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2023.08.11
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カテゴリ: I whisper


私は主治医がすこぶる怖い。

品がよくて、クレバーで、生まれ育ちの違い(私と)が顕著な雰囲気に加え、
冷淡な口調と眼光が怖くて仕方ない。

病気より怖いので、外来の日が近づくと必ず体調不良に陥る。
大抵は胃痛と下痢。
外来が終わってからも楽観はできない。
次の外来までの宿題があれば、それを考える余り帰路についている間も悶絶する。

という話を、
うちのお客さんにしてはクレバーで物静か、
ちょっと左寄りの雰囲気を醸す常連さんに打ち明けた。

常「何でそんなに怖いの?」
私「生まれ育ちの違いのせいで、私は下々の者という位置づけ。
  対峙するとき、既に怖気づいています」
常「医者と患者って、どうしても上下関係ができるからなぁ」
私「上下ならいいんです。患者として見られるのは問題ない。
  なんか…埒外に置かれている感じがして…」
常「なんで? 病気のことを診てもらってるだけでしょう?」
私「う…ん、、虫ケラを見るような目で見られているような…」
常「そんなアホな。それは考え過ぎでしょ。そんなことないよ。
  それはキミが思い込んでいるだけだよ」

!!! そうなのだ。
私が思い込んでいるだけなのだ。
それは薄々わかっていた。
が、そう思い込む私自身をどうにもできないから苦しいし、主治医が怖いのだ。

常「まずそこから変えないと」
私「自己肯定が必要だとわかっています。どうしたら自己肯定できるのか…」
常「そうだなぁ……、自己肯定かぁ、難しいなぁ」
私「カラコンでもしようかな」
常「えっ!?」
私「髪を金髪に染めて、ピアスして」
常「そっち?」
私「(アホの口調で)センセ、アタシ、チョウシイイー、とか言って」
常「そっち行っちゃうの? それが自己肯定?」
私「自己肯定無理。私と違う人物になっちゃう作戦。
  怖いものなしのアホ女の設定」
常「えー、もっと虫ケラ扱いされるよー」
私「……ほんまや」

浅はかな…。

私はこの年まで、とにかく真面目に生きてきた。
損はしても得することは特段なかったように思う。
それでも真面目な生き方は変えなかった。
毛染め(白髪染め除く)も、ピアスも、タトゥーも、
化粧も、派手な服装も、何一つ「不良」と思われるようなことはしたことがない。
我慢していたわけではない。
したいとも思わないし、する術も知らなかったのだ。
そういう、とにかく主義主張を表に出さない人間だから、
自己肯定ができないのではないか!

常「不良の素行はないかもしれないけど、主義主張は強いよ、キミ」
私「あれ、そうです?」
常「はっきりモノ言うし、反論するときは容赦ないし」

そうだっけ?
自慢話はもちろん、人の悪口や噂話は嫌いだし、
芸能ゴシップや「ブーム」と呼ばれる現象になど全く興味がないし。

常「政治の話となると、キミに勝てる人はいないでしょう」
私「???政治の話なんかしてます?」
常「政治そのものの話というより、裏話。
  『岸田の発言の裏には◯◯のゴリ推しがあった』的な。
  一般人が知らないようなことを、誰に聞いたん? くらい詳しく知ってるし」
私「あ……」

わかった。
自己肯定できない原因はここにあった。

おっさんなのだ。
私は女性ではなくおっさんだったのだ。
おっさんである自分を自覚して肯定することなどしたくもない。

……待てよ。
ということは、主治医の前ではおっさんではなく、女性でいたいということなのか?

そんなはずはない。
主治医は私の腹の中をグリグリした人である。
私の全裸も見たであろう。
裸より恥ずかしい腹の中を知っている人である。
いまさら、女を主張してどうしたいというのだ。

いよいよ私も血迷ってしまったのか。

病というのは恐ろしいものだ。
人格を変化させてしまうほどの力を持っている。
数十年に及ぶこれまでの地道な人生を後悔させ、
新たな自信を獲得するまで解放してくれぬばかりか、
その間、焦燥感や不安、時に絶望感で雁字搦めにしてしまう。


大げさな。。

次の外来の日が迫ってきたら、また胃を痛め、下痢をするのだろう。
それはそれでいい。

では、次の外来の時に目標を持つことにする。

これまで、主治医をまともに見たことがない。
主治医のヘアスタイルが思い出せない。
何だか全身白衣的なイメージなのだが、
何がどうなっているのかまるでかわからない。
一般的な、膝丈くらいの白衣の下は医者自前のカッターとスラックス、
というスタイルではない。
背広的な白衣(初めて見た)と
白いスラックスであることはわかっているのだが、
白衣の中身(シャツ)とか、靴とか、靴下とかは
全く記憶にない。

頭の先からつま先まで、まじまじ見てやろう。

このこと以外は考えない。
そうすれば、主治医の言葉に一喜一憂せずに済むだろう。

目標達成のために邁進するぞ!

あ、違う。
次は肝臓の検査があるのだ。
その結果が悪かったらどうしよう。

どんなふうに怒られるのだろう。
新たな治療が必要になったらどうしよう。

そのせいで外来の間隔が短くなったら、
もっと頻繁に胃痛と下痢に苦しむことになるのか。

……自己肯定など論外の状況だと認識した。

ああ、怖い。





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Last updated  2023.08.12 08:07:51
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