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烏丸が乗る重巡洋艦クラマは、ガイナス巡洋艦4隻を撃破する。 そのうち補給担当を担っていたと思われる宇宙船を、キャラハン山田が調査し、 そこで、情報処理装置として機能するカーペット状のガイナスを発見。 以後、この肉体はガイナスニューロンと呼ばれることになる。 一方、衛星美和に降り立った独立混成降下猟兵捜索中隊長・ウンベルト風間らは、 氷原の墓所でゴートの死体の調査を進めるが、そこにゴートの潜水艦が現れる。 その艦上で、1人のゴートが2人のゴートにより処刑されるが、風間は不干渉。 しかし、潜水艦内の様子をドローンで探ることには成功する。一方、出雲星系防衛軍第2管区司令部は、その領域内で播種船の減速装置を発見。この情報を独占し、タオ迫水が議長を務める危機管理委員会の介入を阻止すべく画策。しかし、これを知らされた香椎士郎安全組合総務部長は、自分の立場を悪くすることを覚悟のうえで、コンソーシアム艦隊に報告する。これを受け、艦隊司令部はアイロス玄田少佐率いる降下猟兵部隊を投入。部隊は減速装置を強襲し、その占領に成功する。この減速装置のコンピュータは奇跡的に稼働可能であり、その調査責任者にはマリソル会田が就任した。 ガイナスから始まって、今はゴートの案件を抱え、 さらに惑星敷島には独自の文明があるらしい。 その文明の担い手にはスキタイというコードが割り振られているが、 ゴートとの関係もわかっていない。 状況証拠は同一種族ではない可能性を示唆しているが、直接的な証拠はまだない。 おそらくガイナス、ゴート、スキタイとの関係が何かわかれば、 一蓮托生で謎が氷解すると思われたが、その何かはわかっていない。 見つけ出す目処さえ立っていない。 そこにマリソルのレポートである。 播種船が出雲星系より先に敷島星系の近くを通過したらしいという報告は、 まさにガイナス船団が敷島を出発した時期とほぼ同じらしいことを示唆していた。 ただ時系列までは不明であり、単なる偶然の可能性もあった。 敷島星系に異変があり、文明が衰退してから播種船が通過したかもしれないし、 文明の最盛期に通過した可能性もある。(p.211)ゴートの潜水艦との接触を受け、機動要塞で潜水艦を建造するという計画が進む中、衛星美和の静止軌道上にいた軽巡洋艦カシマに、敷島の宇宙船3隻が接近してくる。3隻の宇宙船は、美和の円軌道上でSSX2より1回り大きい同型の物体を建造。SSX3と命名されたこの物体には、様々なコードやケーブルで繋がれたゴートが入っていた。その後の調査で、惑星敷島は小惑星の衝突を受けたことが判明。さらに、惑星表面全体に見られるクレーターは、核兵器使用が原因と推測された。一方、烏丸はゴートとのコミュニケーションの中で、集合知性と高等知能に関する新たな仮説に思い至るのだった。 ***人類の目の前にゴートが姿を現し、明確な光景がいくつか展開されたことで、今巻は、今までに比べると読み進めやすいものとなっていました。しかし、全体としては、個々のキャラクターたちが推測や憶測を語り合う場面の連続で、さらに、現実にはない複雑な理論・理屈を読み進めねばならず、とても疲れました。
2020.12.31
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著者の山本さんは、大学卒業後、毎日新聞に入社し、 横浜支局、東京社会部、サンデー毎日で取材に携わっていた方。 BS11で報道番組を担当し、その後東京社会部に戻った時期に、 都内公立小学校でPTO団長(PTA会長)を務められました。 超多忙であったはずの著者に、PTA会長就任依頼が舞い込み、 それを引き受けるに至った経緯は、第1章冒頭で語られます。 その前向きな姿勢に、まずは感心させられましたが、 その後、PTA改革を推進していく辣腕ぶりには、さらに感心させられました。近年、全国的にPTA改革が急速に進められていますが、本著は、その手引書に相応しい一冊です。 *** このときの経験から、改革を進めるうえで大事なことを学びました。 その行事や担当がいつから、どのような理由で始まったのか、 なぜやらなければいけない活動なのか-を、過去にさかのぼって調べ、 それをわかりやすく伝え、理解してもらうことができれば、 「前例」の壁は突破できるのです。(p.67)これは、本当に大事なポイントだと思います。PTA活動だけでなく、学校の様々な取り組み全般について言えることかもしれません。 誰もが参加しやすいPTAにするには、「PTAは大変だ」という負担感や、 不公平感をなくしていかなければなりません。 そのために2つの案を作りました。 まず1つ目は委員会の数を減らすものです。(中略) 「すべてのPTA活動はボランティアでまわすことができる」という思い -PTA改革の目玉と言える案です-については、 「委員会統廃合案」その2で紹介しました。(中略) ズバリ、委員会をすべて廃止します。(p.117)「委員会の数を減らす」ところまでは考えても、「委員会をすべて廃止します」とまでは、なかなか行きつかないところ。