼそっと「いられなくなったんでね」と呟きました。 「女房やガキを(剃刀の)練習台にして毎日家の中は血だらけさ。あんなことさえなきゃ…」と思わせぶりなことを言いつつ剃刀を研ぐ店主。 私は、中学校の時に出遭った床屋を思い出します。その床屋は…。 古びた鏡は、開店時に理容学校の同窓生から贈られた物なので、これだけは捨てられなかったと店主は言います。鏡を通して見る店主の姿は、次第に過去を思い出させ…。話の進行と共に、怖さが募ります。 鏡は不思議な存在です。『鏡の国のアリス』のように、鏡の中には現実と異なる世界が存在するのではないかと思わされます。鏡の登場するホラーもミステリーもたくさんあります。 11月30日は、鏡の日です。11(いい)月30(みらー←みれー)日で、いいミラーの語呂合わせから。 鏡の日は、鏡を見て健康的な生活を送ろうという意味なので、ホラーやミステリーとは真逆ですね。 参照元:高橋克彦『蒼い記憶』文藝春秋社から『鏡の記憶』
November 30, 2021
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11月28日は税関記念日です。 1859年(安政6年)長崎・神奈川・函館に設置された運上所が、1872年11月28日に「税関」と改称されたことを記念しています。 初め、税関はその置かれた港のみを管理していましたが、現在は国内のどの地域も、どこかの税関の管轄下にあります。横浜税関 クイーンの塔開港記念広場 (横浜)
November 28, 2021
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11月も終わり近く、いよいよ師走です。グランツリーの広場にもツリーが登場しています。テーマはハーモニー。
November 27, 2021
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去る23日は「かわさき子どもの権利の日」。「豊かな地域療育を考える連絡会」主催のフォーラムに参加させていただきました。 基調報告は、中山修氏による「子育てに困難を抱える家庭と子どもの権利」。家庭の事情からの虐待の事例がいくつかあげられ、その困難を周りの人材がどう支えたのかを具体的に教えていただきました。事例はどれも深刻なもので、何かあればすぐ児相の介入、保護措置が必要になるケースでした。 中山氏の基調報告後のお話で、改めて自分も心にとめておかないとと思ったことが「権利は一生」ということです。 「子どもの権利」というお話でしたが、大人になっても当然人権は守られるべきとも指摘されました。障がいがあると、支援者は何かしてあげる、当事者はしてもらうという関係になるが、「人権」の存在を忘れてはならないと。 さらに「18歳になったら、障がいのある人は家庭で面倒を見るのでなく、地域で療育されるべき」という考えを示されました。 親も、子どものことは親が何とかしなければという考えを捨てなければいけないのでしょう。 ですが、今、そんな世の中になっているでしょうか? 障がいのある人が何か問題を起こすと「親は何してたの?家庭はちゃんとしていたの?」と言われるのは、もう過去のことでしょうか? 要対協の対象になるような大変なお子さんだったら、地域療育に関わっている方たちが関与してくれても、何の問題もないように見える、親がしっかりした家庭まで時間を割く余裕がないのが現実ではありませんか? 全ての障がいのある方について「18歳過ぎたら障がいのある人は地域で支援する」社会になってほしいと切に願うものです。
November 26, 2021
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親友のノンフィクション作家耀子が1億円と共に姿を消した…と衝撃的な始まりの『顔に降りかかる雨』。 1億円は暴力団の裏金でした。いなくなる前に耀子は私、村野ミロに電話を掛けていました。私は組に耀子との共犯を疑われ、同じく疑われた、耀子の恋人成瀬と、耀子の行方を追うことになります。 女探偵、村野ミロが誕生する作品。同時に、日本に女流ハードボイルド作家が誕生した作品です。 暴力、セックスも出てきますが、マイルドで、ハードボイルドが嫌いなわたしでも大丈夫でした。 ある面では破綻者の耀子ですが、ジャーナリストとして真実を伝えようとする意志には打たれます。冷静な推理力をもつ果敢なミロの人物像も魅力的です。 参照元:桐野夏生『顔に降りかかる雨』講談社文庫
