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ハナミズキがこんなに綺麗に色づくのは、自分のなすべき事を、まっとうしたからではないでしょうか。ある枝先には、ぴかぴか光る赤い実をつけ、またある枝先には、春の花を約束するつぼみが、天を仰いでいるのです。遠いアラビアの国の屋根のような、先のとがったつぼみは、暖かくなりさえすれば、いつでも花びらを広げられるよう、十分に育っています。来年の花のために、いったいいつから、準備をしていたのでしょう。夏の頃?それとも秋の初め?全ての仕事を終え、ハナミズキは心おきなく、自らを美しい色に染め、風とともに、最初で最後の旅に出るのです。
2006年11月29日
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雨上がりの公園の水たまりは、美しく色づいた桜の葉を浮かべています。それは小さな鏡。枝は影となって水に映りこみ、葉と枝が、お互いに寄り添おうとしているようです。昨日の雨に打たれ、思いがけず早まってしまった旅立ちは、母なる樹への恋しさを、桜の葉に残したのではないでしょうか。不安げな面持ちで、枝を見上げる葉に、樹はそっと囁きかけるのです。だいじょうぶ、水の鏡に映って、あなたの傍にいるから。だいじょうぶ、あなたの心の鏡の中に、私はいつもいるのだから。
2006年11月28日
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ヤクルトスワローズファン感謝デーの入場券が手に入り、朝から家族で神宮球場へ。泣き出しそうな空の下、開場前、早くからから並んでいたファンが、どんどんスタンドを埋め尽くしていきます。冷え込んだ空気をも、熱くしそうなファンの熱気。ファンと選手の交流ゲーム大会や、選手からのお宝グッズのオークション等、感謝デーの催しが終わった後は、球場に入ることができました。初めての球場は、想像していた以上の広さです。マウンドに登ったり、ベンチに入ってみたり、外野のフェンスに触ってみたり、球場をまるまる体感できました。好投・好打・好守の全ては、やはりプロならではの技であることを、実感させられます。主人の影響で、ヤクルトを応援するようになった娘達と、来シーズンは野球観戦の機会がありそうです。今日は結婚記念日でもありました。これからも感謝を忘れずにいたいと思います。
2006年11月23日
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突然に厳しい顔を見せるものは、何と言っても秋でしょう。秋の穏やかな眼差しは、暖かな日だまりを作り、力に満ちた指先は、甘く円やかな実りを紡ぎ出します。また、吐く息は美しい光と色を映すのです。そして、秋の手の中の豊かな実りは、惜し気もなく、全ての命あるものに与えられるのです。それなのに今は、誰も見たことが無い、冷たい顔をしています。磁器の様な肌と、鼻筋の通った整った顔立ちは、まるで血の通わぬ彫像。冷たい雨は容赦なく降り続きます。小さな命は震えおののいて、身体を強張らせるばかり。憐れみというものを知らないかの様に、秋は彼らから目を背けています。雨のカーテンを透かして、冷たい横顔のシルエットが、いつまでも浮かんでいました。
2006年11月19日
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先ごろまで、"Stanwell Perpetual" スタンウェル・パーペチュアルの最後の花が、優しい色で咲いていました。小さなつぼみから、花びらがしだいに広がって、開ききると平咲きになります。真正面から見ると、こんな大きな花だったのね、と思うほど。でもその横顔は、ティーカップのソーサーのような、緩やかなカーブもあるかどうか。薔薇の貴婦人達の多くが、たくさんの花びらで身を飾り、その内に、美しい秘密や、謎を抱えているように振舞うのに、この薔薇は、そんな隠し事や秘密など、何も無いのよと言わんばかり。潔く全てをさらけ出して、それでいて、なお可憐でいることの素晴らしさ。良い香りをふりまきながら、こうして咲いている姿を見ると、また、この薔薇の魅力に囚われてしまうのです。