でも、ここに手をつけたことによって、その先への道筋が、大きく開けたのだと感じました。 組織の改革には時間がかかります。 でも、躊躇していては物事は進みません。 大きな改革はPTA規約を改正しなければならないので、 まずは規約改正には手をつけず、できることから始めようと決めました。 そして、次の1年間をかけて活動をすべて見直し、 「委員会の統廃合」を中心とした抜本的な改革を進めることになります。(p.89)これは、目から鱗が落ちる発想。本著で最も参考になる部分かもしれません。 そこでPTO1年目は、 「楽しむ学校応援団A小学校PTO(A)お試し期間中!」を実施しました。 規約を変えることなく、 PTOとしてスタートを切るために考え抜いた「ウルトラC」です。 この方式だと、もしボランティア制でうまくいかなかった場合、 修正したり、元に戻したりすることも可能です。(p.178)この「ウルトラC」は使えます!!「修正」や「元に戻す」ことが可能なのも、とても良いですね。 結果として1年間、「お試し」期間を設けてよかったと思います。 新しいPTO規約も1年間かけてじっくりと作成することができました。(p.190)恐らく、この「お試し」期間を設けたからこそ、皆の協力体制を構築し、改革を進めることが出来たのだと感じました。
2020.12.30
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書名から想起されるのは、3年前にベストセラーとなった『未来の年表』。 本著は、その「医療版」という位置付けで発行された部分もあるのでしょうが、 そのような二匹目のドジョウを狙った一冊には決して留まらない、 医療の現状と未来への展望を、誰にでも分かりやすく説明してくれている良著です。 2020年現在、医療は「完成期」に入りつつある - 本著の基本をなしているのは、このような世界観です。 「完成期」とはすなわち、人間が病気では簡単に死ななくなる時代、 ということです。(p.3)これは、本著「はじめに」の冒頭の一文です。とてもインパクトのある書き出しで、誰もが思わず引き込まれてしまいます。そして、この後、私たちが現在最も関心のある新型コロナウイルスについて、このように書かれています。 そもそも新型コロナウイルスは、人類がこれまで経験してきた他の感染症と比べれば、 病気としての「実力」がそれほど大きいとは言えません。 たとえば14世紀のペストの大流行では、 当時の世界人口4億5000万人の22%にあたる1億人が死亡したとされています。 1918年から1919年に大流行したスペイン風邪でも、 当時の世界人口の4分の1、約5億人以上が感染し、 5000万~1億人以上の死者が出たとされています。(中略) それに対し、新型コロナでは2020年8月上旬までに全世界で約1800万人が感染し、 死亡したのは約70万人。 現在の世界人口約77億人に対する感染率は約0.2%で、 死亡率となると0.01%以下です。(p.4)こうして数値データを示されると、目から鱗が落ちる思いになります。「ペスト」や「スペイン風邪」が、当時の人たちにとって、どれ程の脅威だったかも、容易に想像がつきます。そして、コロナウイルスについては、次のように結論付けられています。 つまりコロナ禍は、「病気では死なない」時代を作りつつある「高度な医学」と 「高度な情報科学技術」の産物であり、 不死時代の招かれざる同胞とも言えるのです。(p.5)そして、「第1章 未来の病気年表」の中で取り上げられているのは、「2035年、ほとんどのがんが治癒可能に!」や「医学が発展するほど難病は増える!?」「iPS細胞への優先的資金投入は間違いだった?」「新型コロナウイルス対策で『公衆衛生』の理解は広まった」等のトピックです。続く「第2章 イノベーションが変える医療の体制」では、「2030年、『AI診察』が主流に」や「2032年、AI医師法制定」「人間医師の役割は『作り出す人』と『寄り添う人』に分化」「効く理由はわからなくてもOK! ビッグデータ創薬」について述べられています。以後、第3章から第4章にかけては、「病と病気をめぐる常識/非常識」について、「医者と患者で『治る』の意味が違う?」や「痩せたほうがいいのは50代まで。60代からは小太りで健康長寿」「日本の健康情報には『量』の話が抜けている」等のトピックが、第5章から第6章にかけては、「ガラパゴスな日本の医療と世界のスタンダード」について「病院への『フリーアクセス』が新型コロナで廃れていく?」や「脳死は人の死。でも、『人の死』に定義はない?」「イギリスの医療制度は近未来の日本のモデル?」等のトピックが取り上げられています。医療に関する様々な情報が、この一冊の中に集約されており、とても興味深いものでした。
2020.12.13