November 26, 2021
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11月26日はペンの日です。 昭和10年のこの日に、ロンドンに本部を持つ国際ペンクラブの日本センターとして、日本ペンクラブが創立されました。 当時の日本は、満州事変後に国際連合を脱退して、孤立化の道を進んでいました。その状況を憂いた作家・詩人・外国文学者・評論家たちの有志の賛同を経て設立されたいきさつがあります。初代会長は島崎藤村でした。 太平洋戦争中の言論抑圧下、ペンクラブは唯一世界への窓口でした。ペンクラブは創立から一貫して、表現の自由と平和への訴えの灯火を掲げてきました。 現在は18代会長を桐野夏生氏が務めています。 ペンクラブの「ペン」は、penであり、また、P=詩人と劇作家、E=随筆・評論家と編集者、N=小説家を指します。(それぞれの英語の頭文字です)
November 26, 2021
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1974年11月24日エチオピア北東部ハダール付近で、318万年前の化石人骨が発見されました。 アウストラルピテクス・アファレンシス(アファール猿人)の中でも最初に見つかったものの1つで、全体の40%にあたる骨が、まとまってみつかるという画期的な発見でした。 その構造から、猿人は完全な二足歩行をしていたことがわかりました。エチオピアの現地語では「あなたは驚異的だ」の名前も与えられましたが、世界的に有名になったのは「ルーシー」の名前でした。 発見したアメリカの調査隊のキャンプにビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド」が流れていたため、「ルーシー」の愛称がついたのです。 化石のルーシーは、切手になったり余りに有名になったため、ビートルズの曲が化石人骨に触発されて作曲されたと誤解する人も現れました。 ルーシーは現人類の直接の先祖ではなく絶滅種に属していたことが後からわかっています。木から落下して亡くなったのではないかという死因推測もあります。 参照元:小山慶太『科学歳時記一日一話』河出ブックス
November 24, 2021
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私(悦子)は、朝食のパンを買いに出かけました。八幡様を通り抜けようとしたとき、館岡老文学博士の死体をみつけてしまい…。 好奇心を抑えきれない悦子は、博士の手帳の「紫式部」というメモに目をとめます。 話を聞いた兄の雄太郎は何かひらめいたようで、警察に出向きます。 雄太郎と悦子の仁木兄妹探偵が活躍する短編の一つ『暗い日曜日』です。 仁木悦子は、幼児期に罹患した胸椎カリエスのため寝たきりの生活を送っていました。学校は行かず、独学で学びました。初めは童話を、次いで姉の影響で推理小説を書き始めました。 五回の手術を経て車いす生活が可能になりましたが、小説の中の「悦子」は、そんな不自由さを感じさせず、明るく闊達な活躍ぶりです。 11月23日は仁木悦子の命日です。 参照元:『日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集6 探偵の誇り』
November 23, 2021
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西村京太郎といえば、十津川警部。この短編では、十津川警部の妻、直子にひき逃げ犯の容疑がかかります。 直子は、大学時代の同窓生、戸田恵と阿蘇に旅をします。 宿泊先の栃の木温泉に着きましたが、恵の友人からクラブに来てと誘いがあり、レンタカーで熊本まで出かけました。 その帰路、運転していた直子は何かをはねた衝撃を感じます。しかし、あたりには何も見つからず…。 二転三転する状況を経て、直子はピンチに。 十津川は熊本を訪ねました。地道に聞き込みを重ね、鋭い観察眼で事故の矛盾点をあぶり出していく十津川。『妻がひき逃げ犯になって、やみくもに無罪にしようとしている、そうはさせないぞ』という顔の地元の刑事たちを前に、十津川は冷静に推理を組み立て、裏付け調査を求めます。 十津川夫妻の穏やかな関係がとてもいい感じ。最後の一行から、十津川の人としての魅力が伝わります。 参照元:日本推理作家協会・編『M列車(ミステリー・トレイン)で行こう』カッパノベルズ から 西村京太郎『阿蘇幻死行』