2006年11月18日
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彼に会ったのは、富士山麓の可愛らしい湖の傍の、小さな湿原でした。もう、避暑地の夏も終わりかけという頃で、湿原はひっそりとして静かです。デジカメを片手に、木道を進む私の目の前に、彼はさっと降り立って、モデルになってくれたのでした。秋になり、ある出版社が主催する写真コンテストに、彼のポートレートを出品したところ、先日、佳作50作品の選に入ったと、通知を頂きました。この都会でさえ、息が白かった今朝。あの湿原は、どんなに冷え込んだことか。葉陰のどこかで、彼はとうに、命をまっとうしたことでしょう。でも、小さな命は作品の中に写し取られ、ずっと残っていくのです。ありがとう。一枚だけシャッターを切ることが出来た、あの時の一瞬の出会いを、今も思い出します。
2006年11月16日
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愛を誓ったその人は魔法の力に捉えられ黒い瞳を固く閉ずいばらの茂みのその奥ににじみ出る血は頬の紅いばらの枝は首飾り緑の葉陰は顔に映え棘は髪をくしけずる銀の鋏は身の守りいばらの魔法を断ち切って棘持つ枝を踏みしめる眠れる王子に会うためにフェンスで暴れているロサ ムリガニーの枝を、少しだけ整理しました。恐ろしく棘のきついこの薔薇は、フェンスと家の間の狭い通路に向かって、うねりながら、這い回って枝を伸ばすので、手入れの時は決死の覚悟。恋焦がれる、美しい王子がその奥で眠っている、とでも思わないと、とうてい先には進めません。無数の小さな傷を作りながら、作業を終えると、わずかばかりの赤い実が、夕陽に光っていました。
2006年11月14日
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青い光が点滅し、間もなく赤信号に変わるというのに、小走りで横断歩道を渡る人。綺麗に飾られたショーウィンドーに目もくれず、先へ先へと急ぐ人。待てない待てない、せっかちさん。この公園の木の一本も、そんなせっかちさんのようです。周囲の仲間の木には、まだ気配がないのに、一本だけ早々と紅く色づいています。同じ環境の中で、これだけが染まっているのが、何よりの証拠。ああ、何故そんなに先を急ぐのでしょう。もうすぐ行ってしまう美しい秋を、存分にゆっくりと、共に楽しみたいと思うのに。せっかちさんは、ただ黙って、枝先を風に揺らしていました。
2006年11月11日
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昨年の秋に釉がけしたまま、ずっと工房に預かって頂いていた5枚組みのお皿を、先日受取りに行きました。さて、どんな風に焼き上がっているでしょうか。初めて使った志野長石釉。ぽってりと厚めにかけたせいか、引っかきの線が縮れたように広がり、花のようにも見えて、なかなか味のある仕上がりです。「乾き物か、和菓子に良さそうだね。」と先生の一言。料理のお取り皿をイメージしていたのですが、確かに、径は4寸足らず、お取り皿というよりも、和菓子向きかも知れません。早速、秋の趣がたっぷりの和菓子を乗せてみたら、しっくりなじんでいます。食器棚の中に、また予定外のお皿が増えましたが、これはこれで、良しとしましょう。思った通りの作品が作れるようになるのは、どうやらまだまだ先のことのようです。
2006年11月09日
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以前住んでいた沿線は、どの街も同じ匂いがありました。道幅はゆったりとして、きつくて長い坂道を、息をきらしながら上りきると、いつでも広い空が続き、美しい富士の姿を遠く望めたものです。友人宅で、一緒に手仕事をする約束があり、久しぶりにこの沿線を訪れました。丘陵を切り開いてできた街は、今も変わらず、光と風があふれています。緑濃い公園も、鬱蒼とした暗さがないのは、南側の斜面にあるから。光は燦々と降り注ぎ、かすかに色づき始めたイチョウの葉を、きらきらと揺らしています。吹き付ける風は、大きな声で歌いながら、丘の稜線に沿って、うねっていきます。楽しい手仕事のひと時の後、懐かしい街の匂いと、友人に見送られながら、家路につきました。