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『涼宮ハルヒの驚愕(後)』以来、本当に久々の新刊。 「もう、ハルヒには二度と会えないのかなぁ」と思っていましたが、 こうして、新たなお話を読んでいると、あの頃と何も変わっていない。 この愛すべきキャラたちとは、つい最近会ったばかりに思えてしまう。 ***本巻は、3つのお話から成り立っています。まず、「あてずっぽナンバーズ」は、SOS団のメンバーたちが1月3日の正午過ぎに、市内の神社に初詣に出かけたときのお話。初出は『いとういのぢ画集 ハルヒ百花』で、30頁ほどの短篇。次の「七不思議オーバータイム」は、SOS団のメンバーたちが集う文芸部室に、「学校の七不思議を知っているか」という、ハルヒの質問に答えるべく、ミステリィ研部員がたくさんの荷物を抱えて訪ねてきたというお話。初出は『ザ・スニーカーLEGEND』で、100頁に満たない作品。そして、「鶴屋さんの挑戦」は、本巻の核となる、280頁を超える書き下ろし作品。鶴屋さんが送ってくるエピソードの謎解きに、SOS団のメンバーたちとハニーブロンドのミステリィ研女子・Tが挑みます。読みながら、『掟上今日子の家計簿』のことを思い浮かべてしまいました。
2020.12.13
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ノイエプラネットが回収され、そのデータ解析が進んでいったが、 ガイナス人と集合知性との関係性は、まだまだ不明な点が多かった。 そんな中、火伏はタオ迫水に、ガイナスが第二の拠点建設を計画していると警告。 それは、現在の人類優位のパワーバランスが崩れてしまう可能性を示唆していた。 一方、降下猟兵は、準惑星天涯で1115体のガイナス兵の死体を発見。 それらには、奇襲側と籠城側に分かれて争った形跡があり、共に全滅していた。 さらに、それらを制御していたと見られるロボットも発見されたことから、 集合知性より前に、自由意思を行使できる別の知性体が存在していた可能性が出てきた。敷島星系第4惑星桜花の軌道上で発見された謎の十字架状金属物体はSSX1と名付けられ、研究機材管理主任キャラハン山田が、ガイナス艦を復元した艦でその調査に向かう。そこで回収されたのは、カエルに似た生物の缶詰だった。その後、キャラハンらは、ガイナス艦2隻に急襲されるが、その撃破に成功し、以後、回収されたSSX1は、出雲星系の惑星アシハマの軍施設で研究されることになった。そして、原ガイナス人が惑星敷島で進化したことを確認すべく、衛星美和と惑星敷島で、直接探査を試みることになる。まず衛星美和の探査に、巡洋艦ヤクモでキャラハン山田が向かい、その軌道上にSSX2を発見。さらに、SSX1の回収作業時に攻撃してきたガイナス艦が、美和の地表から打ち上げられたことも判明した。また、衛星美和に着陸した陸上ドローンが、湖の液体部分と氷が接する縁に幾つも折り重なるように堆積した人形の映像を送ってくる。以後、ゴート(原ガイナス人)の死体の調査が急速に進み、やがて、シャロンに降下猟兵による衛星美和探索の命令が下った。一方、奈落基地に向かっていた輸送船ラーラが、ガイナスの新型艦に襲撃され、その後も、小規模船団が二度に渡って全滅させられる状況となっていた。烏丸は、ガイナスの集合知性である五賢帝と意思疎通を図るべく、水上の了解を得た上で、重巡洋艦クラマでガイナス拠点近傍に向かった。 ***今巻も、スラスラ読み進めるというわけにはいきませんでした。なかなか厄介な作品です。
2020.12.12
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マハさんと言えば、何と言っても自身のキャリアを生かしながらの 絵画を中心とする美術関係のお話が素晴らしいことで知られていますが、 本作は、同じ芸術の中でも音楽をテーマとして取り上げた作品。 もちろん、稀代のストーリーテラーは、読み手をグイグイ引き付けていきます。 ***高校1年生の梶ヶ谷和音は、日本が世界に誇る大指揮者・梶ヶ谷奏一郎とかつてチェリストだった小田時依との間に生まれた一人娘。しかし、母は11歳だった和音と古いチェロを残し、家を出て行ってしまった。そして、父もボストン交響楽団音楽監督に着任するため、近々渡米することに。ある夜、和音が家に戻ると、そこに見知らぬ女性が。「あたしは、あなたのお母さんよ」と澱みのない声で告げたのは、元チェリストで、奏一郎の新しい妻である、アラフォーの真弓。奏一郎がアメリカに旅立つと、母と娘の二人暮らしが始まった。和音は、真弓と一緒に暮らす中で、様々な事実を知り、様々なことに気付いていく。そして、級友の池山文斗がピアニストを、谷崎朱里が音楽制作の仕事を目指し始めると、母からの手紙を手にした和音も、遠ざけていたチェロに再び向き合う決意を固める。そして春、母が入院している病院で、ロビーコンサートが行われたのだった。 ***和音と母・時依、真弓とその母、そして、和音と真弓。チェロを介しての、この3組の母子関係に加え、時依と真弓の関係に、心が揺り動かされました。中でも、やっぱり、真弓の生き様がイイですね。
2020.12.12
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