November 22, 2021
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通所の支援をしているお嬢さんが、歩いている途中でふと「紅葉がきれいだなって思って、落ちてる葉っぱをうちに持って帰るでしょ。うちに帰って見るとちっともきれいじゃないのよね。」とおっしゃいました。 激しく同意です。自然の中で見るから、きれいな色なのかもしれません。持ち帰ると魔法が解けちゃうんですよね。 ときどき、このお嬢さんの感性に、はっとさせられます。
November 21, 2021
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ここに消えかしこに結ぶ水の泡のうき世にめぐる身にこそありけり(ここでは消え、あちらではできる水の泡のように、私の身もまた輪廻転生して無常の世に存在するものです)四条大納言と呼ばれた公任の歌です。 「消ゆ」「結ぶ」「あわ」「うき(浮き)」「めぐる」とも「水」の縁語です。「~水の泡の」までが序詞(じょことば)となって「うき」→「浮き」と「うき世」を導き出します。 従って主題は後半の、わが身の無常、泡のようなはかなさということになります。 アクティベート・マイクローブ社は、微細な水泡の働きによる水質浄化と保全、滅菌を行う装置を開発して急成長してきました。 社長の凛子は会社のリラクゼーションルームでひとりくつろいでいるとき、身体の異常を感じました。毒?毒を盛られた? 次第に体が動かなくなっていく中、凛子は毒を特定し、対処法を考えようとします。 命が尽きるまでのタイマーがかかった状態で、混乱しそうになりながら冷静に判断を下す凛子の心理描写が圧巻です。毒の特定、飲まされたルート、犯人に至るまで推理しますが、体は次第に苦しくなり…。 死を覚悟した凛子の頭に思い浮かんだのが、冒頭の公任の歌でした。 短編ですが、生と死のぎりぎりのせめぎ合いが濃密に描かれています。 引用および参照元:『江戸川乱歩賞作家アンソロジー デッド・オア・アライブ』講談社 から鏑木蓮『終章~タイムオーバー~』
November 20, 2021
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本名ジャック・ケヴォーキアン。アメリカ人でかつて〈死の医師、ドクター・デス〉と呼ばれた医師がいました。 彼は病理担当医師を経て、末期病患者の自殺幇助活動を行いました。 彼の積極的安楽死に対する考え方は独善的でしたが、「誰にでも死ぬ権利はある」という言葉は社会に波紋を投げかけました。 警察に何回もかかってきた子どもからの電話「悪いお医者さんが来て、お父さんを殺しちゃったんだ。捕まえてよ」。 初めは父を亡くした悲しみからの妄想と思われましたが、同じ日に2回違う医師が往診していた事実がわかり、犬養と高千穂が捜査に乗り出しました。〈ドクターデスの往診室〉という、安楽死を請け負うサイトがあることがわかり、ふたりはその正体に迫っていきます。(『ドクターデスの遺産』) 回復の見込みがない病気の末期症状で、痛みに苦しむ患者は死ぬ権利がないのか、という大きな問題がテーマになっています。 死を選ぶことが必ずしも間違いではないとも思えてきます。 ドクターデスの正体も意外ですが、ラストの展開が衝撃的でした。 参照元:中山七里『ドクターデスの遺産』角川書店
November 18, 2021
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武沢は、膨らんだ借金が返せず闇金組織の仕事をさせられていましたが、一大決心をして悪辣な取り立ての証拠になる書類を警察に持ち込みました。 その結果、大規模な摘発が行われ、闇金組織は壊滅に追い込まれました。 武沢は報復され一人娘を殺されます。彼は正義を捨て、知り合いとも縁を切り、詐欺師になって糊口をしのいでいました。 同じような境遇の入川と知り合い同居、引っ越し先のアパートにひとりの少女が転がり込み、さらにはその姉、姉のパートナーまでが武沢と一緒に生活するようになりました。 それぞれが複雑な過去を負っていますが、ユーモアのある文章が暗さを感じさせません。 