2006年11月07日
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夕暮れになって、秋明菊が花びらを閉じ、眠ろうとしています。それは、まだ開いてはいるものの、遥か遠くの夢の国を見ているような、眠りに落ちる時の赤ちゃんの目。赤ちゃんの頃から、2人の娘が全く違っていたのは、眠りのパターンでした。上の娘は眠くなると、必ずむずかり、たいてい大泣き。目覚めた時は、すこぶるご機嫌なのですが、涙でいっぱいの、泣きぬれた目のまま、眠ってしまうのでした。一方、下の娘はいとも簡単に、穏やかに夢の国に行くのです。眠りに就く瞬間の、この秋明菊のような目を、幾度見たことでしょう。その代わり、目覚めの不機嫌さといったらこの上なく、泣いて泣いて手が付けられず、長いこと抱っこしていましたっけ。懐かしい思い出に浸りつつ、夕闇に沈む秋明菊に挨拶して、窓を閉めました。
2006年11月06日
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偉大なる小さな騎士。敬愛の念をこめて、彼はそう呼ばれていた。優れた剣の使い手であり、気高くゆるぎない忠誠心から、もうしばらくの間、姫君の護衛を仰せつかっている。あどけなさは陰をひそめ、美しい女性に成長した姫君。その深い湖のような瞳、鈴の鳴るような澄んだ声は、ある日、騎士の心をふるわせた。聖母を崇めたてまつるのと、同じ気持ちで、姫君をお守りしていたはずではなかったか。心の奥底に生まれた小さな炎は、やがて我が身を呑み込み、焼き尽くすかもしれない。恐ろしい予感が、彼の顔に翳を落としている。秋の名残の花が咲く草原を、駒を並べて進む2つの影。姫君の怪訝そうな視線を避けるように、騎士は目を閉じて、祈りの歌を口にした。草原を渡る風が、この小さな炎を、永遠にかき消してくれることを、切に願いながら。
2006年11月05日
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家族で井の頭公園に出かけた時、熱帯の鳥が飼育されている温室に入りました。温かく、湿度が保たれた室内では、熱帯植物が緑も濃く生い茂り、赤や青の鮮やかな鳥達が、自由に飛びまわっています。その中で、目に留まったのは、温室の窓の傍で咲いているランタナでした。ランタナにしては、色が淡く、透き通るようなその花は、みんな、すりガラスの窓の方を向いています。ほとんど見たことのない、外の世界への憧れで、心はあふれるばかりなのに、病弱ゆえに、家にいなければならない、そんな少女を思わせます。少しくらい風が冷たくても、大丈夫なのに。ふと、そんな声がしたと思ったのは、気のせいでしょうか。ランタナの花は、外の芝生からの、楽しげなざわめきを聞きながら、いつまでも窓の方を見つめていました。
2006年11月03日
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今日は図書ボランティア講座の3回目。いよいよお話の実習です。初めてお話に挑戦するにしては、テキストが約13分と長いのですが、グリムの昔話から、『ホレおばさん』を選びました。それは、井戸の下の世界の美しい草原、雪のように舞う白い羽、そして金の雨など、いくつもの素敵な道具立てに、心をくすぐられたから。1か月ほどの間、少しずつテキストを覚え、繰り返し暗誦していくと、自分も登場人物の一人になった気がします。そして、地面の下のホレおばさんのふとんから、羽が飛び散り、それが地上で雪となって降る情景を、夢みてしまうのです。実習では、不安と緊張の中、何とか無事に話し終えました。ドイツでは、「雪が降る」という意味で、「ホレばあさんが羽ぶとんを振っている」という言い回しがあるようです。白い羽のような雪が舞う頃の、冬の読み聞かせにちょうど良いお話、来月は子ども達の前で、読んでみようと思います。
2006年11月01日
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