社会の片隅でひっそりと生きる彼らですが、金銭がらみの残酷な過去は彼らをいつまでも追ってきます。 逃げているだけでは未来は開かれないと、5人は闇組織に対抗することを決意します。「カラス」は、詐欺→鷺(さぎ)→烏で、詐欺、詐欺師の隠語です。また、黒い羽から「玄人(くろうと)」。 現在、貸金業法・割賦販売法・利息制限法によって債務者が守られるので、返済が滞ったときに露骨に嫌がらせされることはなくなりました。過払い金が戻ってくるケースもあります。 貸金法は、悪質な取り立てを禁止し、割賦販売法も、カードロ業者を業者を規制、利息制限法によって、最高利息以上の利息は無効と決められたのです。 けれども、お金を借りる側は弱い立場です。法の施行以前であったり、また法を知らなければ、借金地獄に陥ってしまします。 武沢たちは詐欺師としての能力を最大限発揮して作戦を遂行するのですが…。最後に今まで見えなかった風景が見えてきます。 参照元:道尾秀介『カラスの親指』講談社文庫 織…ショク、シキ、お(る)
November 16, 2021
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昨日は、多摩川を越えて多摩川台公園まで散策に出かけてきました。久しぶりの東京都入りです。 いい天気で、富士山が見えました。富士が見えるだけでテンションが上がるところ、日本人だなあ。と左: 今は冬枯れの庭園ですが、春から夏にかけてはきれいな花園になります。桜と紫陽花の季節は必見。 右と 湿性植物園 多摩川駅を経由して反対側は「せせらぎ公園」です。元は小さな遊園地(多摩川園)があった場所です。なるべく自然の形がそのまま見られるように、落ち葉も掃除せず残されています。紅葉も見られました。青空が気持ちいい。
November 14, 2021
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11月14日は「医師に感謝する日」です。11は医師と患者が向き合った形。14は、医師(いし)の読みから。 コロナ禍の中、治療に尽力してくださる医療関係者の方々に改めて感謝します。引き続き、手洗い、マスクなど自分にできることを着実にしていきます。 『見えない轍』 心療内科医、本宮慶太郎の事件カルテから。実際のお医者様が、患者のためにある事件を調査するなどということはあり得ないでしょうが、患者に寄り添う医師の象徴として心打たれる話でした。 慶太郎のもとに現れた女子高生の春来は、電車の中からいつも見ていた女性が自殺したという記事をきっかけに、食べるということができなくなってしまいました。 春来は、女性のガッツポーズを見たその日に、彼女が自殺するとは信じられないと訴えます。「これから自殺しようとする人に、私励まされたりしない」 患者である彼女の心を救うため、慶太郎はスーパーのアルバイトをしていた小倉由那の死の謎を探り始めます。 事件が解決して、事実を知った春来は前に進み出す決心をします。 最後に慶太郎が、なぜカメはウサギに勝てたかを話すシーンは印象的です。小児麻痺の後遺症で足にハンディーがある春来に対して、アクションを起こすのに遅いということはない、人と比べることでもないというさりげない励ましです。(小児麻痺は1980年を最後に国内での患者の発生はないはずですが??軽度の脳性麻痺でしょうか??)「…ウサギはカメを見て走った。けれどカメが見つめていたのはウサギじゃなく、ゴールだった。それだけだ」 引用および参照元:鏑木蓮『見えない轍』潮出版社
November 14, 2021
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篠田節子の『カノン』は、バッハの『フーガの技法』の『反行(反進行)と拡大による二声のカノン』をモチーフにした小説です。 教員養成大学の音楽科に在籍してチェロを弾いていた瑞穂は、20年経った今、音楽教師になり、忙しくも平穏な日々を送っていました。 突然、学生時代の恋人、康臣が自殺したという報せを受け、残されたバッハのカノンのテープを受け取ります。 そのテープを手にした夜から奇怪な事件が起こるようになって… カノンを芸術作品にまで高めたのがバッハだといわれます。『フーガの技法』のカノンは単純な輪唱ではありません。 拡大=音を倍に延ばす、反進行=旋律を上下回転する、逆行=旋律の時間軸を逆さにする、という複雑な形が組み合わされます。 人生もまた、このような複雑な要素の組み合わせによって成り立っているのかもしれません。 上のパートのヴァイオリンを弾いて人生を駆け抜けた恋人に対して、瑞穂は下のパートを「反進行」でゆっくり弾いてきたのかもしれないとおもいます。 そして、ピアノの伴奏を受け持つはずだった正寛、ナスターシャこと宏子がからんで物語は進みます。 康臣のヴァイオリンの響きは、積み重ねてきた20年を捨てようとした者を留め、築き上げた20年を壊して音楽に戻ろうとする者を後押しします。それは音楽の奇跡。 ホラー小説のジャンルになりますが、ホラー味はごく薄めです。むしろご自身もチェロを演奏される篠田氏ならではの、音楽の持つ力を描いた小説だと思います。 参照元:篠田節子『カノン』文春文庫
November 13, 2021
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歴史上有名な人物を探偵役にしたミステリーもいろいろありますが、ベートーヴェン・ツェルニー・リストが探偵になるのが連作短編集『ベートーヴェンな憂鬱症』です。 収録された4話の間に、ベートーヴェンは歳を重ね、難聴が進行してついには聴力を失います。ですが、推理力と行動力は健在。 最終話『わが子に愛の夢を』では、隠し子騒動が起こります。 音楽雑誌の編集長が19歳の少年少女を連れて訪問してきました。ふたりのうちどちらかがベートーヴェンの隠し子だというのです。母親はかつての弟子、ジュリエッタ・ガレンベルク伯爵夫人といいます。 ふたりともベートーヴェンのプライヴェートなことをよく知っています。ふたりはロッゲ男爵主催のオペラに参加しますが、なぜかお互いに不得意な声楽とピアノを担当することに…。ベートーヴェン像 歴史を踏まえていますが、ミステリーですから史実に留まらないユーモアと冒険にあふれた話の運びになっています。ナポリ王国の王女、ロスチャイルド家が現れ、ナポレオンの名前もちらり、スケールの大きな展開になり、最終楽章まで一気に読みました。 第1話で弟子と自称するカール・ツェルニーは、実際3歳でピアノを弾き、7歳で作曲を始めたという神童。 第1話では「すぐれた演奏家が有能な教師である、ということはあるんでしょうか?」とベートーヴェンに質問します。実在のツェルニーは、暗譜力に優れベートーヴェンの曲は全て演奏できたそうですが、演奏家としてより、作曲家・教師・音楽理論家の道を選びました。そのツェルニーの生き方を押さえた問いです。 第4話にも「音楽史の上で、その作品が演奏される回数において最多記録保持者たる作曲家を目指してるんです。人前で弾かれるかどうかは別としてね」という言葉があります。 日本では、ツェルニーの練習曲は指使いの練習やベートーヴェンのソナタを弾く上で必須と考えられてきました。退屈で、ピアノを習った子供がツェルニーの練習曲で挫折する例も多いのですが、確かに作品演奏回数は飛び抜けているでしょう。 音楽そのものの演奏場面はなく、クラシック音楽の匂いはしません。それより、音楽室の肖像画の印象しかないベートーヴェンが、この本の中では、音楽以外のことでも弟子と関わり、恋し、悩み、確かに生きていたことを楽しめる作品です。 参照元:森雅裕『ベートーヴェンな憂鬱症』ブッキング
November 12, 2021
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短気な私は、連続ドラマは続きが気になってイライラするので基本的に見ないのですが、増田君が出るドラマだけはしっかり見ていました。NHKの夜ドラの『古見さんは、コミュ症です。』は、おばばでも楽しめました。 今また、同じ時間帯の後番組の『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』を楽しく見ています。どこにでもありそうだけどない、この人たちだからこその優しさがいいなと思います。 木村多江さんの「ちょっと~美穂さん」がもう「江里子おねえさん」がしゃべっているようにしか聞こえません。本物の阿佐ヶ谷商店街で撮影されたという映像もいいですね。 落ち着かない世の中ですが、ほっこりのほほん、させてもらいました。
November 11, 2021
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11月10日はかりんとうの日です。11は細長いかりんとうが並んでいる形を思わせ、10(とお)は砂糖のとうに通じるので、この日に設定されました。 かりんとうは、小麦粉と砂糖、水をイーストや塩、重曹などと共に練り合わせて棒状にした生地を揚げ、砂糖の蜜を絡めた和菓子です。 起源には諸説ありますが、唐菓子を起源とするのが一説です。遣唐使がもたらした策餅(さくべい)または糫餅(まがり)からできたという説です。 策餅は小麦と米粉を練って策縄(さくじょう)のように細長くひねった菓子。平安時代、京の東西の市にその店があったそうです。糫餅は、糯米(もちごめ)の粉をこね、細くひねって輪の形にし、ごま油で揚げたもの。 かりんとうの日に因んで、野菜かりんとうでお茶にしました。 ゴボウ、ほうれん草、人参、かぼちゃ、ニラ、タマネギ、コーン、さつまいもの7種が入っています。味は野菜そのもの。特に、ごぼうの味が強めでした。
November 10, 2021
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霜柱は、地中の水が毛細管現象で地上に上がってきて凍ってできます。地表に吸い上げられた水が凍ることを繰り返し、氷は上方に伸びて糸のようになります。 地中の温度が0℃以上で、地表近くの0℃以下になると霜柱ができます。地中の温度が0℃以下になってしまうと、水は地中で凍り、地表に上がってこないので霜柱はできません。 関東ローム層のような粒子の細かい粘土と砂が入り混じっている地質の場所にできやすいといいます。 空気中の水蒸気が昇華し凍ってできる霜とは別のものです。 農作物のハウス栽培は、霜柱をよける目的から始まりました。 参照元:長田弘ほか著『同時代ライブラリー 歳時記考』岩波書店
November 9, 2021
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まだ11月7日というのに…今年一番の冷え込みになった夜、美幸は三十代最後の誕生日を誰からも祝われず過ごしていました。 夜になって呼び鈴が鳴り、「祝電です」の声。玄関先の男は電報の代わりに数本の紅薔薇を差し出します。 次の日、美幸は死体で見つかり、ダイイングメッセージが残されていました。 訪問者の名前が美幸の筆跡で残されていて、犯人は明白だと思われましたが…。筆跡鑑定のノウハウが語られ、興味深く読みました。 検事霞夕子シリーズの一編。夕子は、都心部から東京湾ウォーターフロント、伊豆七島までを範囲とする東京地検一方面係の主任検事です。 “なんとも独特のゆるりとしたトーンの話し方”が特徴ですが、素の性格はせっかちなので、わざとゆっくり話すようにしていると言います。 とりわけ美人というわけではなく、愛嬌のあるお多福顔の夕子に話しかけられると、被疑者は安心して思わず本音をしゃっべってしまうようです。本当に優秀な検事は、がんがん相手を責め立てたりしない、という言葉に肯けます。 美幸は不幸にも殺されてしまいましたが、誕生日の終わりに紅のバラ、白のバラが届けられたのがせめても慰めでしょう…。 参照元:夏樹静子『検事 霞夕子 夜更けの祝電』新潮文庫
November 7, 2021
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冬の足音が聞こえるこの頃は、温かいお茶でほっと一息つきたくなります。煎茶のお茶請けは「どじょう掬いまんじゅう」、松江のお菓子。形がとにかく愉快です。ジンジャーのハーブティーは体が温まって冬にぴったりです。 ルピシアのジンジャー&レモンマートルは、ハニーブッシュとルイボスをベースに、ショウガパウダー、ジンジャーカットとレモンマートルなどが入っています。 すっきり感がいいです。お菓子は、プチケーキのかもめの玉子風。うーん、かもめの玉子の味かと言われると微妙ですが。やはり元のかもめの玉子のほうが好きです。
November 6, 2021
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地元の区役所先導のとある子育て会議に関わっているのですが、このご時世なので、講演会がネット経由になりました。 ZOOMを使うわけですが、何しろアナログ人間なので、どきどきもの。事前に接続テストをしてくれるということで、お願いしました。 区の担当職員さんが丁寧に説明してくださり、当日は何とかなりそうです。覚えの悪いおばあさん相手にありがとうございました! 今後は、二の足を踏んでいたZOOMでの会にも参加できそうです。実際に会って話せたらもちろんうれしいのですが、会員が全国に散っているような会ではなかなかお会いできない人も。それがZOOMを通してでも、お会いできるのはすごいことだと思います。
November 5, 2021
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写真館を営む守下は、借金で首が回らなくなり、誘拐を企てます。シングルマザーで、離婚の慰謝料を受け取ったばかりであるらしい、水落詠子の4才の息子、日奈人(かなと)を連れ去りました。 しかし、身代金要求の電話に、詠子は《払いません》とはっきり答えるのです。 詠子はなぜ日奈人を捨てようとするのでしょう。詠子と日奈人を観察しながら撮った写真を見ながら、守下は詠子の本心に思い至ります。 撮…サツ、と(る) 写真には被写体の内面が、つまり心のありようが、ちゃんと表現されていなければならない――「写心」という言葉が最後に生きてきます。 自分でも気づかない心の奥に眠る思いが写真にすくい取られます。それが、被写体の詠子と撮影者の守下の、心の「再生」のきっかけにつながるのです。 『陽だまりの偽り』に納められた、暖かい短編です。 引用および参照元:長岡弘樹『陽だまりの偽り』双葉文庫
November 5, 2021
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11月3日は「ゴジラの日」です。昭和29年のこの日に封切られた「ゴジラ」映画第1作は97分のモノクロ映画でした。 キャッチコピーは「水爆大怪獣映画」「ゴジラか化学兵器か驚異と戦慄の一大攻防戦」「放射能を吐く大怪獣の暴威は日本全土を恐怖のどん底に叩き込んだ!」 ゴジラは水爆実験の産物という設定でした。961万人の観客を動員する大ヒット作になりました。その後も国内だけで30作以上のシリーズが製作され、ゴジラはハリウッドまで出張しました。武蔵小杉に現れたシンゴジラ! 2016年公開の「シンゴジラ」はそのシリーズからいったん離れて、初めて姿を現した謎の巨大生物が、川崎で「ゴジラ」と名付けられたところから話が展開します。 キャッチコピーは「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」不法投棄された放射性廃棄物に適応進化した生物がゴジラです。名誉なことに?武蔵小杉もゴジラの進路上にありました。 獣…ジュウ、けもの
November 3, 2021
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小杉駅南口のコアパークがリニューアルオープンしました。タウンニュースから飲食の2店舗がオープンしました。メルボルンスタイルのコーヒ店ー「ラテグラフィック」そして、焼き鳥の「&バード」空き店舗が気になる…。見上げると飛行機雲がかかっていました。
November 1, 2021
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『紫式部日記』1008年11月1日の記事に、藤原公任が「あなかしこ このわたりに若紫やさぶらふ」と尋ねたと記録されています。 その日は、中宮彰子が産んだ一条天皇の皇子、敦成(あつひら)親王の五十日(いか)の祝いでした。中宮彰子の父、道長の土御門邸で盛大な祝宴が開かれていました。 「若紫」は言うまでもなく、源氏物語の「紫の上」を指し、公任が「我が紫」と掛けて誘いをかける場面です。 この場面は、『源氏物語』の作者が紫式部であることを裏付ける重要な内容です。ここから、11月1日が「古典の日」と定められました。 「古典の日」は祝日ではありませんが、国の制定する記念日です。「古典」の範囲は、「文学、音楽、美術、演劇、伝統芸能、演芸、生活文化その他の文化芸術、学術又は思想の分野における古来の文化的所産であって…」と定義されています。 どんな分野でもいいので、伝統的な文化について少しでも考える日になればいいと思います。 参照元:吉海直人『古典歳時記』角川選書
November 1, 2021
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